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令和5(ワ)70050特許権侵害損害賠償請求事件

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裁判所 請求棄却 東京地方裁判所東京地方裁判所
裁判年月日 令和7年3月28日
事件種別 民事
当事者 原告株式会社DAPリアライズ
被告サムスン電子ジャパン株式会社
対象物 携帯情報通信装置及び携帯情報通信装置を使用した20パーソナルコンピュータシステム
法令 特許権
特許法126条5項3回
特許法36条6項1号2回
特許法102条3項2回
キーワード 新規性22回
進歩性19回
実施18回
審決11回
分割9回
特許権7回
訂正審判5回
無効4回
優先権2回
侵害2回
無効審判2回
刊行物1回
損害賠償1回
主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事件の概要 1 事案の要旨 本件は、発明の名称を「携帯情報通信装置及び携帯情報通信装置を使用した20 パーソナルコンピュータシステム」とする特許第4555901号の特許権 (以下、「本件特許権」といい、これに係る特許を「本件特許」という。)の特 許権者である原告が、被告に対し、被告が販売する別紙被告製品目録記載の各 製品(以下、これらを総称して「被告製品」という。)は、いずれも本件特許に 係る発明の技術的範囲に属し、被告製品の販売は本件特許権を侵害すると主張25 して、民法709条に基づき、損害金1000万円(特許法102条3項によ り算定される額の一部請求)及びこれに対する令和5年2月21日(訴状送達 の日の翌日)から支払済みまで民法所定年3パーセントの割合による遅延損害 金の支払を求める事案である。

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判決文

令和7年3月28日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

令和5年(ワ)第70050号 特許権侵害損害賠償請求事件

口頭弁論終結日 令和7年1月23日

判 決

原 告 株式会社DAPリアライズ

被 告 サムスン電子ジャパン株式会社

同訴訟代理人弁護士 大 野 聖 二

小 林 英 了

同訴訟代理人弁理士 松 野 知 紘

同 補 佐 人 弁 理 士 榊 間 城 作

主 文

1 原告の請求をいずれも棄却する。

2 訴訟費用は原告の負担とする。

事 実 及 び 理 由

第1 請求

被告は、原告に対し、1000万円及びこれに対する令和5年2月21日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。

第2 事案の概要等

1 事案の要旨本件は、発明の名称を「携帯情報通信装置及び携帯情報通信装置を使用したパーソナルコンピュータシステム」とする特許第4555901号の特許権(以下、「本件特許権」といい、これに係る特許を「本件特許」という。)の特許権者である原告が、被告に対し、被告が販売する別紙被告製品目録記載の各製品(以下、これらを総称して「被告製品」という。)は、いずれも本件特許に係る発明の技術的範囲に属し、被告製品の販売は本件特許権を侵害すると主張して、民法709条に基づき、損害金1000万円(特許法102条3項により算定される額の一部請求)及びこれに対する令和5年2月21日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定年3パーセントの割合による遅延損害金の支払を求める事案である。2 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲の各証拠(以下、特記しな

5 い限り枝番を含む。)及び弁論の全趣旨により容易に認定できる事実)

(1) 当事者原告は、各種情報処理・通信システムの考案・開発を行っている株式会社である(弁論の全趣旨)。被告は、スマートフォン等の携帯情報通信装置の販売を行っている株式会社である。

(2) 本件特許ア 特許出願等の経緯(ア) 原告は、平成17年12月21日(優先日は平成16年12月24日(以下「本件優先日」という。)及び平成17年7月28日、優先権主張国は日本)を出願日とする特許出願(特願2005-367373号。以下「本件原々出願」といい、その願書に添付された明細書及び図面を併せて「本件原々出願明細書」という。)の一部を分割して平成18年10月11日に新たに出願した特許出願(特願2006-277062号。以下「本件原出願」といい、その願書に添付された明細書及び図面を併せて「本件原出願明細書」という。)の一部を更に分割して、平成20年6月23日、新たに本件特許に係る特許出願(特願2008-162678号。以下「本件出願」という。)をし、平成22年7月30日、本件特許権の設定登録(特許第4555901号。請求項の数4)を受けた(以下、本件出願の願書に添付された明細書及び図面を併せて「本件明細書」という。甲1、2)。(イ) 原告は、平成28年5月19日、本件出願の願書に添付した特許請求の範囲を訂正することを求める旨の訂正審判請求(訂正2016-390069号事件)をし、特許庁は、同年10月17日、同特許請求の範囲の請求項2ないし4について訂正することを認め、同請求項1に係る訂正についての審判請求は成り立たない旨の審決をした。

5 原告は、これに対し、同年11月29日、審決取消訴訟(知的財産高等裁判所平成28年(行ケ)第10257号事件)を提起したが、知的財産高等裁判所は、平成29年10月19日、原告の請求を棄却する旨の判決をし、同年11月7日、同判決及び上記審決はいずれも確定した(甲1、3)。(ウ) 原告は、平成30年4月9日、前記(イ)による訂正後の特許請求の範囲を更に訂正することを求める旨の訂正審判請求(訂正2018-390070号事件)をし、特許庁は、同年7月25日、同訂正を認める旨の審決をし、同審決は、同年8月2日確定した(審決確定後の請求項の数1。甲1、3)。(エ) 原告は、シャープ株式会社(以下「シャープ」という。)が請求した本件特許に係る無効審判請求事件(無効2020-800032号事件)において、令和3年3月22日付け訂正請求書により、特許請求の範囲の請求項1を後記イ記載のとおり訂正すること(以下「本件訂正」という。)を求める訂正請求(以下「本件訂正請求」という。)をした(本件訂正に係る訂正部分は、後記イの下線部分である。。)特許庁は、同年10月12日、本件訂正を認めた上で、無効審判請求は成り立たない旨の審決をした(以下「本件審決」という。。)シャープは、これに対し、審決取消訴訟(知的財産高等裁判所令和3年(行ケ)第10139号事件)を提起したが、知的財産高等裁判所は、令和4年12月19日、シャープの請求を棄却する旨の判決をし、令和5年1月5日、同判決及び本件審決はいずれも確定した。(以上、甲1、4ないし8)イ 本件特許の特許請求の範囲本件訂正後の本件特許の特許請求の範囲の請求項1の記載は、次のとおりである(以下、同請求項に係る発明を「本件発明」という。なお、下線

5 部分は、本件訂正によって追加、変更された部分である。。)【請求項1】ユーザーがマニュアル操作によってデータを入力し、該入力データを後記中央演算回路へ送信する入力手段と;無線信号を受信してデジタル信号に変換の上、後記中央演算回路に送信するとともに、後記中央演算回路から受信したデジタル信号を無線信号に変換して送信する無線通信手段と;後記中央演算回路を動作させるプログラムと後記中央演算回路で処理可能なデータファイルとを格納する記憶手段と;前記入力手段から受信したデータと前記記憶手段に格納されたプログラムとに基づき、前記無線通信手段から受信したデジタル信号に必要な処理を行い、リアルタイムでデジタル表示信号を生成するか、又は、自らが処理可能なデータファイルとして前記記憶手段に一旦格納し、その後読み出した上で処理する中央演算回路と、該中央演算回路の処理結果に基づき、単一のVRAMに対してビットマップデータの書き込み/読み出しを行い、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を後記ディスプレイ制御手段又は後記インターフェース手段に送信するグラフィックコントローラと、から構成されるデータ処理手段と;画面を構成する各々の画素が駆動されることにより画像を表示するディスプレイパネルと、前記グラフィックコントローラから受信したデジタル表示信号に基づき前記ディスプレイパネルの各々の画素を駆動するディスプレイ制御手段とから構成されるディスプレイ手段と;外部ディスプレイ手段を備えるか、又は、外部ディスプレイ手段を接続するかする周辺装置を接続し、該周辺装置に対して、前記グラフィックコントローラから受信したデジタル表示信号に基づき、外部表示信号を送信す

5 るインターフェース手段と;を備え、前記無線通信手段が「本来解像度が前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」を伝達する無線信号を受信してデジタル信号に変換の上、前記中央演算回路に送信し、前記中央演算回路が該デジタル信号を受信して、該デジタル信号が伝達する画像データを処理し、前記グラフィックコントローラが、該中央演算回路の処理結果に基づき、前記単一のVRAMに対してビットマップデータの書き込み/読み出しを行い、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記ディスプレイ制御手段又は前記インターフェース手段に送信して、前記ディスプレイ手段又は前記外部ディスプレイ手段に画像を表示する機能(以下、「高解像度画像受信処理・表示機能」と略記する)を有する、携帯情報通信装置において、前記グラフィックコントローラは、前記携帯情報通信装置が前記高解像度画像受信・処理・表示機能を実現する場合に、前記単一のVRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記ディスプレイ制御手段に送信する機能と、前記単一のVRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記インターフェース手段に送信する機能と、を実現し、前記インターフェース手段は、前記グラフィックコントローラから受信した「ビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を、デジタルRG

5 B、TMDS、LVDS(又はLDI)及びGVIFのうちのいずれかの伝送方式で伝送されるデジタル外部表示信号に変換して、該デジタル外部表示信号を前記周辺装置に送信する機能を有する、ことにより、前記外部ディスプレイ手段に、「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像」を表示できるようにした、ことを特徴とする携帯情報通信装置。ウ 本件発明の構成要件の分説本件発明は、次のとおりの構成要件に分説することができる(以下、各構成要件につき、頭書の符号に従って「構成要件A」などという。なお、G′及びH′のプライム記号(′)は、本件訂正によって追加、変更された部分を含むことを意味するものである。。)A ユーザーがマニュアル操作によってデータを入力し、該入力データを後記中央演算回路へ送信する入力手段と;B 無線信号を受信してデジタル信号に変換の上、後記中央演算回路に送信するとともに、後記中央演算回路から受信したデジタル信号を無線信号に変換して送信する無線通信手段と;C 後記中央演算回路を動作させるプログラムと後記中央演算回路で処理可能なデータファイルとを格納する記憶手段と;D 前記入力手段から受信したデータと前記記憶手段に格納されたプログラムとに基づき、前記無線通信手段から受信したデジタル信号に必要な処理を行い、リアルタイムでデジタル表示信号を生成するか、又は、自らが処理可能なデータファイルとして前記記憶手段に一旦格納し、その後読み出した上で処理する中央演算回路と、該中央演算回路の処理結果に基づき、単一のVRAMに対してビットマップデータの書き込み/読み出しを行い、「該読み出したビットマップデータを伝達

5 するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を後記ディスプレイ制御手段又は後記インターフェース手段に送信するグラフィックコントローラと、から構成されるデータ処理手段と;E 画面を構成する各々の画素が駆動されることにより画像を表示するディスプレイパネルと、前記グラフィックコントローラから受信したデジタル表示信号に基づき前記ディスプレイパネルの各々の画素を駆動するディスプレイ制御手段とから構成されるディスプレイ手段と;F 外部ディスプレイ手段を備えるか、又は、外部ディスプレイ手段を接続するかする周辺装置を接続し、該周辺装置に対して、前記グラフィックコントローラから受信したデジタル表示信号に基づき、外部表示信号を送信するインターフェース手段と;G′ を備え、前記無線通信手段が「本来解像度が前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」を伝達する無線信号を受信してデジタル信号に変換の上、前記中央演算回路に送信し、前記中央演算回路が該デジタル信号を受信して、該デジタル信号が伝達する画像データを処理し、前記グラフィックコントローラが、該中央演算回路の処理結果に基づき、前記単一のVRAMに対してビットマップデータの書き込み/読み出しを行い、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記ディスプレイ制御手段又は前記インターフェース手段に送信して、前記ディスプレイ手段又は前記外部ディスプレイ手段に画像を表示する機能(以下、「高解像度画像受信・処理・表示機能」と略記する)を有する、携帯情報通信装置において、H′ 前記グラフィックコントローラは、前記携帯情報通信装置が前記高解像度画像受信・処理・表示機能を実現する場合に、前記単一のVR

5 AMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記ディスプレイ制御手段に送信する機能と、前記単一のVRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記インターフェース手段に送信する機能と、を実現し、I 前記インターフェース手段は、前記グラフィックコントローラから受信した「ビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を、デジタルRGB、TMDS、LVDS(又はLDI)及びGVIFのうちのいずれかの伝送方式で伝送されるデジタル外部表示信号に変換して、該デジタル外部表示信号を前記周辺装置に送信する機能を有する、J ことにより、前記外部ディスプレイ手段に、「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像」を表示できるようにした、K ことを特徴とする携帯情報通信装置。

(3) 被告による被告製品の販売被告は、本件特許権の設定登録後、業として被告製品を販売した。

(4) 被告製品の構成ア イ号製品は、少なくとも以下の構成を有する。a タッチパネルを備える。このタッチパネルは、ユーザーがマニュアル操作によって入力したデータを、モバイルプロセッサ(Exynos 4210)に内蔵されたCPUに送信する。b 無線通信用メインアンテナ及び無線送受信用ICを備える。

5 c 内部メモリ及び外部メモリであるmicroSDカードを挿入するカードスロットを備える。この内部メモリは、CPUを動作させるプログラムとCPUで処理可能なデータファイルを格納する。また、カードスロットにmicroSDカードが挿入された場合に、このmicroSDカードは、CPUで処理可能なデータファイルを格納する。d モバイルプロセッサを備える。このモバイルプロセッサは、CPU及びGPUを備える。e 画面解像度が800×480画素の有機ELディスプレイパネルとディスプレイドライバを備える。このディスプレイドライバは、デジタル表示信号に基づき有機ELディスプレイパネルの各々の画素を駆動する。f MHLトランスミッタ及びMicro USB端子を備える。このMicro USB端子は、外部ディスプレイ手段を備える周辺装置を接続できる。g 無線通信用メインアンテナ及び無線送受信用ICは、無線信号を受信し、デジタル信号に変換してモバイルプロセッサに信号を送信する。また、デジタル表示信号がディスプレイドライバ又はMHLトランスミッタに送信され、有機ELディスプレイパネル又は外部ディスプレイ手段に画像が表示される。h SDRAMを備える。i MHLトランスミッタは、デジタル表示信号をMHL信号に変換し、Micro USB端子を介して周辺装置に送信する。j 外部ディスプレイ手段に画像を表示できる。k スマートフォン。イ ロ号製品ないしラ号製品の構成は、別紙被告製品対照表記載の各構成に

5 相違があるほか、イ号製品の構成と同じである。

(5) 被告製品の構成要件充足性被告製品は、本件発明の構成要件A、C、E、F、IないしKをいずれも充足する。3 争点

(1) 被告製品が本件各発明の技術的範囲に属するか(争点1)ア 構成要件Bの充足性(争点1-1)イ 構成要件Dの充足性(争点1-2)ウ 構成要件G′の充足性(争点1-3)エ 構成要件H′の充足性(争点1-4)

(2) 無効の抗弁の成否(争点2)ア 特開2000-13776号公報(以下「乙2文献」という。)を主引用例とする進歩性欠如(争点2-1)イ 特開2001-197167号公報(以下「乙8文献」という。)を引用例とする新規性欠如及び進歩性欠如(争点2-2)ウ 「Powerbook G4 Technology Overview」と題する文献(以下「乙22文献」という。)を引用例とする新規性欠如及び進歩性欠如(争点2-3)エ 「Powerbook G4」(以下「本件実機」という。)により公然実施をされた発明に基づく新規性欠如及び進歩性欠如(争点2-4)オ 分割要件違反及び国際公開2006/068003(以下「乙38文献」という。)を引用例とする新規性欠如(争点2-5)カ 訂正要件違反(争点2-6)キ サポート要件違反(争点2-7)

(3) 損害の有無及びその額(争点3)

第3 争点に関する当事者の主張

1 争点1-1(構成要件Bの充足性)について

5

(原告の主張)

(1) 「無線通信手段」の意義

本件明細書の【0116】及び【0118】の記載に照らせば、「通信用アンテナ 111A」「RF送受信部 111B」「ベースバンドプロセッサ 11」「テレビ、 、 、受信用アンテナ 112A」 「テレビチューナ 112B」及び「AD/DA変換部1、_112C」は、いずれも無線通信を行うための機能手段であり、これらを合わせて構成要件Bにいう「無線通信手段」を構成する。そして、本件明細書の【0056】の記載に照らせば、構成要件Bの「無線通信手段」は、インターネットプロトコルに準拠した無線信号による無線通信とテレビ放送信号による無線通信との両方を行うものと解するべきであるから、「テレビ放送を視聴している場合」に限定されるということはない。

(2) あてはめ

被告製品は、無線通信用メインアンテナ及び無線送受信用ICを備えているところ、この無線通信用メインアンテナ及び無線送受信用ICは、無線信号を受信してデジタル信号に変換の上、中央演算回路に相当するCPUに送信するとともに、CPUから受信したデジタル信号を無線信号に変換して送信するものである。したがって、上記の無線通信用メインアンテナ及び無線送受信用ICは、構成要件Bの「無線通信手段」に当たる。

(3) まとめ

以上によれば、被告製品は、構成要件Bを充足する。

(被告の主張)

(1) 「無線通信手段」の意義

本件発明の「無線通信手段」(構成要件B)は、「無線信号を受信してデジタル信号に変換の上、後記中央演算回路に送信するとともに、後記中央演算回路から受信したデジタル信号を無線信号に変換して送信する無線通信手段」

5 という構成を有する。

また、本件明細書の【0118】 【0124】 【0126】ないし【01、 、29】の記載や、原告が本件訂正請求においてこれらの記載で説明されている機能が「高解像度画像受信・処理・表示機能」に相当すると主張していたことからすると、本件発明は、テレビ放送を視聴している場合に実現される機能に関する発明である。したがって、構成要件Bの「無線通信手段」は、上記の構成を有し、かつ、テレビ放送の送受信を行うための通信手段と解される。

(2) あてはめ

被告製品において、無線信号を送信し、かつ、受信できる構成は、無線通信用メインアンテナ及び無線送受信用ICであるところ、この構成は、テレビ放送(ワンセグ放送及びフルセグ放送)を受信する機能を有していない。また、無線送受信用ICとモバイルプロセッサ間の通信は、アナログ信号で行われるから、「デジタル信号に変換の上、後記中央演算回路に送信する」及び「後記中央演算回路から受信したデジタル信号」の構成をいずれも備えていない。なお、被告製品は、テレビ放送(ワンセグ放送及びフルセグ放送)を受信する放送受信用アンテナ及びチューナーを備えるが、これらは無線信号を送信する機能を有していない。したがって、被告製品は、「無線通信手段」(構成要件B)を備えていないから、構成要件Bを充足しない。

2 争点1-2(構成要件Dの充足性)について

(原告の主張)

(1) 「グラフィックコントローラ」の意義

被告は、本件発明において、「中央演算回路」と「グラフィックコントローラ」は、少なくとも別個独立した構成(物理的に分離した複数の部品から成

5 る構成)でなければならないと主張する。

しかし、本件特許の特許請求の範囲には、両者が物理的に別個の部品であることを規定するような記載はない。仮に、本件明細書において、「中央演算回路」及び「グラフィックコントローラ」が一つのプロセッサの一部分として構成されることを示す記載がないとしても、特許請求の範囲の記載を本件明細書の発明の詳細な説明中に記載された実施例に限定して解釈することは許されない。したがって、本件発明における「中央演算回路」と「グラフィックコントローラ」は、物理的に分離した複数の部品から構成される構成に限定されない。

(2) あてはめ

ア 被告製品のモバイルプロセッサは、「GPU」「ビデオ・静止画処理ハー、ドウェア」及び「ディスプレイ手段表示用画像処理プロセッサ」という三つの要素を備えており、これらの要素は、「画像表示を担当する集積回路」、すなわち「画像表示用回路」であるから、被告製品は「画像表示用回路」を備えている。仮に、被告製品において、「画像表示用回路」の一部である「GPU」が、

①単一のVRAMに対してビットマップデータの書き込み/読み出しを行

い、②「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、これをディスプレイ制御手段又はインターフェース手段に送信するという処理を行っていないとしても、被告が自認するとおり、被告製品は、「画像表示用回路」の一部である「ビデオ・静止画処理ハードウェア」及び「ディスプレイ手段表示用画像処理プロセッサ」が分担して上記①及び②の処理を行うものであるから、結局のところ、「画像表示用回路」が上記①及び②の処理を行うことに変わりはない。イ そして前記(1)のとおり、本件発明における「中央演算回路」と「グラフ

5 ィックコントローラ」は、物理的に分離した複数の部品から構成される構

成に限定されない。ウ したがって、被告製品のモバイルプロセッサは、「グラフィックコントローラ」に当たる。

(3) まとめ

以上によれば、被告製品は、構成要件Dを充足する。

(被告の主張)

