ホーム > 知財判決速報/裁判例集 > 令和5(行ケ)10131 審決取消請求事件
| 裁判所 | 請求棄却 知的財産高等裁判所知的財産高等裁判所 |
|---|---|
| 裁判年月日 | 令和6年3月27日 |
| 事件種別 | 民事 |
| 当事者 | 原告カバー株式会社 被告特許庁長官 |
| 法令 |
商標権 商標法4条1項16号7回 |
| キーワード | 審決9回 拒絶査定不服審判1回 刊行物1回 |
| 主文 | 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 |
| 事件の概要 | 1 特許庁における手続の経緯等(当事者間に争いがない。) (1) 原告は、令和3年12月22日、「hololive Indonesi a」の文字を標準文字で表してなる商標(本願商標)について、第3類、第 9類、第14類、第16類、第18類、第21類、第24類~第26類、第 35類、第41類及び第43類に属する別紙記載のとおりの商品及び役務を 指定商品及び指定役務として商標登録出願をした(商願2021-1599 76)。 (2) 原告は、令和4年8月1日付けで拒絶査定を受けたため、同年9月29日、 拒絶査定不服審判を請求した。 |
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令和6年3月27日判決言渡
令和5年(行ケ)第10131号 審決取消請求事件
口頭弁論終結日 令和6年2月14日
判 決
原 告 カ バ ー 株 式 会 社
同訴訟代理人弁理士 古 岩 信 嗣
被 告 特 許 庁 長 官
同 指 定 代 理 人 岩 谷 禎 枝
同 豊 田 純 一
同 冨 澤 武 志
同 須 田 亮 一
主 文
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事 実 及 び 理 由
第1 請求
特許庁が不服2022-15450号事件について令和5年9月22日にした審決を取り消す。
第2 事案の概要
1 特許庁における手続の経緯等(当事者間に争いがない。)
(1) 原告は、令和3年12月22日、「hololive Indonesia」の文字を標準文字で表してなる商標(本願商標)について、第3類、第9類、第14類、第16類、第18類、第21類、第24類~第26類、第35類、第41類及び第43類に属する別紙記載のとおりの商品及び役務を指定商品及び指定役務として商標登録出願をした(商願2021-159976)。
(2) 原告は、令和4年8月1日付けで拒絶査定を受けたため、同年9月29日、拒絶査定不服審判を請求した。特許庁は、上記請求を不服2022-15450号事件として審理を行い、令和5年9月22日、「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決(本件審決)をし、その謄本は同年10月10日原告に送達された。
(3) 原告は、令和5年11月9日、本件審決の取消しを求める本件訴訟を提起した。本件審決の理由の要旨本件審決の理由の要旨は、以下のとおりである。
(1) 本願の指定商品及び指定役務の需要者には、全国に及ぶ一般消費者が含まれる。
(2) 「hololive Indonesia」の欧文字や「hololive」の欧文字が、原告の管理・運営に係る「VTuber(VirtualYouTuber。キャラクター〔アバター〕を用いてインターネット上に動画を投稿する者)」のグループ名として使用されている等の事情があったとしても、本願の指定商品及び指定役務の需要者である全国に及ぶ一般消費者に至るまで、「hololive Indonesia」又は「hololive」の欧文字が、特定の「VTuber」に係るグループ名を表す語として広く知られていたものと認めることはできない。
(3) 本願商標の構成中の「Indonesia」の文字を商品の産地又は販売地並びに役務の提供の場所等を表示したものとして認識、理解する需要者も相当程度存在するというべきである。そうすると、本願商標をその指定商品中「インドネシアで生産又は販売された商品」以外の商品、及びその指定役務中「インドネシアに関する役務」以外の役務に使用するときは、その商品及び役務があたかも「インドネシアで生産又は販売された商品」や「インドネシアに関する役務」であるかのように、商品の品質及び役務の質について誤認を生ずるおそれがある。したがって、本願商標は、商標法4条1項16号に該当する。取消事由商標法4条1項16号該当性の判断の誤り
第3 当事者の主張
(原告の主張)
(1) 需要者について
