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令和3(行ケ)10119審決取消請求事件

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裁判所 請求棄却 知的財産高等裁判所知的財産高等裁判所
裁判年月日 令和4年9月13日
事件種別 民事
当事者 原告コンメッドコーポレイション
被告特許庁長官
対象物 平面視制御ユニットを使用した立体視カメラシステム
法令 特許権
特許法29条1項3号1回
キーワード 審決20回
実施7回
新規性1回
拒絶査定不服審判1回
刊行物1回
優先権1回
主文 1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
3 この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を3020
事件の概要 1 特許庁における手続の経緯等 ⑴ 原告は、発明の名称を「平面視制御ユニットを使用した立体視カメラシス テム」とする発明について、平成26年11月26日(優先日平成25年1

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判決文

令和4年9月13日判決言渡

令和3年(行ケ)第10119号 審決取消請求事件

口頭弁論終結日 令和4年6月9日

判 決

原 告 コンメッド コーポレイション

同訴訟代理人弁護士 浜 田 治 雄

被 告 特 許 庁 長 官

同 指 定 代 理 人 千 葉 輝 久

五 十 嵐 努

樫 本 剛

宮 下 誠

冨 澤 美 加

主 文

1 原告の請求を棄却する。

2 訴訟費用は原告の負担とする。

3 この判決に対する上告及び上告受理申立てのための付加期間を30

日と定める。

事実及び理由

第1 請求

特許庁が不服2019-15116号事件について令和3年5月28日にした審決を取り消す。

第2 事案の概要

1 特許庁における手続の経緯等

⑴ 原告は、発明の名称を「平面視制御ユニットを使用した立体視カメラシステム」とする発明について、平成26年11月26日(優先日平成25年11月26日(以下「本願優先日」という。 、優先権主張国米国)を国際出願)

5 日とする特許出願(特願2016-534661号。以下「本願」という。甲14)をした。原告は、平成31年1月15日付けの拒絶理由通知(甲4)を受けた後、同年4月18日付けで、特許請求の範囲について手続補正(甲6)をした。

⑵ 原告は、令和元年7月5日付けで拒絶査定(甲7)を受けたため、同年11月11日、拒絶査定不服審判(不服2019-15116号事件。甲8)を請求するとともに、特許請求の範囲について手続補正(甲9)をした。原告は、令和2年10月30日付けの拒絶理由通知(甲10)を受けたため、令和3年3月2日付けで特許請求の範囲について手続補正(以下「本件補正」という。甲12)をした。特許庁は、同年5月28日、「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決(以下「本件審決」という。)をし、その謄本は、同年6月11日、原告に送達された。

⑶ 原告は、令和3年10月8日、本件審決の取消しを求める本件訴訟を提起した。2 特許請求の範囲の記載本件補正後の特許請求の範囲は、請求項1ないし18からなり、その請求項1の記載は、次のとおりである(以下、請求項1に係る発明を「本件発明」という。甲12)。【請求項1】立体視光学系、該立体視光学系から右画像を取得するための右画像センサと該立体視光学系から左画像を取得するための左画像センサ、該右画像センサからの該右画像と該左画像センサからの該左画像とを受信し、合成画像を作成するための水平ラインの切替器であって、該右画像センサからの該水平ラインの信号と該左画像センサからの該水平ラインの信号を交互にす

5 る水平ラインの切替器、およびディスプレイに提示するために該水平ラインの切替器から該合成画像を受信するための単一のカメラプロセッサを備えるカメラシステム。3 本件審決の理由の要旨

⑴ 本件審決の理由は、別紙審決書(写し)記載のとおりである。その要旨は、本件発明は、本願優先日前に頒布された刊行物である特開平9-200804号公報(以下「引用文献1」という。甲13)に記載された発明と同一のものであり、特許法29条1項3号の規定により特許を受けることができないから、その余の請求項について検討するまでもなく、本願は拒絶すべきものであるというものである。

⑵ 本件審決が認定した引用文献1に記載された発明(以下「引用発明」という。)は、次のとおりである。なお、原告は、引用文献1に引用発明の記載があることを認めている。【引用発明】

(a) 被写体10から右側及び左側映像をそれぞれ撮像し、撮像された左側及び右側映像を第1及び第2テレビジョン信号としてそれぞれ出力するために互いに所定の視差間隔をおいて配置される一対のビデオカメラ102、104から構成されたピックアップ手段100と、

(b) 前記第1及び第2テレビジョン信号をそれぞれ受信して左側及び右側映像信号をそれぞれ発生するために一対の受信回路112、114から構成された受信手段110と、

(c) 前記左側及び右側映像信号をそれぞれ入力されて各映像信号の各ラインを2回ずつ繰り返しスキャンしてテレビジョン信号の水平周波数(15.734KHz)の2倍の水平周波数を有する左側及び右側ダブルスキャン映像信号をそれぞれ発生するために一対のダブルスキャン回路122、1

5 24から構成されたダブルスキャン手段120と、

(d) 前記左側及び右側ダブルスキャン映像信号の各ラインを前記水平周波数の2倍のスイッチング速度(31.5KHz)で交代に選択してラインインタレ-シングされた合成映像信号を発生するマルチプレキシング手段130と、

