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令和5(ネ)10088意匠権侵害差止等請求控訴事件

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裁判所 控訴棄却 知的財産高等裁判所知的財産高等裁判所
裁判年月日 令和6年1月29日
事件種別 民事
法令 意匠権
意匠法37条1項1回
キーワード 意匠権5回
差止2回
侵害2回
損害賠償1回
主文 1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。
事件の概要 1 控訴人(原審原告。以下「原告」という。)は、意匠登録第1616424 号の意匠権(以下「本件意匠権」という。)を有する者、被控訴人(原審被告。以5 下「被告」という。)は、原判決別紙被告物件目録記載のスチーム調理用蓋付きト レー(以下「被告製品」という。)を販売するなどする者である。本件は、原告が、 被告製品に係る意匠は本件意匠権に係る意匠(以下「本件意匠」という。)に類似 しているから、被告が被告製品の販売等を行うことは原告が有する本件意匠権を侵 害すると主張して、被告に対し、①意匠法37条1項に基づいて被告製品の販売等10 の差止めを、②同条2項に基づいて被告製品の廃棄を、③民法709条に基づいて 損害賠償金600万円及びこれに対する不法行為の後の日である令和4年8月18 日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで同法所定の年3%の割合による遅延損 害金の支払をそれぞれ求める事案である。

