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令和5(行ケ)10115審決取消請求事件

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裁判所 審決取消 知的財産高等裁判所知的財産高等裁判所
裁判年月日 令和6年4月11日
事件種別 民事
当事者 原告
被告特許庁長官
法令 商標権
商標法3条1項3号11回
商標法4条1項16号3回
キーワード 審決24回
拒絶査定不服審判2回
主文 1 特許庁が不服2022-13795号事件について令和5年8月
18日にした審決を取り消す。15
2 訴訟費用は被告の負担とする。
事件の概要 1 特許庁における手続の経緯等 ⑴ 原告は、令和3年8月18日、「Nepal Tiger」の文字を標準文 字で表してなり、指定商品を第27類「じゅうたん、敷物、マット、ラグ、 ヨガ用マット、織物製壁紙、壁掛け(織物製のものを除く。)」とする商標(以 下「本願商標」という。)について商標登録出願を行った(商願2021-125 02626号。以下「本願」という。)。(甲1) ⑵ 本願について、令和4年2月17日付けで拒絶理由の通知がされ、同年3 月29日に原告の意見書が提出されたが、同年6月1日付けで拒絶査定(以 下「原査定」という。)がされた。(甲2~4) ⑶ 原告は、令和4年9月2日、拒絶査定不服審判を請求した(不服2022 -13795号)。(甲5)5 特許庁は、令和5年8月18日、「本件審判の請求は、成り立たない。」と する審決(以下「本件審決」という。)をし、その謄本は、同年9月22日に 原告に送達された。 ⑷ 原告は、令和5年10月18日、本件審決の取消しを求めて、本件訴訟を

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判決文

令和6年4月11日判決言渡
令和5年(行ケ)第10115号 審決取消請求事件
口頭弁論終結日 令和6年2月13日
判 決
原 告 X
同訴訟代理人弁理士 西 村 知 浩
被 告 特 許 庁 長 官
10 同 指 定 代 理 人 岩 谷 禎 枝
同 豊 田 純 一
同 真 鍋 伸 行
主 文
1 特許庁が不服2022-13795号事件について令和5年8月
15 18日にした審決を取り消す。
2 訴訟費用は被告の負担とする。
事 実 及 び 理 由
第1 請求
主文同旨
20 第2 事案の概要
1 特許庁における手続の経緯等
⑴ 原告は、令和3年8月18日、
「Nepal Tiger」の文字を標準文
字で表してなり、指定商品を第27類「じゅうたん、敷物、マット、ラグ、
ヨガ用マット、織物製壁紙、壁掛け(織物製のものを除く。 」とする商標(以

25 下「本願商標」という。)について商標登録出願を行った(商願2021-1
02626号。以下「本願」という。 。
) (甲1)
⑵ 本願について、令和4年2月17日付けで拒絶理由の通知がされ、同年3
月29日に原告の意見書が提出されたが、同年6月1日付けで拒絶査定(以
下「原査定」という。)がされた。(甲2~4)
⑶ 原告は、令和4年9月2日、拒絶査定不服審判を請求した(不服2022
5 -13795号) (甲5)