(e) 信号調整手段140と、

(f) 前記合成映像信号を一つのスクリ-ン20上に投射する投射形ディスプレイ手段150とを含み、

(g) 各ビデオカメラ102、104では水平ライン数がnである左側映像信号402と右側映像信号404をそれぞれ発生してテレビジョン信号として出力し、

(h) 前記受信回路112、114ではそれぞれ受信されたテレビジョン信号を復調して左右側映像信号をそれぞれ発生し、これに前記ダブルスキャン回路122、124では左・右側映像信号402、404をライン毎に2回ずつ繰り返してスキャンすることにより2nの水平周波数を有するダブルスキャン映像信号412、414をそれぞれ出力し、前記マルチプレキシング手段130では該ダブルスキャン映像信号412、414を交代に一回ずつ選択して水平周波数が31.5KHzである合成映像信号420を出力することになり、

(i) 前記信号調整手段140はバッファとフィルタとからなっており、前記合成映像信号420のレベルを調整し、かつ、ノイズを取り除き、CRTのような前記ディスプレイ手段150では水平周波数が31.5KHzである合成映像信号をスクリ-ン上にディスプレイする、

(j) 立体映像表示装置。4 取消事由引用文献1を主引用例とする本件発明の新規性の判断の誤り

5 第3 当事者の主張1 原告の主張

⑴ 「水平ラインの切替器」に係る一致点の認定の誤り本件審決は、引用発明の(b)(受信手段110)、(c)(ダブルスキャン手段120)及び(d)(マルチプレキシング手段130)の三つの手段からなる構成が、本件発明の「該右画像センサからの該右画像と該左画像センサからの該左画像とを受信し、合成画像を作成するための水平ラインの切替器であって、該右画像センサからの該水平ラインの信号と該左画像センサからの該水平ラインの信号を交互にする水平ラインの切替器」に相当するとして、本件発明と引用発明は、上記「水平ラインの切替器」を備える点で一致すると認定した。しかし、本件発明は、本願の願書に添付した明細書(以下、図面を含めて「本件明細書」という。甲14)の【0016】ないし【0019】に記載があるとおり、「マルチプレクサ(MUX)構成要素55」を発明の要素から明確に取り除き、「水平ラインの切替器」を用いることで、平面視(2D)制御ユニットを利用して新規の立体視(3D)カメラシステムを提供し、立体視(3D)カメラシステムの費用を抑える機会を提供するものである。すなわち、本件発明は、従来技術のコスト高の原因である「マルチプレキシング手段」や「ダブルスキャン手段」を使用せずに、平面視(2D)制御ユニット80を利用した立体視(3D)カメラシステムを備え、3Dカメラヘッド30の右画像センサ10および左画像センサ15と、2D制御ユニット80の単一のカメラプロセッサ85との間に水平ライン切替器75を設けることによって可能にしたものであるから、本件発明の「水平ラインの切替器」とは、「マルチプレキシング手段」や「ダブルスキャン手段」を備えないものを意味すると解される。しかるところ、引用発明の(b)ないし(d)の三つ手段からなる構成は、「マル

5 チプレキシング手段」及び「ダブルスキャン手段」を備えるものであり、本件発明の「水平ラインの切替器」に相当するものといえないから、本件審決の上記一致点の認定には誤りがある。

⑵ 小括以上のとおり、本件審決には、「水平ラインの切替器」に係る一致点の認定の誤りがあるから、本件発明は、引用文献1に記載された発明と同一の発明であるとした本件審決の判断は、誤りである。したがって、本件審決は取り消されるべきものである。2 被告の主張

⑴ 「水平ラインの切替器」に係る一致点の認定の誤りの主張に対し引用発明の(b)(受信手段110)、(c)(ダブルスキャン手段120)及び

(d)(マルチプレキシング手段130)の三つの手段からなる構成は、本件発明の「水平ラインの切替器」に相当するから、本件発明と引用発明は「該右画像センサからの該右画像と該左画像センサからの該左画像とを受信し、合成画像を作成するための水平ラインの切替器であって、該右画像センサからの該水平ラインの信号と該左画像センサからの該水平ラインの信号を交互にする水平ラインの切替器」との構成を備える点で一致するとした本件審決の認定に誤りはない。本件発明の特許請求の範囲(請求項1)には、本件発明は、「ダブルスキャン手段」(ダブルスキャン回路)や「マルチプレキシング手段」(マルチプレクサ構成要素)を備えないものを意味するとの記載はない。また、引用発明の「マルチプレキシング手段130」は、本件明細書に取り除かれていると記載された「マルチプレクサ(MUX)構成要素55」と構成が異なり、引用発明には、「マルチプレクサ(MUX)構成要素55」は、存在しない。

⑵ 小括

5 以上のとおり、本件審決における一致点の認定に誤りはなく、本件発明は、引用文献1に記載された発明と同一の発明であるとした本件審決の判断に誤りはないから、原告主張の取消事由は理由がない。

