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令和5(行ケ)10011審決取消請求事件

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裁判所 請求棄却 知的財産高等裁判所知的財産高等裁判所
裁判年月日 令和5年12月5日
事件種別 民事
当事者 原告X
被告特許庁長官
対象物 携帯端末の遠隔操作用デバイス
法令 特許権
特許法29条2項1回
キーワード 審決24回
実施12回
拒絶査定不服審判1回
優先権1回
主文 1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事件の概要 1 特許庁における手続の経過等(当事者間に争いがない) (1) 原告は、発明の名称を「携帯端末の遠隔操作用デバイス」とする発明に ついて、平成31年4月16日(優先権主張:平成30年4月23日)を国25 際出願日とする特許出願(特願2020-516252号、請求項の数4、 甲4)をしたものの、令和3年6月25日付けで拒絶査定を受けた(同年7 月6日謄本送達)。 (2) 原告は、令和3年10月4日、拒絶査定不服審判を請求するとともに、 手続補正書を提出したところ、特許庁は、同請求を不服2021-1338 4号として審理した上、令和4年12月20日、「本件審判の請求は、成り5 立たない。」との審決(本件審決)をし、その謄本は令和5年1月10日に 原告に送達された。 (3) 原告は、令和5年2月9日、本件審決の取消しを求める本件訴訟を提起 した。

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判決文

令和5年12月5日判決言渡

令和5年(行ケ)第10011号 審決取消請求事件

口頭弁論終結日 令和5年10月26日

判 決

原 告 X

同訴訟代理人弁理士 谷 水 浩 一

同 本 間 憲 之

被 告 特 許 庁 長 官

同 指 定 代 理 人 野 崎 大 進

同 宮 下 誠

同 山 澤 宏

同 綾 郁 奈 子

主 文

1 原告の請求を棄却する。

2 訴訟費用は原告の負担とする。

事 実 及 び 理 由

第1 請求

特許庁が不服2021-13384号事件について令和4年12月20日にした審決を取り消す。

第2 事案の概要

1 特許庁における手続の経過等(当事者間に争いがない)

(1) 原告は、発明の名称を「携帯端末の遠隔操作用デバイス」とする発明について、平成31年4月16日(優先権主張:平成30年4月23日)を国際出願日とする特許出願(特願2020-516252号、請求項の数4、甲4)をしたものの、令和3年6月25日付けで拒絶査定を受けた(同年7月6日謄本送達)。

(2) 原告は、令和3年10月4日、拒絶査定不服審判を請求するとともに、手続補正書を提出したところ、特許庁は、同請求を不服2021-1338

5 4号として審理した上、令和4年12月20日、「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決(本件審決)をし、その謄本は令和5年1月10日に原告に送達された。

(3) 原告は、令和5年2月9日、本件審決の取消しを求める本件訴訟を提起した。2 本願発明の概要

(1) 特許請求の範囲の記載上記1(2)の手続補正書によって補正された本願の特許請求の範囲の請求項1の記載は、以下のとおりである(以下、同記載事項により特定される発明を「本願発明1」という。 。)【請求項1】携帯端末を遠隔で操作するためのデバイスであって、前記デバイスは、ユーザーによるタッチ操作の情報を送信する操作デバイス(A)と、前記情報を携帯端末のタッチパネルに直接入力操作を行う入力デバイス(B)とを備え、前記操作デバイス(A)は、ユーザーによるタッチ操作を検知するタッチパネルと、ユーザーによる前記タッチパネルのタッチ位置の座標情報を前記入力デバイス(B)に無線信号で送信する無線送信手段と、前記携帯端末に表示されている映像(カメラにより撮影された映像を除く)を表示する表示部とを有し、前記入力デバイス(B)は、前記操作デバイスの前記無線送信手段から送信された前記座標情報に基づき、該座標情報に対応する前記携帯端末のタッチパネル上の位置をユーザーがタッチ操作したと判定する操作判定手段と、前記操作判定手段によってユーザーがタッチ操作したと判定された前記携帯端末のタッチパネル上の位置で、前記タッチパネルに直接入力操作を実行

5 する操作実行手段と、を有し、前記操作デバイス(A)は、携帯可能であることを特徴とする、携帯端末遠隔操作用デバイス。

(2) 本願明細書の記載等本願に係る明細書(以下「本願明細書」という。甲4)及び図面の抜粋を、別紙「本願明細書の記載等(抜粋)」に掲げる。これによれば、本願発明1について次のとおりの事項が開示されているものと認められる。ア 本発明は、携帯端末の遠隔操作用デバイス、及び、遠隔操作用デバイスを用いて携帯端末を遠隔操作する方法に関するものである(【0001】 。)イ 従来、スマートフォンやタブレット型端末などの携帯端末は、腕時計型のデバイスなどの遠隔操作デバイスを用いて遠隔で操作が行えることが知られていた(【0002】 。)しかしながら、従来携帯端末を遠隔で操作するデバイスとしては、操作デバイスからの信号を携帯端末に送信し、直接携帯端末を操作するといった遠隔操作方法であって、特定の携帯端末とそれと互換性を備える特定の操作デバイスを用いなければ遠隔で操作を行うことができず、携帯端末と操作デバイスが限定されるという課題が存在する(【0005】 。)ウ 本発明は、ユーザーがタッチした情報を無線で送信する操作デバイスと、前記操作デバイスから送信された情報を携帯端末のタッチパネルに直接入力する入力デバイスとを備える携帯端末遠隔操作用デバイスにより、上記の課題を解決するものである(【0006】 。)具体的には、前記操作デバイスは、ユーザーによるタッチ操作を検知するタッチパネルと、ユーザーによる前記タッチパネルのタッチ位置の座標情報を前記入力デバイスに無線信号で送信する無線送信手段とを有し、前記入力デバイス(B)は、前記操作デバイスの前記無線送信手段