特許庁は、令和5年8月18日、「本件審判の請求は、成り立たない。」と
する審決(以下「本件審決」という。)をし、その謄本は、同年9月22日に
原告に送達された。
⑷ 原告は、令和5年10月18日、本件審決の取消しを求めて、本件訴訟を
10 提起した。
2 本件審決の理由の要旨
本件審決の理由は、別紙審決書(写し)のとおりであり、その理由の要旨は
次のとおりである。
本願商標の構成中の「Nepal」の文字は「ネパール」の意味を、
「Tig
15 er」の文字は「トラ」の意味を、それぞれ有する英語であるから、本願商標
は、構成全体として「ネパールのトラ」ほどの意味合いを容易に理解、認識さ
せるものである。
そして、本願の指定商品中の「じゅうたん、敷物、ラグ」との関係において、
チベットやネパールは、じゅうたんの生産地及び販売地として世界的に知られ
20 ており、じゅうたんは、チベット民族の伝統的な手工芸品であって、チベット
民族や、ネパールに在住しているチベット難民によって手織りされているじゅ
うたんを「チベットじゅうたん」と称されていること、また、
「チベットじゅう
たん」の中でもトラのモチーフは、位の高い僧侶のためにつくられていたこと
から由緒あるものといわれ、トラの図柄を描いた、あるいは、トラの形状を模
25 した「チベットじゅうたん」は、生産地及び販売地の地域を表す語(チベタン
(Tibetan)、チベット(Tibet))とトラを意味する「Tiger
(タイガー) とを組み合わせて
」 「Tibetan Tiger(Rug) 、
」「チ
ベタンタイガー(ラグ)」又は「チベットタイガー(カーペット)」などと称さ
れていることが認められる。
上記「チベットじゅうたん」がネパールでも生産及び販売されているという
5 ことも併せ考慮すれば、
「Nepal Tiger」の文字よりなる本願商標を
その指定商品中「ネパールで生産又は販売される、トラの図柄を描いた、ある
いは、トラの形状を模したじゅうたん、ネパールで生産又は販売される、トラ
の図柄を描いた、あるいは、トラの形状を模した敷物、ネパールで生産又は販
売される、トラの図柄を描いた、あるいは、トラの形状を模したラグ」に使用
10 しても、これに接する取引者、需要者は、単に商品の産地、販売地又は品質を
表示したものと理解するにとどまり、自他商品の識別標識とは認識しないとい
うべきである。
したがって、本願商標は、商標法3条1項3号に該当し、また、前記商品以
外の「じゅうたん、敷物、ラグ」に使用するときは、商品の品質の誤認を生ず
15 るおそれがあるから、同法4条1項16号に該当する。
3 取消事由
⑴ 取消事由1
商標法3条1項3号該当性に関する判断の誤り
⑵ 取消事由2
20 商標法4条1項16号該当性に関する判断の誤り
第3 当事者の主張
1 取消事由1(商標法3条1項3号該当性に関する判断の誤り)について
〔原告の主張〕
⑴ ウェブサイトやブログの多くは、作成者個人がその認識や思惑を記載した
25 り、商品販促を狙って作成したりしたものであって、その内容について辞典
や辞書のような公平性及び正確性は担保されない。仮に複数のウェブサイト
等で共通の内容が記載されているとしても、共通の担当者が文書を作成した
か、単に内容が模倣された可能性がある。
また、商標が何件のウェブサイトやブログに記載されていれば商標法3条
1項3号に該当するのかに関する画一的な判断基準は存在せず、もっぱら審
5 査官の裁量に委ねられているのであって、このような極めて恣意的な根拠を
用いて同号該当性を判断することは、相当性を欠く。
さらに、個人や業者が作成したウェブサイトやブログ等は、これらに掲載
された情報について、取引者・需要者をして商品の産地・販売地等を認識さ
せるほどの影響力は発揮し得ない。
10 したがって、商標法3条1項3号に係る商標の拒絶査定不服審判の手続に
おいて、インターネット上の記載を過度に信頼して、商標出願の拒絶査定を
支持することは、商標出願人間の公平性を欠く結果になるほか、商標法1条
の法目的に反する結果をもたらし、合理性を著しく欠くものである。
⑵ 被告は、本件訴訟に至り、審判段階で示されていなかった新たな証拠(乙
15 1~57)を提出し、これに基づいて反論している。
しかし、最高裁昭和42年(行ツ)第28号同51年3月10日大法廷判
決・民集30巻2号79頁(メリヤス編機事件)によれば、審判段階で主張
していない事実や提出していない証拠を、審決取消訴訟において新たに主張
したり、提出したりすることはできない。
20 特に、被告が本件訴訟に至って提出した証拠の多くは、商品販売に関する
ウェブサイトであって、その販売実績や著名性も極めて限られた類のもので
ある。これらの商品販売サイトの内容の真偽を検証することなく、取引者、
需要者の認識に関する判断の基礎とすることは許されない。
⑶ 商標法3条1項3号の審査基準は、商標が商品又は役務の特徴等を間接的
25 に表示する場合は、商品又は役務の特徴等を表示するものではないと判断す
る旨規定しているところ、本願商標は、本願の指定商品との関係では当該指
定商品の特徴等を間接的に表示するものにすぎない。
また、仮に、本願商標をその指定商品中「ネパールで生産又は販売される、
トラの図柄を描いた、あるいは、トラの形状を模したじゅうたん、ネパール
で生産又は販売される、トラの図柄を描いた、あるいは、トラの形状を模し
5 た敷物、ネパールで生産又は販売される、トラの図柄を描いた、あるいは、
トラの形状を模したラグ」に使用したことにより、商品の産地又は販売地、
品質等が想起されるとしても、それは単にかかる意味合いを暗示させるにと
どまり、直ちに商品の直接的・具体的な品質に結び付くものではない。
⑷ア 我が国の取引者・需要者にとって、ネパールという地名は必ずしも著名
10 ではなく、トラの分類において、ネパールトラという亜種(分類)は存在
せず、
「ネパールトラ」という名称も、取引者・需要者にとっては馴染みが
ない。したがって、本願商標は、あくまでも「Nepal Tiger」
という一つの意味合いを生じる一種の造語として認識されるものといえる。
「Nepal Tiger」は、
「ネパールに生息するトラ」や「ネパー
15 ルのトラ」とは同義でなく、これらの事項を直接的かつ具体的に表示した
ものでもない。仮に、
「ネパールのトラ」という概念が想起されるとしても、
「虎」や「トラ」の語は、人物に関する表現において比喩的に用いられる
ことが多くあり(甲21~23) 動物のトラの亜種のみを想起させる概念