第4 当裁判所の判断

1 一致点の認定の誤りについて

⑴ 本件明細書の記載事項ア 本件明細書(甲14)には、次のような記載がある(下記記載中に引用する図1ないし4については別紙1を参照)。(ア) 【0002】本発明は、一般に、カメラシステムに関し、より詳細には、立体視(3D)カメラシステムに関する。【背景技術】【0003】立体視(3D)カメラシステムは、当技術分野においてはよく知られている。限定ではなく例として、ConMed Corporation of Utica、NYは、外科医が身体の中の構造を視覚化することができるようにする立体視(3D)カメラシステムを製造し販売しており、その立体視(3D)構成は、外科医が奥行きをとらえることを可能にしている。【0004】しかしながら、当技術分野の現在の状況は、立体視(3D)カメラシステムの中の数多くの構成要素を倍増させることが必要であり、それは、平面視(2D)カメラシステムと比較して、より高い費用の商品につながる。【0005】

5 限定ではなく例として、図1は、従来の立体視(3D)カメラシステム5の中の主要な構成要素のブロック略図を示している。画像センサの重複(すなわち、右画像センサ10および左画像センサ15)、ならびにカメラプロセッサの重複(すなわち、右カメラプロセッサ20および左カメラプロセッサ25)に留意されたい。また、右画像センサ10および左画像センサ15が、通常は、3Dカメラヘッド30の中にパッケージ化され、右カメラプロセッサ20および左カメラプロセッサ25が、通常は、3D制御ユニット35の中にパッケージ化されることにも留意されたい。また、図1の中に示されている従来技術立体視(3D)カメラシステム5においては、立体視光学系40(たとえば、内視鏡)が、3Dカメラヘッド30に(たとえば、機械的接続部45を使用して)機械的に接続され、3Dカメラヘッド30が、配線50を介して3D制御ユニット35にケーブル接続され、3D制御ユニット35が、配線65を介してマイクロ偏光ディスプレイ60のマルチプレクサ(MUX)構成要素55にケーブル接続されていることにも留意されたい。【0006】図1の中に示されている従来技術立体視(3D)カメラシステム5においては、2つの同一カメラプロセッサ(すなわち、3D制御ユニット35の中に含まれている右カメラプロセッサ20と左カメラプロセッサ25)は、2つの完全な画像をマイクロ偏光ディスプレイ60のマルチプレクサ(MUX)構成要素55に送るのに使用される(次いで、このマルチプレクサ(MUX)構成要素55は、適切な信号をマイクロ偏光ディスプレイ60に供給する)。このタイプのディスプレイは、通常は、ディスプレイ画素の前面に置かれるフィルムまたは画面として実装されるマイクロ偏光技術(XPol(登録商標)技術としても知られている)を使用し、それにより、画素の奇数ラインが、一方の向きに偏光され(た

5 とえば、右円偏光)、画素の偶数ラインが、逆の向きに偏光される(たとえば、左円偏光)。図2を参照されたい。2つの完全な解像度の右画像信号および左画像信号が、ディスプレイに(たとえば、立体視光学系40、3Dカメラヘッド30の右画像センサ10および左画像センサ15、ならびに3D制御ユニット35の右カメラプロセッサ20および左カメラプロセッサ25によって)送られるとき、マイクロ偏光ディスプレイ60のマルチプレクサ(MUX)構成要素55は、3D制御ユニット35の右カメラプロセッサ20から「奇数」TVラインを選定しそれらをモニタの「奇数」ラインとして表示し、マイクロ偏光ディスプレイ60のマルチプレクサ(MUX)構成要素55は、3D制御ユニット35の左カメラプロセッサ25から「偶数」TVラインを選定しそれらをモニタの「偶数」ラインとして表示する。したがって、ディスプレイのTVラインは、本質的には、右カメラプロセッサ20からの右画像信号と、左カメラプロセッサ25からの左画像信号とのインターレースされた合成物である。視聴者は、右目または左目それぞれのための右円偏光および左円偏光付きの偏光眼鏡を着用する。したがって、視聴者の右目は、物体の左目画像が視聴者の右目に対して遮断される間、物体の右目画像に対応する合成画像の「奇数」TVラインのみが見え、それに対応して、視聴者の左目は、物体の右目画像が視聴者の左目に対して遮断される間、物体の左目画像に対応する合成画像の「偶数」TVラインのみが見えることになる。人間の脳は、右画像および左画像を「融合させ(fuse) 、」結果として3D知覚が生じる。【0007】前述に鑑みて、3D制御ユニット35の右カメラプロセッサ20の「偶数」TVライン情報、および3D制御ユニット35の左カメラプロセッサ25の「奇数」TVライン情報が、マイクロ偏光ディスプレイ60の

