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令和3(ワ)28332民事訴訟 特許権

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裁判所 請求棄却 東京地方裁判所東京地方裁判所
裁判年月日 令和6年3月14日
事件種別 民事
法令 特許権
キーワード 実施77回
無効39回
無効審判19回
進歩性17回
審決15回
新規性13回
分割12回
特許権9回
優先権4回
刊行物4回
損害賠償4回
訂正審判2回
侵害2回
主文 1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事件の概要

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判決文

令和 6 年 3 月 14 日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官
令和 3 年(ワ)第 28332 号 特許権侵害損害賠償請求事件
口頭弁論終結日 令和 5 年 12 月 12 日
判 決
5 当事者の表示 別紙当事者目録記載のとおり
主 文
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事 実 及 び 理 由
10 第1 請求
被告は、原告に対し、1000 万円及びこれに対する令和 3 年 12 月 8 日から支
払済みまで年 3%の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
1 事案の要旨
15 本件は、発明の名称を「携帯情報通信装置及び携帯情報通信装置を使用した
パーソナルコンピュータシステム」とする発明の特許(特許第 4555901 号。以
下「本件特許」という。)に係る特許権(以下「本件特許権」という。)を有す
る原告が、別紙被告製品目録記載の各製品(以下、併せて「被告各製品」とい
う。)は本件特許に係る別紙「特許請求の範囲」第 1 項記載の発明(以下「本件
20 発明」という。)の技術的範囲に属するものであり、被告による被告各製品の販
売は本件特許権の侵害に当たると主張して、不法行為による損害賠償請求権(民
法 709 条。損害額につき特許法 102 条 3 項)に基づき、損害額合計 115 億 5700
万円の一部である 1000 万円の損害賠償及びこれに対する令和 3 年 12 月 8 日
(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年 3%の割合による遅延損害金の支
25 払を求める事案である。
2 前提事実(当事者間に争いがない事実並びに後掲の証拠(以下、書証番号は特
記しない限り枝番を含む。)及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)
(1) 当事者
ア 原告
原告は、各種情報処理・通信システムの考案・開発等を目的とする株式
5 会社であり、本件特許権を有する。
イ 被告
被告は、通信機器及びその周辺機器の企画、開発、製造、販売等を行う
株式会社であり、被告各製品を消費者向けに販売した。
ウ 被告補助参加人シャープ
10 被告補助参加人シャープは、通信機械器具の製造及び販売等を行う株式
会社であり、被告各製品のうち、ヌ号、ル号及びソ号物件を製造し、被告
に販売した。
エ 被告補助参加人 FCNT
被告補助参加人 FCNT は、携帯端末の開発、製造、販売等を行う株式会
15 社であり、被告から受注した被告各製品を製造して被告に販売した。
(2) 本件特許
ア 本件特許権の設定登録
原告は、平成 17 年 12 月 21 日(優先日平成 16 年 12 月 24 日及び平成 17
年 7 月 28 日、優先権主張国日本)を出願日とする特許出願(特願 2005-
20 367373 号。以下「本件原々出願」という。)の一部を分割して出願した特許
出願(特願 2006-277062 号。以下本件原出願」という。)の一部を更に分割
して、平成 20 年 6 月 23 日、新たに本件特許の特許出願(特願 2008-162678
号。以下「本件出願」という。)をし、平成 22 年 7 月 30 日、本件特許権の
設定登録(請求項の数 4)を受けた(以下、本件出願の願書に添付された
25 明細書及び図面を併せて「本件明細書」という。。

イ 平成 28 年の訂正請求
原告は、平成 28 年 5 月 19 日、本件特許に係る特許請求の範囲請求項 1
~4 の訂正を求める訂正審判請求(訂正 2016-390069 号事件)をした。
特許庁は、同年 10 月 17 日、特許請求の範囲請求項 2~4 の訂正を認め
つつ、同請求項 1 に係る訂正についての審判請求は成り立たない旨の審決
5 をした。
これに対し、原告は審決取消訴訟を提起したが(知的財産高等裁判所平
成 28 年(行ケ)第 10257 号事件)、知的財産高等裁判所は、平成 29 年 10
月 19 日、原告の請求を棄却する判決をし、その判決確定により、上記審決
は同年 11 月 7 日確定した。
10 ウ 平成 30 年訂正
原告は、平成 30 年 4 月 9 日、本件特許に係る特許請求の範囲の訂正を
求める訂正審判請求(訂正 2018-390070 号事件。訂正の内容は別紙「特許
請求の範囲(本件訂正前)」記載のとおり。)をした。
特許庁は、同年 7 月 25 日、上記請求を認める旨の審決をし、同審決は、
15 同年 8 月 2 日確定した(審決確定後の請求項の数 1。以下、この訂正を「平
成 30 年訂正」といい、上記審決を「本件訂正審決」という。。

エ 本件訂正
原告は、被告補助参加人シャープを請求人とする本件特許に係る無効審
判請求事件(無効 2020-800032 号事件)において、令和 3 年 3 月 22 日付け
20 訂正請求書により、特許請求の範囲請求項 1 を別紙「特許請求の範囲」記
載のとおり訂正することを求める訂正請求を行った(請求に係る訂正部分
は、別紙「特許請求の範囲」の下線部分である。。

特許庁は、同年 10 月 12 日、上記訂正請求を認めた上で、無効審判請求
を不成立とする旨の審決をした(以下、この訂正を「本件訂正」といい、
25 上記審決を「本件審決」という。。

これに対し、被告補助参加人シャープは審決取消訴訟を提起したが(知
的財産高等裁判所令和 3 年(行ケ)第 10139 号事件)、知的財産高等裁判所
は、令和 4 年 12 月 19 日、被告補助参加人シャープの請求を棄却する旨の
判決をし、令和 5 年 1 月 5 日、同判決は確定した。
(3) 特許請求の範囲
5 本件特許の特許請求の範囲請求項 1 は、別紙「特許請求の範囲」記載のと
おりである。
(4) 本件発明の構成要件の分説
本件発明を構成要件に分説すると、以下のとおりである。
A ユーザーがマニュアル操作によってデータを入力し、該入力データを
10 後記中央演算回路へ送信する入力手段と;
B 無線信号を受信してデジタル信号に変換の上、後記中央演算回路に送
信するとともに、後記中央演算回路から受信したデジタル信号を無線信
号に変換して送信する無線通信手段と;
C 後記中央演算回路を動作させるプログラムと後記中央演算回路で処理
15 可能なデータファイルとを格納する記憶手段と;
D 前記入力手段から受信したデータと前記記憶手段に格納されたプログ
ラムとに基づき、前記無線通信手段から受信したデジタル信号に必要な
処理を行い、リアルタイムでデジタル表示信号を生成するか、又は、自
らが処理可能なデータファイルとして前記記憶手段に一旦格納し、その
20 後読み出した上で処理する中央演算回路と、該中央演算回路の処理結果
に基づき、単一の VRAM に対してビットマップデータの書き込み/読
み出しを行い、該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表

示信号」を生成し、該デジタル表示信号を後記ディスプレイ制御手段又
は後記インターフェース手段に送信するグラフィックコントローラと、
25 から構成されるデータ処理手段と;
E 画面を構成する各々の画素が駆動されることにより画像を表示するデ
ィスプレイパネルと、前記グラフィックコントローラから受信したデジ
タル表示信号に基づき前記ディスプレイパネルの各々の画素を駆動する
ディスプレイ制御手段とから構成されるディスプレイ手段と;
F 外部ディスプレイ手段を備えるか、又は、外部ディスプレイ手段を接続
5 するかする周辺装置を接続し、該周辺装置に対して、前記グラフィック
コントローラから受信したデジタル表示信号に基づき、外部表示信号を
送信するインターフェース手段と;
を備え、
G’ 前記無線通信手段が「本来解像度が前記ディスプレイパネルの画面解
10 像度より大きい画像データ」を伝達する無線信号を受信してデジタル信
号に変換の上、前記中央演算回路に送信し、前記中央演算回路が該デジ
タル信号を受信して、該デジタル信号が伝達する画像データを処理し、
前記グラフィックコントローラが、該中央演算回路の処理結果に基づき、
前記単一の VRAM に対してビットマップデータの書き込み/読み出し
15 を行い、該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」

を生成し、該デジタル表示信号を前記ディスプレイ制御手段又は前記イ
ンターフェース手段に送信して、前記ディスプレイ手段又は前記外部デ
ィスプレイ手段に画像を表示する機能(以下、
「高解像度画像受信・処理・
表示機能」と略記する)を有する、
20 携帯情報通信装置において、
H’ 前記グラフィックコントローラは、前記携帯情報通信装置が前記高解
像度画像受信・処理・表示機能を実現する場合に、前記単一の VRAM か
ら「前記ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像の
ビットマップデータ」を読み出し、
「該読み出したビットマップデータを
25 伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記ディ
スプレイ制御手段に送信する機能と、前記単一の VRAM から「前記ディ
スプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマ
ップデータ」を読み出し、
「該読み出したビットマップデータを伝達する
デジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記インターフェ
ース手段に送信する機能と、を実現し、
5 I 前記インターフェース手段は、前記グラフィックコントローラから受信
した「ビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を、デジタル
RGB、TMDS、LVDS(又は LDI)及び GVIF のうちのいずれかの伝送方
式で伝送されるデジタル外部表示信号に変換して、該デジタル外部表示
信号を前記周辺装置に送信する機能を有する、
10 J ことにより、
前記外部ディスプレイ手段に、前記ディスプレイパネルの画面解像度

より大きい解像度を有する画像」を表示できるようにした、
K ことを特徴とする携帯情報通信装置。
(5) 被告の行為
15 被告は、被告補助参加人らの製造した被告各製品を購入した上、業として
販売した。
3 争点
(1) 文言充足の有無(争点 1)
ア 「高解像度画像受信・処理・表示機能」(構成要件 G’)(争点 1-1)
20 (構成要件 H’)
イ 「高解像度画像受信・処理・表示機能を実現する場合に」
(争点 1-2)
ウ 「グラフィックコントローラ」(構成要件 D)(争点 1-3)
エ 「単一の VRAM から…読み出し」(構成要件 H’)(争点 1-4)
オ 「記憶手段」(構成要件 C)(争点 1-5)
25 (2) 無効の抗弁の成否(争点 2)
ア 明確性要件違反(争点 2−1)
(ア) 中央演算回路による「処理」及び「必要な処理」(争点 2−1−1)
(イ) グラフィックコントローラによる「書き込み」及び「読み出し」
(争点
2−1−2)
イ 訂正要件違反(争点 2−2)
5 (ア) 「単一の VRAM」の追加(争点 2−2−1)
(イ) 「高解像度画像受信・処理・表示機能」の追加(争点 2−2−2)
ウ サポート要件違反(争点 2−3)
(ア) 「単一の VRAM」等(争点 2−3−1)
(イ) 「処理」及び「必要な処理」(争点 2−3−2)
10 エ 新規性・進歩性の欠如(争点 2-4)
(ア) 乙 2 発明を主引用例とする進歩性の欠如(争点 2-4-1)
(イ) 乙 3 発明を主引用例とする進歩性の欠如(争点 2-4-2)
(ウ) 乙 4 発明を主引用例とする進歩性の欠如(争点 2-4-3)
(エ) P900iV 発明を主引用例とする進歩性の欠如(争点 2-4-4)
15 (オ) 丙 B1 発明を主引用例とする新規性ないし進歩性の欠如(争点 2-4-5)
(カ) 丙 B9 発明を主引用例とする新規性ないし進歩性の欠如(争点 2-4-6)
(キ) 分割要件違反に起因する新規性の欠如(争点 2-4-7)
(3) 原告の損害発生の有無及びその額(争点 3)
第3 争点に関する当事者の主張
20 1 争点 1-1(「高解像度画像受信・処理・表示機能」(構成要件 G’))
(原告の主張)
(1) 被告各製品は、いずれも、ディスプレイパネルの画面解像度より大きい画
像データを伝達する無線信号を受信し、内蔵グラフィックコントローラが、
中央演算回路の処理結果に基づき、SDRAM に対してビットマップデータの
25 書き込み/読み出しを行い、これにより生成されたデジタル表示信号を液晶
ドライバ等に送信して、外部ディスプレイ等に画像を表示する。
したがって、被告各製品は、「高解像度画像受信・処理・表示機能」(構成
要件 G’)を有する。
(2) 特許請求の範囲の記載には、
「高解像度画像受信・処理・表示機能」が「テ
レビ放送を視聴している場合」に実現される機能に限定されることを示唆す
5 るような記載はない。したがって、
「高解像度画像受信・処理・表示機能」は、
「テレビ放送を視聴している場合に実現される機能」に限定されない。また、
そうである以上、「無線通信手段」の意義も、「テレビ放送信号受信手段」に
限定されない。
(被告の主張)
10 否認ないし争う。
「高解像度画像受信・処理・表示機能」(構成要件 G’)は、本件明細書の記
載等を斟酌すれば、
「テレビ放送を視聴している場合」に実現される機能を意味
するものと理解される。
しかるに、ニ号製品、ホ号製品、チ号製品及びヲ号製品を除く被告各製品は、
15 ワンセグ放送受信用アンテナと対応するチューナーからなるワンセグ受信手段
を備えており、当該ワンセグ受信手段により「テレビ放送の視聴」が実現され
るところ、ワンセグのフォーマットは 320x240 (QVGA 4:3)、320x180 (QVGA 16:9)
であるから、通常規格やハイビジョン規格のテレビ放送を視聴する機能を有し
ない。他方、ニ号製品、ホ号製品、チ号製品及びヲ号製品は、そもそもワンセ
20 グ受信機能を備えておらず、高解像度画像のテレビ放送を受信することはない。
したがって、被告各製品は、いずれも「高解像度画像受信・処理・表示機能」
を備えておらず、本件発明の構成要件 G’を充足しない。
また、被告各製品の無線通信用メインアンテナは、テレビ信号(ワンセグ放
送信号)を受信することはないため、 (構成要件 G’)に該当し
「無線通信手段」
25 ない。
2 争点 1-2(「高解像度画像受信・処理・表示機能を実現する場合に」
(構成要件
H’))
(原告の主張)
前記 1 によれば、被告各製品は、
「高解像度画像受信・処理・表示機能を実現
する場合に」(構成要件 H’)を充たすといえる。
5 被告各製品は、
「無線通信手段が「本来解像度が前記ディスプレイパネルの画
面解像度と同じ画像データ」を伝達する無線信号を受信して画像を表示する」
場合には、「高解像度画像受信・処理・表示機能」を実現しないことなどから、
被告各製品について、高解像度画像受信・処理・表示機能を実現しない場合は
存在する。
10 (被告の主張)
否認ないし争う。
本件特許に係る特許請求の範囲には「高解像度画像受信・処理・表示機能を
(構成要件 H’)と規定されているところ、これは、
実現する場合に」 「高解像度
画像受信・処理・表示機能」が実現されない場合があることを当然の前提とす
15 る。
しかし、被告各製品においては、
(解像度の大小によらず)画像を受信し表示
するだけであり、
「高解像度画像を受信・処理・表示する機能」が仮にあるとし
ても、当該機能を実現しない場合は存在しない。
したがって、被告各製品は、
「高解像度画像受信・処理・表示機能を実現する
20 場合に」(構成要件 H’)を充たさない。
3 争点 1-3(「グラフィックコントローラ」(構成要件 D))
(原告の主張)
(1) 被告各製品は、CPU の処理結果に基づき SDRAM に対してビットマップデ
ータの書き込み/読み出しを行い、読み出したビットマップデータを伝達す
25 るデジタル表示信号を生成し、そのデジタル表示信号を液晶ドライバ等に送
信する GPU を有する。この GPU は「グラフィックコントローラ」
(構成要件
D)に相当する。
(構成要件 D)を
したがって、被告各製品は「グラフィックコントローラ」
有するといえる。
(2) そもそも、グラフィックコントローラとはコンピュータシステムにおいて
5 画像表示を担当する集積回路の総称であり、実現する機能によって CRTC な
ど複数の種類が存在する。コンピュータシステムといい得る被告各製品にお
いて、GPU、ビデオ・静止画処理ハードウェア及びディスプレイ手段表示用
プロセッサがいずれも画像表示を担当する集積回路であることは、被告自身
の説明からもうかがわれる。
10 したがって、被告各製品の GPU、ビデオ・静止画処理ハードウェア及びデ
ィスプレイ手段表示用プロセッサは、これらをまとめてグラフィックコント
ローラと表記・呼称することができる。
(被告及び補助参加人 FCNT の主張)
否認ないし争う。
15 本件特許に係る特許請求の範囲の記載においては、
「中央演算回路」及び「グ
ラフィックコントローラ」の具体的内容はいずれも特定されておらず、その構
成は不明確である。そこで、本件明細書の記載を斟酌すると、「中央演算回路」
と「グラフィックコントローラ」とは別個独立した構成(物理的に分離した複
数の部品からなる構成)として設けられており、両者が一体となった構成は開
20 示されていない。そうすると、
「中央演算回路」 「グラフィックコントローラ」

は、少なくとも別個独立した構成であると解される。
しかるに、被告各製品では、画像の信号処理及びデータ処理は単一のモバイ
ルプロセッサにより行われており、これが「中央演算回路」に相当するとして
も、モバイルプロセッサと別個独立した「グラフィックコントローラ」に相当
25 する構成は存在しない。したがって、被告各製品は、本件発明の構成要件 D を
充足しない。
また、本件発明のグラフィックコントローラは、①ビットマップデータの書
き込み/読み出しを行う、②「デジタル表示信号」を生成し、これをディスプ
レイ制御手段又はインターフェース手段に送信する、という 2 つの処理を行う
ものである。これに対し、被告各製品のモバイルプロセッサにおいては、GPU
5 は SDRAM への書き込み・読み出しを行わず、ビデオ・静止画処理ハードウェ
アによって本来解像度のままの画像を SDRAM へ書き込み、内部ディスプレイ
手段表示用画像処理プロセッサ及び外部ディスプレイ手段表示用画像処理プロ
セッサによって本来解像度のままの画像が SDRAM から読み出され、それぞれ
の画像処理プロセッサによって解像度変換が行われて各ディスプレイに出力す
10 る。したがって、被告各製品の GPU は、上記①及び②の処理を行わないから、
「グラフィックコントローラ」(構成要件 D)に相当しない。
4 争点 1-4(「単一の VRAM から…読み出し」(構成要件 H’))
(原告の主張)
被告各製品のグラフィックコントローラは、SDRAM から液晶ディスプレイ
15 の画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータを読み出し、こ
れを伝達するデジタル表示信号を生成し、これを液晶ドライバに送信する機能
と、SDRAM から液晶ディスプレイの画面解像度より大きい解像度を有する画
像のビットマップデータを読み出し、これを伝達するデジタル表示信号を生成
し、これを MHL トランスミッタに送信する機能と、を実現するものである。
20 したがって、被告各製品は本件発明の構成要件 H’を充足する。
(被告及び被告補助参加人 FCNT の主張)
否認ないし争う。
構成要件 H’は、
「単一の VRAM」に対し、2 つの解像度(「同じ解像度」「よ

