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令和6(行ケ)10110審決取消請求事件

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裁判所 請求棄却 知的財産高等裁判所知的財産高等裁判所
裁判年月日 令和7年5月29日
事件種別 民事
当事者 原告株式会社エクスプラウド
被告株式会社スターリーナイトカンパニー
法令 商標権
商標法3条1項3号8回
商標法3条1項6号3回
商標法3条1項1号1回
キーワード 審決11回
無効7回
実施2回
無効審判1回
商標権1回
主文 1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
1 特許庁における手続の経緯(争いのない事実、当裁判所に顕著な事実)
0月17日、登録査定を受け、同月27日、設定登録を受けた。
2 本件審決の理由の要旨
1)、底面に開口部があり、中に明かりがともされた薄い膜でできた略円
09、111、113~177、179~194、196~238、24
0~392、394~428、431~461、463~506)及びウ
130、149、160、191、197、552)が認められる。10
3 原告主張の審決取消事由
1 取消事由1(商標法3条1項3号該当性の認定判断の誤り)について25
2、27、28、65、66、78、80、87、91、138、236、
244、269、395、396、469、471、509等)。10
2 取消事由2(商標法3条1項6号該当性の認定判断の誤り)について
1 取消事由1(商標法3条1項3号該当性の認定判断の誤り)について
0年まで)、そのポスター、パンフレット、広報誌、主催者の内部資
639、641~645)において、本件商品が「スカイランタン」
47、67、87、395)、一般的な熱気球に近いもの(乙78)、
291)、LEDを入れた風船を和紙で包んだもの(乙109、18
7、189、263、285、292)、LEDを入れた風船を不織
286、412等)等さまざまであるが、いずれも、本件商品と同じ
119、187、189、250、263、286、292等)をみ
7、518~520、552)、「スカイランタン」の語から、イベ
3)、「行灯(あんどん)」(乙111)、ランタン(中国風ちょうち
0、244、245、269等)、大仏殿内でひも付きのLEDスカイ
465)、暗い室内の天井に多数つるした光景を楽しむ室内イベント
2 結論
事件の概要 本件は、商標登録無効審判請求に係る登録無効審決の取消訴訟である。争点25 は、原告を商標権者とする別紙商標目録記載の登録商標(甲7。以下「本件商標」 という。)が、商標法3条1項3号、6号に該当するかである。

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判決文

令和7年5月29日判決言渡

令和6年(行ケ)第10110号 審決取消請求事件

口頭弁論終結日 令和7年4月22日

判 決

原 告 株式会社エクスプラウド

同訴訟代理人弁護士 田 代 洋 介

被 告 株式会社スターリーナイトカンパニー

同訴訟代理人弁護士 佐 藤 力 哉

同 橋 沙 耶 香

同 中 西 健 太 郎

同 大 山 貴 俊

同訴訟代理人弁理士 両 部 奈 穂 子

主 文

1 原告の請求を棄却する。

2 訴訟費用は原告の負担とする。

事 実 及 び 理 由

第1 請求

特許庁が無効2023-890071号事件について令和6年11月25日にした審決を取り消す。

第2 事案の概要

本件は、商標登録無効審判請求に係る登録無効審決の取消訴訟である。争点は、原告を商標権者とする別紙商標目録記載の登録商標(甲7。以下「本件商標」という。)が、商標法3条1項3号、6号に該当するかである。1 特許庁における手続の経緯(争いのない事実、当裁判所に顕著な事実)

⑴ 原告は、本件商標につき、令和3年12月3日、登録出願し、令和4年10月17日、登録査定を受け、同月27日、設定登録を受けた。

5 ⑵ 被告は、令和5年8月31日、本件商標の商標登録を無効にすることについて審判を請求した。

⑶ 特許庁は、同審判を無効2023-890071号事件として審理し、令和6年11月25日、「登録第6633183号の登録を無効とする。」との本件審決をし、その謄本は、同年12月5日、原告に送達された。

