ホーム > 知財判決速報/裁判例集 > 令和4(ネ)10040 著作物使用料分配金等請求控訴事件
| 裁判所 | 控訴棄却 知的財産高等裁判所知的財産高等裁判所 |
|---|---|
| 裁判年月日 | 令和4年12月22日 |
| 事件種別 | 民事 |
| 法令 |
著作権 |
| キーワード | 許諾16回 |
| 主文 | 1 本件控訴を棄却する。15 2 控訴費用は控訴人の負担とする。 |
| 事件の概要 | 本件は、音楽著作物の著作権を有する者から委託を受けてその利用許諾等の 音楽著作権の管理を行う事業者である被控訴人との間で、控訴人の著作物であ る楽曲(以下「本件各楽曲」という。)に係る著作権の管理を委託する旨の著 作権等管理事業法所定の管理委託契約を締結した控訴人が、被控訴人が本件各 楽曲の利用者から徴収した「業務用通信カラオケ使用料」に係る分配金(令和 元年12月から令和2年6月までに分配期が到来するもの)に未払があるとし5 て、上記管理委託契約に基づき、被控訴人に対し、合計546万6584円並 びにうち214万6532円(令和元年12月分配期分)に対する同月26日 から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法所定(以下「改 正前民法所定」という。)の年5分の割合による遅延損害金、うち274万8 288円(令和2年3月分配期分)に対する同月26日から支払済みまで改正10 前民法所定の年5分の割合による遅延損害金及びうち57万1764円(同年 6月分配期分)に対する同月26日から支払済みまで民法所定の年3パーセン トの割合による遅延損害金の各支払を求める事案である。 |
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令和4年12月22日判決言渡
令和4年(ネ)第10040号 著作物使用料分配金等請求控訴事件
(原審・東京地方裁判所令和3年(ワ)第17895号)
口頭弁論終結日 令和4年9月27日
判 決
控 訴 人 X
同訴訟代理人弁護士 中 谷 寛 也
被 控 訴 人 一般社団法人日本音楽著作権協会
同訴訟代理人弁護士 鈴 木 道 夫
児 島 雅 彬
主 文
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。
事 実 及 び 理 由
第1 控訴の趣旨
1 原判決を取り消す。2 被控訴人は、控訴人に対し、546万6584円並びにうち214万6532円に対する令和元年12月26日から支払済みまで年5分の割合による金員、うち274万8288円に対する令和2年3月26日から支払済みまで年5分の割合による金員及びうち57万1764円に対する同年6月26日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。
第2 事案の概要(略称は、特に断りのない限り、原判決に従う。)
本件は、音楽著作物の著作権を有する者から委託を受けてその利用許諾等の音楽著作権の管理を行う事業者である被控訴人との間で、控訴人の著作物である楽曲(以下「本件各楽曲」という。)に係る著作権の管理を委託する旨の著作権等管理事業法所定の管理委託契約を締結した控訴人が、被控訴人が本件各楽曲の利用者から徴収した「業務用通信カラオケ使用料」に係る分配金(令和
5 元年12月から令和2年6月までに分配期が到来するもの)に未払があるとして、上記管理委託契約に基づき、被控訴人に対し、合計546万6584円並びにうち214万6532円(令和元年12月分配期分)に対する同月26日から支払済みまで平成29年法律第44号による改正前の民法所定(以下「改正前民法所定」という。)の年5分の割合による遅延損害金、うち274万8288円(令和2年3月分配期分)に対する同月26日から支払済みまで改正前民法所定の年5分の割合による遅延損害金及びうち57万1764円(同年6月分配期分)に対する同月26日から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の各支払を求める事案である。原判決は、控訴人の請求を棄却したため、控訴人は、これを不服として、本件控訴を提起した。1 著作権等管理事業法の定め次のとおり訂正するほか、原判決の「事実及び理由」の第2の1記載のとおりであるから、これを引用する。