ではない。換言すれば、本願商標の「Nepal」と「Tiger」との
20 結びつきが希薄であるために、本願商標の意味合いについて取引者、需要
者の間で共通の認識は生じていない。
このように、意味・認識が一義的に定まらない完全な造語である「Ne
pal Tiger」が、本願の指定商品との関係において、商品の品質
を表示記述するものとして取引に際し必要適切な商標であるとはいえな
25 い。
イ 本件で提出された証拠によっても、じゅうたん、ラグ等の関係において、
「Nepal Tiger」という一体の文字が独立して使用されている
事実は存在せず、本願商標がその指定商品に使用されている事実は存在し
ないから、本願の指定商品の取引の実情を考慮しても、本願商標の指定商
品の取引者、需要者は、本願商標を見て、単に商品の産地又は販売地、品
5 質を表示したものと一義的に認識することができるとはいえず、また、そ
のような理解に至る根拠もない。
ウ 本願商標が、その指定商品を示すための商標として使用された事実はな
いから、本願商標は、その指定商品との取引に際し、必要適切な表示とし
て何人もその使用を欲するものとはいえない。したがって、原告による独
10 占使用を認めても、公益上の観点から非難されるものではない。
エ 上記アないしウによれば、本願商標は、その指定商品について、商品の
品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であると
はいえない。
⑸ア 本件審決の別掲1として挙げられた四つのウェブサイト(甲11~14)
15 は、
「チベットじゅうたん」に関する事実を示すものとされているが、これ
らのウェブサイトによって、本願の指定商品の需要者が、チベットやネパ
ールはじゅうたんの生産地及び販売地であると認識しているという事実は
認められない。
また、本件審決は「チベットじゅうたん」にこだわっているが、本願商
20 標は「Nepal Tiger」であるから、
「チベット」と「ネパール」
を混同しており、審決の根拠として不相当である。
したがって、上記別掲1のウェブサイトから「ネパールじゅうたん」と
いう概念は生じない。加えて、これらのウェブサイトにおいて、トラの図
柄・デザインを施した商品が紹介されていても、それが直ちに「ネパール
25 タイガー」を想起するものではない。
さらに、これらのウェブサイトは天文学的な数のインターネット情報の
ごく一部であり、上記四つのウェブサイトのみから、本願の指定商品の取
引者・需要者の認識を断定することもできない。
イ 本件審決の別掲2として挙げられたウェブサイト(甲15~20)は、
「チベタンタイガー(ラグ) 、
」 「チベットタイガー(カーペット)」に関す
5 る事実に関するものとされているが、商品の販売サイトであるこれらのウ
ェブサイトには、商品の説明と「チべタンタイガーラグ」との記載が併記
されているだけであり、
「チベット」と「ネパール」との結びつきを説明す
る文言や、
「ネパール」と「トラ」との結びつきを示唆する説明は一切記載
されておらず、上記六つのウェブサイトの記載からは、
「ネパールタイガー」
10 というイメージや認識が想起されず、本願商標が商品の産地・販売地・品
質等として認識されていることを示すものとはいえない。
⑹ 被告は、本件訴訟で提出した乙号証に関し、①「Nepal」及び「Ti
ger」の関係で乙1ないし4、②「チベット(一部、ネパール)」と「じゅ
うたん」の関係で乙5ないし12、③チベットやネパールで生産される「チ
15 ベットじゅうたん」の関係で乙13ないし18、④トラ柄又はトラの図形等
のじゅうたん等の説明に使用されている「Tiger(タイガー)」との関係
で乙19ないし33、⑤「Tibet」「Tibetan」に「Tiger」

の文字を組み合わせた関係で乙34ないし46及び乙47ないし57を引用
し、これらを結び付けて本願商標には識別力がないものと主張する。
20 しかし、上記①ないし⑤を結びつける論理や関連性はない。被告の主張は
インターネット上に散乱している記事の一部で用いられている単語を寄せ集
めたにすぎない。
そして、これらの乙号証において「Nepal Tiger」の文字が一
体で用いられていることはない。したがって、本願商標の「Nepal T
25 iger」の文字が、その指定商品を扱う業界において、商品の品質、原材
料、産地等を表示するものとして普通に用いられている事実は存在しない。
また、仮に乙号証の全ての記事を把握している本願の指定商品に関する取引
者、需要者が実在したとしても、
「Nepal Tiger」という造語を想
起することはなく、
「Nepal Tiger」という造語を見た時に、本願
の指定商品の品質等として認識することもない。
5 ⑺ 本件審決の「理由」には、請求人(原告)が「当審意見書において、同人
は本願商標をその指定商品に使用した実績があり、審尋で提示されたウェブ
サイトや第三者よりも先に使用して、今日の信用形成に貢献したものである
から、本願商標に関して商標登録を受ける権利がある旨主張する。 との記載