⑷ 原告は、同月25日、本件審決の取消しを求める本件訴訟に係る訴えを提起した。2 本件審決の理由の要旨本件審決は、本件商標は商標法3条1項1号、4条1項7号には該当しないが、同法3条1項3号、6号に該当すると判断した。その理由の要旨は、以下のとおりである(証拠番号は、対応する本件訴訟の証拠番号を記載する。)。

⑴ 「スカイランタン」の語についてア 「英辞郎 on the WEB」のウェブサイトにおいて、「sky lantern」について、「スカイ[チャイニーズ]ランタン、天灯、コムローイ◆底面に開口部がある一種のちょうちん。火をともすことにより、無人熱気球として空を飛ぶ仕掛けになっているもの。」等と説明されており(乙597の1)、底面に開口部があり、中に明かりがともされた薄い膜でできた略円筒形の袋状のもの(以下「本件商品」という。)は、中国、台湾及びタイなどのアジア各地域における伝統行事において用いられていた(乙597の2)。イ 我が国においては、遅くとも平成23年頃より、本件商品を夜空に浮かび上がらせるイベントが全国で開催されるようになり、当該イベントを始めとする本件商品に関する新聞記事(乙2~51、53~58、60~109、111、113~177、179~194、196~238、240~392、394~428、431~461、463~506)及びウェブサイトの記事(乙509~547、549~591)が、本件商標の

5 登録査定時までの間に多数掲載されたこと、また、当該記事において、本件商品を表す名称として「スカイランタン」の語が多数使用されており、いずれも、明かりをともして夜空に浮かび上がらせるといった点においては共通し、全国で開催されている本件商品を夜空に浮かび上がらせる各種のイベントの名称中にも当該語が多数使用されていること(乙7、105、130、149、160、191、197、552)が認められる。ウ 以上よりすると、本件商品は、熱気球、小型熱気球、灯籠、風船、行灯(あんどん)、ランタン又はちょうちんといった商品そのものではないが、底面に開口部があり、中に明かりがともされた薄い膜でできた略円筒形の袋状のものであって、これを夜空に浮かび上がらせてその景観を楽しむイベント用品といえるものであり、「スカイランタン」の語は、たとえ一般の辞書に掲載されていないとしても、本件商標の登録査定時において、本件商品の一般名称として使用され、かつ、認識されていると判断するのが相当である。

⑵ 商標法3条1項3号該当性について前記のとおり、本件商標を構成する「スカイランタン」の文字(語)は、本件商品(底面に開口部があり、中に明かりがともされた薄い膜でできた略円筒形の袋状のものであって、これを夜空に浮かび上がらせてその景観を楽しむイベント用品)の一般名称を表したものといえる。また、本件商品は、中に明かりをともすものであるから、灯籠、行灯(あんどん)、ランタン、ちょうちんなどと説明されることが多いといった事情があるところ、本件商標の指定商品は、いずれも照明を目的とした商品であって、ランタン、あんどん、ちょうちんなども含まれるものである。そうすると、「スカイランタン」の文字(語)が本件商標の指定商品に使用された場合には、その取引者又は需要者において、「スカイランタン」として使用し、又は使用することができる商品であるといった商品の品質又は

5 用途を表したものと認識されるとみるのが相当である。また、本件商標は、標準文字で表してなるものであるから、普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標であることが明らかである。したがって、本件商標は、商標法3条1項3号に該当する。

⑶ 商標法3条1項6号該当性について「スカイランタン」の語が本件商品の一般名称であること、本件商品は灯籠、行灯(あんどん)、ランタン、ちょうちんなどと説明されることが多いこと、本件商標の指定商品はいずれも照明を目的とした商品であって、ランタン、あんどん、ちょうちんなども含まれるものであることからすると、本件商標がその指定商品に使用された場合には、その取引者又は需要者に対して、「スカイランタン」として使用し、又は使用できる商品であることを表したものと認識されるにすぎないものであるから、本件商標は、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標というべきである。したがって、本件商標は、仮に商標法3条1項3号に該当しないとしても、同項6号に該当する。3 原告主張の審決取消事由

