ホーム > 知財判決速報/裁判例集 > 令和5(ワ)70035 特許権侵害損害賠償請求事件
| 裁判所 | 請求棄却 東京地方裁判所東京地方裁判所 |
|---|---|
| 裁判年月日 | 令和7年5月14日 |
| 事件種別 | 民事 |
| 当事者 | 原告株式会社DAPリアライズ 被告シャープ株式会社 |
| 対象物 | 携帯情報通信装置及び携帯情報通信装置を使用したパーソナルコンピュータシステム |
| 法令 |
特許権 特許法29条1項3号1回 特許法102条3項1回 |
| キーワード | 実施37回 審決7回 特許権6回 進歩性5回 無効5回 新規性4回 無効審判3回 分割2回 刊行物2回 損害賠償2回 訂正審判2回 侵害2回 優先権1回 |
| 主文 | 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。15 |
| 事件の概要 | 本件は、発明の名称を「携帯情報通信装置及び携帯情報通信装置を使用した パーソナルコンピュータシステム」とする特許第4555901号の特許(以 下「本件特許」という。)に係る特許権(以下「本件特許権」という。)を有す る原告が、別紙被告製品目録記載の各製品(以下「被告各製品」といい、同目 録の記載に従い、同目録記載1の製品を「イ号製品」などという。)は本件特許25 の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)の技術的 範囲に属するものであり、被告が令和2年3月25日から令和5年1月29日 までの間に被告各製品を製造・販売したことが本件特許権の侵害に当たり、こ れにより損害を被ったと主張して、不法行為に基づく損害賠償として、損害金 9億2300万円の一部である1000万円及びこれに対する遅延損害金の支 払を求める事案である。5 |
本サービスは判決文を自動処理して掲載しており、完全な正確性を保証するものではありません。正式な情報は裁判所公表の判決文(本ページ右上の[判決文PDF])を必ずご確認ください。
令和7年5月14日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官
令和5年(ワ)第70035号 特許権侵害損害賠償請求事件
口頭弁論終結日 令和7年1月8日
判 決
原 告 株式会社DAPリアライズ
被 告 シ ャ ー プ 株 式 会 社
同 訴訟代理人弁護士 生 田 哲 郎
同 佐 野 辰 巳
主 文
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事 実 及 び 理 由
第1 請求
被告は、原告に対し、1000万円及びこれに対する令和5年2月14日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
本件は、発明の名称を「携帯情報通信装置及び携帯情報通信装置を使用したパーソナルコンピュータシステム」とする特許第4555901号の特許(以下「本件特許」という。)に係る特許権(以下「本件特許権」という。)を有する原告が、別紙被告製品目録記載の各製品(以下「被告各製品」といい、同目録の記載に従い、同目録記載1の製品を「イ号製品」などという。)は本件特許の特許請求の範囲の請求項1に係る発明(以下「本件発明」という。)の技術的範囲に属するものであり、被告が令和2年3月25日から令和5年1月29日までの間に被告各製品を製造・販売したことが本件特許権の侵害に当たり、これにより損害を被ったと主張して、不法行為に基づく損害賠償として、損害金9億2300万円の一部である1000万円及びこれに対する遅延損害金の支
5 払を求める事案である。1 前提事実(当事者間に争いがないか、後掲各証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実。以下において、枝番号のある証拠について枝番号を記載しない場合は、全ての枝番号を含む。)
⑴ 当事者ア 原告は、各種情報処理・通信システムの考案、開発等を行う株式会社である。イ 被告は、携帯情報通信装置の企画、製造、販売等を行う株式会社である。
⑵ 本件特許ア 原告は、平成17年12月21日(優先日平成16年12月24日及び平成17年7月28日、優先権主張国日本)を出願日とする特許出願(特願2005-367373号)の一部を分割して出願した特許出願(特願2006-277062号)の一部を更に分割して、平成20年6月23日、新たに本件特許の特許出願(特願2008-162678号。以下「本件出願」という。 をし、) 平成22年7月30日、本件特許権の設定登録(請求項の数4)を受けた(以下、本件出願の願書に添付された明細書及び図面を併せて「本件明細書」という。また、本件明細書の発明の詳細な説明中の段落番号を【0001】 図面を、 【図1】などと記載する。)(甲1~3、8)。イ 原告は、平成28年5月19日、本件特許の特許請求の範囲の請求項1から4までについて訂正することを求める訂正審判請求(訂正2016-390069号)をした。特許庁は、同年10月17日、本件特許の特許請求の範囲の請求項2から4までについて訂正することを認め、同請求項1に係る訂正についての審判請求は成り立たないとの審決をした。これに対し、原告は審決取消訴訟(知的財産高等裁判所平成28年(行
5 ケ)第10257号事件)を提起したが、知的財産高等裁判所は、平成29年10月19日、原告の請求を棄却するとの判決をし、同年11月7日、同判決の確定により、前記審決は確定した。(甲1、8)ウ 原告は、平成30年4月9日、本件特許の特許請求の範囲を別紙「特許請求の範囲(本件訂正前) 記載のとおり訂正することを求める訂正審判請」求(訂正2018-390070号)をした。特許庁は、同年7月25日、前記請求を認めるとの審決をし、同審決は、同年8月2日、確定した。(甲1、3、8、乙48)エ 被告は、令和2年3月31日、特許庁に対し、本件特許の特許請求の範囲の請求項1に係る発明について特許無効審判請求(無効2020-800032号)をし、原告は、令和3年3月22日付けで、同請求項1について別紙「特許請求の範囲」記載のとおり訂正することを求める訂正請求をした(請求に係る訂正部分は、別紙「特許請求の範囲」の下線部分である。。)特許庁は、同年10月12日、前記訂正請求を認めた(以下、この訂正を「本件訂正」という。)上で、前記無効審判請求は成り立たないとの審決をした。これに対し、被告は審決取消訴訟(知的財産高等裁判所令和3年(行ケ)
第10139号事件)を提起したが、知的財産高等裁判所は、令和4年1
2月19日、被告の請求を棄却するとの判決をし、令和5年1月5日、同判決は確定した。(甲4~8)
⑶ 特許請求の範囲本件特許の特許請求の範囲の請求項1の記載は、別紙「特許請求の範囲」記載のとおりである。
⑷ 本件発明の構成要件の分説本件発明を構成要件に分説すると、以下のとおりである(以下、分説した
5 各構成要件を「構成要件A」などという。 。)A ユーザーがマニュアル操作によってデータを入力し、該入力データを後記中央演算回路へ送信する入力手段と;B 無線信号を受信してデジタル信号に変換の上、後記中央演算回路に送信するとともに、後記中央演算回路から受信したデジタル信号を無線信号に変換して送信する無線通信手段と;C 後記中央演算回路を動作させるプログラムと後記中央演算回路で処理可能なデータファイルとを格納する記憶手段と;D 前記入力手段から受信したデータと前記記憶手段に格納されたプログラムとに基づき、前記無線通信手段から受信したデジタル信号に必要な処理を行い、リアルタイムでデジタル表示信号を生成するか、又は、自らが処理可能なデータファイルとして前記記憶手段に一旦格納し、その後読み出した上で処理する中央演算回路と、該中央演算回路の処理結果に基づき、単一のVRAMに対してビットマップデータの書き込み/読み出しを行い、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を後記ディスプレイ制御手段又は後記インターフェース手段に送信するグラフィックコントローラと、から構成されるデータ処理手段と;E 画面を構成する各々の画素が駆動されることにより画像を表示するディスプレイパネルと、前記グラフィックコントローラから受信したデジタル表示信号に基づき前記ディスプレイパネルの各々の画素を駆動するディスプレイ制御手段とから構成されるディスプレイ手段と;F 外部ディスプレイ手段を備えるか、又は、外部ディスプレイ手段を接続するかする周辺装置を接続し、該周辺装置に対して、前記グラフィックコントローラから受信したデジタル表示信号に基づき、外部表示信号を送信するインターフェース手段と;
5 を備え、G’前記無線通信手段が「本来解像度が前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」を伝達する無線信号を受信してデジタル信号に変換の上、前記中央演算回路に送信し、前記中央演算回路が該デジタル信号を受信して、該デジタル信号が伝達する画像データを処理し、前記グラフィックコントローラが、該中央演算回路の処理結果に基づき、前記単一のVRAMに対してビットマップデータの書き込み/読み出しを行い、該「読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記ディスプレイ制御手段又は前記インターフェース手段に送信して、前記ディスプレイ手段又は前記外部ディスプレイ手段に画像を表示する機能(以下、「高解像度画像受信・処理・表示機能」と略記する)を有する、携帯情報通信装置において、H’前記グラフィックコントローラは、前記携帯情報通信装置が前記高解像度画像受信・処理・表示機能を実現する場合に、前記単一のVRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記ディスプレイ制御手段に送信する機能と、前記単一のVRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信「号」を生成し、該デジタル表示信号を前記インターフェース手段に送信する機能と、を実現し、I 前記インターフェース手段は、前記グラフィックコントローラから受信した「ビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を、デジタルRGB、TMDS、LVDS(又はLDI)及びGVIFのうちのいずれか
5 の伝送方式で伝送されるデジタル外部表示信号に変換して、該デジタル外部表示信号を前記周辺装置に送信する機能を有する、J ことにより、前記外部ディスプレイ手段に、前記ディスプレイパネルの画面解像度よ「り大きい解像度を有する画像」を表示できるようにした、K ことを特徴とする携帯情報通信装置。
⑸ 被告の行為被告は、被告各製品を業として製造し、販売した。
⑹ 先行文献本件特許の優先日(平成16年12月24日及び平成17年7月28日)前に頒布された刊行物として、特開2001-197167号公報(乙6。平成13年7月19日公開。以下「乙6文献」といい、乙6文献に記載された発明を「乙6発明」という。)が存在した。2 争点
⑴ 被告各製品が本件発明の技術的範囲に属するか(争点1)ア 被告各製品は「グラフィックコントローラ」が「ビットマップデータの書き込み/読み出しを行い」との構成(構成要件D及びG’ を有するか) (争点1-1)イ 被告各製品は「単一のVRAMに対してビットマップデータの書き込み/読み出しを行い」との構成(構成要件D、G’及びH’)を有するか(争点1-2)ウ 被告各製品は「グラフィックコントローラ」が「前記単一のVRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、「前記単一のVRAMから「前記ディス」プレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し」との構成(構成要件H’)を有するか(争点1-3)
5 ⑵ 乙6発明に基づく新規性及び進歩性欠如(争点2)
⑶ 損害の発生及びその額(争点3)
第3 争点に関する当事者の主張
1 争点1-1(被告各製品は「グラフィックコントローラ」が「ビットマップ