⑴ 原判決2頁17行目を次のとおり改める。「⑴ 定義(2条)ア この法律において「管理委託契約」とは、次に掲げる契約であって、受託者による著作物、実演、レコード、放送又は有線放送(以下「著作物等」という。)の利用の許諾に際して委託者(委託者が当該著作物等に係る次に掲げる契約の受託者であるときは、当該契約の委託者。次項において同じ。)が使用料の額を決定することとされているもの以外のものをいう。(1項)一 委託者が受託者に著作権又は著作隣接権(以下「著作権等」という。)を移転し、著作物等の利用の許諾その他の当該著作権等の管理を行わせることを目的とする信託契約二 委託者が受託者に著作物等の利用の許諾の取次ぎ又は代理をさせ、
5 併せて当該取次ぎ又は代理に伴う著作権等の管理を行わせることを目的とする委任契約イ この法律において「著作権等管理事業」とは、管理委託契約(委託者が人的関係、資本関係等において受託者と密接な関係を有する者として文部科学省令で定める者であるものを除く。)に基づき著作物等の利用の許諾その他の著作権等の管理を行う行為であって、業として行うものをいう。(2項)ウ この法律において「著作権等管理事業者」とは、次条の登録を受けて著作権等管理事業を行う者をいう。(3項)
⑵ 登録(3条)著作権等管理事業を行おうとする者は、文化庁長官の登録を受けなければならない。
⑶ 管理委託契約約款(11条)」
⑵ 原判決3頁6行目の「⑵」を「⑷」と改める。2 前提事実次のとおり訂正するほか、原判決の「事実及び理由」の第2の2記載のとおりであるから、これを引用する。
⑴ 原判決4頁1行目から7行目までを次のとおり改める。「ア 控訴人は、平成26年4月、被控訴人との間で、控訴人が有する本件各楽曲に係る著作権の管理を被控訴人に委託し、被控訴人がその利用を許諾した利用者から徴収した使用料を控訴人に分配する旨の著作権等管理事業法所定の管理委託契約(以下「本件管理委託契約」という。)を締結した(甲13、乙8、弁論の全趣旨)。イ 被控訴人は、著作権等管理事業法11条1項に基づき、同法2条1項1号の信託契約(管理委託契約)の内容について管理委託契約約款(以下「本件約款」という。乙10)を定め、文化庁長官に届け出た。本件
5 約款には、次のような規定が置かれている。(ア) 委託者は、自らの個別信託の受益者になるものとする。(4条1項)」
⑵ 原判決4頁8行目の「(ア) 受託者は、」を「(イ) 受託者(被控訴人)は、 と、」 同頁9行目の「12条」 「12条1項」 同頁22行目のを と、 「(イ)」を「(ウ)」と改める。
⑶ 原判決5頁2行目から6行目までを次のとおり改める。「(エ) 受託者が使用料等の分配を行う分配期は、毎年度6月、9月、12月及び3月の4回とする。(19条1項)(オ) 受託者は、前項の規定による計算の結果に基づいて、当該分配期に分配する使用料等を信託著作権に係る使用料等と外団著作権に係る使用料等とに区分し、かつ、信託著作権に係る使用料等を各個別信託の信託財産に配分する。(19条5項)(カ) 受託者は、前項の規定により各個別信託の信託財産に配分した使用料等を、当該分配期が属する月の25日までに、当該個別信託の受益者が指定した金融機関の口座(以下「指定口座」という。)に送金する。この場合において、受託者は、各個別信託における種目ごとの作品別分配額を明らかにする資料を作成し、書面又は電磁的記録によって当該個別信託の受益者に提供する。(19条6項)(キ) 受託者は、次の各号のいずれかに該当する事由が生じた個別信託については、その事由が解消するまでの間、前項の規定による送金及び資料の提供を保留することができる。この場合においては、利息を付することを要しない。(19条7項)
① (省略)
② 分配請求権(この条の規定による給付を受ける権利をいう。以下同じ。)に対する質権の実行、滞納処分その他の差押えがあったこと。
5 (以下、省略)(ク) この条に規定するもののほか、各種目の使用料等の分配の方法に関する詳細な事項は、受託者がその定款に基づいて設置する委員会における調査審議を経て、別に定める。(19条8項)」
⑷ 原判決5頁18行目の「本件約款15条」 「著作権等管理事業法13条」をと改める。