がある。
10 しかしながら、本願商標について、原告はこのような主張をしていない。
本件審決の上記記載は、原告が当事者となっている他の事件と混同したもの
と思われ、本件審決は、他の事件の理由を安易に流用したものであって、本
願商標に対する審決として失当である。
⑻ 以下のとおり、
「地名(地域)等の名称+動物名」からなる文字商標につい
15 て多くの登録例が認められる。
仮に、本願商標を「地名(地域)等の名称+動物名」からなる文字商標と
捉えることができたとしても、本願の指定商品の業界において使用された事
実はなく、識別力が認められるべきものであるから、登録されるに値する商
標である。
20 それにもかかわらず、本願商標だけを拒絶するのは、商標の出願人間の公平
性を欠く扱いであり、憲法14条に反する。
ア 「アメリカン イーグル」(商標登録第5554051号)(甲24)
イ 「TASMANIAN TIGER」
(商標登録第6553756号)
(甲
25)
25 ウ 「ホワイトタイガー/WHITE TIGER」
(商標登録第50374
31号)(甲26)
エ 「ホワイトタイガー/White Tiger」
(商標登録第59528
53号)(甲27)
オ 「UluWatu Tiger」(商標登録第5961514号)(甲2
8)
5 カ 「TASMANIAN TIGER」
(国際登録番号1643427)
(甲
29)
〔被告の主張〕
⑴ 本願商標は、各構成文字の語義に相応して、構成全体より、一義的には「ネ
パールのトラ」ほどの意味合いを理解、認識させるものである。
10 乙5ないし12の新聞記事及びウェブサイトの記載によれば、本願の指定
商品中の「じゅうたん、敷物、ラグ」との関係において、ネパールは、古く
から手織りじゅうたんの生産が盛んな地域として知られていること、及びじ
ゅうたんの生産又は販売の地域を表す語として使用されていることが確認で
きる。
15 また、乙19ないし33のウェブサイトの記載及び新聞記事によれば、本
願の指定商品中の「じゅうたん、敷物、ラグ」との関係において、
「Tige
r」や「タイガー」の文字が、トラ柄又はトラの図柄、トラの形状等を表す
語として一般に使用されている事実が確認できる。
そして、乙34ないし57のウェブサイトの記載及び雑誌の記事によれば、
20 トラの図柄を描いた、あるいはトラの形状を模した「チベットじゅうたん」
は、生産又は販売地域を表す語「Tibetan(チベタン) 、
」「Tibet
(チベット)」とトラを意味する「Tiger(タイガー)」を組み合わせて
「Tibetan Tiger(Rug) 、
」 「チベタンタイガー(ラグ)」又
は「チベットタイガー(カーペット)」などと称されており、そのうちの乙3
25 9ないし46のとおり、当該じゅうたんがネパールでも生産されている事実
が確認できる。
以上の各事情によれば、本願の指定商品中の「じゅうたん、敷物、ラグ」
との関係において、ネパールは、じゅうたんの生産又は販売の地域として古
くから知られていること、チベットじゅうたんは、チベット民族の伝統的な
手工芸品であって、チベット民族やネパールに在住のチベット難民によって
5 手織りされていること、
「Tiger」又は「タイガー」の文字は、本願の指
定商品中の「じゅうたん、敷物、ラグ」との関係において、トラ柄又はトラ
の図柄、あるいはトラの形状等を表す語として一般に使用されていること、
及び「チベットじゅうたん」の中でも、トラの図柄を描いた、あるいはトラ
の形状を模した「チベットじゅうたん」が、生産又は販売の地域を表す語と
10 組み合わせて「Tibetan Tiger(Rug) 、
」「チベタンタイガー
(ラグ)」又は「チベットタイガー(カーペット)」と称されていることが確
認できる。
以上の事実を総合して考慮すれば、本願の指定商品中の「じゅうたん、敷
物、ラグ」との関係において、本願商標を構成する「Nepal」及び「T
15 iger」の文字は、生産又は販売の地域を表す「Nepal(ネパール)」
と、トラの図柄やトラの形状を表す「Tiger(タイガー)」の文字を結合
したものであるといえる。
そうすると、
「Nepal Tiger」の文字からなる本願商標をその指
定商品中「ネパールで生産又は販売される、トラの図柄を描いた、あるいは、
20 トラ形状を模したじゅうたん、ネパールで生産又は販売される、トラの図柄
を描いた、あるいは、トラの形状を模した敷物、ネパールで生産又は販売さ
れる、トラの図柄を描いた、あるいは、トラの形状を模したラグ」に使用し
ても、これに接する取引者、需要者は、単に、商品の生産又は販売の地域及
び商品の品質を表示したものと理解するにとどまるといえる。
25 したがって、本願商標は、商品の生産又は販売の地域や図柄といった商品
の品質を表示するものとして取引に際し必要適切な表示であり、本願商標が
上記商品に使用された場合に、当該商標の取引者、需要者によって、将来を
含め、商品の品質を表示したものと一般に認識されるというべきであるから、
特定人によるその独占使用を認めるのは公益上適当でないとともに、自他商
品の識別力を欠くというべきものである。
5 よって、本願商標は、その指定商品中、上記商品に使用した場合には、商
品の生産又は販売の地域及び品質を普通に用いられる方法で表示する標章の
みからなる商標であるから、商標法3条1項3号に該当する。
⑵ 原告は、
〔原告の主張〕⑴のとおり、インターネット上の記載を根拠として
商標法3条1項3号該当性を判断することは違法であると主張する。
10 しかし、本件審決の別掲1及び別掲2で提示した記事や前記⑴に挙げた記
事は、
「Nepal(ネパール)」や「Tiger(タイガー)」の語が、商品
の生産又は販売の地域やじゅうたん等の図柄を表すものとして使用されてい
る語であることを示す例示として挙示されているものであり、ウェブサイト
記事等はそのような例示として十分な証拠であるというべきである。また、
15 インターネットにおいて商品を販売取引することが一般的となっている現在
の商取引の実情からすると、インターネットによる取引の実情を考慮して本
願商標が商標法3条1項3号に該当することを判断することが違法であると
はいえない。
⑶ 原告は、本件審決が他の事件の理由を流用していると主張する。
20 しかしながら、原告は、本願商標に係る審判手続において、
「本願商標を付
した本願指定商品に関する使用実績を示すもの」とする資料を提出し、これ
に沿う主張をしており、本件審決は同主張に対する判断をしたものであって、
本件審決が他の事件の理由を流用したことはない。
2 取消事由2(商標法4条1項16号該当性に関する判断の誤り)について
25 〔原告の主張〕
前記1〔原告の主張〕のとおり、本願商標は商標法3条1項3号に該当しな
いから、同様に同法4条1項16号にも該当しない。
〔被告の主張〕
本願商標は、これを「ネパールで生産又は販売される、トラの図柄を描いた、
あるいは、トラ形状を模したじゅうたん」 「ネパールで生産又は販売される、