データの書き込み/読み出しを行い」との構成(構成要件D及びG’)を有するか)について
(原告の主張)
⑴ 被告各製品は、モバイルプロセッサとしてSnapdragonを搭載し、
当該モバイルプロセッサにおいて、GPU及び表示用ブロックからなる画像表示用回路を備えており、これが「グラフィックコントローラ」に相当する。そして、被告各製品においては、GPUが、①無線通信手段が受信した無線信号が伝達し、CPUが必要な処理を行った後の圧縮された画像データをデコードして、そのデータをSDRAMに対し書き込み、②SDRAMからデコードしたデータを読み込み、内蔵ディスプレイ又は外部ディスプレイに表示するビットマップデータを生成している。
⑵ 被告は、被告各製品において、SDRAMに対し、内蔵ディスプレイに表
示する内蔵用合成表示データ及び外部ディスプレイに表示する外部用合成表示データの書き込み/読み出しが行われることはない旨を主張するが、被告の別件訴訟における主張と矛盾しており、事実に反する。
⑶ したがって、被告各製品は「グラフィックコントローラ」が「ビットマッ
プデータの書き込み/読み出しを行い」との構成を有する。
(被告の主張)
⑴ 被告各製品においては、①無線信号をデコードして生成したレイヤー合成
前のビットマップデータであるアプリ画面データ又は②表示用ブロックがアプリ画面データ、ステータスバー用データ及びナビケーションバー用データをレイヤー合成した後のビットマップデータである内蔵用合成表示データ及
5 び外部用合成表示データのいずれを考慮しても、「グラフィックコントロー
ラ」に相当する構成が、VRAMに対してビットマップデータの書き込みを行うものではない。被告各製品において、①アプリ画面データの書き込みをSDRAMに対し行うのは、CPU(中央演算回路)である。本件発明においては、「中央演算回路」と「グラフィックコントローラ」が区別されていることから、CPU(中央演算回路)は「グラフィックコントローラ」に該当しない。被告各製品において、②内蔵用合成表示データは、表示用ブロックで合成した後、液晶ドライバ又は有機ELドライバに送信し、液晶ドライバ又は有機ELドライバが内蔵GRAMに対し書き込み/読み出しを行う。また、外部用合成表示データは、表示用ブロックで合成した後、モバイルプロセッサ内でデジタル外部表示信号に変換され、SDRAMやGRAMに対し書き込み/読み出しを行うことなく、USBタイプCコネクタに送信される。
⑵ 被告各製品においては、GPUではなく、CPUが、受信した無線信号を
デコードしてSDRAMに対し書き込みを行っているから、
(原告の主張)
は前提において失当である。
⑶ したがって、被告各製品は「グラフィックコントローラ」が「ビットマッ
プデータの書き込み/読み出しを行い」との構成を有しない。
2 争点1-2(被告各製品は「単一のVRAMに対してビットマップデータの
書き込み/読み出しを行い」との構成(構成要件D、 及びH’ を有するか)G’ )について
(原告の主張)
前記
(原告の主張)
1のとおり、被告各製品においては、GPUと表示用ブロックからなる画像表示用回路が、SDRAMに対しビットマップデータの書き込み/読み出しを行っている。したがって、被告各製品は「単一のVRAMに対してビットマップデータの
5 書き込み/読み出しを行い」との構成を有する。
(被告の主張)
被告各製品においては、「ビットマップデータの書き込み/読み出し」を行うRAMとして、アプリ画面データの書き込み/読み出しが行われるSDRAMと、内蔵用合成表示データの書き込み/読み出しが行われる液晶ドライバ又は有機ELドライバに内蔵されたGRAMを備えている。さらに、被告各製品と外部ディスプレイ用装置を合わせた外部表示システムとしてみれば、外部用合成表示データの書き込み/読み出しが行われるVRAMが、外部ディスプレイ装置内にある。このように、被告各製品においては、SDRAM、GRAM及び外部ディスプレイ装置内のVRAMの3つのRAMが関与しており、「単一のVRAM」に対しビットマップデータの書き込み/読み出しを行っていない。したがって、被告各製品は「単一のVRAMに対してビットマップデータの書き込み/読み出しを行い」との構成を有しない。
3 争点1-3(被告各製品は「グラフィックコントローラ」が「前記単一のV
RAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、「前記単一のVRAMから「前記ディス」プレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し」との構成(構成要件H’)を有するか)について
(原告の主張)
⑴ 構成要件H’における「単一のVRAMから」「読み出し」とは、「グラフ
ィックコントローラ」がビットマップデータの読み出しをするに当たり、間引きや補間等の解像度変換を行う構成を排除するものではない。したがって、「グラフィックコントローラ」が間引きや補間等の解像度変換を行ったとしても、当該解像度変換後のビットマップデータが、「前記ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」又は「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマ
5 ップデータ」であれば、構成要件H’を満たす。
⑵ 被告各製品においては、前記
(原告の主張)
1のとおり、GPUと表示用ブロックからなる画像表示用回路が「グラフィックコントローラ」に相当するところ、GPUが、SDRAMから4K解像度の画像データの読み込みを行うとともに、内蔵ディスプレイに表示する場合には「タッチパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」を、外部ディスプレイに表示する場合には「タッチパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップデータ」を生成するとの解像度変換を行っている。そして、GPUが、SDRAMからデコードしたデータを読み込み、内蔵ディスプレイ又は外部ディスプレイに表示するビットマップデータを生成するという一連の動作が、「単一のVRAM」からのビットマップデータの「読み出し」に該当し、この一連の動作において、「タッチパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」又は「タッチパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップデータ」という2種類の解像度のビットマップデータの「読み出し」がされている。
⑶ したがって、被告各製品は、
「前記単一のVRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、「前記単一のVRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度」より大きい解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し」との構成を有する。
(被告の主張)
⑴ 構成要件H’は、
「単一のVRAM」から、①「前記ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」及び②「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップデータ」という異なる2種類の解像度の画像を読み出すことを意味すると解すべきである。
5 構成要件H’の「単一のVRAMから」
「読み出し」とは、単一のVRAMから読み出す際の解像度が2種類あることを意味しており、単一のVRAMから読み出した後に間引きや補間を行って解像度を変換したとしても、構成要件H’を満たさない。
⑵ 被告各製品において、GPU及び表示用ブロックがSDRAMから読み出
すビットマップデータの解像度は1種類だけであり、2種類の解像度のビットマップデータを読み出すものではない。4K解像度の画像を無線信号で受信して内蔵ディスプレイ又は外部ディスプレイに表示させる場合、GPUがSDRAMから読み出すデータは、CPU(中央演算回路)がデコードしてSDRAMに書き込んだデータである4K解像度の画像データの1種類であり、前記①に相当するデータを読み出すことはない。GPUがSDRAMから読み出す画像データの解像度と液晶ドライバ又は有機ELドライバがGRAMから読み出す画像データの解像度は異なるが、SDRAMとGRAMは異なるRAMであるから、「単一のVRAM」から2種類の解像度のビットマップデータを読み出すことはない。
⑶ したがって、被告各製品は、
「単一のVRAM」から前記①及び②の「ビットマップデータ」を読み出すとの構成を有しない。
4 争点2(乙6発明に基づく新規性及び進歩性欠如)について
(被告の主張)
⑴ 乙6発明の認定
乙6文献には、以下の構成を有する乙6発明が記載されている。2a 各種データの入力を可能とし、入力されたデータをCPU11に送信する操作部20と;2b アンテナ12aを有し、送信信号の変調及び受信信号の復調機能を有し、CPU11と相互に信号の送受信を行う通信部12と;2c CPU11が実行する各種プログラムを格納するROM14及びユー
5 ザ設定データなどを格納するRAM13と;
2d1 ROM14に格納されたプログラムに基づき、入力された表示データ(外部から取り込んだ画像情報)を、ドットデータとして簡易型液晶表示パネル23やCRT表示器24等の大型ディスプレイに送信するよう制御するCPU11と;2d2 CPU11の制御下で、入力された表示データを画像メモリ22に記憶させるとともに、画像メモリ22に記憶させた表示データ(ドットデータ)を電話機本体に設けられた簡易型液晶表示パネル23又はCRT表示器24等の大型ディスプレイに接続されたモニタ端子25に送信する表示制御回路21と;2e 表示制御回路21から送られてきた表示データを表示する簡易型液晶表示パネル23と;2f CRT表示器24等の大型ディスプレイに接続されており、表示制御回路21から送られてきた表示データをCRT表示器24等の大型ディスプレイに送信するモニタ端子25とを備え、2g’1 通信部12が、簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できない画像情報を受信して復調の上、CPU11に送信し、CPU11が、ドットデータとして簡易型液晶表示パネル23やCRT表示器24等の大型ディスプレイに送信するよう表示制御回路21を制御し、2g’2 CPU11の制御下で、表示制御回路21が、表示データを画像メモリ22に記憶させるとともに、画像メモリ22に記憶させた表示データ(ドットデータ)を簡易型液晶表示パネル23又はCRT表示器24等の大型ディスプレイに接続されたモニタ端子25に送信して、簡易型液晶表示パネル23又はCRT表示器24等の大型ディスプレイに画像を表示する機能を有する、携帯電話機において、2h’1 外部から受信した情報量の多い表示データを携帯電話機が簡易型
5 液晶表示パネル23では明瞭に表示できない画像情報を表示する機能を実
現する場合に、表示制御回路21は、画像メモリ22に記憶させた表示データ(ドットデータ)を簡易型液晶表示パネル23に送信し、簡易型液晶表示パネル23に表示データの全てを欠落なく表示できない(表示データの全てを欠落なく表示できない、又はスクロール操作によらなければ全画像を見られない)又は表示内容が明瞭でない(拡大しなければ字を読みにくい)ように表示する機能と、2h’2 画像メモリ22に記憶させた表示データ(ドットデータ)をCRT表示器24等の大型ディスプレイに接続されたモニタ端子25に送信し、CRT表示器24等の大型ディスプレイに、簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できない画像情報を、欠落なく(スクロール操作することなく)表示する機能と、を実現し、2i モニタ端子25は、表示制御回路21から受信した表示データ(ドットデータ)をCRT表示器24等の大型ディスプレイに表示できるようにして送信する機能を有する、2j ことにより、CRT表示器24等の大型ディスプレイに、簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できない画像情報を、欠落なく(スクロール操作することなく)表示できるようにした、2k 携帯電話機
