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令和5(ワ)5818発信者情報開示請求事件

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裁判所 認容 大阪地方裁判所大阪地方裁判所
裁判年月日 令和5年9月25日
事件種別 民事
当事者 原告株式会社バーチャルエンターテイメント
被告エックスサーバー株式会社
法令 著作権
著作権法32条1項2回
著作権法2条1項1号2回
キーワード 侵害8回
損害賠償3回
主文 1 被告は、原告に対し、別紙発信者情報目録記載の各情報を開示せよ。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
1 請求の趣旨20
2 請求の趣旨に対する答弁
1 請求原因
2 被告は本件口頭弁論期日に出頭しないが、陳述したものとみなされる答弁書に
1 請求原因(1)について
2 請求原因(2)について
3 請求原因(3)について
4 請求原因(4)について
事件の概要 1 請求原因 (1) 特定電気通信による情報の流通によって原告の著作権が侵害されたこと ア 著作物 原告は、アバターを使用して動画配信等を行う者(いわゆる「バーチャ ルユーチューバー」。以下、「VTuber」という。)の育成及びマネージ メント等を行う株式会社である。5 別紙「原告著作物目録」記載のイラスト(以下「本件イラスト」という。) は、原告に所属する女性4名のVTuberのキャラクターが黒と紫の揃 いの衣装を着用し、銃を持って笑顔でポーズをとった様子が描かれ、銃を 扱うゲームのプレイヤーであることなど、キャラクター設定を反映した描 写がされたイラストであるから、「思想または感情を創作的に表現した」10 美術の著作物(著作権法2条1項1号)に該当する。 イ 著作権の帰属 原告は、本件イラストを作成したイラストレーターから本件イラストの著 作権の譲渡を受け、本件イラストの著作権を有している。

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判決文

令和5年9月25日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

令和5年(ワ)第5818号 発信者情報開示請求事件

口頭弁論終結日 令和5年8月24日

判 決

原告 株式会社バーチャルエンターテイメ

ント

同代表者代表取締役

同訴訟代理人弁護士 小林弘和

同訴訟復代理人弁護士 木田飛鳥

同 山下良

被告 エックスサーバー株式会社

同代表者代表取締役

主 文

1 被告は、原告に対し、別紙発信者情報目録記載の各情報を開示せよ。

2 訴訟費用は被告の負担とする。

事 実

第1 当事者の求めた裁判

1 請求の趣旨

主文同旨

2 請求の趣旨に対する答弁

(1) 原告の請求を棄却する。

(2) 訴訟費用は原告の負担とする。

第2 当事者の主張

1 請求原因

(1) 特定電気通信による情報の流通によって原告の著作権が侵害されたこと

ア 著作物

原告は、アバターを使用して動画配信等を行う者(いわゆる「バーチャ

ルユーチューバー」。以下、

「VTuber」という。)の育成及びマネージ

5 メント等を行う株式会社である。

別紙「原告著作物目録」記載のイラスト(以下「本件イラスト」という。)

は、原告に所属する女性4名のVTuberのキャラクターが黒と紫の揃

いの衣装を着用し、銃を持って笑顔でポーズをとった様子が描かれ、銃を

扱うゲームのプレイヤーであることなど、キャラクター設定を反映した描

写がされたイラストであるから、「思想または感情を創作的に表現した」

美術の著作物(著作権法2条1項1号)に該当する。

イ 著作権の帰属

原告は、本件イラストを作成したイラストレーターから本件イラストの著

作権の譲渡を受け、本件イラストの著作権を有している。

ウ 氏名不詳者による投稿

原告は、原告に所属するVTuberの情報を紹介するインターネット

上の短文投稿サービスである「X」

(旧ツイッター)のアカウント「ぶいす

ぽっ!【公式】(以下「原告アカウント」という。

」 )を利用した投稿におい

て、本件イラストを公開していた。

氏名不詳者は、別紙「投稿記事目録」記載の投稿日に、本件イラストの

左右の一部を切り取った画像(同目録「使用画像」欄)を、インターネッ

トサイト上の掲示板「VTuberまとめてみました」

(同目録「投稿サイ

ト名」欄。以下「本件サイト」という。)に投稿した(以下、同投稿を「本

件投稿」といい、本件投稿をした氏名不詳者を「本件発信者」という。。

)

エ 特定電気通信

本件サイトは不特定多数の者に対する受信を目的としているから、本件投

稿は、

「特定電気通信」

(特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び

発信者情報の開示に関する法律(以下「プロバイダ責任法」という。)2条1

号)に該当する。

オ 以上のとおり、本件投稿をもって、

「特定電気通信による情報の流通」によ

5 って本件イラストに関する原告の著作権(複製権、翻案権及び公衆送信権)

