ホーム > 知財判決速報/裁判例集 > 平成24(ネ)10051等 物件返還等請求控訴,同附帯控訴事件
裁判所 | 控訴棄却 知的財産高等裁判所 東京地方裁判所 |
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裁判年月日 | 平成24年10月17日 |
事件種別 | 民事 |
当事者 | 控訴人兼附帯被
有限会社ヘビーゲイジ 被控訴人兼附帯控訴人Y |
法令 |
その他 民法641条1回 |
キーワード | 損害賠償5回 許諾2回 |
主文 | 1 控訴人の本件控訴を棄却する。 2 被控訴人の本件附帯控訴を棄却する。 3 被控訴人の当審における予備的請求を棄却する。 4 控訴費用は控訴人の,附帯控訴費用は被控訴人の各負担とする。第1 当事者の求めた裁判 1 控訴の趣旨原判決中,控訴人敗訴部分を取り消す。前項の部分に係る被控訴人の請求を棄却する。 2 附帯控訴の趣旨原判決主文第1項を次のとおり変更する。控訴人は,被控訴人に対し,152万7400円及びうち102万2400円に対する平成22年3月13日から支払済みまで年6分の割合による金員,うち50万5000円に対する平成22年12月24日から支払済みまで年5分の割合による金員を各支払え。第2 事案の概要本判決の略称は,以下に掲記するほか,原判決に倣う。 1 本件訴訟の経緯本件は,控訴人からフィギュア(アニメーションのキャラクター等の像)の原型の製作を請け負った被控訴人が,控訴人に対し,①本件各請負契約について控訴人が解除権(民法641条)を行使したとして,被控訴人の製作に係る未完成のフィギュアの原型の出来高に基づく請負代金合計141万7500円及びこれに対する原型を控訴人に引き渡した日である平成22年3月12日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金,②控訴人が被控訴人を欺いて被控訴人から製作途中のフィギュアの原型を取り上げたこと ,当該原型を廃棄したこと 及び控訴人が第三者に対して被控訴人が一方的にフィギュアの製作業務を放棄した等と虚偽の事実を告げて被控訴人の名誉,信用を毀損したこと が不法行為に当たるとして,慰謝料として, につき15万円, につき125万円,につき60万円の合計200万円及び弁護士費用相当損害金58万2500円の総計258万2500円並びにこれに対する不法行為の後である平成22年12月24日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の各支払を求めた事案である。原判決は,被控訴人が控訴人に対し,①本件各請負契約が解除された時点における本件各物件の完成度に応じた出来高に基づく請負代金合計68万3200円及びこれに対する被控訴人が控訴人に対して本件各物件を引き渡した日の翌日である平成22年3月13日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金,②上記 ② の行為に係る慰謝料10万円及び弁護士費用相当損害金1万円の合計11万円並びにこれに対する不法行為の後である平成22年12月24日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の各支払を求める限度で被控訴人の請求を認容したため,控訴人が,これを不服として,本件控訴に及んだ。これに対し,被控訴人は,①上記 ①の支払請求のうち,請負代金102万2400円及びこれに対する平成22年3月13日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金,②上記 ②の支払請求のうち, の行為に係る慰謝料40万円及び弁護士費用相当損害金10万5000円の合計50万5000円並びにこれに対する平成22年12月24日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の各支払を求める限度で本件附帯控訴した。また,被控訴人は,当審において,上記 ①の請負代金102万2400円の支払請求に関し,控訴人が本件各物件を廃棄したことは悪質な証拠隠滅行為に該当するとして,不法行為に基づき,仮に,上記 ①の請負代金額が,本件各物件の完成度が9割であることを前提とする請負代金額(本件物件1につき64万8000円,本件物件2につき37万4400円)より低く認定された場合の請負代金額との差額につき,控訴人に対して損害賠償を求める予備的請求を追加した。 2 争いのない事実及び争点争いのない事実及び争点は,原判決「事実及び理由」の第2の1及び2記載のとおりであるから,これを引用する。