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令和6(ワ)70607発信者情報開示請求事件

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裁判所 東京地方裁判所
裁判年月日 令和7年8月25日
事件種別 民事
当事者 原告株式会社全国新聞ネット
被告株式会社エヌ・ティ・ティピー・シーコミュニケーションズ
法令 商標権
キーワード 侵害5回
商標権4回
許諾1回
損害賠償1回
主文 1 被告は、原告に対し、別紙発信者情報目録記載1及び2の各情報を開
2 訴訟費用は被告の負担とする。
事件の概要 本件は、 原告が、 別紙投稿記事目録記載の各投稿 (以下 「本件各投稿」 といい、 同目録記載の番号に合わせて「本件投稿1」などという。)の流通によって商標 権を侵害されたと主張して、被告に対し、特定電気通信による情報の流通によっ て発生する権利侵害等への対処に関する法律(以下「情報流通プラットフォーム 法」という。)5条2項に基づき、別紙発信者情報目録記載の発信者情報の開示 を求める事案である。

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判決文

令和7年8月25日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

令和6年(ワ)第70607号 発信者情報開示請求事件

口頭弁論終結日 令和7年5月29日

判 決

原 告 株式会社全国新聞ネット

同訴訟代理人弁護士 野 本 俊 輔

同 吉 葉 一 浩

同 三 神 光 滋

被 告 株式会社エヌ・ティ・ティピー・シーコミュニケーションズ

同訴訟代理人弁護士 五 島 丈 裕

主 文

1 被告は、原告に対し、別紙発信者情報目録記載1及び2の各情報を開

示せよ。

2 訴訟費用は被告の負担とする。

事 実 及 び 理 由

第1 請求

主文同旨

第2 事案の概要

本件は、原告が、別紙投稿記事目録記載の各投稿(以下「本件各投稿」といい、同目録記載の番号に合わせて「本件投稿1」などという。)の流通によって商標権を侵害されたと主張して、被告に対し、特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律(以下「情報流通プラットフォーム法」という。)5条2項に基づき、別紙発信者情報目録記載の発信者情報の開示を求める事案である。1 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲の各証拠〔特に付記する場合以外は枝番の記載は省略する。〕及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実をいう。)

⑴ 当事者

5 ア 原告は、インターネットニュースサイトの企画、運営等を目的とする株式会社である。(甲1)原告は、複数の新聞社及び一般社団法人共同通信社(以下「共同通信社」という。)によるインターネットニュースサイトである「47NEWS」を運営している。(弁論の全趣旨)イ 被告は、電気通信事業等を目的とする株式会社である。(弁論の全趣旨)

⑵ 原告の商標権について(甲7)原告は、別紙商標目録記載の商標(以下「原告商標」という。)に係る商標権を有している。

⑶ 本件各投稿についてア 本件投稿1について(甲3の1)氏名不詳者(以下「本件発信者1」という。)は、令和5年6月16日、SNSサイト「X」(以下、単に「X」という。)において、アカウント表示名を「47NEWS速報」、ユーザ名を「@47newsflash」として、別紙投稿記事目録記載1の投稿内容を投稿した。本件投稿1には、アカウントアイコンの表示部分に、別紙発信者標章目録記載1の標章(以下「本件発信者標章1」という。)が付されていたほか、「KYODO」、「共同通信」という記載のある記事のリンクが貼られていた。イ 本件投稿2について(甲3の2)氏名不詳者(以下「本件発信者2」といい、本件発信者1と併せて「本件各発信者」という。)は、令和5年6月16日、Xにおいて、アカウント表示名を「47NEWS」、ユーザ名を「@47news」として、別紙投稿記事目録記載2の投稿内容を投稿した。本件投稿2には、アカウントアイコンの表示部分に、別紙発信者標章目録記載2の標章(以下「本件発信者標章2」といい、本件発信者標章1と併せ

