ホーム > 知財判決速報/裁判例集 > 令和7(ネ)10044等 各損害賠償等請求控訴事件、同附帯控訴事件
| 裁判所 | 一部認容 知的財産高等裁判所 |
|---|---|
| 裁判年月日 | 令和7年11月6日 |
| 事件種別 | 民事 |
| 法令 |
著作権 著作権法32条1項1回 著作権法20条1項1回 民法710条1回 民事訴訟法307条1回 |
| キーワード | 侵害60回 損害賠償14回 |
| 主文 | 1 本件控訴を棄却する。 2 本件附帯控訴に基づき、原判決主文第 1 項及び第2項のうち控訴人兼附 3 控訴人兼附帯被控訴人は、被控訴人兼附帯控訴人に対し、21万円およ 4 被控訴人兼附帯控訴人のその余の請求を棄却する。 5 訴訟費用は、第一、二審を通じて15分し、その14を被控訴人兼附帯 6 この判決は、第3項に限り、仮に執行することができる。 |
| 事件の概要 | 1 事案の要旨 ⑴ 本件は、原告が、被告Yらによるツイッター上の本件各投稿が、原告の名 誉感情、プライバシー権、著作権及び著作人格権を侵害したとして、不法行 為に基づく損害賠償請求として、300万円及びこれに対する各不法行為の 後である令和4年8月15日から支払済みまで年3%の割合による遅延損害 金の支払を求める事案である。 |
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令和7年11月6日判決言渡
令和7年(ネ)第10044号 各損害賠償等請求控訴事件、同附帯控訴事件
(原審・東京地方裁判所令和5年(ワ)第15310号(原審第一事件)、同6年
(ワ)第5142号(原審第二事件))
口頭弁論終結日 令和7年9月9日
判 決
控訴人兼附帯被控訴人(原審第二事件被告)
Y
同訴訟代理人弁護士 斉 藤 雄 祐
被控訴人兼附帯控訴人(原審第一事件・第二事件原告)
X
同訴訟代理人弁護士 小 野 淳 史
主 文
1 本件控訴を棄却する。
2 本件附帯控訴に基づき、原判決主文第 1 項及び第2項のうち控訴人兼附
帯被控訴人に関する部分を次のとおり変更する。
3 控訴人兼附帯被控訴人は、被控訴人兼附帯控訴人に対し、21万円およ
びこれに対する令和4年8月15日から支払済みまで年3%の割合による
金員(20万円及びこれに対する同日から支払済みまで年3%の割合によ
る金員の限度では原審第一事件被告Aと連帯)を支払え。
4 被控訴人兼附帯控訴人のその余の請求を棄却する。
5 訴訟費用は、第一、二審を通じて15分し、その14を被控訴人兼附帯
控訴人の負担とし、その余を控訴人兼附帯被控訴人の負担とする。
6 この判決は、第3項に限り、仮に執行することができる。
事 実 及 び 理 由
本判決において用いる略語は、次のとおりである(原判決で定義している略語は、概ね、そのまま用いている。)。
5 原告 被控訴人兼附帯控訴人(原審第一事件、同第二事件原告)。ツイッター上のアカウント名「X1」(絵文字省略)。被告Y 控訴人兼附帯被控訴人(原審第二事件被告)。ツイッター上のアカウント名「Y1」。ツイッター インターネット投稿サイトの一つ。現在の名称は「X」。原審被告A 原審第一事件被告A。ツイッター上のアカウント名「A1」、「A2」又は「A3」。原審被告B 原審第一事件被告BC 原審第一事件における取下げ前の相被告C。ツイッター上のアカウント名「C1」。本件各投稿 被告Y、原審被告A及びCが行った原判決別紙主張整理表記載の各投稿。個別の投稿は、原判決別紙主張整理表記載の各投稿に対応する番号に従い「番号1の投稿」のようにいう。対照表1 本判決別紙当審補充主張対照表1(控訴理由と反論)対照表2 本判決別紙当審補充主張対照表2(附帯控訴理由と反論)
第1 当事者の求めた裁判
1 控訴の趣旨
⑴ 原判決中、被告Y敗訴部分を取り消す。
⑵ 同敗訴部分に係る原告の請求を棄却する。2 附帯控訴の趣旨(主位的附帯控訴)
⑴ 原判決中、原告敗訴部分を取り消す。
⑵ 本件を東京地方裁判所(以下「東京地裁」という。)に差し戻す。(予備的附帯控訴)
⑴ 原判決中、原告敗訴部分を取り消す。
⑵ 被告Yは、原告に対し、280万円及びこれに対する令和4年8月15日
5 から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
1 事案の要旨
⑴ 本件は、原告が、被告Yらによるツイッター上の本件各投稿が、原告の名誉感情、プライバシー権、著作権及び著作人格権を侵害したとして、不法行為に基づく損害賠償請求として、300万円及びこれに対する各不法行為の後である令和4年8月15日から支払済みまで年3%の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。
⑵ 原審第一事件は、原告が原審被告A、原審被告B及びCに対し共同不法行為に基づき損害賠償金の連帯支払を求める事件であり、原審第二事件は、原告が被告Yに対し共同不法行為に基づき損害賠償請金の支払を求める事件である。両事件は、併合審理され、原審第一事件のCに対する請求に係る部分は、原審における訴えの取下げにより終了した。