第3 当事者の主張当事者双方の主張は,次のとおり付加するほか,原判決「事実及び理由」の第2の3記載のとおりであるから,これを引用する。〔当審における控訴人の主張〕 1 本件各請負契約の終了原因について本件各請負契約は,被控訴人が一方的に本件各物件の製作を放棄したため,やむなく合意解約されたものである。控訴人代表者の供述の信用性について原判決は,控訴人代表者が,本件各物件の製作を他の原型師に引き継いで直ちに控訴人の仕事を辞めるようにと被控訴人に告げ,製作途中の本件各物件を控訴人に引き渡すことを求めたと認定し,これと異なる控訴人代表者の陳述書(乙3)の記載及び原審における控訴人代表者の供述(以下,併せて「控訴人代表者の供述」という。)の内容は具体性に欠け,控訴人代表者が平成22年3月25日にしたセガに対する回答(乙5の1。以下「セガ回答」という。)の内容とも一貫しないなどとするが,事実と異なる。控訴人代表者の供述は,平成22年3月11日に被控訴人が突然,控訴人の下での仕事を辞めたいと言い出した際の状況,控訴人代表者が戸惑った様子,控訴人代表者らが被控訴人に対して何とか製作を続けるように説得したこと,被控訴人の対応,被控訴人から製作途中の原型を手元に置きたいと要求された経緯等について,具体的かつ詳細に,迫真性をもって説明するものであり,一連の事実経過が具体的かつ自然に述べられているものであるから,原判決の指摘は誤りである。原判決は,セガ回答のうち,被控訴人が製作途中の原型を独自に仕上げて納品すると主張したことを指摘した部分と,被控訴人が製作途中の原型も作らないと述べたとする控訴人代表者の供述部分との整合性を問題視しているものと思われる。しかしながら,当該回答部分は,被控訴人が「独自に」仕上げて納品すると主張したことを指摘したものである。すなわち,控訴人代表者は,被控訴人に対し,本件各物件の製作は,控訴人が受けた仕事である以上,製作を続けるのであれば,控訴人の仕事として,控訴人のクオリティチェックを受ける必要がある旨を告げたが,被控訴人はこれを拒み,控訴人代表者の指導の下で製作を続けるつもりはないとしながら,報酬だけは欲しいと強弁した。控訴人代表者は,被控訴人が控訴人を離れて製作途中の原型を独自に完成し,生産・販売しようと企図しているものと思われたため,上記のとおり回答したものであり,被控訴人が本件各物件の製作を「途中で投げ出した」ことに変わりはなく,何ら一貫性を欠くものではない。客観的状況との整合性について原判決は,控訴人代表者が一方的に本件各請負契約を解除したとするが,このような認定は客観的状況と整合するものではない。ア 本件物件1について本件物件1については,平成22年3月11日,版権元監修が1週間後に指定されており,厳しい日程に対応するために,控訴人としては,あと1週間,被控訴人に何とか頑張ってもらい,版権元監修に耐え得る状態まで製作してもらわなければならない状況であった。本件物件1の製作は既に明白に遅滞しており,控訴人が被控訴人を辞めさせると,版権元監修に間に合わなくなり,バンプレストからの信用が大きく毀損されることは確実であった。控訴人が自らそのような事態を招くことはあり得ない。実際,控訴人が辞めたことにより,本件物件1については,版権元監修の延期を余儀なくされ,5人の原型師が他の仕事を中止して取り組まざるを得ない状況となるなど,控訴人の業務活動に多大な支障が生じたのである。イ 本件物件2について本件物件2についても,本来,彩色見本までを含めて平成22年3月末が納期であったため,原型自体は遅くとも同月中旬には製作していなければならなかった。しかし,被控訴人は,同年2月5日にセガに画像報告して以降,製作を進めず,画像報告すらできない状態が続き,同年3月2日には,セガ担当者から報告を催促されていた。このような状況において,原型師が交替し,さらに製作が遅れた場合,セガからの信用が大きく毀損されることは明らかであり,控訴人としては,いかに被控訴人が辞めたいと述べたとしても,本件物件2を完成させようとしている被控訴人から原型を取り上げて,製作を中止させることはあり得ない。本件物件2は,被控訴人からセガに対して不相当な働きかけがされたため,最終的に製作依頼が打ち切られてしまい,控訴人は一切報酬を受領していない。被控訴人の供述の信用性についてア 被控訴人は,平成22年3月11日の控訴人代表者とのやり取りや,なぜ控訴人代表者が被控訴人を一方的に辞めさせたのかという重要な事柄について,具体性を欠いた曖昧かつ抽象的な供述しかしていない。特に,被控訴人は,控訴人代表者から,「精神的苦痛を与える言動」を受けたとするが,それが何を意味するのかについて,具体的に供述していない。