⑵ 新規性欠如
本件発明と乙6発明とを対比すると、乙6発明は、本件発明の各構成を備えており、本件発明と同一であるから、本件発明は、本件特許の優先日前に日本国内において「頒布された刊行物に記載された発明」として、特許法29条1項3号により特許を受けることができないものである。
⑶ 進歩性欠如
ア(ア) 仮に本件発明と乙6発明とが相違するとしても、その相違点は、以下
5 の点のみである。
本件発明は、高解像度画像受信・処理・表示機能を実現する場合に、ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータを読み出し、送信する機能を有するのに対し、乙6発明は、そのような機能を有しない点。(イ) 携帯端末において、内蔵の表示パネルに画像を表示させるに当たり、当該表示パネルと同じ解像度の画像データを読み出して表示させることは、当然の事柄である上、乙13、乙39及び乙41及び乙44の各文献に開示されているとおり、本件特許の優先日当時の技術常識であった。前記技術常識に基づいて、前記(ア)の相違点に係る本件発明の構成を備えることは、当業者において容易に想到することができた。(ウ) 乙6発明は、データ量が多い表示データを簡易型液晶表示パネルに表示し、スクロール操作によって全画像を見るという構成を備えており、当該構成を不必要とするものではないから、乙6発明に前記(イ)の技術常識を適用する動機付けがあり、少なくとも阻害要因はない。イ 仮に乙6発明において、「本来解像度が前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」を「受信」する機能に加え、当該データを「処理」し、「表示」する機能を有すること(構成要件G’)が明示されていない点が相違点であるとしても、無線通信手段が当該データを伝達する無線信号を受信してデジタル信号に変換することは、乙39から41まで及び乙44の各文献に開示されているとおり、本件特許の優先日当時の周知技術であったから、前記周知技術に基づいて、前記相違点に係る本件発明の構成を備えることは、当業者において容易に想到することができた。ウ 仮に乙6発明において、「CPU11と相互に信号の送受信を行う通信部12」(前記2b)や通信部12が画像情報を受信して復調すること(前記2g’1)が明示されていない点が相違点であるとしても、通信部にお
5 いて受信した無線信号をデジタル信号に変換してCPUに送信すること、
CPUから受信したデジタル信号を無線信号に変換して通信部に送信すること及び通信装置を構成する通信部において画像情報を受信して復調することは、乙11、乙25、乙27、乙28、乙38及び乙44の各文献に開示されているとおり、本件特許の優先日当時の技術常識であったから、前記技術常識に基づいて、前記各相違点に係る本件発明の構成を備えることは、当業者において容易に想到することができた。
(原告の主張)
⑴ 乙6発明の認定
2a、2c、2e、2f、2i及び2kの構成については認める。
(被告の主張)
する2bの構成について、乙6文献には、CPU11から通信部12に制御信号を送信することは記載されているが、通信部12からCPU11に信号を送信することの記載はない。
(被告の主張)
する2d2、2g’2、2h’1及び2h’2の構成における「画像メモリ22」への「ドットデータ」の記憶について、乙6文献には、「電話番号や各種の機能データ」及び「RAM13に登録してある通話相手の電話番号や氏名、あるいはメッセージ」を画像メモリ22に記憶することの記載はあるが、ドットデータを記憶することの記載はなく、「画像メモリ」はいわゆるVRAMではない。また、
(被告の主張)
する2d1、2d2、2g’1、2g’2、2h’1及び2h’2の構成における「ドットデータ」の送信について、乙6発明の表示データのうち、表示制御回路21がCRT表示器24等の大型ディスプレイに接続されたモニタ端子25に送信する表示データはドットデータであるものの、それ以外の表示データは、テキストデータであってドットデータではない。
(被告の主張)
する2g’1の構成における「通信部12が、簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できない画像情報を受信して復調の上、CPU1
5 1に送信し」との点について、乙6文献には、通信部12が、
「画像情報」を受信し、復調し、送信することの記載はない。また、
(被告の主張)
する2h’1の構成における「簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できない画像情報」について、乙6発明において、外部から受信した情報量の多い表示データについて、簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できない画像情報を簡易型液晶表示パネル23に表示する機能を有しない。そうすると、乙6発明は、
(被告の主張)
する2b、2d1、2d2、2g’1及び2g’2並びに2h’1及び2h’2の構成を有しておらず、次の構成を有する(2g’1及び2g’2と2ⓖ’が、2h’1及び2h’2と2
ⓗ’が対応する)。
2ⓑ アンテナ12aを有し、送信信号の変調及び受信信号の復調機能を有し、CPU11に制御される通信部12と、2ⓓ1 ROM14に格納されたプログラムに基づき、入力された表示データ(外部から取り込んだ画像情報)を、簡易型液晶表示パネル23やCRT表示器24等の大型ディスプレイに送信するよう制御するCPU11と、2ⓓ2 CPU11の制御下で、入力された表示データを画像メモリ22に記憶させるとともに、簡易型液晶表示パネル23又はCRT表示器24等の大型ディスプレイに接続されたモニタ端子25に送信し、特に、モニタ端子25へはドットデータとして送信する表示制御回路21と、2ⓖ’CPU11の制御下で、表示制御回路21が、表示データを画像メモリ22に記憶させるとともに、簡易型液晶表示パネル23又はCRT表示器24等の大型ディスプレイに接続されたモニタ端子25に送信し、特に、モニタ端子25へはドットデータとして送信して、簡易型液晶表示パネル23又はCRT表示器24等の大型ディスプレイに画像を表示する機能を有する、携帯電話機において、2ⓗ’携帯電話機が、簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できない画像
5 情報を表示する機能を実現する場合に、表示制御回路21は、ドットデー
タとしてCRT表示器24等の大型ディスプレイに接続されたモニタ端子25に送信し、CRT表示器24等の大型ディスプレイに、簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できない画像情報を、欠落なく(スクロール操作することなく)表示する機能を実現し、
⑵ 本件発明と乙6発明との相違点
乙6発明の「簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できない画像情報」は、本件発明の「本来解像度が前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」に相当しない。 本件発明と乙6発明は、構成要件B、D、G’、H’及びJに関し、以下の点で相違する。ア 相違点2-1本件発明では、無線通信手段が、「無線信号を受信してデジタル信号に変換の上、後記中央演算回路に送信」(構成要件B)しており、当該無線信号は、 「本来解像度が前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい画「…像データ」を伝達する無線信号」(構成要件G’ であり、) 中央演算回路が、「…前記無線通信手段から受信したデジタル信号に必要な処理を行い」構(成要件D)「…該デジタル信号を受信して、該デジタル信号が伝達する画、像データを処理」(構成要件G’)するのに対して、乙6発明では、通信部12(無線通信手段)は、「本来解像度が前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」を伝達する無線信号」を受信しておらず、CPU11(中央演算回路)にデジタル信号を送信しておらず、CPU11(中央演算回路)は、通信部12(無線通信手段)からデジタル信号を受信しておらず、したがって、「通信部12(無線通信手段)から受信したデジタル信号が伝達する画像データ」の処理を行っていない点。イ 相違点2-2本件発明では、グラフィックコントローラが、「…単一のVRAMに対し
5 てビットマップデータの書き込み/読み出しを行い、該読み出したビット
「マップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を後記ディスプレイ制御手段又は後記インターフェース手段に送信」構(成要件D及びG’)し、特に、「…前記携帯情報通信装置が前記高解像度画像受信・処理・表示機能を実現する場合に、前記単一のVRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記ディスプレイ制御手段に送信する機能と、前記単一のVRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」「を生成し、該デジタル表示信号を前記インターフェース手段に送信する機能と、を実現」(構成要件H’)するのに対して、乙6発明では、表示制御回路21(グラフィックコントローラ)は、ドットデータ(ビットマップデータ)をCRT表示器24等の大型ディスプレイに接続されたモニタ端子25に送信するものの、画像メモリ22(単一のVRAM)に対してドットデータ(ビットマップデータ)の書き込み/読み出しを行うものではない点。ウ 相違点2-3本件発明では、前記外部ディスプレイ手段に、「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像」を表示できるようにした(構成要件J)のに対して、乙6発明では、CRT表示器24等の大型ディスプレイに、 簡易型液晶表示パネル23の画面解像度より大きい解像度を有「する画像」を表示できるようにしたものではない点。
⑶ 相違点の非容易想到性
ア 前記
(被告の主張)
⑶ア(ア)の相違点
5 仮に本件発明と乙6発明との相違点が前記
(被告の主張)
⑶ア(ア)のとお
りであるとしても、以下のとおり、当該相違点に係る本件発明の構成に容易に想到することはできない。(ア) 本件特許の優先日において、「携帯電話機の簡易型液晶表示パネルに当該表示パネルの解像度より大きい表示データを表示する場合に、大きい表示データから上記表示パネルと同じ解像度の表示データを生成して前記簡易型液晶表示パネルに表示し、スクロール操作を行うことで全画像を見ることができること」は技術常識であったとは認められない。また、携帯情報通信装置が「該中央演算回路の処理結果に基づき、単一のVRAMに対してビットマップデータの書き込み/読み出しを行い、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を後記ディスプレイ制御手段又は後記インターフェース手段に送信する」機能 を有することも技術常識であったとは認められない。(イ) 仮に本件特許の優先日において「携帯電話機の簡易型液晶表示パネルに当該表示パネルの解像度より大きい表示データを表示する場合に、大きい表示データから上記表示パネルと同じ解像度の表示データを生成する」ことが技術常識であったとしても、当該技術常識は、「ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータを読み出す」こととは文言上明らかに異なるから、乙6発明に前記技術常識を適用することにより、前記
(被告の主張)
⑶ア(ア)の相違点に係る