⑴ 商標法3条1項3号該当性の認定判断の誤り(取消事由1)

⑵ 商標法3条1項6号該当性の認定判断の誤り(取消事由2)

第3 当事者の主張

1 取消事由1(商標法3条1項3号該当性の認定判断の誤り)について

(原告の主張)

⑴ 「スカイランタン」の語は、本件商品(底面に開口部があり、中に明かり

がともされた薄い膜でできた略円筒形の袋状のものであって、これを夜空に浮かび上がらせてその景観を楽しむイベント用品)の一般名称を表したものではない。

5 被告が審判手続で提出した証拠(乙2~592、598~661。以下

「本件記事等」という。)においては、「スカイランタン」と表記されているものが丸形、正方形、長方形のものや、下にひもが接着されているものなど、略円筒形の袋状のものとは必ずしもいえないものが数多く存在する(乙2、27、28、65、66、78、80、87、91、138、236、244、269、395、396、469、471、509等)。また、本件記事等は、①「スカイランタン」「灯籠」「ランタン」など、記述にばらつきがあるもの、②記述に具体性がないもの、③記事の対象物が「熱気球」又は「風船」であるもの、④「LEDスカイランタン」と記述されているもの、⑤「スカイランタン」という語が催事名として使用されているもの、⑥飛ばし方の説明がない、宙空に浮かせている表現はないもの等であるほか、「スカイランタン」が示すものが「底面に開口部がある」「中に明かりがともされた」といった本件商品の特徴が明らかでないもの、そもそも「スカイランタン」が何を示しているのか不明確な記事も多数ある。したがって、本件商標は、「スカイランタン」として使用し、又は使用することができる商品であるといった、商品の品質又は用途を表したものと認識されるとはいえない。

⑵ 本件商標の指定商品のうち、「電球類及び照明用器具、LED照明用器具、

クリスマスツリー用電気式ランプ、祭りの飾り用ランプ、祭りの飾り用ひも状のライト」については、本件審決が指摘する「ランタン、あんどん、ちょうちん」には該当せず、商品の構造上も、袋の中に明かりをともすように構成されるものとはいえない。したがって、「スカイランタン」の語が使用されたとしても、その取引者や需要者が、本件商品として使用し、又は使用することができる商品であることを表したものと認識することはない。

(被告の主張)

5 ⑴ 「スカイランタン」の語は、本件商品の一般名称を表したものである。

ア 原告が「略円筒形の袋状とは必ずしもいえないもの」として挙げる各証拠のものは、それらの写真から、やや丸みを帯びたものなどを含むとしても、いずれも「略円筒形の袋状」といい得るものである。イ その余の本件記事等についての原告の指摘は、いずれも理由がなく、本件商品が「スカイランタン」と表現されていること自体を否定する理由にはならない。

⑵ 本件商標「スカイランタン」は、本件商標の登録査定時において、本件商

品の一般名称であるところ、これを本件商標の指定商品との関係で使用した場合には、取引者、需要者において、これら指定商品は、原告が指摘するものを含め、「スカイランタン」として使用する商品であるか、又は、これら指定商品がいずれも「明かりをともす」という用途で用いられることが明らかであることから、「スカイランタン」に使用することができる商品であるといった商品の品質又は用途を表したものと認識されることは明らかである。

2 取消事由2(商標法3条1項6号該当性の認定判断の誤り)について

(原告の主張)

前記1

(原告の主張)

と同じ理由から、本件商標がその指定商品に使用されたとしても、需要者が何人かの業務に係る商品であることを認識することができない商標とはいえず、商標法3条1項6号には該当しない。

(被告の主張)

⑴ 前記1

(原告の主張)

と同じ理由から、仮に本件商標が指定商品の品質又は用途を表したものでないとしても、本件商標の指定商品に「スカイランタン」という表示を使用した場合に、出所を示すと認識されるものでないことは明らかであるから、商標法3条1項6号に該当する。