イ 被控訴人は,本件各物件を製作中,控訴人代表者からパワーハラスメントを受けたなどと主張するが,控訴人代表者が述べた言葉として原判決が認定する言辞は,本件各物件の製作に入る以前に述べられたものも多くある上,被控訴人の業務態度に問題点が多かったことから,控訴人代表者はしかるべき注意を行ったものであって,いずれも通常の業務指導の範疇にあり,「厳しい言葉」でもなければ,これにより「精神的な苦痛」を受けるようなものでもない。 2 本件各物件の完成度について被控訴人の製作した原型は,版権元等の監修を経ていないのであるから,本来,単なる未完成品であって,その完成度を観念することはできない。また,仮に,原判決のように,作業工程の進捗度に応じて完成度を判断するとしても,以下のとおり,本件各物件とも,完成度は1割にも達しないものである。本件物件1について原判決は,フィギュアの製作過程を,4つの過程,すなわち,①設定と同じポーズの大まかな形を作り,体全体のバランスを整える過程(以下「製作過程Ⅰ」という。),②裸体の状態で体の各部分を作り込む過程(以下「製作過程Ⅱ」という。),③服や髪の毛などのパーツを取り付け,細部を作り込む過程(以下「製作過程Ⅲ」という。),④版権元の監修を受け,細部の修正や表面処理を行って完成に至る過程(以下「製作過程Ⅳ」という。)とに分けた上で,本件物件1につき,製作過程Ⅲの段階に入っていたから完成度は7割であるとする。しかしながら,製作過程Ⅰは,原型の基礎となる部分を決する大切な過程であり,ここにいう「体全体のバランス」は,メーカー側の意向に沿ったものでなければならない。バンプレスト担当者の (以下「 」という。)は,平成22年3月11日,被控訴人が作成した原型の現物を確認し,下半身を太くすることを求めたのであるから,製作過程Ⅰすら完成していなかったものというほかない。確かに,被控訴人が製作した原型は,この時点で裸の状態ではなく,服,髪の毛,マント,武器などの各パーツが取り付けられてはいたが,これらはあくまで製作が進んでいるかのように見せかけるために作成したものにすぎず,本来的にはいまだ製作過程Ⅰの途中であり,完成度としては1割にも達していないとみるのが相当である。実際,各パーツはいかにもとってつけたような,作りの粗いものにすぎない。は,控訴人代表者に対する公式なメールにおいて,具体的な修正点を詳細に指摘するのは相当ではないと考え,被控訴人の意欲をそぐことがないよう,肯定的な内容をメールに記載したが,具体的な修正個所(肩幅,足回り,腕回り,頭の大きさ)については,電話で に指示しており,当該指示内容は控訴人代表者や被控訴人にも伝えられていた。また,通常,版権元監修の時期は,商品発売時期からスケジュールを逆算して定められるものである。本件物件1については,当初バンプレストから指定された納品締切りは平成22年3月上旬であったにもかかわらず,製作が遅れており,同月11日の時点でようやく最初の現物チェックを受けることができたものである。は,いざとなれば控訴人代表者や がいるため,通常では間に合わないようなスケジュールでも控訴人が間に合わせてくれるであろうと期待して,版権元監修を1週間後としたのである。被控訴人が製作した原型の完成度が高かったからではない。本件物件2について原判決は,本件物件2についても,7割の完成度であったとする。しかしながら,本件物件1について先に述べたとおり,単にメーカーの企画書に沿い,キャラクターの特徴を捉えた原型を製作したからといって製作過程Ⅰが終了したことにはならず,メーカーの意向を反映した体全体のバランスが実現されている必要があるところ,セガ担当者は,平成22年2月8日付けのメールにおいて,被控訴人が製作した原型の顔そのものがキャラクターの特徴を捉えていないことを指摘しているし,担当者は,原型の大きさ自体を把握していなかったのであるから,製作過程Ⅰを終えていなかったことは明らかである。被控訴人も作業の遅れについて謝罪しているし,その後,被控訴人が製作を辞めるまで,原型の画像がセガに送られたことはないのであるから,当然,そのサイズ,バランス等につきセガがチェックをしたこともなく,製作過程Ⅰを終了していないことは明らかである。交換用腕パーツについては何ら製作されていないことを考え併せると,原型の完成度としては1割にも満たないとみるのが相当である。なお,被控訴人は,同年2月5日の時点で既に衣服を着た状態の原型を製作していたが,これは,セガに対して少しでも作業が進んでいるように見せるために被控訴人の独断で行ったものと推測される。〔当審における被控訴人の主張〕 1 本件各物件の完成度について本件各物件の完成度はいずれも1割にも達しないとの控訴人の主張は明らかに失当であるところ,これらの完成度はいずれも9割に達するものというべきであるから,原判決の認定(7割)もまた,誤りであるというべきである。