商品の品質又は役務の質の誤認を生じると、その商標から生じる観念を期待して商品を購入し、あるいは役務の提供を受けた需要者に不利益を及ぼすことから、商標法1条に規定する「需要者の利益を保護する」という法目的を実現させるために同法4条1項16号が規定されている。したがって、同号の該当性判断において、本願商標の指定商品及び指定役務の需要者は、単に、商標登録願の指定商品及び指定役務の記載のみから画定するのではなく、本願商標の使用に係る指定商品及び指定役務の需要者とみるべきである。本願商標を構成する「hololive」の文字は、原告が管理及び運営するVTuberのアバターであるキャラクターのグループ名称として使用されるものである(甲2、3、33)。本願商標を構成する「Indonesia」の文字は、「東南アジア群島部にある共和国のインドネシア」を表すものであるが、「hololive」の文字と合わせて「hololive Indonesia」として、上記VTuberのキャラクターグループ「hololive」に所属するキャラクターのうち、インドネシアを拠点にして活動をしているものから構成されるグループ名称として使用される(甲4)。本願商標は、このようなグループ及び当該グループの構成員である各キャラクターと関連付けて、各本願指定商品及び指定役務について使用されるものである(甲5、25~32)。つまり、本願商標の使用に係る指定商品及び指定役務は、このようなグループ関連の商品及び役務、いわゆるキャラクターグッズ等であり、当該グループ又はその構成員キャラクターのファン以外の者が、本願商標を構成する「Indonesia」の文字が前記グループ及びキャラクターの活動拠点であることを知らずに、「インドネシアで生産された商品」あるいは「インドネシアに関連する役務」等と認識して購入することは、社会通念に照らして、およそ考えられない。本願商標の使用に係る指定商品及び指定役務は、原告のウェブサイトを中心に販売及び提供されているもので、例えば、本願商標「hololive Indonesia」等をキーワードとしてインターネット検索を行わない限り当該ウェブサイトに到達しづらいことからも、当該グループ及び当該グループの構成員のキャラクターのファン以外の者が本願商標に接する蓋然性は極めて低い。
(2) アイドルグループの名称における地名の使用について
本願商標は、仮想的アイドルグループの名称として使用され、かつ、当該仮想的アイドルグループ関連の商品及び役務に使用されるものである。一方、アイドルグループの名称には、当該グループの活動拠点を表す地域的名称等が含まれることは周知の事実である(例えば「AKB48」の「AKB」の文字は、「秋葉原」を表している。)。このような地域的名称を含む芸能人グループの名称の使用に係る商品等が多数存在しているが、当該地域的名称は、当該商品の生産地等とは認識され得ない。
(3) 本願商標の周知性について
令和4年9月26日時点で、「YouTube」において、「hololive」の公式チャンネル(甲14)には185万人、「hololiveIndonesia」の公式チャンネル(甲15)には38万人以上ものチャンネル登録者がいる。「hololive Indonesia」のメンバーであるVTuberそれぞれの公式チャンネル(甲16~24)も多数の登録者を得ている。これらを合計すると、延べ806万人以上となる。商標審査基準は、「出願に係る商標が、出願人の店舗名、商号、屋号等を表すものとして需要者に広く認識されて」いる場合には商標法4条1項16号は適用しない旨記載しているところ、上記の登録者数からは、本願商標が、原告のVTuberのアバターであるキャラクターのグループ名称を表すものとして需要者に広く認識されているということができる。本件審決の認定は、本願商標が、本願商標の指定商品及び指定役務の出所識別標識として需要者の間に広く認識されているか否かを問題としており、判断の対象を誤ったものである。
(4) 国際的調和について
商標に国名が含まれる場合に直ちに誤認混同を生じると認定する国は日本のみである。商品や役務において国境が無くなりつつある現在の状況において、外国と日本とで判断基準に大きな差があるのは問題である。
(被告の主張)
後記第4の1と同趣旨である。
第3類「化粧品、香料」
第9類「業務用テレビゲーム機用プログラム、携帯情報端末の部品及び附属品、携
帯情報端末用カバー、携帯情報端末用ケース、携帯情報端末用ストラップ、スマートフォン用カバー、スマートフォン用ケース、スマートフォン用ストラップ、電子計算機用プログラム、コンピュータ操作用プログラム(記憶されたもの)、コンピュータソフトウェア(記憶されたもの)、コンピュータソフトウェア用アプリケーション(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの)、コンピュータプログラム(記憶されたもの) コンピュータ用ゲームソフトウェア、 (記憶されたもの)、コンピュータ用ゲームソフトウェア(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの) コンピュータ用プログラム、 (電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの)、眼鏡、サングラス、眼鏡の部品及び附属品、家庭用テレビゲーム機用プログラム、携帯用液晶画面ゲーム機用のプログラムを記憶させた電子回路及びCD-ROM、レコード、インターネットを利用して受信し及び保存することができる音楽ファイル、録音済みの磁気カード・磁気シート及び磁気テープ、録音済みのコンパクトディスク、インターネットを利用して受信し及び保存することができる画像ファイル、録画済みビデオディスク及びビデオテープ、アニメーションを内容とする記録済み媒体及び動画ファイル、携帯電話用のダウンロード可能なエモティコン(絵文字)、携帯電話用のダウンロード可能な画像、録音済み又は録画済みのコンパクトディスク、電子出版物」
第14類「貴金属、宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品、キーホルダー、宝石
箱、身飾品、時計」
第16類「文房具類、印刷物、写真、写真立て」
第18類「かばん類、袋物、傘」
第21類「清掃用具及び洗濯用具、湯かき棒、浴室用腰掛け、浴室用手おけ、貯金
箱、お守り、おみくじ」
第24類「布製身の回り品、かや、敷布、布団、布団カバー、布団側、まくらカバ
ー、毛布」
第25類「被服、履物、仮装用衣服」
第26類「頭飾品」
第35類「広告業、スポーツイベントの後援を通じて行う商品及び役務の販売促
進・提供促進のための企画及びその実行の代理、織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、被服の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、かばん類及び袋物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、身の回り品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、加工食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、電気機械器具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、印刷物の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、紙類及び文房具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、運動具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、楽器及びレコードの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、時計及び眼鏡の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供、宝玉及びその模造品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」
第41類「電子出版物の提供、オンラインによる電子出版物の提供(ダウンロード
できないものに限る。)、書籍の制作、オンラインで提供される電子書籍及び電子定期刊行物の制作、インターネットを利用して行う映像の提供、映画の上映・制作又は配給、オンラインによる映像の提供(ダウンロードできないものに限る。)、ビデオオンデマンドによるダウンロード不可能な映画の配給、映画の演出(広告用映画の演出を除く。)、映画の脚本の作成、映画の字幕付け、インターネットを利用して行う音楽の提供、演芸の上演、演劇の演出又は上演、音楽の演奏、オンラインによる音楽の提供(ダウンロードできないものに限る。)、ショーの演出、バラエティーショーの上演、放送番組の制作、テレビジョン放送用娯楽番組の制作・配給、ビデオオンデマンドによるダウンロード不可能なテレビジョン番組の配給、ラジオ及びテレビジョンの番組の制作、ラジオ放送用娯楽番組の制作・配給、教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)、音楽のプロデュース(企画・制作)、カリグラフィーの制作、受託による作詞及び作曲、受託による作曲、文章の執筆、興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除く。)、コスチュームプレイに関する娯楽イベントの運営及び企画、パーティの企画、ファッションショーの企画・運営(娯楽のためのもの) 会員制による教育・娯楽の提供、、娯楽の提供、娯楽分野における情報の提供、ユーザーによる評価を内容とする娯楽に関する情報の提供、ユーザーによるランキングを内容とする娯楽に関する情報の提供、ユーザーによるレビューを内容とする娯楽に関する情報の提供、レクリエーション活動に関する情報の提供、オンラインによるゲームの提供」