5 から送信された前記座標情報に基づき、該座標情報に対応する前記携帯端末のタッチパネル上の位置をユーザーがタッチ操作したと判定する操作判定手段と、前記操作判定手段によってユーザーがタッチ操作したと判定された前記携帯端末のタッチパネル上の位置で、前記タッチパネルに直接入力操作を実行する操作実行手段と、を有するものである(【0007】 。)エ 本発明によれば、特定の携帯端末とそれと互換性を備える特定の操作デバイスを用いなくとも遠隔で操作を行うことができ、携帯端末と操作デバイスを限定することなく遠隔で操作を行うことができる携帯端末遠隔操作用デバイスを提供することができる(【0011】 。)3 本件審決の理由の要旨本件審決は、下記(1)アの引用文献1を主引用例として、本願発明1と引用発明(引用文献1記載の発明をいう。以下同じ。)について、下記(2)の一致点及び相違点1~3を認定した上で、本願発明1は、引用発明及び下記(1)イ、ウの引用文献2、3に記載された周知事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができないとした。その容易想到性に係る判断内容は、別紙「本件審決の容易想到性の判断の要旨」記載のとおりである。

(1) 引用文献(いずれも本願の優先日前に日本国内において頒布されたもの)ア 引用文献1:特開2012-003374号公報(甲1)イ 引用文献2:特開2014-187491号公報(周知例)(甲2)ウ 引用文献3:大渕徹之他、旅行用ナビゲーション機器の開発と観光での利用事例、情報処理学会デジタルプラクティス、Vol.3、No.4、一般社団法人情報処理学会、2012年10月15日、PP.246-253(周知例)(甲3)

(2) 本願発明1と引用発明の一致点及び相違点

5 【一致点】携帯端末を遠隔で操作するためのデバイスであって、前記デバイスは、ユーザーによるタッチ操作の情報を送信する操作デバイス(A)と、前記情報を携帯端末のタッチパネルに直接入力操作を行う入力デバイス(B)とを備え、前記操作デバイス(A)は、ユーザーによるタッチ操作を検知するタッチパネルと、ユーザーによる前記タッチパネルのタッチ位置の座標情報を前記入力デバイス(B)に送信する送信手段と、前記携帯端末に表示されている映像を表示する表示部とを有し、前記入力デバイス(B)は、前記操作デバイスの前記送信手段から送信された前記座標情報に基づき、該座標情報に対応する前記携帯端末のタッチパネル上の位置をユーザーがタッチ操作したと判定する操作判定手段と、前記操作判定手段によってユーザーがタッチ操作したと判定された前記携帯端末のタッチパネル上の位置で、前記タッチパネルに直接入力操作を実行する操作実行手段と、を有する、携帯端末遠隔操作用デバイス。【相違点1】本願発明1の「ユーザーによる前記タッチパネルのタッチ位置の座標情報を前記入力デバイス(B)に」「送信する」「送信手段」は、無線信号で送信しているのに対し、引用発明の「送信手段」は、「ユーザーによる前記タッチパネルのタッチ位置の座標情報を前記入力デバイス(B)に」対して、どのように送信しているのか特定されていない点。【相違点2】本願発明1の「表示部」は、「携帯端末に表示されている映像」を取得し

5 て表示する際に、「カメラにより撮影された映像を除く」と特定されているのに対して、引用発明の「表示部」は、「携帯端末に表示されている映像」をカメラにより撮影して取得して表示している点。【相違点3】本願発明1の「操作デバイス(A)は、携帯可能である」のに対して、引用発明の「操作デバイス(A)」は、車載装置である点。4 審決の取消事由本件において、本願発明1と引用発明の一致点及び相違点1~3の認定に争いはなく、以下の点が争われている。

(1) 取消事由1(相違点1についての判断の誤り)

(2) 取消事由2(相違点2についての判断の誤り)

(3) 取消事由3(相違点3についての判断の誤り)

(4) 取消事由4(予測できない顕著な効果の看過)

第3 当事者の主張

別紙「審決の取消事由に関する当事者の主張」に記載のとおりである。

第4 当裁判所の判断

1 取消事由1(相違点1についての判断の誤り)について

(1) 原告は、相違点1(引用発明では無線送信であることが特定されていない点)に関し、引用発明の実施例としての図面には、操作デバイスと入力デバイスを有線で接続する形態しか開示がないから、本願発明1のように無線にする動機がないと主張する。この点、確かに、引用発明に係る引用文献1(甲1)図3には、原告が主張するように、操作デバイス250と入力デバイス110を有線で接続する態様が開示されている。しかし、特別な技術的要請がない限り、送信手段として有線通信又は無線通信のいずれを選択するかは、当業者が適宜選択すべき設計的事項にすぎないと解される。そして、携帯端末に表示されている映