り大きい解像度」)の画像のビットマップデータが書き込まれることを前提と
25 している。
これに対し、被告各製品では、SDRAM に保存される画像の解像度は一種類
であり、内部ディスプレイ手段表示用画像処理プロセッサ及び外部ディスプレ
イ手段表示用画像処理プロセッサの各々が、SDRAM に保存される画像を読み
出して解像度変換を行い、液晶ドライバ及び MHL トランスミッタに送信する。
すなわち、被告各製品の SDRAM は、2 つの解像度の画像のビットマップデー
5 タが書き込まれるものではない。
したがって、被告各製品は構成要件 H’を充足しない。
5 争点 1-5(「記憶手段」(構成要件 C))
(原告の主張)
被告各製品は「内部メモリ」を備えているところ、この「内部メモリ」 CPU

10 (中央演算回路)で処理可能なデータファイルを格納する。
したがって、被告各製品は、「記憶手段」(構成要件 C)に相当する構成を有
する。
(被告の主張)
否認ないし争う。
15 被告各製品のうち、ツ号製品、ネ号製品、ラ号製品及びム号製品は、micro SD
カードスロットを備えているが、データファイルを格納する micro SD カードは
備えていない。また、ロ号製品及びハ号製品は、micro SD カードスロットすら
備えていない。
したがって、被告各製品は、
「記憶手段」を備えていないから、本件発明の構
20 成要件 C を充足しない。
6 争点 2−1(明確性要件違反)
(1) 争点 2−1−1(中央演算回路による「処理」及び「必要な処理」)
(被告の主張)
本件発明の構成要件 D の「前記無線通信手段から受信したデジタル信号に
25 必要な処理を行い」及び「前記記憶手段に一旦格納し、その後読み出した上
で処理する」について、「必要な処理」とは何を意味し、「処理する」とはど
のような処理を意味するのかが不明確である。同様に、構成要件 G’の「前記
中央演算回路が…画像データを処理し」についても、
「処理」とはどのような
処理を意味するのかが不明確である。
また、 (構成要件 D)が何であるのか、
「該中央演算回路の処理結果」 「必要
5 な処理」の結果なのか、
「処理する」の結果なのか(又はその双方なのか)が
不明確である。
したがって、本件発明は明確であるとはいえず、本件特許は、特許法 36 条
6 項 2 号所定の要件を満たしていない特許出願に対してされたものであり、
特許無効審判により無効にされるべきものであるから(同法 123 条 1 項 4 号)、
10 原告は、被告に対し、本件特許権を行使できない(同法 104 条の 3 第 1 項)。
(原告の主張)
否認ないし争う。
本件明細書の記載によれば、当業者は、
「中央演算回路」が行う「必要な処
理」ないし「処理」につき、無線通信手段から受信したデジタル信号又は記
15 憶手段から読み出したデータファイルから、ビットマップデータ等のデジタ
ル画像データに直接対応した信号又はデジタル画像データの生成を命令する
描画命令のデジタル信号を含むデジタル表示信号を生成することを意味する
ことが理解できる。
したがって、「処理」及び「処理結果」の意義は明らかである。
20 (2) 争点 2−1−2(グラフィックコントローラによる「書き込み」及び「読み出
し」)
(被告の主張)
本件発明の構成要件 G’につき、「書き込み」とは「該中央演算回路の処理
結果」を書き込むことを意味するのか、また、
「読み出し」とは具体的に何を
25 意味するのか、該中央演算回路の処理結果に基づき」
「 とはいかなる意味かが、
いずれも不明確である。
また、構成要件 D 及び G’の「書き込み/読み出し」はどのように行われる
のか、書き込んだものと同じデータが読み出されるのかどうかが不明確であ
るし、
「書き込み」を行ったデータとそれを「読み出し」たデータとが異なる
とする場合、グラフィックコントローラがどのようにして VRAM のビット
5 マップデータを読み出すのか、また、ビットマップデータのアドレスコント
ロールなどはどのように行われるのかについても不明確である。
さらに、構成要件 H’につき、
「単一の VRAM」に対して、
「ディスプレイパ
ネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」を書き
込み、これを読み出すこと、及び、
「ディスプレイパネルの画面解像度より大
10 きい解像度を有する画像のビットマップデータ」を書き込み、これを読み出
すことを意味するのかどうかが不明確である。加えて、
「グラフィックコント
「単一の VRAM」に対して、
ローラ」が、 「ディスプレイパネルの画面解像度
より大きい解像度を有する画像のビットマップデータ」を書き込み、また、
単一の VRAM から、「ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有す
15 る画像のビットマップデータ」を読み出しているというのであれば、グラフ
ィックコントローラが具体的にどのようにして VRAM のビットマップデー
タを読み出すのか、ビットマップデータのアドレスコントロールなどはどの
ように行うのかが不明確である。
したがって、本件発明は明確であるとはいえないから、本件特許は、特許
20 法 36 条 6 項 2 号所定の要件を満たしていない特許出願に対してされたもの
であり、特許無効審判により無効にされるべきものである。
(原告の主張)
否認ないし争う。
本件発明の構成要件 D、G’及び H’におけるグラフィックコントローラによ
25 る「書き込み」と「読み出し」の意義については、少なくとも当業者が理解
できる程度には明確である。
7 争点 2−2(訂正要件違反)
(1) 争点 2−2−1(「単一の VRAM」の追加)
(被告の主張)
平成 30 年訂正では、構成要件 D に「該中央演算回路の処理結果に基づき、
5 単一の VRAM に対してビットマップデータの書き込み/読み出しを行い」
を付加する訂正がされている。本件訂正においても、構成要件 G’に同様の訂
正がされている。また、平成 30 年訂正では、構成要件 H’に、「前記単一の
VRAM から「前記ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画
像のビットマップデータ」を読み出し」「前記単一の VRAM から「前記ディ

