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令和7(ワ)5592

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裁判所 一部認容 大阪地方裁判所
裁判年月日 令和8年2月3日
事件種別 民事
当事者 原告
被告
法令 民法709条3回
著作権法114条3項1回
キーワード 侵害5回
損害賠償3回
許諾1回
主文 1 被告は、原告に対し、36万円及びこれに対する令和7年6月18日から支払
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は、これを2分し、その1を被告の負担とし、その余を原告の負担と
4 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。
事件の概要 1 本判決における呼称 (1) 本件イラスト:別紙「著作物目録」に掲げるイラスト (2) 本件著作権:本件イラストに係る著作権 (3) 原告ウェブサイト:原告管理に係るウェブサイト (4) アートバンク:株式会社アートバンク (5) 被告アカウント:SNS「X」の、被告が管理するアカウント( A ) (6) 被告サイト:被告が管理するウェブサイト( B ) (7) 被告サイト等:被告アカウント及び被告サイトの総称 (8) 本件掲載行為:令和3年1月頃から令和7年5月頃までの間、 行われた、 被 告サイト等における本件イラストの掲載行為 2 原告の請求 本件著作権を有する原告の、本件イラストを無断掲載した被告に対する、複製

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判決文

令和8年2月3日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官
令和7年(ワ)第5592号 損害賠償請求事件
口頭弁論終結日 令和7年12月17日
判 決
原告 X
同訴訟代理人弁護士 大西康嗣
同訴訟復代理人弁護士 矢倉良浩
10 被告 Y
同訴訟代理人弁護士 西山良紀
主 文
1 被告は、原告に対し、36万円及びこれに対する令和7年6月18日から支払
済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。
15 2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は、これを2分し、その1を被告の負担とし、その余を原告の負担と
する。
4 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。
事 実 及 び 理 由
20 第1 請求
被告は、原告に対し、72万円及びこれに対する令和7年6月18日から支払済み
まで年3パーセントの割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
1 本判決における呼称
25 (1) 本件イラスト:別紙「著作物目録」に掲げるイラスト
(2) 本件著作権:本件イラストに係る著作権
(3) 原告ウェブサイト:原告管理に係るウェブサイト
(4) アートバンク:株式会社アートバンク
(5) 被告アカウント:SNS「X」の、被告が管理するアカウント( A