が侵害されたといえる。

(2) 被告が「特定電気通信の用に供される特定電気通信設備を用いる特定電気通

信役務提供者」に該当すること

本件サイトを蔵置するサーバーコンピュータは、

「特定電気通信設備」

(プロ

バイダ責任法2条2号)に該当し、被告は、同サーバー領域を管理するレンタ

ルサーバー事業者であるから、

「特定電気通信役務提供者」

(同法5条1項)に

該当する。

(3) 権利侵害が明白であること

本件投稿は、本件イラストと関係のない内容であり、本件イラストを利用す

る必要性も、報道、批評、研究その他正当な目的もうかがえず、明瞭区分性も

欠くから、適法な引用(著作権法32条1項)に当たらず、権利侵害は明白で

ある。

(4) 開示を受けるべき正当な理由があること

原告は、本件発信者に対し、損害賠償請求等を予定しているから、本件発信

者の発信者情報の開示を求める正当な理由がある。

(5) よって、原告は、被告に対し、プロバイダ責任法5条1項の発信者情報開示

請求権に基づき、別紙「発信者情報目録」記載の各情報の開示を求める。

2 被告は本件口頭弁論期日に出頭しないが、陳述したものとみなされる答弁書に

は、請求原因に対する認否につき、次の記載がある。

(1) 請求原因(1)について

請求原因ウ 及びエは認め、同ア 及びイは不知。

その余は、否認ないし争う。

(2) 請求原因(2)について

認める。

(3) 請求原因(3)及び(4)について

5 いずれも争う。

理 由

第1 認定事実等

1 請求原因(1)について

(1) 同ア(著作物性)について

ア 証拠(甲1)及び弁論の全趣旨によれば、同ア の事実が認められる。

イ 証拠(甲4)によれば、本件イラストに同ア 記載の描写がされているこ

とが認められ、その内容に照らせば、本件イラストは「思想または感情を創

作的に表現した」「美術の著作物」(著作権法2条1項1号)に該当すると

認められる。

(2) 同イ(著作権の帰属)について

証拠(甲4ないし6。枝番を含む。)及び弁論の全趣旨によれば、本件イラ

ストが遅くとも令和2年7月21日までにイラストレーターである「P1」

(ペ

ンネーム)によって作成された事実、及び、令和5年4月11日付け業務委託

基本契約(なお、同契約は令和2年4月1日にさかのぼって効力を有するとさ

れている〔契約書10条1項〕。)に基づき、本件イラストの著作権がその発

生と同時に原告に移転した事実がそれぞれ認められる。

(3) 同ウ(氏名不詳者による投稿)について

ア 証拠(甲7)によれば、同ウ の事実が認められる。

イ 同ウ は、当事者間に争いがない。

(4) 同エ(特定電気通信)について

同エは、当事者間に争いがない。

(5) 同オについて

上記(1)ないし(4)を前提に著作権侵害が成立するかについて検討すると、本

件投稿に係る画像が本件イラストの左右の一部を切り取った画像であって、本

件イラストを一部変更したものであるが、投稿画像に新たな創作的表現が含ま

5 れているとはいえない。そうすると、本件サイトに対する本件投稿によって、

「特定電気通信による情報の流通に」よって、原告の本件イラストに係る複製

権及び公衆送信権が侵害された(プロバイダ責任法5条1項柱書)と認められ

る(なお、翻案権侵害の成立を認めることはできない。)。

2 請求原因(2)について

請求原因(2)は、当事者間に争いがない。

3 請求原因(3)について

上記1のとおりの本件イラストの使用態様のほか、本件の証拠による限りは、

本件投稿における本件イラストの使用は適法な引用(著作権法32条1項)に当

たらないものと認められ、権利侵害の明白性(プロバイダ責任法5条1項1号)

があるといえる。

4 請求原因(4)について

上記認定及び弁論の全趣旨によれば、本件発信者に対する損害賠償請求等を予

定する原告において、本件発信者情報開示を求める正当な理由(同法5条1項2

号)があると認められる。

第2 結論

以上によれば、原告の請求は理由があるからこれを認容し、主文のとおり判決

する。

大阪地方裁判所第26民事部

裁判長裁判官

松 阿 彌 隆

裁判官

島 田 美 喜 子

裁判官

峯 健 一 郎

※別紙原告著作物目録及び別紙投稿記事目録は添付省略

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