構成に想到することはできない。また、乙6文献の【0014】は、「スクロール操作によって全画像を見る必要がなくなる」としており、乙6発明に前記技術常識を適用すると、必要のない機能を敢えて追加することになり、その適用には阻害要因がある。
5 (ウ) 仮に前記(ア)の各事項が本件特許の優先日当時における技術常識で
あったとしても、乙6発明の表示制御回路21及び画像メモリ22は、【0011】 【0012】と に記載された単純な機能しか有しないから、乙6発明に当該技術常識を適用したとしても、表示制御回路21が、画像メモリ22から「簡易型液晶表示パネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成するとともに、「簡易型液晶表示パネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成するという機能を有し得るとは考えられず、本件発明の構成に想到することはできない。イ 相違点2-1乙6文献においては、乙6文献の【0003】及び【0014】を含め、通信部12が画像データを受信することは開示も示唆もされていない。被告の主張に係る文献の記載を踏まえても、本件特許の優先日において、「携帯電話情報通信装置の無線通信手段が「本来解像度がディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」を伝達する無線信号を受信すること」の開示又は示唆がされているといい得る文献は乙44だけであり、少なくとも当該事項が本件特許の優先日当時の技術常識であったとはいえない。したがって、本件特許の優先日において、相違点2-1に係る本件発明の構成に容易に想到することはできない。ウ 相違点2-2(ア)
(被告の主張)
に係る文献の記載を踏まえても、本件特許の優先日において、①携帯情報通信装置において、中央演算回路やディスプレイ制御手段とは別個の画像データ処理手段が、画像データ用メモリに対してビットマップデータの書き込み/読み出しを行い、該読み出したビットマ「
5 ップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信
号を後記ディスプレイ制御手段又は後記インターフェース手段に送信すること及び②携帯情報通信装置において、中央演算回路やディスプレイ制御手段とは別個の画像データ処理手段が「ビットマップデータの書き込み/読み出し」を行う画像データ用メモリが単一であって、画像データ処理手段が単一の画像データ用メモリから「ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成して、ディスプレイ制御手段に送信するとともに、画像データ処理手段が単一の画像データ用メモリから「ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成して、インターフェース手段に送信する機能を実現することが、技術常識であったとはいえない。(イ) 仮に前記(ア)の事項が本件特許の優先日当時の技術常識であったとしても、以下のとおり、相違点2-2に係る本件発明の構成に想到することはできない。乙6文献の【0011】及び【0013】に照らせば、乙6発明の表示回路21が画像メモリ22に書き込むのは、電話番号や各種の機能デ「ータ」若しくは「通話相手の電話番号や氏名、あるいはメッセージなど」のテキストデータ又は当該テキストデータを変換して生成したビットマップデータであって、無線通信手段が受信した無線信号が伝達する「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップデータ」を中央演算回路とグラフィックコントローラが処理して生成したビットマップデータではない。したがって、乙6発明に前記技術常識を適用したとしても、テキストデータの画面表示に対応した
5 ビットマップデータを画像メモリに書き込み/読み出すとの構成に想到
することができるにとどまる。また、乙6文献の【0014】は、「スクロール操作によって全画像を見る必要がなくなる」としており、乙6発明に前記技術常識を適用することには阻害要因があった。
5 争点3(損害の発生及びその額)について
(原告の主張)
⑴ 被告各製品の実施料相当額
ア 被告は、遅くとも令和2年3月25日から令和5年1月29日までの間に、イ号製品を平均単価9万円で少なくとも10万個販売した。実施料率は少なくとも1%が相当であり、原告がその実施に対して受けるべき金銭の額は9000万円を下らない。イ 被告は、遅くとも令和2年3月27日から令和5年1月29日までの間に、ロ号製品を平均単価9万円で少なくとも5万個販売した。実施料率は少なくとも1%が相当であり、原告がその実施に対して受けるべき金銭の額は4500万円を下らない。ウ 被告は、遅くとも令和2年3月27日から令和5年1月29日までの間に、ハ号製品を平均単価9万円で少なくとも7万個販売した。実施料率は少なくとも1%が相当であり、原告がその実施に対して受けるべき金銭の額は6300万円を下らない。エ 被告は、遅くとも令和2年6月18日から令和5年1月29日までの間に、ニ号製品を平均単価9万円で少なくとも3万個販売した。実施料率は少なくとも1%が相当であり、原告がその実施に対して受けるべき金銭の額は2700万円を下らない。オ 被告は、遅くとも令和2年9月19日から令和5年1月29日までの間に、ホ号製品を平均単価5万円で少なくとも5万個販売した。実施料率は
5 少なくとも1%が相当であり、原告がその実施に対して受けるべき金銭の
額は2500万円を下らない。カ 被告は、遅くとも令和2年10月9日から令和5年1月29日までの間に、ヘ号製品を平均単価5万円で少なくとも7万個販売した。実施料率は少なくとも1%が相当であり、原告がその実施に対して受けるべき金銭の額は3500万円を下らない。キ 被告は、遅くとも令和3年6月25日から令和5年1月29日までの間に、ト号製品を平均単価9万円で少なくとも10万個販売した。実施料率は少なくとも1%が相当であり、原告がその実施に対して受けるべき金銭の額は9000万円を下らない。ク 被告は、遅くとも令和3年6月25日から令和5年1月29日までの間に、チ号製品を平均単価9万円で少なくとも7万個販売した。実施料率は少なくとも1%が相当であり、原告がその実施に対して受けるべき金銭の額は6300万円を下らない。ケ 被告は、遅くとも令和3年9月24日から令和5年1月29日までの間に、リ号製品を平均単価9万円で少なくとも3万個販売した。実施料率は少なくとも1%が相当であり、原告がその実施に対して受けるべき金銭の額は2700万円を下らない。コ 被告は、遅くとも令和3年7月16日から令和5年1月29日までの間に、ヌ号製品を平均単価13万円で少なくとも5万個販売した。実施料率は少なくとも1%が相当であり、原告がその実施に対して受けるべき金銭の額は6500万円を下らない。サ 被告は、遅くとも令和3年10月5日から令和5年1月29日までの間に、ル号製品を平均単価5万円で少なくとも5万個販売した。実施料率は少なくとも1%が相当であり、原告がその実施に対して受けるべき金銭の額は2500万円を下らない。
5 シ 被告は、遅くとも令和3年10月8日から令和5年1月29日までの間
に、ヲ号製品を平均単価5万円で少なくとも7万個販売した。実施料率は少なくとも1%が相当であり、原告がその実施に対して受けるべき金銭の額は3500万円を下らない。ス 被告は、遅くとも令和3年10月14日から令和5年1月29日までの間に、ワ号製品を平均単価5万円で少なくとも3万個販売した。実施料率は少なくとも1%が相当であり、原告がその実施に対して受けるべき金銭の額は1500万円を下らない。セ 被告は、遅くとも令和4年7月15日から令和5年1月29日までの間に、カ号製品を平均単価14万円で少なくとも10万個販売した。実施料率は少なくとも1%が相当であり、原告がその実施に対して受けるべき金銭の額は1億4000万円を下らない。ソ 被告は、遅くとも令和4年7月8日から令和5年1月29日までの間に、ヨ号製品を平均単価14万円で少なくとも7万個販売した。実施料率は少なくとも1%が相当であり、原告がその実施に対して受けるべき金銭の額は9800万円を下らない。タ 被告は、遅くとも令和4年11月18日から令和5年1月29日までの間に、タ号製品を平均単価16万円で少なくとも5万個販売した。実施料率は少なくとも1%が相当であり、原告がその実施に対して受けるべき金銭の額は8000万円を下らない。
⑵ 小括
以上から、特許法102条3項の規定に基づき被告が賠償すべき損害額は、前記⑴の実施料相当額の合計である9億2300万円を下らないが、その一部として1000万円の支払を請求する。
(被告の主張)
否認ないし争う。
5 第4 当裁判所の判断
1 争点2(乙6発明に基づく新規性及び進歩性欠如)について
事案に鑑み、争点2から判断する。
⑴ 本件明細書の記載
本件明細書には、以下の記載がある(甲2)。ア 【技術分野】【0001】本発明は、携帯電話機などの携帯情報通信装置、携帯情報通信装置とともに用いる接続ユニット、及び携帯情報通信装置とともに用いる外部入出力ユニットに関する。イ 【背景技術】【0007】最近は、パソコン向けウェブページを閲覧できる「フルブラウザ機能」又は「PC …サイトビュー機能」を有する携帯電話機が発売されているが、多くの場合、画像を付属ディスプレイの画面水平解像度(縦長QVGAの場合、240画素)に合わせて縮小したり、テキスト部分を画面幅で改行したり、フレーム表示のウェブページについてはフレーム単位での画面イメージを表示したりするなど特殊なレンダリングモードを採用しており、ウェブページの作成者が本来意図したはずの、パソコンの画面イメージとして実現されるレイアウトで表示されるわけではない。また、携帯電話機によっては、パソコンでの画面イメージに近いレイアウトで表示するレンダリングモードを有する場合もあるが、通常、パソコン向けウェブページは、最低でもVGA… サイズ(水平画素数×垂直画素数=640×480画素)の画面で閲覧されることを想定して作成するため、このレンダリングモードでは、水平スクロールを何度も繰り返さなければウェブページの全体を閲覧することができず、したがって、ウェブページの全容を理解することに支障が生じる。【0008】一方、携帯情報通信装置でゲームを楽しむ場合でも、そのゲー
5 ムはグラフィックスがサイズの小さな付属ディスプレイに表示できる程度
の比較的単純なゲームに限定される。…また、付属ディスプレイの画面解像度が最大でもQVGAである携帯電話機でテレビ番組を視聴する場合、できる限り大きな画面で視聴するために横置き(水平画素数×垂直画素数=320×240画素)とすることが通常であるが、その場合でも、テレビ放送が前提とする有効走査線の数(=垂直画素数。アナログテレビ放送の場合、480本)は付属ディスプレイの画面垂直解像度(240画素)より大きいため、画素を間引いて表示する必要がある。特に、デジタルテレビ放送においては、有効走査線数(垂直画素数)に加えて、有効水平画素数も規定されているが、最も解像度の小さい480i方式の場合でも水平画素数×垂直画素数=720×480画素、いわゆる「フルハイビジョン方式」である1080i方式においては1920×1080画素であって、いずれにせよ、付属ディスプレイの画面解像度が最大でもQVGAである携帯電話機では、十分なテレビチューナ機能及び表示機能を有するテレビジョン受像機(以下、テレビ受像機と略記する)によってテレビ放送信号を適切に処理した場合に表示される本来の解像度を有する画像(以下、テレビ放送における本来画像と略記する)を全画面表示することはできず、それより解像度の低い画質の劣った画像しか表示できない。【0010】ところが、このような方法において使用されるパソコン…を所有するために要するコストは、携帯電話機をはじめとする携帯情報通信装置自体を所有するために要するコストより、通常は大きい。このため、データ通信やデータ処理のニーズが電子メールの送受信やウェブページの閲覧等に限られるような多数のユーザーにとって、上記のように、長文の電子メールを読んだり、パソコン向けウェブページを閲覧したりする際の、付属ディスプレイの画面サイズ・解像度が小さいことに起