本件物件1についてア 控訴人は,平成22年3月11日に が下半身を太くすることを求めたことをもって,製作過程Ⅰすら終えていないと主張する。しかしながら,被控訴人は,製作の各段階において に画像報告をしているから,当該指示は,微細な修正指示にすぎない。原型に衣服を着けた場合,衣服を着けた部分が若干大きくなることに伴い,それ以外の部分が細く見えたりすることは常にあり得るのであって, も,「画像で見る限りは問題はない」とコメントしていることからすると, は,本件物件1が細く見えたという自らの印象を述べたものにすぎず,「体全体のバランス」が取れていない旨を指摘したわけではない。原型の製作過程において,衣服と体のバランスは常に微調整を繰り返すものであって,製作過程Ⅰの終了後,体に全く手を入れないということはまずあり得ない。また,各パーツの取付けも,控訴人代表者や の指示に基づいて行われたものである。イ 原判決は,パーツの作りが粗く,一部製作されていないものもあるほか,が表情の修正や下半身を太くすることを求めていたことなどをもって,本件物件1の完成度を7割とする。しかしながら, はメールにて表情の修正指示を出しているところ,その後,画像で見る限り問題はないと評価しているから,平成22年3月11日に現物を見た際,表情に修正が入ることはあり得ない。また,確かに,パーツの作りの粗さ,製作されていないパーツなどの細部の作り込みが必要ではあったものの,本件物件1については,原型を製作する上で最も重要で時間を要する作業は完了しており,完成までには,単純に紙ヤスリにより仕上げを施したり,イラストなどに合わせて各パーツを製作するなど,1週間程度の修正作業を要するのみであったから,本件物件1の完成度は9割と判断すべきである。本件物件2についてア 本件物件2については,製作対象とするキャラクターの設定がテレビ版から映画版に変更されたため,セガから平成22年2月8日に追加資料が交付されていたものである。本件物件2の表情がキャラクターの特徴を捉えていなかったとしても,被控訴人にその責任があるわけではない。本件物件2のサイズについては企画書等に記載されており,しかも,被控訴人は控訴人の下で指導を受けつつ製作を進め,セガにも画像報告をしていたのであるから,セガが原型の大きさすら把握していなかったということはできない。また,衣服についても,控訴人代表者の指示に基づいて製作したものであって,被控訴人の独断で行ったものではない。イ 原判決は,本件物件2について,各パーツが細部まで作り込まれていなかったり,リボンや腕章も製作されていないのみならず,交換用腕パーツについても製作されていることを認めるに足りる証拠はないとして,完成度は7割であるとする。しかしながら,細部の作り込みや頭部のリボン等に関しては1日程度で製作可能であり,完成度を下げる要因とはなり得ない。また,交換用腕パーツに関しては,控訴人が被控訴人から本件物件2とともに取り上げ,後に廃棄したものであるから,証拠が存在しないことの不利益は控訴人が負うべきである。したがって,本件物件2についても,完成度は9割であると解すべきである。 2 本件各物件の出来高に基づく請負代金について本件物件1についてア 原判決は,本件物件1について,武器先を製作していた証拠はないとするが,誤りである。被控訴人は,既に1個の武器の製作を完了していたところ,別途製作する予定であった武器は,完成済みの武器と持ち手の部分は共通しており,刃の部分や突起状のパーツの向きを変更し,1個の部品(刃)を付加するだけで,ほぼ形状は変わらないものであった。そこで,被控訴人としては,完成している武器を複製した上で若干手を加える方法により,製作する予定であった。険しい表情の別パーツに関しても同様であり,顔の輪郭等については基礎となる笑顔のパーツを基本とし,これを複製した上で,後ろ髪,前髪に合うパーツを用意し,口やまゆ毛等に変更を加えることで,険しい表情のパーツを製作することを予定していた。したがって,武器や表情の別パーツ自体についても製作が進行していたものと認められるから,請負代金の算定に当たっては,武器及び表情の別パーツに関する金額についても合算すべきである。イ 被控訴人は,本件物件1の出来高に基づく請負代金については,完成品の請負代金額105万円の9割相当額である94万5000円の請求権を有しているものである。原判決のように,控訴人の取り分の2割を控除するとしても,本件物件1に係る請負代金は,算定の基礎額を90万円とし,これから控訴人の取り分2割を控除した上で,9割の完成度を乗じた64万8000円を下らない。