5 像を操作装置側に表示する手段に関しては、引用文献1の図3には、撮像部252と操作装置210の本体212を有線で接続する態様が図示されるものの、図2及び図3について説明する段落【0023】には、「撮像部252は、操作装置210の本体212と有線または無線で接続されている。」と記載されており、携帯端末110(入力デバイスでもある。)に設置される撮像部と操作装置本体との間の通信については、有線通信又は無線通信のいずれで行うこともできることが開示されている。また、引用文献 1 において、操作デバイス250と入力デバイス110の接続を有線での態様に限定することを示唆する記載もない。そうすると、引用発明において、あえて有線通信だけを選択すべき特別な技術的要請があるとは考えられず、装置タッチパネル260の接触位置の情報を疑似操作入力部450(本願発明1の「入力デバイス(B)」に相当)に無線信号で送信する構成とすること、すなわち、相違点1に係る構成とすることは、当業者が適宜なし得たことであるといえる。

(2) また、原告は、自動車の配線はダッシュボード内に隠ぺいすることができるから、「配線の存在が自動車の運転操作の障害」となることを避けるために、あえて無線送信とする動機はないとも主張する。しかしながら、無線通信により配線が不要となることで機器の配置や扱いが容易となり利便性が向上することは周知の作用効果であり、当該作用効果は通信距離の長短によらず期待できる効果であるから、引用発明において無線送信とすることにも動機があるといえる。

(3) よって、原告の取消事由1に関する主張はいずれも採用できず、本件審決の相違点1に関する判断に誤りはない。

2 取消事由2(相違点2についての判断の誤り)について(1) 原告は、相違点2(引用発明は表示されている映像がカメラで撮影されている点)に関し、引用発明において端末表示部の表示画面の「撮像」は必

5 須の構成であり、これを置き換える動機がないと主張する。しかし、引用文献1(甲1)の記載上、引用発明において「撮像」、すなわちカメラで映像を撮影することが必須の構成であることを示唆する記載は見当たらない。また、本件審決が引用する引用文献2(甲2)及び被告が本件訴訟において追加した周知例(乙1、2)によれば、本願の優先日当時、無線通信を用いてスマートフォンなどの携帯端末の画面に表示された画像を別の装置の画面に表示する技術である miracast は、android4.2 の標準規格としてスマートフォンにおいて広く用いられている技術であり、スマートフォンの画面を miracast で車載モニタやカーナビゲーション装置の画面に出力することも、普通に行われていたことが認められる。そして、引用発明における「撮像部252」の意義は、「撮像部252が撮像した携帯端末110の表示画面をそのまま装置表示部258に表示することで、ユーザに携帯端末110の表示画面をそのまま認識させることができる。 (甲1【0081】」 )ことであり、「携帯端末110の表示画面をそのまま装置表示部258に表示する」機能、すなわち「ユーザに携帯端末110の表示画面をそのまま認識させる」作用という点では、「撮像部252」と miracast 等の上記技術は共通するものといえる。そうすると、引用発明において「撮像部252」に代えて miracast 等の周知技術を用いることで、「携帯端末に表示されている映像(カメラにより撮影された映像を除く)を表示する表示部(22)」を備えた構成とすること、すなわち、相違点2に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たことであるといえる。(2) また、原告は、相違点2に関し、引用発明は互換性をもたらす構成として撮像部を利用しており、無線通信方式の規格に制約がある miracast 等に代替する動機付けはないと主張する。

5 しかしながら、引用発明における互換性の問題とは、外部から入力される情報に基づいてアプリケーション等を実行する機能が携帯端末110に予め備わっていないことがあることにより生じるものであり(甲1【0064】 、携帯端末110の表示画面をそのまま装置表示部258に表示すると)き(いわゆる画面ミラーリング時)の互換性の問題ではないから、miracast 等に無線通信方式の規格における制約があることが、引用発明の上記互換性を阻害するものではない。原告が指摘する miracast 等における無線通信方式の規格の制約とは、結局のところ、画面ミラーリング時におけるデバイスの互換性の範囲をどこまでとするかという設計事項の問題であって、阻害要因になるということはできない。(3) よって、原告の取消事由2に関する主張も採用できない。

3 取消事由3(相違点3についての判断の誤り)について(1) 原告は、相違点3(引用発明の操作デバイスは車載装置である点)に関し、引用発明は、自動車の「車載器」であるカーナビと携帯端末を接続し、スピーカなどの設備を利用して携帯端末の音楽コンテンツを楽しむことを可能とする発明であるから、カーナビが車載器であることが前提になっているとして、携帯可能な本願発明1の操作デバイス(A)のように、車両から取り外して持ち運び可能なPND操作装置とすることが当業者にとって容易想到であったとはいえないと主張する。(2) しかし、そもそも引用文献1(甲1)の段落【0066】には、「携帯端末110のアプリケーションの機能を実行させることのできる操作装置410」との記載があり、携帯端末110のアプリケーションが音楽等のコンテンツに限らないことが明らかである。また、同段落【0088】には、「また、操作装置210、410が車載装置であることは、一例であり、これに限らない。」と記載されているから、引用文献1(甲1)で実施形態として記載されているのが車載装置のみであって、本件審決がこれを引用発明