第43類「飲食物の提供」
第4 当裁判所の判断
取消事由(商標法4条1項16号該当性の判断の誤り)について
(1) 商標法4条1項16号について商標法4条1項16号の趣旨は、商標を構成する文字、図形等が直接的に特定の商品の特性を表示したものであるため、当該商標が特定の商品以外の商品に使用された場合に、取引者、需要者が商品の品質を誤認して、商品を購入することがないように取引者、需要者の保護を図ることにある。取引者又は需要者において、本願商標の構成から将来を含め一般に認識される特性を有する特定の商品と指定商品とが関連し、かつ、本願商標が表示している特定の商品の特性と指定商品が有する特性が異なるため、本願商標を指定商品に使用した場合に、本願商標が使用された「商品の品質の誤認を生ずるおそれ」があることになる。
(2) 本願商標についてア 本願商標は、「hololive Indonesia」の文字を標準文字で表してなるものであり、「hololive」の文字と「Indonesia」の文字との間には、1文字分の空白があり、「hololive」の文字と「Indonesia」の文字を組み合わせたものと理解される。「hololive」の文字は辞書に載っていない造語であり、自他商品の識別力を有するものである。「Indonesia」の部分は、我が国における英語ないしローマ字の普及度からみて、需要者において、「インドネシア」と読むこと、「東南アジア群島部にある共和国」(乙1)であるインドネシアを欧文表記したものであることが容易に理解できるものと認められる。そして、我が国において、国名としてのインドネシアは広く知られている(乙2~4)。イ 各種ウェブサイトによれば、自他商品又は自他役務の識別力を有する文字と、「インドネシア」あるいは「Indonesia」の文字を組み合わせたものとして、「(Zalora Indonesia ザローラ・インドネシア)」(乙8、ファッション)、「(Reebonz Indonesia リーボンツ・インドネシア)」(乙8、主にバッグ、靴、ジュエリー) 「、 (Ree Indonesia リー・インドネシア)」(乙8、インドネシアのデザイナーが製作した衣料ブランドを取り扱う。 、)「マクドナルドインドネシア」(乙9、ファストフード)、「丸亀インドネシア」(乙10、うどん)がある。そして、これらは、いずれも、インドネシアで生産される物又はインドネシアで提供される役務に関するものである。ウ 本願の指定商品及び指定役務には、例えば、第3類「化粧品」「香料」、
第9類「スマートフォン用ストラップ」「コンピュータ用ゲームソフトウ
ェア(記憶されたもの)」「コンピュータ用ゲームソフトウェア(電気通信回線を通じてダウンロードにより販売されるもの)」「眼鏡の部品及び附属品」 第14類「貴金属,宝玉及びその原石並びに宝玉の模造品」、 「キーホルダー」「身飾品」「時計」、第16類「文房具類」、第18類「かばん類」「傘」、第21類「貯金箱」「お守り」、第24類「布製身の回り品」「布団」、第25類「被服」「履物」、第26類「頭飾品」、第35類「織物及び寝具類の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」「おもちゃ・人形及び娯楽用具の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」「楽器及びレコードの小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」、第41類「電子出版物の提供」「インターネットを利用して行う映像の提供、映画の上映・制作又は配給、オンラインによる映像の提供(ダウンロードできないものに限る。)」「ビデオオンデマンドによるダウンロード不可能な映画の配給、映画の演出(広告用映画の演出を除く。)」「オンラインによるゲームの提供」及び第43類「飲食物の提供」等、一般消費者が需要者となるものが含まれている。各種ウェブサイトには、これらの指定商品又は指定役務に対応する商品又は役務であって、インドネシアで生産等されたもの、あるいはインドネシアに由来するものとして、例えば、化粧品、香水(乙31)、香油(乙35) 携帯ストラップ、 (乙38) コンピュータゲーム、 (乙32、36)、眼鏡スタンド(乙37)、宝石(乙39)、キーホルダー(乙24)、宝飾品(乙28)、時計(乙29)、ペンケース(乙27)、かごバッグ(乙26)、傘(乙40)、貯金箱(乙43)、お守り石(乙41)、ブランケット、タペストリー、テーブルクロス(乙30)、布製インテリア(乙42)、クッションカバー(乙44)、被服(乙25)、パンプス(乙46)、ヘアアクセサリー(乙47)、電気敷毛布(乙45)、置物(乙49)、楽器(乙48)、インドネシア制作の映画(乙34)、インドネシア料理(乙33)等が、我が国で販売ないし提供されていることが示されている。