5 て「本件各標章」という。)が付されていたほか、「KYODO」、「共同通信」という記載のある記事のリンクが貼られていた。

⑷ 発信者情報開示命令に基づく発信者情報の開示についてア 原告は、東京地方裁判所に対し、相手方をX Corp.として、本件各発信者が本件各投稿の投稿に用いられたアカウントにログインした際の通信に係るログインIPアドレス及びタイムスタンプなどの開示を求める発信者情報開示命令の申立てをした(本件投稿1につき令和5年(発チ)第10210号事件、本件投稿2につき令和5年(発チ)第10211号事件)。(甲4)イ 東京地方裁判所は、本件投稿1については令和5年11月16日に、本件投稿2については同年12月1日に、上記各申立てに係る発信者情報の開示を認める旨の決定をそれぞれした。(甲4)ウ X Corp.の手続代理人は、令和5年12月14日、上記イの各決定を受け、本件各投稿の投稿日時に最も近接したログインに係る通信の情報を開示した。別紙投稿記事目録記載のIPアドレス及び接続日時は、上記開示に基づいて特定されたものである。(甲5)

⑸ 本件訴訟の提起原告は、令和6年12月16日、本件訴訟を提起した。

⑹ 被告による発信者情報の保有被告は、別紙発信者情報目録記載の発信者情報を保有している。(争いがない)2 争点本件の争点は、権利侵害の明白性(本件各投稿による商標権侵害の成否)であり、具体的には、商標の類否及び役務の類否である。

第3 争点に対する当事者の主張

1 争点1(原告商標と本件各標章の類否)について

5

(原告の主張)

以下のとおり、原告商標と本件各標章は類似するところ、原告は、本件各発信者に対し、本件各標章の使用を許諾した事実はなく、その他に当該行為を正当化する事由もない。したがって、権利侵害の明白性がある。

⑴ 本件発信者標章1

ア 外観原告商標と本件発信者標章1とは、原告商標には上段に「よんななニュース」、下段に「日本が見える」との文字が配されているという点で違いはあるが、図案化した日本全体地図と、「47」の数字とアルファベットの文字を二段にした四角形の囲み文字とを組み合わせたものであって、色彩も含めて同一の図形を配している点で類似している。イ 称呼本件発信者標章1は、単独では「ヨンジュウナナ」、「ヨンジュウシチ」、「フラッシュ」といった読まれ方をするのが一般的であるが、本件投稿1に係るアカウントのヘッダー部分(【図1】参照)には、本件発信者標章1とともに原告及び共同通信社が運営する47NEWSホームページへのリンクが設定されており、この表示との関連性によって「ヨンナナフラッシュ」「ヨンナナニュースフラシュ」との称呼が生じる。【図1】したがって、原告商標と本件発信者標章1は、「ヨンナナ」、「ニュース」という共通の称呼を含んでいる。ウ 観念本件発信者標章1が、ニュースを投稿するアカウントのアイコンとして使用されていることを踏まえると、原告商標と本件発信者標章1は、いずれも全国47都道府県のニュースを投稿しているという点で観念が共通する。エ 結論以上のとおり、原告商標と本件発信者標章1は、外観、称呼、観念がいずれも類似している。以上に加え、本件発信者1は、アカウントのヘッダー部分(【図1】参照)において、アカウント表示名を「47NEWS 速報」、ユーザ名を「@47newsflash」と設定しているだけでなく、前記イのとおり、原告らホームページへのリンクを記載していること、本件投稿1にも「KYODO」、「共同通信」という表示があることから、本件投稿1に係るアカウントが、原告の運営する47NEWSの公式アカウントであると誤信されるおそれがある。

⑵ 本件発信者標章2

ア 外観原告商標と本件発信者標章2は、いずれも上段と下段に文字を配している点、下段の「日本が見える」は同一の文字を配している点、中段には図案化した日本全体地図と、「47」、「NEWS」を二段にした四角形の囲み文字とを組み合わせて正方形にしたものであって、色彩も含めて同一の図形を配している点が共通しているから、外観において類似である。