5 トラの図柄を描いた、あるいは、トラの形状を模した敷物」又は「ネパールで
生産又は販売される、トラの図柄を描いた、あるいは、トラの形状を模したラ
グ」以外の「じゅうたん、敷物、ラグ」に使用するときは、当該商品があたか
も「ネパールで生産又は販売される、トラの図柄を描いた、あるいは、トラ形
状を模したじゅうたん」 「ネパールで生産又は販売される、トラの図柄を描い

10 た、あるいは、トラの形状を模した敷物」又は「ネパールで生産又は販売され
る、トラの図柄を描いた、あるいは、トラの形状を模したラグ」であるかのよ
うに商品の品質の誤認を生ずるおそれがあるから、商標法4条1項16号に該
当するものである。
第4 当裁判所の判断
15 1 取消事由1(商標法3条1項3号該当性に関する判断の誤り)について
⑴ 判断基準
商標法3条1項3号に掲げる商標が商標登録の要件を欠くと規定されて
いるのは、このような商標は、指定商品との関係で、その商品の産地、販売
地その他の特性を表示記述する標章であって、取引に際し必要適切な表示と
20 して何人もその使用を欲するものであるから、特定人によるその独占使用を
認めるのは公益上適当でないとともに、一般的に使用される標章であって、
多くの場合自他商品識別力を欠くものであることによるものと解される(最
高裁昭和53年(行ツ)第129号同54年4月10日第三小法廷判決・集
民126号507頁)。
25 そうすると、出願に係る商標が、その指定商品について商品の産地、販売
地又は品質を普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標である
というためには、審決がされた時点において、当該商標が当該商品との関係
で商品の産地、販売又は品質を表示記述するものとして取引に際し必要適切
な表示であり、当該商標の取引者、需要者によって当該商品に使用された場
合に、将来を含め、商品の産地、販売地又は品質を表示したものと一般に認
5 識されるものであるか否かによって判断すべきである。そして、当該商標の
取引者、需要者によって当該商品に使用された場合に商品の産地、販売地又
は品質を表示したものと一般に認識されるかどうかは、当該商標の構成やそ
の指定商品に関する取引の実情を考慮して判断すべきである。
⑵ 本願商標の構成
10 本願商標は「Nepal Tiger」の文字を標準文字で表してなる商
標である。
「Nepal Tiger」は「Nepal」の文字及び「Tiger」
の文字を組み合わせたものであって、
「Nepal」は国家(ネパール)を示
す語であり、「Tiger」は「トラ」を意味する語である(乙1~4)。
15 ⑶ 本願商標及び本願の指定商品に関する取引の実情
ア 以下の新聞記事及びウェブサイトには、ネパールで手織りのじゅうたん
の生産がされていることや、我が国で開催された展示会等においてネパー
ルで生産された、又はネパールから輸入された手織りのじゅうたん、ラグ
が展示、販売されたことに関する記載が存在する。
20 (ア) 朝日新聞(令和元年12月17日)(乙5)
(イ) 読売新聞(令和元年11月24日)(乙6)
(ウ) 朝日新聞(平成15年10月23日)(乙7)
(エ) 日経産業新聞(平成5年8月19日)(乙8)
(オ) 「terrier de sautillé」のウェブサイト(乙9)
25 (カ) 「TSUCHIYA HOMETOPIA」のウェブサイト(乙10)
(キ) 山形新聞(平成31年3月23日)(乙11)
イ 以下の新聞記事、書籍及びウェブサイトには、チベットにおいてじゅう
たんの生産が行われている旨の記載、チベットで生産されたじゅうたんを
「チベットじゅうたん」又は「チベタンじゅうたん」と称する旨の記載と
ともに、ネパールで生産されるじゅうたんも「チベットじゅうたん」
「チベ
5 タンラグ」などと称する旨の記載、又は、チベットからネパールに亡命し
た者あるいはネパールに居住するチベット難民がネパールにおいてじゅ
うたんの生産を行っている旨の記載が存在する。
(ア) 毎日新聞(平成20年12月3日)(乙12)
(イ) 「academic accelerator」のウェブサイト(乙13)
10 (ウ) 「CarpetEncyclopedia.jp」のウェブサイト(甲11、乙14)
(エ) 「ブログ版ティラキタ駱駝通信」のウェブサイト(甲12、乙15)
(オ) 朝日新聞(平成19年3月18日)(乙16)
(カ) 「地球の歩き方2021~22 ネパールとヒマラヤトレッキング」
(株式会社ダイヤモンド・ビッグ社発行)(乙17)
15 (キ) 北海道新聞(平成26年11月20日)(乙18)
ウ 以下のウェブサイトには、トラの図柄が描かれたじゅうたん又はトラの
形状を模したじゅうたんを紹介するに当たって、「アニマルラグマットタ
イガー」「タイガーラグ」「タイガーラグマット」など、
、 、 「タイガー」の語
を用いている記載が存在する。
20 (ア) 「LAND Lifestyle Shop」のウェブサイト(乙19)
(イ) 「MALTO」のウェブサイト(乙20)
(ウ) 「R&M Interior Store」のウェブサイト(乙21)
(エ) 「RINKY DINK」のウェブサイト(乙22)
(オ) 「POST GENERAL ONLINE STORE」のウェブサイト(乙23)
25 (カ) 「千代田絨毯株式会社」のウェブサイト(乙24)
(キ) 「norbu」のウェブサイト(乙25)
(ク) 「amazon.co.jp」のウェブサイト(乙26)
エ 以下の新聞記事又はウェブサイトには、
「チベッタンカーペット」あるい
は「チベタン・ラグ」であってトラの図柄が描かれたものを紹介し、その
中で、
「タイガーボディラグ」又は「タイガー・ラグ」との表現において「タ
5 イガー」の語を用いている記載が存在する。
(ア) 「PHOO CHA」のウェブサイト(乙27)
(イ) 熊本日日新聞(平成8年5月24日)(乙29)
オ 以下のウェブサイトには、ネパールで生産されたチベットじゅうたん又
はチベタンラグであってトラの文様又は絵が描かれたものを紹介し、その
10 中で、
「チベット絨毯タイガー」「ラッキータイガーラグ」又は「チベット