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判決文

令和6年1月29日判決言渡
令和5年(ネ)第10088号 意匠権侵害差止等請求控訴事件
(原審・東京地方裁判所令和4年(ワ)第17015号)
口頭弁論終結日 令和5年11月16日
5 判 決
控 訴 人 池 田 物 産 株 式 会 社
同訴訟代理人弁護士 細 貝 巌
10 同訴訟代理人弁理士 吉 井 雅 栄
被 控 訴 人 株 式 会 社 カ ク セ ー
同訴訟代理人弁護士 笠 原 基 広
15 野 村 信 之
主 文
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。
事 実 及 び 理 由
20 第1 控訴の趣旨
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人は、原判決別紙被告物件目録記載の物件を製造し、輸入し、販売し、
又は販売のために展示してはならない。
3 被控訴人は、前項の物件を廃棄せよ。
25 4 被控訴人は、控訴人に対し、600万円及びこれに対する令和4年8月18
日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。
5 訴訟費用は第1、2審とも被控訴人の負担とする。
6 仮執行宣言
第2 事案の概要
1 控訴人(原審原告。以下「原告」という。)は、意匠登録第1616424
5 号の意匠権(以下「本件意匠権」という。)を有する者、被控訴人(原審被告。以
下「被告」という。)は、原判決別紙被告物件目録記載のスチーム調理用蓋付きト
レー(以下「被告製品」という。)を販売するなどする者である。本件は、原告が、
被告製品に係る意匠は本件意匠権に係る意匠(以下「本件意匠」という。)に類似
しているから、被告が被告製品の販売等を行うことは原告が有する本件意匠権を侵
10 害すると主張して、被告に対し、①意匠法37条1項に基づいて被告製品の販売等
の差止めを、②同条2項に基づいて被告製品の廃棄を、③民法709条に基づいて
損害賠償金600万円及びこれに対する不法行為の後の日である令和4年8月18
日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで同法所定の年3%の割合による遅延損
害金の支払をそれぞれ求める事案である。
15 原審は、被告製品に係る意匠は本件意匠に類似しないとして、原告の請求を全部
棄却したところ、原告は、これを不服として本件控訴をした。
2 前提事実、争点及び争点に対する当事者の主張
(原判決の引用)
前提事実、争点及び争点に対する当事者の主張は、後記(原判決の補正)のとお
20 り原判決を補正するほかは、原判決の「事実及び理由」の第2の2から4まで(2
頁9行目から8頁13行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。な
お、引用文中「別紙」とあるのは、「原判決別紙」と読み替える(以下同じ。)。
(原判決の補正)
(1) 7頁1行目の「トレー上」を「トレー状」と改める。
25 (2) 7頁13行目の「通気孔」を「蒸気通過孔」と改める。
(3) 7頁22行目の「取引者」を「取引者・需要者」と改める。
(4) 8頁3行目末尾に「(争点2)」を加える。
第3 当裁判所の判断
1 当裁判所も、被告意匠は本件意匠に類似せず、原告の請求はいずれも理由が
ないものと判断する。その理由は、後記2のとおり補正し、原告の当審における補
5 充主張に鑑み後記3を付加するほかは、原判決の「事実及び理由」の第3(原判決
8頁14行目から15頁26行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用す
る。
2 原判決の補正
(1) 8頁22行目の「材質」を「材料」と改める。
10 (2) 9頁12行目及び10頁20行目の各「形成されていている」をいずれも
「形成されている」と改める。
(3) 10頁26行目の「蒸前記円形支承板面部」を「前記円形支承板面部」と
改める。
(4) 12頁15行目の「食品蒸し器容器」を「食品蒸し器」と改める。
15 (5) 12頁15行目の「本件意匠」から16行目の「対し」までを「本件意匠
は、台座部及び蓋本体部(中央頂部の一部を除く。)が銀白色で金属光沢を有し、
蓋本体部の中央頂部の一部及び取手部が黒色であるのに対し」と改める。
(6) 12頁17行目の「円環上の」を「円環状の」と改める。
(7) 12頁23行目の「材質」から13頁1行目末尾までを「材料そのものは、
20 意匠となるものではないと解される。」と改める。
(8) 13頁7行目の「乙8,9」を「乙8(意匠登録第1173467号公報
(平成15年5月19日発行))及び乙9(平成29年2月9日に取扱いを開始し
た蒸し鍋セットが掲載されたウェブサイト)」と改める。
(9) 14頁19行目の「前記(2)イ」の次に「及びウ」を加える。
25 (10) 15頁4行目の「上斜上方」を「斜め上方」と改める。
(11) 15頁14行目の「台座部前面」を「台座部全面」と改める。
3 原告の当審における補充主張について
(1) 原告は、本件意匠の要部は、①台座部及び蓋本体部(中央頂部の一部を除
く。)が光沢のある金属製薄板で構成されていること、②浅い皿状の台座部の形状、
③周辺部に二重の段差がある傾斜鍔部の形状であると主張する。
5 しかしながら、前記①の点(本件意匠の台座部等が光沢のある金属の質感を有す
る旨をいうものと解する。)については、引用した原判決第3の2(2)ウ(13頁
2~8行目)のとおり、一部に銀白色の金属光沢を有する食品蒸し器は、本件意匠
に係る意匠登録出願の日前に知られていたものであるから、前記①の点が本件意匠
の要部であると認めることはできない。また、前記②及び③の点については、引用
10 した原判決第3の2(2)ア(11頁26行目~12頁7行目)のとおり、本件意匠
に係る物品であるスチーム調理用蓋付きトレーの需要者は、当該トレーを観察する
場合には、主として、トレーと蓋が一体化した状態で、その全体を上方又は斜め上
方から視認し、場合によっては、トレーと蓋を分離した状態で、それぞれを上方又
は斜め上方から視認するものであるところ、このような需要者の観察の方法等に照
15 らすと、台座部の底部の形状及び傾斜鍔部の形状は、需要者の目に留まりにくい部
分の形状であるといえるから、これらの形状(前記②及び③)が本件意匠の要部で
あると認めることはできない。
なお、原告は、前記主張のほか、本件意匠の要部認定についてるる主張するが、
いずれの主張も、本件意匠の要部に係る前記認定(引用した原判決第3の2(2)エ
20 (13頁9~12行目))を左右するものではない。
(2) 原告は、蓋部の形状に係る本件意匠と被告意匠との差異は両意匠の共通の
美感を凌駕するものではないと主張するが、補正の上引用した原判決第3の2(3)
ウ(ア)(14頁17行目~15頁17行目)のとおり、意匠に係る物品(スチーム
調理用蓋付きトレー)を主に上方又は斜め上方から観察する需要者にとって、蓋部
25 の全体的な形状における差異(差異点3)は、需要者に対して異なる美感を生じさ
せるものであるといえ、本件意匠と被告意匠の基本的構成態様の形状が需要者の注
意を特に引くべき部分でないことも併せ考慮すると、両意匠の共通点から生じる美
感が差異点3に係る美感の差異を凌駕するということはできない。
なお、原告は、被告意匠のうちハンドル状の取手部及びこれを採用した蓋部の形
状は本件意匠に係る意匠登録出願の日において周知であったと主張するが、仮にそ
5 のような事実があったとしても、そのことは、被告意匠が本件意匠に類似するもの
とは認められないとの前記判断(引用した原判決第3の2(3)ウ(イ)(15頁18~
26行目))を左右するものではない。
4 結論
よって、当裁判所の判断と同旨の原判決は相当であり、本件控訴は理由がないか
10 らこれを棄却することとして、主文のとおり判決する。
知的財産高等裁判所第2部
15 裁判長裁判官
清 水 響
20 裁判官
浅 井 憲
25 裁判官
勝 又 来 未 子

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