5 イ 称呼

本件発信者標章2は、単独では「ヨンジュウナナ」、「ヨンジュウシチ」、「ニュース」といった読まれ方をするのが一般的であるが、本件投稿2に係るアカウントのヘッダー部分(【図2】参照)には、本件発信者標章2とともに原告及び共同通信社が運営する47NEWSホームページへのリンクが設定されており、この表示との関連性によって「ヨンナナニュース」との称呼を生じる。【図2】以上を対比すると、原告商標と本件発信者標章2の称呼は同一である。ウ 観念本件発信者標章2は、図案化した日本全体地図、「47」の数字及び「NEWS」の文字から日本全国47都道府県のニュースとの観念を生じるから、原告商標と本件発信者標章2の観念は同一である。エ 結論以上のとおり、原告商標と本件発信者標章2は、称呼及び観念が同一であり、外観が類似している。以上に加え、本件発信者2は、アカウントのヘッダー部分(【図2】参照)において、アカウント表示名を「47NEWS」、

5 ユーザ名を「@47news」と設定しているだけでなく、前記イのとおり、原告

らホームページへのリンクを記載していることから、本件投稿2に係るアカウントが、原告の運営する47NEWSの公式アカウントであると誤信されるおそれがある。

(被告の主張)

⑴ 本件における商標の類否は、本件各投稿の閲覧者において、本件各投稿が原

告の役務提供行為であると誤認し、出所の混同が生じるか否かにより決するべきであり、外観、称呼、観念によって閲覧者に与える印象、記憶、連想等を総合して全体的に考察するべきである。

⑵ 本件発信者標章1

争う。本件投稿1に係るアカウントのヘッダー部分(前記【図1】参照)には、「 @47news の 中 か ら 速 報 ニ ュ ー ス だ け を 配 信 し ま す 。 お 問 い 合 わ せ は@47newshelpへツイートしてください。このアカウントは47NEWSさん公式のものではありません」との記載があることも踏まえると、本件発信者標章1を付して本件投稿1を投稿する行為は、閲覧者において、原告の役務提供行為と誤認させ、その出所の混同を生じさせるものではない。

⑶ 本件発信者標章2

争う。本件投稿2に係るアカウントのヘッダー部分(前記【図2】参照)には、「共同通信ニュースの非公式Botです。お問い合わせは@47newshelpへツイートしてください。速報ニュースのみほしい方は@47newsflashをご利用ください」との記載があることも踏まえると、本件発信者標章2を付して本件投稿2を投稿する行為は、閲覧者において、原告の役務提供行為と誤認させ、その出所の混同を生じさせるものではない。

2 争点2(役務の類否)について

5

(原告の主張)

本件各投稿は、ニュース見出しや共同通信社のニュースサイトへのリンクを投稿するものである。他方で、原告商標の指定役務の一つである「電子出版物の提供」とは、オンライン上で文字情報等のコンテンツを供覧する役務をいう。そうすると、本件各発信者による本件各投稿の投稿行為は、オンライン上で供覧されるコンテンツを提供するものであり、「電子出版物の提供」の範疇に含まれる。したがって、原告商標に係る役務と本件各発信者の役務の内容は同一又は類似である。

(被告の主張)

否認ないし争う。本件各投稿のニュースの見出しは、ニュースのタイトル又はリード文にすぎず、これ自体を電子出版物と解することはできない。また、本件各投稿のリンク先の記事が共同通信社によるニュース記事であるかは不明であるし、仮にニュース記事を供覧できたとしても、本件各投稿は、共同通信社の記事に遷移させるものにすぎず、これをもって電子出版物を提供しているとはいえない。したがって、本件各投稿は、「電子出版物の提供」に当たるとはいえず、原告商標に係る役務と本件各発信者の役務との間には、同一性又は類似性は認められない。

第4 当裁判所の判断

1 争点1(原告商標と本件各標章の類否)について

⑴ 判断基準商標の類否は、対比される両商標が同一又は類似の商品又は役務に使用された場合に、商品の出所につき誤認混同を生ずるおそれがあるか否かという観点から判断すべきであるが、そのような商品又は役務に使用された商標が、その外観、観念、称呼等によって取引者、需要者に与える印象、記憶、連想等を総合して、その商品又は役務に係る取引の実情を踏まえ、全体的に考察するのが相当である(最高裁昭和39年(行ツ)第110号同43年2月27日第三小