10 スプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップ
データ」を読み出し」を付加する訂正がされている。
しかし、本件出願当初の明細書等には、「単一の VRAM」という語句はな
く、VRAM が 1 つに限定されるとの記載もなく、また、VRAM を単一にする
ことの技術的意義についても記載がない。
15 したがって、本件発明に「単一の VRAM」という技術的事項を追加した訂
正は、出願当初の明細書等に記載した事項の範囲内においてされたものとは
いえず、その訂正は特許法 126 条 5 項に違反するものであるから、本件特許
は、特許無効審判により無効にされるべきものである(同法 123 条 1 項 8 号)。
(原告の主張)
20 否認ないし争う。
本件明細書【0115】【0117】【0127】において、
、 、 「VRAM」及び「VRAM に
対するグラフィックコントローラの動作」が記載されているところ、これら
の箇所では「VRAM」 「10C」
に という符号が一貫して付与されている。また、
第 1 の実施形態(【0111】)に係る【図 1】のブロック図には、「10C」という
25 符号が付された「VRAM1」という図形がただ一つだけ記されている。これら
の記載は、「単一」の VRAM が存在することをいうものとして理解し得る。
したがって、「単一の VRAM」を追加した訂正は明細書等に具体的に特定さ
れていない技術的事項を新たに追加したものではない。
(2) 争点 2−2−2(「高解像度画像受信・処理・表示機能」の追加)
(被告の主張)
5 本件訂正において、本件発明の構成要件 G’及び H’に「高解像度画像受信・
処理・表示機能」を有する旨の限定が追加されている。
これに対し、本件出願当初の明細書等には、無線信号の受信機能と送信機
能を有する無線通信手段(構成要件 B、G’)につき、高解像度画像受信の手
段とする「高解像度画像受信・処理・表示機能」を有するとの発明の記載は
10 ない。また、同明細書等には、
「高解像度画像受信・処理・表示機能」を実現
する場合に、「前記ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する
画像のビットマップデータ」を読み出し、デジタル表示信号を生成してディ
スプレイ制御手段に送信する」機能を実現するとの発明の記載はない。
このように、本件発明に「高解像度画像受信・処理・表示機能」という技
15 術的事項を追加した本件訂正は、出願当初の明細書等に記載された事項の範
囲内においてされたものとはいえない。
したがって、本件訂正は特許法 126 条 5 項に違反するものであり、本件特
許は特許無効審判により無効にされるべきものである。
(原告の主張)
20 否認ないし争う。
8 争点 2−3(サポート要件違反)
(1) 争点 2−3−1(「単一の VRAM」等)
(被告の主張)
本件明細書には、本件発明の構成要件 D 等の「単一の VRAM」なる語句は
25 存在せず、また、「単一の VRAM」とあえて規定することによる作用効果に
ついても記載がない。
加えて、本件明細書には、構成要件 G’及び H’の「高解像度画像受信・処
理・表示機能」を実現する場合に、
「前記ディスプレイパネルの画面解像度と
同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、デジタル表示
信号を生成してディスプレイ制御手段に送信する」機能を実現する発明の記
5 載もない。
したがって、本件特許は、特許法 36 条 6 項 1 号に違反してされたもので
あり、特許無効審判により無効にされるべきものである(同法 123 条 1 項 4
号)。
(原告の主張)
10 否認ないし争う。
(2) 争点 2−3−2(「処理」及び「必要な処理」)
(被告の主張)
本件明細書には、
「処理」及び「必要な処理」として、表示画像の画素を補
間し又は間引きすることの記載はなく、むしろ、補間や間引きを行わないか
15 らこそ、外部ディスプレイ手段を含む周辺装置向けの専用の表示データ生成
手段を設ける必要がなくなり、「不合理な二重投資」や「非効率な資源利用」
といった課題を解決できるといえる。
このため、本件発明の構成要件 D 及び G’の「必要な処理」及び「処理」に
ついて、表示画像の画素を補間し又は間引きを包含するように解釈すると、
20 本件発明は発明の詳細な説明に記載されたものとはいえないことになる。
したがって、本件特許は、特許法 36 条 6 項 1 号に違反してされたもので
あり、特許無効審判により無効にされるべきものである。
(原告の主張)
否認ないし争う。
25 9 争点 2-4-1(乙 2 発明を主引用例とする進歩性の欠如)
(被告の主張)
(1) 乙 2 発明
特開 2000-66649 号公報(乙 2。以下「乙 2 文献」という。)の記載によれ
ば、乙 2 文献には以下の発明(以下「乙 2 発明」という。)の記載がある。
1a 画面の座標位置等を入力するペン(タブレット)やマウス等のポイン
5 ティングデバイス、文字等を入力するキーボード等により構成される入
力装置 16 と、
1b プログラム(アプリケーションプログラム、描画プログラム及び OS)
を記憶する ROM14 と、プログラムやデータ等の一時使用の記憶領域と
して使用されるシステムメモリ 12 と、
10 1c ROM14 及びシステムメモリ 12 に格納されたプログラムに従って各種
の制御を実行する CPU10 と、
1d 内部表示装置 22 及び外部表示装置 24 で表示させる表示データの記憶
領域として使用される表示メモリ 18 と、
1e メモリコントローラ 20a、レジスタ 20b、内部表示用回路 20c 及び外部
15 表示用回路 20d を含んで構成される表示コントローラ 20 であって、メ
モリコントローラ 20a は CPU10 からの指示に応じて表示制御を行い、表
示メモリ 18 から表示データをリードし、内部表示用回路 20c を介して
内部表示装置 22 へ、また外部表示用回路 20d を介して外部表示装置 24
へ出力し、
20 1f LCD 等によって構成される表示デバイスである内部表示装置 22 を備
える携帯情報処理装置であり、
1g 外部表示装置 24 は、携帯情報処理装置にケーブル等を介して接続さ
れる CRT 等によって構成される表示デバイスであり、
1h CPU10 は、システムの定常状態において入力装置 16 から入力がある
25 と OS により割り込み処理が実行され、
1i CPU10 は、アプリケーションプログラム 35 の実行により、低解像度の
内部表示装置 22 と高解像度の外部表示装置 24 において描画させるイメ
ージ(内部表示イメージと外部表示イメージ)を、それぞれの表示装置
の解像度に合わせて表示メモリ 18 上にライトし、
1j 表示コントローラ 20 は、アプリケーションプログラム 35 によって表
5 示メモリ 18 にライトされた内部表示イメージと外部表示イメージをリ
ードして、内部表示装置 22 と外部表示装置 24 に対して、それぞれに応
じた描画イメージを表示させる、
1k ことにより、外部表示装置 24 に、低解像度の内部表示装置 22 より大
きい解像度の描画イメージを表示できるようにした、
10 1l ことを特徴とする携帯情報処理装置。
(2) 本件発明と乙 2 発明の相違点
本件発明と乙 2 発明とは、以下の点で相違する。
[相違点 1-1]
本件発明は、
「無線信号を受信してデジタル信号に変換の上、後記中央演
15 算回路に送信すると共に、後記中央演算回路から受信したデジタル信号を
無線信号に変換して送信する無線通信手段」を備えているのに対し、乙 2
発明では「無線通信手段」について特定されていない点。
[相違点 1-2]
本件発明は「携帯情報通信装置」の発明であり、
「無線通信手段から受信
20 した」デジタル信号を処理しているのに対し、乙 2 発明は「携帯情報処理
装置」であって、
「CPU10」が「表示データ」をどこから受信したかについ
て特定されていない点。
[相違点 1-3]
本件発明の「インターフェース手段」は、
「前記グラフィックコントロー
25 ラから受信した「ビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を、
デジタル RGB、TMDS、LDVS(又は LDI)及び GVIF のうちのいずれかの
伝送方式で伝送されるデジタル外部表示信号に変換して、該デジタル外部
表示信号を前記周辺装置に送信する機能を有する」のに対し、乙 2 発明で
は、表示信号の「伝送方式」について特定されていない点。
[相違点 1-4]
5 本件発明は、
「高解像度画像受信・処理・表示機能」と略記される機能を
有し、グラフィックコントローラは、
「携帯情報通信装置が前記高解像度画
像受信・処理・表示機能を実現する場合に」、ディスプレイパネルの画面解
像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータから、所定のデジタ
ル表示信号を生成し、これをディスプレイ制御手段に送信する機能と、デ
10 ィスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビット
マップデータから、所定のデジタル表示信号を生成し、これをインターフ
ェース手段に送信する機能を実現するのに対し、乙 2 発明は、無線通信手
段が特定されていないため、
「高解像度画像受信・処理・表示機能」と略記
される機能を有するかが不明であり、表示コントローラは本件発明の上記
15 送信機能と同様の機能は実現可能であるものの、「高解像度画像受信・処
理・表示機能を実現する場合に」上記送信機能が実現されるものではない
点。
(3) 相違点の容易想到性
ア 相違点 1-1 及び 1-2
20 乙 2 文献【0103】には、
「本装置を実現するコンピュータは、…または通
信媒体を介してプログラムを受信し」と記載があるから、乙 2 発明の携帯
機器において、通信媒体を介してプログラムを受信する「通信手段」の存
在が示唆されている。
また、携帯機器が通信手段を備えることは、本件特許の優先日前におけ
25 る周知技術である。
したがって、乙 2 発明において、当該周知技術を採用して相違点 1-1 及
び 1-2 に係る本件発明の構成を備えることは、当業者が容易に想到できた。
イ 相違点 1-3
「デジタル RGB、
表示装置に表示信号を送信する際に、 TMDS、LVDS(又
は LDI)及び GVIF のうちのいずれかの伝送方式」に変換して送信するこ
5 とは、特開平 11-311969 号公報(乙 5)、特開 2001-228841 号公報(乙 6)及
び特開 2004-208162 号公報(乙 7)の各文献に記載されているとおり、周知
技術であった。
したがって、乙 2 発明の「表示コントローラ 20」において、当該周知技
術を採用して相違点 1-3 に係る本件発明の構成を備えることは、当業者に
10 おいて容易に想到できた。
ウ 相違点 1-4
上記アのとおり、乙 2 文献には「通信手段」の存在が示唆されており、
携帯機器が通信手段を備えることは本件特許の優先日前における周知技
術であった。
15 また、乙 2 文献には、無線通信手段がどのような画像データを受信して
処理するかについて明示的な記載はないものの、内蔵した表示デバイスよ
りも高解像度の画像データを外部表示機器に表示させることで、より広い
画面表示サイズを有効に利用するという課題が開示されている。ここで、
内蔵した表示デバイスよりも高解像度の画像データを外部表示機器に表
20 示させることは、特開 2001-197167 号公報(乙 8)、特開 2003-108472 号公
報(乙 9)、特開 2002-116843 号公報(乙 10)及び特開 2001-352373 号公報
(乙 11)の各文献に記載されているとおり、周知技術であった。
したがって、乙 2 発明において、当該周知技術を採用して相違点 1-4 に
係る本件発明の構成を備えることは、当業者において容易に想到できた。
25 エ 小括
以上のとおり、相違点 1-1~1-4 に係る本件発明の構成は、いずれも本件
特許の優先日当時の周知技術を乙 2 発明に適用することにより、当業者が
容易に想到できたものである。
したがって、本件特許は、特許法 29 条 2 項に違反してされたものであ
り、特許無効審判により無効にされるべきものである(同法 123 条 1 項 2
5 号)。
(原告の主張)
否認ないし争う。
本件審決は、乙 2 発明から、
「無線通信手段が「本来解像度が前記ディスプレ
イパネルの画面解像度より大きい画像データ」を伝達する無線信号を受信して」
10 及び「この「本来解像度が前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい画
像データ」を基に、ディスプレイ制御手段やインターフェース手段に送信する
デジタル表示信号を生成する構成」を想到するのは困難と判断した。被告の指
摘する周知技術を考慮したとしても、上記各構成が想到困難であるとの結論は
全く影響を受けない。
15 したがって、乙 2 発明に、上記周知技術を適用して相違点 1-4 に係る本件発
明の構成を備えることは、当業者において容易に想到できたものではない。
10 争点 2-4-2(乙 3 発明を主引用例とする進歩性の欠如)
(被告の主張)
(1) 乙 3 発明
20 特開 2004-214766 号公報(乙 3。以下「乙 3 文献」という。)の記載によれ
ば、乙 3 文献には以下の発明(以下「乙 3 発明」という。)の記載がある。
2a CPU 等から成り、装置全体の動作を制御する制御部 10 と、
2b 送信回路と受信回路を有して成り、アンテナ 11a を介して電波を送受
信することで、基地局との双方向通信を行う送受信部 11 と、
25 2c 液晶ディスプレイ等から成る情報表示手段である表示部 12 と、
2d ダイヤルキーやブラウザ操作キー等を備えた入力デバイスである操
作部 14 と、
2e ROM や RAM から成る情報格納手段である記憶部 16 と、
2f 入力された情報(静止画、動画、文字など)を外部表示装置 2 で読み
取り可能な信号形式(例えばビデオ信号形式)に変換して出力するイン
5 ターフェース部である画像出力部 17 を有する携帯電話機 1 であり、
2g 制御部 10 は、閲覧中の Web コンテンツ情報を外部表示装置 2 に出力
する場合、送受信部 11 を介して指定サーバから所望の Web コンテンツ
情報を取得して画像出力部 17 に送出し、該情報を外部出力するように
要求し、該要求を受けた画像出力部 17 は、制御部 10 からの入力情報に
10 所定の信号処理を施して外部表示装置 2 に出力し、
2h 外部表示装置 2 として表示部 12 より大型のモニタ装置が用いられ、
2i 携帯電話機 1 での閲覧が意図されていない Web コンテンツについて
も、表示部 12 のサイズや解像度に依存することなく正常に表示するこ
とが可能となる、
15 2j 携帯電話機 1。
(2) 本件発明と乙 3 発明の相違点
本件発明と乙 3 発明とは、以下の点で相違する。
[相違点 2-1]
本件発明では、
「中央演算回路」が無線通信手段から受信したデジタル信
20 号に対し、「前記入力手段から受信したデータと前記記憶手段に格納され
たプログラムに基づき」「リアルタイムでデジタル表示信号を生成するか」
「前記記憶手段に一旦格納」するのに対し、乙 3 発明では、受信した信号
に対する具体的な処理手段について記載がない点。
[相違点 2-2]
25 本件発明では、「グラフィックコントローラ」が、「中央演算回路の処理
結果に基づき、単一の VRAM に対してビットマップデータの書き込み/
読み出しを行い、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル
表示信号」を生成する」のに対し、乙 3 発明では、
「グラフィックコントロ
ーラ」及び「単一の VRAM」に相当する構成について記載がない点。
[相違点 2-3]
5 本件発明では、
「ディスプレイ手段」 「インターフェース手段」 「グ
及び は
ラフィックコントローラから受信したデジタル表示信号に基づき」動作す
るのに対し、乙 3 発明では、「表示部 12」及び「画像出力部 17」が「グラ
フィックコントローラから受信したデジタル表示信号に基づき」動作する
ことが特定されていない点。
10 [相違点 2-4]
本件発明では、「ビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」が、
「デジタル RGB、TMDS、LVDS(又は LDI)及び GVIF のうちのいずれか
の伝送方式」で伝送されるのに対し、乙 3 発明では、表示信号の「伝送方
式」について特定されていない点。
15 [相違点 2-5]
本件発明では、
「高解像度画像受信・処理・表示機能」と略記される機能
を有し、グラフィックコントローラは、
「携帯情報通信装置が前記高解像度
画像受信・処理・表示機能を実現する場合に」、ディスプレイパネルの画面
解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータから、所定のデジ
20 タル表示信号を生成し、これをディスプレイ制御手段に送信する機能と、
ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビッ
トマップデータから、所定のデジタル表示信号を生成し、これをインター
フェース手段に送信する機能を実現するのに対し、 3 発明では、
乙 「本来解
像度が表示部 12 の画面解像度より大きい画像データ」を伝達する無線信
25 号を受信するかが不明であるため、
「高解像度画像受信・処理・表示機能」
と略記される機能を有するかどうかが不明であり、表示部 12 や外部表示
装置 2 に画像を表示する信号が「高解像度画像受信・処理・表示機能を実
現する場合に」生成、送信されるものかが不明である点。
(3) 相違点の容易想到性
ア 相違点 2-1
5 「中央演算回路」が、無線通信手段から受信したデジタル信号に対し、
「前記入力手段から受信したデータと前記記憶手段に格納されたプログ
ラムに基づき」「リアルタイムでデジタル表示信号を生成するか」「前記記
憶手段に一旦格納」するという手順で処理することは、乙 3 文献に明記さ
れてはいないものの、乙 2 文献に開示されているとおり、通常の処理に過
10 ぎない。
したがって、乙 3 発明において、当該手順により処理を行うように構成
することは、当業者における設計事項に過ぎない。
イ 相違点 2-2
乙 2 文献には、本件発明の「グラフィックコントローラ」に相当する表
15 示コントローラ 20 が、本件発明の「単一の VRAM」に相当する表示メモ
リ 18 に対して表示イメージのリード/ライトを行い、読み出した表示イ
メージを伝達する描画イメージを生成することが開示されている。
また、特開平 9-90919 号公報(乙 12)には、本件発明の「グラフィック
コントローラ」に相当するビデオ・アダプタ 20 が、本件発明の「単一の
20 VRAM」に相当するフレーム・バッファ 40 に対して画像情報の読み出し/
書き込みを行い、読み出した画像情報を伝達するビデオ信号を生成するこ
とが開示されている。
このように、相違点 2-2 に係る本件発明の構成は本件特許の優先日当時
の周知技術であり、乙 3 発明において、当該周知技術を採用して相違点 2-
25 2 に係る本件発明の構成を備えることは、当業者において容易に想到でき
た。
ウ 相違点 2-3
乙 2 文献には、表示コントローラ 20 が、表示メモリ 18 から内部表示イ
メージと外部表示イメージをリードして、内部表示装置 22 と外部表示装
置 24 に対し、それぞれに応じた描画イメージを表示させることが開示さ
5 れている。これは、本件発明の「グラフィックコントローラから受信した
デジタル表示信号に基づき駆動されるディスプレイ手段」及び「グラフィ
ックコントローラから受信したデジタル表示信号に基づき外部表示信号
を送信するインターフェース手段」の構成が開示されているものといえる。
また、特開 2000-13776 号公報(乙 4。以下「乙 4 文献」という。)には、
10 表示制御部 23 が、内部表示器 24 及び外部モニタ接続端子 36 に対して、
動画像データを送信する構成が開示されている。これは、本件発明の「グ
ラフィックコントローラから受信したデジタル表示信号に基づき駆動さ
れるディスプレイ手段」及び「グラフィックコントローラから受信したデ
ジタル表示信号に基づき外部表示信号を送信するインターフェース手段」
15 の構成が開示されているものといえる。
このように、相違点 2-3 に係る本件発明の構成は本件特許の優先日当時
の周知技術であり、乙 3 発明において、当該周知技術を採用して相違点 2-
3 に係る本件発明の構成を備えることは、当業者において容易に想到でき
た。
20 エ 相違点 2-4
「デジタル RGB、
表示装置に表示信号を送信する際に、 TMDS、LVDS(又
は LDI)及び GVIF のうちのいずれかの伝送方式」に変換して送信するこ
とは、本件特許の優先日当時の周知技術である。このため、乙 3 発明にお
いて、当該周知技術を採用して相違点 2-4 に係る本件発明の構成を備える
25 ことは、当業者において容易に想到できた。
オ 相違点 2-5
内蔵した表示デバイスよりも高解像度の画像データを外部表示機器に表
示させることは、本件特許の優先日当時の周知技術であった。
また、乙 3 文献では、携帯電話機での閲覧が意図されていない Web コン
テンツについても、表示部 12 のサイズや解像度に依存することなく外部
5 表示装置 2 で正常に表示する構成が開示されており、表示部 12(内蔵の表
示デバイス)よりも高解像度の画像(Web コンテンツ)を受信して、これ
を外部表示装置 2 にて表示させることが示唆されているといえる。
したがって、乙 3 発明において、当該周知技術を採用して相違点 2-5 に
係る本件発明の構成を備えることは、当業者において容易に想到できた。
10 カ 小括
以上のとおり、相違点 2-1~2-5 に係る本件発明の構成は、いずれも本件
特許の優先日当時の周知技術であり、このような周知技術を乙 3 発明に適
用して本件発明の構成とすることは、当業者において容易に想到できたも
のである。したがって、本件特許は、特許法 29 条 2 項に違反してされたも
15 のであり、特許無効審判により無効にされるべきものである。
(原告の主張)
否認ないし争う。
本件審決は、乙 3 発明から、
「無線通信手段が「本来解像度が前記ディスプレ
イパネルの画面解像度より大きい画像データ」を伝達する無線信号を受信して」、
20 及び、「この「本来解像度がディスプレイパネル(表示部 12)の画面解像度よ
り大きい画像データ」を基に、表示部 12 及び外部表示装置 2 に画像を表示する
ための信号を生成する構成」を想到することは困難と判断した。被告の指摘す
る周知技術を考慮したとしても、上記各構成が想到困難であるとの結論は影響
を受けない。
25 11 争点 2-4-3(乙 4 発明を主引用例とする進歩性の欠如)
(被告の主張)
(1) 乙 4 発明
乙 4 文献の記載によれば、乙 4 文献には以下の発明(以下「乙 4 発明」と
いう。)の記載がある。
3a CPU、ROM 及び RAM 等を有してなり、マルチメディア通信端末装置
5 HS1 の各部を総括制御する主制御部 21 と、
3b 符号化映像データのデコードを行い、再生した映像データを表示制御
部 23 へ与える映像デコーダ 22 と、
3c 複数のキースイッチ等の操作デバイスを有しており、ユーザの指示入
力を受け付けて入力内容を主制御部 21 に通知する操作入力部 31 と、
10 3d PHS 端末との間で各種の情報を授受し、通信相手の装置から送信され
た伝送データを受信する無線端末インターフェース部 26 と、
3e カラーLCD を使用してなり、QCIF 信号を表示するのに必要な画素数
(180x144)を有する内部表示器 24 と、
3f 画像データが示す画像を表示するべく内部表示器 24 を制御する表示
15 制御部 23 と、
3g 外部テレビジョンモニタ VM を着脱自在に接続するための外部モニタ
接続端子 36 と、
3h 低解像度の QCIF と高解像度の CIF との間で動画像データのフォーマ
ットを変換する QCIF/CIF 変換部 39 と、を備えたマルチメディア通信端
20 末装置 HS1 であって、
3i 表示制御部 23 は、受信動画像データのフォーマットが CIF である場合
において、外部テレビジョンモニタ VM の接続を判定すると当該 CIF の
動画像データを外部テレビジョンモニタ VM に出力して表示させ、外部
テレビジョンモニタ VM が接続されていないと判定すると CIF から
25 QCIF へのフォーマット変換を行い内部表示器 24 に QCIF の動画像を表
示する、
3j ことにより、外部テレビジョンモニタ VM に CIF の動画像を表示する
ことが可能となる、
3k マルチメディア通信端末装置 HS1。
(2) 本件発明と乙 4 発明の相違点
5 本件発明と乙 4 発明とは、以下の点で相違する。
[相違点 3-1]
「グラフィックコントローラ」が「単一の VRAM」に対し
本件発明では、
てビットマップデータの書き込み/読み出しを行うのに対し、乙 4 発明で
はビットマップデータの書き込み/読み出しについて記載がない点。
10 [相違点 3-2]
本件発明では、「ビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」が、
「デジタル RGB、TMDS、LVDS(又は LDI)及び GVIF のうちのいずれか
の伝送方式」で伝送されるのに対し、乙 4 発明では、表示信号の「伝送方
式」について特定されていない点。
15 (3) 相違点の容易想到性
ア 相違点 3-1
「グラフィックコントローラ」が「単一の VRAM」に対して表示イメー
ジのリード/ライトを行い、読み出した表示イメージを伝達する描画イメ
ージを生成することは、乙 2 文献等に開示されているとおりの周知技術で
20 ある。乙 4 発明において、当該周知技術を採用して相違点 3-1 に係る本件
発明の構成を備えることは、当業者において容易に想到できた。
イ 相違点 3-2
「デジタル RGB、
表示装置に表示信号を送信する際に、 TMDS、LVDS(又
は LDI)及び GVIF のうちのいずれかの伝送方式」に変換して送信するこ
25 とは、本件特許の優先日当時の周知技術である。乙 4 発明において、当該
周知技術を採用して相違点 3-2 に係る本件発明の構成を備えることは、当
業者において容易に想到できた。
(4) 小括
以上のとおり、相違点 3-1 及び 3-2 に係る本件発明の構成は本件特許の優
先日当時の周知技術であり、このような周知技術を乙 4 発明に適用して本件
5 発明の構成とすることは、当業者において容易に想到できたものである。
したがって、本件特許は、特許法 29 条 2 項に違反してされたものであり、
特許無効審判により無効にされるべきものである。
(原告の主張)
否認ないし争う。
10 本件訂正審決は、乙 4 発明から相違点 3−1 に係る本件発明の構成を想到する
ことは困難と判断した。被告の指摘する周知技術を考慮したとしても、上記の
構成が想到困難であるとの結論は全く影響を受けない。
12 争点 2-4-4(P900iV 発明を主引用例とする進歩性の欠如)
(被告の主張)
15 (1) P900iV 発明
ア P900iV は、本件特許の優先日(平成 16 年(2004 年)12 月 24 日)より
も前の同年 6 月に発売された携帯電話である。
したがって、P900iV は本件特許の出願前に公然実施された発明である
(以下「P900iV 発明」という。。

20 イ P900iV 発明の構成
4a ユーザーがマニュアル操作によって入力したボタン押下のデータを
CPU へ送信する操作ボタンと、
4b 赤外線無線信号を受信してデジタル信号に変換の上、CPU に送信する
と共に、CPU から受信したデジタル信号を赤外線無線信号に変換して送
25 信する赤外線無線通信手段と、
4c CPU を動作させるプログラムと、CPU で処理可能なデータファイルと
を格納する内部メモリと、
4d 操作ボタンから受信したデータと内部メモリに格納されたプログラ
ムとに基づき、赤外線無線通信手段から受信したデジタル信号に必要な
処理を行い、リアルタイムでデジタル表示信号を生成するか、又は、自
5 らが処理可能なデータファイルとして内部メモリに一旦格納し、その後
読み出した上で処理する CPU と、
CPU の処理結果に基づき、ビデオメモリに対してビットマップデータ
の書き込み/読み出しを行い、該読み出したビットマップデータを伝達

するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号をディスプレイ
10 制御手段又はインターフェース手段に送信する GPU と、から構成され
るデータ処理手段と、
4e 画面を構成する各々の画素が駆動されることにより画像を表示する、
画素数が 240x320 である液晶パネルと、GPU から受信したデジタル表示
信号に基づき液晶パネルの各々の画素を駆動するディスプレイ制御手段
15 とから構成されるメイン液晶ディスプレイと、
4f 表示パネルを備える外部モニタ(例えば、解像度 3840x2160 の液晶パ
ネルを備えるシャープ製 AQUOS 4T-C40BJ1)を接続し、該外部モニタに
対して、GPU から受信したデジタル表示信号に基づき、外部表示信号を
送信する AV 出力端子と、を備え、
20 4g’ 赤外線無線通信手段が「本来解像度がメイン液晶ディスプレイの液晶
パネルの画面解像度(240x320)より大きい画像データ(例えば、画素数
が 250x330 の画像データ)」を伝達する赤外線無線信号を受信してデジ
タル信号に変換の上、CPU に送信し、CPU が該デジタル信号を受信して、
該デジタル信号が伝達する画像データを処理し、GPU が、該 CPU の処
25 理結果に基づき、前記ビデオメモリに対してビットマップデータの書き
込み/読み出しを行い、該読み出したビットマップデータを伝達するデ

ジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号をディスプレイ制御手
段又は AV 出力端子に送信して、メイン液晶ディスプレイ又は外部モニ
タに画像を表示する機能(以下、「高解像度画像受信・処理・表示機能」
と略記する)を有する、携帯電話において、
5 4h’ GPU は、携帯電話が高解像度画像受信・処理・表示機能を実現する場
合に、ビデオメモリから「メイン液晶ディスプレイの液晶パネルの画面
解像度と同じ解像度(240x320)を有する画像のビットマップデータ」を
読み出し、読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」