⑸ 原判決6頁5行目から8頁24行目までを次のとおり改める。「⑷ 業務用通信カラオケについて通信カラオケ事業者は、管理著作物を業務用通信カラオケにおいて利用するに当たって、まず、自らが管理するホストコンピューターに当該管理著作物を複製し、それを通信カラオケ端末に公衆送信した上で、送信先の通信カラオケ端末に複製する。このように、業務用通信カラオケは、著作権の支分権を複合的に利用する形態であることを踏まえ、被控訴人は、使用料規程(乙3)において、「業務用通信カラオケ」という区分を設けた上で、全ての通信カラオケ事業者との間で包括的利用許諾契約を締結し、利用の対価として、使用料規程に基づく業務用通信カラオケ使用料(包括使用料)を徴収している。
⑸ 著作物使用料分配規程被控訴人は、本件約款19条8項に基づき、著作物使用料分配規程(以下「分配規程」という。甲1)を定めた。分配規程には、次のような規定が置かれている。ア 定義(2条)(ア) 分配対象使用料 各分配期において分配の対象となる使用料をいう。(1項3号)(イ) この規程において、「使用料」には、本件約款12条1項3号
5 に掲げる補償金(受託者がこの規程とは別に分配の方法に関する詳細な事項を定めたものを除く。)及び同項5号に規定する損害金を含むものとする。(3項)イ 分配資金(51条)業務用通信カラオケ及びインタラクティブ配信に係る分配対象使用料は、それぞれ複製相当分の評価に対する分配のための資金(以下「複製分配資金」という。)、公衆送信相当分の評価に対する分配のための資金(以下「送信分配資金」という。)及び分配補償資金に区分する。(1項)ウ 分配率等(52条)業務用通信カラオケ及びインタラクティブ配信に係る使用料の関係権利者に対する分配は、次の各号に定める分配率及び国際基準に従って、行う。
⑴ 複製分配資金 36条及び37条
⑵ 送信分配資金 9条及び10条エ 分配期等(53条)業務用通信カラオケ使用料及びインタラクティブ配信使用料の分配期及び分配対象使用料は、下表のとおりとする。(1項)分配期 分配対象使用料6月 1月から3月までの期間に徴収した使用料9月 4月から6月までの期間に徴収した使用料12月 7月から9月までの期間に徴収した使用料3月 10月から12月までの期間に徴収した使用料オ 計算対象期間及び分配対象著作物(55条)各分配期の計算対象期間及び分配対象著作物は、下表のとおりとする。(1項)
5 分配期 計算対象期間 分配対象著作物6月 10月から12月まで 左の期間に使用されたもの9月 1月から3月まで 左の期間に使用されたもの12月 4月から6月まで 左の期間に使用されたもの3月 7月から9月まで 左の期間に使用されたものカ 分配計算方法(58条)各著作物に対する分配額は、分配基金ごとに次に掲げる算式により算出し、分配資金の区分ごとに合意して分配する。(算式・省略)キ 分配補償資金による分配(59条)(ア) 分配資料の漏れ等のため、分配対象から欠落した著作物の関係権利者に対する分配は、当該関係権利者の分配請求に基づき、前2条の定めにより算出した相当額を、51条1項に定める分配補償資金から支出して行う。(1項)(イ) 分配補償金による分配は、分配請求のあった日から3年前までの分配について、当該利用に係る資料を添えて分配請求があり、当該利用の事実が確認されたものに対して行う。(2項)」
⑹ 原判決10頁1行目の「支払ったが、 から2行目末尾までを」 「支払った。」と改め、同頁7行目から11頁5行目までを次のとおり改める。「⑼ 「うたスキ」の取扱いの変更についてア 被控訴人とエクシングは、令和2年7月20日、エクシングが提供する「うたスキ」において、一般ユーザーが制作・投稿した音源(以下「ユーザー投稿」という。)をJOYSOUND端末に配信及び複製する方法による管理著作物の利用に対する許諾について、次の内容の覚書(以下「本件覚書」という。乙4)を締結した。(ア) 被控訴人とエクシングは、被控訴人における業務用通信カラオケのユーザー投稿型サービスに対する許諾の見直しに伴い、「うた
5 スキ」のうち、2019年(平成31年)4月1日以降の上記利用について、インタラクティブ配信の権利の関係で許諾することに合意する。(イ) 被控訴人及びエクシングは、上記(ア)の許諾に伴い、2000年(平成12年)10月20日付け「業務用通信カラオケによる管理著作物利用に関する契約書」に基づきエクシングが被控訴人に支払う著作物使用料の算出において、同契約書別紙2における基本使用料について、ユーザー投稿を含めないアクセスコード数により算出することを合意する。イ 被控訴人は、令和2年9月、控訴人を含む委託者に対し、「うたスキ」に係る「カラオケ無料配信サービス」の使用料について、利用の実態に即し、「業務用通信カラオケ」に基づき許諾・徴収・分配(使用料規程第10節・分配規程第2節)から、「インタラクティブ配信」に基づき許諾・徴収・分配(使用料規程第11節・分配規程第3節)に取扱いを変更(以下「本件取扱い変更」という。)する、変更後の取扱いによる最初の分配 「2019年4月」( から「2020年3月」までの利用分)は令和2年9月となる旨を通知した(甲6)。」