⑵ 原告は、本件商標が「何人かの業務に係る商品又は役務であることを認識

することができる」ことについて、何ら具体的に主張しない。

5 第4 当裁判所の判断

1 取消事由1(商標法3条1項3号該当性の認定判断の誤り)について

⑴ 「スカイランタン」の語について

ア 以下の各項に掲げる証拠及び弁論の全趣旨によれば、「スカイランタン」の語は、本件商標の登録査定日において、本件商品(底面に開口部があり、中に明かりがともされた薄い膜でできた略円筒形の袋状のものであって、これを夜空に浮かび上がらせてその景観を楽しむイベント用品といえるもの)、又はこれと同種の商品であって、夜空に浮かび上がらせてその景観を楽しむための商品(後記(ウ)、(エ)。以下、「本件同種商品」といい、本件商品と併せて「本件商品等」という。)の一般名称であったと認められる。(ア) 中国・台湾で「天灯(天燈)」、タイで「コムローイ」などと呼ばれる商品は、竹などで作った枠組みを紙袋などで覆い、底部にろうそくなどの火をともすことにより内部の空気を熱し、熱気球と同じ原理で上昇させるものであり、アジアの各地域において、伝統行事、祭り、イベントなどで用いられてきた。この「天灯(天燈)」等は、英語では「sky lantern」とも呼ばれていた(乙47、597の1~3)。(イ) 本件商品は、前記(ア)の「天灯(天燈)」等に該当するものであって、本件商品を夜空に浮かび上がらせるイベントは、遅くとも平成23年ころより、全国各地で開催されるようになり、これらを報道する多数の新聞記事において、本件商品が「スカイランタン」と表現されている(乙5~8、17、29、33、44、48、548、549等)。例えば、新潟県津南町では、毎年開催される「津南(つなん)雪まつり」において、平成24年以降、夜空に本件商品を多数浮かび上がらせるイベントが毎年行われており(証拠が提出されているのは平成30年まで)、そのポスター、パンフレット、広報誌、主催者の内部資

5 料、ウェブサイト等(乙600~616、640)のほか、これを報

道、紹介する新聞報道及びウェブサイト記事等(乙617~627、639、641~645)において、本件商品が「スカイランタン」と表記されている。また、同町では、同様に本件商品を多数浮かび上がらせる旅行者向けのイベントが随時実施されており、阪急交通社、JTBなど複数の旅行会社が「スカイランタンバスツアー」「スカイランタン体験ツアー」「スカイランタンフェスティバル」などの名称で旅行ツアーを実施している(乙628~638)。平成28年2月20日の北海道新聞の記事(乙87)では、地元の高校生が「スカイランタン」を打ち上げる行事を企画していることを報じる記事において、「スカイランタン」の用語について、「『天灯』ともいわれ、中国などアジアの各地域で見られる熱気球の一種。」、「日本では祭りで使われることが多く、新潟県の『津南雪祭り』が有名。道内では、日高管内新冠町で2015年9月、まちおこしの一環として催しが開かれるなど、広がりをみせつつある。」と解説されている。(ウ) また、外形が略円筒形とはいえない直方体又はこれに近いもの(乙47、67、87、395)、一般的な熱気球に近いもの(乙78)、球体(乙509)等であって、それ以外の構造、宙に浮く仕組み、用途が本件商品と同じものに係る 各新聞記事においても、その商品は「スカイランタン」と表記されている。(エ) 薄い袋状のものの内部にLED電球とヘリウムガスなどを入れ、本件商品と同様に、イベント等の際に夜空に浮かび上がらせてその景観を楽しむものについても、全国各地の多数のイベント等で用いられており、これらを報道する多数の新聞記事等において、やはり「スカイランタン」と表記されている。これらの新聞記事等では、「スカイラン