トラ敷物」との表現において「タイガー」又は「トラ」の語を用いている
記載がある。
(ア) 「Creema」のウェブサイト(甲14、乙28)
(イ) 「TONERI RUGs」のウェブサイト(乙30)
15 (ウ) 「Mardi k.k」のウェブサイト(乙31)
カ 以下のウェブサイトには、チベットじゅうたんでトラの形状を模したも
のを紹介し、その中で「チベタンタイガーラグ」の語句を用いている記載
が存在する。乙47ないし57のウェブサイトにも同様の記載が存在する。
(ア) 「BAYCREW’S STORE」のウェブサイト(甲15、乙34)
20 (イ) 「CIBONE」のウェブサイト(甲17、乙35)
(ウ) 「plywood」のウェブサイト(甲19、乙36)
(エ) 「amazon.co.jp」のウェブサイト(乙37)
(オ) 「POPEYE 部屋とシティーボーイ3」(株式会社マガジンハウス発
行)(乙38)
25 キ 以下のウェブサイトには、ネパールで生産されたじゅうたん又はネパー
ルから輸入されたじゅうたんでトラの形状を模したものを紹介し、その中
で「チベタンタイガーラグ」又は「チベタンタイガーカーペット」の語句
を用いている記載が存在する。
(ア) 「SLOWTIGER」のウェブサイト(甲16、乙39)
(イ) 「カワチェンネットショップ」のウェブサイト(乙40)
5 (ウ) 「楽天市場」の「HappyHour」のウェブサイト(乙41)
(エ) 「LAID BACK STORE」のウェブサイト(乙42)
(オ) 「PRTIMES」のウェブサイト(乙43)
(カ) 「TIGER WITH WING」のウェブサイト(乙44)
(キ) 「すえきちブログ」のウェブサイト(乙45)
10 (ク) 「YAHOO!フリマ」のウェブサイト(乙46)
ク 上記アないしキに掲げた新聞記事、書籍及びウェブサイトのいずれにも、
「Nepal Tiger」又は「ネパールタイガー」との記載は存在し
ない。
⑷ 検討
15 ア 上記⑶に掲げた新聞記事、雑誌、ウェブサイトの記載によれば、以下の
事実が認められる。
(ア) ネパールにおいてじゅうたんの生産が行われていること。
(イ) チベットからネパールに移住した者、あるいはチベット難民がネパー
ルにおいてじゅうたんの生産に従事しているとするウェブサイト等の
20 記載が複数存在すること。
(ウ) ネパールで生産されたじゅうたんを「チベットじゅうたん」あるいは
これに類する「チベタンじゅうたん」
「チベタンラグ」などの名称で表示
するウェブサイト等の記載が複数存在すること。
(エ) トラの図柄が描かれたじゅうたん又はトラの形状を模したじゅうた
25 んを紹介するに当たって「タイガー」の語を用いているウェブサイトの
記載が複数存在すること。
(オ) トラの形状を模した「チベットじゅうたん」
(あるいは「チベタンじゅ
うたん」「チベタンラグ」)を「チベタンタイガーラグ」又は「チベタン
タイガーカーペット」との名称で表示するウェブサイト等の記載が複数
存在すること。
5 (カ) ネパールで生産されたもの又はネパールから輸入したものであるト
ラの形状を模したじゅうたんを紹介するウェブサイト等の記載が複数
存在すること。
イ しかし、上記⑶クのとおり、上記⑶アないしキに掲げた新聞記事、書籍
及びウェブサイトのいずれにも、
「Nepal Tiger」又は「ネパー
10 ルタイガー」との記載は存在せず、その他本件の全証拠によっても、本願
の指定商品に関連するウェブサイト等の記載において「Nepal Ti
ger」又は「ネパールタイガー」の文字が一体として用いられたものが
あるとは認められない。
したがって、
「Nepal Tiger」の語句が、一体として「ネパー
15 ルで生産された、トラの図柄を描いた、あるいはトラの形状を模した、じ
ゅうたん、ラグ」を意味するものとして、じゅうたんの取引者等によって
使用されている取引の実情が存在するとは認められず、その他の本願の指
定商品に関連して「Nepal Tiger」の語句が一体として用いら
れる取引の実情が存在するとも認められない。
20 そして、
「Nepal Tiger」は、前記⑵のとおりの意味を有する
「Nepal」の語及び「Tiger」の語を組み合わせたものであると
いえるところ、
「Nepal Tiger」の語句が一体のものとして辞書
等に採録されているとは認められず、トラに関する亜種の名称や通称名等
として「Nepal Tiger」「ネパールタイガー」又は「ネパール