⑺ 原判決11頁6行目の「⑾」を「⑽」と改める。
第3 争点
控訴人の被控訴人に対する本件管理委託契約に基づく「業務用通信カラオケ使用料」に係る分配請求権の存否
第4 争点に関する当事者の主張
1 控訴人の主張
⑴ア 被控訴人は、控訴人が投稿した本件各楽曲の「うたスキ」における20
19年(平成31年)4月1日以降の利用について、エクシングから、同月前の利用分と同様に、使用料規程第10節の「業務用通信カラオケ使用
5 料」を徴収した。
このことは、甲20(エクシング作成の電子メール)によれば、被控訴人とエクシングの間では、本件覚書の締結後も、「うたスキ」のカラオケボックス等の施設での利用分について、従前どおり、「業務用通信カラオケ使用料」の支払がされている可能性が高いことからも、裏付けられる。イ したがって、控訴人は、本件管理委託契約に基づき、被控訴人に対し、分配規程第5章第2節の「業務用通信カラオケ使用料」に係る分配金(58条等)として、546万6584円(令和元年12月分配期分214万6532円、令和2年3月分配期分274万8288円、同年6月分配期分57万1764円の合計額)の支払を求めることができる。
⑵ 仮に被控訴人が本件覚書に基づいて「うたスキ」における平成31年4月
1日以降の本件各楽曲の利用分について、エクシングから、「業務用通信カラオケ使用料」ではなく、「インタラクティブ配信使用料」を徴収していることが事実であるとしても、本件取扱い変更自体が、被控訴人が自ら定めた本件約款上の「業務用通信カラオケ」の定義(別表第1の2⑪)に反するものであり、被控訴人は、誤った取扱いの変更をして、本来分配がされるべき控訴人への「業務用通信カラオケ使用料」に係る分配金の分配を怠ったものというべきである。したがって、控訴人は、被控訴人に対し、本来受けるべき「業務用通信カラオケ使用料」に係る分配金相当額を、分配規程59条に基づいて、分配補償資金から分配を受けることができるというべきである。
⑶ よって、控訴人は、本件管理委託契約に基づき、被控訴人に対し、「業務
用通信カラオケ使用料」に係る分配金又は分配補償資金による分配金として、546万6584円並びにうち214万6532円(令和元年12月分配期分)に対する同月26日から支払済みまで改正前民法所定の年5分の割合による遅延損害金、うち274万8288円(令和2年3月分配期分)に対す
5 る同月26日から支払済みまで改正前民法所定の年5分の割合による遅延損
害金及びうち57万1764円(同年6月分配期分)に対する同月26日から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の各支払を求める。
2 被控訴人の主張
⑴ 「業務用通信カラオケ使用料」の分配請求権が認められるためには、被控
訴人による当該使用料の徴収が必要である。このことは、分配規程において、委託者への分配対象使用料が、被控訴人が利用者から現に徴収した使用料を前提にしていることからも明らかである。そして、被控訴人は、被控訴人とエクシングとの間の本件覚書に基づいて、平成31年4月1日以降の控訴人を含む一般ユーザーからの投稿(ユーザー投稿)による「うたスキ」における利用分について、エクシングから、「インタラクティブ配信使用料」を徴収し、「業務用通信カラオケ使用料」を徴収していないから、控訴人に「業務用通信カラオケ使用料」に係る分配請求権が発生することはない。
⑵ 次に、分配規程59条の分配補償資金による分配は、実際に徴収された使
用料の中から本来であれば分配を受けられるはずであった管理著作物の関係権利者に対し、事後的に分配を行うものであり、通常の使用料の分配と同様に、そもそも徴収されていない使用料の分配請求を認めるものではない。前記⑴のとおり平成31年4月1日以降のユーザー投稿による「うたスキ」における利用分については、「業務用通信カラオケ使用料」の徴収が行われていない以上、控訴人が分配補償資金から当該使用料の分配を受けられる理由はない。