5 法廷判決・民集22巻2号399頁参照)。そして、複数の構成部分を組み合わせた結合商標と解されるものについて、商標の構成部分の一部を抽出し、この部分だけを他人の商標と比較して商標そのものの類否を判断することは、その部分が取引者、需要者に対し商品又は役務の出所識別標識として強く支配的な印象を与えるものと認められる場合、それ以外の部分から出所識別標識としての称呼、観念が生じないと認められる場合などを除き、許されないというべきである(最高裁昭和37年(オ)第953号同38年12月5日第一小法廷判決・民集17巻12号1621頁、最高裁平成3年(行ツ)第103号同5年9月10日第二小法廷判決・民集47巻7号5009頁、最高裁平成19年(行ヒ)第223号同20年9月8日第二小法廷判決・裁判集民事228号561頁参照)。

⑵ 原告商標及び本件各標章に係る取引者又は需要者前記前提事実及び弁論の全趣旨によれば、原告商標及び本件各標章に係る取引者又は需要者は、インターネット上のニュース記事の一般の閲覧者であると認められる。

⑶ 原告商標原告商標は、上段には「よんななニュース」の文字を、中段には図案化した日本全体地図と四角形の中に「47」、「NEWS」の文字を二段に配した部分を、下段には「日本が見える」の文字を、それぞれ配して成る結合商標であり、その色彩は、上段及び下段の文字部分は灰色、中段の日本全体地図は薄茶色、「47」「NEWS」は大きめのフォントの黒文字をオレンジ色の四角形で囲むものである。上記各構成部分のうち「47」、「NEWS」の文字を二段に配した部分は、その組み合わせによって造語となり出所識別機能を有し、その外観もオレンジ色の四角形の上に他の構成部分よりも大きめのフォントの黒文字で表示されたものであり、文字色と背景色とのコントラストも相俟って強く支配的な印象

5 を与えるものといえる。他方、原告商標のうち、上段の「よんななニュース」という部分は、原告商標の上部に配置され、小さめのフォントの灰色の文字で表示されたものであり、「47」、「NEWS」の部分は、読み仮名を付すものであるから、それ自体に出所識別機能を有するものとはいえない。また、原告商標のうち下段の「日本が見える」という部分は、小さめのフォントの灰色の文字で表示され、それ自体サービスの内容をいうものであり、中段の日本全体地図の部分は、薄茶色で日本の地図を示すものであるから、いずれも出所識別機能を有するものではない。これらの事情を踏まえると、原告商標の構成部分のうち、「47」、「NEWS」の文字を二段に配した四角形の部分のみを抽出し、この部分だけを本件各標章と比較して類否を判断することが許されるというべきであり、弁論の全趣旨によれば、原告はその趣旨をいうものと解される。

⑷ 本件各発信者標章ア 本件発信者標章1本件発信者標章1は、図案化した日本全体地図と、左上を切り欠いた略四角形の中に「47」、「FLASH」の文字を二段に配した部分から成る結合商標であり、日本全体地図の色彩は薄茶色であり、「47」、「FLASH」は大きめのフォントの黒文字をオレンジ色の略四角形で囲むものである。上記構成部分のうち、「47」、「FLASH」の文字を二段に配した部分は、その組み合わせによって造語となり出所識別機能を有し、その外観もオレンジ色の略四角形の上に他の構成部分よりも大きめのフォントの黒文字で表示されたものであり、文字色と背景色とのコントラストも相俟って強く支配的な印象を与えるものといえる。他方、本件発信者標章1のうち、日本全体地図の部分は、薄茶色で日本の地図を示すものであるから、出所識別機能を有するものではない。これらの事情を踏まえると、本件発信者標章1の構成部分のうち、「47」、