5 因する不便さを解消するためだけに別途パソコンを所有することは、経済
的に不合理である。一方、携帯情報通信装置のデータ処理手段は、…付属ディスプレイに画像を表示するための表示データ処理機能については、表示画面が小さいということを除けば、パソコンにおけるCPU等のプロセッサの機能に匹敵する。それにもかかわらず、上記のようなパソコンと携帯情報通信装置との使い分けを行うとすれば、同種のものに二重投資を行うことになり、結果として少なくとも一方の稼働率の低下をもたらすため、資源の効率的な利用の観点からも好ましくない。【0013】…携帯情報通信装置の携帯性を損なわないために付属ディスプレイのサイズを現状通りに維持したままで、しかもパソコンを併用することなく、長文の電子メールやパソコン向けウェブページ、娯楽性の高いゲーム、さらにはテレビ番組の映像などを大きな画面で表示すること、特に、長文の電子メールについては、垂直スクロールを繰り返すことなく読めること、パソコン向けウェブページについては、パソコンでの画面イメージに近いレイアウトで表示し、しかも水平スクロールを繰り返すことなく閲覧できること、テレビ番組については、テレビ放送における本来画像を全画面表示することが課題とされている。【0014】このような課題を解決するため、携帯情報通信装置に、該携帯情報通信装置の付属ディスプレイよりも画面が大きい外部ディスプレイ装置(以下、大画面外部ディスプレイ装置と略称する)を接続することにより、大画面外部ディスプレイ装置で画像を表示する技術がいくつか開示されており、そして、それらの技術は、以下の3つのタイプに分類される。
第一種:携帯情報通信装置と大画面外部ディスプレイ装置を何らかの接続
ユニットを介して接続するタイプ
第二種:携帯情報通信装置と大画面外部ディスプレイ装置は直接的に接続
5 されるが、その代わり、大画面外部ディスプレイ装置としては、携帯情
報通信装置から受信した表示データに各種の処理を施す機能を有する画像表示装置が使用されるタイプ
第三種:携帯情報通信装置と大画面外部ディスプレイ装置は直接的に接続
され、しかも、大画面外部ディスプレイ装置としては、携帯情報通信装置との間での何らかのインターフェース手段は備えていることを除けば、テレビモニタ等の汎用的なディスプレイが用いられるタイプ【0015】このうち、第一種の技術…においては、携帯情報通信装置とは別にパソコンを用いる必要はないが、その代わりに、別途、…何らかの表示データ処理手段を備えた接続ユニットが必要である。…【0017】一方、第二種の技術…においては、パソコンやそれに準ずるような接続ユニットは不要であるが、今度は、大画面外部ディスプレイ装置として、テレビ受像機のような汎用的なディスプレイ装置をそのままでは使用できず、…表示データ処理手段を備えた画像表示装置を使用しなければならない。…【0019】それに対して、第三種の技術は、接続ユニットや特殊な画像処理装置を使用せず、携帯情報通信装置と汎用的な大画面外部ディスプレイ装置だけで構成される。このため、一般的にいって、「不合理な二重投資」や「非効率な資源利用」の問題が、少なくとも第一種の技術や第二種の技術よりは少ないと考えられる。【0020】この第三種の技術として既に実用化されているものに、いわゆる「テレビ(TV)出力機能」又は「AV出力機能」を有する携帯電話機がある。…しかし、その場合にテレビモニタに表示される画像の解像度は、付属ディスプレイの画面解像度(最大でもQVGA)と同じであるため、該画像は、テレビモニタの中央部に小さく表示されるか、画質の粗い拡大画像が全画面に表示されるかのいずれかである。
5 【0021】…仮に、これらの携帯電話機が「フルブラウザ機能」又は「PC
サイトビュー機能」を有し、閲覧したパソコン向けウェブページをテレビモニタで閲覧できるようになったとしても、それはあくまでも付属ディスプレイに表示される画面イメージを拡大表示するだけであって、画面イメージの解像度が増えるわけではない。…【0022】したがって、上記の課題を解決するためには、「TV出力機能」又は「AV出力機能」を有する携帯電話機のように、ただ単に付属ディスプレイに表示される画像を大画面外部ディスプレイ装置に拡大表示するという機能を有するに留まらず、付属ディスプレイの画面解像度よりも解像度が大きい画像を大画面外部ディスプレイ装置に表示する機能を有する携帯情報通信装置を提供することが必要である。これにより、付属ディスプレイでは自らの画面解像度に相当する部分だけを切り出した部分画像しか表示できなかったり、画素を間引くことによって画質を落とした全体画像しか表示できなかったりした画像を、大画面外部ディスプレイにおいては、その本来の解像度のままの全体画像として表示できるようになる。…ウ 【発明が解決しようとする課題】【0031】本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、…携帯情報通信装置に大画面外部ディスプレイ装置を接続することにより、…該大画面外部ディスプレイ手段において、付属ディスプレイの画面解像度よりも解像度が大きい画像を表示すること、特に、長文の電子メールについては、垂直スクロールを繰り返すことなく読めること、パソコン向けウェブページについては、パソコンでの画面イメージに近いレイアウトで表示し、しかも水平スクロールを繰り返すことなく閲覧できること、テレビ番組については、テレビ放送における本来画像を表示することを、該大画面外部ディスプレイ手段向けの専用の表示データ生
5 成手段を、付属ディスプレイに画像を表示するためにもともと必要である
表示データ生成手段(以下、付属表示データ生成手段と略記する)とは別個に使用することなく、大画面ディスプレイ手段を含む周辺装置、及び/又は、大画面ディスプレイ手段が接続される周辺装置と間のインターフェース手段の追加と、付属表示データ生成手段への若干の機能追加だけで実現する携帯情報通信装置を提供する点にある。…さらに、携帯情報通信装置とともに用いられ、自らに付属する大画面外部ディスプレイパネルに、該携帯情報通信装置の付属ディスプレイの画面解像度よりも解像度が大きい画像を表示する外部入出力ユニットを提供する点にある。エ 【課題を解決するための手段】【0032】…本「明細書」及び「特許請求の範囲」でいう「高解像度」とは、表示信号等の本来解像度が前記ディスプレイパネルAの画面解像度(水平画素数×垂直画素数)より大きいことを意味し、特に、「高解像度外部表示信号」とは、本来解像度が前記ディスプレイパネルAの画面解像度より大きい外部表示信号を意味する。また、表示信号等の「本来画像」とは、十分な大きさの画面解像度を有するディスプレイ手段、又は、データ処理手段と十分な大きさの画面解像度を有するディスプレイ手段とが、該表示信号等を受信して適切に処理することにより表示される本来の画像を意味し、「本来解像度」とは「本来画像」の解像度を意味する。オ 【発明の効果】【0078】第1…の発明の携帯情報通信装置においては、携帯情報通信装置のインターフェース手段A1に高解像度外部ディスプレイ手段を含む周辺装置、及び/又は、外部ディスプレイ手段が接続される周辺装置を接続して高解像度外部表示信号を送信することにより、該高解像度外部ディスプレイ手段の画面において、携帯情報通信装置に付属するディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する高解像度画像を表示すること
5 ができる。これにより、付属ディスプレイパネルにおいては、その画面解
像度に相当する部分だけを切り出した部分画像しか表示できなかったり、画素を間引くことによって画質を落とした全体画像しか表示できなかったりしたような画像を、高解像度外部ディスプレイ手段においては、その本来の解像度のままの全体画像として表示できるようになる。…従来の技術のように、携帯情報通信装置に備えられた表示データ処理手段とは別に、外部ディスプレイ手段を含む周辺装置向けの専用の表示データ生成手段を設ける必要はなく、「不合理な二重投資」や「非効率な資源利用」の問題は回避できる。
⑵ 乙6文献の記載
乙6文献には、以下の記載がある(乙6)。ア 【発明の属する技術分野】【0001】本発明は、無線通信回線を介して他の電話と通話を行う携帯電話機に関する。イ 【従来の技術】【0002】携帯電話機は携帯性、汎用性を確保するためできるだけ軽量化、小形化されることが望ましい。ところが、このような小形化が指向される携帯電話機において、液晶表示パネルの画面を必要以上に小形化することは望ましくない。この液晶表示画面には、少なくとも、…電話を利用するために必要な種々のメッセージを表示する必要があるからである。【0003】また、今日では、携帯電話機に対して、電話機能以外に種々の機能、例えばゲーム機能や携帯電話機本体のメモリからまたはウェブサイトから特定の画面を取り込んで、使用目的のテキストや画像に重ねて表示する機能などが付加されて、一つの表示画面に表示すべき情報も多くなってきている。従って、できるだけ多くの情報を、スクロールせずに一つの画面上で同時に表示するためには、液晶表示画面はできるだけ大きくする
5 ことが望まれている。
ウ 【発明が解決しようとする課題】【0004】しかしながら、携帯電話機は、電話機本体の携帯性を確保する観点から液晶表示画面を必要以上に大きくすることができず、このため、表示すべき表示データのコンテンツが携帯電話機に付属の簡易型液晶表示パネルでは対応できなくなり、表示データのすべてを一度に表示しきれないという課題があった。【0005】本発明はかかる従来の課題を解決するものであり、表示すべき表示データのコンテンツが簡易型液晶表示パネルに表示しきれない場合には、外部接続されたCRT等の大型ディスプレイや内部に設けられた映写装置によりすべての表示データを拡大して分り易く表示することができる携帯電話機を提供することを目的とする。エ 【課題を解決するための手段】【0006】上記目的達成のために、請求項1に記載の発明は、電話番号および各種情報が表示される小型表示パネルを有し、無線通信回線を介して他の電話と通話を行う携帯電話機において、表示すべき表示データを外部に接続される大型表示装置に送出可能な表示制御回路およびモニタ端子を設けたことを特徴とする…。オ 【発明の実施の形態】【0008】…図1は本発明の一実施形態による携帯電話機の構成を示すブロック図であり、同図において、CPU(中央処理装置)11は、電話機能プログラムを実行することにより、携帯電話機各部の動作を制御する。また、通信部12は、アンテナ12aを有し、送信信号の変調および受信信号の復調機能を有する。データ読み書き用のRAM(ランダムアクセスメモリ)13は、ユーザ設定データなどを格納するメモリである。【0009】また、ROM(リードオンリメモリ)14は、CPU11が実
5 行する送信や着信の各種電話機能プログラムなどを格納している。…
【0010】さらに、操作部20は「0」~「9」のテンキーやファンクションキー等から構成され、電話番号や各種の機能データを入力可能にしている。表示部としての簡易型液晶表示パネル23は電話機能のメニューや、テンキーやファンクションキーなどの入力操作に応じたデータの表示を行う。【0011】また、表示制御回路21は、CPU11の制御下で、入力された表示データを画像メモリ22に記憶させるとともに、該画像メモリ22に記憶させた表示データを電話機本体に設けられた簡易型液晶表示パネル23に表示させる。また、本実施形態では、特に、表示制御回路21が、前記表示すべき表示データのコンテンツが簡易型液晶表示パネル23に対応する場合、または、表示データの送出先が簡易液晶表示パネル23を指示する場合には、該簡易型液晶表示パネル23に表示データを送らせ、一方、表示すべき表示データのコンテンツがモニタ端子25に接続されたCRT表示器24に対応する場合、または、表示データの送出先がCRT表示器24を指示する場合には、モニタ端子25へ表示データを送らせるようにしている。【0013】一方、このような携帯電話機において、CPU11は、通話前において、RAM13に登録してある通話相手の電話番号や氏名、あるいはメッセージなどを読み出し、表示制御回路21へ出力する。表示制御回路21はこれらのデータを一旦画像メモリ22に記憶させた後、簡易型液晶表示パネル23に表示させる。また、この表示制御回路21は前記のような液晶表示パネルの表示モードのほかCRT表示装置の表示モードを持ち、電話番号や簡単なメッセージなどのように表示すべき情報量が少なく、全てを同時に表示できる場合には、つまり表示すべき表示データのコンテンツが簡易型液晶表示パネル23に対応する場合には、液晶表示モードに