25 トラ」と呼ばれるものがあるとも認められない。
そうすると、
「Nepal Tiger」の語句は、通常は組み合わされ
ることのない「Nepal」の語と「Tiger」の語とが組み合わされ、
まとまりよく一体的に表されたものであるといえることからすれば、これ
を一体として組み合わされた一種の造語とみるのが相当である。
ウ 本願商標の指定商品は前記第2の1⑴のとおりであり、この指定商品の
5 内容からすれば、本願商標の取引者はじゅうたん類の製造業者及び販売業
者であり、需要者は一般の消費者であると認められる。
そして、前記イのとおり、
「Nepal Tiger」の語句は、これが
本願の指定商品に関連して用いられる取引の実情があるとは認められず、
かつ、一体として組み合わされた一種の造語であるとみるのが相当である
10 ことからすれば、本願商標の取引者及び需要者は、
「Nepal Tige
r」の語句について、指定商品に係る商品の産地、販売地又は品質を表示
したものであると直ちに認識するものではないというべきである。
そうすると、本願商標の取引者、需要者は、
「Nepal Tiger」
の語句について「ネパールで生産又は販売される、トラの図柄を描いた、
15 あるいは、トラ形状を模したじゅうたん」 「ネパールで生産又は販売され

る、トラの図柄を描いた、あるいは、トラの形状を模した敷物」又は「ネ
パールで生産又は販売される、トラの図柄を描いた、あるいは、トラの形
状を模したラグ」を表示するものであると必ずしも認識するものではない
から、本願商標は、その指定商品に使用された場合に、本願商標の取引者、
20 需要者によって、商品の産地、販売地又は品質を表示したものと一般に認
識されるものであるとは認められない。
エ 以上によれば、本願商標は、取引に際し必要適切な表示として何人もそ
の使用を欲するものとはいえず、指定商品の産地、販売地又は品質を普通
に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標とはいえないから、商
25 標法3条1項3号に該当するものとは認められない。
⑸ 被告の主張に対する判断
被告は、前記第3の1〔被告の主張〕記載のとおり、本願の指定商品中の
「じゅうたん、敷物、ラグ」との関係において、ネパールは、じゅうたんの
生産又は販売の地域として古くから知られていること、チベットじゅうたん
は、チベット民族の伝統的な手工芸品であって、チベット民族やネパールに
5 在住のチベット難民によって手織りされていること、
「Tiger」又は「タ
イガー」の文字は、本願の指定商品中の「じゅうたん、敷物、ラグ」との関
係において、トラ柄又はトラの図柄、あるいはトラの形状等を表す語として
一般に使用されていること、及び「チベットじゅうたん」の中でも、トラの
図柄を描いた、あるいはトラの形状を模した「チベットじゅうたん」が、生
10 産又は販売の地域を表す語と組み合わせて「Tibetan Tiger(R
ug) 、
」「チベタンタイガー(ラグ) 又は
」 「チベットタイガー(カーペット)」
と称されていることが確認できるのであって、これらの事実を総合して考慮
すれば、本願の指定商品中の「じゅうたん、敷物、ラグ」との関係において、
本願商標を構成する「Nepal」及び「Tiger」の文字は、生産又は
15 販売の地域を表す「Nepal(ネパール)」と、トラの図柄やトラの形状を
表す「Tiger(タイガー)」の文字を結合したものであるといえると主張
する。
しかし、ネパールにおいてじゅうたんが生産されていることを示したウェ
ブサイト等の記載、チベットからネパールに移住した者がネパールにおいて
20 じゅうたんの生産に従事していることを示すウェブサイトの記載、及びネパ
ールで生産されたじゅうたんを「チベットじゅうたん」あるいはこれに類す
る「チベタンじゅうたん」
「チベタンラグ」などの名称で表示するウェブサイ
ト等の記載が複数存在するものの(前記⑶ア及びイ) これらのウェブサイト

