令和4(ワ)23588発信者情報開示請求事件
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裁判所 |
認容 東京地方裁判所東京地方裁判所
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裁判年月日 |
令和5年2月16日 |
事件種別 |
民事 |
当事者 |
原告株式会社LinkLife 被告KDDI株式会社
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法令 |
商標権
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キーワード |
商標権6回 侵害6回 損害賠償4回
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主文 |
1 被告は、原告に対し、別紙発信者情報目録記載の各情報を開示せよ。
2 訴訟費用は被告の負担とする。 |
事件の概要 |
1 本件は、原告が、氏名不詳者(以下「本件発信者」という。)が、インターネ
ット上のサイトである「Google検索」(以下「本件サイト」という。)に
おいて、別紙投稿記事目録記載の広告を表示されるようにしたこと(以下「本件20
投稿」といい、同目録記載の標章を「本件標章」という。)により、別紙商標権
目録記載の商標権(以下「本件商標権」といい、本件商標権に係る登録商標を「本
件商標」という。)を侵害したと主張して、被告に対し、特定電気通信役務提供
者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「プロバイダ
責任制限法」という。)5条2項に基づき、別紙発信者情報目録記載の各情報(以25
下「本件発信者情報」という。)の開示を求める事案である。 |
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判決文
令和5年2月16日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官
令和4年(ワ)第23588号 発信者情報開示請求事件
口頭弁論終結日 令和4年12月27日
判 決
5 原 告 株式会社Link Life
同訴訟代理人弁護士 神 田 知 宏
被 告 K D D I 株 式 会 社
同訴訟代理人弁護士 今 井 和 男
小 倉 慎 一
10 山 本 一 生
主 文
1 被告は、原告に対し、別紙発信者情報目録記載の各情報を開示せよ。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
事 実 及 び 理 由
15 第1 請求
主文同旨
第2 事案の概要
1 本件は、原告が、氏名不詳者(以下「本件発信者」という。)が、インターネ
ット上のサイトである「Google検索」(以下「本件サイト」という。)に
20 おいて、別紙投稿記事目録記載の広告を表示されるようにしたこと(以下「本件
投稿」といい、同目録記載の標章を「本件標章」という。)により、別紙商標権
目録記載の商標権(以下「本件商標権」といい、本件商標権に係る登録商標を「本
件商標」という。)を侵害したと主張して、被告に対し、特定電気通信役務提供
者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律(以下「プロバイダ
25 責任制限法」という。 5条2項に基づき、
) 別紙発信者情報目録記載の各情報(以
下「本件発信者情報」という。)の開示を求める事案である。
2 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲の各証拠及び弁論の全趣旨に
より認められる事実をいう。なお、証拠を摘示する場合には、特に記載のない限
り、枝番を含むものとする。)
当事者
5 ア 原告は、インターネットのホームページ企画、制作、管理等を目的とする
株式会社である。
イ 被告は、電気通信事業法に定める電気通信事業等を目的とする株式会社で
あり、プロバイダ責任制限法2条3号にいう特定電気通信役務提供者である。
⑵ 本件商標権(甲2、7)
10 原告は、本件商標権を有している。
⑶ 本件投稿等(甲1)
本件サイトにおいては、本件発信者により、別紙投稿記事目録記載の広告が
公開されたところ、これには本件標章が付されていた。そして、同目録記載の
広告のURLのリンク先は、原告とは無関係の通信機器の貸与の役務に関する
15 ウェブサイトである。
⑷ ログイン時IPアドレス等の開示(甲3、4)
原告は、本件訴訟に先立ち、本件サイトの管理者から、本件投稿を設定した
アカウントにログインした際のIPアドレス等の開示を受けたところ、原告が
開示を受けたIPアドレスには、別紙投稿記事目録記載のIPアドレスが含ま
20 れていた。
⑸ 侵害関連通信該当性等
別紙投稿記事目録記載のIPアドレスと接続日時に係る通信は、侵害情報の
送信と相当の関連性を有するものであって、プロバイダ責任制限法5条3項に