5 おいて簡易型液晶表示パネル23に表示データを送って表示させる。また、
外部から取り込んだ画像情報などのように一度に表示すべきデータ量が多く、簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できない表示データにあっては、つまり表示データのコンテンツが簡易型液晶表示パネル23に対応しない場合には、画面表示領域の大きいCRT表示器24に表示できるように、その表示データ(ドットデータ)をモニタ端子25へ同期信号と共に送出する。【0014】従って、画像を形成する画面上の表示データ量が多い場合であって、簡易型液晶パネル23では表示内容が明瞭でない場合には、CRT表示器24を使うことで必要とする表示データのすべてを欠落なく表示でき、従来のように、スクロール操作によって全画像を見る必要がなくなる。【0015】また、外部から受信した情報量の多い表示データを表示領域の狭い簡易型液晶パネルで表示するのが困難な場合は、さらに、以下のような映写装置を携帯電話機の本体に設けておくことで、その困難を解決できる。…カ 【発明の効果】【0016】以上のように、請求項1に記載の発明によれば、表示すべき表示データのコンテンツが小型表示パネルに対応する場合には、該小型表示パネルに表示データを送り、一方、表示データのコンテンツが大型表示装置に対応する場合には、大型表示装置が接続されるモニタ端子へ表示データを送る表示制御回路を設けたので、携帯電話機に固有の簡易型液晶表示パネルでは細部まで表示できなかったすべての表示データも、CRT表示器を表示制御回路に接続するだけで分り易く表示できるという効果が得られる。キ 【図1】
⑶ 乙6発明の認定
5 ア 前記⑵によれば、乙6文献には、以下の発明(乙6発明)が記載されて
いるものと認められる。2a 各種データの入力を可能とし、入力されたデータをCPU11に送信する操作部20と;2b’ アンテナ12aを有し、送信信号の変調及び受信信号の復調機能を有し、CPU11から制御信号を受信する通信部12と;2c CPU11が実行する各種プログラムを格納するROM14及びユーザ設定データなどを格納するRAM13と;2d1 ROM14に格納されたプログラムに基づき、入力された表示データ(外部から取り込んだ画像情報)を、ドットデータとして簡易型液晶表示パネル23やCRT表示器24等の大型ディスプレイに送信するよう制御するCPU11と;2d2 CPU11の制御下で、入力された表示データを画像メモリ22に記憶させるとともに、画像メモリ22に記憶させた表示データ(ドッ
5 トデータ)を電話機本体に設けられた簡易型液晶表示パネル23又はC
RT表示器24等の大型ディスプレイに接続されたモニタ端子25に送信する表示制御回路21と;2e 表示制御回路21から送られてきた表示データを表示する簡易型液晶表示パネル23と;2f CRT表示器24等の大型ディスプレイに接続されており、表示制御回路21から送られてきた表示データをCRT表示器24等の大型ディスプレイに送信するモニタ端子25とを備え、2g’ ’1 外部から取り込まれた簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できない画像情報について、CPU11が、ドットデータとして簡易型液晶表示パネル23又はCRT表示器24等の大型ディスプレイに送信するよう表示制御回路21を制御し、2g’2 CPU11の制御下で、表示制御回路21が、表示データを画像メモリ22に記憶させるとともに、画像メモリ22に記憶させた表示データ(ドットデータ)を簡易型液晶表示パネル23又はCRT表示器24等の大型ディスプレイに接続されたモニタ端子25に送信して、簡易型液晶表示パネル23又はCRT表示器24等の大型ディスプレイに画像を表示する機能を有する、携帯電話機において、2h’ ’1 外部から受信した情報量の多い表示データを携帯電話機が簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できない画像情報を表示する機能を実現する場合に、表示制御回路21は、画像メモリ22に記憶させた表示データ(ドットデータ)を簡易型液晶表示パネル23に送信し、簡易型液晶表示パネル23に、スクロール操作によらなければ全画像を見られないように表示する機能と、2h’2 画像メモリ22に記憶させた表示データ(ドットデータ)をCRT表示器24等の大型ディスプレイに接続されたモニタ端子25に送
5 信し、CRT表示器24等の大型ディスプレイに、簡易型液晶表示パネ
ル23では明瞭に表示できない画像情報を、欠落なく(スクロール操作することなく)表示する機能と、を実現し、2i モニタ端子25は、表示制御回路21から受信した表示データ(ドットデータ)をCRT表示器24等の大型ディスプレイに表示できるようにして送信する機能を有する、2j ことにより、CRT表示器24等の大型ディスプレイに、簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できない画像情報を、欠落なく(スクロール操作することなく)表示できるようにした、2k 携帯電話機イ 乙6発明の認定についての補足(ア) 前記アの2a、2c、2e、2f、2i及び2kの構成については、当事者間に争いがない。(イ) 2b’ の構成について乙6文献には、通信部12が、アンテナ12aを有し、送信信号の変調および受信信号の復調機能を有し(【0008】、CPU11とバスを)介して接続されていること 【図1】 が記載されているから、( ) 上記2b ’の構成を有していることが認められ、これに反する原告及び
(被告の主張)
は、いずれも採用することができない。(ウ) 「画像メモリ22」へのドットデータの記憶及び送信される「ドットデータ」について(2d1、2d2、2g’ ’1、2g’2、2h’ ’1及び2h’2の構成)原告は、①2d2、2g’2、2h’ ’1及び2h’2の構成における「画像メモリ22」への「ドットデータ」の記憶について、乙6文献には、「電話番号や各種の機能データ」 【0010】( )ないし「RAM13に登録してある通話相手の電話番号や氏名、あるいはメッセージ」(【0
5 013】)を画像メモリ22に記憶することの記載はあるが、ドットデー
タを記憶することの記載はなく、「画像メモリ」はいわゆるVRAMではないこと、②2d1、2d2、2g’ ’1、2g’2、2h’ ’1及び2h’2の構成における「表示データ(ドットデータ)」の送信について、乙6発明の表示データのうち、表示制御回路21がCRT表示器24等の大型ディスプレイに接続されたモニタ端子25に送信する表示データはドットデータであるものの(【0013】、それ以外の表示データ)は、テキストデータであってドットデータではないことを主張する。そこで検討するに、乙6文献には、表示制御回路21は、CPU11の制御下で、入力された表示データを画像メモリ22に記憶させ、簡易型液晶表示パネル23又はモニタ端子25に表示データを送らせること(【0011】、) 表示制御回路21は「RAM13に登録してある通話相手の電話番号や氏名、あるいはメッセージなど」を一旦画像メモリ22に記憶させた後、簡易型液晶表示パネル23に表示させること 【001(3】)が記載されている。これによれば、乙6発明において、CPU11は、表示制御回路21が、簡易型液晶表示パネル23やCRT表示器24等の大型ディスプレイに接続されたモニタ端子25に送信するに際して、画像メモリ22に表示データを一旦記憶させるよう制御し、画像メモリ22は、表示データを一旦記憶するものであると認められる。情報処理端末の画面にデータを表示するに当たり、情報処理端末にVRAMを設け、表示データ(ドットデータ)を一時的にVRAMに記憶させる必要があることは技術常識である(弁論の全趣旨)ところ、前述した画像メモリ22の機能に加え、「画像メモリ」との名称に照らせば、画像メモリ22は、画像データであるドットデータを記憶するメモリであって、VRAMに相当するものと解することができる。そして、乙6文献に、「RAM13に登録してある通話相手の電話番号
5 や氏名、あるいはメッセージなど」以外の表示データについて、表示制
御回路21が表示データを画像メモリ22に一旦記憶させるとの構成に代わる構成を採用していることを示唆する記載は見当たらないから、 R「AM13に登録してある通話相手の電話番号や氏名、あるいはメッセージなど」以外の表示データについても、ドットデータとして画像メモリ22に記憶する構成が開示されているものといえる。さらに、乙6文献において、簡易型液晶表示パネル23に表示する表示データをドットデータではないデータとして、記憶メモリ22に記憶させ、簡易型液晶表示パネル23に送信することを示唆する記載も見当たらないから、ドットデータを簡易型液晶表示パネル23に送信する構成が開示されているものといえる。以上によれば、乙6文献は、表示データを一旦画像メモリに記憶させるため、表示制御回路21が、画像メモリ22に対してドットデータを記憶させ、簡易型液晶表示パネル23やCRT表示器24等の大型ディスプレイに接続されたモニタ端子25にこれを送信するとの構成を開示しているものといえるから、前記アの2d2、2g’2、2h’ ’1及び2h’2のとおり、「画像メモリ22」には「ドットデータ」が記憶され、前記アの2d1、2d2、2g’ ’1、2g’2、2h’ ’1及び2h’2のとおり、「表示データ(ドットデータ)」が送信されることを認めることができ、
(原告の主張)
は採用することができない。(エ) 「簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できない画像情報」の表示について原告は、乙6発明は、「簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できない画像情報」を簡易型液晶表示パネル23に表示する構成(2h’ ’1の構成)を有しないと主張する。しかしながら、乙6文献には、画像を形成する画面上の表示データ量
5 が多い場合であって、簡易型液晶表示パネル23では表示内容が明瞭で
ない場合には、CRT表示器24を使うことで必要とする表示データのすべてを欠落なく表示でき、従来のように、スクロール操作によって全画面を見る必要がなくなること 【0014】 、( ) 表示データのコンテンツが大型表示装置に対応する場合には、大型表示装置が接続されるモニタ端子へ表示データを送る表示制御回路を設けたので、携帯電話機に固有の簡易型液晶表示パネルでは細部まで表示できなかったすべての表示データも、CRT表示器を表示制御回路に接続するだけで分り易く表示できるという効果が得られること(【0016】)が記載されている。これらの記載は、画像を形成する画面上の表示データ量が多い場合、簡易型液晶表示パネル23に、スクロール操作によらなければ全画像を見られないように表示すること、その場合にも、CRT表示器24のような大型表示装置を使用すれば、すべての表示データを欠落なく表示できることをいうものと解すべきであり、表示データを簡易型液晶表示パネル23に表示しないことを示すものとは解し得ない。したがって、
(原告の主張)
は採用することができない。(オ) 「簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できない画像情報」の受信について被告は、乙6発明が「通信部12が、簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できない画像情報を受信して復調の上、CPU11に送信」する構成(2g’1)を有すると主張する。しかしながら、乙6文献には、「外部から取り込んだ画像情報などのように一度に表示すべきデータ量が多く、簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できない表示データ」を「外部から取り込」むこと(【0013】)及び「情報量の多い表示データ」を「外部から受信」すること(【0015】 が記載されているものの、) 通信部12が無線信号として当該表