5 「FLASH」の文字を二段に配した略四角形の部分を抽出し、この部分だけを原告商標と比較して類否を判断することが許されるというべきである。イ 本件発信者標章2本件発信者標章2は、上段には、「Press」、「Ne」の文字を、中段には、図案化した日本全体地図と、左上を切り欠いた略四角形の中に「47」、「NEWS」の文字を二段に配した部分を、下段には「本が見え」の文字を、それぞれ配して成る結合商標であり、その色彩は、上段の「Press」、「Ne」のうち「P」と「N」は赤色であり、それ以外は薄い灰色、中段の日本地図全体は薄茶色、「47」、「NEWS」は大きめのフォントの黒文字をオレンジ色の略四角形で囲むものであり、下段の「本が見え」の文字は灰色である。上記構成部分のうち、「47」、「NEWS」の文字を二段に配した部分は、その組み合わせによって造語となり出所識別機能を有し、その外観もオレンジ色の略四角形の上に他の構成部分よりも大きめのフォントの黒文字で表示されたものであり、文字色と背景色とのコントラストも相俟って強く支配的な印象を与えるものといえる。他方、上段の「Press」、「Ne」の文字や下段の「本が見え」の文字部分は小さめのフォントの灰色の文字で表示され、その内容からしても出所識別機能を有するものではなく、また、日本全体地図の部分は、薄茶色で日本の地図を示すものであるから、出所識別機能を有するものではない。これらの事情を踏まえると、本件発信者標章2の構成部分のうち、「47」、「NEWS」の文字を二段に配した略四角形の部分を抽出し、この部分だけを原告商標と比較して類否を判断することが許されるというべきである。

⑸ 原告商標と本件各標章との対比ア 本件発信者標章1(ア) 原告商標のうち「47」、「NEWS」の文字を二段に配した四角形の

5 部分と、本件発信者標章1のうち「47」、「FLASH」の文字を二段に配した左上を切り欠いた略四角形の部分とを対比すると、外観については、原告商標は四角形の中に「NEWS」という文字が配されているのに対し、本件発信者標章1は左上を切り欠いた略四角形の中に「FLASH」という文字が配されており、文字や四角形の形状が異なるものの、「47」という数字のほか、「47」とその余の文字との大きさのバランス、配置及び色彩において共通している。そして、称呼については、上記文字の相違により、原告商標は「にゅーす」という称呼が生じるのに対し、本件発信者標章1は「ふらっしゅ」という称呼が生じるものの、観念については、原告商標が「47都道府県のニュース」という観念を生じさせるのに対し、前記前提事実のとおり本件投稿1がニュース記事の概要を告知しているという事実を踏まえると、本件発信者標章1は、「47都道府県のニュース速報(FLASH)」という観念を生じるものであり、両者は類似するといえる。(イ) 上記認定に係る事情によれば、原告商標と本件発信者標章1は、「NEWS」と「FLASH」とで記載されている文字が異なりその部分において称呼が異なるものの、「NEWS」と「FLASH」は、ニュースを提供するものとして観念が共通するものであり、その余の外観も類似していることを踏まえると、視覚的に識別されるアイコン表示として使用される取引の実情に鑑みても、本件発信者標章1を原告商標と同一又は類似の役務につき使用した場合には、役務の出所について誤認混同を生ずるおそれがあるものと認めるのが相当である。したがって、原告商標と本件発信者標章1は、類似するものと認めるのが相当である。(ウ) これに対し、被告は、本件投稿1に係るアカウントのヘッダー部分の記載内容を見れば、誤認混同のおそれはない旨主張する。しかしながら、

5 本件発信者標章1のようにXの投稿に用いられる場合、Xにログインした閲覧者は、自身のアカウントのホーム画面に並んで表示される投稿記事(タイムライン)を閲覧し、タイムラインに表示された投稿記事の中から気になる個々の投稿を開いて閲覧するという使い方をすることも少なくないことが認められる。このような取引の実情に鑑みると、閲覧者が必ずしもヘッダー部分を見るものとはいえず、被告の主張は、前記認定を直ちに妨げるものではない。したがって、被告の主張は、採用することができない。イ 本件発信者標章2(ア) 原告商標のうち「47」、「NEWS」の文字を二段に配した四角形の部分と、本件発信者標章2のうち「47」、「NEWS」の文字を二段に配した左上を切り欠いた略四角形の部分とを対比すると、外観については、四角形の形状を除きほぼ同一であり、呼称も同一である。そして、観念についても、本件投稿2の投稿内容を踏まえると、原告商標と本件発信者商標2は、いずれも「47都道府県のニュース」という同一の観念を生じさせるものである。(イ) 上記認定に係る事情によれば、原告商標と本件発信者標章2は、外観がほぼ同一であり、称呼、観念とも同一であることを踏まえると、視覚的に識別されるアイコン表示として使用される取引の実情に鑑みても、本件発信者標章2を原告商標と同一又は類似の役務につき使用した場合には、役務の出所について誤認混同を生ずるおそれがあるものと認めるのが相当である。したがって、原告商標と本件発信者標章2は、類似するものと認めるのが相当である。(ウ) これに対し、被告は、本件投稿2に係るアカウントのヘッダー部分の記載内容を見れば、誤認混同のおそれはない旨主張するが、取引の実情に