⑶ 原審は、被告Y及び原審被告Aに対する各請求について、連帯して20万円及びこれに対する令和4年8月15日から支払済みまで年3%の割合による遅延損害金の支払を命ずる限度で認容し、その余の請求を棄却し、原審被告Bに対する請求については全部棄却した。被告Yは、敗訴部分を不服として本件控訴をしたが、原審被告Aは控訴しなかった。原告は附帯控訴して被告Yに対する請求を全額認容するよう求めた。
⑷ したがって、当審における審理の対象は、原告の被告Yに対する請求全部である(ただし、原告は、原審被告A、被告Y及びCが意思を通じ合って原告に対する侮辱その他の不法行為を行った旨主張しているので、その限度では、本件各投稿のうち原審被告A及びCが行った各投稿も審理の対象となる。)。なお、原告は、原審においては、著作者人格権侵害の内容として、同一性保持権のみならず、公表権侵害も主張していたが、当審において、同一性保持権侵害のみを主張する旨、その主張を変更した。
5 2 前提事実前提事実は、原判決の「事実及び理由」中の第2の1(原判決2頁16行目から3頁7行目まで)記載のとおりであるから、これを引用する。なお、引用文中「別紙」とあるのは、原判決別紙の趣旨である。3 争点
⑴ 本件各投稿による権利侵害(名誉感情、プライバシー権、著作権及び著作者人格権)の有無及び共同性
⑵ 損害額4 争点に関する当事者の主張争点に関する当事者の主張は、以下のとおり補正し、後記5のとおり当審における補充主張を追加するほかは、原判決の「事実及び理由」中の第2の3⑴及び⑶(原判決3頁14行目から4頁26行目まで(同頁13行目から21行目までを除く。))記載のとおりであるから、これを引用する。なお、引用文中「争点⑶」とある部分は「争点⑵」と読み替える。(原判決の補正)
⑴ 原判決3頁17行目から20行目末尾までの「原告の著作物である原告の料理の写真を無断で転載したものであり、公表権を侵害し、また、「まずそうな料理」「虫が入っている料理」と理解できるような形で掲載したものであり、同一性保持権を侵害している。」を「原告の著作物である原告の料理の写真を無断で、かつ、侮辱的なコメントを付して転載したものであり、著作者人格権(同一性保持権)及び著作権(複製権及び公衆送信権)の侵害に該当する。」と改める。
⑵ 原判決4頁24行目の「被告らの不法行為に対する慰謝料としては300万円が相当である」を「原告は、被告Yに対し、それぞれの慰謝料額として、名誉感情侵害に基づき100万円、プライバシー侵害に基づき30万円、同一性保持権侵害(著作者人格権侵害)に基づき70万円、複製権・公衆送信
5 権侵害(著作財産権侵害)に基づき100万円の支払を求める」と改める。5 当事者の補充主張
⑴ 控訴理由(被告Y)ア 投稿の違法性について本件各投稿のうち、原判決が被告Yの投稿の違法性を認めた部分についての被告Yの主張は、対照表1の「被告Yの主張」の項記載のとおりである。すなわち、原審が違法と判断した被告Yの各投稿は、①原告を名指しで侮辱的な表現で断言したものではなく他人の投稿の意味合いを確認する程度でしかないこと、②お弁当の具の評価に関する個人的な願望の表現でしかないこと、③生活保護という侮辱ではなく、むしろお嬢様の家柄であるかのように称賛する表現であることから、いずれも社会通念上許される限度を超える侮辱ではない。イ 損害賠償額について原告は、損害賠償請求において証拠として提出するために、ブロックしていた被告Yの投稿をあえて見たものである(乙44)。このような経緯は、仮に被告Yの各投稿が侮辱に当たる場合でも、損害賠償額算定に当たり考慮すべきである。
⑵ 控訴理由に対する原告の反論ア 投稿の違法性について対照表1の「被告Yの主張」に対する原告の反論は、対照表1の「原告の反論」の項記載のとおりである。本件の被告Yの投稿は、いずれも日常的に使われている表現ではなく、被告Yは、執拗に何度も同じような揶揄を繰り返していた。しかも、被告Yを含むグループの複数の者が互いに呼応しあって、原告に対する侮辱をエスカレートさせていた。原告は、一人の主婦にすぎず、被告Yの目的は、公益目的や客観的な評論ではなく、ただ原告を揶揄して、自分自身のストレスを発散しようという不当なもので
5 ある。したがって、被告Yの投稿は、社会通念上、受忍限度を当然超えるものである。イ 損害賠償額について侮辱において、被害者がその表現を見に行ったからといって、加害者の行為の違法性が緩和されることはない。むしろ、本件の被告Yのように、閲覧可能者の範囲を限定せず、原告が見に来ることや原告に伝わることを期待して、誹謗中傷投稿を繰り返していた場合には、違法性が緩和されたり、損害賠償額が減少されたりすることはあり得ないというべきである。