(1) 「グラフィックコントローラ」の意義

ア 構成要件Dの「単一のVRAMに対してビットマップデータの書き込み/読み出しを行い、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を後記ディスプレイ制御手段又は後記インターフェース手段に送信するグラフィックコントローラ」との記載によれば、本件発明のグラフィックコントローラは、①単一のVRAMに対してビットマップデータの書き込み/読み出しを行い、②「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、これをディスプレイ制御手段又はインターフェース手段に送信するという二つの処理を行うものである。イ また、構成要件Dでは、「データ処理手段」が「中央演算回路」と「グラフィックコントローラ」から構成される旨が規定されているところ、「中央演算回路」と「グラフィックコントローラ」のいずれについても、その構成は不明確である。そして、本件明細書の【図1】 【図6】 【図8】 【図、 、 、12】及び【図13】では、「中央演算回路」と「グラフィックコントローラ」が「バス 19」を介して接続され、両者が別個独立した構成(物理的に分離した複数の部品から成る構成)のものとして開示されている一方で、両者が一体となった構成は開示されていない。したがって、本件発明においては、「中央演算回路」と「グラフィックコ

5 ントローラ」は、少なくとも別個独立した構成(物理的に分離した複数の

部品から成る構成)であると、合理的に解釈することができる。

(2) あてはめ

ア 被告製品のモバイルプロセッサは、CPU、GPU、ビデオ・静止画処理用ハードウェア、内部ディスプレイ手段表示用画像処理プロセッサ及び外部ディスプレイ手段表示用画像処理プロセッサの各ハードウェアを含むものである。そして、被告製品のGPUは、2D及び/又は3Dのグラフィック処理を行うものの、画像データ(ビットマップデータ)のSDRAMへの書き込みや読み出しの処理は行わず、別のハードウェアであるビデオ・静止画処理ハードウェアにより画像データ(ビットマップデータ)の書き込みが、また、内部ディスプレイ手段表示用画像処理プロセッサ及び外部ディスプレイ手段表示用画像処理プロセッサにより画像データ(ビットマップデータ)の読み出しが、それぞれ行われる。また、被告製品のGPUは、SDRAMから読み出された画像データ(ビットマップデータ)を、液晶ドライバ又はMHLトランスミッタ若しくはHDMIトランスミッタに送信する処理を行わず、別のハードウェアである内部ディスプレイ手段表示用画像処理プロセッサ及び外部ディスプレイ手段表示用画像処理プロセッサにより当該処理が行われる。このように、被告製品のGPUは、前記(1)ア①及び②の処理を行わないから、構成要件Dの「グラフィックコントローラ」に当たらない。イ また、被告製品では、画像の信号処理及びデータ処理は、単一のモバイルプロセッサにより行われており、これが「中央演算回路」に相当するとしても、当該モバイルプロセッサと別個独立した「グラフィックコントローラ」に相当する構成は存在しない。

(3) まとめ

5 以上によれば、被告製品は、構成要件Dを充足しない。

3 争点1-3(構成要件G′の充足性)について

(原告の主張)

(1) 被告製品が「高解像度画像受信・処理・表示機能」を有すること

ア 「高解像度画像受信・処理・表示機能」の意義について前記1

(原告の主張)

(1)のとおり、本件明細書の【0056】及び【0

116】の記載に照らせば、「高解像度画像受信・処理・表示機能」についても、テレビ放送を視聴している場合に実現される機能に限定されるということはない。したがって、テレビ放送を視聴している場合に実現される機能に限定されることを前提とした

(被告の主張)

は、いずれも失当である。イ あてはめ被告製品のうち、イ号製品は、無線通信用メインアンテナ及び無線送受信用ICが、本来解像度が1920×1080画素である画像データを伝達する無線信号を受信してデジタル信号に変換の上、モバイルプロセッサに内蔵されるCPUに送信し、CPUが該デジタル信号を受信して、該デジタル信号が伝達する画像データを処理し、グラフィックコントローラであるモバイルプロセッサに内蔵されるGPUが、CPUの処理結果に基づき、SDRAMに対してビットマップデータの書き込み/読み出しを行い、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号をディスプレイ制御手段である有機ELドライバ又はインターフェース手段であるMHLトランスミッタに送信して、有機ELディスプレイパネル又は周辺装置が備える外部ディスプレイ手段に画像を表示するとの機能を有するところ、これは、「高解像度画像受信・処理・表示機能」に当たる。その余の被告製品についても同様である。

5 したがって、被告製品は、構成要件G′の「高解像度画像受信・処理・

表示機能」を備えている。

(2) 被告製品が「グラフィックコントローラ」を有すること

前記2

(原告の主張)

のとおり、被告製品のモバイルプロセッサは、「グラフィックコントローラ」に当たる。

(3) まとめ

以上によれば、被告製品は、構成要件G′を充足する。

(被告の主張)

(1) 被告製品が「高解像度画像受信・処理・表示機能」を有しないこと

ア 「高解像度画像受信・処理・表示機能」の意義構成要件G′においては、「高解像度画像受信・処理・表示機能」が機能的内容で特定されているだけで、その具体的内容は特定されておらず、構成が不明確である。そして、「高解像度画像受信・処理・表示機能」との文言は、本件訂正により追加されたものであるところ、原告は、本件訂正請求に当たり、本件明細書の【0118】 【0124】 【0126】ないし、 、【0129】に本件発明に係る「携帯電話機 1」(及び「外部ディスプレイ装置 5」)を用いてテレビ放送を視聴している場合に実現される機能が記載されており、これらの記載で説明されている機能が「高解像度画像受信・処理・表示機能」に相当すると主張し、本件審決においても同様の判断がされた。このように、構成要件G′の「高解像度画像受信・処理・表示機能」は、その内容が特許請求の範囲の記載から不明確であるところ、本件明細書の記載及び本件訂正請求における

(原告の主張)

等に照らせば、当該機能は、テレビ放送を視聴している場合に実現されるものを意味する。そして、構成要件G′の文言から明らかなように、「高解像度画像受信・処理・表示機能」は、「前記無線通信手段が「本来解像度が前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」を伝達する無線信号を受信」

5 するものである。

イ あてはめ(ア) 被告製品は、タ号製品、ネ号製品、ナ号製品及びラ号製品を除き、ワンセグ放送受信用アンテナと対応するチューナーからなるワンセグ受信手段を備えており、当該ワンセグ受信手段によりテレビ放送の視聴が実現されるところ、ワンセグのフォーマットは、320×240(QVGA。アスペクト比は4:3)及び320×180(QVGA。アスペクト比は16:9)であって、上記各製品は、通常規格やハイビジョン規格のテレビ放送を視聴する機能を有しない。そして、前記アのとおり、構成要件G′の「高解像度画像受信・処理・表示機能」は、「本来解像度が前記ディスプレイパネル(内蔵のディスプレイパネル)の画面解像度より大きいデータ」を伝達する無線信号を受信すると規定されているところ、上記各製品の内蔵のディスプレイの解像度はワンセグの画像解像度よりも大きいため、上記各製品が「本来解像度が前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きいデータ」である高解像度画像のテレビ放送を受信することはない。(イ) また、被告製品のうち、タ号製品、ネ号製品、ナ号製品及びラ号製品については、フルセグのテレビ信号を受信する機能を有するものの、上記各製品の内蔵のディスプレイパネルの解像度はフルセグの画像解像度(1920×1080)よりも大きいため、上記各製品が「本来解像度が前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きいデータ」である高解像度画像のテレビ放送を受信することはない。(ウ) さらに、構成要件G′は、「高解像度画像受信・処理・表示機能」において無線通信手段が無線信号を受信すると規定されており、被告製品のワンセグ放送受信用アンテナと対応するチューナーは、テレビ信号を受信する機能を有しているから、無線受信手段に該当し得るものの、前記

5 1

(被告の主張)

のとおり、送信機能を備えていないため、「無線通信手段」に当たらない。ウ まとめ以上によれば、被告製品は、構成要件G′の「高解像度画像受信・処理・表示機能」を備えていない。

(2) 被告製品が「グラフィックコントローラ」を有しないこと

前記2

(被告の主張)

のとおり、本件発明のグラフィックコントローラは、

①単一のVRAMに対してビットマップデータの書き込み/読み出しを行い、

②「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成

し、これをディスプレイ制御手段又はインターフェース手段に送信するという二つの処理を行うものであるところ、被告製品のGPUは、上記①及び②の処理を行わないのであるから、構成要件G′の「グラフィックコントローラ」に当たらない。

(3) まとめ

以上によれば、被告製品は、構成要件G′を充足しない。

4 争点1-4(構成要件H′の充足性)について

(原告の主張)

(1) 被告製品が「高解像度画像受信・処理・表示機能を実現する場合に」を充

足すること被告は、「高解像度画像受信・処理・表示機能を実現する場合に」の「場合」との文言を捉えて、本件発明では「高解像度画像受信・処理・表示機能」が実現されない場合があることが当然の前提となっているところ、被告製品においては、当該機能を実現しない場合は存在しないと主張する。そもそも、製品の機能が実現するのは、当該機能が発現する条件が整った場合だけであり、機能が発現する条件が整わない場合には、当該機能は単なるスタンバイ(待機)状態にあるにすぎず、そのようなスタンバイ(待機)

5 状態においては、当該機能は実現しない。このことは、本件発明における

「高解像度画像受信・処理・表示機能」についても同様であり、例えば、ウェブサイトにアクセスして「本来解像度が前記ディスプレイパネルと同じ画像データファイル」をダウンロードする操作を行った場合には、機能が発現する条件が整わないため、「高解像度画像受信・処理・表示機能」は実現しないこととなる。被告製品はスマートフォン又はタブレットであり、「高解像度画像受信・処理・表示機能」以外にも、例えば、付帯するカメラを用いて撮像したり、音声データを再生したりするなどの多様な機能を有しており、ユーザーがそのような「高解像度画像受信・処理・表示機能」以外の機能を使用している場合には、当然、機能が発現する条件が整わないため、「高解像度画像受信・処理・表示機能」は実現しない。このように、被告製品には、「高解像度画像受信・処理・表示機能」が実現しない場合が存在する。したがって、被告製品は「高解像度画像受信・処理・表示機能を実現する場合に」を充足する。

(2) 被告製品が「グラフィックコントローラ」を有すること

前記2

(原告の主張)

のとおり、被告製品のモバイルプロセッサは、「グラフィックコントローラ」に当たる。

(3) 被告製品が「単一のVRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度

と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、…単一のVRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し」を充足すること被告製品のモバイルプロセッサは、「内蔵用表示データ」と「(内蔵用表示データに補間又は間引き等の処理を行って生成した)外部表示用データ」という「異なる2種類の解像度の画像データ」をSDRAMに書き込み、当該

5 「異なる2種類の解像度の画像データ」をSDRAMから読み出す。

したがって、被告製品は、「単一のVRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、…単一のVRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し」を充足する。

(4) まとめ

以上によれば、被告製品は、構成要件H′を充足する。

(被告の主張)

(1) 被告製品が「高解像度画像受信・処理・表示機能を実現する場合に」を充

足しないことア 「高解像度画像受信・処理・表示機能を実現する場合に」の意義「場合」とは、「仮定的・一般的にある状況になったとき」を意味する語句である。そうすると、「高解像度画像受信・処理・表示機能を実現する場合に」とは、「高解像度画像受信・処理・表示機能を実現する状況になったときに」を意味することになるところ、これは「高解像度画像受信・処理・表示機能」が実現されない場合があることが当然の前提となっている。イ あてはめ被告製品では、解像度の大小にかかわらず画像を受信し表示するだけであり、仮に「高解像度画像を受信・処理・表示する機能」があるとしても、当該機能を実現しない場合は存在しない。したがって、被告製品は、「高解像度画像受信・処理・表示機能を実現する場合に」を充足しない。

(2) 被告製品が「グラフィックコントローラ」を有しないこと

前記2

(被告の主張)

のとおり、本件発明のグラフィックコントローラは、

①単一のVRAMに対してビットマップデータの書き込み/読み出しを行い、

②「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成

5 し、これをディスプレイ制御手段又はインターフェース手段に送信するとい

う二つの処理を行うものであるところ、被告製品のGPUは、上記①及び②の処理を行わないのであるから、構成要件H′の「グラフィックコントローラ」に当たらない。

(3) 「単一のVRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像

度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、…単一のVRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し」を充足しないことア 構成要件H’は、「単一のVRAM」から「前記ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」及び「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップデータ」という異なる2種類の解像度の画像のビットマップデータを読み出すことを規定している。これに対し、被告製品においては、SDRAMに保存される画像の解像度は1種類のみであり、「内部ディスプレイ手段表示用画像処理プロセッサ」及び「外部ディスプレイ手段表示用画像処理プロセッサ」の各々が、SDRAMに保存される画像(同一解像度の画像)を読み出した後に解像度変換を行い、液晶ドライバ及びMHLトランスミッタ又はHDMIトランスミッタに送信している。このように、被告製品は、SDRAMから異なる2種類の解像度の画像を読み出していないから、構成要件H’の上記文言を充足しない。イ また、前記3

(被告の主張)

(1)のとおり、被告製品においては、放送受

信用アンテナ及びチューナーで受信されるテレビ放送信号の画像解像度が内蔵のディスプレイパネルの解像度よりも小さいから、内蔵ディスプレイパネルの解像度よりも大きい解像度を有する画像のデータをSDRAMに記録することも、SDRAMから読み出すこともない。

5 (4) まとめ

以上によれば、被告製品は、構成要件H′を充足しない。

5 争点2-1(乙2文献を主引用例とする進歩性欠如)について

(被告の主張)

(1) 乙2文献に記載された発明

乙2文献(平成12年1月14日公開)には、以下の発明(以下「乙2発明」という。)が記載されている。CPU、ROM及びRAM等を有して成り、マルチメディア通信端末装置HS1の各部を総括制御する主制御部21と、符号化映像データのデコードを行い、再生した映像データを表示制御部23へ与える映像デコーダ22と、複数のキースイッチ等の操作デバイスを有しており、ユーザの指示入力を受け付けて入力内容を主制御部21に通知する操作入力部31と、PHS端末との間で各種の情報を授受し、通信相手の装置から送信された伝送データを受信する無線端末インターフェース部26と、カラーLCDを使用して成り、QCIF信号を表示するのに必要な画素数(180×144)を有する内部表示器24と、画像データが示す画像を表示するべく内部表示器24を制御する表示制御部23と、外部テレビジョンモニタVMを着脱自在に接続するための外部モニタ接続端子36と、低解像度のQCIFと高解像度のCIFとの間で動画像データのフォーマットを変換するQCIF/CIF変換部39と、を備えたマルチメディア通信端末装置HS1であって、表示制御部23は、受信動画像データのフォーマットがCIFである場合において、外部テレビジョンモニタVMの接続を判定すると当該CIFの動

5 画像データを外部テレビジョンモニタVMに出力して表示させ、外部テレビ

ジョンモニタVMが接続されていないと判定するとCIFからQCIFへのフォーマット変換を行い内部表示器24にQCIFの動画像を表示する、ことにより、外部テレビジョンモニタVMにCIFの動画像を表示することが可能となる、マルチメディア通信端末装置HS1。

(2) 本件発明と乙2発明との間の一致点及び相違点

前記(1)によれば、本件発明と乙2発明とは、以下の点で相違し、その余の点で一致する。ア 相違点1-1本件発明は、「グラフィックコントローラ」が「単一のVRAM」に対してビットマップデータの書き込み/読み出しを行うのに対し、乙2発明は、ビットマップデータの書き込み/読み出しについて記載がない点イ 相違点1-2本件発明は、「ビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」が、「デジタルRGB、TMDS、LVDS(又はLDI)及びGVIFのうちのいずれかの伝送方式」で伝送されるのに対し、乙2発明では、表示信号の「伝送方式」について特定されていない点

(3) 相違点に係る構成の容易想到性について

ア 相違点1-1について「グラフィックコントローラ」が「単一のVRAM」に対して表示イメージのリード/ライトを行い、読み出した表示イメージを伝達する描画イメージを生成することは、本件優先日当時の周知技術である(乙3、4)。そして、乙2発明に当該周知技術を適用し、相違点1-1に係る本件発明の構成とすることは、当業者にとって容易に想到できたものである。イ 相違点1-2について表示装置に表示信号を送信する際に、「デジタルRGB、TMDS、LV

5 DS(又はLDI)及びGVIFのうちのいずれかの伝送方式」に変換し

て送信することは、本件優先日当時の周知技術である(乙5ないし7)。そして、乙2発明に当該周知技術を適用し、相違点1-2に係る本件発明の構成とすることは、当業者にとって容易に想到できたものである。

(4) まとめ

以上によれば、本件発明は、当業者が乙2文献に記載された発明と周知技術に基づいて容易に発明をすることができたから、進歩性を欠くものである。

(原告の主張)

(1) 乙2文献に記載された発明

乙2文献には、以下の発明(以下「乙2′発明」という。)が記載されている。通話機能のみを有するPHS端末と、前記PHS端末に接続したマルチメディア通信端末装置であって、主制御部は、CPU、ROM及びRAM等を有して成るものであり、マルチメディア通信端末装置の各部を総括制御することで、マルチメディア通信のための所定の動作を実現するものであり、映像デコーダは、符号化映像データのデコードを行い、再生した映像データを表示制御部へと与え、表示制御部は、映像デコーダから与えられる画像データが示す画像を表示するべく内部表示器を制御し、内部表示器は、カラーLCDを使用して成り、縦横の画素数をそれぞれCIFの画素数の2分の1に設定したQCIF信号を表示するのに必要な画素数(180×144)を有しており、多重分離部は、主制御部により指定されたモードで動作し、無線端末インタフェース部から与えられる伝送データから符号化映像データを分離し、映像デコーダへと与え、

5 多重分離部は、主制御部から同期バスを介して与えられる伝送データを無

線端末インタフェース部に与えることで、当該データを通信相手の装置に送信することができ、無線端末インタフェース部には、PHS端末用コネクタを介してPHS端末が接続され、PHS端末との間で各種の情報を授受することで、PHS端末及びPHSを含む公衆網を介してデータ通信を実現し、操作入力部は、複数のキースイッチ等の操作デバイスを有しており、この操作デバイスを操作してなされるユーザの指示入力を受け付け、その指示入力の内容を主制御部に通知し、外部モニタ接続端子には外部テレビジョンモニタが着脱自在に接続され、ユーザはマルチメディア通信端末装置を把持し、手に持つことができ、マルチメディア通信端末装置は、動画像の符号化データを受信し、この符号化データは、映像デコーダで元の動画像データに復号されたのち表示制御部に入力され、表示制御部は、外部テレビジョンモニタが接続されていると判定される場合には、受信動画像データのフォーマットがCIFであれば、CIFの動画像データをそのまま外部テレビジョンモニタに出力して表示させ、受信画像データのフォーマットがQCIFだったとすると、QCIFからCIFへのフォーマット変換を行い、このフォーマット変換は、QCIFフォーマットの受信動画像データは、まず表示制御部内のバッファメモリに4フレーム分ずつ蓄積され、次に、この4フレームfr1、fr2、fr3、fr4の同一座標位置における4個の画素がQCIF/CIF変換部に読み出され、これら4個「1」 「2」、 、「3」 「4」の画素の動きベクトルが合成され、次に、QCIF/CIF変、換部において、この合成された動きベクトルの識別結果に基づいて上記4個の画素の配置処理が行われ、QCIFの全ての画素についてその動きベクト

5 ルの合成ベクトルに応じた合成処理が行われ、そうして4フレーム分のQC

IFを合成した1フレーム分のCIFが生成されると、QCIF/CIF変換部は次の4フレーム分のQCIFをもとにCIFフレームを生成する処理を行い、外部テレビジョンモニタVMには、QCIFからCIFにフォーマット変換された、QCIFと同程度の解像度を有する受信画像データが表示され、一方、外部テレビジョンモニタが接続されていないと判定された場合には、受信画像データのフォーマットがCIFだったとすると、表示制御部はCIFからQCIFへのフォーマット変換を行い、このCIFからQCIFへのフォーマット変換は、CIF動画像データの画素を間引く処理により行われ、内部表示器へはCIFからQCIFにフォーマット変換された動画像が表示され、外部テレビジョンモニタを使用する場合にも、また内部表示器を使用する場合にも、動画像データはこれらの表示手段が持つ画素数に対応したフォーマットで表示され、外部テレビジョンモニタが接続されていることが検出されている状態で、表示画像サイズの指定入力を促す情報を内部表示器に表示し、ユーザが操作入力部により外部テレビジョンモニタの表示画像サイズを任意に指定でき、この場合、指定入力された画像表示サイズと受信動画像データのフォーマットとを比較し、受信動画像データのサイズが指定入力された画像表示サイズよりも大きい場合には、受信動画像データの画素を間引いたり、またフォーマット変換を行い表示することを特徴とするマルチメディア通信端末装置と、から成る装置。