5 タン」について、例えば、LED電球を入れた風船(乙31、119、

291)、LEDを入れた風船を和紙で包んだもの(乙109、187、189、263、285、292)、LEDを入れた風船を不織布で包んだもの(乙150)、LEDを入れた風船をヘリウムガスで浮き上がらせる(乙152、154)、紙袋にLEDとヘリウムガスを入れたもの(乙250、269)等と説明されている。これらの商品は、ヘリウムガスなどを入れることから「開口部」はなく、その形状は、立方体、直方体、球体にそれぞれ近いものの(前記各証拠)のほか、色付きのゴム風船にLEDを入れてそのまま用いている例(乙286、412等)等さまざまであるが、いずれも、本件商品と同じく、夜空に浮かび上がらせてその景観を楽しむことを目的とするものであり、これらを夜空に浮かべた景観は、各記事の写真(乙109、119、187、189、250、263、286、292等)をみても、本件商品と大きく変わるところはない。(オ) そのほか、「スカイランタン」について報道する本件記事等の中には、必ずしも、本件商品等に当たる構造や仕組みがすべて説明されていないものも多いが、それらの記事等の多くは、ミニ熱気球「スカイランタン」(乙9)、タイの祭りに登場する小型の「スカイランタン」(乙11)といった説明や、イベント等において夜空に放つ等の記載(乙9、10、128、168、172等)、その写真から、本件商品等を指していることが明らかと認められる。(カ) さらに、全国で開催されている、本件商品等を夜空に浮かび上がらせる各種のイベントの名称中にも、「スカイランタンスペシャルナイト」「スカイランタン祭り」等、「スカイランタン」の語が多数使用されており(乙7、105、130、149、160、191、197、518~520、552)、「スカイランタン」の語から、イベ

5 ントの内容が本件商品等を夜空に浮かび上がらせるものであることを

想起させると解されていることが認められる。(キ) なお、本件記事等の一部には、「天灯」「海外では『スカイランタン』とも称される」とするもの(乙2)、「スカイランタン」とともに「天灯(スカイライト)」と併記するもの(乙523)、「スカイランタン」にカッコ書き等で「天灯」「天燈」「ランタン揚げ」等付記するもの(乙26、27、532、544、565)もあるが、本件商品等の一般名称として「スカイランタン」と異なる用語が一般的であることや、反対に「スカイランタン」が本件商品等とは異なる商品の名称として一般的に用いられていることを窺わせる証拠はない。イ これに対し、原告は、本件記事等は「スカイランタン」と表記されているものが略円筒形の袋状のものとは必ずしもいえないものが数多く存在するほか、「スカイランタン」「灯籠」「ランタン」など記述にばらつきがあるもの、記述に具体性がないもの、記事の対象物が「熱気球」又は「風船」であるもの、「LEDスカイランタン」と記述されているもの、「スカイランタン」という語が催事名として使用されているもの、飛ばし方の説明がない、宙空に浮かせている表現はないもの等であって、本件商品の特徴が明らかでないもの、そもそも「スカイランタン」が何を示しているのか不明確な記事が多数あると指摘する。しかし、本件記事等のほとんどにおいて、写真を含む記事内容の全体をみると、「スカイランタン」の語が、本件商品とは全く別の種類の商品について用いられているのではなく、少なくとも本件同種商品を指す語として用いられていると認められることは前記アのとおりである。また、本件商品等の説明や文中の略称として「灯籠」「ランタン」「熱気球」などの言葉が用いられたり、LEDを用いたものが「LEDスカイランタン」と表現されたりすることは、「スカイランタン」の語が本件商品

5 等の一般名称であるとの前記アの認定を左右するものではない。

また、「スカイランタン」の構造、仕組み、宙に浮かせていることの説明がない記事等(乙18、24、251等)があることは、前記アの認定を揺るがすものではなく(前記ア(キ)のとおり、「スカイランタン」が本件商品等とは異なる商品について一般的に用いられている名称であることを窺わせる証拠はない。)、むしろ、それらを詳しく説明しなくとも、「スカイランタン」が本件商品等を指す一般名称として定着していることを窺わせるといえる。その他、原告がるる主張する内容は、前記アの認定を左右するものではなく、