⑶ 附帯控訴理由(原告)ア 判断遺脱について原判決は、著作権侵害の主張について、仮に番号44から50までの各投稿が著作権侵害に当たるとしても、名誉感情の侵害による慰謝料を超える損害が発生するとは認められないから、判断を要しないと判示した。しかし、著作権侵害に基づく慰謝料請求権と名誉感情侵害に基づく慰謝料請求権とは、訴訟物を異にし、一方が成立すれば、他方について成立を要しないという関係にはない。したがって、著作権侵害の成立について全く判断をしなかった原判決には、判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反がある。第一審で審理すべきであったのに、審理されなかった事項を控訴審で審理するのは、審級の利益を害するから、原判決を破棄し、東京地裁に差し戻すべきである。イ 写真の著作物該当性について被告Yが番号44から50までの各投稿において投稿した画像は、いずれも原告が自ら作った料理を撮影し、ツイッターに投稿していた写真(以下「本件写真」という。)の画像であって、立体的な対象物である料理を平面的に表現したものであり、その表現過程には、陰影や奥行きの表現などにおいて思想や感情の移入行為が介在している。したがって、本件写真
5 は、いずれも著作物に該当する。ウ 著作権法違反について以下のとおり、被告Yが番号44から50までの各投稿において、原告に無断で本件写真を投稿するとともに、侮辱的なコメントを付した行為は、同一性保持権(著作権法20条1項)、複製権(同法21条)及び公衆送信権(同法23条)を侵害する。なお、複製権及び公衆送信権の侵害に対し、被告Yは、引用(同法32条1項)の要件を充足する主張をしていない。(同一性保持権侵害について)本件写真は、原告が作った独創的な料理という以外の意味はない。それにもかかわらず、被告Yが、本件写真に付したコメントは、「美味しい」ということを伝えるのではなく、一般読者が見て、「美味しくない」と言いたいのだと理解するものになっている。事実と異なる説明の下に写真を掲載することも同一性保持権侵害になるところ(仙台高裁平成9年1月30日判決・判タ976号215頁)、被告Yの行為は、「著作者の意に反して著作物の変更、切除、その他の改変をした」(同法20条1項)ものとして、同一性保持権侵害に該当する。(複製権侵害について)被告Yは、前記各投稿において、本件写真をダウンロードし、新たな画像ファイルを作成したから、複製権侵害に該当する。(公衆送信権侵害について)被告Yは、本件写真を、不特定多数の者に受信されることを目的としてツイッターに投稿したから、公衆送信権侵害に該当する。エ 投稿の違法性について本件各投稿のうち、原判決が被告Yの投稿の違法性を否定した部分についての原告の主張は、対照表2の「原告の主張」の項記載のとおりである。
5 なお、名誉棄損とは異なり、名誉感情侵害は、その性質上、対象者がその表現をどのように受け止めるのかが決定的に重要であり、対象者が自己に関する表現であると認識することができれば成立し得る。このことは、同定可能性のみならず、投稿の趣旨の理解についても妥当するというべきである。
⑷ 附帯控訴理由に対する被告Yの反論ア 判断遺脱について争う。原審では、著作権侵害の争点についても双方が主張立証し、審理されているから、本件を東京地裁に差し戻す必要はない。イ 写真の著作物性について本件写真は、被写体である料理を単に説明・記録する目的で撮影されたにすぎず、構図、陰影、光の加減等において、ありふれた域を出るものではないから、撮影者たる原告の思想又は感情が創作的に表現されたものとは認められない。したがって、本件写真は著作物には該当しない。ウ 著作権法違反について以下のとおり、仮に、本件写真の著作物性が認められたとしても、著作権法違反は成立しない。(同一性保持権侵害について)被告Yのコメントは、画像データ自体を変更、切除、改変するものではない。当該コメントは、写真とは別個のテキスト情報として投稿されたものであり、著作物の「改変」には当たらない。原告が引用する仙台高裁の判決は、写真に「事実と異なる説明」を付した事案であり、本件のような主観的感想を付す行為とは異なる。(複製権侵害及び公衆送信権侵害について)被告Yは、本件写真を引用し、批評したにすぎないから、複製権侵害・公衆送信権侵害は成立しない。
5 エ 投稿の違法性について対照表2の「原告の主張」に対する被告Yの反論は、対照表2の「被告Yの反論」の項記載のとおりである。
第3 当裁判所の判断
1 争点⑴について
争点⑴についての当裁判所の判断は、当事者の補充主張を踏まえ、原判決の番号15、26~35、44~51、55~61の各投稿に関する判断部分を後記⑴のとおり補正し、後記⑵のとおり当事者の補充主張に対する判断を加えるほかは、原判決の「事実及び理由」の第3の1(原判決5頁2行目から15頁20行目まで)記載のとおりであるから、これを引用する。なお、引用文中「被告A」とある部分は「原審被告A」と読み替えるほか、原判決別紙主張整理表の番号55に対応する「投稿内容」項の「あの伝説の料理人の?」を「あの伝説の料理人?」に、「記載内容」項の「証拠」中の「甲17」を「甲15の1」に改める。
⑴ 原判決の補正