5 マルチプレクサ(MUX)構成要素55によって効果的に破棄され、ユーザに表示される合成ビデオ信号においては利用されないことが認識されよう。【0008】この認識により、2つの重要な構成要素の機能を組み合わせて単一の重要な構成要素にすることによって、すなわち、3D制御ユニットの右カメラプロセッサおよび左カメラプロセッサを単一のカメラプロセッサに(すなわち、典型的には、2D制御ユニットの中に見られるように)置き換えることによって、立体視(3D)カメラシステムの費用を抑える機会が提供される。(イ) 【発明が解決しようとする課題】【0009】本発明は、平面視(2D)制御ユニットを利用して新規の立体視(3D)カメラシステムを提供する。この構成は、2つの重要な構成要素の機能を組み合わせて単一の重量な構成要素にすることによって、すなわち、3D制御ユニットの右カメラプロセッサおよび左カメラプロセッサを単一のカメラプロセッサに、典型的には、2D制御ユニットの中に見られるように、置き換えることによって、立体視(3D)カメラシステムの費用を抑える機会を提供する。(ウ) 【課題を解決するための手段】【0010】本発明の1つの好ましい形態においては、カメラシステムが提供され、このカメラシステムは、立体視光学系、立体視光学系から右画像を取得するための右画像センサ、および立体視光学系から左画像を取得するための左画像センサ、

5 右画像センサから右画像を受け取り、左画像センサから左画像を受け取り、合成画像を作成するための水平ライン切替器であって、右画像センサからの水平ライン信号が、左画像センサからの水平ライン信号と互い違いにされる、水平ライン切替器、ならびに水平ライン切替器から合成画像を受け取って、ディスプレイに提示するための単一のカメラプロセッサを備える。【0013】本発明の別の好ましい形態においては、装置が提供され、この装置は、単一のカメラプロセッサを備える2D制御ユニット、およびカメラヘッドから下流で、単一のカメラプロセッサの上流に水平ライン切替器を備える。【0014】本発明のこれらならびに他の目的および特徴は、同様の数字が同様の部品を示す添付の図面とともに考慮すべき本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明によって、より完全に開示され、明らかにされよう。(エ) 【発明を実施するための形態】【0016】次に、図3を見ると、新規の立体視(3D)カメラシステム70の主要な構成要素のブロック略図が示されている。この新規のシステムは、マイクロ偏光ディスプレイ60において合成画像をより効率的に生成するために、水平ライン切替器75を追加しているが(好ましくは、3Dカメラヘッド30の中にパッケージ化される) 1つのカメラプロセッサ、を取り除いてもいる。加えて、新しい立体視(3D)カメラシステム70は、マイクロ偏光ディスプレイ60への高価な付加構成要素であるこ

5 とが多い従来の立体視(3D)システム5(図1)のマルチプレクサ(MUX)構成要素55も取り除いている。本質においては、および本明細書において以降論じられるように、本発明は、平面視(2D)制御ユニット80を利用した立体視(3D)カメラシステムを備え、それは、3Dカメラヘッド30の右画像センサ10および左画像センサ15と、2D制御ユニット80の単一のカメラプロセッサ85との間に水平ライン切替器75を設けることによって可能にされる。【0017】より具体的には、本発明においては、3Dカメラヘッド30の右画像センサ10および左画像センサ15は、水平ライン切替器75を通じて2D制御ユニット80の単一のカメラプロセッサ85に接続されている。水平ライン切替器75は、単一のカメラプロセッサ85の水平同期回路部と同期され、右画像センサ10および左画像センサ15それぞれによって単一のカメラプロセッサ85に供給される水平ラインビデオ信号を適切に切り替える。したがって、本発明により、単一のカメラプロセッサ85は、3Dカメラヘッド30の右画像センサ10から第1の水平ライン信号、3Dカメラヘッド30の左画像センサ15から第2の水平ライン信号などを受け取って、それによって、完全なカメラ画像を(すなわち、右画像センサ10と左画像センサ15との出力のインターレースされた合成物として)コンパイルする。この切替えは、ビデオ信号の損失がないように、水平ブランキング期間内に行われる。【0018】この技法を利用することによって、単一のカメラプロセッサ85は、2つの異なる画像センサ(すなわち、3Dカメラヘッド30の右画像センサ10および3Dカメラヘッド30の左画像センサ15)から信号を受け取り、信号は、単一のカメラプロセッサ85の上流で(すなわち、

5 水平ライン切替器75によって)適切に選定され、それにより、単一のカメラプロセッサ85は、従来の平面視(2D)カメラプロセッサと正確に同じ形で機能しながら、完全な合成画像をコンパイルすることができる。結果として、標準2Dカメラプロセッサ(すなわち、2D制御ユニット80)は、図3の中に示されている立体視(3D)カメラシステム70において利用可能である。水平ライン切替器75の複雑性および費用は、第2のカメラプロセッサの費用よりもかなり少なく(すなわち、2D制御ユニット80の費用は、3D制御ユニット35の費用よりもかなり少なく)、それによって、著しい費用削減につながる。加えて、本発明は、マイクロ偏光ディスプレイ60への高価な付加構成要素であることが多い図1の従来の立体視(3D)システム5のマルチプレクサ(MUX)構成要素55も取り除いている。【0019】新しい立体視(3D)カメラシステム70の利点は、低減されたシステム費用、低減されたシステム複雑性、および低減されたシステムサイズを含むことは認識されよう。本発明の1つの好ましい形態においては、立体視光学系40(たとえば、内視鏡)は、3Dカメラヘッド30に(たとえば、機械的接続部45を使用して)機械的に接続され、3Dカメラヘッド30は、配線50を介して2D制御ユニット80にケーブル接続され、2D制御ユニット80は、配線65を介してマイクロ偏光ディスプレイ60にケーブル接続されることも認識すべきである。【0020】加えて、新しいシステムの利点は、3Dカメラシステムと2Dカメラシステムとの間のモジュール性を含む。限定ではなく例として、ユーザが、現在、平面視(2D)カメラシス