そこで,被控訴人は,本件附帯控訴により,本件物件1の出来高に基づく請負代金については,94万5000円のうち,64万8000円及びこれに対する本件物件1を引き渡した日の翌日である平成22年3月13日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める。本件物件2について被控訴人は,本件物件2の出来高に係る請負代金については,完成品の請負代金額52万5000円の9割相当額である47万2500円の請求権を有しているものである。原判決のように,控訴人の取り分の2割を控除するとしても,本件物件2に係る請負代金は,算定の基礎額を52万円とし,これから控訴人の取り分2割を控除した上で,9割の完成度を乗じた37万4400円を下らない。そこで,被控訴人は,本件附帯控訴により,本件物件2の出来高に基づく請負代金については,47万2500円のうち,37万4400円及びこれに対する本件物件2を引き渡した日の翌日である平成22年3月13日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める。 3 被控訴人が当審において追加した予備的請求について控訴人は,被控訴人が本件各物件の引渡しや損害賠償を求めていたにもかかわらず,本件各物件を廃棄したものである。本件各物件は証拠として提出されるべきものであるから,控訴人による廃棄は,悪質な証拠隠滅行為として不法行為に該当するものというべきである。本件において,本件各物件が証拠として提出されていれば,完成度が9割であることが容易に判明したものである。したがって,仮に,前記2の 及び の出来高に基づく請負代金額が,本件各物件の完成度が9割であることを前提とする請負代金額(本件物件1につき64万8000円,本件物件2につき37万4400円)より低く認定された場合の上記請負代金額との差額につき,不法行為に基づく損害賠償として,予備的に追加請求する。第4 当裁判所の判断当裁判所も,①被控訴人の控訴人に対する本件各物件の完成度に応じた出来高に基づく請負代金請求については,合計68万3200円及びこれに対する平成22年3月13日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で,②被控訴人の控訴人に対する不法行為に基づく損害賠償請求については,名誉,信用毀損行為に係る慰謝料10万円及び弁護士費用相当損害金1万円の合計11万円並びにこれに対する平成22年12月24日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で,それぞれ理由があるものと判断するが,被控訴人のその余の請求は,当審で追加された予備的請求を含めて理由がないものと判断する。その理由は,後記1のとおり原判決を訂正し,後記2のとおり付加するほかは,原判決「事実及び理由」の第3記載のとおりであるから,これを引用する。 1 原判決の訂正について原判決10頁10行目の「15・16」を「15~17」に改める。原判決11頁16行目の「セガの担当者は,」から19行目の「コメントした。」までを,以下のとおり改める。「セガの担当者は,本件物件2のキャラクターの顔が最新のデザインでは「かつてのかえる顔からけいおん!に近い感じになってきて」いるため,作り込む際には参考にしてほしい,次回に本件物件2の画像を更新する際は,正面カットに定規を当ててほしいとコメントするとともに,被控訴人が製作した他の原型に関する賛辞を述べた。」原判決12頁24行目の「②若干表情(特に口周り)が硬い,」を「②若干表情(特に口周り)が硬い感じであるが,製作途中の段階であるから,微調整が入るものと思われる,」に改める。原判決12頁26行目の次に,改行して,以下を加える。「控訴人代表者は,同月25日,被控訴人に対し,翌26日午後4時ころからバンプレストに対して送信する画像を撮影するため,本件物件1の服や装備などについてある程度製作を進めるようにメールで指示した。」原判決13頁3行目の「この画像について,」を「武器やスカートのパーツが取り付けられた状態の原型が撮影された画像について,」に改める。原判決13頁8行目の「さほど問題がないと思う」の次に,「,⑤バリアジャケット等の更なる肉付けができた段階で監修にも出したい」を加える。原判決14頁19行目の次に,改行して,以下を加える。「被控訴人は,控訴人の仕事を辞める経緯等について,家族と相談したところ,本件各物件を控訴人に引き渡したにもかかわらず,請負代金の支払も受けられないのはおかしいと考えるようになり,同日深夜,電話で控訴人代表者や に対し,請負代金の支払か本件各物件の返還のいずれかに応じるように求めたが,いずれも拒否された。その後,被控訴人の父親が,電話で控訴人代表者に対し,同様の要望を行うなどしたが,やはり拒否された。」