を生成し、該デジタル表示信号をメイン液晶ディスプレイのディスプレ
10 イ制御手段に送信する機能と、ビデオメモリから「メイン液晶ディスプ
レイの液晶パネルの画面解像度より大きい解像度(少なくとも 250x330)
を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、
「該読み出したビット
マップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示
信号を AV 出力端子を有する外部出力インターフェースに送信する機能
15 と、を実現し、
4i 外部出力インターフェースは、GPU から受信した「ビットマップデー
タを伝達するデジタル表示信号」を、アナログ外部表示信号に変換する
機能と、該アナログ外部表示信号を外部モニタに送信する AV 出力端子
を有する、
20 4j ことにより、外部モニタに、
「メイン液晶ディスプレイの液晶パネルの
画面解像度(240x320)より大きい解像度(少なくとも 250x330)を有す
る画像」を表示できるようにした、
4k ことを特徴とする携帯電話。
(2) 本件発明と P900iV 発明の相違点
25 本件発明と P900iV 発明とは、以下の点で相違する。
[相違点 4]
本件発明は、
「ビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」 「デ
が、
ジタル RGB、TMDS、LDVS(又は LDI)及び GVIF のうちのいずれかの伝
送方式」で伝送されるのに対し、P900iV 発明では、「アナログ外部表示信
号」で伝送される点。
5 (3) 相違点の容易想到性
表示装置に表示信号を送信する際に、「デジタル RGB、TMDS、LVDS(又
は LDI)及び GVIF のうちのいずれかの伝送方式」に変換して送信すること
は、本件特許の優先日当時の周知技術である。P900iV 発明において、当該周
知技術を採用して相違点 4 に係る本件発明の構成を備えることは、当業者に
10 おいて容易に想到できた。
(4) 小括
以上のとおり、相違点 4 に係る本件発明の構成は本件特許の優先日当時の
周知技術であり、このような周知技術を P900iV 発明に適用して本件発明の
構成とすることは、当業者において容易に想到できたものである。
15 したがって、本件特許は、特許法 29 条 2 項に違反してされたものであり、
特許無効審判により無効にされるべきものである。
(原告の主張)
否認ないし争う。
本件発明と P900iV 発明とは、以下の点で相違する。
20 [相違点 4-1]
本件発明は、無線通信手段から受信したデジタル信号に必要な処理等を
行う中央演算回路と、該中央演算回路の処理結果に基づき生成されたデジ
タル表示信号をディスプレイ制御手段又はインターフェース手段に送信
するグラフィックコントローラと、から構成されるデータ処理手段を備え、
25 高解像度画像受信・処理・表示機能を有するのに対し、P900iV 発明は、何
らかのデータ処理手段を備え、赤外線通信手段が「本来解像度がメイン液
晶ディスプレイの画面解像度より大きい画像データ」を伝達する無線信号
を受信するものの、データ処理手段の機能や構成は不明であり、したがっ
て、高解像度画像受信・処理・表示機能を有しているとはいえない点。
[相違点 4-2]
5 本件発明のインターフェース手段は、グラフィックコントローラから受
信した「ビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を、デジタル
RGB、TMDS、LVDS(又は LDI)及び GVIF のうちのいずれかの伝送方式
で伝送されるデジタル外部表示信号に変換して、該デジタル外部表示信号
を前記周辺装置に送信する機能を有するのに対し、P900iV 発明の AV 出力
10 端子は、何らかの表示信号を受信するとしても、単なる「端子」であるか
ら、受信した表示信号をデジタル外部表示信号に変換する機能を有してお
らず、外部モニタに送信される信号もアナログ信号である点。
[相違点 4-3]
本件発明は、外部ディスプレイ手段に、
「前記ディスプレイパネルの画面
15 解像度より大きい解像度を有する画像」を表示できるようにしたのに対し、
P900iV 発明 は、
「画面解像度がメイン液晶ディスプレイの画面解像度より
大きい外部モニタ」に画像を表示できるものの、
「該外部モニタに表示され
る画像の解像度」は、
「メイン液晶ディスプレイの画面解像度」よりも大き
くない点。
20 これらの相違点に係る本件発明の構成は、被告の指摘する周知技術を適用し
ても、容易に想到することはできない。
13 争点 2−4−5(丙 B1 発明を主引用例とする新規性ないし進歩性の欠如)
(被告補助参加人 FCNT の主張)
(1) 丙 B1 発明
25 Powerbook G4 Technology Overview(平成 16 年(2004 年) 月発行。 B1。
4 丙
「丙 B1 文献」という。
以下、 )の記載によれば、丙 B1 文献には、以下の発明
(以下「丙 B1 発明」という。)が記載されている。
5a ユーザーがデータを入力し、該入力データを CPU へ送信する入力用キ
ーボードと
5b 無線信号を受信してデジタル信号に変換の上、CPU に送信すると共に、
5 CPU から受信したデジタル信号を無線信号に変換して送信する Air Mac
Extreme(無線通信手段)と
5c CPU を動作させるプログラムと CPU で処理可能なデータファイルと
を格納するメモリと
5d1 入力用キーボードを通じて入力されたデータを受信し、メモリ(DDR
10 SDRAM)に格納されたプログラムを用い、Air Mac Extreme(無線通信手
段)から受信したデジタル信号に必要な処理を行い、リアルタイムでデ
ジタル表示信号を生成するか、又は、自らが処理可能なデータファイル
として前記メモリ(DDR SDRAM)にいったん格納し、その後読み出し
た上で処理する CPU と、
15 5d2 CPU の処理結果に基づき、64MB DDR SDRAM ビデオメモリに対し
てピクセル表示を行うためのデータの書き込み・読み出しを行い、「該
読み出したピクセル表示を行うためのデータを伝達するデジタル表示信
号」を生成し、当該デジタル表示信号を本体ディスプレイへの出力を制
御する手段及び「DVI 出力」のためのインターフェース手段に送信する
20 グラフィックコントローラとから構成されるデータ処理手段と、
5e 画面を構成する最大 1,280x854 ピクセルの画素が駆動されることによ
り画像を表示する 15.2 インチ(対角)TFT ワイドスクリーン液晶ディス
プレイと、グラフィックコントローラから受信したデジタル表示信号に
基づき、前記液晶ディスプレイパネルの画素を駆動するディスプレイ制
25 御手段とから構成されるディスプレイ手段と、
5f 外部ディスプレイを接続する周辺装置を接続し、当該周辺装置に対し
て、グラフィックコントローラから受信したデジタル表示信号に基づき、
外部表示信号を送信するインターフェース手段とを備え、
5g’1 無線通信手段が「本来解像度が本体ディスプレイパネルの画面解像
度より大きい画像データ」を伝達する無線信号を受信してデジタル信号
5 に変換の上、CPU に送信し、CPU が当該デジタル信号を受信して、当該
デジタル信号が伝達する画像データを処理し、
5g’2 グラフィックコントローラが、CPU の処理結果に基づき、64MB DDR
SDRAM ビデオメモリに対して、ピクセル単位の表示のためのデータの
書き込み/読み出しを行い、当該読み出したピクセル単位の表示のため

10 のデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号
を前記ディスプレイ制御手段又は前記インターフェース手段に送信して、
前記本体ディスプレイ手段又は前記外部ディスプレイ手段に画像を表示
する機能(以下、「高解像度画像受信・処理・表示機能」と略記する。)
を有するノートブック型パソコンであり、
15 5h’1 「ATI Mobility Radeon 9700 グラフィックプロセッサ」は、高解像度
画像受信・処理・表示機能を実現する場合に、「64MB DDR SDRAM」の
VRAM から「本体ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有す
る画像のピクセル単位の表示を行うためのデータ」を読み出し、
「該読み
出したピクセル単位の表示を行うためのデータを伝達するデジタル表示
20 信号」を生成し、当該デジタル表示信号を前記ディスプレイ制御手段に
送信し、
5h’2 「ATI Mobility Radeon 9700 グラフィックプロセッサ」は、高解像度
画像受信・処理・表示機能を実現する場合に、「64MB DDR SDRAM」の
VRAM から「本体ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を
25 有する画像のピクセル単位の表示のためのデータ」を読み出し、
「該読み
出したピクセル単位の表示のためのデータを伝達するデジタル表示信号」
を生成し、該デジタル表示信号を前記インターフェース手段に送信し、
5i DVI 出力のインターフェース手段は、グラフィックコントローラから
受信した「ピクセル単位の表示をするためのデータを伝達するデジタル
表示信号」を、TMDS の伝送方式で伝送されるデジタル外部表示信号に
5 変換して、該デジタル外部表示信号を前記周辺装置に送信する機能を有
し、
5j 外部ディスプレイ手段に、
「本体ディスプレイパネルの画面解像度より
大きい解像度を有する画像」を表示できるようにした
5k 携帯情報通信装置
10 (2) 新規性欠如
本件発明は、丙 B1 文献に記載された発明(丙 B1 発明)と同一であり、本
件出願前に日本国内において「頒布された刊行物に記載された発明」として、
特許法 29 条 1 項 3 号により特許を受けることができないものである。した
がって、本件特許は、同法 29 条 1 項 3 号に違反してされたものであり、特許
15 無効審判により無効にされるべきものである(同法 123 条 1 項 2 号)。
また、丙 B1 文献に記載された Powerbook G4 は、平成 16 年 4 月 22 日に発
売開始されたものであるから、本件発明は、
「特許出願前に日本国内又は外国
において公然実施をされた発明」として、同法 29 条 1 項 2 号により特許を
受けることができないものである。したがって、本件特許は、同法 29 条 1 項
20 2 号に違反してされたものであり、特許無効審判により無効にされるべきも
のである(同法 123 条 1 項 2 号)。
(3) 進歩性欠如
本件発明と丙 B1 発明との間に仮に何らかの相違点があったとしても、そ
の相違点に係る本件発明の構成は、 B1 発明及び後記 14 の周知技術に基づ

25 いて当業者によって容易に想到される。
したがって、本件特許は、特許法 29 条 2 項に違反してされたものであり、
特許無効審判により無効にされるべきものである。
(原告の主張)
否認ないし争う。
14 争点 2-4-6(丙 B9 発明を主引用例とする新規性ないし進歩性の欠如)
5 (被告及び被告補助参加人 FCNT の主張)
(1) 丙 B9 発明
特開 2001-197167 号公報(丙 B9。以下「丙 B9 文献」という。)の記載によ
れば、丙 B9 文献には、以下の発明(以下「丙 B9 発明」という。)が記載さ
れている。
10 6a 各種データの入力を可能とし、入力されたデータを CPU11 に送信する
操作部 20 と;
6b アンテナ 12a を有し、送信信号の変調および受信信号の復調機能を有
し、CPU11 と相互に信号の送受信を行う通信部 12 と;
6c CPU11 が実行する各種プログラムを格納する ROM14 及びユーザ設
15 定データ等を格納する RAM13 と;
6d1 ROM14 に格納されたプログラムに基づき、入力された表示データ(外
部から取り込んだ画像情報)を、ドットデータとして簡易型液晶表示パネ
ルや CRT 表示器 24 等の大型ディスプレイに送信するよう制御する
CPU11 と、
20 6d2 CPU11 の制御下で、入力された表示データを画像メモリ 22 に記憶さ
せると共に、画像メモリ 22 に記憶させた表示データ(ドットデータ)を
電話機本体に設けられた簡易型液晶表示パネル 23 又は CRT 表示器 24 等
の大型ディスプレイに接続されたモニタ端子 25 に送信する表示制御回
路 21 と;
25 6e 表示制御回路 21 から送られてきた表示データを表示する簡易型液晶
表示パネル 23 と;
6f CRT 表示器 24 等の大型ディスプレイに接続されており、表示制御回
路 21 から送られてきた表示データを CRT 表示器等の大型ディスプレイ
に送信するモニタ端子 25 とを備え、
6g’1 通信部 12 が、簡易型液晶表示パネル 23 では明瞭に表示できない画
5 像情報を受信して復調の上、CPU11 に送信し、CPU11 が、ドットデー
タとして簡易型液晶表示パネルや CRT 表示器 24 等の大型ディスプレ
イに送信するよう表示制御回路 21 を制御し、
6g’2 CPU11 の制御下で、表示制御回路 21 が、表示データを画像メモリ
22 に記憶させると共に、画像メモリ 22 に記憶させた表示データ(ドッ
10 トデータ)を電話機本体に設けられた簡易型液晶表示パネル 23 又は CRT
表示器 24 等の大型ディスプレイに接続されたモニタ端子 25 に送信して、
簡易型液晶表示パネル 23 又は CRT 表示器 24 等の大型ディスプレイに
画像を表示する機能を有する、携帯電話機において、
6h’1 外部から受信した情報量の多い表示データを携帯電話機が簡易型液
15 晶表示パネル 23 では明瞭に表示できない画像情報を表示する機能を実
現する場合に、表示制御回路 21 は、画像メモリ 22 に記憶させた表示デ
ータ(ドットデータ)を電話機本体に設けられた簡易型液晶表示パネル
23 に送信し、簡易型液晶表示パネル 23 に表示データの全てを欠落なく
表示できない(表示データの全てを欠落なく表示できない、又はスクロ
20 ール操作によらなければ全画像を見られない)又は表示内容が明瞭でな
い(拡大しなければ字を読みにくい)ように表示する機能と、
6h’2 画像メモリ 22 に記憶させた表示データ(ドットデータ)を CRT 表
示器 24 等の大型ディスプレイに接続されたモニタ端子 25 に送信し、
CRT 表示器 24 等の大型ディスプレイに、簡易型液晶表示パネル 23 では
25 明瞭に表示できない画像情報を、欠落なく(スクロール操作することな
く)表示する機能と、を実現し、
6i モニタ端子 25 は、表示制御回路 21 から受信した表示データ(ドット
データ)を CRT 表示器 24 等の大型ディスプレイに表示できるようにし
て送信する機能を有する、
6j ことにより、CRT 表示器 24 等の大型ディスプレイに、簡易型液晶表示
5 パネル 23 では明瞭に表示できない画像情報を、欠落なく(スクロール操
作することなく)表示できるようにした、
6k 携帯電話機
(2) 新規性欠如
本件発明と丙 B9 発明を対比すると、両発明の間に相違点は存在しない。
10 すなわち、本件発明は丙 B9 文献に記載された発明(丙 B9 発明)であり、本
件出願前に日本国内において「頒布された刊行物に記載された発明」として、
特許法 29 条 1 項 3 号の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、本件特許は、同法 29 条 1 項 3 号に違反してされたものであり、
特許無効審判により無効にされるべきものである。
15 (3) 進歩性欠如
ア 相違点
本件発明と丙 B9 発明との間に仮に相違点があるとしても、原告主張に
係る後記相違点 6 は相違点ではなく、以下の点のみである。
すなわち、本件発明は、
「前記グラフィックコントローラは、前記携帯情
20 報通信装置が前記高解像度画像受信・処理・表示機能を実現する場合に、
前記単一の VRAM から「前記ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解
像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、
「該読み出したビッ
トマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示
信号を前記ディスプレイ制御手段に送信する機能」 「前記単一の VRAM
と、
25 から「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画
像のビットマップデータ」を読み出し、
「該読み出したビットマップデータ
を伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記イン
ターフェース手段に送信する機能」とを実現するのに対し、 B9 発明は、

画像メモリ(単一の VRAM)から、①「簡易型液晶表示パネル 23 の画面
解像度と同じ解像度を有する画像のドットデータ」と、②「簡易型液晶表
5 示パネル 23 の画面解像度より大きい解像度を有する画像のドットデータ」
を読み出し、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示
信号を生成する」機能が特定されていないという点で相違する。
イ 相違点の容易想到性
携帯電話機等の携帯情報通信機器において、画像データを内部ディスプ
10 レイと外部ディスプレイに出力して表示させることは周知技術に過ぎな
い。また、丙 B9 発明と当該周知技術は、内部ディスプレイ及び外部ディ
スプレイの両方に画像データを表示可能な携帯情報通信機器という点で
技術分野及び作用・機能が共通しており、丙 B9 発明には表示データの送
出先を簡易型液晶表示パネル 23 とモニタ端子 25 で選択可能であることが
15 示されているから、 B9 発明に当該周知技術を適用する動機付けがある。

したがって、上記相違点に係る本件発明の構成は、丙 B9 発明及び周知
技術に基づき当業者において容易に想到できた。
ウ 小括
以上より、本件発明は、仮に丙 B9 発明との相違点があったとしても、
20 日本国内において「頒布された刊行物に記載された発明」に基づいて当業
者が容易にすることができた発明であるから、本件特許は、特許法 29 条 2
項に違反してされたものであり、特許無効審判により無効にされるべきも
のである。
(原告の主張)
25 否認ないし争う。
丙 B9 文献には、
「携帯情報通信装置(携帯電話機)が高解像度画像受信・処
理・表示機能を有する構成」について開示も示唆もされていない。したがって、
本件発明と丙 B9 発明とは、次の点で相違する(以下「相違点 6」という。。

すなわち、本件発明は、高解像度画像受信・処理・表示機能を有し、グラフ
ィックコントローラは、携帯情報通信装置が高解像度画像受信・処理・表示機
5 「前記単一の VRAM から「前記ディスプレイパネルの画面
能を実現する場合に、
解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、
「該読み出
したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示
信号を前記ディスプレイ制御手段に送信する機能」及び「前記単一の VRAM か
ら「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビッ
10 トマップデータ」を読み出し、
「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタ
ル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記インターフェース手段に送信
する機能」を実現する。これに対し、丙 B9 発明は、通信部 12 が、
「本来解像度
がディスプレイパネル(簡易型液晶表示パネル 23)の画面解像度より大きい画
像データ」を伝達する無線信号を受信するものではないため、
「本来解像度がデ
15 ィスプレイパネル(簡易型液晶表示パネル 23)の画面解像度より大きい画像デ
ー タ 」 を基に、簡易型液晶表示パネル 23 で画像を表示するための信号と CRT
表示器 24 で画像を表示するための信号との両方を生成するものではないから、
高解像度画像受信・処理・表示機能 を有さず、また、表示制御回路 21 におい
ても、簡易型液晶表示パネル 23 や CRT 表示器 24 で画像を表示するための表示
20 データは、高解像度画像受信・処理・表示機能 を実現する場合に生成・送信さ
れるものではない。
仮に、周知技術によって、 「 丙 B9 発明 の表示制御回路 21 の画像メモリ 22