5 として認定しているとしても、当業者であれば、車載装置に限らず周知の携帯可能な装置に適用した実施形態を想起することは普通になし得たことである。そして、カーナビゲーションシステムの技術分野において、持ち運び可能なPND(Portable Navigation Device)型が車載型とともに周知であるから(本件審決の引用文献3、甲3)、引用発明の「操作装置210、410」として上記周知のPNDを選択し、「操作デバイス(A)は、携帯可能である」との構成とすること、すなわち、相違点3に係る構成とすることも、適宜なし得たことであるといえる。(3) よって、原告の取消事由3に関する主張も採用できない。

4 取消事由4(予測できない顕著な効果の看過)について(1) 原告は、本願発明1の効果として、①操作デバイス(A)及び入力デバイス(B)を携帯することにより、携帯端末自体をカバンの中や安全なところに置いておいて、操作デバイス(A)でどこでも携帯端末を操作することができる、②入力デバイス(B)を取り付けた携帯端末を複数用意することにより、1つの操作デバイス(A)で、複数の携帯端末の画面を切り替えて使用することができるといった顕著な効果が期待できると主張する。(2) しかしながら、①については、引用発明の効果は、「ユーザに、あたかも携帯端末110を直接操作しているような遠隔操作をさせることが可能となる」こと(引用文献1〔甲1〕【0081】 、及び、) 「携帯端末の操作性を操作装置側で再現することで、より良い操作性と利便性の向上を図ることが可能となる」こと(同【0010】)であるところ、引用発明において操作装置を携帯可能とすれば(上記3(2)参照)、入力デバイス(B)を取り付けた携帯端末自体をカバンの中や安全なところに置き、操作デバイス(A)のみを持ち歩いてどこでも携帯端末を操作することができることは、当業者の予測の範囲を超える効果とはいえない。(3) また、上記②については、入力デバイス(B)を取り付けた携帯端末を

5 複数用意することにより、複数の携帯端末の画面を切り替えて使用するとの事項は、本願明細書には説明されていない事項であるから、上記「画面を切り替えて使用することができる」との効果は、本願発明1の効果とはいえない。

(4) よって、取消事由4に関する原告の主張も採用し得ない。

5 結論以上のとおり、原告主張の取消事由はいずれも理由がなく、本件審決にこれを取り消すべき違法は認められない。よって、原告の請求を棄却することとして、主文のとおり判決する。