原判決15頁18行目から19行目にかけての「原告に一方的に被告の仕事を辞めるようにと告げており,」を「本件各物件の製作を終えたら控訴人の仕事を辞めたいと述べた被控訴人に対し,直ちに控訴人の仕事を辞めるようにと告げており,」に改める。原判決16頁6行目の「版権元等の監修」を,「原型の製作を発注した玩具メーカーが,当該原型が企画の趣旨や商品に関する意向等に沿ったものであるかについて確認したり,版権元が,原型に基づいて生産される商品について,当該キャラクターの商品化を許諾することができるか等について確認するための監修」に改める。原判決21頁14行目の「本件事案の内容,」の次に,「難易度,」を加える。 2 当審における主張について控訴人の主張についてア 本件各請負契約の終了原因についてア 控訴人は,控訴人代表者の供述は,一連の事実経過が具体的かつ自然に述べられているものであるし,被控訴人が「独自に」仕上げて納品すると主張したことを指摘したセガ回答も,被控訴人が本件各物件の製作を「途中で投げ出した」ことに変わりはない以上,控訴人代表者の供述と一貫しないとする原判決は誤りであるなどと主張する。しかしながら,控訴人代表者は,セガ回答(乙5の1)において,被控訴人が手がけている原型を独自に仕上げて納品すると主張したため,控訴人として請け負った仕事である以上,控訴人のチェックを受ける必要があるなどとして,これを断ったなどと回答しているものであり,当該回答は,被控訴人が,本件物件2について,控訴人によるチェックを受けることなく製作を継続し,セガに納品すると主張したことを指摘した趣旨と解される。これに対し,控訴人代表者の供述は,被控訴人が「心が折れた」などとして直ちに控訴人の仕事を辞め,本件各物件の製作も行わないと述べた上で,本件各物件については手元に置き,完成後,「ワンダーフェスティバル」というイベントに個人的に出展したいとの希望を有しているようであったなどと述べるものであり,セガ回答と控訴人代表者の供述とは一貫するものではないというべきである。イ 控訴人は,本件各物件の製作はいずれも遅滞していたものであるから,そのような状況において,控訴人代表者が一方的に本件各請負契約を解除したとの原判決の認定は,客観的状況とは整合しないなどと主張する。しかしながら,控訴人の主張は,本件各物件の完成度がいずれも1割に満たなかったことや,被控訴人が平成22年3月11日に控訴人代表者に対して本件各物件の製作を直ちに辞めたいと述べたことを前提とするものであるところ,その前提自体が誤りであることは,原判決が認定するとおりである。控訴人代表者は,本件各物件の納期が迫っていたことを認識した上で,被控訴人に製作を継続させることなく,あえて本件各請負契約について解除権を行使したものというべきであって,客観的状況と整合しないなどということはできない。ウ 控訴人は,控訴人代表者が被控訴人を一方的に辞めさせた経緯等の重要な事柄について,被控訴人の供述は抽象的なものにすぎない,控訴人代表者による「精神的苦痛を与える言動」についても,被控訴人は具体的に供述していないし,控訴人代表者から受けたとするパワーハラスメントについても,原判決が認定する言辞は,本件各物件の製作に入る以前に述べられたものも多くある上,いずれも通常の業務指導の範疇にすぎないなどと主張する。確かに,原審における被控訴人本人尋問において,被控訴人は,平成22年3月11日における控訴人代表者の「精神的苦痛を与える言動」について,具体的に供述するものではないし,控訴人代表者の供述によると,本件各物件の製作以前から,控訴人代表者は,被控訴人に対し,被控訴人の製作した原型自体の問題点のみならず,プロの原型師として製作に取り組む姿勢を含めて厳しい指摘をすることがあったものと認められる。しかしながら,被控訴人は,このような控訴人代表者の指摘の中には,指摘内容が的確であったか否かはともかくとして,当該原型に係るキャラクターの特徴を捉えていないものがあったり,指摘のとおり修正しても,控訴人代表者から認めてもらえなかったことがあったなどとして,控訴人代表者の指摘自体に不満を抱いたり,控訴人代表者の言動がパワーハラスメントに該当するか否かはともかくとして,パワーハラスメントであると感じたこともあったとして,本件各物件の製作に入る以前のものも含めて,控訴人代表者の言動を苦痛に感じたことから,本件各物件の製作を終えたら控訴人の仕事を辞めようと決意し,その旨控訴人代表者に告げたことについて,具体的に供述している。