からの表示データの読み出し」と「本件発明のグ ラ フ ィ ッ ク コ ン ト ロ ー ラ
の単一の VRAM からのビットマップデータの読み出し」との間の相違点」が克
25 服できたとしても、「簡易型液晶表示パネル 23 や CRT 表示器 24 で画像を表示
するための表示データは、高解像度画像受信・処理・表示機能 を実現する場合
に生成 送信されるものではない」
・ という根本的な相違点が克服できなければ、
本件発明の容易想到性を立証できたことにならないが、被告及び被告補助参加
人 FCNT の指摘する周知技術を考慮したとしても、この点は克服できない。
したがって、相違点 6 に係る本件発明の構成は、当業者が容易に想到できる
5 ものではない。
15 争点 2-4-7(分割要件違反に起因する新規性の欠如)
(被告の主張)
(1) 本件原出願の分割要件違反
ア 分割要件について
10 特許法 44 条 1 項は、「二以上の発明を包含する特許出願の一部を一又は
二以上の新たな特許出願とすることができる」と規定するところ、分割要
件を満たすためには、分割出願の明細書、特許請求の範囲又は図面に記載
された事項が、原出願の出願当初の明細書、特許請求の範囲又は図面に記
載された事項の範囲内であることを要する。
15 本件原出願が本件原々出願の出願時に出願したものとみなされるために
は、本件原出願が本件原々出願との関係で分割要件を満たす必要があると
ころ、本件原出願は、以下のとおり、本件原々出願の出願当初の明細書等
の記載と相違しており、本件原々出願の出願当初の明細書等に存在しない
事項を含むものであるから、本件原出願は分割要件を満たさない。そのた
20 め、本件原出願の出願日は、本件原々出願の出願日まで遡及せず、現実の
出願日である平成 18 年 10 月 11 日となる。
また、本件原出願の現実の出願日(平成 18 年 10 月 11 日)は、本件原々
出願において優先権主張の基礎とされた特願 2004-372558 号(出願日:平
成 16 年 12 月 24 日)及び特願 2005-218159 号(出願日:平成 17 年 7 月 28
25 日)のいずれの出願日からも 1 年を経過しており、本件原出願に当該優先
権主張の効果は及ばない。
したがって、本件出願は、本件原出願の現実の出願日である平成 18 年
10 月 11 日を基準として、特許性の判断がされるべきものである。
イ 本件原出願は本件原々出願に記載のない事項を含むこと
原告の主張によれば、本件発明の構成要件 H’の「単一の VRAM に書き
5 込むビットマップデータ」については、
「画像の解像度」が何ら特定されて
いない、換言すれば、「単一の VRAM」には任意解像度のビットマップデ
ータが書き込まれるものと理解される。このようなクレーム解釈は、本件
明細書及び本件原出願の明細書【0152】及び【0153】において、グラフィ
ックコントローラ 1_10B は、あらかじめ十分な大きさの論理解像度を有す
10 るように設定された仮想画面におけるビットマップデータを生成し
VRAM1_10C に書き込むところ、「あらかじめ十分な大きさの論理解像度」
とはいかなる解像度であるかについて特段の限定はないことから、
VRAM1_10C には任意解像度のビットマップデータが書き込まれることが
開示されているとの理解に基づくものと解される。
15 しかし、本件原々出願の当初明細書にはこれに対応する記載はない。す
なわち、本件原出願の明細書には、(あらかじめ十分な大きさの論理解像

度を有するように設定された)仮想画面におけるビットマップデータを生
成し、VRAM1_10C に書き込む」という本件原々出願の当初明細書等に存
在しない事項が含まれている。そうである以上、本件原出願の記載事項は、
20 「もとの出願の当初明細書等に記載された事項の範囲内」とはいえない。
本件原出願は、このほかにも、「適切な処理」の用語の定義の変更、「高
解像度」の用語の定義の追加、
「デジタル表示信号」の生成主体の変更、
「本
来画像」の定義の追加、
「本来解像度」の定義の追加、段落【0131】の記載
の変更、XGA から VGA への変更、段落【0159】の記載の変更、RF 送受信
25 部 111B-共用アンテナ 113A 間の信号線の変更、共用器 113D-RF 送受信
部 111B 間の信号線の変更、といった本件原々出願の出願当初の明細書等
に存在しない事項を含み、「もとの出願の当初明細書等に記載された事項
の範囲内」であるとはいえない。
(2) 乙 27 発明に基づく新規性欠如
本件発明は、本件原出願の出願日である平成 18 年 10 月 11 日を基準とし
5 て新規性等の判断がされるべきところ、以下のとおり、国際公開 2006/068003
(同年 6 月 29 日公開。乙 27。以下「乙 27 文献」という。)に係る発明(以
下「乙 27 発明」という。)と同一である。したがって、本件特許は新規性欠
如の無効理由を有する。
ア 乙 27 発明
10 乙 27 文献は、本件原々出願において優先権主張の基礎とされた特願
2004-372558 号(出願日:2004 年 12 月 24 日)及び特願 2005-218159 号(出
願日:2005 年 7 月 28 日)を優先権主張の基礎とした特許協力条約に基づ
く国際出願に係る国際公開公報に係る刊行物であり、本件原出願の出願日
より前に公開されたものである。
15 乙 27 文献の記載によれば、乙 27 には、以下の発明(乙 27 発明)の記載
がある。
7a ユーザーがマニュアル操作によってデータを入力し、該入力データ
を後記中央演算回路 1_10A1 へ送信する入力手段(キー操作部 16A 及
びキー入力コントローラ 16B)と;
20 7b 無線信号を受信してデジタル信号に変換の上、後記中央演算回路
1_10A1 に送信すると共に、後記中央演算回路 1_10A1 から受信したデ
ジタル信号を無線信号に変換して送信する無線通信手段(通信用アン
テナ 111A、RF 送受信部 111B、ベースバンドプロセッサ 11)と;
7c 後記中央演算回路 1_10A1 を動作させるプログラムと後記中央演算
25 回路 1_10A1 で処理可能なデータファイルとを格納する記憶手段(フ
ラッシュメモリ 14A)と;
7d 前記入力手段(キー操作部 16A 及びキー入力コントローラ 16B)か
ら受信したデータと前記記憶手段(フラッシュメモリ 14A)に格納さ
れたプログラムとに基づき、前記無線通信手段(通信用アンテナ 111A、
RF 送受信部 111B、ベースバンドプロセッサ 11)から受信したデジタ
5 ル信号に必要な処理を行い、リアルタイムでデジタル表示信号を生成
するか、又は、自らが処理可能なデータファイルとして前記記憶手段
(フラッシュメモリ 14A)に一旦格納し、その後読み出した上で処理
する中央演算回路 1_10A1 と、該中央演算回路 1_10A1 の処理結果に
基づき、VRAM1_10C に対してビットマップデータの書き込み/読み
10 出しを行い、該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表

示信号」を生成し、該デジタル表示信号を後記ディスプレイ制御手段
又は後記インターフェース手段に送信するグラフィックコントローラ
1_10B と、から構成されるデータ処理手段と;
7e 画面を構成する各々の画素が駆動されることにより画像を表示する
15 ディスプレイパネル(LCD パネル 15A)と、前記グラフィックコント
ローラ 1_10B から受信したデジタル表示信号に基づき前記ディスプレ
イパネル(LCD パネル 15A)の各々の画素を駆動するディスプレイ制
御手段(LCD ドライバ 15B)とから構成されるディスプレイ手段と;
7f 外部ディスプレイ手段(外部ディスプレイ装置 5)を備えるか、又
20 は、外部ディスプレイ手段(外部ディスプレイ装置 5)を接続する周
辺装置(接続ユニット 3)を接続し、該周辺装置(接続ユニット 3)に
対して、前記グラフィックコントローラ 1_10B から受信したデジタル
表示信号に基づき、外部表示信号を送信するインターフェース手段(外
部接続端子部 A_13D、TMDS トランスミッタ 13A)と;
25 7g’ を備え、
前記無線通信手段(通信用アンテナ 111A、RF 送受信部 111B、ベー
スバンドプロセッサ 11)が「本来解像度が前記ディスプレイパネル
(LCD パネル 15A)の画面解像度より大きい画像データ」を伝達する
無線信号を受信してデジタル信号に変換の上、前記中央演算回路
1_10A1 に送信し、前記中央演算回路 1_10A1 が該デジタル信号を受信
5 して、該デジタル信号が伝達する画像データを処理し、前記グラフィ
ックコントローラ 1_10B が、該中央演算回路 1_10A1 の処理結果に基
づき、VRAM1_10C に対してビットマップデータの書き込み/読み出
しを行い、該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示

信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記ディスプレイ制御手段
10 (LCD ドライバ 15B)又は前記インターフェース手段(外部接続端子
部 A_13D、TMDS トランスミッタ 13A)に送信して、前記ディスプレ
イ手段(LCD パネル 15A、LCD ドライバ 15B)又は前記外部ディスプ
レイ手段(外部ディスプレイ装置 5)に画像を表示する機能(以下、
「高解像度画像受信・処理・表示機能」と略記する。)を有する、
15 携帯情報通信装置において、
7h’ 前記グラフィックコントローラ 1_10B は、前記携帯情報通信装置
が前記高解像度画像受信・処理・表示機能を実現する場合に、
VRAM1_10C から「前記ディスプレイパネル(LCD パネル 15A)の画
面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出
20 し、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」
を生成し、該デジタル表示信号を前記ディスプレイ制御手段(LCD パ
ネル 15A、LCD ドライバ 15B)に送信する機能と、VRAM1_10C から
「前記ディスプレイパネル(LCD パネル 15A)の画面解像度より大き
い解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、
「該読み出
25 したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該
デジタル表示信号を前記インターフェース手段(外部接続端子部
A_13D、TMDS トランスミッタ 13A)に送信する機能と、を実現し、
7i 前記インターフェース手段(外部接続端子部 A_13D、TMDS トラン
スミッタ 13A)は、前記グラフィックコントローラ 1_10B から受信し
た「ビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を、デジタル
5 RGB、TMDS、LVDS(又は LDI)及び GVIF のうちのいずれかの伝送
方式で伝送されるデジタル外部表示信号に変換して、該デジタル外部
表示信号を前記周辺装置(接続ユニット 3)に送信する機能を有する、
7j ことにより、
前記外部ディスプレイ手段(外部ディスプレイ装置 5)に、
「前記デ
10 ィスプレイパネル(LCD パネル 15A)の画面解像度 QVGA より大き
い解像度を有する画像」を表示できるようにした、
7k ことを特徴とする携帯情報通信装置(携帯電話機 1)。
イ 対比
乙 27 文献に「単一の VRAM」なる構成は開示されていないものの、同
15 文献記載の「VRAM1_10C」が本件発明の「単一の VRAM」に相当するな
らば、乙 27 発明の構成 5a~5k は、それぞれ、本件発明の構成要件 A~K
と一致する(仮に乙 27 文献記載の「VRAM1_10C」が本件発明の「単一の
VRAM」と異なるのであれば、本件明細書には「単一の VRAM」に相当す
る構成は開示されていないことになり、本件特許はサポート要件に違反し
20 てされたものとなる。 。