知的財産高等裁判所第4部

裁判長裁判官

宮 坂 昌 利

裁判官

岩 井 直 幸

裁判官

頼 晋 一

別紙

本願明細書の記載等(抜粋)【発明の詳細な説明】【技術分野】

5 【0001】本発明は、携帯端末の遠隔操作用デバイス、及び、遠隔操作用デバイスを用いて携帯端末を遠隔操作する方法に関する。【背景技術】【0002】近年、スマートフォンやタブレット型端末などの携帯端末は、電話、ゲーム、読書などに用いられる身近な機器として、幅広い業種、年代の方々に使用されている。そして、前記携帯端末は、腕時計型のデバイスなどの遠隔操作デバイスを用いて遠隔で操作が行えることも知られている。【発明の概要】【発明が解決しようとする課題】【0005】しかしながら、従来携帯端末を遠隔で操作するデバイスとしては、操作デバイスからの信号を携帯端末に送信し、直接携帯端末を操作するといった遠隔操作方法であって、特定の携帯端末とそれと互換性を備える特定の操作デバイスを用いなければ遠隔で操作を行うことができず、携帯端末と操作デバイスが限定されるという課題が存在する。【課題を解決するための手段】【0006】本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、ユーザーがタッチした情報を無線で送信する操作デバイスと、前記操作デバイスから送信された情報を携帯端末のタッチパネルに直接入力する入力デバイスとを備える携帯端末遠隔操作用デバイスが、上記の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は携帯端末遠隔操作用デバイス及び遠隔操作方法である。【0007】上記課題を解決するための本発明の携帯端末遠隔操作用デバイスは、ユーザーに5 よるタッチ操作の情報を送信する操作デバイス(A)と、前記情報を携帯端末のタッチパネルに直接入力する入力デバイス(B)とを備え、前記操作デバイス(A)は、ユーザーによるタッチ操作を検知するタッチパネルと、ユーザーによる前記タッチパネルのタッチ位置の座標情報を前記入力デバイス(B)に無線信号で送信する無線送信手段とを有し、前記入力デバイス(B)は、前記操作デバイスの前記無線送信手段から送信された前記座標情報に基づき、該座標情報に対応する前記携帯端末のタッチパネル上の位置をユーザーがタッチ操作したと判定する操作判定手段と、前記操作判定手段によってユーザーがタッチ操作したと判定された前記携帯端末のタッチパネル上の位置で、前記タッチパネルに直接入力操作を実行する操作実行手段と、を有することを特徴とする。この特徴によれば、特定の携帯端末とそれと互換性を備える特定の操作デバイスを用いなくとも遠隔で操作を行うことができ、携帯端末と操作デバイスを限定することなく遠隔で操作を行うことができるという効果を有する。【発明の効果】【0011】本発明によれば、特定の携帯端末とそれと互換性を備える特定の操作デバイスを用いなくとも遠隔で操作を行うことができ、携帯端末と操作デバイスを限定することなく遠隔で操作を行うことができる携帯端末遠隔操作用デバイスを提供することができる。【図面の簡単な説明】【0014】[携帯端末遠隔操作用デバイス]まず、本発明の携帯端末遠隔操作用デバイスについて、図1~4を用いて具体的5 に説明する。本発明の携帯端末遠隔操作用デバイスは、入力デバイス(B)を携帯端末のタッチパネル上に設置して、携帯端末を遠隔操作するものである。図1は、携帯端末1のタッチパネル2上に、携帯端末遠隔操作用デバイスの入力デバイス10を設置した、入力デバイス10が設置された携帯端末100の概略図である。ここで、携帯端末1のタッチパネル2上に入力デバイス10を設置する方法としては、直接携帯端末1のタッチパネル2上に設置してもよく、また、粘着剤等を介して設置してもよい。ここで、携帯端末とは、スマートフォン、タブレット型パソコン、携帯型ゲーム機、置き型ゲーム機の携帯できる部分、携帯型音楽プレーヤーを含み、さらに、タッチパネルを有するノート型パソコンなどを含む。【0016】<操作デバイス(A)>操作デバイス20は、図3に示すように、映像を表示する表示部22と、無線通信部23と、メインマイコン24とを備える。操作デバイス(A)は、操作キーとして機能するタッチパネル21を有する。タッチパネル21は、表示部22の画面上を覆うように配設され、ユーザーによるタッチ操作を検知する。ユーザーによるタッチ操作は、指に限定されず、ペン式の操作部材等を用いることもできる。タッチパネルとしては、抵抗膜式、静電容量式、超音波方式、赤外線方式、電磁誘導方式等のものを用いることが可能である。【0017】表示部22には、入力デバイス10から送信された映像信号に基づく映像を表示してもよい。入力デバイス10から送信される映像信号は、携帯端末が表示している映像と同一の映像である。なお、表示部22には、入力デバイス10から送信さ5 れた映像信号に基づく映像を表示しないように設定することもできる。入力デバイス10から送信された映像信号に基づく映像を表示しない場合は、ユーザーが別個に設定した映像を表示することもできる。表示部22としては、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイを用いることができる。【0018】無線通信部23は、入力デバイス10と無線信号の送受信を行う。無線信号の媒体としては、電波や赤外線、及び、超音波が挙げられるが、中でも赤外線で無線通信を行うことが好ましく、Bluetooth 規格に従って送受信を行うことが好ましい。」【0023】メインマイコン12は、入力デバイス10の各部を制御する。具体的には例えば、メインマイコン12は、インタフェース13を通じて、携帯端末1に表示されている映像を受信する。また、メインマイコン12は、無線通信部11を用いて、操作デバイス20の表示部22に表示する映像(携帯端末1に表示されている映像)を、操作デバイス20に無線信号で送信する。次いで、メインマイコン12は、携帯端末1のタッチパネルの座標位置と、操作デバイス20のタッチパネルの座標位置とを一致させるコントローラとしても働く。さらに、メインマイコン12は、無線通信部11を用いて、操作デバイス20から座標情報を受信する。そして、メインマイコン12は、操作デバイス20から送信された座標情報に基づき、座標情報に対応する携帯端末のタッチパネル上の位置をユーザーがタッチ操作したと判定し、この判定によってユーザーがタッチ操作したと判定されたタッチパネル上の位置に対応した操作を実行する。【0024】次に、入力デバイス(A)による携帯端末への操作実行手段について説明する。本発明の入力デバイス(A)は、タッチパネルを有する携帯端末上に設置して、前記携帯端末のタッチパネルに対して、直接入力操作を実行するものである。5 本発明の入力デバイス(A)において、操作実行手段としては、携帯端末が備えるタッチパネルの方式によって適宜設定することができる。【0025】例えば、抵抗膜式のタッチパネルを有する携帯端末に対して操作を実行する場合は、物理的に携帯端末のタッチパネルを押圧する手段が好ましい。物理的に携帯端末のタッチパネルを押圧する手段としては、アクチュエータのように入力されたエネルギーを物理的運動に変換する手段が好ましく、導電性高分子等の導電性材料を用いたアクチュエータであればより好ましい。【0031】操作デバイス20の表示部には、入力デバイス10を通じて、携帯端末に表示された画面と同じ画面が映し出されている。ユーザーが、操作デバイス20のある位置Xを指でタッチ操作する(O1)。これにより、操作デバイス20のメインマイコン24は、無線通信部23を用いて、ユーザーの指によるタッチ位置Xの座標情報を入力デバイス10に無線信号で送信する(O2)。【0032】そして、入力デバイス10のメインマイコン12は、無線通信部11を用いて、操作デバイス20から送信された座標情報を受信し(O3)、操作デバイス20から受信した座標情報に対応する携帯端末のタッチパネル上の位置をユーザーがタッチ操作したと判定する(O4)。【0033】そして、入力デバイス10のメインマイコン12は、操作デバイス20でタッチされた位置を携帯端末上のタッチパネルに対して入力を実行する(O5)。前記実行操作の結果、携帯端末は、入力された操作を出力するものである(O6)。