してみると,平成22年3月11日の控訴人代表者の「精神的苦痛を与える言動」のより具体的な内容等については,これを認めるに足りる確たる証拠がなく,必ずしも明らかではないというほかないが,かかる事情は,本件各物件の製作を終えたら控訴人の仕事を辞めたいと述べた被控訴人に対し,控訴人代表者が直ちに控訴人の仕事を辞めるようにと告げたという前記認定を妨げるものではないというべきである。エ 以上のとおり,控訴人の前記主張はいずれも採用できない。イ 本件各物件の完成度についてア 控訴人は,被控訴人の製作した原型は,版権元等の監修を経ていないから,単なる未完成品であって,その完成度を観念することはできないなどと主張する。しかしながら,原型を発注した玩具メーカーが,当該原型が企画の趣旨や意向等に沿ったものであるかについて確認したり,版権元が,原型について,当該キャラクターの商品化を許諾することができるか等について確認するための監修を経ていないからといって,経済的な価値がないものということはできず,被控訴人が製作した原型を利用して修正を施すことなどにより,版権元等の監修に付すことが可能である以上,完成度を観念することは可能であるというべきであることは,原判決が認定したとおりである。イ 控訴人は,本件物件1について,①フィギュア原型の基礎となる部分を決する大切な過程である製作過程Ⅰにおける「体全体のバランス」は,メーカー側の意向に沿ったものでなければならないところ, は,平成22年3月11日,被控訴人が作成した原型の現物を確認し,下半身を太くすることを求めたのであるから,製作過程Ⅰすら完成していなかったものというほかない,②被控訴人が製作した原型に服などの各パーツが取り付けられたのは,製作が進んでいるように見せかけるためにされたものにすぎない,③ は,肯定的な内容をメールに記載したが,具体的な修正個所については電話で指示していた,④ が現物の確認後,版権元監修を1週間後に指定したのは,通常では間に合わないようなスケジュールでも控訴人が間に合わせてくれるであろうと期待したためであって,被控訴人が製作した原型の完成度が高かったからではないなどと主張する。しかしながら,仮に,控訴人が指摘するとおり,「体全体のバランス」が原型の基礎となる部分を決する重要な意義を有するのであるならば,少なくとも当該部分について,メーカー担当者の意向を確認した上で,製作過程Ⅱへと進むのが通常であると解される。この点について, は,平成22年2月22日,被控訴人が製作した原型の画像を確認した上で,表情に関する微調整の必要性を指摘したものの,全体的には良い感じであり,差替え用のフェイスパーツ等の製作を依頼しているものであり,同年3月1日には,武器やスカートのパーツが取り付けられた状態の画像を確認した上で,表情などについての修正を依頼しているものの,さほど問題はなく,バリアジャケット等の更なる肉付けができた段階で監修にも出したいと伝えているものであって,これによれば,被控訴人による製作が製作過程Ⅲの段階に至っている点について,格別異議を唱えてはいないというべきである。同月10日のメールにおいても,画像で見る限り問題がないとコメントしているものである。そうすると, から体全体のバランスについて指摘されたことをもって,製作過程Ⅰすら完了していないものと解することは到底できない。また,服などのパーツは,被控訴人による製作が進展するに従って製作されたものというべきであって,控訴人代表者も,同年2月25日,服や装備などについても製作を進めるよう,被控訴人に指示しているものである。この点について,控訴人代表者は,原審における代表者尋問において,ほかの原型師が担当しているキャラクターと比較して,本件物件1の進行が遅かったため,メーカーの心証が悪くなると思い,製作が進んでいると見せかけるために,指示したものであるなどと供述する。しかし, は,原型が企画の意図に合致しているかについてチェックする立場にあり,フィギュアの製作について豊富な知識と経験を有していたものである(原審における証人 )から,本体部分の完成度が低い状態において,進行の遅れをごまかすために完成度の低い装備を付けることは,むしろ の心証を悪くするものと推測されるのであって,控訴人が請け負った原型の品質を確保するために,原型師に対して必要な指導をしていた旨の供述をする控訴人代表者が,そのような指示を出すとは到底解し難い。さらに, は,被控訴人の意欲をそぐことがないように,控訴人代表者宛ての公式なメールについては肯定的な内容のみを記載し,修正個所は電話により指示していたなどと説明するが,複数の修正個所を指示することが意欲の減退につながるというのであれば,メールによる指示であれ,電話による指示であれ,当該修正指示を控訴人代表者, 及び被控訴人のいずれもが認識する以上,同様である。