(2) 本件発明と乙2′発明との間の相違点

前記(1)によれば、本件発明と乙2′発明との間には、少なくとも以下の相違点1-1′が存在する。

5 本件発明の「グラフィックコントローラ」は、「単一のVRAMに対してビ

ットマップデータの書き込み/読み出しを行」うものであり、「前記携帯情報通信装置が前記高解像度画像受信・処理・表示機能を実現する場合に」、前記「単一のVRAM」から「前記ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」や「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、「「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成」するのに対し、乙2′発明は、「受信画像データのフォーマットがQCIFだったとすると」 「QCIFフォーマットの受信動画像データは、まず表示制、御部内のバッファメモリに4フレーム分ずつ蓄積され、次に、この4フレームfr1、fr2、fr3、fr4の同一座標位置における4個の画素がQCIF/CIF変換部に読み出され」 「次に、QCIF/CIF変換部にお、いて、この合成された動きベクトルの識別結果に基づいて上記4個の画素の配置処理が行われ、QCIFの全ての画素についてその動きベクトルの合成ベクトルに応じた合成処理が行われ、そうして4フレーム分のQCIFを合成した1フレーム分のCIFが生成される」ものであり、乙2′発明の「表示制御部」は、「受信画像データのフォーマットがQCIFだったとすると」書き込み/読み出しされる、VRAMに相当する「バッファメモリ」を有するものの、乙2′発明の「表示制御部」は、「前記携帯情報通信装置が前記高解像度画像受信・処理・表示機能を実現する場合に」に相当する「受信画像データのフォーマットがCIF」である場合に、前記「バッファメモリ」に対して「ビットマップデータの書き込み/読み出しを行」うとも、 「該読み「出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成する」ともされていない点

(3) 相違点に係る構成の容易想到性について

相違点1-1′に係る本件発明の構成の容易想到性について、以下の指摘

5 をすることができる。

乙2′発明は、①「受信動画像データのフォーマットがCIFである場合」に、表示制御部23によって動画像データの書き込み/読み出しが行われ、表示制御部23は、その読み出しの際に、「動画像データをそのまま読み出すこと」と「画素を間引く処理」の2種類を行う「VRAM1」と、②「受信動画像データのフォーマットがQCIFである場合」に、表示制御部23が「QCIFからCIFへのフォーマット変換」を行う際に、「動画像データの4フレーム分ずつの書き込み」と「4フレームfr1、fr2、fr3、fr4の同一座標位置における4個の画素の読み出し」が行われる「VRAM2」という、表示制御部23が行う「書き込み/読み出し」動作が異なる二つのVRAMを備えるものである。そのため、被告が主張する周知技術を乙2′発明に適用しようとしても、表示制御部23が各VRAMに対して行う「書き込み/読み出し」動作は全く異なるのであるから、両者を「単一のVRAM」で兼用することは想到困難というべきである。したがって、乙2′発明に当該周知技術を適用し、相違点1-1′に係る本件発明の構成とすることは、当業者にとって容易に想到することができない。

(4) まとめ

以上によれば、本件発明は、当業者が乙2文献に記載された発明と周知技術に基づいて容易に発明をすることができたとはいえないから、進歩性がある。

6 争点2-2(乙8文献を引用例とする新規性欠如及び進歩性欠如)について

(被告の主張)

(1) 乙8文献に記載された発明

乙8文献(平成13年7月19日公開)には、以下の構成(以下、頭書の

5 符号に従って「構成乙8a」などということがある。)の発明(以下「乙8発

明」という。)が記載されている。a 各種データの入力を可能とし、入力されたデータをCPU11に送信する操作部20と、b アンテナ12aを有し、送信信号の変調及び受信信号の復調機能を有し、CPU11と相互に信号の送受信を行う通信部12と、c CPU11が実行する各種プログラムを格納するROM14及びユーザ設定データなどを格納するRAM13と、d1 ROM14に格納されたプログラムに基づき、入力された表示データ(外部から取り込んだ画像情報)を、ドットデータとして簡易型液晶表示パネルやCRT表示器24等の大型ディスプレイに送信するよう制御するCPU11と、d2 CPU11の制御下で、入力された表示データを画像メモリ22に記憶させるとともに、画像メモリ22に記憶させた表示データ(ドットデータ)を電話機本体に設けられた簡易型液晶表示パネル23又はCRT表示器24等の大型ディスプレイに接続されたモニタ端子25に送信する表示制御回路21と、e 表示制御回路21から送られてきた表示データを表示する簡易型液晶表示パネル23と、f CRT表示器24等の大型ディスプレイに接続されており、表示制御回路21から送られてきた表示データをCRT表示器等の大型ディスプレイに送信するモニタ端子25とを備え、g1 通信部12が、簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できない画像情報を受信して復調の上、CPU11に送信し、CPU11が、ドットデータとして簡易型液晶表示パネルやCRT表示器24等の大型ディスプレイに送信するよう表示制御回路21を制御し、

5 g2 CPU11の制御下で、表示制御回路21が、表示データを画像メ

モリ22に記憶させるとともに、画像メモリ22に記憶させた表示データ(ドットデータ)を電話機本体に設けられた簡易型液晶表示パネル23又はCRT表示器24等の大型ディスプレイに接続されたモニタ端子25に送信して、簡易型液晶表示パネル23又はCRT表示器24等の大型ディスプレイに画像を表示する機能を有する、携帯電話機において、h1 外部から受信した情報量の多い表示データを携帯電話機が簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できない画像情報を表示する機能を実現する場合に、表示制御回路21は、画像メモリ22に記憶させた表示データ(ドットデータ)を電話機本体に設けられた簡易型液晶表示パネル23に送信し、簡易型液晶表示パネル23に表示データの全てを欠落なく表示できない(表示データの全てを欠落なく表示できない、又はスクロール操作によらなければ全画像を見られない)又は表示内容が明瞭でない(拡大しなければ字を読みにくい)ように表示する機能と、h2 画像メモリ22に記憶させた表示データ(ドットデータ)をCRT表示器24等の大型ディスプレイに接続されたモニタ端子25に送信し、CRT表示器24等の大型ディスプレイに、簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できない画像情報を、欠落なく(スクロール操作することなく)表示する機能と、を実現し、i モニタ端子25は、表示制御回路21から受信した表示データ(ドットデータ)をCRT表示器24等の大型ディスプレイに表示できるようにして送信する機能を有する、j ことにより、CRT表示器24等の大型ディスプレイに、簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できない画像情報を、欠落なく(ス

5 クロール操作することなく)表示できるようにした、

k 携帯電話機。

(2) 本件発明は乙8発明と同一の発明であること

ア 前記(1)によれば、本件発明は乙8発明と同一の発明である。イ 原告は、本件発明と乙8発明との間に、本件発明の構成要件B、D及びG′に係る相違点2-1′、同D、G′及びH′に係る相違点2-2′並びに同Jに係る相違点2-3′が存在すると主張するが、以下のとおり失当である。(ア) 相違点2-1′についてa 乙8文献には、「通信部12は、アンテナ12aを有し、送信信号の変調および受信信号の復調機能を有する」【0008】( )との記載があり、通信部12において信号の送受信を行うことが明示されている上、【図1】に通信部12とCPU11とがバスで接続されていることが記載されているから、本件発明の構成要件Bに係る相互に信号の送受信を行う構成を備えていることは明らかである。また、本件発明の構成要件Bに係る構成のうち、通信部において受信した無線信号をデジタル信号に変換してCPUに送信すること及びCPUから受信したデジタル信号を無線信号に変換して通信部に送信することは、本件優先日における技術常識である。b さらに、乙8文献には、「ウェブサイトから特定の画面を取り込んで」(【0003】、)「外部から取り込んだ画像情報」【0013】、( ) 「外部から受信した情報量の多い表示データ」【0015】( )と記載されているものの、外部からデータを取り込む方法について無線手段(通信部12)で受信する方法しか記載がない。また、無線手段以外の方法として、有線やメモリーカードを使用する方法では、無線によりデータを送受信できるという携帯電話のメリットを十分に発揮できない。

5 そして、携帯電話機が通信部を介してウェブサイトに接続すること、

ウェブサイトに画像の情報が含まれることは、本件優先日当時の技術常識である。そうすると、乙8文献には、構成要件D及びG′に係る構成のうち、通信部12において、外部から情報量の多い表示データとしての画像データに係る信号を受信して復調することが実質的に開示されているといえる。c 以上のような乙8文献の記載及び技術常識に照らすと、乙8文献において、通信部12とCPU11が相互にデジタル信号の送受信を行う構成と、通信部12において外部から情報量の多い表示データとしての画像データに係る信号を受信して復調することが実質的に開示されていることは明らかである。そして、乙8発明の「CPU11」は、「入力された表示データ(外部から取り込んだ画像情報)を、ドットデータとして簡易型液晶表示パネルやCRT表示器24等の大型ディスプレイに送信するよう制御する」(構成乙8d1)ものであるから、構成要件Dの「前記入力手段から受信したデータ」「に基づき、前記無線通信手段から受信したデジタル信号に必要な処理を行」う「中央演算回路」に当たる。したがって、本件発明と乙8発明との間に相違点2-1′はない。(イ) 相違点2-2′についてa 本件発明の「単一のVRAM」(構成要件D及びG′)に対応する乙8発明の構成は「画像メモリ22」であるところ、「画像メモリ」との字義からして、当該メモリに表示データとしての画像データが記憶されることは明らかであり、「外部から受信した情報量の多い表示データ」(【0015】)も当然に画像メモリ22に記憶される。また、乙8文献の【0013】には、「表示データ(ドットデータ)」

5 との記載があるところ、表示データがドットデータの形式によって取

り扱われる場面が、モニタ端子25へ送出する場合といった特定の場面に限定されていると理解すべき合理的な理由はない。なお、本件明細書の【0036】には、「ビットマップデータ」は画像データの一般的な総称である旨記載されており、本件発明における「ビットマップデータ」を構成する画像に係る画像ファイルの形式に何ら限定はないから、乙8文献記載の「画像データ」は「ビットマップデータ」に該当する。したがって、乙8発明は、「画像メモリ22」(単一のVRAM)に対してドットデータ(ビットマップデータ)の書き込み/読み出しが行われるものである。b 次に、乙8発明では、簡易型液晶表示パネル23に合わせた解像度(画素数)の表示データが読み出されて、簡易型液晶表示パネル23に出力される。また、携帯端末において内蔵の表示パネルに画像を表示させるに当たり、当該表示パネルと同じ解像度の画像データを読み出して表示させることは、本件優先日当時の技術常識である。そうすると、乙8文献には、構成要件H′に係る構成のうち、携帯端末において内蔵の表示パネルに画像を表示させるに当たり、当該表示パネルと同じ解像度の画像データを読み出して表示させる構成が開示されているといえる。c さらに、乙8文献に記載されている「外部から取り込んだ画像情報などのように一度に表示すべきデータ量が多く、簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できない表示データ」 【0013】( )とは、「簡易型液晶パネル23では…スクロール操作によって全画像を見る必要」(【0014】)がある画像データのことであり、「簡易型液晶表示パネ

5 ル23では…スクロール操作によって全画像を見る必要」があるとい

うことは、受信した表示データの解像度が簡易型液晶パネル23の解像度(画素数)より大きいことを意味する。そうすると、乙8発明の「CRT表示器24等の大型ディスプレイに、簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できない画像情報」が「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像」(構成要件H′)を意味することは明らかである。d したがって、本件発明と乙8発明との間に相違点2-2′はない。(ウ) 相違点2-3′について前記(イ)のとおり、乙8発明の「CRT表示器24等の大型ディスプレイに、簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できない画像情報」が「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像」(構成要件H′)を意味することは明らかであるから、乙8発明は、「前記外部ディスプレイ手段に、「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像」を表示できるようにした」(構成要件J)ものといえる。したがって、本件発明と乙8発明との間に相違点2-3′はない。

(3) 本件発明は乙8発明に基づいて容易に発明をすることができたこと

ア 本件発明と乙8発明との間の相違点仮に本件発明と乙8発明との間に相違点があるとしても、以下の相違点2-4があるにとどまる。本件発明では、「ビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」が、「デジタルRGB、TMDS、LVDS(又はLDI)及びGVIFのうちのいずれかの伝送方式」(構成要件I)で伝送されるのに対し、乙8発明では、表示信号の「伝送方式」について特定されていない点イ 相違点2-1′、2-2′及び2-4に係る構成の容易想到性について

5 (ア) 相違点2-1′について

仮に本件発明と乙8発明との間に相違点2-1′があるとしても、通信装置を構成する通信部において画像情報を受信して復調することは、本件優先日当時の技術常識である。そして、乙8文献には「ウェブサイトから特定の画面を取り込む」(【0003】)こと、すなわちウェブサイトから情報を受信することが開示されており、通信部12及び画像メモリ22を備えた乙8発明に、上記の技術常識を適用することにつき何ら阻害事由は存在しないから、乙8発明に当該技術常識を適用し、相違点2-1′に係る本件発明の構成とすることは、当業者にとって容易に想到できたものである。(イ) 相違点2-2′についてa 仮に本件発明と乙8発明との間に相違点2-2′があるとしても、携帯端末において内蔵の表示パネルに画像を表示させるに当たり、当該表示パネルと同じ解像度の画像データを読み出して表示させること、当該表示パネルに画像の一部分しか表示されない場合にスクロール操作によって全画像を見られるようにすることは、いずれも本件優先日当時の技術常識である。b 原告は、乙8文献の【0014】に、「従来のように、スクロール操作によって全画像を見る必要がなくなる」と記載されており、CRT表示器24に表示データの全てを欠落なく表示でき、それによりスクロール操作によって全画像を見る必要がなくなるのであるから、乙8発明において、携帯電話機に内蔵されている表示パネルに、当該表示パネルと同じ解像度の画像データを読み出して表示させるとの構成を適用することには、阻害要因があると主張する。しかし、乙8文献の【0014】の記載は、「CRT表示器24を使う」場合に、当該CRT表示器24に表示データの全てを欠落なく表

5 示でき、それによりスクロール操作によって全画像を見る必要がなく

なることを述べたものにすぎず、CRT表示器24が接続されず、携帯電話機単体で用いられる場合には、内蔵の簡易型液晶表示パネル23に画像を表示することが当然の前提とされているというべきである。c したがって、乙8発明に前記技術常識を適用し、相違点2-2′に係る本件発明の構成とすることは、当業者にとって容易に想到できたものである。(ウ) 相違点2-4について前記5

(被告の主張)

(3)イのとおり、表示装置に表示信号を送信する

際に、「デジタルRGB、TMDS、LVDS(又はLDI)及びGVIFのうちのいずれかの伝送方式」に変換して送信することは、本件優先日当時の周知技術である(乙5ないし7)。そして、乙8発明に当該周知技術を適用し、相違点2-4に係る本件発明の構成とすることは、当業者にとって容易に想到できたものである。

(4) まとめ

以上によれば、本件発明は、乙8文献に記載された発明であるから、新規性を欠くものであるか、仮に新規性を有するとしても、当業者が乙8文献に記載された発明と技術常識及び周知技術に基づいて容易に発明をすることができたから、進歩性を欠くものである。

(原告の主張)

(1) 乙8文献に記載された発明

乙8文献には、以下の構成(以下、頭書の符号に従って「構成乙8′a」などということがある。)の発明(以下「乙8′発明」という。)が記載されている。a 各種データの入力を可能とし、入力されたデータをCPU11に送信する操作部20と、

5 b アンテナ12aを有し、送信信号の変調及び受信信号の復調機能を

有し、CPU11に制御される通信部12と、c CPU11が実行する各種プログラムを格納するROM14及びユーザ設定データ等を格納するRAM13とd1 ROM14に格納されたプログラムに基づき、入力された表示データ(外部から取り込んだ画像情報)を、簡易型液晶表示パネルやCRT表示器24等の大型ディスプレイに送信するよう制御するCPU11と、d2 CPU11の制御下で、入力された表示データを画像メモリ22に記憶させるとともに、電話機本体に設けられた簡易型液晶表示パネル23又はCRT表示器24等の大型ディスプレイに接続されたモニタ端子25に送信し、特に、モニタ端子25へはドットデータとして送信する表示制御回路と、e 表示制御回路21から送られてきた表示データを表示する簡易型液晶表示パネル23と、f CRT表示器24等の大型ディスプレイに接続されており、表示制御回路21から送られてきた表示データをCRT表示器24等の大型ディスプレイに送信するモニタ端子25とを備え、g2 CPU11の制御下で、表示制御回路21が、表示データを画像メモリ22に記憶させるとともに、電話機本体に設けられた簡易型液晶表示パネル23又はCRT表示器24等の大型ディスプレイに接続されたモニタ端子25に送信し、特に、モニタ端子25へはドットデータとして送信して、簡易型液晶表示パネル23又はCRT表示器24等の大型ディスプレイに画像を表示する機能を有する、携帯電話機において、h 携帯電話機が、簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できない

5 画像情報を表示する機能を実現する場合に、表示制御回路21は、ド

ットデータとしてCRT表示器24等の大型ディスプレイに接続されたモニタ端子25に送信し、CRT表示器24等の大型ディスプレイに、簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できない画像情報を、欠落なく(スクロール操作することなく)表示する機能を実現し、i モニタ端子25は、表示制御回路21から受信した表示データ(ドットデータ)をCRT表示器24等の大型ディスプレイに表示できるようにして送信する機能を有する、j ことにより、CRT表示器24等の大型ディスプレイに、簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できない画像情報を、欠落なく(スクロール操作することなく)表示できるようにした、k 携帯電話機。

(2) 本件発明と乙8′発明との間の相違点

ア 前記(1)によれば、本件発明と乙8′発明との間には、少なくとも以下の相違点が存在する。(ア) 相違点2-1′本件発明では、無線通信手段が、「無線信号を受信してデジタル信号に変換の上、後記中央演算回路に送信」(構成要件B)しており、当該無線信号は、「…「本来解像度が前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」を伝達する無線信号」(構成要件G′)であり、中央演算回路が、「…前記無線通信手段から受信したデジタル信号に必要な処理を行い」(構成要件D)「…該デジタル信号を受信して、該デジタル信号、が伝達する画像データを処理」(構成要件G′)するのに対し、乙8′発明では、通信部12は、 「本来解像度が前記ディスプレイパネルの画面「解像度より大きい画像データ」を伝達する無線信号」を受信しておらず、CPU11にデジタル信号を送信しておらず、CPU11は、通信部1

5 2からデジタル信号を受信しておらず、したがって、当然、通信部12

から受信したデジタル信号が伝達する画像データの処理を行っていない点(イ) 相違点2-2′本件発明では、グラフィックコントローラが、「…単一のVRAMに対してビットマップデータの書き込み/読み出しを行い、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」(構成要件D及びG′)を生成し、該デジタル表示信号を後記ディスプレイ制御手段又は後記インターフェース手段に送信」し(以下「本件基本G機能」ということがある。 、特に、携帯情報通信装置が前記高解像度画像受信・処理・表示)機能を実現する場合に、「前記単一のVRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記ディスプレイ制御手段に送信する機能」(以下「本件付加G機能ⓐ」ということがある。)と、「前記単一のVRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記インターフェース手段に送信する機能」(以下「本件付加G機能ⓑ」ということがある。)と、を実現(構成要件H′)するのに対し、乙8′発明では、表示制御回路21(グラフィックコントローラ)は、ドットデータ(ビットマップデータ)をCRT表示器24等の大型ディスプレイに接続されたモニタ端子25に送信するものの、画像メモリ22(単一のVRAM)に対してドットデータ(ビットマップデータ)の書き込み/読み出しを行うものではない点(ウ) 相違点2-3′

5 本件発明では、「前記外部ディスプレイ手段に、「前記ディスプレイパ

ネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像」を表示できるようにした」(構成要件J)のに対し、乙8′発明では、CRT表示器24等の大型ディスプレイに、「簡易型液晶表示パネル23の画面解像度より大きい解像度を有する画像」を表示できるようにしたものではない点イ

(被告の主張)

について(ア) 相違点2-1′についてa 「CPU11と相互に信号の送受信を行う通信部12」(構成乙8b)との構成について乙8文献の【図1】は、通信部12とCPU11との間で何らかの信号のやり取りが行われることを示唆するものといえるから、乙8文献の他の記載を合わせると、乙8文献には、「CPU11から通信部12に制御信号を送信すること」が示唆されているといえる。しかし、乙8文献の【0008】には、通信部12がCPU11との間で信号の送受信を行うことが記載されていないし開示もされていない。したがって、乙8文献には、「CPU11と相互に信号の送受信を行う通信部12」(構成乙8b)は開示されていない。b 外部から画像データを取り込む手段について(構成乙8g1)乙8文献の【0008】に記載されている「通信部12」が有する「復調機能」は、音声信号に関わる機能と解するのが相当である。また、乙8文献の【0013】には、画像データ(画像情報)を外部から取り込むことが開示されているものの、この取り込みが通信部12の受信によって行われることは開示も示唆もされていない。むしろ、乙8文献の【0003】に、「携帯電話機本体のメモリからまたはウェブサイトから特定の画面を取り込んで」と記載されていることからす