別紙

引用文献1の記載の抜粋【技術分野】【0001】5 本発明は、携帯端末を操作することが可能な操作装置および操作方法に関する。【背景技術】【0002】近年、ハードディスクや半導体メモリ等の小型化、高密度化により、大量の音楽データや映像データを保持しうる、携帯性を有する携帯端末が広く普及しており、この携帯端末を、例えば車載装置に接続し、携帯端末に含まれる音楽や映像といったコンテンツを車載装置のスピーカを通じて出力できるものもある。こうすることで、携帯端末のコンテンツを乗車中にも楽しむことができる。【0003】また、制御線を介して、外部の操作装置からこのような携帯端末を直接制御することもできるが、互換性のある機能しか利用できないため、携帯端末が有する全てのアプリケーションを車載装置から自由に制御することはできない。【0004】また、このような携帯端末では、ユーザや、第三者が作成したアプリケーションをダウンロードしたりして使用することができるものもあるが、携帯端末のメーカが作成したものではないこれらのアプリケーションは、車載装置から遠隔操作できるように構成されていない場合も多い。したがって、外部の操作装置を介して携帯端末を操作する場合は、携帯端末を直接操作する場合と同等の操作をすることはできなかった。【発明の概要】【発明が解決しようとする課題】【0007】ところで、近年、携帯端末は、表示面が大きく形成されており、ユーザは、その表示面に設けられたタッチパネルを操作することで、快適な操作を行うことができる。しかしながら、従来の操作装置では、使い勝手等が綿密に計算された携帯端末のユーザインターフェースを直接操作するような高い操作性を得ることはできな5 かった。【0008】そこで、本発明は、このような課題に鑑み、携帯端末の操作性を操作装置側で再現することで、より良い操作性と利便性を有する操作装置および操作方法を提供することを目的としている。【発明の効果】【0010】本発明の操作装置および操作方法によれば、携帯端末の操作性を操作装置側で再現することで、より良い操作性と利便性の向上を図ることが可能となる。」【0019】そして、携帯端末110上で再生された音楽コンテンツの音声信号は、端末通信部116を通じて操作装置210に送信される。操作装置210は、音楽コンテンツの音声信号を受信して、操作装置210のスピーカまたは操作装置210に接続されたスピーカを通じて出力する。こうして、ユーザは、操作装置210を操作することで、携帯端末110に含まれる音楽コンテンツを楽しむことが可能となる。【0021】(操作装置210)図2は、第1の実施形態にかかる操作装置210の概略的な機能を示した機能ブロック図であり、図3は、操作装置210の使用形態を説明するための説明図である。図2に示すように、操作装置210は、操作部250と、撮像部252と、撮像制御部254と、表示制御部256と、装置表示部258と、装置タッチパネル260と、装置メモリ262と、位置変換部264と、送信部266と、データ通信部268と、スピーカ270とを含んで構成される。【0022】操作部250は、操作キー、十字キー、ジョイスティック等のスイッチから構成され、ユーザの操作入力を受け付ける。ユーザによる、操作部250への操作入5 力や、装置タッチパネル260への操作入力に応じて、操作装置210の操作モードは、操作装置210自体を操作する通常モードと、携帯端末110を遠隔操作する遠隔モードとに切り換えられる。本実施形態では、特に遠隔モードについて言及する。なお、通常モードを有さずに、常に遠隔モードで動作するような操作装置210にしてもよい。【0023】撮像部252は、操作装置210の本体212と有線または無線で接続されている。また、撮像部252は、撮像レンズを通じて入射した光を電気信号に光電変換する撮像素子等を含んで構成され、携帯端末110の端末表示部112の表示画面を撮像し、その表示画面を含む画像の画面データを生成する。【0024】撮像制御部254は、ユーザによる操作部250や装置タッチパネル260への操作入力に応じて、撮像部252の撮像範囲や倍率を変更(調整)する。【0025】表示制御部256は、操作モードが遠隔モードである場合、撮像部252が撮像した、端末表示部112の表示画面を含む画像と、装置タッチパネル260の対応検知範囲を示す指標とを重畳して装置表示部258に表示させる。【0063】(第2の実施形態:操作装置410)上述した第1の実施形態では、ユーザによる装置タッチパネル260への操作入力があると、その操作入力が行われた位置に対応する、端末タッチパネル114上の位置である対応位置を示す対応位置情報を、携帯端末110にデータ通信部268を通じて送信することで、携帯端末110に、対応位置情報に基づいてアプリケーションの機能を実行させることができる操作装置210について説明した。【0064】しかし、互換性がないアプリケーションもあるため、アプリケーションによって5 は、対応位置情報に基づいて機能を実行できないものもある。また、近年の携帯端末 1 1 0 は 、 携 帯 端 末 1 1 0 の メ ー カ が 準 備 し て い る A P I ( ApplicationProgramming Interface)等のインターフェースを利用して、ユーザが個々に作成したアプリケーションや、第三者が作成したアプリケーションをダウンロードしたりして使用できるものもある。このような、携帯端末のメーカが作成したものではないアプリケーションは、操作装置から遠隔操作できるように構成されているという保証はない。【0065】また、たとえ、アプリケーションが遠隔操作できたとしても、許容される処理には限界があり、携帯端末110における利便性の高い処理(タッチパネルを通じたユーザインターフェース)を操作装置210で実現できないことがある。さらに、将来的に携帯端末110の利便性と同等の高い処理がデータ通信部268を通じて可能になったとしても、複雑なプログラミングや仕様変更によるプログラム変更を余儀なくされる。【0066】そこで、本実施形態では、操作装置410によって擬似的に携帯端末110を操作することで、外部から入力される情報(操作装置210から送信される対応位置情報)に基づいてアプリケーション等を実行する機能が携帯端末110に予め備わっていない場合であっても、確実に携帯端末110のアプリケーションの機能を実行させることのできる操作装置410について説明する。【0067】図9は、第2の実施形態にかかる操作装置410の概略的な機能を示した機能ブロック図である。図9に示すように、操作装置410は、操作部250と、撮像部252と、撮像制御部254と、表示制御部256と、装置表示部258と、装置タッチパネル260と、装置メモリ262と、位置変換部264と、疑似操作入力部450と、データ通信部268と、スピーカ270とを含んで構成される。第5 1の実施形態における構成要素として既に述べた操作部250、撮像部252、撮像制御部254、表示制御部256、装置表示部258、装置タッチパネル260、装置メモリ262、位置変換部264、データ通信部268、スピーカ270は、実質的に機能が同一なので重複説明を省略し、ここでは、構成が相違する疑似操作入力部450を主に説明する。【0068】疑似操作入力部450は、位置変換部264が算出した対応位置に操作入力を行う。【0081】以上説明したように、本実施形態にかかる操作装置410は、撮像部252が撮像した携帯端末110の表示画面をそのまま装置表示部258に表示することで、ユーザに携帯端末110の表示画面をそのまま認識させることができる。また、疑似操作入力部450を備える構成により、ユーザが操作装置410の装置タッチパネル260を接触すると、接触位置に対応する、端末タッチパネル114上の位置である対応位置に操作入力を行うので、外部から入力される情報(対応位置情報)に基づいてアプリケーション等を実行する機能が携帯端末110に予め備わっていない場合においても、ユーザに、あたかも携帯端末110を直接操作しているような遠隔操作をさせることが可能となる。【0088】なお、本明細書の操作方法の各工程は、必ずしもフローチャートとして記載された順序に沿って時系列に処理する必要はなく、並列的あるいはサブルーチンによる処理を含んでもよい。また、操作装置210、410が車載装置であることは、一例であり、これに限らない。また、本発明は操作装置の機能をコンピュータに実現させるためのプログラムを含むものである。これらのプログラムは、記録媒体から読み取られてコンピュータに取り込まれてもよいし、通信ネットワークを介して伝送されてコンピュータに取り込まれてもよい。【図1】