のみならず,メールには肯定的な記載がされていたにもかかわらず,電話で修正個所を告げられる方が,むしろ被控訴人の意欲をそぐ可能性もあるのであって,メールの記載や版権元監修に係る原審における の証言は,採用することはできない。ウ 控訴人は,本件物件2について,セガ担当者は,平成22年2月8日付けのメールで,被控訴人が製作した原型の顔そのものがキャラクターの特徴を捉えていないことを指摘しているし,担当者は,原型の大きさ自体を把握していなかった以上,製作過程Ⅰを終了していないことは明らかであるなどと主張する。しかしながら,セガ担当者は,ラフ原型の画像を検討した上で,平成22年2月8日のメールにおいて,キャラクターの顔については作り込みの際に資料を参照してほしいと希望しているものであって,当該指示は,ラフ原型に対するその後の作り込みを前提とした指摘であると解すべきである。セガ担当者が原型の大きさの確認を依頼したのも,同様に,あくまで同日時点のラフ原型を前提とした指摘にすぎない。また,被控訴人は,同年3月2日,控訴人代表者に対し,本件物件2について,現在衣服の製作を行っていること,衣服と後ろ髪の製作がもう少し進んでから控訴人代表者に見てもらいたいとのメールを送信したが,控訴人代表者から,衣服などの製作を行っていることを問題視されたような形跡はみられないから,本件物件2について,製作過程Ⅰを終了していなかったものと解することは到底できない。エ 以上のとおり,控訴人の前記主張はいずれも採用できない。被控訴人の主張についてア 本件各物件の完成度について被控訴人は,本件物件1について,画像で見る限り問題はないとした が,現物を見た際,表情に対する修正指示をすることはあり得ないと主張する。しかしながら,画像による確認では判別できない点があるからこそ,現物による確認を行うものであって, が「画像で見る限り」問題ないと回答したのも,同様の趣旨に基づくものであると解される。現物の確認において,表情に対する修正指示がされることが,不自然であるとまでいうことはできない。また,被控訴人は,本件各物件における細部の作り込みや各パーツの製作は短期間で可能であって,完成度はいずれも9割であると主張する。しかしながら,原判決が指摘する事項のほか,本件各物件のいずれについても未完成のパーツが存在していたこと,本件物件1については,現物の確認時においても修正指示が出されていたこと,本件物件2については,メーカー担当者の画像による確認が1回しかされていないことなどの事情も併せ考えると,完成度はいずれも7割であると解するのが相当である。イ 本件各物件の出来高に基づく請負代金について被控訴人は,本件物件1について,別途製作する予定であった武器や表情の別パーツは,完成済みの武器や笑顔のパーツを複製して製作する予定であったから,請負代金の算定に当たっては,武器及び表情の別パーツの金額についても合算する必要があると主張する。しかしながら,複製の元となる武器や表情のパーツ自体,完成したと認めるに足りる的確な証拠はないのみならず,被控訴人は複製作業に着手すらしていないのであるから,請負代金の算定に当たり,武器及び表情の別パーツの金額についても合算することは相当ではない。ウ 以上のとおり,被控訴人の前記主張はいずれも採用できない。(3) 被控訴人が当審において追加した予備的請求について被控訴人は,被控訴人が本件各物件の引渡しや損害賠償を求めていたにもかかわらず,控訴人が本件各物件を廃棄したことは,悪質な証拠隠滅行為に該当するものであり,本件各物件が証拠として提出されていれば,完成度が9割であることが容易に判明したものであるなどと主張する。しかしながら,本件各物件の所有権を取得した控訴人が,これらを廃棄したこと自体については,何ら違法ということができないことは,原判決が認定したとおりである。そして,控訴人が証拠隠滅を企図して本件各物件を廃棄したことを認めるに足りる確たる証拠はないし,本件各物件が証拠として提出された場合,本件各物件の完成度が9割であることが容易に判明したとの被控訴人の主張も,被控訴人の意見にすぎず,客観的な裏付けを有するものではない。したがって,被控訴人のこの点に関する主張も採用できない。 3 結論以上の次第であるから,原判決は相当であって,本件控訴及び本件附帯控訴はいずれも理由がないからこれを棄却し,被控訴人が当審において追加した予備的請求も理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。知的財産高等裁判所第4部裁判長裁判官 土 肥 章 大裁判官 井 上 泰 人裁判官 荒 井 章 光 |
事件の概要 | 本判決の略称は,以下に掲記するほか,原判決に倣う。 |
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