5 ると、この取り込み処理には「ウェブサイトから特定の画面を取り込」

むことだけではなく、「携帯電話機本体のメモリから」「特定の画面を取り込」むことも含むものとされているから、通信部12以外に外部から画像データを取り込む手段があることを示唆しているものと解される。c 通信部12が画像情報を復調した信号をCPU11に送信する(構成乙8g1)との構成について前記a及びbからすると、乙8文献には、通信部12が画像情報を復調した信号をCPU11に送信すること(構成乙8g1)も、開示されていないし示唆もされていないといえる。(イ) 相違点2-2′についてa 画像メモリ22にドットデータを記憶させる(構成乙8d2、g2、h1、h2)との構成について乙8文献の【0011】及び【0013】の記載から、「画像メモリ22に表示データが記憶されること」が開示されているといえる。他方で、乙8文献において、「表示データ」という語は、「表示装置に表示されるコンテンツ情報を含むデータ」という広い意味で用いられていると解される。仮に被告が主張するように「表示データ」を「ドットデータ」と同義と解すると、乙8文献の【0011】の「入力された表示データ」との記載を「ドットデータが入力される」と解することとなるが、そのような解釈は不自然、不合理である。したがって、「画像メモリ22」に「画像」という語が含まれていることを考慮しても、「画像メモリ22」に「ドットデータ」を記憶させることが開示又は示唆されているということはあり得ない。b 乙8文献の「外部から取り込んだ画像情報などのように一度に表示すべきデータ量が多く、簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示で

5 きない表示データ」【0013】

( )について乙8文献の【0014】における「従来のように、スクロール操作によって全画像を見る必要がなくなる。」との記載は、従来技術における機能を説明しているにすぎず、乙8文献に係る携帯電話機が簡易型液晶表示パネル23においてスクロール操作によって全画像を見るという機能を有していることを開示していない。そうすると、「外部から取り込んだ画像情報などのように一度に表示すべきデータ量が多く、簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できない表示データ」が「簡易型液晶パネル23では…スクロール操作によって全画像を見る必要」がある画像データであるとの主張は、その前提を欠いている。そして、乙8文献の他の記載を考慮しても、乙8文献に係る携帯電話機の「無線通信手段が「本来解像度が前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」を伝達する無線信号を受信する」ものであることは自明でない。したがって、乙8文献記載の「外部から取り込んだ画像情報などのように一度に表示すべきデータ量が多く、簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できない表示データ」 【0013】( )が、本件発明の「本来解像度が前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」に一致すると解することはできない。

(3) 相違点2-1′及び2-2′に係る構成の容易想到性について

ア 相違点2-1′について当業者は、乙8′発明に基づき、相違点2-1′に係る本件発明の構成を容易に想到することができない。イ 相違点2-2′について(ア) 携帯電話機の簡易型液晶表示パネルに当該表示パネルの解像度より大きい表示データを表示する場合に、大きい表示データから当該表示パネ

5 ルと同じ解像度の表示データを生成して当該簡易型液晶表示パネルに表

示し、スクロール操作を行うことで全画像を見ることができるとの事項が技術常識であることの立証はされていない。(イ) また、乙8文献の【0014】において、「従来のように、スクロール操作によって全画像を見る必要がなくなる」と断じている以上、乙8発明に対して、「スクロール操作によって全画像を見る」機能を付加することには、阻害要因が存在するというべきである。

(4) まとめ

以上によれば、本件発明は、乙8文献に記載された発明ではないし、当業者が乙8文献に記載された発明と周知技術及び技術常識に基づいて容易に発明をすることができたとはいえないから、新規性及び進歩性がある。

7 争点2-3(乙22文献を引用例とする新規性欠如及び進歩性欠如)につい

て

(被告の主張)

(1) 乙22文献に記載された発明

乙22文献(平成16年4月公開)には、以下の構成(以下、頭書の符号に従って「構成乙22の1a」などということがある。)の発明(以下「乙22の1発明」という。)が記載されている。a ユーザーがデータを入力し、該入力データをCPUへ送信する入力用キーボードとb 無線信号を受信してデジタル信号に変換の上、CPUに送信するとともに、CPUから受信したデジタル信号を無線信号に変換して送信する「Air Mac Extreme」(無線通信手段)とc CPUを動作させるプログラムとCPUで処理可能なデータファイルとを格納するメモリとd1 入力用キーボードを通じて入力されたデータを受信し、メモリ

5 「DDR SDRAM」に格納されたプログラムを用い、「Air Mac Extreme」

(無線通信手段)から受信したデジタル信号に必要な処理を行い、リアルタイムでデジタル表示信号を生成するか、又は、自らが処理可能なデータファイルとして前記メモリ「DDR SDRAM」にいったん格納し、その後読み出した上で処理するCPUと、d2 CPUの処理結果に基づき、「64MB DDR SDRAM ビデオメモリ」に対してピクセル表示を行うためのデータの書き込み・読み出しを行い、「該読み出したピクセル表示を行うためのデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、当該デジタル表示信号を本体ディスプレイへの出力を制御する手段及び「DVI出力」のためのインターフェース手段に送信するグラフィックコントローラとから構成されるデータ処理手段と、e 画面を構成する最大1280×854ピクセルの画素が駆動されることにより画像を表示する15.2インチ(対角)TFTワイドスクリーン液晶ディスプレイと、グラフィックコントローラから受信したデジタル表示信号に基づき、前記液晶ディスプレイパネルの画素を駆動するディスプレイ制御手段とから構成されるディスプレイ手段とf 外部ディスプレイを接続する周辺装置を接続し、当該周辺装置に対して、グラフィックコントローラから受信したデジタル表示信号に基づき、外部表示信号を送信するインターフェース手段とを備え、g′1 無線通信手段が「本来解像度が本体ディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」を伝達する無線信号を受信してデジタル信号に変換の上、CPUに送信し、CPUが当該デジタル信号を受信して、当該デジタル信号が伝達する画像データを処理し、g′2 グラフィックコントローラが、CPUの処理結果に基づき、「64MB

5 DDR SDRAM ビデオメモリ」に対して、ピクセル単位の表示のためのデ

ータの書き込み/読み出しを行い、「当該読み出したピクセル単位の表示のためのデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記ディスプレイ制御手段又は前記インターフェース手段に送信して、前記本体ディスプレイ手段又は前記外部ディスプレイ手段に画像を表示する機能(以下「乙22高解像度画像受信・処理・表示機能」という。)を有するノートブック型パソコンであり、h′1 「ATI Mobility Radeon 9700 グラフィックプロセッサ」は、乙22高解像度画像受信・処理・表示機能を実現する場合に、「64MB DDRSDRAM ビデオメモリ」から「本体ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のピクセル単位の表示を行うためのデータ」を読み出し、「該読み出したピクセル単位の表示を行うためのデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、当該デジタル表示信号を前記ディスプレイ制御手段に送信するh′2 「ATI Mobility Radeon 9700 グラフィックプロセッサ」は、乙22高解像度画像受信・処理・表示機能を実現する場合に、「64MB DDRSDRAM ビデオメモリ」から「本体ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のピクセル単位の表示のためのデータ」を読み出し、「該読み出したピクセル単位の表示のためのデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記インターフェース手段に送信するi DVI出力のインターフェース手段は、グラフィックコントローラから受信した「ピクセル単位の表示をするためのデータを伝達するデジタル表示信号」を、TMDSの伝送方式で伝送されるデジタル外部表示信号に変換して、該デジタル外部表示信号を前記周辺装

5 置に送信する機能を有する

j 外部ディスプレイ手段に、「本体ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像」を表示できるようにしたk 携帯情報通信装置。

(2) 本件発明は乙22の1発明と同一の発明であること

本件発明と乙22の1発明とを対比すると、両者は同一の発明である。

(3) 本件発明は乙22の1発明に基づいて容易に発明をすることができたこと

仮に本件発明と乙22の1発明との間に何らかの相違点があるとしても、乙22の1発明に周知技術を適用し、当該相違点に係る本件発明の構成とすることは、当業者にとって容易に想到できた。

(4) まとめ

以上によれば、本件発明は、乙22文献に記載された発明であるから、新規性を欠くものであるか、仮に新規性を有するとしても、当業者が乙2文献に記載された発明と周知技術に基づいて容易に発明をすることができたから、進歩性を欠くものである。

(原告の主張)

(1) 乙22文献に記載された発明

乙22文献には、以下の構成の発明(以下「乙22の1′発明」という。)が記載されている。キーボードと、ワイヤレスネットワークに接続可能な「AirMac Extreme カード」と、「256MB または 512MB PC2700(333MHz)DDR SDRAM」と、「PowerPC G4 プロセッサ」と、「64MB DDR SDRAM ビデオメモリ」を装備する「ATI Mobility Radeon 9700 グラフィックプロセッサ」とから構成され、両者は、用途に合わせて選択可能であるデータ処理手段と、最大1280×854ピクセル表示を行うことができる15.2インチ

5 (対角)TFTワイドスクリーン液晶ディスプレイと、

を有し、DVI出力を行い、外部ディスプレイで最大2048×1536ピクセル表示を同時サポートする、ノート型パソコン。

(2) 本件発明と乙22の1′発明との間の相違点

前記(1)によれば、本件発明と乙22の1′発明との間には、少なくとも以下の相違点が存在する。ア 相違点3-1′本件発明は、「携帯情報通信装置」に係る発明であるのに対し、乙22の1′発明は、「ノート型パソコン」に係る発明である点イ 相違点3-2′本件発明の①グラフィックコントローラは、「該中央演算回路の処理結果に基づき、単一のVRAMに対してビットマップデータの書き込み/読み出しを行い、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を後記ディスプレイ制御手段又は後記インターフェース手段に送信する」(本件基本G機能)を有しており、②携帯情報通信装置は、高解像度画像受信・処理・表示機能を有し、③グラフィックコントローラは、携帯情報通信装置が高解像度画像受信・処理・表示機能を実現する場合に、「前記単一のVRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記ディスプレイ制御手段に送信する機能」(本件付加G機能ⓐ)及び「前記単一のVRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップデー

5 タ」を読み出し、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表

示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記インターフェース手段に送信する機能」(本件付加G機能ⓑ)を実現し、④インターフェース手段は、前記グラフィックコントローラから受信した「ビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を、デジタルRGB、TMDS、LVDS(又はLDI)及びGVIFのうちのいずれかの伝送方式で伝送されるデジタル外部表示信号に変換して、該デジタル外部表示信号を前記周辺装置に送信する機能(以下「本件外部出力機能」ということがある。)を有するのに対し、乙22の1′発明の①グラフィックプロセッサは、単一のVRAM(64MB DDR SDRAM ビデオメモリ)に対してビットマップデータの書き込み/読み出しを行うことまでは認められるものの、本件基本G機能を有することは特定されておらず、②ノート型パソコンが高解像度画像受信の構成を有することは特定されておらず、③グラフィックプロセッサは、高解像度画像受信・処理・表示機能を実現する場合に、本件付加G機能ⓐ及び本件付加G機能ⓑを実現することはなく、④ノート型パソコンが何らかの外部表示用インターフェース手段を有し、該インターフェース手段からTMDS方式で伝送される信号であるDVI信号が外部ディスプレイ手段に送信されることまでは認められるものの、該インターフェース手段が本件外部出力機能を有することは特定されていない点

(3) 相違点に係る構成の容易想到性について

ア 相違点3-1′について「携帯情報通信装置」に係る発明である本件発明と、「ノート型パソコン」に係る発明である乙22の1′発明とは「技術分野」が異なる。また、本件優先日当時、「ノート型パソコン」等の非携帯型コンピュータは、サイズが大きく、これを駆動させるためには、「携帯情報通信装置」自体に匹敵するサイズのバッテリーや冷却ファンを必要としたから、当業者

5 は、このような非携帯型コンピュータに使用されている高解像度画像受

信・処理・表示機能というデータ処理手段を、「携帯情報通信装置」において採用しようとは到底考えない。したがって、本件優先日当時、「携帯情報通信装置」に非携帯型コンピュータの「データ処理手段」に係る発明や技術を適用することには阻害要因がある。したがって、乙22の1′発明に高解像度画像受信・処理・表示機能というデータ処理手段を適用し、相違点3-1′に係る本件発明の構成とすることは、当業者にとって容易に想到することができない。イ 相違点3-2′について相違点3-2′は、グラフィックコントローラ又はグラフィックプロセッサの機能に関わる相違点を含んでいるところ、当該機能に関し、本件発明に係る相違点3-2′の構成に至るような周知技術が存在したことの立証はされていない。したがって、乙22の1′発明に基づいて、相違点3-2′に係る本件発明の構成とすることは、当業者にとって容易に想到することができない。

(4) まとめ

以上によれば、本件発明は、乙22文献に記載された発明ではないし、当業者が乙22文献に記載された発明と周知技術に基づいて容易に発明をすることができたとはいえないから、新規性及び進歩性がある。

8 争点2-4(本件実機により公然実施をされた発明に基づく新規性欠如及び

進歩性欠如)について

(被告の主張)

(1) 本件実機により公然実施をされた発明

本件実機(平成16年4月22日発売)は、乙22文献における説明の対象となっている機種であり、本件実機により公然実施をされた発明(以下「乙22の2発明」という。)の構成は、以下の点を除き、乙22の1発明と

5 同様である。

① 構成乙22の1g′1に関連する構成

本体ディスプレイの解像度(1280×854ピクセル)よりも大きな解像度(1440×920ピクセル)の映像データを無線LANを通じて受信し、処理する。

② 構成乙22の1g′2及びh′1に関連する構成

当該映像データに基づき、本体ディスプレイではその最大解像度である(1280×854ピクセル)以下の解像度で表示する(そのため、本体ディスプレイには(1440×920ピクセル)の映像の一部しか表示されていない。。)

③ 構成乙22の1g′2及びh′2に関連する構成

当該映像データに基づき、外部ディスプレイでは(1440×920ピクセル)の解像度(少なくとも、本体ディスプレイの最大解像度よりも大きな解像度)で表示する(そのため、外部ディスプレイには(1440×920ピクセル)の映像の全ての範囲が表示されている。。)

(2) 本件発明は乙22の2発明と同一の発明であること

本件発明と乙22の2発明とを対比すると、両者は同一の発明である。

(3) 本件発明は乙22の2発明に基づいて容易に発明をすることができたこと

仮に本件発明と乙22の2発明との間に何らかの相違点があるとしても、乙22の2発明に、周知技術を適用し、当該相違点に係る本件発明の構成とすることは、当業者にとって容易に想到できた。

(4) まとめ

以上によれば、本件発明は、本件実機により公然実施をされた発明であるから、新規性を欠くものであるか、仮に新規性を有するとしても、当業者が本件実機により公然実施をされた発明と周知技術に基づいて容易に発明をすることができたから、進歩性を欠くものである。5

(原告の主張)

(1) 本件実機により公然実施をされた発明

ア 本件実機により公然実施をされた発明(以下「乙22の2′発明」という。)の構成は、以下のとおりである。「PowerPC G4 プロセッサ」に接続されるキーボードと、ワイヤレスネットワークに接続可能であり、「PowerPC G4 プロセッサ」に接続される「AirMac Extreme カード」と、「256MB または 512MB PC2700(333MHz)DDR SDRAM」と、「PowerPC G4 プロセッサ」と、「64MB DDR SDRAM ビデオメモリ」を装備し、内部ディスプレイコネクタとDVI-Iモニタコネクタに接続される「ATI Mobility Radeon 9700 グラフィックプロセッサ」とから構成され、両者は、用途に合わせて選択可能であるデータ処理手段と、最大1280×854ピクセル表示を行うことができる15.2インチ(対角)TFTワイドスクリーン液晶ディスプレイと、DVI-Iモニタコネクタと、を有し、「AirMac Extreme カード」が1440×920ピクセルの映像データを受信し、15.2インチ(対角)TFTワイドスクリーン液晶ディスプレイ又はDVI-Iモニタコネクタに接続された外部モニタに映像を表示する機能を有する、ノート型パソコンにおいて、DVI-Iモニタコネクタは、DVI出力を行うことにより、外部モニタに1440×920ピクセルの映像を表示できるようにした、ノート型パソコン。イ なお、前記アの構成のうち、①「AirMac Extreme カード」が1440×920ピクセルの映像データを受信し、15.2インチ(対角)TFTワ

5 イドスクリーン液晶ディスプレイ又はDVI-Iモニタコネクタに接続さ

れた外部モニタに映像を表示する機能を有する、②外部モニタに1440×920ピクセルの映像を表示できるようにした、との各構成については、当業者が、本件優先日前に、このような構成を有することを確認できていたことの立証がされていない。したがって、本件発明が進歩性を有するか否かの判断に当たって本件発明と対比すべき発明は、乙22の2′発明から上記①及び②の構成を除外したものというべきである。

(2) 本件発明と乙22の2′発明との間の相違点

ア 前記(1)イのとおり、乙22の2′発明のうち、高解像度画像受信・処理・表示機能を実現する構成に相当する前記①及び②の構成は、本件発明が進歩性を有するか否かの判断に当たって考慮することができないから、当該構成は、本件発明との間の相違点(相違点4-1′)となる。イ 仮に乙22の2′発明が前記(1)アの全ての構成を有するものと認定できるとしても、本件発明と乙22の2′発明との間には、少なくとも以下の相違点が存在する。(ア) 相違点4-2′本件発明は、「携帯情報通信装置」に係る発明であるのに対し、乙22の2′発明は、「ノート型パソコン」に係る発明である点(イ) 相違点4-3′本件発明の①グラフィックコントローラは、本件基本G機能を有しており、②携帯情報通信装置は、高解像度画像受信・処理・表示機能を有し、③グラフィックコントローラは、携帯情報通信装置が高解像度画像受信・処理・表示機能を実現する場合に、本件付加G機能ⓐ及び本件付加G機能ⓑを実現し、④インターフェース手段は、本件外部出力機能を有するのに対し、乙22の2′発明の①グラフィックプロセッサは、単

5 一のVRAM(64MB DDR SDRAM ビデオメモリ)に対してビットマップデ

ータの書き込み/読み出しを行い、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を内部ディスプレイコネクタ又はDVI-Iモニタコネクタに送信することまでは認められるものの、本件基本G機能を有することは特定されておらず、

②高解像度画像受信の構成を有することは認められるものの、高解像度

画像受信・処理・表示機能を有するものではなく、③グラフィックプロセッサは、高解像度画像受信・処理・表示機能を実現する場合に、本件付加G機能ⓐ及び本件付加G機能ⓑを実現することはなく、④DVI-Iモニタコネクタは、単なる「コネクタ(端子)」であって、本件外部出力機能を有しない点

(3) 相違点に係る構成の容易想到性について

ア 相違点4-1′について乙22の2′発明に基づいて、相違点4-1′に係る本件発明の構成とすることが、当業者にとって容易に想到することができたことの立証はされていない。イ 相違点4-2′について前記7

(原告の主張)

(3)アと同様に、「ノート型パソコン」に係る発明

である乙22の2′発明に高解像度画像受信・処理・表示機能というデータ処理手段を適用し、相違点4-2′に係る本件発明の構成とすることは、当業者にとって容易に想到することができない。ウ 相違点4-3′について前記7

(原告の主張)

(3)イと同様に、乙22の2′発明に基づいて、相

違点4-3′に係る本件発明の構成とすることは、当業者にとって容易に想到することができない。

(4) まとめ

5 以上によれば、本件発明は、本件実機により公然実施をされた発明ではな

いし、当業者が本件実機により公然実施をされた発明と周知技術に基づいて容易に発明をすることができたとはいえないから、新規性及び進歩性がある。

9 争点2-5(分割要件違反及び乙38文献を引用例とする新規性欠如)につ

いて

(被告の主張)

(1) 本件原出願が分割要件に違反すること

ア 本件原出願明細書に記載された事項が本件原々出願明細書に記載されていない事項を含むこと(ア) ビットマップデータの生成/書き込みに関する記載本件原出願明細書の【0153】には、 (あらかじめ十分な大きさの「論理解像度を有するように設定された)仮想画面におけるビットマップデータを生成し、VRAM1_10C に書き込む」ことが記載されているが、本件原々出願明細書にはこのような記載はない。すなわち、本件原出願明細書に記載された事項には、 (あらかじめ十分な大きさの論理解像度「を有するように設定された)仮想画面におけるビットマップデータを生成し、VRAM1_10C に書き込む」という、本件原々出願明細書に記載されていない事項が含まれている。(イ) 「適切な処理」の用語の定義の変更本件原々出願明細書の【0032】には、「本「明細書」及び「特許請求の範囲」でいう「適切な処理」とは、外部ディスプレイ装置が、外部表示信号に含まれている画素ごとの論理的な色情報を、自らの画面を構成する物理的な画素の色表示として過不足なく現実化することを意味」と記載されている。これに対し、本件原出願明細書の【0032】には「本「明細書」及び「特許請求の範囲」でいう…「適切に処理する」とは、ディスプレイ手段、又は、データ処理手段及びディスプレイ手段が、