ウ 小括
以上のとおり、本件発明は、現実の出願日より前に公知となった乙 27 発
明と同一であるから、本件特許は、特許法 29 条 1 項 3 号に違反してされ
たものであり、特許無効審判により無効にされるべきものである。
25 (原告の主張)
否認ないし争う。
本件原出願に係る発明は、本件原々出願の当初明細書等に記載された事項の
範囲内であり、本件原出願は分割要件を充足する。
16 争点 3(原告の損害発生の有無及びその額)
(原告の主張)
5 (1) イ号製品の実施料相当額
被告は、遅くとも平成 23 年 12 月 15 日~令和 3 年 10 月 31 日の間、イ号製
品を平均単価 6 万 3630 円で少なくとも 13 万 5000 個販売した。また、イ号製
品の購入者にイ号製品を使用させることで、少なくとも 110 億 1000 万円の通
信料収入を得た。
10 実施料率は少なくとも 1%が相当であるから、原告がその実施に対して受
けるべき金銭の額は 1 億 9600 万円を下らない。
(2) ロ号製品の実施料相当額
被告は、遅くとも平成 24 年 8 月 3 日~令和 3 年 10 月 31 日の間、ロ号製
品を平均単価 8 万 4630 円で少なくとも 3 万 5000 個販売した。また、ロ号製
15 品の購入者にロ号製品を使用させることで、少なくとも 28 億 5000 万円の通
信料収入を得た。
実施料率は少なくとも 1%が相当であるから、原告がその実施に対して受
けるべき金銭の額は 5800 万円を下らない。
(3) ハ号製品の実施料相当額
20 被告は、遅くとも平成 24 年 8 月 30 日~令和 3 年 10 月 31 日の間、ハ号製
品を平均単価 8 万 7150 円で少なくとも 1 万 5000 個販売した。また、ハ号製
品の購入者にハ号製品を使用させることで、少なくとも 12 億 2000 万円の通
信料収入を得た。
実施料率は少なくとも 1%が相当であるから、原告がその実施に対して受
25 けるべき金銭の額は 2500 万円を下らない。
(4) ニ号製品の実施料相当額
被告は、遅くとも平成 23 年 10 月 15 日~令和 3 年 10 月 31 日の間、ニ号
製品を平均単価 5 万 0400 円で少なくとも 1 万個販売した。また、ニ号製品の
購入者にニ号製品を使用させることで、少なくとも 8 億 1000 万円の通信料収
入を得た。
実施料率は少なくとも 1%が相当であるから、原告がその実施に対して受
5 けるべき金銭の額は 1300 万円を下らない。
(5) ホ号製品の実施料相当額
被告は、遅くとも平成 23 年 11 月 24 日~令和 3 年 10 月 31 日の間、ホ号
製品を平均単価 6 万 1110 円で少なくとも 72 万 7000 個販売した。また、ホ号
製品の購入者にホ号製品を使用させることで、少なくとも 593 億 2000 万円の
10 通信料収入を得た。
実施料率は少なくとも 1%が相当であるから、原告がその実施に対して受
けるべき金銭の額は 10 億 3700 万円を下らない。
(6) ヘ号製品の実施料相当額
被告は、遅くとも平成 24 年 4 月 6 日~令和 3 年 10 月 31 日の間、ヘ号製
15 品を平均単価 6 万 9510 円で少なくとも 48 万 1000 個販売した。また、ヘ号製
品の購入者にヘ号製品を使用させることで、少なくとも 392 億 4000 万円の通
信料収入を得た。
実施料率は少なくとも 1%が相当であるから、原告がその実施に対して受
けるべき金銭の額は 7 億 2700 万円を下らない。
20 (7) ト号製品の実施料相当額
被告は、遅くとも平成 24 年 10 月 25 日~令和 3 年 10 月 31 日の間、ト号
製品を平均単価 8 万 4840 円で少なくとも 1 万個販売した。また、ト号製品の
購入者にト号製品を使用させることで、少なくとも 8 億 1000 万円の通信料収
入を得た。
25 実施料率は少なくとも 1%が相当であるから、原告がその実施に対して受
けるべき金銭の額は 1700 万円を下らない。
(8) チ号製品の実施料相当額
被告は、遅くとも平成 24 年 2 月 24 日~令和 3 年 10 月 31 日の間、チ号製
品を平均単価 5 万 1030 円で少なくとも 7 万 9000 個販売した。また、チ号製
品の購入者にチ号製品を使用させることで、少なくとも 64 億 4000 万円の通
信料収入を得た。
実施料率は少なくとも 1%が相当であるから、原告がその実施に対して受
5 けるべき金銭の額は 1 億 0500 万円を下らない。
(9) リ号製品の実施料相当額
被告は、遅くとも平成 24 年 3 月 15 日~令和 3 年 10 月 31 日の間、リ号製
品を平均単価 6 万 0480 円で少なくとも 84 万 6000 個販売した。また、リ号製
品の購入者にリ号製品を使用させることで、少なくとも 690 億 3000 万円の通
10 信料収入を得た。
実施料率は少なくとも 1%が相当であるから、原告がその実施に対して受
けるべき金銭の額は 12 億 0200 万円を下らない。
(10) ヌ号製品の実施料相当額
被告は、遅くとも平成 24 年 6 月 29 日~令和 3 年 10 月 31 日の間、ヌ号製
15 品を平均単価 7 万 0350 円で少なくとも 22 万 1000 個販売した。また、ヌ号製
品の購入者にヌ製品を使用させることで、少なくとも 180 億 3000 万円の通信
料収入を得た。
実施料率は少なくとも 1%が相当であるから、原告がその実施に対して受
けるべき金銭の額は 3 億 3600 万円を下らない。
20 (11) ル号製品の実施料相当額
被告は、遅くとも平成 24 年 8 月 30 日~令和 3 年 10 月 31 日の間、ル号製
品を平均単価 8 万 2110 円で少なくとも 15 万 9000 個販売した。また、ル号製
品の購入者にル号製品を使用させることで、少なくとも 129 億 7000 万円の通
信料収入を得た。
25 実施料率は少なくとも 1%が相当であるから、原告がその実施に対して受
けるべき金銭の額は、2 億 6000 万円を下らない。
(12) ヲ号製品の実施料相当額
被告は、遅くとも平成 24 年 8 月 9 日~令和 3 年 10 月 31 日の間、ヲ号製
品を平均単価 7 万 5390 円で少なくとも 28 万個販売した。また、ヲ号製品の
購入者にヲ号製品を使用させることで、少なくとも 228 億 4000 万円の通信料
収入を得た。
実施料率は少なくとも 1%が相当であるから、原告がその実施に対して受
5 けるべき金銭の額は 4 億 3900 万円を下らない。
(13) ワ号製品の実施料相当額
被告は、遅くとも平成 24 年 8 月 10 日~令和 3 年 10 月 31 日の間、ワ号製
品を平均単価 6 万 1950 円で少なくとも 25 万 4000 個販売した。また、ワ号製
品の購入者にワ号製品を使用させることで、少なくとも 207 億 2000 万円の通
10 信料収入を得た。
実施料率は少なくとも 1%が相当であるから、原告がその実施に対して受
けるべき金銭の額は 3 億 6500 万円を下らない。
(14) カ号製品の実施料相当額
被告は、遅くとも平成 24 年 11 月 16 日~令和 3 年 10 月 31 日の間、カ号
15 製品を平均単価 6 万 8670 円で少なくとも 41 万 7000 個販売した。また、カ号
製品の購入者にカ号製品を使用させることで、少なくとも 340 億 2000 万円の
通信料収入を得た。
実施料率は少なくとも 1%が相当であるから、原告がその実施に対して受
けるべき金銭の額は 6 億 2700 万円を下らない。
20 (15) ヨ号製品の実施料相当額
被告は、遅くとも平成 24 年 7 月 26 日~令和 3 年 10 月 31 日の間、ヨ号製
品を平均単価 7 万 2030 円で少なくとも 22 万 9000 個販売した。また、ヨ号製
品の購入者にヨ号製品を使用させることで、少なくとも 186 億 8000 万円の通
信料収入を得た。
25 実施料率は少なくとも 1%が相当であるから、原告がその実施に対して受
けるべき金銭の額は 3 億 5200 万円を下らない。
(16) タ号製品の実施料相当額
被告は、遅くとも平成 24 年 6 月 28 日~令和 3 年 10 月 31 日の間、タ号製
品を平均単価 7 万 4550 円で少なくとも 62 万 5000 個販売した。また、タ号製
品の購入者にタ号製品を使用させることで、少なくとも 510 億円の通信料収入
を得た。
実施料率は少なくとも 1%が相当であるから、原告がその実施に対して受
5 けるべき金銭の額は 9 億 7600 万円を下らない。
(17) レ号製品の実施料相当額
被告は、遅くとも平成 24 年 11 月 21 日~令和 3 年 10 月 31 日の間、レ号
製品を平均単価 5 万 8800 円で少なくとも 4 万 5000 個販売した。また、レ号
製品の購入者にレ号製品を使用させることで、少なくとも 36 億 7000 万円の
10 通信料収入を得た。
実施料率は少なくとも 1%が相当であるから、原告がその実施に対して受
けるべき金銭の額は 6300 万円を下らない。
(18) ソ号製品の実施料相当額
被告は、遅くとも平成 24 年 11 月 29 日~令和 3 年 10 月 31 日の間、ソ号
15 製品を平均単価 8 万 3790 円で少なくとも 45 万 8000 個販売した。また、ソ号
製品の購入者にソ号製品を使用させることで、少なくとも 373 億 7000 万円の
通信料収入を得た。
実施料率は少なくとも 1%が相当であるから、原告がその実施に対して受
けるべき金銭の額は 7 億 5700 万円を下らない。
20 (19) ツ製品の実施料相当額
被告は、遅くとも平成 25 年 5 月 17 日~令和 3 年 10 月 31 日の間、ツ号製
品を平均単価 7 万 8120 円で少なくとも 200 万個販売した。また、ツ号製品の
購入者にツ号製品を使用させることで、少なくとも 1632 億円の通信料収入を
得た。
25 実施料率は少なくとも 1%が相当であるから、原告がその実施に対して受
けるべき金銭の額は 31 億 9400 万円を下らない。
(20) ネ号製品の実施料相当額
被告は、遅くとも平成 25 年 9 月 18 日~令和 3 年 10 月 31 日の間、ネ号製
品を平均単価 8 万円で少なくとも 3 万 9000 個販売した。また、ネ号製品の購
入者にネ号製品を使用させることで、少なくとも 31 億 8000 万円の通信料収
入を得た。
実施料率は少なくとも 1%が相当であるから、原告がその実施に対して受
5 けるべき金銭の額は 6300 万円を下らない。
(21) ナ号製品の実施料相当額
被告は、遅くとも平成 24 年 10 月 19 日~令和 3 年 10 月 31 日の間、ナ号
製品を平均単価 7 万 7070 円で少なくとも 18 万 9000 個販売した。また、ナ号
製品の購入者にナ号製品を使用させることで、少なくとも 154 億 2000 万円の
10 通信料収入を得た。
実施料率は少なくとも 1%が相当であるから、原告がその実施に対して受
けるべき金銭の額は 3 億円を下らない。
(22) ラ号製品の実施料相当額
被告は、遅くとも平成 25 年 7 月 31 日~令和 3 年 10 月 31 日の間、ラ号製
15 品を平均単価 6 万 9720 円で少なくとも 23 万個販売した。また、ラ号製品の
購入者にラ号製品を使用させることで、少なくとも 187 億 6000 万円の通信料
収入を得た。
実施料率は少なくとも 1%が相当であるから、原告がその実施に対して受
けるべき金銭の額は 3 億 4800 万円を下らない。
20 (23) ム号製品の実施料相当額
被告は、遅くとも平成 25 年 6 月 19 日~令和 3 年 10 月 31 日の間、ム号製
品を平均単価 6 万 7200 円で少なくとも 6 万 5000 個販売した。また、ム号製
品の購入者にム号製品を使用させることで、少なくとも 53 億円の通信料収入
を得た。
25 実施料率は少なくとも 1%が相当であるから、原告がその実施に対して受
けるべき金銭の額は、9700 万円を下らない。
(24) 小括
以上から、特許法 102 条 3 項に基づき被告が賠償すべき損害額は実施料相
当額合計である 115 億 5700 万円を下らない。原告は、被告に対し、不法行為
に基づき、その一部として 1000 万円の損害賠償を請求する。
(被告の主張)
否認ないし争う。
5 第4 当裁判所の判断
1 争点 2-4-6(丙 B9 発明を主引用例とする進歩性の欠如)について
事案に鑑み、争点 2-4-6 から判断する。
(1) 本件明細書の記載等
本件明細書(甲 2)には、以下の記載がある。
10 ア 技術分野
本発明は、携帯電話機などの携帯情報通信装置、携帯情報通信装置とと
もに用いる接続ユニット、及び携帯情報通信装置とともに用いる外部入出
力ユニットに関する。 【0001】
( )
イ 背景技術
15 携帯電話機を中心とする携帯情報通信装置において、文字や映像を含む
画像の表示機能は、今後、ますます重要性を増していくものと考えられる。
ところが、携帯電話機をはじめとする携帯情報通信装置においては、その
携帯性が重視されるため大きいサイズのディスプレイを付属させること
ができない。【0004】
( )
20 このような画面上の制約のため、携帯情報通信装置で電子メールを受信
した場合、それが長文である場合には、文章が表示画面内におさまらず、
何行にもわたって表示されるため、垂直スクロールを何度も繰り返さなけ
ればならず、結果として、その内容を円滑に理解できなことが起こる。一
方、電子メールの発信者は、たとえ自分自身が十分な大きさの表示画面を
25 有するデスクトップタイプやノートブックタイプのパーソナルコンピュ
ータシステム…を用いており、したがって、長文を画面に表示するのに支
障がない場合であっても、そのような受信者側の制約を考慮すれば、携帯
情報通信装置向けにはおのずと短いメールとせざるを得ない。【0005】
( )
さらに、携帯情報通信装置でウェブページを閲覧する際の制約は、電子
メールの読解する場合よりも大きい。通常、パソコンで閲覧されることを
5 想定して作成されるウェブページ…は、HTML で記述された文書ファイル
…及びそのリンクファイルで構成される。ところが、多くの携帯電話機で
は、付属ディスプレイの画面サイズ・画面解像度が小さいことを理由の一
つとして、フルスペックの HTML で記述されたウェブページを適切に閲覧
することはできず、閲覧できるのはパソコン向けウェブサイトとは別個に
10 構築されたいわゆる「ケータイ向けサイト」のウェブページであって、…
携帯情報通信装置向けに特化したマークアップ言語で記述されたウェブ
ページだけとなっている。このため、特に解像度の大きい画像ファイルに
リンクした HTML ファイルで記述されたウェブページは、ほとんどの場合
正しく表示できず、また、画面を複数のフレームに分割し、各フレームに
15 異なる URL…を有するファイルを割り当てるフレーム表示のウェブペー
ジを含むウェブサイトなどでは、そもそも管理者側が携帯電話機からのア
クセス自体を拒否することもある。【0006】
( )
最近は、パソコン向けウェブページを閲覧できる「フルブラウザ機能」
又は「PC…サイトビュー機能」を有する携帯電話機が発売されているが、
20 多くの場合、…ウェブページの作成者が本来意図したはずの、パソコンの
画面イメージとして実現されるレイアウトで表示されるわけではない。
また、携帯電話機によっては、パソコンでの画面イメージに近いレイア
ウトで表示するレンダリングモードを有する場合もあるが、…このレンダ
リングモードでは、水平スクロールを何度も繰り返さなければウェブエー
25 ジの全体を閲覧することができず、したがって、ウェブページの全容を理
解することに支障が生じる。【0007】
( )
携帯情報通信装置でゲームを楽しむ場合でも、そのゲームはグラフィッ
クスがサイズの小さな付属ディスプレイに表示できる程度の比較的単純
なゲームに限定される。…
また、付属ディスプレイの画面解像度が最大でも QVGA である携帯電話
5 機でテレビ番組を視聴する場合、…テレビ放送が前提とする有効走査線の
数(=垂直画素数。…)は付属ディスプレイの画面垂直解像度…より大き
いため、画素を間引いて表示する必要がある。…付属ディスプレイの画面
解像度が最大でも QVGA である携帯電話機では、十分なテレビチューナ機
能及び表示機能を有するテレビジョン受像機…によってテレビ放送信号を
10 適切に処理した場合に表示される本来の解像度を有する画像…を全画面表
示することができず、それより解像度の低い画質の劣った画像しか表示で
きない。【0008】
( )
このような事情から、携帯情報通信装置のユーザーは、携帯情報通信装
置とともにパソコンを所有することも多い。 【0009】
( )
15 ところが、このような方法において使用されるパソコン…を所有するた
めに要するコストは、携帯電話機を始めとする携帯情報通信装置自体を所
有するために要するコストより、通常は大きい。
このため、データ通信やデータ処理のニーズが電子メールの送受信やウ
ェブページの閲覧等に限られるような多数のユーザーにとって、上記のよ
20 うに、長文の電子メールを読んだり、パソコン向けウェブページを閲覧し
たりする際の、付属ディスプレイの画面サイズ・解像度が小さいことに起
因する不便さを解消するためだけに別途パソコンを所有することは、経済
的に不合理である。
一方、携帯情報通信装置のデータ処理手段は、…付属ディスプレイに画
25 像を表示するための表示データ処理機能については、表示画面が小さいと
いうことを除けば、パソコンにおける CPU 等のプロセッサの機能に匹敵す
る。それにもかかわらず、上記のようなパソコンと携帯情報通信装置との
使い分けを行うとすれば、同種のものに二重投資を行うことになり、結果
として少なくとも一方の稼働率の低下をもたらすため、資源の効率的な利
用の観点からも好ましくない。【0010】
( )
5 同様の「不合理な二重投資」と「非効率的な資源利用」という問題は、
携帯情報通信装置がテレビチューナ機能を有する場合についても生じる。
(【0011】)
このような事情から、携帯情報通信装置の携帯性を損なわないために付
属ディスプレイのサイズを現状通りに維持したままで、しかもパソコンを
10 併用することなく、長文の電子メールやパソコン向けウェブページ、娯楽
性の高いゲーム、さらにはテレビ番組の映像などを大きな画面で表示する
こと、特に、長文の電子メールについては、垂直スクロールを繰り返すこ
となく読めること、パソコン向けウェブページについては、パソコンでの
画面イメージに近いレイアウトで表示し、しかも水平スクロールを繰り返
15 すことなく閲覧できること、テレビ番組については、テレビ放送における
本来画像を全画面表示することが課題とされている。【0013】
( )
このような課題を解決するため、携帯情報通信装置に、該携帯情報通信
装置の付属ディスプレイよりも画面が大きい外部ディスプレイ装置(以下、
大画面外部ディスプレイ装置と略称する)を接続することにより、大画面
20 外部ディスプレイ装置で画像を表示する技術がいくつか開示されており、
そして、それらの技術は、以下の 3 つのタイプに分類される。
第一種:携帯情報通信装置と大画面外部ディスプレイ装置を何らかの接
続ユニットを介して接続するタイプ
第二種:携帯情報通信装置と大画面外部ディスプレイ装置は直接的に接
25 続されるが、その代わり、大画面外部ディスプレイ装置としては、携帯情
報通信装置から受信した表示データに各種の処理を施す機能を有する画
像表示装置が使用されるタイプ
第三種:携帯情報通信装置と大画面外部ディスプレイ装置は直接的に接
続され、しかも、大画面外部ディスプレイ装置としては、携帯情報通信装
置との間での何らかのインターフェース手段は備えていることを除けば、
5 テレビモニタ等の汎用的なディスプレイが用いられるタイプ(【0014】)
このうち、第一種の技術…においては、携帯情報通信装置とは別にパソ
コンを用いる必要はないが、その代わりに、別途、…何らかの表示データ
処理手段を備えた接続ユニットが必要である。 【0015】
( )
一方、第二種の技術…おいては、パソコンやそれに準ずるような接続ユ
10 ニットは不要であるが、今度は、大画面外部ディスプレイ装置として、テ
レビ受像機のような汎用的なディスプレイ装置をそのままでは使用でき
ず、…表示データ処理手段を備えた画像表示装置を使用しなければならな
い。【0017】
( )
それに対して、第三種の技術は、接続ユニットや特殊な画像処理装置を
15 使用せず、携帯情報通信装置と汎用的な大画面外部ディスプレイ装置だけ
で構成される。このため、一般的にいって、
「不合理な二重投資」や「非効
率な資源利用」の問題が、少なくとも第一種の技術や第二種の技術よりは
少ないと考えられる。 【0019】
( )
この第三種の技術として既に実用化されているものに、いわゆる「テレ
20 ビ(TV)出力機能」又は「AV 出力機能」を有する携帯電話機がある。…
しかし、その場合にテレビモニタに表示される画像の解像度は、付属ディ
スプレイの画面解像度(最大でも QVGA)と同じであるため、該画像は、
テレビモニタの中央部に小さく表示されるか、画質の粗い拡大画像が全画
面に表示されるかのいずれかである。【0020】
( )
25 仮に、これらの携帯電話機が「フルブラウザ機能」又は「PC サイトビュ
ー機能」を有し、閲覧したパソコン向けウェブページをテレビモニタで閲
覧できるようになったとしても、それはあくまでも付属ディスプレイに表
示される画面イメージを拡大表示するだけであって、画面イメージの解像
度が増えるわけではない。【0021】
( )
したがって、上記の課題を解決するためには、
「TV 出力機能」又は「AV
5 出力機能」を有する携帯電話機のように、ただ単に付属ディスプレイに表
示される画像を大画面外部ディスプレイ装置に拡大表示するという機能
を有するに留まらず、付属ディスプレイの画面解像度よりも解像度が大き
い画像を大画面外部ディスプレイ装置に表示する機能を有する携帯情報
通信装置を提供することが必要である。【0022】
( )
10 特許文献 12 においては、表示制御回路 21 は、CPU11 の制御下で、入力
された表示データを携帯電話機側の簡易型液晶表示パネル 23 と CRT 表示
機 24 に接続されるモニタ端子 25 に振り分けて送る機能を有することが開
示されており、これにより、画像を形成する画面上の表示データが多く、
表示データのコンテンツが簡易型液晶表示パネル 23 に対応しない場合に
15 は、CRT 表示機 24 を使うことで必要とする表示データのすべてを欠落な
く表示できるとされている。【0027】
( 「特許文献 12」とは、丙 B9 文
。なお、
献である。【0030】)
一見したところ、この技術によれば、大画面外部ディスプレイ装置にお
いて、付属ディスプレイの画面解像度よりも解像度が大きい画像を表示す
20 るという上記の課題を解決できるように思われる。しかしながら、特許文
献 12 には、以下の 2 つの問題がある。
第一に、表示制御回路 21 が表示データを簡易型液晶表示パネル 23 とモ
ニタ端子 25 に振り分けて送る際の、その振り分けの機構が不明である。特
許文献 12 には、「表示データのコンテンツが…に対応する場合には」又は
25 「表示データの送出先が…を指示する場合には」という記載があるが、こ
の「対応」がどのような機構によって判断され、
「指示」がどのような機構
によって実現されるのかは全く開示されていない。
第二に、モニタ端子 25 に CRT 表示器 24 が接続されずに携帯電話機が単
「CRT 表示器 24 に対応する」表示データが表
独で使用されている状況で、
示制御回路 21 に…入力された場合、簡易型液晶表示パネル 23 にどのよう
5 な画像が表示されるのかが不明である。仮に、そのような場合に、簡易型
液晶表示パネル 23 に全く画像が表示されないのであれば、ユーザーの利
便性を損なうし、逆に、例えば、簡易型液晶表示パネル 23 には部分像が表
示されて、スクロール操作によって全画像を見ることができるとすれば、
それを実現するための機構が全く開示されていない。
10 したがって、特許文献 12 において開示されている技術も、付属ディスプ
レイの画面解像度よりも解像度が大きい画像を大画面外部ディスプレイ
装置に表示する機能を有する携帯情報通信装置を提供するという課題を
解決するものではない。【0028】
( )
ウ 発明が解決しようとする課題
15 本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とする
ところは、…携帯情報通信装置に大画面外部ディスプレイ装置を接続する
ことにより、…該大画面外部ディスプレイ手段において、付属ディスプレ
イの画面解像度よりも解像度が大きい画像を表示すること、特に、長文の
電子メールについては、垂直スクロールを繰り返すことなく読めること、
20 パソコン向けウェブページについては、パソコンでの画面イメージに近い
レイアウトで表示し、しかも水平スクロールを繰り返すことなく閲覧でき
ること、テレビ番組については、テレビ放送における本来画像を表示する