5 示データを受信することは記載されていない。
そうすると、乙6発明においては、簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できない画像情報を外部から取り込むとの構成が開示されているものの、通信部12が当該画像情報を受信する無線信号を受信するか否かは明らかでないというべきであり、
(被告の主張)
は採用することができない。
⑷ 本件発明と乙6発明との一致点及び相違点
ア 本件発明は、本件特許の特許請求の範囲の記載のとおりであるところ、乙6発明の2a、2c、2e、2f、2i及び2kの構成が、本件発明の構成要件A、C、E、F、I及びKと一致することには争いはない。そして、前記⑴~⑶によれば、「CPU11」が「中央演算回路」に、「通信部12」が「無線通信手段」に、「ROM14及びRAM13」が「記憶手段」に、「簡易型液晶表示パネル23」が「ディスプレイ手段」に、「CRT表示器24等の大型ディスプレイ」が「外部ディスプレイ手段」に、「画像メモリ22」が「単一のVRAM」に、「表示制御回路21」が「グラフィックコントローラ」に、「モニタ端子25」が「インターフェース手段」に、それぞれ相当するということができる。また、乙6文献において、「簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できない表示データ」について、外部から取り込んだ画像情報などのように一度に表示すべきデータ量が多く、表示データコンテンツが簡易型液晶表示パネル23に対応せず 【0013】、( ) 画像を形成する画面上の表示データ量が多い(【0014】)場合であり、このような場合に、従来は、「スクロール操作によって全画像を見る必要が」あったこと(【0014】)が記載されているといえるところ、これらの記載によれば、乙6発明の「簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できない画像情報」は、表示データの解像度が簡易型液晶パネル23の解像度(画素数)より大きい画像情報
5 であると解するのが相当である。そうすると、乙6発明の、
「簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できない画像情報」は、本件発明の「本来解像度が前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」に相当するということができる。以上によれば、乙6発明の2jの構成は、本件発明の構成要件Jと一致するということができる。これに対し、構成要件B、D及びG’に関し、乙6発明において、①通信部12が、CPU11に信号の送信を行うこと、②CPU11が、通信部12からデジタル信号を受信すること、③通信部12が、簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できない画像情報を伝達する無線信号を受信し、デジタル信号に変換の上、CPU11に送信し、CPU11が当該デジタル信号を受信することは明らかではない。また、構成要件H’に関し、乙6発明では、簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できない画像情報を簡易型液晶表示パネル23に表示するに際し、簡易型液晶表示パネル23の画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータを読み出すかが明らかでない。イ そうすると、本件発明と乙6発明の相違点は次のとおりである。(ア) 相違点①本件発明は、①無線通信手段が、無線信号を受信してデジタル信号に変換の上、中央演算回路に送信し(構成要件B)、②中央演算回路が、無線通信手段から受信したデジタル信号に必要な処理を行い、リアルタイムでデジタル表示信号を生成し(構成要件D)、③無線通信手段が「本来解像度がディスプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」を伝達する無線信号を受信してデジタル信号に変換の上、中央演算回路に送信し、中央演算回路が当該デジタル信号を受信して、当該デジタル信号が伝達する画像データを処理する(構成要件G’のに対し、) 乙6発明は、
5 簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できない画像情報を外部から
取り込んでいるものの、通信部12が、当該画像情報を伝達する無線信号を受信し、デジタル信号に変換の上、CPU11に送信し、CPU11が当該デジタル信号を受信するか明らかでない点(2b’ 2d1及び、2g’ ’1)。(イ) 相違点②本件発明は、 本来解像度がディスプレイパネルの画面解像度より大き「い画像データ」をディスプレイ手段に表示する場合に、「ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出す(構成要件H’)のに対し、乙6発明は、簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できない画像情報を簡易型液晶表示パネル23に表示するに際し、簡易型液晶表示パネル23の画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータを読み出すか明らかでない点(2h’ ’1)。
⑸ 相違点①に係る構成の容易想到性について
ア 技術常識特開2002-27038号公報(乙25。平成14年1月25日公開)の【0039】~【0045】及び【図4】には、携帯端末装置において、受信部204がチューナー55を有し、放送局から配信されたゲーム情報内容D1を受信し、チューナー55ではアンテナ41により受信された地上波放送信号からゲーム情報内容D1のデータ列を抽出してシステムバス79に送ること、受信部204は、テレビ放送電波の複数のチャネルの電波のうち、所望のチャネルを受信すること、データ放送番組に係る映像やゲーム情報内容D1などは、垂直ブランキングインターリービングを利用して多重化され、画像を含む各種デジタルコンテンツが配信されること、システムバス79にはデータ処理部35が接続され、データ処理部35は、
5 デコード処理後のデータ放送番組に係る映像やゲーム情報内容D1などを
処理することが記載されている。特開2001-245341号公報(乙28。平成13年9月7日公開)の【0014】【0025】~【0029】 【図1】及び【図4】には、、 、カーナビゲーション装置1に組み込まれた無線通信装置2が、受信電波を分波する分波器21、画像データ処理部28などからなり、Bluetoothアンテナ3で受信したサーバからの信号が、分波器21により分波して取り出されるなどして、ベースバンド処理部24に送られること、ベースバンド処理部24において復号されたデータが画像データの場合は、画像データ処理部28に送出されて、画像データ処理部28で画像処理されることが記載されている。特開2004-214766号公報(乙11。平成16年7月29日公開)の【0015】~【0019】及び【図1】には、携帯電話機において、送受信部11は、アンテナ11aを介して電波を送受信することで基地局との双方向通信を行い、画像出力部17は、入力された情報(静止画や動画、文字など)を外部表示装置2で読取可能な画像信号方式(例えば、ビデオ信号形式)に変換して出力するインターフェイス部であり、制御部10は、外部表示装置2を用いてテレビ電話を行う場合、送受信部11を介して通話相手との双方向通信を行い、画像情報の交換を行うこと、このとき、制御部10は、通話相手から送られてくる画像情報を画像出力部17に送出し、画像出力部17は、制御部10からの入力情報に所定の信号処理を施して外部表示装置2に出力することが記載されている。以上によれば、通信装置を構成する通信部において、画像情報を伝達する無線信号を受信し、デジタル信号に変換してCPUに送信し、CPUが当該デジタル信号を受信することは、本件特許の優先日当時における技術常識であったと認められる。
5 イ 容易想到性
乙6発明の通信部12は、 アンテナ12a及び受信信号の復調機能を有している(2b’。そうすると、本件特許の優先日当時、乙6発明に接し)た当業者にとって、乙6発明に前記アの技術常識を適用し、簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できない画像情報を外部から取り込むための構成として、通信部12が当該画像情報を伝達する無線信号を受信してデジタル信号に変換の上、CPU11に送信し、CPU11が当該デジタル信号を受信するとの相違点①に係る構成を想到することは容易であったということができる。
⑹ 相違点②に係る構成の容易想到性について
ア 技術常識特開2000-66649号公報(乙13。平成12年3月3日公開)の【0008】【0037】【0038】及び【0044】には、携帯情、 、報処理装置である携帯機器2において、アプリケーションプログラム35が、異なる解像度を持つ内部表示装置22と外部表示装置24において描画させるイメージ、すなわち内部表示イメージと外部表示イメージを、それぞれの表示装置の解像度に合わせて、表示メモリ18上にライトし、表示コントローラ20は、アプリケーションプログラム35によってライトされた内部表示イメージと外部表示イメージに応じて、内部表示装置22と外部表示装置24に対して、それぞれに応じた描画イメージを表示させることが記載されている。また、特開2000-13776号公報(乙44。平成12年1月14日公開)の【0003】【0041】【0069】及び【0080】並び、 、に【図8】には、可搬使用を可能とした小型の動画像通信装置において、内部表示器24は、例えば、QCIF信号を表示するのに必要な画素数(180×144)を有し、表示制御部23の制御の下に画像を表示し、表示
5 制御部23は、受信動画像データのフォーマットがCIFであった場合に
は、CIFからQCIFへのフォーマット変換を、CIF動画像データの画素を間引く処理により行い、CIFからQCIFにフォーマット変換された動画像を内部表示器24に表示させることが記載されている。さらに、特開2003-122339号公報(乙41。平成15年4月25日公開)の【0005】【0032】【0040】【0048】~【0、 、 、050】【0054】並びに【図3】【図5】及び【図11】には、移動、 、通信端末において、入力された静止画像データの表示サイズがLCD(表示器)34の表示領域サイズより大きい場合、表示しようとする画像データの横方向の表示サイズがLCD34の横方向の表示領域サイズに対応する大きさになるように縮小処理が行われ、この縮小処理をされた画像データがLCD34に表示されること、その例として、QCIF(176×144ドット)からなる画像データの表示サイズを、SubQCIF(128×96ドット)に相当する表示領域サイズに対応させるために、8/11倍に縮小処理すること、CIF(352×288ドット)からなる画像データの表示サイズを、SubQCIF(128×96ドット)に相当する表示領域サイズに対応させるために、4/11倍に縮小処理することが記載されている。以上によれば、携帯端末において、表示しようとする画像データの解像度が表示パネルの画面解像度より大きい場合に、表示パネルと同じ解像度の画像データを読み出し、当該データを伝達するデジタル表示信号を送信し、これを表示パネルに表示させることは、本件特許の優先日当時における技術常識であったと認められる。イ 容易想到性について乙6発明において、簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できない画像情報を表示するに当たり、表示制御回路21は、画像メモリ22に記