ア 原判決7頁4行目冒頭から13行目末尾までを次のとおり改める。「番号15、26~35、51、55~61の各投稿も、番号44~50の各投稿と同様、原審被告Aと被告Yとのやり取りの中で、皮肉的表現又は反語的表現を用いたり、否定的評価を表す顔文字を付したりするなどして、原告の料理やそのような料理の写真を掲載する原告の人格を揶揄し、否定的な評価や感想を伝えるものである。これらの投稿の内容は、一見すると、原告がツイッター上に公開していた本件写真の料理を対象とし、意見や感想を述べるものにすぎない。「食べかけのせる人?」(番号26)「鴨のローストらしきものを運動会のお弁当に入れる人?」(番号57)等にみられる「~人?」という表現も、それ自体は、あくまで具体的な料理の内容について原告を揶揄するもので
5 あり、また、「隠し味の虫かな?」との投稿(番号51)や、「マヨネー
ズは自分でかけたかった」(番号59)等の投稿も、その表現上は、あくまでも原告の料理に対する意見や感想の範疇のものである。しかしながら、原審被告Aの番号15の投稿、被告Yの番号44~51の各投稿は、令和4年6月5日から13日にかけて、両者が呼応する形で行われたものである(甲14の1から7まで)。被告Yは、同じ13日に、原告が「太りすぎ」であることを意味する内容の投稿(番号43、甲13の9)をし、さらに、原審被告Aと呼応して、原告がデブで風呂にも入らない人間であるという人格攻撃(番号17、18、62、63)を行っている(甲16)。また、同日以降にされた原審被告Aの番号26~35の各投稿、被告Yの番号55~61の各投稿も、同月15日及び16日にかけて、両者が呼応する形で行われたものである(甲15の1及び2)。そして、同月16日の原審被告Aによる「ネグレ○ト」「ぎゃく○い」の各投稿(番号34、35。それぞれ「ネグレクト」「虐待」を意味すると解される。甲15の2)は、原告の料理を食べさせることは子に対するネグレクトや虐待に当たる旨を述べ、原告を侮辱するものであったと認められる。すなわち、前記番号15、26~35、44~51、55~61の各投稿は、原告の人格を侮辱する他の投稿と前後して、又は近接した時期に、かつ執拗に行われたものであるから、表面的には原告の料理に対する意見や感想を述べるようにみえても、その実質は、専ら原告の感情を傷つけ、不快感を与える内容を述べることを目的として行われたことが認められ、かつ、その意図が読者に伝わる内容の投稿と評価するのが相当であり、これを覆すに足りる証拠はない。そうだとすれば、これらの各投稿(被告Yの番号46の投稿に対し原審被告Aが「いぇあ」という肯定的な反応を示した番号14の投稿も含む。)は、これらを全体としてみて、社会通念上
5 許される限度を超える侮辱にあたると認めるのが相当である。」
イ 原判決7頁14行目から16行目までを削除する。ウ 原判決7頁25行目末尾に改行の上、次のとおり加える。「 次に、番号44~50に係る著作権等の侵害について検討する。本件写真(甲14の1から7まで)は原告が撮影したものであるが、写真の構図や陰影等は一義的に決まるものではなく、原告の創意工夫があることが推認されるから、本件写真におよそ創作的表現が含まれていないということはできない。したがって、本件写真は、原告の著作物であり、これに反する被告Yの主張は採用することができない。次に、著作者人格権(同一性保持権)侵害についてみると、弁論の全趣旨によれば、被告Yは、本件写真を原告の承諾なしに複製し、転載したことが認められるものの、転載に当たり、本件写真に改変を加えた事実を認めるに足りる証拠はない。したがって、同一性保持権の侵害は認められない。原告の引用する仙台高裁平成9年1月30日判決は、歴史研究のために撮影された石垣の写真の撮影場所について真実と異なる説明が付された結果、当該写真が真実の被写体とは別の被写体の写真として表示されることになったという事案であるが、本件は、原告の料理の写真がそのまま原告の料理の写真として転載されたにすぎない。転載に当たり被告Yが原告の意に沿わないコメントを付したからといって、原告の料理の写真が変更、切除その他の改変を受け、著作物としての同一性が失われたと認めることはできない。これに反する
(原告の主張)
は採用することはできない。他方、著作権(複製権、公衆送信権)侵害については、被告Yが本件写真を原告の承諾なしに複製し、インターネット上で転載したことが認められる以上、その侵害が成立することは明らかである。被告Yは、引用の抗弁(著作権法32条1項)を主張するが、前記のとおり、被告Yが専ら原告の感情を傷つけ、不快感を与える内容を述べることを目的として番号4
5 4~50の投稿を行ったことが認められる以上、本件写真の引用は、「公
正な慣行に合致」し、かつ、「引用の目的上正当な範囲内」で行われたものには該当しないというべきである。したがって、引用の抗弁は認められない。」
⑵ 当事者の補充主張に対する判断