エ 以上のとおり、①本願商標のうち「hololive」の部分は造語であり自他商品又は自他役務の識別力を有するのに対し、「Indonesia」の部分は、一般に知られた東南アジアの共和国であるインドネシアを意味することは需要者において容易に理解できること、②自他商品又は自他役務の識別力を有する文字と、「インドネシア」あるいは「Indonesia」の文字を組み合わせたものがインドネシアで生産される物又はインドネシアで提供される役務に関して使用されていること、③本願の指定商品及び指定役務には一般消費者が需要者となるものが含まれ、これに対応する商品又は役務でインドネシアで生産等されたもの、ないしはインドネシアに由来するものが我が国で販売ないし提供されていることが認められるのであって、そうすると、本願商標をその指定商品及び指定役務について使用するときは、これに接する需要者は、その構成中の「Indonesia」の文字から、インドネシアで生産又は販売された商品や、インドネシアに関する役務といった商品の品質又は役務の質を通常理解するものというべきである。一方、本願の指定商品及び指定役務は、インドネシアに関するものに限定されていないから、インドネシアで生産又は販売された商品以外の商品やインドネシアに関する役務以外の役務も含むことになる。以上によると、本願商標をその指定商品及び指定役務中、インドネシアで生産又は販売された商品以外の商品や、インドネシアに関する役務以外の役務に使用した場合には、商品又は役務の質の誤認を生じさせるおそれがあるから、本願商標は、商標法4条1項16号に該当するというべきである。
(3) 原告の主張についてア 原告は、本願商標の使用に係る指定商品及び指定役務は、バーチャルアイドルであるVTuberグループ関連の商品及び役務、いわゆるキャラクターグッズ等であり、当該グループ又はその構成員キャラクターのファン以外の者が、本願商標を構成する「Indonesia」の文字が前記グループ及びキャラクターの活動拠点であることを知らずに、「インドネシアで生産された商品」あるいは「インドネシアに関連する役務」等と認識して購入することは考えられず、本願商標の使用に係る指定商品及び指定役務は、原告のウェブサイトを中心に提供されていることからも、上記ファン以外の者が本願商標に触れることは考えにくい旨主張する。しかし、本願商標の指定商品及び指定役務の需要者はVTuberグループのファンに限られるものではなく、また、原告の主張からしても、原告のウェブサイトのみでこれらの商品が提供されているわけではないのであって、原告の主張は採用できない。イ 原告は、本願商標は、仮想的アイドルグループの名称として使用され、かつ、当該仮想的アイドルグループ関連の商品及び役務に使用されるものであるところ、地域的名称を含む芸能人グループの名称の使用に係る商品等において、当該地域的名称は、当該商品の生産地等とは認識され得ない旨主張する。しかし、一般需要者において、本願商標が芸能人グループの名称であると認識するような事情は認められず、原告の主張は前提を欠くものである。ウ 原告は、YouTubeにおける「hololive」、「hololive Indonesia」及び「hololive Indonesia」に属する個々のVTuberのチャンネルの登録者は延べ806万人以上になるから(甲14~24)、本願商標は原告のVTuberのアバターであるキャラクターのグループ名称を表すものとして需要者に広く認識されている旨主張する。しかし、「hololive」のチャンネルの登録者は185万人である(甲14)ものの、その他の各チャンネル(甲15~24)については、映像等の多くが欧文字で投稿されていることから、登録者のうちどの程度が日本の需要者であるのかの裏付けはないというべきで、「hololive」、「hololive Indonesia」が原告のVTuberのアバターであるキャラクターのグループ名称を表すものとして我が国の需要者に広く認識されていると認めることはできない。エ 原告は、商標に国名が含まれる場合に直ちに誤認混同を生じると認定する国は日本のみであり、不当である旨主張する。しかし、本件審決は、商標に「Indonesia」の文字が含まれることの一事をもって本願商標が商標法4条1項16号に該当すると認めたわけではなく、本願の指定商品及び指定役務に係る需要者の範囲とその認識等について個別に検討・判断しているところ、その判断手法は相当であるから、原告の主張は採用できない。結論以上によれば、本願商標は商標法4条1項16号に該当するから、原告主張の取消事由は理由がなく、本件審決にこれを取り消すべき違法は認められない。よって、原告の請求を棄却することとして、主文のとおり判決する。
知的財産高等裁判所第4部
裁判長裁判官
宮 坂 昌 利
裁判官
本 吉 弘 行
裁判官
岩 井 直 幸
(別紙) 本願の指定商品及び指定役務
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