5 鑑みると、閲覧者が必ずしもヘッダー部分を見るものとはいえず、被告の上記主張が採用の限りではないことは、前記ア(ウ)において説示したとおりである。

2 争点2(役務の類否)について⑴ 役務が類似のものであるかどうかは、対比される役務が通常同一の営業主により提供されているなどの取引の事情により、両者の役務に同一又は類似の商標を使用したときに、当該役務の取引者ないし需要者において同一の営業主により提供されている役務と誤認されるおそれがあるか否かという観点から判断するのが相当である。⑵ 原告商標の指定役務前記前提事実に加え、証拠(甲9)及び弁論の全趣旨によれば、原告商標に係る指定役務には、「電子出版物の提供」が含まれており、電子出版物とは、ダウンロードできない状態によってオンライン上で供覧される出版物をいうものと解される。そして、出版物とは、一般に、販売又は頒布の目的で印刷された書物又は図画をいうものであって、電子媒体によるものも含むとされている。そうすると、「電子出版物の提供」には、オンライン上で供覧されるニュース記事の提供も含まれると解するのが相当である。⑶ 本件各発信者による本件各標章の使用に係る役務前記前提事実によれば、本件各発信者は、Xにおいて、「KYODO」、「共同通信」という記載のある記事のリンクを貼り、その概要を本文に記載して投稿していることが認められる。そうすると、一般の取引者又は需要者であるインターネット上のニュース記事の閲覧者(前記1⑵参照)が本件各投稿に接した場合には、本件各標章の使用に係る役務は、ニュース記事の紹介、ニュース速報の告知その他のニュース記事の提供に関する役務であると認識するものと認められる。⑷ 指定役務と本件各標章の使用に係る役務との対比

5 インターネット上でニュース記事を提供する者が、当該ニュース記事の概要やリンクを投稿して、その閲覧を誘引することが一般的に行われていることは公知の事実であり、現に、前記前提事実のとおり、原告は、Xにおいて、共同通信社によるインターネットニュースサイト「47NEWS」の運営に関連する投稿を行っていることが認められる。これを本件各標章の使用に係る役務についてみると、その内容は、オンライン上で供覧されるニュース記事の提供そのものであるとはいえないものの、ニュース記事の提供に関連した行為であるから、上記認定に係る取引の実情を踏まえると、本件各標章の使用に係る役務に原告商標と同一又は類似の商標を使用した場合には、一般の取引者又は需要者であるインターネット上のニュース記事の閲覧者(前記1⑵参照)において、原告商標に係る指定役務と同一の営業主により提供されている役務と誤認されるおそれがあるものと認めるのが相当である。したがって、原告商標に係る指定役務と本件各標章の使用に係る役務は、類似するものと認めるのが相当である。⑸ 被告の主張に対する判断被告は、本件各投稿のニュースの見出しは、電子出版物と解することはできず、また、リンク先の記事が共同通信社によるニュース記事であるかは不明であり、仮にニュース記事を供覧できたとしても、本件各投稿は、共同通信社の記事に遷移させるものにすぎず、これをもって電子出版物を提供しているものとはいえない旨主張する。しかしながら、インターネット上のニュース記事の閲覧者は、本件各投稿そのものから役務の出所を認識するのが通常であり、必ずしもリンク先の記事を読むとは限らないことからすると、リンク先の記事が共同通信社によるニュース記事か否かという点は、上記判断を左右するものではない。そして、本件における取引の実情を考慮すると、一般の取引者又は需要者であるインターネッ

5 ト上のニュース記事の閲覧者(前記1⑵参照)において、同一の営業主の提供に係る役務と誤認されるおそれがあることは、前記⑷において説示したとおりである。その他に、被告の主張は、前記説示に係る類否判断とは異なる観点から主張するものに帰し、上記と同様に、前記判断を左右するものとはいえない。したがって、被告の主張は、いずれも採用することができない。