5 テムを使用しており、立体視(3D)カメラシステムを使用することを望んでいると仮定する。この事例においては、本発明により、ユーザは、本発明の3D立体視システムを実現するために(図3を参照されたい)、単純に、平面視光学系および2Dカメラヘッドを外すように切り替え、立体視光学系40および(水平ライン切替器75を含む)3Dカメラヘッド30を入れるように切り替える。【0021】限定ではなくさらなる例として、ユーザが、現在、本発明の3D立体視システム70を使用しており(図3を参照されたい)、平面視(2D)カメラシステムを使用することを望んでいると仮定する。この事例においては、本発明により、ユーザは、平面視(2D)カメラシステムを実現するために、単純に、立体視光学系40および(水平ライン切替器75を含む)3Dカメラヘッド30を外すように切り替え、2D光学系および2Dカメラヘッドを入れるように切り替える。(オ) 【0022】本発明の前述の説明においては、水平ライン切替器75は、たとえば、図3の中に示されている形で、3Dカメラヘッド30とともにパッケージ化される。しかしながら、必要に応じて、水平ライン切替器75は、図4の中に示されているように、2D制御ユニット80とともにパッケージ化されてもよい。しかしながら、本発明のこの形態においては、ユーザが、現在、3D立体視システムを使用しており、平面視(2D)カメラシステムを使用することを望んでいる場合、立体視光学系40および3Dカメラヘッド30を外すように切り替え、2D光学系および2Dカメラヘッドを入れるように切り替えることに加えて、ユーザは、平面視(2D)カメラシステムを実現するために、水平ライン切替器75をやはりオフにしなくてはならない。この目的を達成するために、水平ラ

5 イン切替器75は、2D制御ユニット80とともにパッケージ化される場合、水平ライン切替器75の上流に検出器/制御ユニット95を設けることが望ましい可能性があり、ここで、検出器/制御ユニット95は、(i)2D制御ユニット80が、立体視ビデオ信号を受け取っているのか、それとも平面視ビデオ信号を受け取っているのかを検出し、(ii)2D制御ユニット80が立体視ビデオ信号を受け取っている場合には、水平ライン切替器75をアクティブ化し(すなわち、オンにし) (ii、i)2D制御ユニット80が平面視ビデオ信号を受け取っている場合には、水平ライン切替器75をアクティブ化解除する(すなわち、オフにする)ように構成されている。検出器/制御ユニット95の構成および動作は、本開示に鑑みて、当業者には明らかになろう。【0023】好ましい実施形態の修正形態本発明の性質を説明するために、本明細書において説明され示されてきた部品の詳細、材料、ステップ、および配置における数多くの追加の変更が、本発明の原理および範囲内になおもとどまったまま当業者によって行われ得ることは理解すべきである。イ 前記アの記載事項によれば、本件明細書には、本件発明に関し、次のような開示があることが認められる。(ア) 従来の立体視(3D)カメラシステムにおいては、二つの同一のカメラプロセッサ(右カメラプロセッサ及び左カメラプロセッサ)が、二つの完全な画像をマイクロ偏光ディスプレイ60のマルチプレクサ(MUX)構成要素55に送り、このマルチプレクサ(MUX)構成要素55が、右カメラプロセッサ20からの右画像信号と、左カメラプロセッサ25からの左画像信号とのインターレースされた合成物であるビデオ信号をマイクロ偏光ディスプレイ60に供給していたが、「本発明」は、

5 右カメラプロセッサ及び左カメラプロセッサを単一のカメラプロセッサに置き換えることによって、立体視(3D)カメラシステムの費用を抑える機会を提供することを課題とするものである 【0006】( ないし【0009】 。)(イ) 「本発明」は、前記課題を解決するための手段として、従来の立体視(3D)カメラシステムの二つのカメラプロセッサを単一のカメラプロセッサとし、右画像センサ及び左画像センサと当該単一のカメラプロセッサの間に水平ライン切替器を設け、水平ライン切替器は、右画像センサ及び左画像センサからそれぞれ受け取った水平ライン信号を切り替えて合成画像を作成し、これを当該単一のカメラプロセッサに供給する構成を採用した(【0010】 【0016】ないし【0018】 。、 )

⑵ 引用文献1の記載事項引用文献1(甲13)には、次のような記載がある(下記記載中に引用する図1、2及び5については別紙2を参照)。ア 【0001】【発明の属する技術分野】本発明は立体映像表示装置に係り、特に投射形立体映像表示装置において、一対のカメラでそれぞれピックアップされた一対の映像をそれぞれダブルスキャンし、ダブルスキャンされた映像をラインインタレ-シング方法で合成して一つの立体映像を形成することにより、一つの表示装置を介して立体映像を表示できる立体映像表示装置に関する。【0002】【従来の技術】立体感は人の両目が実物を見る際、両目間の距離(2.5インチ)により網膜にフォ-カシングされる像が相異なることから知覚される。網膜で発生する像の不一致とは網膜に投射されたイメ-ジにおける同じ対象点に対する水平距離を指すが、この距離により人は立体感を感じ