ことを、該大画面外部ディスプレイ手段向けの専用の表示データ生成手段
を、付属ディスプレイに画像を表示するためにもともと必要である表示デ
25 ータ生成手段…とは別個に使用することなく、…付属表示データ生成手段
への若干の機能追加だけで実現する携帯情報通信装置を提供する点にあ
る。【0031】
( )
エ 課題を解決するための手段
携帯情報通信装置において、前記データ処理手段は、後記グラフィック
コントローラ 1 に対して、仮想画面におけるビットマップデータを生成す
5 るように命令する描画命令と、前記送信先指定手段の指定に基づき、該ビ
ットマップデータから必要な部分を切り出して前記ディスプレイ制御手
段 A と前記インターフェース手段 A1 の少なくとも一方に送信するように
命令する送信命令とを与える中央演算回路 1 と、前記描画命令に基づき仮
想画面におけるビットマップデータを生成して後記ビットマップメモリ 1
10 に書き込むとともに、前記送信命令がビットマップデータを前記ディスプ
レイ制御手段 A に送信するように命じる場合には、後記ビットマップメモ
リ 1 から該ディスプレイパネル A に表示される画像に対応する部分だけを
切り出して前記ディスプレイ制御手段 A に送信し、前記送信命令がビット
マップデータを前記インターフェース手段 A1 に送信するように命じる場
15 合には、後記ビットマップメモリ 1 から周辺装置における外部ディスプレ
イ手段の画面に表示される高解像度画像に対応する部分だけを切り出し
て前記インターフェース手段 A1 に送信するグラフィックコントローラ 1
と、前記グラフィックコントローラ 1 で生成された仮想画面におけるビッ
トマップデータを保持するビットマップメモリ 1 とを備えるようにしたも
20 のである。(【0041】)
オ 発明の効果
これにより、付属ディスプレイパネルにおいては、その画面解像度に相
当する部分だけを切り出した部分画像しか表示できなかったり、画素を間
引くことによって画質を落とした全体画像しか表示できなかったりした
25 ような画像を、高解像度外部ディスプレイ手段においては、その本来の解
像度のままの全体画像として表示できるようになる。…
従来の技術のように、携帯情報通信装置に備えられた表示データ処理手
段とは別に、外部ディスプレイ手段を含む周辺装置向けの専用の表示デー
タ生成手段を設ける必要はなく、
「不合理な二重投資」や「非効率な資源利
用」の問題は回避できる。【0078】
( )
5 カ 発明を実施するための最良の形態
携帯電話機 1 が、インターネットに接続したウェブサイトにアクセスし、
該ウェブサイトを構成するウェブページを閲覧している場合には、中央演
算回路 1_10A1 は、…ウェブページを構成するマークアップ文書ファイル
及びそのリンクファイルを取得し、ウェブページのレイアウト形式に応じ
10 て以下のように描画命令を生成・送信する。すなわち、ウェブページがリ
キッドレイアウト、又は LCD パネル 15A の画面水平解像度…よりも狭い
固定幅レイアウトを採用していれば、LCD パネル 15A の画面水平解像度
と同じ水平画素数を有するページ画像の描画命令を、ウェブページが LCD
パネル 15A の画面水平解像度よりも広い固定幅レイアウトを採用してい
15 れば、該固定幅と同じ水平画素数を有するページ画像の描画命令を、それ
ぞれ生成し、該描画命令をグラフィックコントローラ 1_10B に送信する。
グラフィックコントローラ 1_10B は、該描画命令に基づき仮想画面にお
けるビットマップデータを生成し VRAM1_10C に書き込むとともに、LCD
パネル 15A に表示され、LCD パネル 15A の画面解像度と同じ解像度を有
20 する画像を記述するビットマップデータを VRAM1_10C から切り出して
LCD ドライバ 15B に送信する。【0117】
( )
携帯電話機 1 がテレビ番組の視聴用に使用される場合、テレビ受信用ア
ンテナ 112A で受信したテレビ放送信号は、…中央演算回路 1_10A1 に送信
される。
25 携帯電話 1 においては、テレビ番組の画像を、LCD パネル 15A を縦置き
にして表示する…か、横置きにして表示する…かを、…選択することがで
き、中央演算回路 1_10A1 は、この選択に対応した入力信号及び前記デジ
タル動画信号に基づき、LCD パネル 15A に表示される画面イメージ…の
ビットマップデータを作成する描画命令を生成し、該描画命令をグラフィ
ックコントローラ 1_10B に送信する。この際、テレビ放送における本来画
5 像の水平・垂直画素数は、…LCD パネル 15A の水平・垂直画素数よりも大
きいため、描画命令の生成にあたっては、…デジタル動画信号を一部間引
くことによって、解像度の低い画像の全体画像の描画命令を生成する。
グラフィックコントローラ 1_10B、VRAM1_10C 及び LCD ドライバ 15B
の動作は、…ウェブページのページ画像を表示する場合と同様であり、結
10 果として、LCD パネル 15A にテレビ放送の動画がリアルタイムで表示さ
れる。【0118】
( )
作動中の携帯電話機 1 と、インターフェース部 C1_35 に外部ディスプレ
イ装置 5 が接続しており作動中の接続ユニット 3…を接続した場合、…携
帯電話機 1 の中央演算回路 1_10A1 は、接続ユニット 3 から、接続ユニッ
15 ト 3 が接続していることを検知する信号…、及び接続ユニット 3 のインタ
ーフェース部 C1_35 に接続された外部ディスプレイ装置 5 の画面解像度デ
ータを…受信する。
そして、携帯電話機 1 の中央演算回路 1_10A1 が前記接続検知信号を受
信した場合、中央演算回路 1_10A1 は、LCD パネル 15A の画面水平解像度
20 又は画面解像度に対応した画像の描画命令に替えて、以下で説明するよう
に、LCD パネル 15A の画面解像度より大きな解像度を有する画像の描画
命令を生成し、グラフィックコントローラ 1_10B に対して送信する。また、
中央演算回路 1_10A1 は、上記の描画命令とともに、VRAM1_10C から切
り出したビットマップデータを、LCD ドライバ 15B に送信する替わりに、
25 TMDS トランスミッタ 13A に送信するように命令する送信命令を生成し、
該送信命令をグラフィックコントローラ 1_10B に送信する。【0123】
( )
まず、インターネットに接続したウェブサイトにアクセスし、該ウェブ
サイトを構成するウェブページを閲覧している場合には、中央演算回路
1_10A1 は、…ウェブページのレイアウト形式に応じて以下のように描画命
令を生成・送信する。ウェブページがリキッドレイアウト、又は外部ディ
5 スプレイ装置 5 の画面水平解像度…よりも狭い固定幅レイアウトを採用し
ていれば、外部ディスプレイ装置 5 の画面水平解像度と同じ水平画素数を
有するページ画像の描画命令を生成・送信し、ウェブページが外部ディス
プレイ装置 5 の画面水平解像度よりも広い固定幅レイアウトを採用してい
れば、該固定幅と同じ水平画素数を有するページ画像の描画命令を生成・
10 送信する。
一方、テレビ放送を視聴している場合…には、…デジタル動画信号にお
ける本来画像の解像度は、外部ディスプレイ装置 5 における画面解像度よ
り依然として大きいため、中央演算回路 1_10A1 は、該デジタル動画信号
を一部間引くことによって、解像度を外部ディスプレイ装置 5 の画面解像
15 度に合わせた低画質の全体画像の描画命令が生成・送信される。
(【0124】)
外部ディスプレイ装置 5 として、画面解像度が VGA サイズであるよう
なものに替えて、フルハイビジョンテレビモニタ…のように、画面解像度
が十分に大きい…ものを使用する場合には、中央演算回路 1_10A1 が生成・
送信する描画命令は、以下のように変わる。
20 まず、ウェブページを閲覧している場合には、ほとんどのウェブページ
は、仮に固定幅レイアウトを採用している場合でも該固定幅が外部ディス
プレイ装置 5 の画面水平解像度を超えることはないため、中央演算回路
1_10A1 においては、外部ディスプレイ装置 5 の画面水平解像度と同じ水
平画素数を有するページ画像の描画命令が生成・送信される。
25 次に、テレビ放送を視聴している場合…にも、デジタル動画信号におけ
る本来画像の解像度は、外部ディスプレイ装置 5 の画面解像度を超えるこ
とはないため、中央演算回路 1_10A1 においては、デジタル動画信号にお
ける本来画像の描画命令が生成・送信される。【0126】
( )
グラフィックコントローラ 1_10B は、中央演算回路 1_10A1 から受信し
た描画命令に基づき、あらかじめ設定された仮想画面上においてビットマ
5 ップデータを生成し、VRAM1_10C に書き込む。さらに、グラフィックコ
ントローラ 1_10B は、中央演算回路 1_10A1 から入手した外部ディスプレ
イ装置 5 の画面解像度データに基づき、外部ディスプレイ装置 5 の画面解
像度と同じ解像度を有し、外部ディスプレイ装置 5 の画面に表示される画
像を記述するビットマップデータを VRAM1_10C から切り出す。その上で、
10 中央演算回路 1_10A1 から受信した送信命令に基づき、該ビットマップデ
ータを TMDS トランスミッタ 13A に送信し、TMDS トランスミッタ 13A
は、該ビットマップデータを、…接続ユニット 3 のインターフェース部
B_33 に TMDS 伝送方式で送信する。【0127】
( )
接続ユニット 3 においては、インターフェース部 B_33 で受信・転送さ
15 れたビットマップデータを、TMDS レシーバ機能を有するインターフェー
ス部 C1_35 で受け入れて、必要な処理を行った上で外部ディスプレイ装置
5 に送信し、結果として、外部ディスプレイ装置 5 の画面において、その
画面解像度に対応した解像度を有する画像が表示される。その際、…外部
ディスプレイ装置 5 の画面水平解像度よりも広い固定幅レイアウトを採用
20 しているウェブページを閲覧している場合には、外部ディスプレイ装置 5
の画面には、ページ画像は水平方向の一部だけが表示されることになり、
水平スクロールを行うことによってページ画像の全体が閲覧できる。一方、
テレビ放送を視聴している場合…には、デジタル動画信号の本来画像より
も解像度の低い画像が全画面表示される。 【0128】
( )
25 ただし、外部ディスプレイ装置 5 として、…フルハイビジョンテレビモ
ニタのような高解像度ディスプレイ装置を採用している場合には、外部デ
ィスプレイ装置 5 に表示される画像は、以下のように変わる。
まず、ウェブページを閲覧している場合には、上記の理由により、ほと
んどのウェブページのページ画像はその水平方向の全体が表示され、水平
スクロールすることなく閲覧できる。
5 次に、テレビ放送を視聴している場合…には、通常のケースでは、中央
演算回路 1_10A1 においてデジタル動画信号における本来画像の描画命令
が生成・送信されることに対応して、外部ディスプレイ装置 5 の画面には
本来画像が表示される。【0129】
( )
(2) 丙 B9 文献の記載事項及び丙 B9 発明
10 ア 丙 B9 文献には、以下の記載があることが認められる。
(ア) 発明の属する技術分野
本発明は、無線通信回線を介して他の電話と通話を行う携帯電話機に
関する。【0001】
( )
(イ) 従来の技術
15 携帯電話機は携帯性、汎用性を確保するためできるだけ軽量化、小形
化されることが望ましい。ところが、このような小形化が指向される携
帯電話機において、液晶表示パネルの画面を必要以上に小形化すること
は望ましくない。この液晶表示画面には、少なくとも、…電話を利用す
るために必要な種々のメッセージを表示する必要があるからである。
20 (【0002】)
また、今日では、携帯電話機に対して、電話機能以外に種々の機能、
例えばゲーム機能や携帯電話機本体のメモリからまたはウェブサイトか
ら特定の画面を取り込んで、使用目的のテキストや画像に重ねて表示す
る機能などが付加されて、一つの表示画面に表示すべき情報も多くなっ
25 てきている。従って、できるだけ多くの情報を、スクロールせずに一つ
の画面上で同時に表示するためには、液晶表示画面はできるだけ大きく
することが望まれている。【0003】
( )
(ウ) 発明が解決しようとする課題
しかしながら、携帯電話機は、電話機本体の携帯性を確保する観点か
5 ら 液晶表示画面を必要以上に大きくすることができず、このため、表
示すべき表示データのコンテンツが携帯電話機に付属の簡易型液晶表示
パネルでは対応できなくなり、表示データのすべてを一度に表示しきれ
ないという課題があった。【0004】
( )
本発明はかかる従来の課題を解決するものであり、表示すべき表示デ
10 ータのコンテンツが簡易型液晶表示パネルに表示しきれない場合には、
外部接続された CRT 等の大型ディスプレイや内部に設けられた映写装
置によりすべての表示データを拡大して分り易く表示することができる
携帯電話機を提供することを目的とする。 【0005】
( )
(エ) 課題を解決するための手段
15 上記目的達成のために、請求項 1 に記載の発明は、電話番号および各
種情報が表示される小型表示パネルを有し、無線通信回線を介して他の
電話と通話を行う携帯電話機において、表示すべき表示データを外部に
接続される大型表示装置に送出可能な表示制御回路およびモニタ端子を
設けたことを特徴とする…。【0006】
( )
20 (オ) 発明の実施の形態
図 1 は本発明の一実施形態による携帯電話機の構成を示すブロック図
であり、同図において、CPU(中央処理装置)11 は、電話機能プログラ
ムを実行することにより、携帯電話機各部の動作を制御する。また、通
信部 12 は、アンテナ 12a を有し、送信信号の変調および受信信号の復調
25 機能を有する。データ読み書き用の RAM(ランダムアクセスメモリ)13
は、ユーザ設定データなどを格納するメモリである。 【0008】
( )
【図 1】
また、ROM(リードオンリメモリ)14 は、CPU11 が実行する送信や着
信の各種電話機能プログラムなどを格納している。【0009】
( )
5 さらに、操作部 20 は「0」~「9」のテンキーやファンクションキー等
から構成され、電話番号や各種の機能データを入力可能にしている。表
示部としての簡易型液晶表示パネル 23 は電話機能のメニューや、テン
キーやファンクションキーなどの入力操作に応じたデータの表示を行う。
(【0010】)
10 また、表示制御回路 21 は、CPU11 の制御下で、入力された表示デー
タを画像メモリ 22 に記憶させるとともに、該画像メモリ 22 に記憶させ
た表示データを電話機本体に設けられた簡易型液晶表示パネル 23 に表
示させる。また、本実施形態では、特に、表示制御回路 21 が、前記表示
すべき表示データのコンテンツが簡易型液晶表示パネル 23 に対応する
15 場合、または、表示データの送出先が簡易液晶表示パネル 23 を指示する
場合には、該簡易型液晶表示パネル 23 に表示データを送らせ、一方、表
示すべき表示データのコンテンツがモニタ端子 25 に接続された CRT 表
示器 24 に対応する場合、または、表示データの送出先が CRT 表示器 24
を指示する場合には、モニタ端子 25 へ表示データを送らせるようにし
5 ている。【0011】
( )
このような携帯電話機において、CPU11 は、通話前において、RAM13
に登録してある通話相手の電話番号や氏名、あるいはメッセージなどを
読み出し、表示制御回路 21 へ出力する。表示制御回路 21 はこれらのデ
ータを一旦画像メモリ 22 に記憶させた後、簡易型液晶表示パネル 23 に
10 表示させる。また、この表示制御回路 21 は前記のような液晶表示パネル
の表示モードのほか CRT 表示装置の表示モードを持ち、電話番号や簡単
なメッセージなどのように表示すべき情報量が少なく、全てを同時に表
示できる場合には、つまり表示すべき表示データのコンテンツが簡易型
液晶表示パネル 23 に対応する場合には、液晶表示モードにおいて簡易
15 型液晶表示パネル 23 に表示データを送って表示させる。また、外部から
取り込んだ画像情報などのように一度に表示すべきデータ量が多く、簡
易型液晶表示パネル 23 では明瞭に表示できない表示データにあっては、
つまり表示データのコンテンツが簡易型液晶表示パネル 23 に対応しな
い場合には、画面表示領域の大きい CRT 表示器 24 に表示できるように、
20 その表示データ(ドットデータ)をモニタ端子 25 へ同期信号と共に送出
する。【0013】
( )
従って、画像を形成する画面上の表示データ量が多い場合であって、
簡易型液晶パネル 23 では表示内容が明瞭でない場合には、CRT 表示器
24 を使うことで必要とする表示データのすべてを欠落なく表示でき、従
25 来のように、スクロール操作によって全画像を見る必要がなくなる。
(【0014】)
(カ) 発明の効果
以上のように、請求項 1 に記載の発明によれば、表示すべき表示デー
タのコンテンツが小型表示パネルに対応する場合には、該小型表示パネ
ルに表示データを送り、一方、表示データのコンテンツが大型表示装置
5 に対応する場合には、大型表示装置が接続されるモニタ端子へ表示デー
タを送る表示制御回路を設けたので、携帯電話機に固有の簡易型液晶表
示パネルでは細部まで表示できなかったすべての表示データも、CRT 表
示器を表示制御回路に接続するだけで分り易く表示できるという効果が
得られる。【0016】
( )
10 イ 丙 B9 発明
(ア) 丙 B9 文献の上記各記載によれば、丙 B9 文献には以下の発明(丙 B9
発明)の記載があると認められる。
6a 各種データの入力を可能とし、入力されたデータを CPU11 に送信す
る操作部 20 と、
15 6b アンテナ 12a を有し、送信信号の変調及び受信信号の復調機能を有
し、CPU11 と相互に信号の送受信を行う通信部 12 と、
6c CPU11 が実行する各種プログラムを格納する ROM14 及びユーザ設
定データ等を格納する RAM13 と、
6d1 ROM14 に格納されたプログラムに基づき、入力された表示データ
20 (外部から取り込んだ画像情報)を、ドットデータとして簡易型液晶
表示パネルや CRT 表示器 24 等の大型ディスプレイに送信するよう制
御する CPU11 と、
6d2 CPU11 の制御下で、入力された表示データを画像メモリ 22 に記憶
させると共に、画像メモリ 22 に記憶させた表示データ(ドットデー
25 タ)を電話機本体に設けられた簡易型液晶表示パネル 23 又は CRT 表
示器 24 等の大型ディスプレイに接続されたモニタ端子 25 に送信する
表示制御回路 21 と、
6e 表示制御回路 21 から送られてきた表示データを表示する簡易型液
晶表示パネル 23 と、
6f CRT 表示器 24 等の大型ディスプレイに接続されており、表示制御
5 回路 21 から送られてきた表示データを CRT 表示器 24 等の大型ディ
スプレイに送信するモニタ端子 25 とを備え、
6g’1 通信部 12 が、簡易型液晶表示パネル 23 では明瞭に表示できない
画像情報を受信して復調の上、CPU11 に送信し、CPU11 が、ドット
データとして簡易型表示パネルや CRT 表示器 24 等の大型ディスプ
10 レイに送信するよう表示制御回路 21 を制御し、
6g’2 CPU11 の制御下で、表示制御回路 21 が、表示データを画像メモリ
22 に記憶させると共に、画像メモリ 22 に記憶させた表示データ(ド
ットデータ)を電話機本体に設けられた簡易型液晶表示パネル 23 又
は CRT 表示器 24 等の大型ディスプレイに接続されたモニタ端子 25
15 に送信して、簡易型液晶表示パネル 23 又は CRT 表示器 24 等の大型
ディスプレイに画像を表示する機能を有する、携帯電話機において、
6h’ 携帯電話機が、外部から受信した情報量の多い表示データ(簡易型
液晶表示パネル 23 では明瞭に表示できない画像情報)を表示する
機能を実現する場合に、表示制御回路 21 は、画像メモリ 22 に記憶
20 させた表示データ(ドットデータ)を CRT 表示器 24 等の大型ディ
スプレイに接続されたモニタ端子 25 に送信し、CRT 表示器 24 等の
大型ディスプレイに、簡易型液晶表示パネル 23 では明瞭に表示で
きない画像情報を、欠落なく(スクロール操作することなく)表示
する機能を実現し、
25 6i モニタ端子 25 は、表示制御回路 21 から受信した表示データ(ドッ
トデータ)を CRT 表示器 24 等の大型ディスプレイに表示できるよ
うにして送信する機能を有する、
6j ことにより、CRT 表示器 24 等の大型ディスプレイに、簡易型液晶表
示パネル 23 では明瞭に表示できない画像情報を、欠落なく(スクロ
ール操作することなく)表示できるようにした、
5 6k 携帯電話機
(イ) これに対し、被告及び被告補助参加人 FCNT は、丙 B9 発明の構成に
つき、構成 6h’1(外部から受信した情報量の多い表示データを携帯電話
機が簡易型液晶表示パネル 23 では明瞭に表示できない画像情報を表示
する機能を実現する場合に、表示制御回路 21 は、画像メモリ 22 に記憶さ
10 せた表示データ(ドットデータ)を電話機本体に設けられた簡易型液晶
表示パネル 23 に送信し、簡易型液晶表示パネル 23 に表示データのすべ
てを欠落なく表示できない(表示データのすべてを欠落なく表示できな
い、またはスクロール操作によらなければ全画像を見られない)または表
示内容が明瞭でない(拡大しなければ字を読みにくい)ように表示する
15 機能と)を有する旨主張する。
しかし、丙 B9 文献の記載を見ても、
「一度に表示すべきデータ量が多
く、簡易型液晶表示パネル 23 では明瞭に表示できない表示データ」の場
合すなわち「表示データのコンテンツが簡易型液晶表示パネル 23 に対
応しない場合」に、当該データを当該簡易型液晶表示パネルで表示しよ
20 うとしたときにどのような表示がされるか(表示可能であるか否かも含
む。)については、特定されていないといえる。そうである以上、丙 B9
発明の構成としては、構成 6h’1 を有するとはいえない。この点に関する
被告及び被告補助参加人 FCNT の主張は採用できない。
(3) 新規性ないし進歩性の有無について
25 ア 一致点及び相違点
本件特許に係る特許請求の範囲の記載並びに前記各認定に係る本件明細
書及び丙 B9 文献の各記載によれば、本件発明と丙 B9 発明の一致点及び相
違点は、以下のとおりであることが認められる。
(ア) 一致点
本件発明の構成要件 A〜F 及び I〜K と丙 B9 発明の構成 6a~6f 及び 6i
5 ~6k は、一致するといえる。この点では当事者間に争いはない。
また、丙 B9 文献の記載(【0004】~【0006】【0013】【0014】
、 、 )によれ
ば、丙 B9 発明は、構成 6g’1 及び 6g’2、すなわち、通信部 12 が、簡易型
液晶表示パネル 23 では明瞭に表示できない画像情報を受信して復調の
上、CPU11 に送信し、CPU11 が、ドットデータとして CRT 表示器 24 等
10 の大型ディスプレイに送信するよう表示制御回路 21 を制御し(構成
6g’1)、CPU11 の制御下で、表示制御回路 21 が、表示データを画像メモ
リ 22 に記憶させるとともに、画像メモリ 22 に記憶させた表示データ(ド
ットデータ)を CRT 表示器 24 等の大型ディスプレイに接続されたモニ
タ端子 25 に送信して、CRT 表示器 24 等の大型ディスプレイに画像を表
15 示する機能を備えるという構成(構成 6g’2)を有することが認められる。
すなわち、丙 B9 発明は、携帯情報通信装置(携帯電話機)が高解像度画
像(簡易型液晶表示パネル 23 では明瞭に表示できない画像情報)を受
信・処理し、大型ディスプレイに対する表示機能を有するという構成を
備えるものと認められる。
20 そうである以上、丙 B9 発明の構成 6g’1 及び 6g’2 は、本件発明の構成
要件 G’と一致すると認めるのが相当である。
これに対し、原告は、本件発明の構成要件 G'と丙 B9 発明の構成 6g'1
及び 6g’2 とは相違する旨主張する。しかし、上記のとおり、この点に関
する原告の主張は採用できない。
25 (イ) 相違点
前記のとおり、丙 B9 発明では、「一度に表示すべきデータ量が多く、
簡易型液晶表示パネル 23 では明瞭に表示できない表示データ」の場合
すなわち「表示データのコンテンツが簡易型液晶表示パネル 23 に対応
しない場合」に、当該データを当該簡易型液晶表示パネルで表示しよう
としたときにどのような表示がされるか(表示可能であるか否かも含む。)
5 については特定されていない。
他方、本件発明は、
「携帯情報通信装置が前記高解像度画像受信・処理・
表示機能を実現する場合に、前記単一の VRAM から「前記ディスプレイ
パネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」
を読み出し、該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示