等の記載の存在をもって、本願商標の取引者及び需要者が、一般的に、上記
25 各記載内容とされた事実ないし事情を認識していると認めるに足りず、他に、
本願商標の取引者及び需要者が、一般的にこれらの事実ないし事情を認識し
ていると認めるに足りる証拠はない。
また、トラの図柄が描かれたじゅうたん又はトラの形状を模したじゅうた
んの紹介において「タイガー」の語を用いているウェブサイト等の記載が複
数存在するものの(前記⑶ウないしカ)、いずれも「ラグ」や「じゅうたん」
5 等の商品を示す語とともに用いられており、
「タイガー」の語のみで「トラの
図柄を描いた、あるいはトラの形状を模した、じゅうたん、敷物又はラグ」
を示す取引の実情があったとは認められない。
加えて、前記⑶認定の事実によれば、確かに、
「チベットじゅうたん」の中
でも、トラの図柄を描いた、あるいはトラの形状を模した「チベットじゅう
10 たん」が、
「Tibetan Tiger(Rug) 、
」「チベタンタイガー(ラ
グ)」又は「チベットタイガー(カーペット)」と称されている事実、及び上
記「Tibetan Tiger(Rug) 又は
」 「チベタンタイガー(ラグ)」
と称される商品を紹介するウェブサイトにおいて、「ネパールで絨毯職人が
約1ヶ月かけ織り上げています。 (乙39) 「チベットの伝統的な虎柄の手
」 、
15 作りチベットカーペット…ネパールにあるチベット仏教ゲルク派のお寺が運
営するショップで人気の柄で、専属の絨毯工場で作られています。 乙40)

」 、
「ネパールの職人が製造している本物のチベタンタイガーラグです。
・・・ネ
パールの亡命チベット人たちが羊毛を撚って原糸を作りその糸を使い手作業
で織って行き時間をかけて制作されます。 (乙41) 「ネパール製手織りT
」 、
20 ibetan Tiger Rug(チベタンタイガーラグ) 、
」 「ネパール、
チベット人居住区の絨毯職人が約2ヶ月かけ織りあげた物を現地調達いたし
ました。 (乙42) 「チベタンタイガーラグはネパールの工芸品です。ネパ
」 、
ール在住のチベット難民によって、手織りされているチベット絨毯。 (乙4

5) 「ネパールから輸入した本物のチベットトラ!チベタンタイガーラグ」

25 (乙46)などの記載があり、トラの図柄を描いた、あるいはトラの形状を
模したじゅうたんがネパールの職人によっても製造されている事実が認めら
れるが、これらネパールの職人において製造されたトラの図柄を描いた、あ
るいはトラの形状を模したじゅうたんについても、 「Tibetan
全て T
iger(Rug) 、
」 「チベタンタイガー(ラグ)」又は「チベットタイガー
(カーペット)」と称されているのであって、「Nepal Tiger」又
5 は「ネパールタイガー」と称されている取引の実情は全く認められない。
そうすると、本願商標の取引者及び需要者が、①ネパールがじゅうたんの
生産又は販売の地域として知られていること、②チベットじゅうたんは、チ
ベット民族の伝統的な手工芸品であって、チベット民族やネパールに在住の
チベット難民によって手織りされていること、③「Tiger」又は「タイ
10 ガー」の文字は、本願の指定商品中の「じゅうたん、敷物、ラグ」との関係
において、トラ柄又はトラの図柄、あるいはトラの形状等を表す語として一
般に使用されていること及び④「チベットじゅうたん」のうちトラの図柄を
描いたもの又はトラの形状を模したものが、「チベタンタイガー(ラグ)」又
は「チベットタイガー(カーペット)」と称されていることの各事情を総合考
15 慮したとしても、本願商標のうち「Nepal」はじゅうたん等の生産又は
販売の地域を示し、
「Tiger」はじゅうたんに描かれたトラの図柄や形状
を示していると認識するとは認められず、本願商標が、その指定商品に使用
された場合に、当該商標の取引者、需要者によって、商品の産地、販売地又
は品質を表示したものと一般に認識されるものであると認めることはできな
20 い。
したがって、被告の上記主張は採用することができない。
2 取引事由2(商標法4条1項16号該当性に関する判断の誤り)について
前記1のとおり、本願商標は、特定の商品の産地、販売地又は品質を表示す
るものであるとはいえないから、本願商標がその指定商品のうち「ネパールで
25 生産又は販売される、トラの図柄を描いた、あるいは、トラ形状を模したじゅ
うたん」 「ネパールで生産又は販売される、トラの図柄を描いた、あるいは、

トラの形状を模した敷物」又は「ネパールで生産又は販売される、トラの図柄
を描いた、あるいは、トラの形状を模したラグ」以外の指定商品に対して使用
された場合であっても、商品の品質の誤認を生ずるおそれがある商標とはいえ
ず、商標法4条1項16号に該当するものとは認められない。
5 前記第3の2〔被告の主張〕の内容を検討しても、上記結論は左右されない。
3 結論
以上によれば、本願商標は、その指定商品の産地、販売地又は品質を普通に
用いられる方法で表示する標章のみからなる商標とはいえないから、商標法3
条1項3号に該当するものとは認められず、また、商品の品質の誤認を生ずる
10 おそれがある商標とはいえないから、同法4条1項16号に該当するものとも
認められない。したがって、取消事由1及び2は、いずれも理由があり、本件
審決は取り消されるべきである。
よって、原告の請求は理由があるからこれを認容することとして、主文のと
おり判決する。
15 知的財産高等裁判所第3部
20 裁判長裁判官
東 海 林 保
裁判官
今 井 弘 晃
裁判官
10 水 野 正 則
(別紙審決書写し省略)

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