いう侵害関連通信(同法施行規則5条2号)に当たり、被告は、同条2項柱書
25 にいう関連電気通信役務提供者に当たる。
⑹ 損害賠償請求等の予定
原告は、本件発信者に対し、損害賠償請求等をすることを予定している。
⑺ 本件発信者情報の保有
被告は、本件発信者情報を保有している。
3 争点
5 本件商標と本件標章との類似性
第3 争点に関する当事者の主張
(原告の主張)
本件商標と本件標章は、いずれも同じアルファベットの並びから成り、2文字以
外については大文字と小文字が同一である。そして、その他の違いは、行数、フォ
10 ント及び色だけであるから、本件商標と本件標章の外観は極めて類似する。
また、本件商標及び本件標章は、文字の並びが同一であって、その称呼は「ブロ
ードワイマックス」であり、同一である。
さらに、「Broad」には、広い、広大な、広範囲の、といった意味があり、
インターネット通信の業界においては、「ブロードバンド」に代表されるように、
15 帯域が広く通信速度が速いというイメージがあるから、
「Broad WiMAX」
からは、速いWiMAX通信であるとの観念が生じる。そうすると、本件商標も本
件標章も、同じ文字の並びであることから、生じる観念は同一である。
したがって、本件商標と本件標章は、外観が類似し、称呼及び観念が同一である
から、類似するということができる。
20 (被告の主張)
本件商標においては、「Broad」と「WiMAX」の部分が2段に分かれて
記載されているのに対して、本件標章においては、1段で記載されている。また、
本件商標と本件標章では書体が全く異なるし、色についても、本件商標は「Bro
ad」と「WiMAX」で異なる色が用いられている一方で、本件標章は一色で構
25 成されている。さらに、本件商標は、「WiMAX」との表記で「MAX」が全て
大文字である一方で、本件標章は、「WiMax」との表記で「ax」が小文字で
ある。そうすると、外観において、本件商標と本件標章は明らかに異なり、一般閲
覧者に与える印象を異にしている。
したがって、本件商標と本件標章は、外観において大きく異なるものであるから、
類似することが明らかであるとはいえない。
5 第4 当裁判所の判断
1 争点(本件商標と本件標章との類似性)について
証拠(甲2、7)及び弁論の全趣旨によれば、本件商標は、水色の「Broa
d」と青色の「WiMAX」を二段で横書きする外観を有し、称呼は「ブロード
ワイマックス」であり、観念は「速いWiMAX通信」をいうものであると認め
10 られる。他方、本件標章は、黒色ないし深紫の「BroadWiMax」を一段
で横書きする外観を有しているところ、本件商標とは、文字の段数、色及びフォ
ントや、文字の一部がアルファベットの大文字であるか小文字であるか(「MA
X」又は「Max」)において異なるものの、本件商標と同一のアルファベット
を並べたものであるから、両者は、その外観において類似すると認めるのが相当
15 であり、本件商標と本件標章の称呼及び観念も同一であることは明らかである。
これらの事情を総合して本件商標及び本件標章を全体的に考察すると、両者が
電気通信に関する指定役務で使用された場合には、当該役務の出所につき誤認混
同を生ずるおそれがあるといえる。
したがって、本件商標と本件標章とは類似するものと認めるのが相当である。
20 2 権利侵害の明白性及び本件発信者情報の開示を受けるべき正当な理由につい
て
前提事実及び前記1によれば、本件投稿によって原告の権利が侵害されたこと
が明らかであると認められる。
また、前提事実のとおり、原告は、本件発信者に対し、損害賠償請求等をする
25 ことを予定していると認められるから、本件発信者情報の開示を受けるべき正当
な理由があると認められる。
第5 結論
よって、原告の請求は理由があるから、これを認容することとして、主文のと
おり判決する。
5 東京地方裁判所民事第40部
裁判長裁判官
10 中 島 基 至
裁判官
15 小 田 誉 太 郎
裁判官
20 國 井 陽 平
(別紙)発信者情報目録
別紙投稿記事目録記載のIPアドレスを同目録記載の接続日時(JST)に使用した契
約者に関する以下の情報
5 1 氏名又は名称
2 住所
3 電話番号
4 メールアドレス
(別紙)投稿記事目録
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標章 BroadWiMax
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ト。
IPアドレス (省略)
接続日時(JST) 2022/03/01 05:48:43
(別紙)商標権目録
商標登録番号 第5470642号
出願日 平成23年6月27日
出願番号 商願2011-47823
登録日 平成24年2月17日
区分の数 1
商標の区分 第38類
指定役務 電気通信(放送を除く。),放送,報道をする者に対
するニュースの供給,電話機・ファクシミリその他の
通信機器の貸与
登録商標
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