10 信号」を生成し、該デジタル表示信号をディスプレイ制御手段に送信す
る機能」を有する(構成要件 H’)。
したがって、本件発明と丙 B9 発明とは、以下の点で相違するといえ
る(以下「相違点 6’」という。。すなわち、本件発明は、高解像度画像

受信・処理・表示機能を実現する場合に、ディスプレイパネルの画面解
15 像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータを読み出し、送信
する機能を有するのに対し、丙 B9 発明は、そのような機能を有すると
はいえない。
これに反する被告及び被告補助参加人 FCNT の主張は採用できない。
また、原告は、丙 B9 発明につき、通信部 12 が「本来解像度がディス
20 プレイパネル(簡易型液晶表示パネル 23)の画面解像度より大きい画像
データ」を伝達する無線信号を受信するものではないことを前提に、相
違点 6 の存在を主張する。
しかし、丙 B9 文献を子細に検討しても、同文献につき、通信部 12 が
「本来解像度がディスプレイパネル(簡易型液晶表示パネル 23)の画面
25 解像度より大きい画像データ」を伝達する無線信号を受信するものでは
ないものとして丙 B9 発明を記載していると理解すべき記載も示唆もな
い。したがって、この点に関する原告の主張はその前提を欠き、採用で
きない。
イ 相違点 6’の容易想到性
(ア) 前記((2)ア)のとおり、丙 B9 文献には、
「今日では、携帯電話機に対
5 して、電話機能以外に種々の機能…が付加されて、一つの表示画面に表
示すべき情報も多くなってきている。従って、できるだけ多くの情報を、
スクロールせずに一つの画面上で同時に表示するためには、液晶表示画
面はできるだけ大きくすることが望まれている。(
」【0003】)との記載及
び「画像を形成する画面上の表示データ量が多い場合であって、簡易型
10 液晶パネル 23 では表示内容が明瞭でない場合には、…従来のように、ス
クロール操作によって全画像を見る必要がなくなる。(
」【0014】)との記
載がある。これらの記載によれば、丙 B9 文献の出願日である平成 12 年
1 月 5 日当時、携帯電話機の簡易型液晶表示パネルに当該表示パネルの
解像度より大きい表示データを表示する場合に、大きい表示データから
15 上記表示パネルと同じ解像度の表示データを生成して前記簡易型液晶表
示パネルに表示し、スクロール操作を行うことで全画像を見ることがで
きることは、当業者の技術常識であったことがうかがわれる。
また、携帯電話機は、通常、利用者によって携帯された状態で使用さ
れることを前提としており、その際、内蔵された表示パネルのみによる
20 表示を行うことは多言を要しない。そうすると、丙 B9 発明の携帯電話
機において、前記表示パネルのみによる表示を行うときに、一度に表示
すべきデータ量が多く、簡易型液晶表示パネル 23 では明瞭に表示でき
ない表示データを表示するために、従来のように前記表示データから前
記表示パネルと同じ解像度の表示データを生成して表示することは、当
25 業者にとって当然の事項といえる。
以上によれば、当業者にとって、丙 B9 発明に上記技術常識を適用す
ることにより、高解像度画像受信・処理・表示機能を実現する場合に、
ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマ
ップデータを読み出し、送信する機能、すなわち、相違点 6’に係る本件
5 発明の構成を想到することは容易であったといえる。
(イ) 原告の主張について
これに対し、原告は、本件発明と丙B9発明には相違点6が存在すること
を前提として、当該相違点に係る本件発明の構成は当業者にとって容易
に想到し得ない旨を主張する。
10 しかし、本件発明と丙 B9 発明との相違点は相違点 6'であって、相違
点 6 ではないから、原告の上記主張はその前提を欠く。その点を措くと
しても、高解像度画像受信・処理・表示機能 を実現する場合に、簡易型
液晶表示パネル 23 で画像を表示するための表示データを生成・送信する
機能を有する構成とすることは、前記のとおり、当業者にとって、技術
15 常識を適用することにより容易に想到することができたといえる。
したがって、この点に関する原告の主張は採用できない。
(4) 小括
以上より、本件発明は、丙 B9 発明に本件出願当時の技術常識を適用する
ことにより、容易に発明することができたものといえる。したがって、本件
20 特許は、特許法 29 条 2 項に違反してされたものであり、特許無効審判により
無効にされるべきものと認められるから(同法 123 条 1 項 2 号)、その余の
点につき判断するまでもなく、原告は、被告に対し、本件特許権を行使する
ことができない(同法 104 条の 3 第 1 項)。
2 結論
25 よって、原告の請求は理由がないから、これを棄却することとして、主文の
とおり判決する。
東京地方裁判所民事第 47 部
裁判長裁判官
杉 浦 正 樹
裁判官
小 口 五 大
裁判官
久 野 雄 平
(別紙)
当事者目録
原 告 株 式 会 社 DAP リ ア ラ イ ズ
被 告 株 式 会 社 NTT ド コ モ
同訴訟代理人弁護士 大 野 聖 二
同 小 林 英 了
同訴訟代理人弁理士 松 野 知 紘
同 酒 谷 誠 一
被 告 補 助 参 加 人 シ ャ ー プ 株 式 会 社
(以下「被告補助参加人シャープ」という。)
同訴訟代理人弁護士 生 田 哲 郎
20 同 佐 野 辰 巳
被 告 補 助 参 加 人 F C N T 株 式 会 社
(以下「被告補助参加人 FCNT」という。)
25 同訴訟代理人弁護士 田 中 成 志
同 板 井 典 子
同 山 田 徹
同 澤 井 彬 子
同 沖 達 也
別紙
被告製品目録
1 イ号製品
5 スマートフォン「docomo NEXT series Optimus LTE L-01D」
2 ロ号製品
スマートフォン「docomo NEXT series Optimus Vu L-06D」
3 ハ号製品
スマートフォン「L-06D JOJO」
10 4 ニ号製品
タブレット「GALAXY Tab 10.1 LTE SC-01D」
5 ホ号製品
スマートフォン「docomo NEXT series GALAXY S II LTE SC-03D」
6 ヘ号製品
15 スマートフォン「docomo NEXT series GALAXY Note SC-05D」
7 ト号製品
タブレット「GALAXY Tab 7.7 Plus SC-01E」
8 チ号製品
スマートフォン「docomo NEXT series Xperia NX SO-02D」
20 9 リ号製品
スマートフォン「docomo with series Xperia acro HD SO-03D」
10 ヌ号製品
スマートフォン「docomo NEXT series AQUOS PHONE ZETA SH-09D」
11 ル号製品
25 スマートフォン「docomo NEXT series AQUOS PHONE sv SH-10D」
12 ヲ号製品
スマートフォン「docomo NEXT series Xperia GX SO-04D」
13 ワ号製品
スマートフォン「docomo with series Xperia SX SO-05D」
14 カ号製品
5 スマートフォン「docomo with series Xperia AX SO-01E」
15 ヨ号製品
スマートフォン「docomo NEXT series REGZA Phone T-02D」
16 タ号製品
スマートフォン「docomo NEXT series GALAXY S III SC-06D」
10 17 レ号製品
スマートフォン「docomo with series Ascend HW-01E」
18 ソ号製品
スマートフォン「docomo NEXT series AQUOS PHONE ZETA SH-02E」
19 ツ号製品
15 スマートフォン「Xperia A SO-04E」
20 ネ号製品
スマートフォン「Xperia feat. HATSUNE MIKU SO-04E」
21 ナ号製品
スマートフォン「docomo NEXT series Optimus G L-01E」
20 22 ラ号製品
スマートフォン「docomo Disney Mobile on docomo F-07E」
23 ム号製品
スマートフォン「docomo MEDIAS X N-06E」
以上
別紙
特許請求の範囲(本件訂正前)
【請求項 1】
5 ユーザーがマニュアル操作によってデータを入力し、該入力データを後記中央演
算回路へ送信する入力手段と;
無線信号を受信してデジタル信号に変換の上、後記中央演算回路に送信するとと
もに、後記中央演算回路から受信したデジタル信号を無線信号に変換して送信する
無線通信手段と;
10 後記中央演算回路を動作させるプログラムと後記中央演算回路で処理可能なデー
タファイルとを格納する記憶手段と;
前記入力手段から受信したデータと前記記憶手段に格納されたプログラムとに基
づき、前記無線通信手段から受信したデジタル信号に必要な処理を行い、リアルタ
イムでデジタル表示信号を生成するか、又は、自らが処理可能なデータファイルと
15 して前記記憶手段に一旦格納し、その後読み出した上で処理する中央演算回路と、
該中央演算回路の処理結果に基づき、単一の VRAM に対してビットマップデータ
の書き込み/読み出しを行い、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジ
タル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を後記ディスプレイ制御手段又は後
記インターフェース手段に送信するグラフィックコントローラと、から構成される
20 データ処理手段と;
画面を構成する各々の画素が駆動されることにより画像を表示するディスプレイ
パネルと、前記グラフィックコントローラから受信したデジタル表示信号に基づき
前記ディスプレイパネルの各々の画素を駆動するディスプレイ制御手段とから構成
されるディスプレイ手段と;
25 外部ディスプレイ手段を備えるか、又は、外部ディスプレイ手段を接続するかす
る周辺装置を接続し、該周辺装置に対して、前記グラフィックコントローラから受
信したデジタル表示信号に基づき、外部表示信号を送信するインターフェース手段
と;
を備える携帯情報通信装置において、
前記グラフィックコントローラは、前記携帯情報通信装置が「本来解像度がディ
5 スプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」を処理して画像を表示する場
合に、前記単一の VRAM から「前記ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度
を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、
「該読み出したビットマップデー
タを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記ディスプレ
イ制御手段に送信する機能と、前記単一の VRAM から「前記ディスプレイパネルの
10 画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、
「該
読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタ
ル表示信号を前記インターフェース手段に送信する機能と、を実現し、
前記インターフェース手段は、前記グラフィックコントローラから受信した「ビ
ットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を、デジタル RGB、TMDS、LVDS
15 (又は LDI)及び GVIF のうちのいずれかの伝送方式で伝送されるデジタル外部表
示信号に変換して、該デジタル外部表示信号を前記周辺装置に送信する機能を有す
る、
ことにより、
前記外部ディスプレイ手段に、「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大き
20 い解像度を有する画像」を表示できるようにした、
ことを特徴とする携帯情報通信装置。
以上
別紙
特許請求の範囲
【請求項 1】
5 ユーザーがマニュアル操作によってデータを入力し、該入力データを後記中央演
算回路へ送信する入力手段と;
無線信号を受信してデジタル信号に変換の上、後記中央演算回路に送信するとと
もに、後記中央演算回路から受信したデジタル信号を無線信号に変換して送信する
無線通信手段と;
10 後記中央演算回路を動作させるプログラムと後記中央演算回路で処理可能なデー
タファイルとを格納する記憶手段と;
前記入力手段から受信したデータと前記記憶手段に格納されたプログラムとに基
づき、前記無線通信手段から受信したデジタル信号に必要な処理を行い、リアルタ
イムでデジタル表示信号を生成するか、又は、自らが処理可能なデータファイルと
15 して前記記憶手段に一旦格納し、その後読み出した上で処理する中央演算回路と、
該中央演算回路の処理結果に基づき、単一の VRAM に対してビットマップデータ
の書き込み/読み出しを行い、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジ
タル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を後記ディスプレイ制御手段又は後
記インターフェース手段に送信するグラフィックコントローラと、から構成される
20 データ処理手段と;
画面を構成する各々の画素が駆動されることにより画像を表示するディスプレイ
パネルと、前記グラフィックコントローラから受信したデジタル表示信号に基づき
前記ディスプレイパネルの各々の画素を駆動するディスプレイ制御手段とから構成
されるディスプレイ手段と;
25 外部ディスプレイ手段を備えるか、又は、外部ディスプレイ手段を接続するかす
る周辺装置を接続し、該周辺装置に対して、前記グラフィックコントローラから受
信したデジタル表示信号に基づき、外部表示信号を送信するインターフェース手段
と;
を備え、
前記無線通信手段が「本来解像度が前記ディスプレイパネルの画面解像度より大
5 きい画像データ」を伝達する無線信号を受信してデジタル信号に変換の上、前記中
央演算回路に送信し、前記中央演算回路が該デジタル信号を受信して、該デジタル
信号が伝達する画像データを処理し、前記グラフィックコントローラが、該中央演
算回路の処理結果に基づき、前記単一の VRAM に対してビットマップデータの書
き込み/読み出しを行い、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル
10 表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記ディスプレイ制御手段又は前記イ
ンターフェース手段に送信して、前記ディスプレイ手段又は前記外部ディスプレイ
手段に画像を表示する機能(以下、
「高解像度画像受信・処理・表示機能」と略記す
る)を有する、
携帯情報通信装置において、
15 前記グラフィックコントローラは、前記携帯情報通信装置が前記高解像度画像受
信・処理・表示機能を実現する場合に、前記単一の VRAM から「前記ディスプレイ
パネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、
「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デ
ジタル表示信号を前記ディスプレイ制御手段に送信する機能と、前記単一の VRAM
20 から「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビッ
トマップデータ」を読み出し、
「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタ
ル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記インターフェース手段に送信す
る機能と、を実現し、
前記インターフェース手段は、前記グラフィックコントローラから受信した「ビ
25 ットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を、デジタル RGB、TMDS、LVDS
(又は LD1)及び GVIF のうちのいずれかの伝送方式で伝送されるデジタル外部表
示信号に変換して、該デジタル外部表示信号を前記周辺装置に送信する機能を有す
る、
ことにより、
前記外部ディスプレイ手段に、「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大き
5 い解像度を有する画像」を表示できるようにした、
ことを特徴とする携帯情報通信装置。
以上

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11月25日(月) - 岐阜 各務原市

オープンイノベーションマッチング in 岐阜

11月26日(火) - 東京 港区

企業における侵害予防調査

11月27日(水) - 東京 港区

他社特許対策の基本と実践

11月28日(木) - 東京 港区

特許拒絶理由通知対応の基本(化学)

11月28日(木) - 島根 松江市

つながる特許庁in松江

11月29日(金) - 東京 港区

中国の知的財産政策の現状とその影響

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