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令和6(ワ)70003商標権侵害差止等請求事件

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裁判所 請求棄却 東京地方裁判所東京地方裁判所
裁判年月日 令和7年7月17日
事件種別 民事
当事者 原告
被告ロキテクノロジーインコーポレイテッド B C D ティーケーテクノロジー有限会社
法令 商標権
商標法2条3項8号6回
民法709条1回
キーワード 商標権9回
侵害6回
損害賠償1回
差止1回
主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は、原告の負担とする。
事件の概要 1 事案の概要 原告は、別紙商標権目録記載の商標(以下「原告商標」という。)の商標25 権者である。他方、被告ロキテクノロジーインコーポレイテッド(以下「被 告ロキ社」という。)は、インターネット上の電子掲示板である「5ちゃん ねる」を運営しているところ、DNS(ドメインネームシステム)の転送機 能の設定画面において「5ちゃんねる」に転送するためのドメイン名として 「2ch.net」との文字列(以下「被告標章」という。)を入力した (以下「本件入力行為」という。)。5 本件は、原告が、本件入力行為が上記商標権を侵害すると主張して、被告 らに対し、民法709条、719条2項に基づき、連帯して、損害賠償3億 6000万円及び令和5年10月1日から口頭弁論終結日である令和7年6 月26日まで月500万円の割合による金員の支払を求める事案である。