3 その他弁論の全趣旨によれば、原告は、本件各投稿の発信者に対し、損害賠償請求等を予定していることからすると、情報流通プラットフォーム法5条2項2号に規定する「開示を受けるべき正当な理由」があるものと認められる。

第5 結論

よって、原告の請求は理由があるからこれを認容し、主文のとおり判決する。

東京地方裁判所民事第40部

裁判長裁判官

中 島 基 至

裁判官

武 富 可 南

裁判官

坂 本 達 也

(別紙)

発信者情報目録

1 別紙投稿記事目録記載1のIPアドレスを同目録記載の接続日時(UTC)に使5 用した契約者に関する以下の情報⑴ 氏名又は名称⑵ 住 所⑶ 電話番号⑷ メールアドレス

2 別紙投稿記事目録記載2のIPアドレスを同目録記載の接続日時(UTC)に使用した契約者に関する以下の情報⑴ 氏名又は名称⑵ 住 所⑶ 電話番号⑷ メールアドレス以上

(別紙)

投 稿 記 事 目 録1 投稿1閲覧用URL (省略)5 表 示 名 47NEWS 速報ユーザ名 @47newsflash投稿日時 令和5(2023)年6月16日午後2時08分投稿内容 立憲民主党が提出した岸田内閣不信任決議案を採決する衆院本会議が16日午後、始まった。接続日時 2023-06-16 T12:33:17.000Z(UTC)IPアドレス (省略)2 投稿2閲覧用URL (省略)表 示 名 47NEWSユーザ名 @47news投稿日時 令和5(2023)年6月16日午後2時08分投稿内容 速報:立憲民主党が提出した岸田内閣不信任決議案を採決する衆院本会議が16日午後、始まった。接続日時 2023-06-15 T23:53:11.000Z(UTC)IPアドレス (省略)以上

(別紙)

商標目録

1 登録番号 商標登録第5071060号5 2 出願日 平成18年11月1日

3 登録日 平成19年8月17日

4 登録商標

5 商品及び役務の区分 第41類

6 指定役務 電子出版物の提供、当せん金付証票の発売、技芸・スポーツ又は知識の教授、献体に関する情報の提供、献体の手配、セミナーの企画・運営又は開催、動物の調教、植物の供覧、動物の供覧、図書及び記録の供覧、美術品の展示、庭園の供覧、洞窟の供覧、書籍の制作、映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営、映画の上映・制作又は配給、演芸の上演、演劇の演出又は上演、音楽の演奏、放送番組の制作、教育・文化・娯楽・スポーツ用ビデオの制作(映画・放送番組・広告用のものを除く。)、放送番組の制作における演出、映像機器・音声機器等の機器であって放送番組の制作のために使用されるものの操作、スポーツの興行の企画・運営又は開催、興行の企画・運営又は開催(映画・演芸・演劇・音楽の演奏の興行及びスポーツ・競馬・競輪・競艇・小型自動車競走の興行に関するものを除5 く。)、競馬の企画・運営又は開催、競 輪の企画・運営又は開催、競艇の企画・運営又は開催、小型自動車競走の企画・運営又は開催、音響用又は映像用のスタジオの提供、運動施設の提供、娯 楽施設の提供、映画・演芸・演劇・音楽又は教育研修のための施設の提供、興 行場の座席の手配、映画機械器具の貸与、映写フィルムの貸与、楽器の貸与、 運動用具の貸与、テレビジョン受信機の貸与、ラジオ受信機の貸与、図書の貸 与、レコード又は録音済み磁気テープの貸与、録画済み磁気テープの貸与、ネ ガフィルムの貸与、ポジフィルムの貸与、おもちゃの貸与、遊園地用機械器具 の貸与、遊戯用器具の貸与、書画の貸与、写真の撮影、通訳、翻訳、カメラの 貸与、光学機械器具の貸与以上

(別紙)

発信者標章目録1 発信者標章12 発信者標章2以上

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法域

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不正競争裁判例 著作権裁判例

最高裁判例

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