ア 投稿の違法性について被告Yは、対照表1の「被告Yの主張」のとおり主張するが、この点についての判断は、前記補正の上引用した原判決記載のとおりである。すなわち、番号43の投稿は、関連する前後の投稿を踏まえると、疑問文に仮託して、原告が太りすぎであると揶揄するものと解される。原告の料理に関する各投稿(番号44~51、55~61)は、同時期の他の本件各投稿とあいまって、全体として社会通念上許される限度を超える侮辱にあたると認められる。番号62の投稿は、前後する一連の投稿を踏まえると、疑問文に仮託して、原告を「デブ」「風呂にもろくに入れない」というものと解され、番号63の投稿は、そのような一連の投稿を踏まえ、原告がわざとらしく入浴をアピールしていると嘲笑するものと解される。番号66の投稿は、原告が生活保護者であると侮蔑、嘲笑するものであり、「お嬢様」が皮肉であることは明らかである。これらは、いずれも社会通念上許される限度を超える侮辱に該当するというべきであるから、被告Yの主張は採用することができない。他方、原告は、対照表2の「
(原告の主張)
」のとおり主張するが、いずれも、その表現上、社会通念上許される限度を超える侮辱となるような表現とまでは認められないもの(番号67、52、54、69)又は客観的にみて原告に向けられた表現であると特定することができないもの(番号54、53、68)であり、原告において、これらの表現が主観的に自分に向けられたものとして理解し、名誉感情を傷つけられたというだけでは、
5 侮辱による不法行為の成立を認めるに足りない。したがって、
(原告の主張)
は採用することができない。イ 著作権侵害について前記補正の上引用した原判決記載のとおり、本件写真は著作物であるから、原告の承諾なしに転載した被告Yは、著作権法違反(複製権、公衆送信権)となり、引用の抗弁も認められない。なお、著作者人格権である同一性保持権の侵害は認められないことも前記のとおりである。
2 争点⑵について
ア 侮辱の不法行為による損害について侮辱の不法行為に係る損害の慰謝料についての判断は、原判決の「事実及び理由」の第3の3(原判決15頁25行目から18頁7行目まで)のとおりであるから、これを引用する。なお、引用文中「争点⑶」とあるのは、「争点⑵」と読み替える。イ 著作権法違反の不法行為による損害について本件写真(合計7枚と認められる。)の複製権、公衆送信権侵害による著作権侵害の損害額について、具体的な主張立証はなく、原告は、個人が投稿して反応を楽しむSNSのような場合には一般に財産的損害はなく、無断転載による精神的苦痛があるから、SNSにおける無断転載においては慰謝料請求を認めるべきである旨主張している(原審原告準備書面⑵6頁)。そこで検討するに、著作財産権侵害による精神的損害と著作物人格権侵害による精神的損害とは両立し得るものであって、両者の訴訟物は別である旨の最高裁昭和58年(オ)第516号昭和61年5月30日第二小法廷判決・民集40巻4号725頁の判示の趣旨に照らすと、著作財産権侵害により精神的損害が発生することは否定されない(民法710条参照)。本件において、原告は財産的損害の発生について具体的な主張立証をしていないが、もともと本件写真の著作物としての財産的価値は乏しいと考えられるから、著作財
5 産権の侵害に係る慰謝料の額もこれに応じたものになるはずである。そして、
本件写真の内容、引用の態様その他本件に現れた一切の事情を考慮すると、本件における著作権(複製権、公衆送信権)侵害により原告が受けた精神的損害を慰謝するための慰謝料としては、1万円をもって相当と認める。また、本件において著作者人格権(同一性保持権)の侵害が認められないことは前記のとおりであるから、結局、著作権法違反による原告の損害額は1万円の限度で認められる。ウ 当事者の補充主張について被告Yは、原告は損害賠償請求において証拠として提出するためにブロックしていた被告Yの投稿をあえて見たのであるから、このことを損害賠償額の算定に当たり考慮すべきである旨主張する。しかし、仮にそのような事情があるからといって、被告Yは、原告を含め誰もが読むことができる方法で投稿したのであり、現に原告がそれを読んで名誉感情が侵害された以上、当該事情は被告Yが行った侮辱による損害賠償の額を減額する理由にはならないというべきである。被告Yの主張は、採用することができない。
3 原告のその他の補充主張について
原告は、原判決は、著作権侵害について判断しなかったのであるから、原判決を破棄し、東京地裁に差し戻すべきである旨主張する。著作財産権侵害による損害賠償請求と侮辱による損害賠償請求とは別の訴訟物であり、両者が選択的併合の関係にあったと認められない以上、原判決が著作権侵害によっても、名誉感情の侵害を超える慰謝料が発生しないことを理由に著作権侵害について判断を要しない旨の判断をしたことは相当ではなかったということができる。しかし、原判決は法の解釈適用を誤ったものの、訴えを不適法却下したわけではないから、民事訴訟法307条の必要的差戻し事由には該当しない。本件写真の無断転載による原告の著作権侵害の成否については、原審において、引用の抗弁の成否も含め、口頭弁論が行われており、原判決を取り消す場合でも、
5 この点につき、さらに弁論をする必要があるとまでは認められない。したがっ
て、本件を東京地裁に差し戻すべきである旨の
(原告の主張)
は採用することができない。
4 まとめ