(原告の主張)

は、いずれも採用することができない。

⑵ 商標法3条1項3号該当性について

ア 本件商標の指定商品のうち、「電球類及び照明用器具、LED照明用器具、ろうそく式ランタン、電気式ランタン、LED式ランタン、あんどん、ちょうちん」については、主として照明を目的とした商品と認められ、それ自体が本件商品等であるとはいえないが、本件商品等のように、照明の効果を利用した飾り等としても用いることが可能なものである。他方、「スカイランタン」を一般名称とする本件商品等は、その形状から「一種のちょうちん」(乙597の1)、「灯籠」(乙17、103)、「行灯(あんどん)」(乙111)、ランタン(中国風ちょうちん)(乙229)と説明されることもあり、実際にそのような商品の性質も有している。そうすると、本件商標が前記指定商品について使用された場合、その取引者又は需要者において、当該指定商品の出所表示というよりも、その商品の品質、用途、形状を表示したものと一般的に認識されるものと認められる。イ また、本件商標の指定商品のうち、前記アを除く「クリスマスツリー用

5 電気式ランプ、祭りの飾り用飾りランプ、祭りの飾り用ひも状のライト」

についても、それ自体が本件商品等であるとはいえないが、照明の効果を利用した飾りとして用いることを目的とした商品である点では共通する性質がある。そして、本件商品等は、前記のとおり夜空に浮かび上がらせてその景観を楽しむことを用途とする商品であるが、固定するなどして飾りとして用いる照明等としても利用されることがある。例えば、本件商品等をひもを付けて浮かばせ、「スカイランタン」「スカイランタンイベント」「スカイランタンナイト」等と表示している例も多くあるほか(乙230、244、245、269等)、大仏殿内でひも付きのLEDスカイランタンを多数浮かばせた催し(乙268)、ひものようなもので欄干に結び付け、1~4メートルの高さに設置して飾りとして用いた例(乙465)、暗い室内の天井に多数つるした光景を楽しむ室内イベント(乙570)、「空飛ぶクリスマスツリー」とのイベント名で、数千個の本件商品等を宙に浮かせ、夜空に大きなクリスマスツリーを創り出す例(乙580)もある。これらの点を踏まえると、本件商標が前記指定商品について使用された場合、その取引者又は需要者において、当該指定商品の出所表示というよりも、その商品の品質、用途、形状を表示したものと一般的に認識されるものと認められる。ウ そうすると、本件商標は、本件商品等の一般的名称として定着している「スカイランタン」を標準文字で表したものであって、これを本件商標の指定商品について使用したときは、その商品の品質、用途、形状を「普通に用いられる方法で表示する標章のみからなる商標」に当たるということができる。このような表示は、本件商標の指定商品との関係で、何人もその使用

5 を欲するものであり、特定人にその独占使用を認めることは公益上適当

ではないのみならず、自他商品識別力を欠くものというべきである。したがって、本件商標は、商標法3条1項3号に該当するから、この点に関する本件審決の判断に誤りはなく、取消事由1には理由がない。

2 結論

よって、その余の点を判断するまでもなく、本件商標の登録を無効とした本件審決は相当であって、原告の請求は理由がないから、主文のとおり判決する。知的財産高等裁判所第2部裁判長裁判官清 水 響裁判官菊 池 絵 理裁判官頼 晋 一(別紙)商 標 目 録【登録番号】商標登録第6633183号

5 【商標の構成】

スカイランタン(標準文字)【商品及び役務の区分並びに指定商品】

第11類 電球類及び照明用器具、LED照明用器具、クリスマスツリー用電

気式ランプ、ろうそく式ランタン、電気式ランタン、LED式ランタン、祭りの飾り用飾りランプ、祭りの飾り用ひも状のライト、あんどん、ちょうちん【登録日】令和4年10月27日【出願日】令和3年12月3日【登録査定日】令和4年10月17日以 上

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