5 表示信号等に含まれている画素ごとの論理的な色情報を、ディスプレイ

手段の画面を構成する物理的な画素の色表示として過不足なく現実化することを意味」と記載が変更されている。すなわち、本件原々出願明細書の【0032】に記載された「適切な処理」の定義において、「外部ディスプレイ装置」のみがその主体として規定されていたのに対し、本件原出願明細書の【0032】では、「ディスプレイ手段(本件原々出願明細書記載の「外部ディスプレイ装置」に相当する。 」に加えて「データ処理手段」をその主体に追加する変更が)されている。(ウ) 「高解像度」との用語の定義の追加本件原々出願明細書には「高解像度」との用語の定義が記載されていないのに対し、本件原出願明細書の【0032】には、「さらに、本「明細書」及び「特許請求の範囲」でいう「高解像度」とは、表示信号等の本来解像度が前記ディスプレイパネルAの画面解像度(水平画素数×垂直画素数)より大きいことを意味」との記載が追加されている。すなわち、本件原々出願明細書では「高解像度」との用語の定義が記載されていないから、一般用語として「高解像度」との用語の意味を理解すべきところ、本件原出願明細書では、「高解像度」との用語の意味を「表示信号等の本来解像度が前記ディスプレイパネルAの画面解像度(水平画素数×垂直画素数)より大きいこと」という特定の意味に限定する記載を追加する変更がされている。(エ) 「デジタル表示信号」の定義の変更本件発明の構成要件Dは、中央演算回路において「リアルタイムでデジタル表示信号を生成する」と規定している。この点に関し、本件原々出願明細書には、「デジタル表示信号」についての定義は記載されていないものの、「表示信号」との文言や【0166】

5 及び【0168】の記載に照らすと、これはディスプレイを駆動する信

号と理解される。そして、本件原々出願明細書には、中央演算回路において「デジタル表示信号」を生成する旨の記載はない。これに対し、本件原出願明細書の【0032】には、 「デジタル表示「信号」には、後で詳述する「ビットマップデータ」等のデジタル画像データに直接対応した信号だけでなく、デジタル画像データの生成(描画)命令する描画命令のデジタル信号も含む。」との記載が追加されており、「デジタル表示信号」がビットマップデータ及び描画命令の信号を包含している。したがって、本件原出願明細書に記載された事項は、本件原々出願明細書に記載されていない事項を含むものである。(オ) 「本来画像」の定義の追加本件原々出願明細書の【0061】には、「前記データ処理手段は、前記データ送受信手段において受信した無線動画信号を変換したデジタル信号、前記撮像手段において変換した撮像電気信号をさらに変換したデジタル信号(以下、両者をデジタル画像信号と総称する)、又は前記記憶手段に格納された画像データファイル(以下、画像データファイルと略称する)を処理し、前記デジタル画像信号又は前記画像データファイルを適正に処理した場合に表示されるであろう本来の解像度を有する画像(以下、本来画像と略称する)の全体画像の描画命令・データを生成する機能を有することを特徴とする。」と記載されている。これに対し、本件原出願明細書の【0032】には、「表示信号、画像データファイル又は動画信号(以下、表示信号等と略記する)…の「本来画像」とは、十分な大きさの画面解像度を有するディスプレイ手段、又は、データ処理手段と十分な大きさの画面解像度を有するディスプレイ手段とが、該表示信号等を受信して適切に処理することにより表示さ

5 れる本来の画像を意味」との記載が追加されている。

すなわち、「本来画像」に関係する「処理の主体」が、本件原々出願明細書では「データ処理手段」のみであるのに対し、本件原出願明細書では「十分な大きさの画面解像度を有するディスプレイ手段、又は、データ処理手段と十分な大きさの画面解像度を有するディスプレイ手段」に変更されている。また、「本来画像」に関係する「処理の対象」も、本件原々出願明細書では「デジタル画像信号又は画像データファイル」であるのに対し、本件原出願明細書では「表示信号等(表示信号、画像データファイル又は動画信号)」に変更されている。さらに、本件原々出願明細書記載の「デジタル画像信号」は、【0061】の記載に照らし、本件原出願明細書記載の「動画信号」に相当するから、本件原出願明細書では、「本来画像」に関係する「処理の対象」として、本件原々出願明細書に記載されていない「表示信号」が追加され、「処理の対象」が拡大している。(カ) 「本来解像度」の定義の追加本件原出願明細書の【0032】には、 「本来解像度」とは「本来画「像」の解像度を意味する。」との記載があるものの、本件原々出願明細書には、「本来解像度」が「本来画像」の解像度を意味する旨の記載はない。(キ) 「中央演算回路1_10A1 が受け付ける入力信号」の対象の変更本件原々出願明細書の【0131】では、「中央演算回路1_10A1 が受け付ける入力信号」が「外部キーボード 61 からの入力信号だけ」とされているのに対し、本件原出願明細書の【0131】では、「外部キーボード 61 又はマウス 62 からの入力信号だけ」と変更され、「中央演算回路1_10A1 が受け付ける入力信号」の対象が拡張している。(ク) ユーザーが「ウェブサーバ 91」からダウンロードできる画像データファイルに係る解像度の変更

5 本件原々出願明細書の【0143】には、ユーザーが「ウェブサーバ

91」からダウンロードできる画像データファイルとして、「QVGAサイズとXGAサイズの双方の画像データファイル」と記載されているのに対し、本件原出願明細書の【0143】には、「QVGAサイズとVGAサイズの双方の画像データファイル」と記載されており、「XGA」が「VGA」に変更されている。XGA(水平画素数×垂直画素数=1024×768画素)とVGA(水平画素数×垂直画素数=640×480画素)とは全く異なる解像度を意味し、当該変更を容認すべき根拠も見当たらない。(ケ) 【図10】及び【図11】における矢印の意味の追加本件原出願明細書の【0159】には、「なお、図10と図11においては、自らの現在位置は図中央の矢印によって示されている。」と記載されている。これに対し、本件原々出願明細書には、【図10】及び【図11】の矢印が自らの現在位置を示すことは一切記載されておらず、当該矢印は任意の意味(進行方向、方角、目的地の方向等)に解されるべきである。このように、上記の変更は、本件原々出願明細書に記載されていない「矢印の意味」を追加するものである。(コ) 【図8】におけるRF送受信部 111B 及び共用アンテナ 113A 間の信号線の変更本件原々出願明細書の【図8】では、RF送受信部 111B から共用アンテナ 113A 側に向かう信号線は、共用アンテナ 113A に接続されておらず、共用アンテナ 113A の出力側の信号線に接続された双方向の矢印として図示されている。これに対し、本件原出願明細書の【図8】では、RF送受信部 111B から共用アンテナ 113A に接続された一方向の矢印として信号線が図示されている。

5 このように、上記の変更は、本件原々出願明細書に記載されていない

事項を追加するものである。(サ) 【図8】における共用器 113D 及びRF送受信部 111B 間の信号線の変更本件原々出願明細書の【図8】では、共用器 113D とRF送受信部 111Bとの間の信号線が双方向の矢印で図示されているのに対し、本件原出願明細書の【図8】では、共用器 113D からRF送受信部 111B に向かう一方向の矢印で図示されている。このように、上記の変更は、本件原々出願明細書に記載されていない事項を追加するものである。イ 本件発明の新規性判断の基準時について前記アのとおり、本件原出願明細書に記載された事項は、本件原々出願明細書に記載されていない事項を含むから、本件原出願は分割要件に違反する。したがって、本件発明の新規性判断の基準時は、本件原々出願の出願日まで遡及しない。また、本件原出願の出願日である平成18年10月11日は、本件原々出願において優先日とされた平成16年12月24日及び平成17年7月28日のいずれからも1年を経過しているから、本件原出願に当該優先権主張の効果は及ばない。したがって、本件発明の新規性判断の基準時は、平成18年10月11日である。

(2) 乙38文献に記載された発明

乙38文献(平成18年6月29日公開)には、以下の構成(以下、頭書の符号に従って「構成乙38a」などということがある。)を有する発明(以下「乙38発明」という。)が記載されている。a ユーザーがマニュアル操作によってデータを入力し、該入力データを後記中央演算回路 1_10A1 へ送信する入力手段(キー操作部 16A 及び

5 キー入力コントローラ 16B)と;

b 無線信号を受信してデジタル信号に変換の上、後記中央演算回路1_10A1 に送信するとともに、後記中央演算回路 1_10A1 から受信したデジタル信号を無線信号に変換して送信する無線通信手段(通信用アンテナ 111A、RF送受信部 111B、ベースバンドプロセッサ 11)と;c 後記中央演算回路 1_10A1 を動作させるプログラムと後記中央演算回路 1_10A1 で処理可能なデータファイルとを格納する記憶手段(フラッシュメモリ 14A)と;d 前記入力手段(キー操作部 16A 及びキー入力コントローラ 16B)から受信したデータと前記記憶手段(フラッシュメモリ 14A)に格納されたプログラムとに基づき、前記無線通信手段(通信用アンテナ 111A、RF送受信部 111B、ベースバンドプロセッサ 11)から受信したデジタル信号に必要な処理を行い、リアルタイムでデジタル表示信号を生成するか、又は、自らが処理可能なデータファイルとして前記記憶手段(フラッシュメモリ 14A)に一旦格納し、その後読み出した上で処理する中央演算回路 1_10A1 と、該中央演算回路 1_10A1 の処理結果に基づき、VRAM1_10C に対してビットマップデータの書き込み/読み出しを行い、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を後記ディスプレイ制御手段又は後記インターフェース手段に送信するグラフィックコントローラ 1_10Bと、から構成されるデータ処理手段と;e 画面を構成する各々の画素が駆動されることにより画像を表示するディスプレイパネル(LCDパネル 15A)と、前記グラフィックコントローラ 1_10B から受信したデジタル表示信号に基づき前記ディスプレイパネル(LCDパネル 15A)の各々の画素を駆動するディスプレイ制御手段(LCDドライバ 15B)とから構成されるディスプレイ手段と;

5 f 外部ディスプレイ手段(外部ディスプレイ装置 5)を備えるか、又は、

外部ディスプレイ手段(外部ディスプレイ装置 5)を接続する周辺装置(接続ユニット 3)を接続し、該周辺装置(接続ユニット 3)に対して、前記グラフィックコントローラ 1_10B から受信したデジタル表示信号に基づき、外部表示信号を送信するインターフェース手段(外部接続端子部 A_13D、TMDSトランスミッタ 13A)と;g′ を備え、前記無線通信手段(通信用アンテナ 111A、RF送受信部 111B、ベースバンドプロセッサ 11)が「本来解像度が前記ディスプレイパネル(LCDパネル 15A)の画面解像度より大きい画像データ」を伝達する無線信号を受信し てデジタル信号に変換の上、前記中央演算 回 路1_10A1 に送信し、前記中央演算回路 1_10A1 が該デジタル信号を受信して、該デジタル信号が伝達する画像データを処理し、前記グラフィックコントローラ 1_10B が、該中央演算回路 1_10A1 の処理結果に基づき、VRAM1_10C に対してビットマップデータの書き込み/読み出しを行い、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記ディスプレイ制御手段(LCDドライバ 15B)又は前記インターフェース手段(外部接続端子部 A_13D、TMDSトランスミッタ 13A)に送信して、前記ディスプレイ手段(LCDパネル 15A、LCDドライバ 15B)又は前記外部ディスプレイ手段(外部ディスプレイ装置 5)に画像を表示する機能(以下「乙38高解像度画像受信・処理・表示機能」という。)を有する、携帯情報通信装置において、h′ 前記グラフィックコントローラ 1_10B は、前記携帯情報通信装置が前記乙38高解像度画像受信・処理・表示機能を実現する場合に、VRAM1_10C から「前記ディスプレイパネル(LCDパネル 15A)の画面

5 解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、

「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記ディスプレイ制御手段(LCDパネル 15A、LCDドライバ 15B)に送信する機能と、VRAM1_10C から「前記ディスプレイパネル(LCDパネル 15A)の画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記インターフェース手段(外部接続端子部A_13D、TMDSトランスミッタ 13A)に送信する機能と、を実現し、i 前記インターフェース手段(外部接続端子部 A_13D、TMDSトランスミッタ 13A)は、前記グラフィックコントローラ 1_10B から受信した「ビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を、デジタルRGB、TMDS、LVDS(又はLDI)及びGVIFのうちのいずれかの伝送方式で伝送されるデジタル外部表示信号に変換して、該デジタル外部表示信号を前記周辺装置(接続ユニット 3)に送信する機能を有する、j ことにより、前記外部ディスプレイ手段(外部ディスプレイ装置 5)に、「前記ディスプレイパネル(LCDパネル 15A)の画面解像度QVGAより大きい解像度を有する画像」を表示できるようにした、k ことを特徴とする携帯情報通信装置(携帯電話機1)。

(3) 本件発明は乙38発明と同一の発明であること

乙38文献には、「単一のVRAM」なる構成は開示されていないものの、乙38文献記載の「VRAM1_10C」が本件発明の「単一のVRAM」に相当するならば、構成乙38aないしkは、それぞれ本件発明の構成要件AないしKと一致する。

5 したがって、本件発明は、乙38文献に記載された発明であるから、新規

性を欠く。

(原告の主張)

(1) 本件原出願が分割要件に違反しないこと

本件原出願に係る特許請求の範囲に記載されている発明は、本件原々出願明細書の【0032】【0037】【0043】【0044】【0055】、 、 、 、 、【0059】 【0060】 【0062】ないし【0064】 【0111】な、 、 、いし【0145】や、実施形態を説明した【図1】に記載されている。このように、本件原出願に係る特許請求の範囲に記載されている発明は、本件原々出願明細書に記載された事項の範囲内のものであるから、本件原出願は分割要件に違反していない。

(2) まとめ

したがって、被告の分割要件違反及び乙38文献を引用例とする新規性欠如の主張はいずれも失当である。

10 争点2-6(訂正要件違反)について

(被告の主張)

(1) 「単一のVRAM」という技術的事項を追加した訂正について

ア 原告は、本件訂正審判請求により、構成要件Dに「該中央演算回路の処理結果に基づき、単一のVRAMに対してビットマップデータの書き込み/読み出しを行い」を付加する訂正をし、本件訂正請求により、構成要件G′に同様の訂正をした。また、原告は、本件訂正審判請求により、構成要件H(本件訂正後の構成要件H′に相当)に、「前記単一のVRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し」 「前記単一のVRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度、より大きい解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し」を付

5 加する訂正をした。

イ しかし、本件出願の願書に添付された特許請求の範囲及び本件明細書には、「単一のVRAM」という文言は記載されていない。また、本件明細書の【0115】【0117】及び【0127】には、、 「VRAM1_10C」との記載があり、【図1】及び【図8】には「10C」との符号が付された「VRAM1」が図示されているものの、当該VRAMが一つに限定されているとの記載はなく、VRAMを単一にすることの技術的意義も何ら記載されていない。そうすると、本件出願の願書に添付された特許請求の範囲及び本件明細書に、VRAMが「単一」であることの技術的意義が記載されているとはいえない。ウ したがって、「単一のVRAM」という技術的事項を追加した本件訂正審判請求による訂正及び本件訂正は、いずれも本件出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものとはいえず、特許法126条5項の規定に違反するものである。

(2) 「高解像度画像受信・処理・表示機能」を追加した訂正について

ア 原告は、本件訂正請求により、構成要件G′及びH′に「高解像度画像受信・処理・表示機能」を有する旨の限定を追加した。イ 本件発明において、「高解像度画像受信・処理・表示機能」を実行するに当たり、「前記無線通信手段」が「本来解像度が前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」を伝達する無線信号を受信することが規定されている。ここで、「前記無線通信手段」とは、構成要件Bが規定する無線通信手段であり、具体的には、無線信号を受信する機能と無線信号を送信する機能の両方を備えた構成である。しかし、前記1

(被告の主張)

のとおり、本件明細書の記載及び本件訂正請求における

(原告の主張)

等に照らせば、「高解像度画像受信・処理・表示機能」は、「テレビ放送を視聴している場合」に実現されるものを意味する

5 のであって、本件明細書においても、テレビ放送を視聴している場合に

「テレビ受信用アンテナ 112A」と「テレビチューナ 112B」により高解像度画像を「受信」する画像受信手段しか記載されておらず、無線信号を送信する機能を有することが記載されていない。このように、本件明細書には、無線信号の受信機能と送信機能を有する無線通信手段(構成要件B及びG′)を高解像度画像受信の手段とする「高解像度画像受信・処理・表示機能」を有する発明は記載されていない。ウ また、本件明細書には、「本来解像度が前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」を伝達する無線信号を受信したときに、外部ディスプレイ装置の画面解像度と同じ解像度を有する画像を表示出力することは開示されているものの、内蔵ディスプレイ(ディスプレイパネル)にどのような画像を表示するのかについては一切記載がない。したがって、本件明細書には、「高解像度画像受信・処理・表示機能」を実現する場合に、「前記ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、デジタル表示信号を生成してディスプレイ制御手段に送信する」機能を実現する発明は記載されていない。エ したがって、「高解像度画像受信・処理・表示機能」との技術的事項を追加した本件訂正は、本件出願の願書に最初に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内においてされたものとはいえず、特許法126条5項の規定に違反するものである。

(原告の主張)

本件訂正審判請求による訂正及び本件訂正は、いずれも本件出願の願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面に記載した事項の範囲内での訂正であり、特許法126条5項所定の要件に適合するものである。

11 争点2-7(サポート要件違反)について

5

(被告の主張)

(1) 「高解像度画像受信・処理・表示機能」について

前記10

(被告の主張)

(1)のとおり、本件明細書には、「単一のVRAM」

との文言は記載されていない上、「VRAM」ではなく「単一のVRAM」とあえて規定することによる作用効果についても何ら記載されていない。また、本件明細書には、「高解像度画像受信・処理・表示機能」を実現する場合に、「前記ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記ディスプレイ制御手段に送信する」機能を実現する発明が記載されていない。したがって、本件発明は本件明細書の発明の詳細な説明に記載したものではない。

(2) 中央演算回路が行う処理について

中央演算回路に関し、構成要件Dは「前記無線通信手段から受信したデジタル信号に必要な処理を行い」と、構成要件G′は、「前記中央演算回路が該デジタル信号を受信して、該デジタル信号が伝達する画像データを処理し」とそれぞれ規定している。そして、本件明細書には、中央演算回路が行う「処理」及び「必要な処理」として、表示画像の画素を補間し又は間引きすることについての記載はなく、むしろ、補間や間引きを行わないからこそ、外部ディスプレイ手段を含む周辺装置向けの専用の表示データ生成手段を設ける必要がなくなり、「不合理な二重投資」や「非効率な資源利用」といった課題を解決できる旨の記載があるといえる。そうすると、構成要件D及びG′の「必要な処理」及び「処理」に表示画像の画素を補間し又は間引きを包含するように解釈するならば、本件発明は本件明細書の発明の詳細な説明に記載したものではない。

5 (3) まとめ

以上によれば、本件特許の特許請求の範囲の記載はサポート要件(特許法36条6項1号)に適合しない。

(原告の主張)

本件発明は、本件明細書の発明の詳細な説明に記載された発明で、その発明の詳細な説明の記載により当業者が本件発明の課題を解決できると認識できる範囲のものであるから、本件特許の特許請求の範囲の記載は、サポート要件(特許法36条6項1号)に適合する。

12 争点3(損害の有無及びその額)について

(原告の主張)

被告は、別紙損害整理表の「製品」欄記載の各製品を、遅くとも同「販売開始日」欄記載の各日から令和5年2月5日までの間に、平均単価を同「平均単価(円)」欄記載の各金額として、少なくとも同「販売数(台)」欄記載の各台数を販売した。被告の上記販売に係る実施料率は、少なくとも1パーセントが相当である。原告は、被告に対し、特許法102条3項により算定される損害額のうち、一部請求として、別紙損害整理表の「製品」欄記載の各製品につき、同「請求額(円)」欄記載の各金額の支払を求める。

(被告の主張)

争う。

第4 当裁判所の判断

1 本件明細書の記載事項等

(1) 本件明細書(甲2)の「発明の詳細な説明」には、以下の記載がある(下記記載中に引用する図面については、別紙図面目録記載1参照。。)ア 【技術分野】【0001】

5 本発明は、携帯電話機などの携帯情報通信装置、携帯情報通信装置とともに用いる接続ユニット、及び携帯情報通信装置とともに用いる外部入出力ユニットに関する。イ 【背景技術】【0002】最近の電子・情報技術及び通信技術の進歩によって、無線通信によってデータを送受信する機能を有する、PHS( Personal HandyphoneSystem)を含む携帯電話用端末装置(以下、「PHSを含む携帯電話用端末装置」を「携帯電話機」と略記する)やPDA(Personal DigitalAssistants)をはじめとする携帯情報通信装置は多機能化し、電子メールの送受信機能はもちろん、インターネットに接続したウェブサーバからHTML(Hyper Text Markup Language)、XML(eXtensible MarkupLanguage)又はそれらをベースとするマークアップ言語で記述された文書ファイル(以下、マークアップ文書ファイルと略記する)及びそのリンクファイルを取得し、適切にレイアウトした上で、通常は液晶ディスプレイである付属ディスプレイに文字や画像を表示することによってウェブページを閲覧するブラウザ機能を標準的に有するようになってきている。【0004】このような事情により、携帯電話機を中心とする携帯情報通信装置において、文字や映像を含む画像の表示機能は、今後、ますます重要性を増していくものと考えられる。ところが、携帯電話機をはじめとする携帯情報通信装置においては、その携帯性が重視されるため大きいサイズのディスプレイを付属させることができない。このため、携帯電話機の場合、画面サイズは最大でも 2.5 インチ程度であり、また、画面解像度は最大でもQVGA(Quarter Video Graphics Array)サイズ(携帯電話機