別紙

本件審決の容易想到性の判断の要旨1 相違点1について引用発明において撮像部252と疑似操作入力部450とは、いずれも、携5 帯端末110の端末タッチパネル114に重ねて配置するように設置されて用いられるものであるから、疑似操作入力部450も、撮像部252と同様に、無線で接続されている構成とし、「送信手段」を「無線信号で送信する無線送信手段」とする本願発明1の相違点1に係る構成とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。2 相違点2についてスマートフォンなどの携帯端末の技術分野において、携帯端末の画面に表示された画像を無線出力により、外部のテレビ等に出力するための技術(標準規格)として、Wi-Fi Alliance において規定された miracast(ミラキャスト)や、DLNA(Digital Living Network Alliance)において規定されたDLNA通信などが、本願優先日前に周知の技術である(引用文献2)。したがって、引用発明において上記周知の技術を採用し、カメラで携帯端末の画面を撮像する構成に代えて、携帯端末の画面に表示された画像を無線通信により取得して表示する構成とし、本願発明1の相違点2に係る「携帯端末に表示されている映像(カメラにより撮影された映像を除く)を表示する表示部」とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。3 相違点3について引用発明において「カーナビゲーションシステム等の車載装置」は、「操作装置210」の一例にすぎないから、「操作装置210」として携帯可能な装置とすることは、当業者が容易に想到し得たものである。また、本願優先日前に、カーナビゲーションシステムの技術分野では、車載型 の も の と 、 車 両 か ら 取 り 外 し て 持 ち 運 び 可 能 な P N D ( PortableNavigation Device)があり、いずれも、周知の技術であるから(引用文献3)、引用発明において、「操作装置210」として、「カーナビゲーションシステム等の車載装置」に代えて、車両から取り外して持ち運び可能なPNDとし、本願発明1の相違点3に係る「前記操作デバイス(A)は、携帯可能であ5 る」ようにすることは、当業者が容易に想到し得たものである。4 作用効果について本願発明1の相違点1~3に係る構成を採用することによる作用効果も、当業者が容易に想到しうる範囲内のものにすぎない。