5 る。一方、視差とはモニタ-上に投射されたイメ-ジの二つの支点間の水平距離を指すが、不一致の幅を決定する大事な要素である。【0003】前述のような人の目の特性を用いて立体映像を実現しようとする研究が絶え間無く研究されている。多くの研究のうちメガネを用いた両眼式立体映像が一般的に商用化されて普及されている。最も周知の技術としては赤青方式メガネ、偏光メガネ及び電子式シャッタメガネがある。赤青方式は、左側映像をフィルタリングした赤色映像Rと右側映像をフィルタリングした青色映像(B+G)を正あるいは負の視差が出来るようにした映像から合成してその合成された映像信号をディスプレイし、これに視聴者は左目には赤色フィルタ、右目には青色フィルタを介してフィルタリングすることにより左目には赤色映像のみ見えるようにし、右目には青色映像のみ見えるようにすることにより立体映像が楽しめるようにした方式である。2台のフィルムカメラにて立体映像を撮影した後2台の映写機を介して立体を具現するアナログ的な方式を通して立体動映像が楽しめる。【0004】液晶シャッタ方式は、左側映像を奇数ラインに、右側映像を偶数ラインにして一つの立体映像に合成してモニタ-上にディスプレイし、これに視聴者はモニタ-上にディスプイレされる映像に同期され左側映像時には右側シャッタを閉め左側シャッタを開けて左目にのみ映像を伝送し、右側映像時には左側シャッタは閉め右側シャッタを開けて右目にのみ映像を伝送することにより立体映像が楽しめるようにした方式である。【0005】図1を参照するに、従来は前述したような立体映像をスクリ-ン上に表示するためには、被写体10から所定距離に位置し、互いに所定の間隔を有する2台のビデオカメラ12、14を介してそれぞれピックアップされた一対の映像信号を形成する。このように形成された一対の映

5 像信号は、それぞれ2台のプロジェクタ16、18を通して一つのスクリ-ン上に互いにオ-バラップされディスプレイされる。このような従来の立体映像を表示する装置としては、日本国特開平5-336550号及び米国特許第5、260、773号などに開示されたものがある。まず、日本国特開平5-336550号では、二対の映像信号を各対別に垂直方向のラインをインタレ-シングして合成された一対の映像信号を形成し、形成された一対の映像信号を二台のプロジェクタで一つのスクリ-ン上にそれぞれディスプレイする技術が開示されている。そして、米国特許第5、260、773号では、一対の映像信号をフィ-ルドインタレ-シングして合成しその合成された映像信号を送信し、受信側では受信された合成映像信号を一対の映像信号に分離させ、これを2台のディスプレイ手段を介して表示する技術が開示されている。【0006】すなわち、従来の立体映像をスクリ-ン上に表示するためには左右の二つの映像をそれぞれ一つのスクリ-ン上にオ-バラップさせ表示するためには必ず二台のディスプレイ装置が求められるので立体映像表示装置のサイズが大きくなり、機構的な構成が複雑になる問題点があった。イ 【0007】【発明が解決しようとする課題】従って、本発明の目的はこのような従来の技術の問題点を解決するために、一つの表示装置にて立体映像を表示することにより機構的な構成が簡単で、かつ、コンパクト化の可能な立体映像表示装置を提供することにある。ウ 【0008】【課題を解決するための手段】前述した本発明の目的を達成するために本発明の装置は、被写体の分離された左側及び右側映像をそれぞれ撮像し、撮像された左側及び右側映像を第1及び第2テレビジョン信号としてそ

5 れぞれ出力するピックアップ手段と、前記第1及び第2テレビジョン信号をそれぞれ受信して左側及び右側映像信号をそれぞれ発生する受信手段と、前記左側及び右側映像信号をそれぞれ入力されて各映像信号の各ラインを2回ずつスキャンして水平周波数の2倍の周波数を有する左側及び右側ダブルスキャン映像信号をそれぞれ発生するダブルスキャン手段と、前記左側及び右側ダブルスキャン映像信号を前記水平周波数の2倍のスイッチング速度で交代に選択して一つのマルチプレキシングされたダブルスキャン映像信号を発生するマルチプレキシング手段と、前記マルチプレキシングされたダブルスキャン映像信号を一つのスクリ-ン上に投射する投射形ディスプレイ手段とを備えることを特徴とする。【0009】また、本発明の他の変形例は、被写体の分離された左側及び右側映像をそれぞれ撮像し、撮像された左側及び右側映像を左側及び右側映像信号としてそれぞれ出力するピックアップ手段と、前記左側及び右側映像信号をそれぞれ入力されて各映像信号の各ラインを2回ずつスキャンして水平周波数の2倍の周波数を有する左側及び右側ダブルスキャン映像信号をそれぞれ発生するダブルスキャン手段と、前記左側及び右側ダブルスキャン映像信号を前記水平周波数の2倍のスイッチング速度で交代に選択して一つのマルチプレキシングされたダブルスキャン映像信号を発生するマルチプレキシング手段と、前記マルチプレキシングされたダブルスキャン映像信号をテレビジョン信号として送信する送信手段と、前記テレビジョン信号を受信して復調されたマルチプレキシングされたダブルスキャン映像信号を出力する受信手段と、前記復調されたマルチプレキシングされたダブルスキャン映像信号を一つのスクリ-ン上に投射する投射形ディスプレイ手段とを備えることを特徴とする。【0010】本発明のさらに別の変形例は、被写体の分離された左側及び右側映像をそれぞれ撮像し、撮像された左側及び右側映像を左側及び右側