5 においては、通常、縦長画面であるため、水平画素数×垂直画素数=240×320 画素)となっている。【0005】このような画面上の制約のため、携帯情報通信装置で電子メールを受信した場合、それが長文である場合には、文章が表示画面内におさまらず、何行にもわたって表示されるため、垂直スクロールを何度も繰り返さなければならず、結果として、その内容を円滑に理解できないことが起こる。…したがって、…そのような受信者側の制約を考慮すれば、携帯情報通信装置向けには自ずと短いメールとせざるを得ない。【0007】最近は、パソコン向けウェブページを閲覧できる「フルブラウザ機能」又は「PC(Personal Computer)サイトビュー機能」を有する携帯電話機が発売されているが、多くの場合、画像を付属ディスプレイの画面水平解像度(縦長QVGAの場合、240 画素)に合わせて縮小したり、テキスト部分を画面幅で改行したり、フレーム表示のウェブページについてはフレーム単位での画面イメージを表示したりするなど特殊なレンダリングモードを採用しており、ウェブページの作成者が本来意図したはずの、パソコンの画面イメージとして実現されるレイアウトで表示されるわけではない。また、携帯電話機によっては、パソコンでの画面イメージに近いレイアウトで表示するレンダリングモードを有する場合もあるが、通常、パソコン向けウェブページは、最低でもVGA(Video Graphics Array)サイズ(水平画素数×垂直画素数=640×480 画素)の画面で閲覧されることを想定して作成するため、このレンダリングモードでは、水平スクロールを何度も繰り返さなければウェブページの全体を閲覧することができず、したがって、ウェブページの全容を理解することに支障が生じる。

5 【0008】一方、携帯情報通信装置でゲームを楽しむ場合でも、そのゲームはグラフィックスがサイズの小さな付属ディスプレイに表示できる程度の比較的単純なゲームに限定される。このため、「ケータイ向けサイト」からダウンロードされる、いわゆる「ケータイアプリ」のゲームは、ゲーム専用機向けやパソコン向けのゲームの世界では一世代から数世代前のゲームが大半であり、結果として、短時間の暇つぶしに楽しまれるケースがほとんどである。また、付属ディスプレイの画面解像度が最大でもQVGAである携帯電話機でテレビ番組を視聴する場合、できる限り大きな画面で視聴するために横置き(水平画素数×垂直画素数=320×240 画素)とすることが通常であるが、その場合でも、テレビ放送が前提とする有効走査線の数(=垂直画素数。アナログテレビ放送の場合、480 本)は付属ディスプレイの画面垂直解像度(240 画素)より大きいため、画素を間引いて表示する必要がある。特に、デジタルテレビ放送においては、有効走査線数(垂直画素数)に加えて、有効水平画素数も規定されているが、最も解像度の小さい 480i 方式の場合でも水平画素数×垂直画素数=720×480 画素、いわゆる「フルハイビジョン方式」である 1080i 方式においては1920×1080 画素であって、いずれにせよ、付属ディスプレイの画面解像度が最大でもQVGAである携帯電話機では、十分なテレビチューナ機能及び表示機能を有するテレビジョン受像機(以下、テレビ受像機と略記する)によってテレビ放送信号を適切に処理した場合に表示される本来の解像度を有する画像(以下、テレビ放送における本来画像と略記する)を全画面表示することはできず、それより解像度の低い画質の劣った画像しか表示できない。【0009】

5 このような事情から、携帯情報通信装置のユーザーは、携帯情報通信装置とともにパソコンを所有することも多い。…【0010】ところが、…パソコンを所有するために要するコストは、携帯電話機をはじめとする携帯情報通信装置自体を所有するために要するコストより、通常は大きい。このため、データ通信やデータ処理のニーズが電子メールの送受信やウェブページの閲覧等に限られるような多数のユーザーにとって、上記のように、長文の電子メールを読んだり、パソコン向けウェブページを閲覧したりする際の、付属ディスプレイの画面サイズ・解像度が小さいことに起因する不便さを解消するためだけに別途パソコンを所有することは、経済的に不合理である。一方、携帯情報通信装置のデータ処理手段は、汎用的な用途には必ずしも向いていないとは言え、付属ディスプレイに画像を表示するための表示データ処理機能については、表示画面が小さいということを除けば、パソコンにおけるCPU等のプロセッサの機能に匹敵する。それにもかかわらず、上記のようなパソコンと携帯情報通信装置との使い分けを行うとすれば、同種のものに二重投資を行うことになり、結果として少なくとも一方の稼働率の低下をもたらすため、資源の効率的な利用の観点からも好ましくない。【0013】このような事情から、携帯情報通信装置の携帯性を損なわないために付属ディスプレイのサイズを現状通りに維持したままで、しかもパソコンを併用することなく、長文の電子メールやパソコン向けウェブページ、娯楽性の高いゲーム、さらにはテレビ番組の映像などを大きな画面で表示すること、特に、長文の電子メールについては、垂直スクロールを繰

5 り返すことなく読めること、パソコン向けウェブページについては、パソコンでの画面イメージに近いレイアウトで表示し、しかも水平スクロールを繰り返すことなく閲覧できること、テレビ番組については、テレビ放送における本来画像を全画面表示することが課題とされている。【0014】このような課題を解決するため、携帯情報通信装置に、該携帯情報通信装置の付属ディスプレイよりも画面が大きい外部ディスプレイ装置(以下、大画面外部ディスプレイ装置と略称する)を接続することにより、大画面外部ディスプレイ装置で画像を表示する技術がいくつか開示されており、そして、それらの技術は、以下の3つのタイプに分類される。

第一種:携帯情報通信装置と大画面外部ディスプレイ装置を何らかの

接続ユニットを介して接続するタイプ

第二種:携帯情報通信装置と大画面外部ディスプレイ装置は直接的に

接続されるが、その代わり、大画面外部ディスプレイ装置としては、携帯情報通信装置から受信した表示データに各種の処理を施す機能を有する画像表示装置が使用されるタイプ

第三種:携帯情報通信装置と大画面外部ディスプレイ装置は直接的に

接続され、しかも、大画面外部ディスプレイ装置としては、携帯情報通信装置との間での何らかのインターフェース手段は備えていることを除けば、テレビモニタ等の汎用的なディスプレイが用いられるタイプ【0015】このうち、第一種の技術は、…において開示されている。…【0016】しかしながら、この場合においても、画像や文字を表示するための表示データ処理機能に限って考えれば、携帯情報通信装置側と接続ユニッ

5 ト側で、表示する画面のサイズが異なるということを除けばほぼ同等の機能を有する表示データ処理手段を二重に保有することになる。このため、多かれ少なかれ、パソコンを併用する場合と同様の「不合理な二重投資」と「非効率的な資源利用」の問題は生じることになる。【0017】一方、第二種の技術は、…において開示されている。…【0018】…第二種の技術においても、携帯情報通信装置側と大画面外部ディスプレイ装置側でほぼ同等の機能を有する表示データ処理手段を二重に有することになり、結果的に「不合理な二重投資」や「非効率な資源利用」の問題が生じる。…【0023】…上記の課題と類似した課題を解決することを目的とした第三種の技術が、…において開示されている。【0029】…したがって、…において開示されている技術は、第三種の技術に分類されるとはいえ、「不合理な二重投資」と「非効率的な資源利用」という問題は、第一種又は第二種の技術と大差がない。ウ 【発明が解決しようとする課題】【0031】本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、携帯電話機やPDAをはじめとする携帯情報通信装置に大画面外部ディスプレイ装置を接続することにより、より一般的には、携帯情報通信装置に大画面ディスプレイ手段を含む周辺装置、及び/又は、大画面ディスプレイ手段が接続される周辺装置を接続することにより、該大画面外部ディスプレイ手段において、付属ディスプレイの画面解像

5 度よりも解像度が大きい画像を表示すること、特に、長文の電子メールについては、垂直スクロールを繰り返すことなく読めること、パソコン向けウェブページについては、パソコンでの画面イメージに近いレイアウトで表示し、しかも水平スクロールを繰り返すことなく閲覧できること、テレビ番組については、テレビ放送における本来画像を表示することを、該大画面外部ディスプレイ手段向けの専用の表示データ生成手段を、付属ディスプレイに画像を表示するためにもともと必要である表示データ生成手段(以下、付属表示データ生成手段と略記する)とは別個に使用することなく、大画面ディスプレイ手段を含む周辺装置、及び/又は、大画面ディスプレイ手段が接続される周辺装置と間のインターフェース手段の追加と、付属表示データ生成手段への若干の機能追加だけで実現する携帯情報通信装置を提供する点にある。また、携帯情報通信装置及び大画面外部ディスプレイ装置とともに用いられ、該大画面外部ディスプレイ装置の画面に、付属ディスプレイの画面解像度よりも解像度が大きい画像を表示するための接続ユニットを提供する点にある。さらに、携帯情報通信装置とともに用いられ、自らに付属する大画面外部ディスプレイパネルに、該携帯情報通信装置の付属ディスプレイの画面解像度よりも解像度が大きい画像を表示する外部入出力ユニットを提供する点にある。エ 【課題を解決するための手段】【0032】上記目的を達成するために、携帯情報通信装置に係る第1の発明は、ユーザーがマニュアル操作によって入力したデータを後記データ処理手段に送信する入力手段と、無線信号を受信してデジタル信号に変換の上、後記データ処理手段に送信するとともに、後記データ処理手段から受信したデジタル信号を無線信号に変換して送信する無線通信手段と、後記

5 データ処理手段を動作させるプログラムと後記データ処理手段で処理可能なデータファイルとを格納する記憶手段と、前記入力手段から送信されたデータ及び前記記憶手段に格納されたプログラムに基づき、前記無線通信手段から受信したデジタル信号及び/又は前記記憶手段から読み出したデータに必要な処理を行って、デジタル表示信号及びその他のデジタル信号を生成して送信するデータ処理手段と、画面を構成する各々の画素が駆動されることにより画像を表示するディスプレイパネルAと、前記データ処理手段から受信したデジタル表示信号に基づき前記ディスプレイパネルAの各々の画素を駆動するディスプレイ制御手段Aとから構成されるディスプレイ手段とを備える携帯情報通信装置であって、外部ディスプレイ手段を含む周辺装置、又は、外部ディスプレイ手段が接続される周辺装置を接続し、該周辺装置に対して、前記データ処理手段から受信したデジタル表示信号に基づき、外部表示信号を送信するインターフェース手段A1と、前記データ処理手段で生成されたデジタル表示信号の送信先として、前記ディスプレイ制御手段Aと前記インターフェース手段A1の少なくともいずれか一方を選択して指定する送信先指定手段とを備えるとともに、前記データ処理手段と前記インターフェース手段A1とが相俟って、前記送信先指定手段がデジタル表示信号の送信先として前記インターフェース手段A1を指定した場合には、該インターフェース手段A1から、高解像度外部表示信号を送信する機能を実現するようにしたものである。なお、本「明細書」及び「特許請求の範囲」でいう「デジタル表示信号」には、後で詳述する「ビットマップデータ」等のデジタル画像データに直接対応した信号だけでなく、デジタル画像データの生成(描画)を命令する描画命令のデジタル信号も含む。また、本「明細書」及び「特許請求の範囲」でいう「外部表示信号」

5 とは、周辺装置における外部ディスプレイ手段がそれを受信して適切に処理することにより画像を表示することが可能であるような信号を意味する。そして、表示信号、画像データファイル又は動画信号(以下、表示信号等と略記する)を「適切に処理する」とは、ディスプレイ手段、又は、データ処理手段及びディスプレイ手段が、表示信号等に含まれている画素ごとの論理的な色情報を、ディスプレイ手段の画面を構成する物理的な画素の色表示として過不足なく現実化することを意味しており、より具体的には、物理的な現実化にあたって画素を間引いて表示画像の解像度を小さくしたり、画素を補間して表示画像の解像度を大きくしたりしないことを意味している。さらに、本「明細書」及び「特許請求の範囲」でいう「高解像度」とは、表示信号等の本来解像度が前記ディスプレイパネルAの画面解像度(水平画素数×垂直画素数)より大きいことを意味し、特に、「高解像度外部表示信号」とは、本来解像度が前記ディスプレイパネルAの画面解像度より大きい外部表示信号を意味する。また、表示信号等の「本来画像」とは、十分な大きさの画面解像度を有するディスプレイ手段、又は、データ処理手段と十分な大きさの画面解像度を有するディスプレイ手段とが、該表示信号等を受信して適切に処理することにより表示される本来の画像を意味し、「本来解像度」とは「本来画像」の解像度を意味する。さらに、本「明細書」及び「特許請求の範囲」においては、「周辺装置における~手段」という表記によって、「周辺装置に含まれた~手段又は周辺装置に接続された~手段」を意味する。【0045】また、携帯情報通信装置に係る第14の発明は、第5乃至第13のいずれか1つの発明の携帯情報通信装置において、前記インターフェース手段A1は、前記データ処理手段から受信したビットマップデータ又は

5 自らが生成したビットマップデータに必要な変換を行うことにより、デジ タ ル R G B 、 T M D S ( Transition Minimized DifferentialSignaling)、LVDS(Low Voltage Differential Signaling)(又はLDI(LVDS Display Interface))及びGVIF(Gigabit VideoInterFace)のうちのいずれかの伝送方式で伝送されるデジタル外部表示信号を生成し送信する機能を有するようにしたものである。【0056】また、携帯情報通信装置に係る第25の発明は、第1乃至第24のいずれか1つの発明の携帯情報通信装置において、前記無線通信手段は、アナログテレビ放送信号、デジタルテレビ放送信号、携帯テレビ電話信号、インターネットプロトコルに準拠した無線ストリーミング信号のうちの少なくとも1つの無線信号(以下、無線動画信号と略記する)を受信し、デジタル動画信号に変換の上、前記データ処理手段に転送する機能を有し、前記データ処理手段は、該デジタル動画信号を処理することによってリアルタイムでデジタル表示信号を生成する機能、及び/又は、該デジタル動画信号を自らが処理可能な画像データファイルとして前記記憶手段に一旦格納し、その後読み出した上で処理することによってデジタル表示信号を生成する機能を有するようにしたものである。オ 【発明の効果】【0078】

第1乃至第15の発明の携帯情報通信装置においては、携帯情報通信

装置のインターフェース手段A1に高解像度外部ディスプレイ手段を含む周辺装置、及び/又は、外部ディスプレイ手段が接続される周辺装置を接続して高解像度外部表示信号を送信することにより、該高解像度外部ディスプレイ手段の画面において、携帯情報通信装置に付属するディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する高解像度画像を

5 表示することができる。これにより、付属ディスプレイパネルにおいては、その画面解像度に相当する部分だけを切り出した部分画像しか表示できなかったり、画素を間引くことによって画質を落とした全体画像しか表示できなかったりしたような画像を、高解像度外部ディスプレイ手段においては、その本来の解像度のままの全体画像として表示できるようになる。特に、水平方向の本来の画素数がディスプレイパネルの画面水平解像度より大きい高水平解像度外部表示信号を送信する機能が実現されることにより、該高解像度外部ディスプレイ手段の画面における一行あたりの表示文字数を、付属ディスプレイパネルにおける表示文字数よりも増やすことができる。これにより、例えば、長文の電子メールを読むような場合でも、付属ディスプレイパネルにおけるように何行にもわたって表示され、垂直スクロールを何度も繰り返さなければならないため、理解に困難が伴うというようなことはなくなる。しかも、そのような高解像度外部表示信号の送信は、付属ディスプレイパネルにおいて画像を表示するためにもともと必要であるデータ処理手段と、外部ディスプレイ手段を含む周辺装置、及び/又は、外部ディスプレイ手段が接続される周辺装置を接続するために不可欠のインターフェース手段だけによって実現されている。このため、従来の技術のように、携帯情報通信装置に備えられた表示データ処理手段とは別に、外部ディスプレイ手段を含む周辺装置向けの専用の表示データ生成手段を設ける必要はなく、「不合理な二重投資」や「非効率な資源利用」の問題は回避できる。カ 【発明を実施するための最良の形態】【0111】(第1の実施形態)図1は、本発明の第1の実施形態に係る携帯情報通信装置、携帯情報

5 通信装置用接続ユニット、及び両者を接続した上で該接続ユニットに外部ディスプレイ装置及び外部入力装置を接続することによって構成した情報通信システムの構成及び機能を説明するためのブロック図であり、特に、該携帯情報通信装置が携帯電話機である場合について説明している。【0112】この実施形態においては、携帯電話機 1 は、それ単独として、音声通話用、携帯テレビ電話でのコミュニケーション用、データ通信・処理用、テレビ放送番組の視聴用、被写体の撮影用、又は、画像データ及び/又は音声データの保存・再生用として使用することができ、音声通話以外の用途で使用する場合には、各種の画像が、付属ディスプレイパネルであるLCD(Liquid Crystal Display)パネル 15A に表示される。以下では、LCDパネル 15A はQVGAサイズの画面解像度を有し、通常は縦長画面(水平画素数×垂直画素数=240×320 画素)で使用するものとして説明するが、それ以外の解像度であってもよい。【0115】一方、コミュニケーションの相手先から電波信号(無線動画信号)として公衆ネットワークに送信された画像(動画)データは通信用アンテナ 111A で受信され、RF送受信部 111B 及びベースバンドプロセッサ 11を経由することによりデジタル信号に変換された上で、中央演算回路1_10A1 に送信される。中央演算回路1_10A1 では、フラッシュメモリ 14Aに格納されたプログラムに基づいて必要な処理を行い、該デジタル信号に対応した描画命令をグラフィックコントローラ1_10B に送信する。グラフィックコントローラ1_10B は、該描画命令に基づき、あらかじめ十分な大きさ(以下では、QUXGA Wide (Quad Ultra XGA Wide)サイズ(水平画素数×垂直画素数=3840×2400 画素)として説明する)

5 の論理解像度を有するように設定された仮想画面におけるビットマップデータを生成し、必要に応じてVRAM(Video RAM)1_10C への書き込み/読み出しを行いつつ、該ビットマップデータをLCDドライバ15B に送信する。なお、VRAM1_10C は、[特許請求の範囲]でいうところのビットマップメモリ1にあたる。LCDドライバ 15B は、該ビットマップデータに基づいて、ソース・ドライバ部とゲート・ドライバ部とを作動させることによりLCDパネル 15A の画面を構成する各々の画素を駆動し、最終的にコミュニケーションの相手からの無線動画信号に対応した画像がLCDパネル 15A に表示される。…【0116】次に、携帯電話機 1 がデータ通信・処理用に使用される場合、通常は

20 個前後の小型のキーからなるキー操作部 16A を操作することによって入力され、キー入力コントローラ 16B でデジタル信号に変換されたデータ、及び/又は、インターネットプロトコルに準拠した電波信号を公衆ネットワークから通信用アンテナ 111A で受信し、RF送受信部 111B 及びベースバンドプロセッサ 11 を経由することによりデジタル信号に変換されたデータが、バス 19 を経由して中央演算回路1_10A1 に転送される。中央演算回路1_10A1 では、フラッシュメモリ 14A に格納されたプログラムに基づいて必要な処理を行い、処理されたデータは、バス 19 を経由して、フラッシュメモリ 14A 及びRAM(Random Access Memory)14B や、グラフィックコントローラ1_10B や、ベースバンドプロセッサ 11 に転送される。そして、最終的には、LCDパネル 15A に画像が表示されたり、スピーカ 18B から音声が出力されたり、通信用アンテナ 111A から電波信号が送信されたり、フラッシュメモリ 14A にデータが保存されたりする。…

5 【0117】特に、携帯電話機 1 が、インターネットに接続したウェブサイトにアクセスし、該ウェブサイトを構成するウェブページを閲覧している場合には、中央演算回路1_10A1 は、フラッシュメモリ 14A に格納されたブラウザプログラムに従って、通信用アンテナ 111A、RF送受信部 111B、ベースバンドプロセッサ 11 及びバス 19 を経由して、ウェブページを構成するマークアップ文書ファイル及びそのリンクファイルを取得し、ウェブページのレイアウト形式に応じて以下のように描画命令を生成・送信する。すなわち、ウェブページがリキッドレイアウト、又はLCDパネル15A の画面水平解像度(240 画素)よりも狭い固定幅レイアウトを採用していれば、LCDパネル 15A の画面水平解像度と同じ水平画素数を有するページ画像の描画命令を、ウェブページがLCDパネル 15A の画面水平解像度よりも広い固定幅レイアウトを採用していれば、該固定幅と同じ水平画素数を有するページ画像の描画命令を、それぞれ生成し、該描画命令をグラフィックコントローラ1_10B に送信する。グラフィックコントローラ1_10B は、該描画命令に基づき仮想画面におけるビットマップデータを生成しVRAM1_10C に書き込むとともに、LCDパネル 15A に表示され、LCDパネル 15A の画面解像度と同じ解像度を有する画像を記述するビットマップデータをVRAM1_10C から切り出してLCDドライバ 15B に送信する。LCDドライバ 15B は、該ビットマップデータに基づいてLCDパネル 15A の画面を構成する各々の画素を駆動し、最終的に前記ウェブページに対応したページ画像の全部又は一部に、必要に応じて画面の上部・下部に表示されるメニュー表示等を組み合わせた全画面画像がLCDパネル 15A に表示される。この際、ページ画像の解像度がLCDパネル 15A の画面解像度より大きい場合には、キー操作部 16A において画面スクロール機能を担うキーを操