別紙

審決の取消事由に関する当事者の主張1 取消事由1(相違点1についての判断の誤り)について(1) 原告の主張5 ア 本件審決は、相違点1に関し、「送信手段」を「無線信号で送信する無線送信手段」とすることは、当業者が容易に想到し得たとしたが、引用発明の実施例としての図面には、操作デバイス(操作装置)と入力デバイス(携帯端末直接又は疑似入力装置)を有線で接続する形態しか開示がないから、引用発明において無線にする動機がない。イ また、引用発明は車中で使用するものであるところ、自動車の配線は、通常、ダッシュボード内に隠ぺいするか、ダッシュボード上に固定することが可能であるから、引用発明において「配線の存在が自動車の運転操作の障害」となることを避けるために、あえて無線送信とする動機はない。(2) 被告の主張「第4 当裁判所の判断」の1と同趣旨である。2 取消事由2(相違点2についての判断の誤り)について(1) 原告の主張ア 本件審決は、相違点2に関し、引用発明においては撮像部が例示されているにすぎないとするが、引用発明における「撮像部」は請求項1に特定された事項であるから、端末表示部の表示画面の「撮像」は引用発明における必須の構成であって、これを置き換える動機がない。イ また、本件審決は、引用発明において、周知技術(標準規格)であるWi-Fi ALLiance において規定された miracast(ミラキャスト)や、DLNA(Digital Living Network Alliance)において規定されたDLNA通信などを採用することで、撮像部の機能を置換することが容易にできたとする。しかし、引用発明は、互換性のある機能しか利用できないため、携帯端末が有する全てのアプリケーションを車載装置から自由に制御することができない(引用文献1【0003】)という背景技術の下、互換性をもたらすものとして撮像部の機能を利用しているのであるから、5 無線通信方式の規格の制約がある miracast やDLNA通信などに代替する動機はない。(2) 被告の主張「第4 当裁判所の判断」の2と同趣旨である。3 取消事由3(相違点3についての判断の誤り)について(1) 原告の主張ア 本件審決は、相違点3に関し、車両から取り外して持ち運び可能なPND(Portable Navigation Device)を「操作装置210」とすることは、当業者が容易に想到し得たとするが、引用発明のデバイス(操作装置)は、自動車の「車載器」であるカーナビと携帯端末を接続し、スピーカなどの設備を利用して携帯端末の音楽コンテンツを楽しむことが可能となる発明であるから、そもそも自動車のスピーカを利用するものである(甲1【0019】)。引用発明のデバイスの利用においては、カーナビが車載器であることが前提になっているといえ、本件審決の判断は誤りである。イ また、PDNの市場規模が拡大していることは、引用発明のデバイスをPNDにすることとは技術的な関連性がなく、相違点3に関して容易想到とする動機にはならない。(2) 被告の主張ア 審決で「引用文献3開示周知事項」として認定したとおり、「カーナビゲーションシステムの技術分野において、車載型のものの他に、車両から取り外して持ち運び可能なPND(Portable Navigation Device)が周知であり、2009年には車載型とほぼ同じ台数の市場規模に拡大していたこと」が知られており、甲1の段落【0088】の記載から、引用発明における「操作装置」は、「車載装置」に限られないところ、当業者は、開発した技術(発明)をできるだけ多くの対象に適用することによ5 り、生産コストの低減や開発コストの回収等を図ることが一般的であるから、車載型のカーナビゲーション装置に代えて、車載型とほぼ同じ台数の市場規模に拡大していたPNDを、引用発明の「操作装置」として採用することに動機付けがあるといえる。イ 甲1の段落【0002】や乙2の段落【0016】【0018】【0155】【図1】等には、背景技術として、携帯端末やスマートフォン内の映像コンテンツや音声コンテンツを車載装置に出力することが記載され、スマートフォン内の映像コンテンツをより大きな画面サイズを有するPNDの画面に出力することには、複数人での視聴が容易となる効果が内存しているといえるから、操作装置を携帯端末に接続する理由が見当たらない旨の原告主張は理由がない。4 取消事由4(予測できない顕著な効果の看過)について(1) 原告の主張本願発明1は、操作デバイス(A)及び入力デバイス(B)を携帯することにより、携帯端末自体をカバンの中や安全なところに置いておいて、携帯端末の画面だけの機能を有する操作デバイス(A)を持ち歩き、どこでも携帯端末を操作することができるという効果を有する。また、入力デバイス(B)を取り付けた携帯端末を複数用意することにより、1つの操作デバイス(A)で、複数の携帯端末(例えば、プライベート用携帯端末と業務用携帯端末など。)の画面を切り替えて使用することができる。本件審決は、上記効果について、当業者が容易に想到し得る範囲内であるとしたが、上記3(1)のとおり、引用発明において操作装置である車載器のカーナビをPNDにする動機はないから、本件審決の判断はその根拠を欠くものである。(2) 被告の主張「第4 当裁判所の判断」の4と同趣旨である。

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