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判決文

令和7年7月17日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官
令和6年(ワ)第70003号 商標権侵害差止等請求事件
口頭弁論終結日 令和7年6月26日
判 決
5 原 告 A
同訴訟代理人弁護士 牧 野 和 夫
同 工 藤 英 知
被 告 ロキテクノロジーインコーポレイテッド
被 告 B
10 上記両名訴訟代理人弁護士 原 田 學 植
被 告 C
同訴訟代理人弁護士 齋 藤 健 博
被 告 D
被 告 ティーケーテクノロジー有限会社
15 上記両名訴訟代理人弁護士 四 方 沢 子
主 文
1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は、原告の負担とする。
事 実 及 び 理 由
20 第1 請求
被告らは、原告に対し、連帯して、金3億6000万円及び令和5年10
月1日から令和7年6月26日まで月500万円の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要等
1 事案の概要
25 原告は、別紙商標権目録記載の商標(以下「原告商標」という。)の商標
権者である。他方、被告ロキテクノロジーインコーポレイテッド(以下「被
告ロキ社」という。)は、インターネット上の電子掲示板である「5ちゃん
ねる」を運営しているところ、DNS(ドメインネームシステム)の転送機
能の設定画面において「5ちゃんねる」に転送するためのドメイン名として
「2ch.net」との文字列(以下「被告標章」という。)を入力した
5 (以下「本件入力行為」という。)。
本件は、原告が、本件入力行為が上記商標権を侵害すると主張して、被告
らに対し、民法709条、719条2項に基づき、連帯して、損害賠償3億
6000万円及び令和5年10月1日から口頭弁論終結日である令和7年6
月26日まで月500万円の割合による金員の支払を求める事案である。
10 2 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲の各証拠及び弁論の全趣
旨により認められる事実をいう。なお、証拠を摘示する場合には、特に記載の
ない限り、枝番を含むものとする。)
⑴ 当事者等
ア 原告は、「2ちゃんねる」という名称のインターネット上の電子掲示
15 板を運営していた者である。
イ 被告ロキ社は、「5ちゃんねる」という名称のインターネット上の電
子掲示板を運営しているフィリピン共和国所在の法人である。
⑵ 原告の商標権(甲1の2、1の8、1の9)
ア 登録番号 第5843569号
20 イ 出願日 平成26年3月27日
ウ 登録日 平成28年4月22日
エ 登録商標 2ch(標準文字)
オ 指定商品又は指定役務並びに商品及び役務の区分
第38類、第42類
25 ⑶ 転送設定(甲1の3、7~9、弁論の全趣旨)
被告ロキ社は、令和5年10月1日から令和6年12月29日までの間、
インターネット上のユーザーが「2ch.net」(被告標章)との文字
列を、ウェブブラウザのアドレスバーに入力すると、同社の運営する電子
掲示板である「5ちゃんねる」のドメイン名である「5ch.net」に
自動的に転送する設定(以下「本件転送設定」という。)をしている。
5 ⑷ 商標及び役務の類否
原告商標と被告標章が同一又は類似であることのほか、原告商標の指定
役務と被告標章が使用される役務が同一又は類似であることは、当事者間
に争いがない。
3 争点
10 ⑴ 被告ロキ社による使用行為の有無(争点1)
⑵ 故意又は過失(争点2)
⑶ 共同不法行為の成否(争点3)
⑷ 損害額(争点4)
4 争点に関する当事者の主張
15 ⑴ 争点1(被告ロキ社による使用行為の有無)
(原告の主張)
被告ロキ社は、インターネット上のユーザーが「2ch.net」(被
告標章)とのドメイン名を、ウェブブラウザのアドレスバーに入力すると、
同社の運営するインターネット上の電子掲示板である「5ちゃんねる」の
20 ドメイン名である「5ch.net」に自動的に転送する設定をしている。
そして、被告ロキ社は、当該設定をするため、DNS(ドメインネーム
システム)の転送機能の設定画面において、転送元のドメイン名として
「2ch.net」(被告標章)との文字列を入力した(本件入力行為)。
本件入力行為は、原告商標(2ch)を、商標法2条3項8号所定の役
25 務に関する広告を内容とする情報に付すものであるから、被告ロキ社は、
同号所定の使用行為をしたといえる。
(被告らの主張)
争う。被告ロキ社の行為は、商標法2条3項8号所定の使用行為に該当
しない。
⑵ 争点2(故意又は過失)
5 (原告の主張)
被告ロキ社は、平成26年2月に訴外レースクイーン社が原告から「2
ちゃんねる」を乗っ取ったことを知りながら、本件入力行為に及んだので
あるから、商標権侵害を認識していたといえる。
(被告らの主張)
10 否認ないし争う。
⑶ 争点3(共同不法行為の成否)
(原告の主張)
被告B及び被告Cは、被告ロキ社による商標権侵害を幇助した。また、
被告Dは、「2ちゃんねる」及び「5ちゃんねる」専用のブラウザを開
15 発・運用し、商標権侵害を幇助した。さらに、被告ティーケーテクノロジ
ー有限会社は、商標権侵害を知りつつ、「2ちゃんねる」及び「5ちゃん
ねる」の広告代理を行い、広告料を収受した。
(被告らの主張)
否認ないし争う。
20 ⑷ 争点4(損害額)
(原告の主張)
被告ロキ社は、平成29年10月1日以降、被告標章を使用した電子掲
示板である「2ちゃんねる」の広告料収入として、月500万円の利益を
得ており、被告は同額の損害を受けている。
25 (被告らの主張)
否認ないし争う。
第3 当裁判所の判断
1 争点1(被告ロキ社による使用行為の有無)
⑴ 原告は、DNSの転送機能の設定画面に転送元のドメイン名として「2
ch.net」という文字列(被告標章)を入力した行為が、商標法2条
5 3項8号にいう役務に関する広告を内容とする情報に標章を付する行為に
該当する旨主張する。
しかしながら、被告ロキ社が被告標章を入力した情報は、DNS上の設
定画面にすぎず、しかも、裁判所の求釈明にかかわらず、原告は、その画
面の具体的内容を立証するものではない。そして、弁論の全趣旨によれば、
10 上記設定画面は、管理者のみがアクセスできるものであって、インターネ
ット上のユーザーの目に触れるものではなく、明らかに広告を内容とする
情報であるとはいえない。
したがって、被告ロキ社が被告標章を入力した上記設定画面は、役務に
関する広告を内容とする情報であるとはいえず、これを前提とする原告の
15 主張は、その前提を欠く。
⑵ 仮に、原告は、本件転送設定を前提として、DNSの転送機能の設定画
面に被告標章を入力した行為(本件入力行為)が、被告標章をドメイン名
として使用するものであり、商標法2条3項8号にいう「使用」に該当す
る趣旨をいうものとも一応善解し得る。
20 しかしながら、同号にいう「使用」とは、標章をドメイン名として使用
する行為自体をいうものではなく、広告等を内容とする情報に標章を付す
る行為をいうものであるから、仮に、本件入力行為をもって被告標章をド
メイン名として使用したという原告の見解に立ったとしても、当該行為は、
広告等を内容とする情報に標章を付する行為とはいえず、原告の主張は、
25 前記判断を左右するものとはいえない。
⑶ したがって、原告の主張は、いずれも採用することができず、被告ロキ
社が商標法2条3項8号所定の使用に該当する行為をしたとはいえない。
2 小括
以上によれば、原告の主張は、商標法2条3項8号の趣旨を正解しないも
のに帰し、いずれも採用の限りではなく、その余の点について判断するまで
5 もなく、原告の請求はいずれも理由がない。
第4 結論
よって、原告の請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとして、
主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第40部

裁判長裁判官
中 島 基 至
15 裁判官
松 川 春 佳
裁判官

坂 本 達 也

(別紙) 商標権目録
登録番号 第5843569号
出願日 平成26年3月27日
5 登録日 平成28年4月22日
登録商標 2ch(標準文字)
指定商品又は指定役務並びに商品及び役務の区分
第38類
電子掲示板による通信及びこれに関する情報の提供、
10 インターネット利用のチャットルーム形式による電子
掲示板通信及びこれに関する情報の提供
第42類
インターネット又は移動体通信端末による通信を利用
した電子掲示板用のサーバの記憶領域の貸与及びこれ
15 に関する情報の提供、インターネット又は移動体通信
端末による通信を利用した電子掲示板へのアクセスの
ためのコンピュータープログラムの提供及びこれに関
する情報の提供

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