5 作することによって入力されるデータに応じて、中央演算回路1_10A1 が描画命令を変更することにより、VRAM1_10C から切り出されるビットマップデータは仮想画面上を徐々に遷移し、その結果として、LCDパネル 15A においてページ画像がスクロール表示される。【0118】また、携帯電話機 1 がテレビ番組の視聴用に使用される場合、テレビ受信用アンテナ 112A で受信したテレビ放送信号は、テレビチューナ 112B 及びAD/DA変換部1_112C でデジタル動画信号及びデジタル音声信号に変換され、バス 19 を経由して中央演算回路1_10A1 に送信される。携帯電話機1においては、テレビ番組の画像を、LCDパネル 15A を縦置きにして表示する(→縦長画面(水平画素数×垂直画素数=240×320画素))か、横置きにして表示する(→横長画面(水平画素数×垂直画素数=320×240 画素))かを、キー操作部 16A を操作することによって選択することができ、中央演算回路1_10A1 は、この選択に対応した入力信号及び前記デジタル動画信号に基づき、LCDパネル 15A に表示される画面イメージ(ただし、縦長画面の場合、上部及び/又は下部に非表示領域が生じた画面イメージ)のビットマップデータを作成する描画命令を生成し、該描画命令をグラフィックコントローラ1_10B に送信する。この際、テレビ放送における本来画像の水平・垂直画素数は、縦長画面、横長画面のいずれの場合でも、LCDパネル 15A の水平・垂直画素数よりも大きいため、描画命令の生成にあたっては、AD/DA変換部1_112C から送信されるデジタル動画信号を一部間引くことによって、解像度の低い画像の全体画像の描画命令を生成する。グラフィックコントローラ1_10B、VRAM1_10C 及びLCDドライバ 15B の動作は、キー操作部 16A の操作に従った画像のスクロールがないことを除けば、ウェブページのページ画像を表示する場合と同様であり、

5 結果として、LCDパネル 15A にテレビ放送の動画がリアルタイムで表示される。…【0119】また、携帯電話機 1 が被写体の撮影用に使用される場合、被写体から反射又は放射される光信号は、携帯テレビ電話でのコミュニケーションの場合と同じ経路でデジタル動画信号に変換され中央演算回路1_10A1 に送信される。また、中央演算回路1_10A1、グラフィックコントローラ1_10B、VRAM1_10C 及びLCDドライバ 15B は、テレビ放送番組を視聴する場合と同様に動作し、結果として、LCDパネル 15A に被写体の映像(動画)がリアルタイムで表示される。この際、CCD12B によって撮像される本来画像の水平・垂直画素数は、縦長画面、横長画面のいずれの場合でも、LCDパネル 15A の水平・垂直画素数よりも大きいため、中央演算回路1_10A1 が描画命令を生成する際には、AD/DA変換部2_12C から送信されるデジタル動画信号を一部間引くことによって、解像度の低い画像の全体画像の描画命令を生成する。【0121】以上が携帯電話機 1 をそれ単独として使用する場合の機能の概略であるが、携帯電話機 1 は、接続ユニット 3 と接続するための外部接続端子部A_13D を備えており、外部接続端子部A_13D と、接続ユニット 3 に備えられたインターフェース部B_33 を構成する外部接続端子B_33D とを接続ケーブル 2 を介して接続することにより、携帯電話機 1 と接続ユニット 3 を一体的な情報通信システムとして動作させることができるようになる。【0122】一方、接続ユニット 3 は、周辺装置と接続するためのインターフェース部C1_35 とインターフェース部C2_36 を備えており、インターフェー

5 ス部C1_35 には、LCDである外部ディスプレイ装置 5 が、インターフェース部C2_36 には、フルキーボードである外部キーボード 61 とマウス 62 が、それぞれ接続されている。…以下では、原則として、外部ディスプレイ装置 5(LCD)の画面解像度は、VGAサイズ(水平画素数×垂直画素数=640×480 画素)であるものとして説明するが、それ以上の解像度であってもよい。【0123】さて、作動中の携帯電話機 1 と、インターフェース部C1_35 に外部ディスプレイ装置 5 が接続しており作動中の接続ユニット 3(以下では、「インターフェース部C1_35 に外部ディスプレイ装置 5 が接続しており作動中」のことを「作動中」と略記する)を接続した場合、作動中の携帯電話機 1 を接続ユニット 3 に接続し、接続ユニット 3 を起動させた場合、あるいは携帯電話機 1 を作動中の接続ユニット 3 に接続し、携帯電話機 1 を起動させた場合に、携帯電話機 1 の中央演算回路1_10A1 は、接続ユニット 3 から、接続ユニット 3 が接続していることを検知する信号(以下、接続検知信号と略記)、及び接続ユニット 3 のインターフェース部C1_35 に接続された外部ディスプレイ装置 5 の画面解像度データを、外部接続端子部B_33D、接続ケーブル 2、外部接続端子部A_13D 及びバス 19を経由して受信する。そして、携帯電話機 1 の中央演算回路1_10A1 が前記接続検知信号を受信した場合、中央演算回路1_10A1 は、LCDパネル 15A の画面水平解像度又は画面解像度に対応した画像の描画命令に替えて、以下で説明するように、LCDパネル 15A の画面解像度より大きな解像度を有する画像の描画命令を生成し、グラフィックコントローラ1_10B に対して送信する。また、中央演算回路1_10A1 は、上記の描画命令とともに、VRAM1_10C から切り出したビットマップデータを、LCDドライバ 15B に送信

5 する替わりに、TMDSトランスミッタ 13A に送信するように命令する送信命令を生成し、該送信命令をグラフィックコントローラ1_10B に送信する。【0124】まず、インターネットに接続したウェブサイトにアクセスし、該ウェブサイトを構成するウェブページを閲覧している場合には、中央演算回路1_10A1 は、フラッシュメモリ 14A に格納されたブラウザプログラムに従い、ウェブページのレイアウト形式に応じて以下のように描画命令を生成・送信する。すなわち、ウェブページがリキッドレイアウト、又は外部ディスプレイ装置 5 の画面水平解像度(640 画素)よりも狭い固定幅レイアウトを採用していれば、外部ディスプレイ装置 5 の画面水平解像度と同じ水平画素数を有するページ画像の描画命令を生成・送信し、ウェブページが外部ディスプレイ装置 5 の画面水平解像度よりも広い固定幅レイアウトを採用していれば、該固定幅と同じ水平画素数を有するページ画像の描画命令を生成・送信する。一方、テレビ放送を視聴している場合及び被写体を撮影している場合には、それぞれAD/DA変換部1_112C 及びAD/DA変換部2_12C から送信されるデジタル動画信号における本来画像の解像度は、外部ディスプレイ装置 5 における画面解像度より依然として大きいため、中央演算回路1_10A1 は、該デジタル動画信号を一部間引くことによって、解像度を外部ディスプレイ装置 5 の画面解像度に合わせた低画質の全体画像の描画命令が生成・送信される。【0125】なお、携帯テレビ電話でのコミュニケーションを行っている場合には、携帯テレビ電話における無線動画信号の本来画像の解像度は、LCDパネル 15A の画面解像度を上回らないため、携帯電話機 1 を接続ユニット 3

5 と接続した場合でも、中央演算回路1_10A1 からの描画命令が描画を命令する画像の解像度は変わらない。ただし、フラッシュメモリ 14A が画像の補間プログラムを格納しており、中央演算回路1_10A1 がそれに従って作動する場合には、外部ディスプレイ装置 5 の画面解像度(無線動画信号の本来画像の解像度より大きい)と同じ解像度を有する画像の描画命令を生成・送信することができる。【0126】ところで、外部ディスプレイ装置 5 として、画面解像度がVGAサイズであるようなものに替えて、フルハイビジョンテレビモニタ(水平画素数×垂直画素数=1920×1080 画素)のように、画面解像度が十分に大きい(ただし、あらかじめ設定された仮想画面の論理解像度(3840×

2400 画素)よりも小さい)ものを使用する場合には、中央演算回路1_10A1 が生成・送信する描画命令は、以下のように変わる。まず、ウェブページを閲覧している場合には、ほとんどのウェブページは、仮に固定幅レイアウトを採用している場合でも該固定幅が外部ディスプレイ装置 5 の画面水平解像度を超えることはないため、中央演算回路1_10A1 においては、外部ディスプレイ装置 5 の画面水平解像度と同じ水平画素数を有するページ画像の描画命令が生成・送信される。次に、テレビ放送を視聴している場合、又は被写体を撮影している場合にも、デジタル動画信号における本来画像の解像度は、外部ディスプレイ装置 5 の画面解像度を超えることはないため、中央演算回路1_10A1においては、デジタル動画信号における本来画像の描画命令が生成・送信される。その際、視聴しているテレビ放送がアナログテレビ放送である場合や、この説明で想定しているようにCCD12B の解像度(1280×1024 画素)がフルハイビジョンサイズ(1920×1080 画素)より小さい場合には、描画

5 命令が生成される本来画像の解像度は外部ディスプレイ装置 5 の画面解像度より小さくなるが、フラッシュメモリ 14A が画像の補間プログラムを格納しており、中央演算回路1_10A1 がそれに従って作動する場合には、外部ディスプレイ装置 5 の画面解像度(デジタル動画信号の本来画像の解像度より大きい)と同じ解像度を有する画像の描画命令を生成することができる。【0127】グラフィックコントローラ1_10B は、中央演算回路1_10A1 から受信した描画命令に基づき、あらかじめ設定された仮想画面上においてビットマップデータを生成し、VRAM1_10C に書き込む。さらに、グラフィックコントローラ1_10B は、中央演算回路1_10A1 から入手した外部ディスプレイ装置 5 の画面解像度データに基づき、外部ディスプレイ装置 5 の画面解像度と同じ解像度を有し、外部ディスプレイ装置 5 の画面に表示される画像を記述するビットマップデータをVRAM1_10C から切り出す。その上で、中央演算回路1_10A1 から受信した送信命令に基づき、該ビットマップデータをTMDSトランスミッタ 13A に送信し、TMDSトランスミッタ 13A は、該ビットマップデータを、外部接続端子部A_13D を経由して接続ユニット 3 のインターフェース部B_33 にTMDS伝送方式で送信する。【0132】また、携帯電話機 1 の中央演算回路1_10A1 は、…データファイルを読み出して必要な処理を行うことにより、描画命令をグラフィックコントローラ1_10B に出力したり…する。…

(2) 前記(1)の記載事項によれば、本件明細書には、本件発明に関し、以下のとおりの開示があると認められる。ア 携帯電話機をはじめとする携帯情報通信装置においては、その携帯性が

5 重視され、大きいサイズのディスプレイを付属させることができないことから、携帯情報通信装置のユーザーは、携帯情報通信装置とともにパソコンを所有することも多い(【0002】ないし【0004】 【0008】、 、【0009】。)しかし、通常、パソコンの所有に要するコストは大きく、上記の不便さを解消するためだけに別途パソコンを所有することは、経済的に不合理である一方、携帯情報通信装置のデータ処理手段は、表示画面が小さいということを除けば、パソコンにおけるプロセッサの機能に匹敵するから、上記のようなパソコンと携帯情報通信装置との使い分けを行うとすれば、同種のものに二重投資を行うことになり、資源の効率的な利用の観点からも好ましくない(【0010】【0013】。、 )そのため、従来、携帯情報通信装置に、その付属ディスプレイよりも画面が大きい大画面外部ディスプレイ装置を接続することにより、同装置で画像を表示する技術がいくつか開示されていたが、いずれも「不合理な二重投資」と「非効率な資源利用」という問題を十分に回避できるものではなかった(【0014】ないし【0029】。)イ 本件発明は、前記アの課題を解決するため、前提事実(2)イ記載の構成を採用することで、携帯電話機等の携帯情報通信装置に大画面ディスプレイ手段を含む周辺装置及び/又は大画面ディスプレイ手段が接続される周辺装置を接続することにより、大画面外部ディスプレイ手段において、付属ディスプレイの画面解像度よりも解像度が大きい画像を表示することを、付属ディスプレイに画像を表示するためにもともと必要である表示データ生成手段(付属表示データ生成手段)とは別個に大画面外部ディスプレイ手段向けの専用の表示データ生成手段を使用することなく、上記のような周辺装置との間のインターフェース手段の追加と付属ディスプレイに画像を表示するための付属表示データ生成手段への若干の機能追加だけで実現

5 するという作用効果を奏する(【0031】。)

2 争点2-2(乙8文献を引用例とする新規性欠如及び進歩性欠如)について事案にかんがみ、争点2-2から検討する。(1) 乙8文献に記載された発明についてア 証拠(乙8)によれば、乙8文献には、以下の構成(以下、頭書の符号に従って「構成乙8″a」などということがある。)の発明(以下「乙8″発明」という。)が記載されていると認められる。a 各種データの入力を可能とし、入力されたデータをCPU11に送信する操作部20と、b アンテナ12aを有し、送信信号の変調及び受信信号の復調機能を有し、CPU11に制御される通信部12と、c CPU11が実行する各種プログラムを格納するROM14及びユーザ設定データなどを格納するRAM13と、d1 ROM14に格納されたプログラムに基づき、入力された表示データ(外部から取り込んだ画像情報)を、ドットデータとして簡易型液晶表示パネルやCRT表示器24等の大型ディスプレイに送信するよう制御するCPU11と、d2 CPU11の制御下で、入力された表示データを画像メモリ22に記憶させるとともに、画像メモリ22に記憶させた表示データ(ドットデータ)を電話機本体に設けられた簡易型液晶表示パネル23又はCRT表示器24等の大型ディスプレイに接続されたモニタ端子25に送信する表示制御回路21と、e 表示制御回路21から送られてきた表示データを表示する簡易型液晶表示パネル23と、f CRT表示器24等の大型ディスプレイに接続されており、表示制御回路21から送られてきた表示データをCRT表示器等の大型ディ

5 スプレイに送信するモニタ端子25とを備え、g1 通信部12が、簡易型液晶表示パネル23の解像度よりも大きい解像度を有する画像情報を受信して復調の上、CPU11が、ドットデータとして簡易型液晶表示パネルやCRT表示器24等の大型ディスプレイに送信するよう表示制御回路21を制御し、g2 CPU11の制御下で、表示制御回路21が、表示データ(ドットデータ)を画像メモリ22に記憶させるとともに、画像メモリ22に記憶させた表示データ(ドットデータ)を電話機本体に設けられた簡易型液晶表示パネル23又はCRT表示器24等の大型ディスプレイに接続されたモニタ端子25に送信して、簡易型液晶表示パネル23又はCRT表示器24等の大型ディスプレイに画像を表示する機能を有する、携帯電話機において、h1 外部から受信した簡易型液晶表示パネル23の解像度よりも大きい解像度を有する画像情報に係る表示データを表示する機能を実現する場合に、表示制御回路21は、画像メモリ22に記憶させた表示データ(ドットデータ)を電話機本体に設けられた簡易型液晶表示パネル23に送信し、簡易型液晶表示パネル23に画像全体を表示するか、又は画像の一部のみ若しくはスクロール操作によらなければ画像全体を見られないように表示する機能と、h2 画像メモリ22に記憶させた表示データ(ドットデータ)をCRT表示器24等の大型ディスプレイに接続されたモニタ端子25に送信し、CRT表示器24等の大型ディスプレイに、簡易型液晶表示パネル23の解像度よりも大きい解像度を有する画像情報を、欠落なく(スクロール操作することなく全てを)表示する機能と、を実現し、i モニタ端子25は、表示制御回路21から受信した表示データ(ドットデータ)をCRT表示器24等の大型ディスプレイに表示できる

5 ようにして送信する機能を有する、j ことにより、CRT表示器24等の大型ディスプレイに、簡易型液晶表示パネル23の解像度よりも大きい解像度を有する画像情報を、欠落なく(スクロール操作することなく全てを)表示できるようにした、k 携帯電話機。イ 前記アの認定の理由を補足して説明する。(ア) 乙8文献記載の「簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できないデータ」の意義について乙8文献には、「一度に表示すべきデータ量が多く、簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できないデータ」【0013】( )との記載に続いて、「画像を形成する画面上の表示データ量が多い場合であって、簡易型液晶パネル23では表示内容が明瞭でない場合には、CRT表示器24を使うことで必要とする表示データのすべてを欠落なく表示でき、従来のように、スクロール操作によって全画像を見る必要がなくなる。 (」【0014】)との記載があることからすると、乙8文献記載の「簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できないデータ」とは、「画像を形成する画面上の表示データ量が多」く、「スクロール操作によ」らなければ全画像を見ることができないもの、すなわち簡易型液晶表示パネル23の解像度よりも大きい解像度を有する画像情報に係る表示データなどの情報量の多い表示データを意味すると解するのが相当である。したがって、「簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できないデータ」には、「簡易型液晶表示パネル23の解像度よりも大きい解像度を有する画像情報に係る表示データ」が含まれるというべきであるから、構成乙8″g1、h1、h2及びjのとおり認定するのが相当である。(イ) 「CPU11に制御される通信部12」との構成(構成乙8″b)に

5 ついて乙8文献には「CPU…11は、…携帯電話機各部の動作を制御する。」(【0008】)と記載されているものの、CPU11が通信部12を制御するにとどまらず、CPU11と通信部とが相互に信号の送受信を行うことを明示する記載はない。この点について、被告は、乙8文献の【図1】(別紙図面目録記載2参照)には、通信部12とCPU11とがバスで接続されていることが記載されていると主張するが、そのことをもって、CPU11と通信部12とが相互に信号の送受信を行うことまでが記載されているとはいえない。したがって、構成乙8″bのとおり、「CPU11に制御される通信部12」を備えるものと認めるのが相当である。(ウ) CPU11がドットデータとして簡易型液晶表示パネルやCRT表示器24等の大型ディスプレイに送信するよう表示制御回路21を制御するとの構成(構成乙8″d1、g1)についてa 乙8文献において、「ドットデータ」の語は、「外部から取り込んだ画像情報などのように一度に表示すべきデータ量が多く、簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できない表示データにあっては…画面表示領域の大きいCRT表示器24に表示できるように、その表示データ(ドットデータ)をモニタ端子25へ同期信号と共に送出する。」(【0013】)との記載にしか存在せず、モニタ端子25に送出する場合についての説明の箇所でのみ使用されているといえる。しかし、乙8文献記載の「ドットデータ」がいわゆるビットマップデータ(画面に表示される各点(ドット)の色及び明るさを羅列して表現したデータ)を意味するものであることは、当事者間に争いがないところ、証拠(乙5、9)によれば、CRT表示器や液晶表示パネ

5 ルなどのディスプレイに画像を表示するに当たり、これらのディスプレイにビットマップデータ(ドットデータ)を送出することは、本件優先日当時の技術常識であると認められる。そして、乙8文献において、CRT表示器24に表示する場合にのみドットデータを送出し、液晶表示パネルに表示する場合にはドットデータを送出しないとの構成を採用することの技術的意義については何ら記載されていないことから、液晶表示パネルに表示する場合にドットデータを送出することが除外されているものではないといえる。したがって、乙8文献には、CPU11が表示情報をドットデータとして簡易型液晶表示パネルやCRT表示器24等の大型ディスプレイに送信するよう表示制御回路21を制御しているとの構成が開示されていると認められる。b 他方で、前記(イ)のとおり、乙8文献には、CPU11と通信部12とが相互に信号の送受信を行うことまでが記載されていると認めることはできない。c 以上によれば、乙8文献に記載されている発明は、構成乙8″d1、g1を有するものと認めるのが相当である。(エ) 「通信部12が、簡易型液晶表示パネル23の解像度よりも大きい解像度を有する画像情報を受信して復調」するとの構成(構成乙8″g1)について乙8文献には、「通信部12は、アンテナ12aを有し、送信信号の変調および受信信号の復調機能を有する」【0008】( )との記載があるから、通信部12において信号の受信及び受信信号の復調を行うことが明示されているといえる。また、乙8文献の「ウェブサイトから特定の画面を取り込んで」 【0(003】 、) 「外部から取り込んだ画像情報」 【0013】( )及び「外部か