原告の被告Yに対する請求は、侮辱による不法行為による慰謝料として20万円、著作権侵害による慰謝料として1万円、合計21万円及びこれに対する令和4年8月15日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由がある。
第4 結論
以上によれば、原告の被告Yに対する請求は、21万円及びこれに対する令和4年8月15日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払を求める限度で認容すべきところ、これと異なる原判決は相当でないから、本件附帯控訴に基づき、原判決中被告Yに関する部分を主文第3項、第4項のとおり変更することとし、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとして、主文のとおり判決する。知的財産高等裁判所第2部裁判官菊 池 絵 理裁判官頼 晋 一裁判長裁判官清水響は、退官のため署名押印することができない。裁判官菊 池 絵 理(別紙)当審補充主張対照表1(控訴理由と反論)番号 投稿日 投稿内容(絵文字省略) 被告Yの主張 原告の反論 書証侮辱の場合、投稿の意味は、いわゆる一般読者基準ではなく、対象者が、現に持っていた情報の全てを前提として、客観的にどう理解するかによって意味が把握され、違法性が判断される。インターネットにおける書込みの場「太りすぎの?」という投稿は、原告の容姿を揶揄したものではなく、太っていると断言したわけ合、書き込んだ者の意図は、違法性を強める要素にはなっても、弱める要素にはならない。「大体一日100歩も令和4年6月13日 太りすぎの?(絵文字) でもなく、本当に太りすぎなのかという疑問を呈した投稿にすぎない。社会通念上許される限度を 甲13-9あるきもしないデブの正確な体重に情報価値あんの?」「SNSでの恋を引きずるX1さん」等といった原告を揶超える侮辱ではない。揄する投稿に引き続いて行われた「太りすぎの?」という投稿は、「太りすぎだ」との揶揄を新たに重ねたものと理解される。ツイッターでの書込みは短文であるから、侮辱の成否は当該書込みの文言だけでは判断することはできず、一連の書込みの他の書込みの内容や、当該書込みがされた経緯等を考慮して判断される(最高裁平成22年4月13日判決・令和4年6月5日 美味しそうだろ?(絵文字)(定 「美味しそうだろ?」という表現は、美味しそうに見えるだろうという意味合いを含んでおり、侮 民集64巻3号758頁)。被告Yは、一つ一つの料理についての評価を客観的に行っているわけではなく、原告の料理 甲14ー1~~11日 期) 辱的表現ではない。社会通念上許される限度を超える侮辱ではない。 の写真を無断転載した上、わざわざ「(定期)」といった言葉を取り付けた上で、泣き顔の絵文字をつけて「美味 ~6しそうだろ?」と繰り返している。被告Yが原告のことをさんざん揶揄してきたという原告の前提知識をもってすればもちろん、そうでない場合でも、これらの投稿をみれば、誰もが原告の料理を揶揄したものだと理解する。原告の行動を馬鹿にするものであり、社会通念上許される限度を超える侮辱に当たる。被告Yがさんざん原告の料「美味しいを世界にお届け」は、美味しい料理を全世界に向けて投稿した原告を称賛するものであ令和4年6月13日 美味しいを世界にお届け(絵文字) 理を揶揄してきたという原告の前提知識をもってすればもちろん、そうでない場合でも、番号44から49までの 甲14-7り、何ら侮辱的表現ではない。社会通念上許される限度を超える侮辱ではない。各投稿に引き続いてされていることから、誰もが原告の料理を揶揄したものだと理解する。原審被告A(A1)が「左の皿にゴミが落ちていますよ」という食に対する不適切な投稿(番号15)をしたため、被告Yは、世界では昆虫食がブームであり、隠し味として虫を入れる料理もある 常識的な理解を持っている人は、家庭料理に虫が入っているという指摘自体、侮辱と捉えるのであり、この投稿が令和4年6月13日 隠し味の虫かな?(絵文字) 甲14-7ことから、「隠し味の虫かな?」と投稿したものである。隠し味として昆虫食のスパイスを入れる 隠し味として昆虫食のスパイスを入れる料理ではないかと称賛した投稿であると理解する者はいない。料理ではないかと称賛した投稿であり、社会通念上許される限度を超える侮辱ではない。被告Yがさんざん原告の料理を揶揄してきたという原告の前提知識をもってすればもちろん、そうでない場合で「伝説の料理人」は、通常人では作れない料理を作ることができるという肯定的な意味合いの表現令和4年6月15日 あの伝説の料理人?(絵文字) も、番号44から51までの各投稿に引き続いて行われたこの投稿をみれば、誰もが原告の料理の上で前を揶揄し 甲15-1である。したがって、社会通念上許される限度を超える侮辱ではない。たものと理解する。ポテトサラダをタッパーに入れる人という表現は、ただの事実の記載にすぎず、原告の料理に対しポテサラ、タッパーごと人?(絵文令和4年6月15日 て否定的な評価をするものではない。