5 映像信号としてそれぞれ出力するピックアップ手段と、前記左側及び右側映像信号をそれぞれ入力されて各映像信号の各ラインを2回ずつスキャンして水平周波数の2倍の周波数を有する左側及び右側ダブルスキャン映像信号をそれぞれ発生するダブルスキャン手段と、前記左側及び右側ダブルスキャン映像信号を前記水平周波数の2倍のスイッチング速度で交代に選択して一つのマルチプレキシングされたダブルスキャン映像信号を発生するマルチプレキシング手段と、前記マルチプレキシングされたダブルスキャン映像信号を一つのスクリ-ン上に投射する投射形ディスプレイ手段とを備えることを特徴とする。エ 【0011】【発明の実施の形態】以下、添付した図面に基づき本発明の望ましい実際例をさらに詳しく説明する。まず、本発明の一実施例は、図2に示されているように、被写体10から右側及び左側映像をそれぞれ撮像し、撮像された左側及び右側映像を第1及び第2テレビジョン信号としてそれぞれ出力するために互いに所定の視差間隔をおいて配置される一対のビデオカメラ102、104から構成されたピックアップ手段100と、前記第1及び第2テレビジョン信号をそれぞれ受信して左側及び右側映像信号をそれぞれ発生するために一対の受信回路112、114から構成された受信手段110と、前記左側及び右側映像信号をそれぞれ入力されて各映像信号の各ラインを2回ずつ繰り返しスキャンしてテレビジョン信号の水平周波数(15.734KHz)の2倍の水平周波数を有する左側及び右側ダブルスキャン映像信号をそれぞれ発生するために一対のダブルスキャン回路122、124から構成されたダブルスキャン手段120と、前記左側及び右側ダブルスキャン映像信号の各ラインを前記水平周波数の2倍のスイッチング速度(31.5KHz)で交代に選択してラインインタレ-シングされた合成映像号を発生するマルチプレキシング手段1

5 30と、信号調整手段140と、前記合成映像信号を一つのスクリ-ン20上に投射する投射形ディスプレイ手段150とを含む。【0012】従って、図5を参照するに、本発明の各ビデオカメラ102、104では水平ライン数がnである左側映像信号402と右側映像信号404をそれぞれ発生してテレビジョン信号として出力する。前記受信回路112、114ではそれぞれ受信されたテレビジョン信号を復調して左右側映像信号をそれぞれ発生し、これに前記ダブルスキャン回路122、124では左・右側映像信号402、404をライン毎に2回ずつ繰り返してスキャンすることにより2nの水平周波数を有するダブルスキャン映像信号412、414をそれぞれ出力する。前記マルチプレキシング手段130では該ダブルスキャン映像信号412、414を交代に一回ずつ選択して水平周波数が31.5KHzである図5の合成映像信号420を出力することになる。前記信号調整手段140はバッファとフィルタとからなっており、前記合成映像信号420のレベルを調整し、かつ、ノイズを取り除く。CRTのような前記ディスプレイ手段150では水平周波数が31.5KHzである合成映像信号をスクリ-ン上にディスプレイする。すなわち、一実施例では二つのビデオソ-スから発生された左右映像信号を表示装置で受信して合成された立体映像信号を形成することである。【0013】以上のように本発明の一実施例では左右側映像信号をそれぞれダブルスキャンし、ダブルスキャンされた映像信号をラインインタレ-シングして合成された立体映像信号を形成することにより一つのディスプレイ手段によりスクリ-ン上に表示できる。一つのディスプレイ手段を使うことにより従来の2台のディスプレイ手段を使用する立体映像装置に比べて構成が簡単で、かつ、小型軽量に製作可能になる。オ 【0016】【発明の効果】以上の述べたように、本発明では左右側映像信号をライン

5 インタレ-シング方法で合成してその合成された立体映像信号を形成することにより一つのディスプレイ手段で立体映像が表示できて立体映像表示装置の構成を簡単で、かつ、小型に製作しうる。