⑶ 以上によれば、控訴人の請求は、理由がない。
第5 当裁判所の判断
1 争点(控訴人の被控訴人に対する本件管理委託契約に基づく「業務用通信カ
5 ラオケ使用料」に係る分配請求権の存否)について
⑴ 前記前提事実によれば、本件管理委託契約は、被控訴人が、控訴人から、
本件各楽曲の著作権の管理の委託を受け、その利用を利用者に許諾し、利用者から、使用料規程に基づく使用料を徴収して、これを分配規程に基づいて控訴人に分配することを内容とするものである(本件約款12条1項、15条1項、19条、分配規程53条1項等)。控訴人は、被控訴人が、控訴人が投稿した本件各楽曲の「うたスキ」における2019年(平成31年)4月1日以降の利用について、エクシングから、使用料規程第10節の「業務用通信カラオケ使用料」を徴収したから、被控訴人に対し、分配規程第5章第2節の「業務用通信カラオケ使用料」に係る分配金(58条等)として、546万6584円(令和元年12月分配期分214万6532円、令和2年3月分配期分274万8288円、同年6月分配期分57万1764円の合計額)の分配請求権を有する旨主張する。そこで検討するに、控訴人が挙げる甲20(2022年8月24日付けのエクシング作成のメール)には、「通信カラオケ(業務用通信カラオケ)というのは、うたスキのシステムを利用してカラオケボックスなどの施設で演奏する場合のことをいい、インタラクティブ配信というのは、うたスキのホームページなど、どこでも聞けるように配信する場合のことをいう」、「こちらにつきましては、…様の認識で間違いございません。 との記載がある。」しかしながら、被控訴人とエクシングは、令和2年7月20日、エクシングが提供する「うたスキ」において、一般ユーザーが制作・投稿した音源(ユーザー投稿)をJOYSOUND端末に配信及び複製する方法による管理著作物の利用に対する許諾について、2019年(平成31年)4月1日以降の上記利用について、インタラクティブ配信の権利の関係で許諾することに合意する旨の本件覚書を締結したこと、控訴人による「うたスキ」への本件各楽曲の投稿は、ユーザー投稿に該当することに照らすと、甲20の上記記
5 載から直ちに、被控訴人が、エクシングから、本件各楽曲の「うたスキ」に
おける平成31年4月1日以降の利用について「業務用通信カラオケ使用料」を徴収したことを認めることはできない。他にこれを認めるに足りる証拠はない。したがって、控訴人の上記主張は、採用することができない。
⑵ 次に、控訴人は、仮に被控訴人が「うたスキ」における平成31年4月1
日以降の本件各楽曲の利用分について、エクシングから、「業務用通信カラオケ使用料」ではなく、「インタラクティブ配信使用料」を徴収していることが事実であるとしても、本件取扱い変更自体が、被控訴人が自ら定めた本件約款上の「業務用通信カラオケ」の定義(別表第1の2⑪)に反するものであり、被控訴人は、誤った取扱いの変更をして、本来分配がされるべき控訴人への「業務用通信カラオケ使用料」に係る分配金の分配を怠ったものというべきであるから、控訴人は、被控訴人に対し、本来受けるべき「業務用通信カラオケ使用料」に係る分配金相当額を、分配規程59条に基づいて、分配補償資金から分配を受けることができる旨主張する。しかしながら、分配補償資金とは、分配資料の漏れ等のため、分配対象から欠落した著作物の関係権利者に対する分配の際に用いられる資金(分配規程59条1項)であり、分配補償資金からの分配も、「業務用通信カラオケ使用料」として現に徴収した分配対象使用料(同53条1項)が存在することが、その前提となるものと解されるところ、前記⑴のとおり、被控訴人が、本件各楽曲の「うたスキ」における平成31年4月1日以降の利用について「業務用通信カラオケ使用料」を徴収したことを認めるに足りる証拠はない。したがって、控訴人の上記主張は、その前提において、採用することができない。
2 結論
以上によれば、その余の点について判断するまでもなく、控訴人の請求は理
5 由がないから、これを棄却した原判決の判断は、結論において相当である。
したがって、本件控訴は理由がないから、これを棄却することとし、主文のとおり判決する。知的財産高等裁判所第1部裁判長裁判官 大 鷹 一 郎裁判官 小 川 卓 逸裁判官 遠 山 敦 士
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