5 (6) 被告サイト:被告が管理するウェブサイト( B )
(7) 被告サイト等:被告アカウント及び被告サイトの総称
(8) 本件掲載行為:令和3年1月頃から令和7年5月頃までの間、行われた、被
告サイト等における本件イラストの掲載行為
2 原告の請求
10 本件著作権を有する原告の、本件イラストを無断掲載した被告に対する、複製
権及び公衆送信権侵害の不法行為(民法709条)に基づく損害賠償72万円及
びこれに対する不法行為の後の日である訴状送達の日の翌日(令和7年6月18
日)から支払済みまでの民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の附
帯請求
15 3 前提事実(争いのない事実、掲記の証拠(番含 む。)及び弁論の全趣旨によ
り容易に認定できる事実)
(1) 当事者
ア 原告は、イラスト作成を業とするイラストレーターであり、著作物である
本件イラストの著作権者である(甲1、2、弁論の全趣旨)。
20 イ 被告は、神戸市内において探偵業・調査業等を営む個人事業主である。
(2) 本件イラストの公表等
ア 原告は、令和3年頃、本件イラストを作成し、原告ウェブサイトに掲載し
た(甲1、2、4)。
イ 原告は、令和3年当時、本件イラストの利用料に関する管理業務をアート
25 バンクに委託していた。アートバンクのウェブサイトでは、ウェブサイトや
SNSでイラストを使用する場合の利用料は、1年以内で6万円(消費税抜)
とされていた。(甲5、6)
(3) 本件掲載行為
被告は、令和3年1月頃から令和7年6月18日までの間、本件アカウント
のプロフィール画像として本件イラストを使用していた。また、本件サイトに
5 は、本件アカウントの投稿が、そのプロフィール画像とともに表示されるよう
になっていた。(甲3、乙1)
4 争点
(1) 被告が不法行為責任(民法709条)を負うか(争点1)
(2) 原告の損害額(争点2)
10 第3 当事者の主張
1 被告が不法行為責任を負うか(争点1)
【原告の主張】
被告は、第三者が著作権を有しうるイラストを使用する際、その著作権の帰属
や利用条件について十分に調査・確認すべき注意義務があったにもかかわらずこ
15 れを怠り、本件サイト等に本件イラストを掲載させる本件掲載行為に及んだ。
よって、被告は、過失によって原告の著作権を侵害したものであり、不法行為
責任を負う。
【被告の主張】
被告は、原告ウェブサイトからではなく、有料会員登録をし、日ごろ、イラス
20 トをダウンロードしているウェブサイトから本件イラストをダウンロードした。
そのため、被告は、同サイトから、有料会員として使用を許諾されたか、無料で
使用できる画像であると信じて、本件掲載行為に及んだ。
よって、被告は、過失なく、本件掲載行為に及んだものであるから、不法行為
責任を負わない。
25 2 原告の損害額(争点2)
【原告の主張】
(1) 著作権の行使について受けるべき金銭の額
被告は、令和3年1月頃から令和7年5月頃までの間、原告の承諾を得るこ
となく、本件イラストを被告サイト等に掲載した。
原告が本件イラストの利用料の管理業務を委託しているアートバンクでは、
5 本件イラストをウェブサイトやSNSで利用する場合、1年あたり6万円(税
抜)の利用料の支払を求め、無断使用については厳正な対応を講じることを明
言していること、本件イラストが被告アカウントのプロフィール画像として使
用され続けたという態様等を踏まえると、被告の著作権侵害は悪質なものとい
わざるを得ず、原告が、著作権の行使について受けるべき金銭の額は、上記掲
10 載期間(5年以内)の利用料相当額の33万円(=6万円×110%×5年)
の2倍である66万円とすることが相当である。
(2) 弁護士費用
原告が、上記(1)の66万円の支払を被告に請求するために必要かつ相当な弁
護士費用は6万円である。
15 (3) 合計 72万円
【被告の主張】
争う。
被告の使用形態等を踏まえても、原告に生じた損害の額は1万円とすることが
相当である。
20 第4 当裁判所の判断
1 争点1(被告が不法行為責任を負うか)について
弁論の全趣旨によれば、被告は、本件イラストがいわゆるフリー素材(無料イ
ラスト)であるものと誤信して本件掲載行為に及んだと認められるが、被告は、
本件イラストの内容等からして、フリー素材と即断するのではなく、著作権の帰
25 属等について調査・確認を尽くすべきであったにもかかわらず、これを怠ったも
のというほかないから、かかる行為は、過失により本件イラストに係る原告の著
作権(複製権及び公衆送信権)を侵害したものとして、不法行為(民法709条)
が成立する。
これに反する被告の主張は採用できない。
2 争点2(原告の損害額)について
5 (1) 著作権の行使について受けるべき金銭の額
原告は、本件掲載行為により生じた損害につき、本件イラストの著作権の行
使につき受けるべき金銭の額に相当する額を自己が受けた損害の額として賠償
請求している(著作権法114条3項)ので検討するに、本件イラストの内容
や原告が実績のあるイラストレーターであること(甲9)、本件掲載行為の期
10 間に加え、掲載開始時から終了時に至るまで、被告の事業におけるアイコンと
して利用され、その利用価値が経時的に変化したものではないこと等を踏まえ
ると、本件掲載行為がなされた期間を通じた全体の損害額は、33万円とする
ことが相当である。
この点、原告は、アートバンクにおける正規使用料(33万円)の2倍に相
15 当する額とすべきである旨主張するが、他の取引事例(甲10、11、乙4、
5)も踏まえれば、上記算定をもって損害額とするのが相当であって、原告の
上記主張は採用できない。
(2) 弁護士費用
被告による本件著作権侵害と相当因果関係のある弁護士費用は、本件の認容
20 額等の事情を考慮して3万円と認められる。
(3) 合計 36万円
第5 結論
以上によれば、原告の請求は、被告に対し、不法行為に基づく36万円の損害賠
償金及び不法行為の後日である令和7年6月18日から支払済みまで民法所定の年
25 3パーセントの割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからその限
度で認容し、その余は理由がないから棄却することとし、訴訟費用の負担について
民訴法64条本文、61条を適用して、主文のとおり判決する。
大阪地方裁判所第21民事部

裁判長裁判官
松 川 充 康
裁判官
島 田 美 喜 子
裁判官
西 尾 太 一

※別紙「著作物目録」は添付を省略した

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