5 ら受信した情報量の多い表示データ」【0015】( )との各記載からすると、乙8文献に係る携帯電話機は、ウェブサイトなどの当該携帯電話機の外部において提供されている画像情報や情報量の多い表示データを受信するものであることが認められる(【0003】は、従来の技術に関する記載であるが、乙8文献には、同文献に係る携帯電話機について、このような技術が除外されていることをうかがわせる記載はない。 。一方、)乙8文献には、当該画像情報や当該表示データを外部から受信する方法について、通信部12を介して取り込む方法以外の方法は何ら記載されていない。さらに、「外部から取り込んだ画像情報などのように一度に表示すべきデータ量が多く、簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できない表示データ」 【0013】( )との記載からすると、「外部から取り込んだ画像情報」には「一度に表示すべきデータ量が多く」「簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できない」画像情報が含まれると認められる。そして、構成乙8″bの通信部12が有する受信信号の復調機能の処理の対象から、「外部から取り込んだ」「簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できない」画像情報、すなわち「簡易型液晶表示パネル23の解像度よりも大きい解像度を有する画像情報」が除外されていることをうかがわせる記載はない。したがって、乙8文献に記載されている発明は、「通信部12が、簡易型液晶表示パネル23の解像度よりも大きい解像度を有する画像情報を受信して復調」するとの構成を有するものと認められる。(オ) 画像メモリ22に表示データ(ドットデータ)を記憶させるとの構成(構成乙8″d2、g2、h1及びh2)についてa 画像メモリ22がVRAMであることは、当事者間に争いがない。そして、証拠(乙3、4、6、9)によれば、VRAMとは、情報端

5 末においてディスプレイ等の表示装置への表示に供するデータを書き込み/読み出しするための記憶装置であって、VRAMにビットマップデータを記憶させる場合があることは、本件優先日当時の技術常識であると認められる。b また、乙8文献には、「CPU11は、通話前において、RAM13に登録してある通話相手の電話番号や氏名、あるいはメッセージなどを読み出し、表示制御回路21へ出力」し、「表示制御回路21はこれらのデータを一旦画像メモリ22に記憶させ」る(【0013】)との記載がある。そして、RAM13に登録されている通話相手の電話番号及び氏名並びにメッセージなどは通常テキストデータであると考えられるところ、乙8文献に係る携帯電話機が備えるVRAMは、単なるメモリではなく「画像メモリ」とされているから、これらのテキストデータを簡易型液晶表示パネル23等に表示するに当たり、VRAMである画像メモリ22には、当該テキストデータを画像に変換したデータ、すなわち画像データが記憶されると認めるのが相当である。そして、前記 a の技術常識に照らせば、乙8文献記載の画像メモリ22は、画像データとしてのビットマップデータを記憶することを当然に含むものと認めるのが相当である。c さらに、前記(ウ)aのとおり、乙8文献記載の「ドットデータ」がビットマップデータを意味するものであることは当事者間に争いがないところ、乙8文献には、同文献に係る携帯電話機において、画像メモリ22に記憶されるビットマップデータと、簡易型液晶表示パネル23及びCRT表示器24に送出されるビットマップデータ(表示データ(ドットデータ))とが異なるものであることをうかがわせる記載はない。d したがって、乙8文献に記載されている発明は、画像メモリ22に

5 表示データ(ドットデータ)を記憶させるとの構成を有するものと認められる。(カ) 簡易型液晶表示パネル23の解像度よりも大きい解像度を有する画像情報を簡易型液晶表示パネル23に表示する機能の有無及びこれを実現する場合の表示態様(構成乙8″h1)についてa 乙8文献には、乙8文献に係る携帯電話機が簡易型液晶表示パネル23の解像度よりも大きい解像度を有する画像情報を簡易型液晶表示パネル23に表示する機能を有するか否かや、これを実現する場合の表示態様について、明示の記載はない。b しかし、乙8文献の【0011】は、表示制御回路21が、簡易型液晶表示パネル23に表示データを送る場合として、①表示すべき表示データのコンテンツが簡易型液晶表示パネル23に対応する場合と②表示データの送出先が簡易型液晶表示パネル23を指示する場合の二つを掲げており、この記載に照らすと、乙8文献に係る携帯電話機においては、表示データが簡易型液晶表示パネル23に対応していないものであっても、②の簡易型液晶表示パネル23が表示データの送出先として指示されている場合には、簡易型液晶表示パネル23に当該表示データが送られることが認められる。そして、簡易型液晶表示パネル23に当該表示データが送られる以上、簡易型液晶表示パネル23に対応していない表示データを何らかの態様で簡易型液晶表示パネル23に表示する機能を有していると認めるのが相当である。c 次に、表示態様について検討すると、乙8文献の「画像を形成する画面上の表示データ量が多い場合であって、簡易型液晶パネル23では表示内容が明瞭でない場合には、CRT表示器24を使うことで必要とする表示データのすべてを欠落なく表示でき、従来のように、スクロール操作によって全画像を見る必要がなくなる。 (」 【0014】)

5 との記載に照らすと、簡易型液晶表示パネル23に表示する態様としては、表示データの一部が欠落している態様、すなわち画像の一部のみを表示する態様のほか、画像全体を見るためにはスクロール操作によらなければならないように表示する態様が開示されていると認められる。また、乙8文献において、「本発明は…表示すべき表示データのコンテンツが簡易型液晶表示パネルに表示しきれない場合には、外部接続されたCRT等の大型ディスプレイや内部に設けられた映写装置によりすべての表示データを拡大して分り易く表示することができる携帯電話機を提供する」【0005】、( )「携帯電話機に固有の簡易型液晶表示パネルでは細部まで表示できなかったすべての表示データも、CRT表示器を表示制御回路に接続するだけで分り易く表示できるという効果が得られる。 (」 【0016】)として、解像度(画素数)の大きいCRT表示器等では拡大して分かりやすく表示できるのに対し、解像度(画素数)の小さい簡易型液晶表示パネルでは細部まで表示できないことが記載されており、簡易型液晶表示パネル23の解像度に合わせて画像の一部のみを表示する態様であれば、細部まで表示できないという帰結は考え難いことにかんがみると、簡易型液晶表示パネル23に画像全体を表示する態様も開示されている(もっとも、間引き等どのような処理がされるものであるのかは明らかでない。)と認めるのが相当である。d 以上によれば、乙8文献に記載されている発明は、構成乙8″h1を有するものと認めるのが相当である。(2) 本件発明と乙8″発明との対比前記(1)において認定した乙8″発明を本件発明と対比すると、本件発明と乙8″発明との間には以下の相違点があり、その余の点で一致すると認めら

5 れる。ア 相違点2-1″本件発明では、無線通信手段が、「無線信号を受信してデジタル信号に変換の上、後記中央演算回路に送信」(構成要件B)しており、中央演算回路が、「…前記無線通信手段から受信したデジタル信号に必要な処理を行い」(構成要件D) 「…該デジタル信号を受信して、該デジタル信号が伝達す、る画像データを処理」(構成要件G′)するのに対し、乙8″発明では、通信部12(無線通信手段)が、CPU11(中央演算回路)にデジタル信号を送信しているか否か、CPU11(中央演算回路)が、通信部12(無線通信手段)からデジタル信号を受信し、通信部12(無線通信手段)から受信したデジタル信号が伝達する画像データの処理を行っているか否かが明らかでない点イ 相違点2-2″「本来解像度が…ディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」(構成要件G′)をディスプレイパネルに表示する場合に、本件発明では、「前記ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記ディスプレイ制御手段に送信する(構成要件H′)のに対し、乙8″発明では、表示制御回路21(グラフィックコントローラ)が、「前記ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記ディスプレイ制御手段に送信するか否かが明らかでない点ウ 相違点2-4″本件発明では、「ビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」が、

5 「デジタルRGB、TMDS、LVDS(又はLDI)及びGVIFのうちのいずれかの伝送方式」で伝送される(構成要件I)のに対し、乙8″発明では、表示信号の「伝送方式」について特定されていない点

(3) 本件発明と乙8″発明との間の相違点が実質的な相違点であるかについてア 相違点2-1″について(ア) 証拠(乙2、12、28)によれば、本件優先日前に頒布された刊行物に、以下の記載があることが認められる。a 特開2000-13776号公報(平成12年1月14日公開)【0039】…マルチメディア通信端末装置HS1は、主制御部21、映像デコーダ22、…多重分離部25、無線端末インタフェース部(無線端末I/F部)26、音声コーデック27、…映像エンコーダ29…を有する。このうち、主制御部21、映像デコーダ22、…多重分離部25、無線端末インタフェース部26、…映像エンコーダ29…は、主バス37を介して互いに接続されている。また、映像デコーダ22、多重分離部25、音声コーデック27及び映像エンコーダ29は、同期バス38を介して互いに接続されている。【0040】主制御部21は、CPU、ROM及びRAM等を有してなるものであり、マルチメディア通信端末装置HS1の各部を総括制御することで、マルチメディア通信のための所定の動作を実現するものである。【0042】多重分離部25は、マルチメディア通信モードと音声通話モードとデータ通信モードとからなる3つの動作モードを有しており、主制御部21により指定されたモードで動作する。【0043】マルチメディア通信モードのとき多重分離部25は、映像エンコーダ29から同期バス38を介して与えられる符号化画像データ、音声コーデック27から同期バス38を介して与えられる符号

5 化音声データ及び主制御部21から与えられる他データを、所定の多重化方式(例えば、ITU-T勧告のH.221またはITU-T勧告のH.223またはこれらを変形したもの)で多重化する。またマルチメディア通信モードのとき多重分離部25は、無線端末インタフェース部26から与えられる伝送データから符号化画像データ、符号化音声データ及び他データをそれぞれ分離し、これらの各データを映像デコーダ22、音声コーデック27及び主制御部21のそれぞれへと与える。【0046】無線端末インタフェース部26には、PHS端末用コネクタを介してPHS端末PSiが接続される。そして無線端末インタフェース26は、PHS端末PSiとの間で各種の情報を授受することで、PHS端末PSi及びPHSを含む公衆網を介してデータ通信を実現する。b 特開2002-27038号公報(平成14年1月25日)【0036】…携帯ゲームエミュレータ101は携帯端末装置100の一例…【0040】…システムバス79には…データ処理部35、…受信部204などが接続されており、これらが二次電池87によって駆動される。【0042】受信部204はチューナー55…を有しており、放送局から配信されたゲーム情報内容D1及びプログラム情報D2を受信するようになされる。チューナー55では、アンテナ41により受信された地上波放送信号からゲーム情報内容D1及びプログラム情報D2などのデータ列を抽出してシステムバス79に送るようになされる。…【0045】…システムバス79にはデータ処理部35が接続されて

5 いる。データ処理部35はデータデコード回路58及びマイクロコンピュータ90を有している。このマイクロコンピュータ90は汎用のプログラマブルデジタル計算機…【0046】…チューナー55により選択されてシステムバス79に流されたデータ列(ここでは、NTSC信号)は、データデコード回路58によりデコードされる。放送局側でVBIとして多重化された上記各種コンテンツに係るデータ列がNTSC信号に存在していたときには、そのデコードされた、データ放送番組に係る映像及び音声情報、デコード処理後のゲーム情報内容D1、プログラム情報D2などのデータは、マイクロコンピュータ90の制御の下に、一旦フラッシュメモリ33に蓄積するようになされる。【0047】…このマイクロコンピュータ90とデータデコード回路58とは一体的なシステムLSI構成としてもよい。【0050】マイクロコンピュータ90には制御手順の変更可能なプログラマブルプロセッサなどが使用され、CPU(中央処理装置)、メモリであるROM(EEPROMも含む。 、RAM(ランダムアクセ)スメモリ)、その他、入出力インタフェース、時計手段としてのクロック、計時手段としてのタイマ等を有しており、制御部、演算部、処理部等として機能する。したがって、上記したように、データデコード回路58の機能をマイクロコンピュータ90により実行させることも可能である。c 特開2004-214766号公報(平成16年7月29日公開)【0001】【発明の属する技術分野】本発明は、携帯電話機(通信機能搭載のパームトップPCやPDA[PersonalDigital/Data Assistant]などの携帯電子機器を含む)に

5 関するものである。【0016】制御部10は、CPU[Central Processing Unit]等から成り、…装置全体の動作を制御する。送受信部11は、送信回路と受信回路を有して成り、アンテナ11aを介して電波を送受信することで、基地局(不図示)との双方向通信を行う。…【0019】…制御部10は、送受信部11を介して通話相手との双方向通信を行い、互いに音声情報及び画像情報の交換を行う。…(イ) 前記(ア)の記載事項によれば、CPUと通信部とを備える情報通信端末において、通信部が受信した無線信号をデジタル信号に変換してCPUに送信し、CPUが受信したデジタル信号を処理するという動作をすることは、本件優先日における技術常識であると認められる。また、前記(1)イ(エ)のとおり、乙8文献に記載されている発明は、「通信部12が、簡易型液晶表示パネル23の解像度よりも大きい解像度を有する画像情報を受信して復調」するとの構成を有するものである。これらを前提にすると、通信部12とCPU11とがバスで接続されていることを示す乙8文献の【図1】に接した当業者は、通信部12(無線通信手段)が、CPU11(中央演算回路)にデジタル信号を送信し、CPU11(中央演算回路)が、通信部12(無線通信手段)からデジタル信号を受信し、通信部12(無線通信手段)から受信したデジタル信号が伝達する画像データの処理を行うことを当然の技術事項として把握できるというべきである。したがって、通信部12(無線通信手段)が、CPU11(中央演算回路)にデジタル信号を送信し、CPU11(中央演算回路)が、通信部12(無線通信手段)からデジタル信号を受信し、通信部12(無線

5 通信手段)から受信したデジタル信号が伝達する画像データの処理を行うことは、乙8文献に記載されているに等しい技術事項ということができる。(ウ) 以上によれば、相違点2-1″は、実質的な相違点ではないと認められる。イ 相違点2-2″について(ア) 証拠(乙2、3、45)によれば、本件優先日前に頒布された刊行物に、以下の記載があることが認められる。a 特開2000-13776号公報(平成12年1月14日公開)【0002】【従来の技術】一般に、動画像を通信回線を介して伝送する場合…の動画像符号化方式としては、…H.261方式が広く知られている。H.261方式では、入力動画像を、共通中間フォーマット(CIF:Common Intermediate Format)か、又は縦横の画素数をCIFの1/2に設定したQCIF(Quarter CIF:1/4CIF)に変換して取り扱う。【0039】…マルチメディア通信端末装置HS1は、…表示制御部23、内部表示器24…を有する。…【0041】…内部表示器24は、…QCIF信号を表示するのに必要な画素数(180×144)を有している。…【0080】…受信画像データのフォーマットがCIFだったとすると、表示制御部23は…CIFからQCIFへのフォーマット変換を行う。…内部表示器24へはQCIFの動画像又はCIFからQCIFにフォーマット変換された動画像が表示される。b 特開2000-66649号公報(平成12年3月3日公開)【0008】

5 【課題を解決するための手段】本発明は、内蔵された内部表示装置における表示以外に、外部表示装置を接続して表示させることが可能な携帯情報処理装置において、内部表示装置における内部表示用の表示データを格納するための領域と、内部表示装置よりも高解像度の外部表示装置における外部表示用の表示データを格納するための領域を表示メモリに確保し、内部表示用の表示データを選択的に外部表示用の領域に格納することで、解像度の違いによる外部表示装置における表示領域を有効に利用できるようにしている。【0037】…アプリケーションプログラム35は、内部表示装置22と外部表示装置24において描画させるイメージ、すなわち内部表示イメージと外部表示イメージの2種類を、それぞれの表示装置の解像度に合わせて、表示メモリ18上にライトする。【0044】…本実施形態における携帯機器2は、…異なる解像度を持つ内部表示装置22と外部表示装置24に対して、それぞれ異なるイメージや同一のイメージを表示させることが可能となる。c 特開2003-122339号公報(平成15年4月25日公開。図7は別紙図面目録記載3参照)【0001】【発明の属する技術分野】この発明は、受信した画像データや、外部カメラやパーソナル・コンピュータ、メモリ等の外部機器から読み込んだ画像データを、表示器に表示する機能を備えた移動通信端末に関する。【0005】この発明…の目的とするところは、画像データを表示器の表示領域サイズに応じて常に最適な大きさで表示できるようにし、これにより表示器の表示領域を有効に利用して常に最適な画像表示を可能にした移動通信端末を提供することにある。

5 【0019】この携帯電話端末は、音声通信機能のほかに、テレビジョン電話通信等のマルチメディア通信機能、メール送受信機能、Web閲覧機能、電話帳機能、電子手帳機能を有したもので、…液晶表示器(LCD)34…が配設されている。…【0023】…復調器から出力された復調信号はベースバンド部2に入力される。ベースバンド部2は、主制御部21と、多重分離部22と、音声符号復号部(以後音声信号処理モジュールと呼称する)23と、マルチメディア処理部24と、LCD制御部25と、メモリ部26とを備えている。【0050】…マルチメディア処理部24では、…表示しようとする画像データの横方向の表示サイズがLCD34の横方向の表示領域サイズに対応する大きさになるように縮小処理が行われる。そして、この縮小処理された画像データは、LCD制御部25によりLCD34に表示される。【0051】…図7(b)に示すように、表示しようとする画像データが図中の二点鎖線7cに示すように縦長の場合にも、この画像データ7cは図中の破線7dに示すように横方向の表示サイズがLCD34の横方向の表示領域サイズと同等になるまで縮小処理されたのち、LCD34に表示される。(イ) 前記(1)イ(カ)のとおり、乙8文献には、「簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できないデータ」、すなわち簡易型液晶表示パネル23の解像度よりも大きい解像度を有する画像情報に係る表示データを簡易型液晶表示パネル23に表示する態様として、画像の一部のみを表示する態様のほか、画像全体を見るためにはスクロール操作によらなければならないように表示する態様が開示されている。そして、前記(ア)の記載事項によれば、ディスプレイを内蔵する情報通

5 信端末において、当該ディスプレイの解像度(画素数)よりも大きな解像度(画素数)を有する画像を表示しようとする場合に、当該ディスプレイの解像度(画素数)と同じ解像度の表示データを生成して、当該ディスプレイに表示させることは、本件優先日当時の技術常識であると認められる。そうすると、乙8文献に開示されている上記の表示態様に接した当業者は、簡易型液晶表示パネル23の解像度(画素数)と同じ解像度の表示データを生成して、簡易型液晶表示パネル23に表示させるとの態様を含むものであることを当然の技術事項として把握できるというべきである。したがって、簡易型液晶表示パネル23の画面解像度よりも大きい解像度を有する画像情報に係る表示データを簡易型液晶表示パネル23に表示する場合に、表示制御回路21(グラフィックコントローラ)が、簡易型液晶表示パネル23の画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータを読み出し、当該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号を生成し、当該デジタル表示信号をディスプレイ制御手段に送信することは、乙8文献に記載されているに等しい技術事項といえる。(ウ) 以上によれば、相違点2-2″は、実質的な相違点ではないと認められる。ウ 相違点2-4″について証拠(乙5ないし7)によれば、表示装置に表示信号を送信する際に、「デジタルRGB、TMDS、LVDS(又はLDI)及びGVIFのうちのいずれかの伝送方式」に変換して送信することは、本件優先日当時の技術常識であると認められる。乙8文献に係る携帯電話機において、表示制御回路21は、「表示データ

5 のコンテンツが簡易型液晶表示パネル23に対応しない場合には、画面表示領域の大きいCRT表示器24に表示できるように、その表示データ(ドットデータ)をモニタ端子25へ同期信号と共に送出する」と、当該表示制御回路21がモニタ端子25を経由して表示装置であるCRT表示器24に表示信号を送信することが開示されている。そうすると、当業者は、乙8文献に係る携帯電話機において、表示制御回路21が表示装置であるCRT表示器24に表示信号を送信するに当たり、「デジタルRGB、TMDS、LVDS(又はLDI)及びGVIFのうちのいずれかの伝送方式」に変換して送信するとの態様を含むものであることを当然の事項として把握できるというべきである。したがって、表示装置に表示信号を送信する際に、「デジタルRGB、TMDS、LVDS(又はLDI)及びGVIFのうちのいずれかの伝送方式」に変換して送信することは、乙8文献に記載されているに等しい事項といえるから、相違点2-4″は、実質的な相違点ではないと認められる。エ まとめ以上によれば、本件発明と乙8″発明との間に実質的な相違点は存在しないものと認められる。

(4) 小括前記(1)ないし(3)において検討したところによれば、本件発明は乙8文献に記載された発明であると認められるから、新規性を欠くものというべきである。

第5 結論

以上によれば、その余の点について判断するまでもなく、原告の請求はいずれも理由がないから、これらをいずれも棄却することとして、主文のとおり判決する。

東京地方裁判所民事第29部

裁判官

間 明 宏 充

裁判官

木 村 洋 一

裁判長裁判官國分隆文は、差支えにつき署名押印することができない。

裁判官

間 明 宏 充

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