また、原告であると断定もしていない。社会通念上許される 甲15-1字)限度を超える侮辱ではない。被告Yがさんざん原告の料理を揶揄してきたという原告の前提知識をもってすればもちろん、そうでない場合で鴨のローストらしきものを運動会にお弁当に入れる人?という単純に事実の確認にすぎない。鴨の鴨のローストらしきものを運動会の も、番号44から51まで及び番号55に引き続く番号56から58までの各投稿や、これらの各投稿が、同様に令和4年6月15日 ローストらしきものを運動会のお弁当にいれることの是非について論評すらしておらず、原告の料 甲15-1お弁当にいれる人?(絵文字) 原告の弁当を揶揄する他の者の書込み(A2の「食べかけのせる人?」「(絵文字)と竹輪しか食べ物がないお弁理に対して否定的な評価をするものではない。社会通念上許される限度を超える侮辱ではない。当?(絵文字)」「潰れたきゅうりを運動会のお弁当にいれる人?」「食べかけの春巻き入れる人?」等)と呼応ブロッコリーにマヨネーズをかけた状態で運動会のお弁当にいれる人?という単純に事実の確認に し合っていることを見れば、誰もが被告Yが原告の行為を非常識だと揶揄していると理解する。ブロッコリーにマヨネーズかけた状すぎない。ブロッコリーにマヨネーズをかけた状態で運動会のお弁当に入れることの是非について令和4年6月15日 態で運動会のお弁当にいれる人? 甲15-1論評すらしておらず、原告の料理に対して否定的な評価をするものではない。社会通念上許される(絵文字)限度を超える侮辱ではない。マヨネーズは自分でかけたかった マヨネーズは自分でかけたかったという被告Yの願望や意見でしかなく、原告の料理に対して否定令和4年6月16日 甲15-2(絵文字) 的な評価をするものではない。社会通念上許される限度を超える侮辱ではない。被告Yがさんざん原告の料理を揶揄してきたという原告の前提知識をもってすればもちろん、そうでない場合でミニトマトは真ん中に入れてほしく ミニトマトは真ん中に入れてほしくなかったという被告Yの願望又は意見にすぎず、原告の料理に も、番号44から51まで、番号55から58までに引き続く番号59から61までの各投稿や、これらの各投稿令和4年6月16日 甲15-2なかった(絵文字) 対して否定的な評価をするものではない。社会通念上許される限度を超える侮辱ではない。 が、同様に原告の弁当を揶揄する他の者の書込み(A2の「ちくわも袋にいれたままが良かった(絵文字)「アスパラはベーコンに合わせて切って(絵文字)」「その横にある焦げた物体が分からない(絵文字、絵文字)」等)どうせならポークヴィッツも楊枝さ どうせならポークヴィッツに楊枝を指してほしいという被告Yの願望又は意見にすぎず、原告の料 と呼応し合っていることを見れば、誰もが被告Yが原告の非常識さを揶揄していると理解する。令和4年6月16日 甲15-2してほしかった(絵文字) 理に対して否定的な評価をするものではない。社会通念上許される限度を超える侮辱ではない。先行の投稿者「D」が「大体1日100歩もあるきもしないデブの正確な体重に情報価値あんの?45のオバサンだよ?」「彼女はろくに風呂にも入れない気の毒な人だから汚くても仕方ないヤン この投稿は、Dの投稿「風呂に入れない」について疑問を呈しているものではなく、Dによる揶揄に同調したものX1はデブで風呂もろくにはいれな令和4年6月13日 グケアラーに介助されてる」と投稿した。被告Yは、Dの投稿内容を確認する意味で、X1という であり、「風呂にろくに入れない」というさらにその理由について「デブだから」と付け加えているところが侮辱 甲16い?(絵文字)人物は「デブで風呂にもろくに入れない?」という疑問符をつけて投稿したにすぎず、原告が風呂 に当たる。にも入れないと評価していない。したがって、社会通念上許される限度を超える侮辱ではない。番号 投稿日 投稿内容(絵文字省略) 被告Yの主張 原告の反論 書証番号62の投稿に引き続くこの投稿をみれば、原告のみならず、誰もが被告Yは、原告が風呂に入れないと揶揄さ原告が「基本朝風呂派です」という投稿をし、お風呂に入る旨を全世界に発信したことから「お風れたとたん慌ててアピールしたと述べているものと理解するのであり、現に原審被告A(A1)は、番号63の投令和4年6月13日 お風呂アピール(絵文字) 呂アピール」と原告が投稿した事実をそのまま投稿したにすぎない。侮辱的表現ではなく、社会通 甲16稿を受けて、そのとおり「お風呂に入っていない(絵文字)と言われ慌ててアピール(絵文字)」(番号17)と念上許される限度を超える侮辱ではない。反応している。確かに(絵文字)肉は月2回肉の卸 原告は令和4年3月8日「休職中だけど、思ってる以上に収入と蓄えは有るのよ」と投稿している3か月前の投稿とどういう関係があるのか不明であり、番号66の投稿は、どう読んでも月2回のお買い得日に肉業者みたいな所がやるお買い得日に (乙43)。そこで被告Yは、原告を生活保護受給者ではなく収入が相当程度ある裕福なお嬢様のを購入してお金を節約しており、生活保護受給者には使えるお金に限界があると述べるものである。ネットユー令和4年6月13日 購入してるみたいだけどね(絵文 家柄という趣旨で「お嬢様」「生ポだと限度あるしね」と投稿した。本件投稿は、原告が生活保護 甲17-11ザーが「生ポ」と表現するのは、生命保険の省略(生保)でないことを明確にし、生活保護受給者に対する揶揄で字)お嬢様…(絵文字)生ポだと限 受給者であると断じたものではなく、むしろお嬢様のような裕福な家柄と表現しているから社会通あることを強調しているのである。度あるしね…(絵文字) 念上許される限度を超える侮辱ではない。(別紙)当審補充主張対照表2(附帯控訴理由と反論)番号 投稿日 投稿内容(絵文字省略)