⑶ 「水平ラインの切替器」に係る一致点の認定の誤りについて原告は、本件発明の「水平ラインの切替器」 「マルチプレキシング手段」は、や「ダブルスキャン手段」を備えないものを意味するから、本件審決が、引用発明の(b)(受信手段110)、(c)(ダブルスキャン手段120)、(d)(マルチプレキシング手段130)の三つの手段からなる構成が本件発明の「該右画像センサからの該右画像と該左画像センサからの該左画像とを受信し、合成画像を作成するための水平ラインの切替器であって、該右画像センサからの該水平ラインの信号と該左画像センサからの該水平ラインの信号を交互にする水平ラインの切替器」に相当するとして、本件発明と引用発明は、上記「水平ラインの切替器」を備える点で一致すると認定したのは誤りである旨主張するので、以下検討する。ア 本件発明の「水平ラインの切替器」について(ア) 本件補正後の特許請求の範囲の請求項1の記載によれば、本件発明の「水平ラインの切替器」とは、①「該右画像センサからの該右画像と該左画像センサからの該左画像とを受信」 ②し、 「合成画像を作成する」ためのものであって、③「該右画像センサからの該水平ラインの信号と該左画像センサからの該水平ラインの信号を交互にする」もので、 「該

④合成画像」を単一のカメラプロセッサに送信するものであると理解される。そして、上記請求項1の記載において、「水平ラインの切替器」について、「マルチプレキシング手段」や「ダブルスキャン手段」を備えないとの限定はされていない。(イ) 次に、本件明細書において、「水平ラインの切替器」について定義を

5 する記載は見当たらず、また、「水平ラインの切替器」自体が「マルチプレキシング手段」や「ダブルスキャン手段」を備えないものであるといった記載もない。他方で、本件明細書には、「新しい立体視(3D)カメラシステム70は、マイクロ偏光ディスプレイ60への高価な付加構成要素であることが多い従来の立体視(3D)システム5(図1)のマルチプレクサ(MUX)構成要素55も取り除いている。 (」 【0016】 、) 「本発明は、マイクロ偏光ディスプレイ60への高価な付加構成要素であることが多い図1の従来の立体視(3D)システム5のマルチプレクサ(MUX)構成要素55も取り除いている。 【0018】 との記載がある。」( ) しかし、上記各記載で取り除くとされている「従来の立体視(3D)システム5(図1)のマルチプレクサ(MUX)構成要素55」とは、右カメラプロセッサ20及び左カメラプロセッサ25という二つのカメラプロセッサから画像を受け取り、マイクロ偏光ディスプレイ60に適切な信号を供給するためのものであり(【0006】参照)、上記各記載は、カメラプロセッサに合成画像を送信する「水平ラインの切替器」の構成について説明するものではない。(ウ) 以上によれば、本件発明の「水平ラインの切替器」とは、前記(ア)のとおり理解されるものであり、「マルチプレキシング手段」や「ダブルスキャン手段」を備えないものを意味するとは解されない。イ 引用発明について引用発明は、第2の3⑵のとおりの立体映像表示装置であるところ、引用発明の受信手段110、ダブルスキャン手段120及びマルチプレキシング手段130からなる構成は、(g)ないし(i)記載のとおり、「該右画像センサからの該右画像と該左画像センサからの該左画像とを受信」し(前記ア(ア)①に相当) 「該右画像センサからの該水平ラインの信号と該左画像、

5 センサからの該水平ラインの信号を交互に」して(同③に相当) 「合成画、像を作成」する(同②に相当)ものであって、「該合成画像」を単一のカメラプロセッサに送信する(同④に相当)ものであるから、本件発明の「水平ラインの切替器」に相当するものである。ウ 原告の主張について原告は、本件明細書の【0016】ないし【0019】の記載を考慮すれば、本件発明の「水平ラインの切替器」とは、「マルチプレキシング手段」や「ダブルスキャン手段」を備えないものを意味すると解される旨主張する。しかし、前記ア(イ)のとおり、本件明細書に取り除かれていると記載された「従来の立体視(3D)システム5(図1)のマルチプレクサ(MUX)構成要素55」とは、右カメラプロセッサ20及び左カメラプロセッサ25という二つのカメラプロセッサから画像を受け取り、マイクロ偏光ディスプレイ60に適切な信号を供給するためのものである。これに対し、前記イのとおり、引用発明のマルチプレキシング手段130は「該合成画像」を単一のカメラプロセッサに送信するためのものであるから、上記「従来の立体視(3D)システム5(図1)のマルチプレクサ(MUX)構成要素55」とは異なるものである。したがって、原告の上記主張は理由がない。⑷ 小括以上によれば、本件発明と引用発明は、「水平ラインの切替器」を備える点で一致するとした本件審決の認定の誤りをいう原告の主張は理由がない。したがって、本件発明は引用発明と同一の発明であるとした本件審決の判断に誤りはないから、原告主張の取消事由は理由がない。

2 結論以上のとおり、原告主張の取消事由は理由がなく、本件審決にこれを取り消

5 すべき違法は認められない。したがって、原告の請求は棄却されるべきものであるから、主文のとおり判決する。知的財産高等裁判所第1部

裁判長裁判官 大 鷹 一 郎

裁判官 小 川 卓 逸

裁判官 遠 山 敦 士

(別紙1)

【図1】【図2】【図3】【図4】

(別紙2)

【図1】【図2】【図5】

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