5 憶させた表示データ(ドットデータ)を簡易型液晶表示パネル23に送信
し、簡易型液晶表示パネル23に表示する機能を有する(2h’ ’1)。そうすると、本件特許の優先日当時、乙6発明に接した当業者にとって、乙6発明に前記アの技術常識を適用し、簡易型液晶表示パネル23では明瞭に表示できない画像情報を簡易型液晶表示パネル23に表示するに当たり、簡易型液晶表示パネル23の画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータを読み出すという相違点②に係る構成を想到することは容易であったということができる。
2 小括
原告のその余の主張も上記判断を左右するものではなく、本件特許は、進歩性を欠き、特許無効審判により無効にされるべきものと認められる(特許法123条1項2号、29条2項)から、原告は、被告に対し、本件特許権を行使することができない(同法104条の3第1項)。
第5 結論
以上によれば、その余の点について判断するまでもなく、原告の請求は理由がないから、これを棄却することとして、主文のとおり判決する。東京地方裁判所民事第46部裁判長裁判官 髙 橋 彩裁判官勝又来未子は転補のため、裁判官吉川慶は退官のため、いずれも署名押印することができない。裁判長裁判官 髙 橋 彩別紙被告製品目録
1 イ号製品 スマートフォン「AQUOS R5G SH-51A」
5 2 ロ号製品 スマートフォン「AQUOS R5G SHG01」
3 ハ号製品 スマートフォン「AQUOS R5G(SoftBank)」
4 ニ号製品 スマートフォン「AQUOS R5G(Rakuten)」
5 ホ号製品 スマートフォン「AQUOS zero5G basic DX SHG02」
6 ヘ号製品 スマートフォン「AQUOS zero5G basic(SoftBank)」
7 ト号製品 スマートフォン「AQUOS R6 SH-51B」
8 チ号製品 スマートフォン「AQUOS R6(SoftBank)」
9 リ号製品 スマートフォン「AQUOS R6(SIM フリー)」
10 ヌ号製品 スマートフォン「Leitz Phone 1」
11 ル号製品 スマートフォン「AQUOS zero6 SHG04」
12 ヲ号製品 スマートフォン「AQUOS zero6(SoftBank)」
13 ワ号製品 スマートフォン「AQUOS zero6(Rakuten)」
14 カ号製品 スマートフォン「AQUOS R7 SH-52C」
15 ヨ号製品 スマートフォン「AQUOS R7(SoftBank)」
16 タ号製品 スマートフォン「Leitz Phone 2」
以上別紙特許請求の範囲(本件訂正前)【請求項1】
5 ユーザーがマニュアル操作によってデータを入力し、該入力データを後記中央演
算回路へ送信する入力手段と;無線信号を受信してデジタル信号に変換の上、後記中央演算回路に送信するとともに、後記中央演算回路から受信したデジタル信号を無線信号に変換して送信する無線通信手段と;後記中央演算回路を動作させるプログラムと後記中央演算回路で処理可能なデータファイルとを格納する記憶手段と;前記入力手段から受信したデータと前記記憶手段に格納されたプログラムとに基づき、前記無線通信手段から受信したデジタル信号に必要な処理を行い、リアルタイムでデジタル表示信号を生成するか、又は、自らが処理可能なデータファイルとして前記記憶手段に一旦格納し、その後読み出した上で処理する中央演算回路と、該中央演算回路の処理結果に基づき、単一のVRAMに対してビットマップデータの書き込み/読み出しを行い、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を後記ディスプレイ制御手段又は後記インターフェース手段に送信するグラフィックコントローラと、から構成されるデータ処理手段と;画面を構成する各々の画素が駆動されることにより画像を表示するディスプレイパネルと、前記グラフィックコントローラから受信したデジタル表示信号に基づき前記ディスプレイパネルの各々の画素を駆動するディスプレイ制御手段とから構成されるディスプレイ手段と;外部ディスプレイ手段を備えるか、又は、外部ディスプレイ手段を接続するかする周辺装置を接続し、該周辺装置に対して、前記グラフィックコントローラから受信したデジタル表示信号に基づき、外部表示信号を送信するインターフェース手段と;を備える携帯情報通信装置において、前記グラフィックコントローラは、前記携帯情報通信装置が「本来解像度がディ
5 スプレイパネルの画面解像度より大きい画像データ」を処理して画像を表示する場
合に、前記単一のVRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記ディスプレイ制御手段に送信する機能と、前記単一のVRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記インターフェース手段に送信する機能と、を実現し、前記インターフェース手段は、前記グラフィックコントローラから受信した「ビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を、デジタルRGB、TMDS、LVDS(又はLDI)及びGVIFのうちのいずれかの伝送方式で伝送されるデジタル外部表示信号に変換して、該デジタル外部表示信号を前記周辺装置に送信する機能を有する、ことにより、前記外部ディスプレイ手段に、「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像」を表示できるようにした、ことを特徴とする携帯情報通信装置。以上別紙特許請求の範囲【請求項1】
5 ユーザーがマニュアル操作によってデータを入力し、該入力データを後記中央演
算回路へ送信する入力手段と;無線信号を受信してデジタル信号に変換の上、後記中央演算回路に送信するとともに、後記中央演算回路から受信したデジタル信号を無線信号に変換して送信する無線通信手段と;後記中央演算回路を動作させるプログラムと後記中央演算回路で処理可能なデータファイルとを格納する記憶手段と;前記入力手段から受信したデータと前記記憶手段に格納されたプログラムとに基づき、前記無線通信手段から受信したデジタル信号に必要な処理を行い、リアルタイムでデジタル表示信号を生成するか、又は、自らが処理可能なデータファイルとして前記記憶手段に一旦格納し、その後読み出した上で処理する中央演算回路と、該中央演算回路の処理結果に基づき、単一のVRAMに対してビットマップデータの書き込み/読み出しを行い、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を後記ディスプレイ制御手段又は後記インターフェース手段に送信するグラフィックコントローラと、から構成されるデータ処理手段と;画面を構成する各々の画素が駆動されることにより画像を表示するディスプレイパネルと、前記グラフィックコントローラから受信したデジタル表示信号に基づき前記ディスプレイパネルの各々の画素を駆動するディスプレイ制御手段とから構成されるディスプレイ手段と;外部ディスプレイ手段を備えるか、又は、外部ディスプレイ手段を接続するかする周辺装置を接続し、該周辺装置に対して、前記グラフィックコントローラから受信したデジタル表示信号に基づき、外部表示信号を送信するインターフェース手段と;を備え、前記無線通信手段が「本来解像度が前記ディスプレイパネルの画面解像度より大
5 きい画像データ」を伝達する無線信号を受信してデジタル信号に変換の上、前記中
央演算回路に送信し、前記中央演算回路が該デジタル信号を受信して、該デジタル信号が伝達する画像データを処理し、前記グラフィックコントローラが、該中央演算回路の処理結果に基づき、前記単一のVRAMに対してビットマップデータの書き込み/読み出しを行い、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記ディスプレイ制御手段又は前記インターフェース手段に送信して、前記ディスプレイ手段又は前記外部ディスプレイ手段に画像を表示する機能(以下、「高解像度画像受信・処理・表示機能」と略記する)を有する、携帯情報通信装置において、前記グラフィックコントローラは、前記携帯情報通信装置が前記高解像度画像受信・処理・表示機能を実現する場合に、前記単一のVRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度と同じ解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記ディスプレイ制御手段に送信する機能と、前記単一のVRAMから「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像のビットマップデータ」を読み出し、「該読み出したビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を生成し、該デジタル表示信号を前記インターフェース手段に送信する機能と、を実現し、前記インターフェース手段は、前記グラフィックコントローラから受信した「ビットマップデータを伝達するデジタル表示信号」を、デジタルRGB、TMDS、LVDS(又はLDI)及びGVIFのうちのいずれかの伝送方式で伝送されるデジタル外部表示信号に変換して、該デジタル外部表示信号を前記周辺装置に送信する機能を有する、ことにより、前記外部ディスプレイ手段に、「前記ディスプレイパネルの画面解像度より大きい解像度を有する画像」を表示できるようにした、ことを特徴とする携帯情報通信装置。以上
| 特許裁判例 実用新案裁判例 |
| 意匠裁判例 商標裁判例 |
| 不正競争裁判例 著作権裁判例 |
| 特許判例 実用新案判例 |
| 意匠判例 商標判例 |
| 不正競争判例 著作権判例 |
10月26日(月) - オンライン
10月26日(月) - オンライン
商標的使用論・商標機能論・商標法26条・権利濫用論等の違いからみた『商標権侵害と対応策』 ~どのように攻め、どのように守るか~
10月26日(月) - オンライン
10月27日(火) - 東京 千代田
10月27日(火) - 千葉 千葉市
10月27日(火) - 東京 港区
10月28日(水) - オンライン
英文契約の実務(基礎から読解・作成のポイントまで)―日本語契約との違いや起こりやすいトラブル、悩ましい英文も解説します―
10月28日(水) - オンライン
最新の制度改正を反映 海外の特許制度と実務上の留意点(米国・欧州(EPC)・中国) ~米国ならびに EPC (欧州特許条約)・中国の各制度の下でのグローバル特許取得の基本的な知識と留意点を解説します~
10月28日(水) - 東京 千代田
10月28日(水) - オンライン
10月28日(水) - オンライン
10月29日(木) - オンライン
10月29日(木) - オンライン
10月29日(木) - オンライン
10月29日(木) - オンライン
10月30日(金) - オンライン
10月26日(月) - オンライン
11月2日(月) - オンライン
11月4日(水) - オンライン
11月4日(水) - オンライン
11月5日(木) - 大阪 大阪市西区
11月5日(木) - オンライン
11月5日(木) - 大阪 大阪市
11月5日(木) - 大阪 大阪市
11月5日(木) - 愛知 名古屋市
11月5日(木) - オンライン
11月5日(木) - オンライン
11月6日(金) - 東京 港区
11月6日(金) - オンライン
11月6日(金) - オンライン
11月6日(金) - オンライン
11月2日(月) - オンライン
659-0068 兵庫県芦屋市業平町4-1 イム・エメロードビル503 特許・実用新案 意匠 商標 外国特許 外国意匠 外国商標 訴訟 鑑定 コンサルティング
〒153-0061 東京都目黒区中目黒1-8-1VORT中目黒Ⅰ3階 特許・実用新案 意匠 商標 外国特許 外国意匠 外国商標 訴訟 鑑定 コンサルティング
〒564-0051 大阪府吹田市豊津町1番18号 エクラート江坂ビル4F 特許・実用新案 意匠 商標 外国特許 外国商標