(原告の主張)
被告Yの反論 書証この投稿は、「ヤバい」と述べたにとどまらず、顔の上下がさかさまになった絵文字や、手え?え?え?(絵文字)それあ 本件投稿は、原告の長男の行動に対する素朴な感想を述べたものにを口に当てて考えている絵文字、さらには、正気でない様子の絵文字もついているのであ令和4年6月13日 り?(絵文字)ヤバイな(絵文 すぎず、一般の読者の通常の注意と読み方を基準としても、原告が 甲17-4り、これを一般読者が見た場合、これらの絵文字があることにより、原告の長男の行動が字) 主張するような意味合いは読み取れない。「常軌を逸している」「正気の沙汰ではない」といったことをイメージするのである。名誉感情侵害は、その性質上、対象者が当該表現をどのように受け止めるのかが重要であるから、対象者が自己に関する表現であると認識することができれば成立し得る。被告YやD 一般の読者が、このような抽象的表現をもって、原告を名指しする令和4年6月16日 迷える子豚?(絵文字) は、それぞれ呼応しあって、原告やその仲間を「村A」と呼んで揶揄していた。番号43 ものと認識し得たことを示す客観的証拠はなく、同定可能性の立証 甲14-8(太りすぎの?)、番号52(迷える子豚)、番号54(巨漢村)の各投稿は、いずれも原 は尽くされていない。告の体形を揶揄するということで同趣旨であり、これらの各投稿を見ていた原告は、そのよ令和4年6月15日 巨漢村(絵文字) うに受け止めてしかるべきなのである。 同定可能性が認められない。 甲14-10この投稿は、この投稿が引用するURLにある原告らとEとのトラブルと、原告が出した謝罪文(甲21-6)についての揶揄の中で出されたもの(甲53)であり、この投稿の直前に、被告YとFが原告らのことについて揶揄していたことから、この「気色悪い」が原告を含む村 同定可能性が認められない。原告を含むグループを指すものだとし前々から気色悪いなと思ってた令和4年7月2日 Aのメンバーであることは明らかである。侮辱は、その性質上、事実適示ではなく、意見・ ても、その言動に対する意見・評価であり、社会通念上許される限 甲14-9よ(絵文字)評価だから社会通念上許される限度を超えないということはできない。言動全般に対する評 度を超える侮辱とはいえない。価であれば、結局のところ人格に対する評価になるのであり、この投稿の「気色悪い」は、原告を含む村Aのメンバーに対する人格攻撃に該当する。この投稿は、原告らとC1との間のやり取りに関し、不審垢グループのDらが、村Aのメンバーのことをどれだけ酷く表現することができるかを面白がって競い合った中で、出てきた同定可能性が認められない。特定の誰に向けられたものか不明であ言葉である(甲54)。これまでの被告Y、Dその他の不審垢グループのメンバーの投稿を見令和4年6月14日 いや鬼畜生だね(絵文字) る以上、人格攻撃と断定することはできず、強い嫌悪感の表明にす 甲17-6ている原告は、自分を含む村Aのメンバーに向けられていると考えるのであり、そのようにぎない。受け止めてしかるべきなのである。鬼畜生という言葉は、メンバーに対する人格攻撃に当たる。「大したタマ」だという表現は、暴力団員が相手を威嚇恫喝するときに使われる。表面上は肯定的なものであるが(甲55)、サングラスを付けている絵文字が加わっていることや、この投稿に対し、Fが「正直、想像を絶する程の基地を超越した外なんだろうな…」という侮一般的な言語感覚から著しく乖離した主張であり、当該表現は、文辱的投稿をしていることなどから、その真意は、原告のことを無神経だと揶揄しているもの脈により「大物だ」「大胆不敵だ」「たいした度胸だ」といった皮令和4年7月2日 大したタマですわ(絵文字) であることは、一般読者基準で理解することができる。また、侮辱の場合は、対象者がその 甲18-3肉、揶揄、感嘆など多様な意味に用いられる。原告が主張する「威表現をどのように受け止めるかが重要であり、その前提事実としては、対象者が有していた嚇恫喝」などの評価は独自の解釈にすぎない。情報の全てが考慮されるところ、被告Yのこれまでの書き込みに照らし、原告は、被告Yが原告のことを無神経であると揶揄していると受け止めるのであり、この意味での「大したタマ」は、原告に対する人格攻撃に当たる。
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