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令和7(ワ)2593損害賠償等請求事件

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裁判所 一部認容 大阪地方裁判所
裁判年月日 令和8年2月12日
事件種別 民事
当事者 原告株式会社グローブ
被告コンピュータ・システム株式会社
法令 不正競争
キーワード 損害賠償6回
主文 1 被告は、原告に対し、55万円及びこれに対する令和6年11月1日から支払
2 原告と株式会社神和商事との間で令和5年11月1日に株式会社トプコン製
3Dマシンコントロールシステムの売買契約を締結したことによる原告の被告
3 原告のその余の請求を棄却する。
4 訴訟費用はこれを2分し、その1を原告の、その余を被告の負担とする。
5 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。
事件の概要 1 本判決における呼称(証拠番号については枝番を含む。以下同じ) (1) トプコン:測量機器メーカーである株式会社トプコン (2) トプコンPJ:トプコンの製品の販売子会社である株式会社トプコンソキ アポジショニングジャパン (3) 神和商事:株式会社神和商事 (4) コマツCS:コマツカスタマーサポート株式会社 (5) 本件システム:トプコン製のブルドーザの3Dマシンコントロールシステ ム (6) 本件売買契約:原告を売主、 神和商事を買主として、 令和5年11月1日に 締結された本件システムの売買契約 (7) 本件行為1ないし3:後記の被告代表者の各行為 (8) 本件各行為:本件行為1ないし3の総称 (9) 不競法:不正競争防止法

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判決文

令和8年2月12日判決言渡 同日原本受領 裁判所書記官
令和7年(ワ)第2593号 損害賠償等請求事件
口頭弁論終結日 令和7年12月18日
判 決
原 告 株式会社グローブ
同代表者代表取締役
同訴訟代理人弁護士 日下部太一
同訴訟復代理人弁護士 柴田大樹
被 告 コンピュータ・システム株式会社
同代表者代表取締役 (以下「A」)
主 文
1 被告は、原告に対し、55万円及びこれに対する令和6年11月1日から支払
15 済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。
2 原告と株式会社神和商事との間で令和5年11月1日に株式会社トプコン製
3Dマシンコントロールシステムの売買契約を締結したことによる原告の被告
に対する不法行為に基づく損害賠償債務が存在しないことを確認する。
3 原告のその余の請求を棄却する。
20 4 訴訟費用はこれを2分し、その1を原告の、その余を被告の負担とする。
5 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。
事実及び理由
第1 請求
1 被告は、原告に対し、330万円及びこれに対する令和6年11月1日から支
25 払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。
2 主文第2項同旨
第2 事案の概要
1 本判決における呼称(証拠番号については枝番を含む。以下同じ)
(1) トプコン:測量機器メーカーである株式会社トプコン
(2) トプコンPJ:トプコンの製品の販売子会社である株式会社トプコンソキ
5 アポジショニングジャパン
(3) 神和商事:株式会社神和商事
(4) コマツCS:コマツカスタマーサポート株式会社
(5) 本件システム:トプコン製のブルドーザの3Dマシンコントロールシステ

10 (6) 本件売買契約:原告を売主、神和商事を買主として、令和5年11月1日に
締結された本件システムの売買契約
(7) 本件行為1ないし3:後記の被告代表者の各行為
(8) 本件各行為:本件行為1ないし3の総称
(9) 不競法:不正競争防止法
15 (10) (原告の取締役):B
2 訴訟物
原告が、本件売買契約を締結したことに関し、
(1) 被告の代表者であるAによる本件各行為が、いずれも、被告による不競法
2条1項21号に該当する虚偽の事実の告知又は流布に該当することを前提
20 とする、同法4条に基づく330万円の損害賠償請求及び同額に対する不正競
争行為の後の日である令和6年11月1日から支払済みまで民法所定の年3
パーセントの割合による遅延損害金の附帯請求
(2) 被告の原告に対する不法行為に基づく損害賠償債務が存在しないことの債
務不存在確認請求
25 3 前提事実(争いのない事実及び証拠により容易に認定できる事実)
(1) 当事者
ア 原告は、機器類の販売及びレンタルを事業内容とする会社である。
イ 被告は、機器類の販売を事業内容とする会社である。Aは被告の代表取締
役に就任している。
ウ 原告及び被告は、いずれも、トプコンPJの販売代理店である。
5 (2) 本件売買契約に至る経緯
ア コマツCSは、令和4年、神和商事に対し、ブルドーザに関するICTシ
ステム(本件システムは、ブルドーザに関するICTシステムである。)の導
入に関する営業を行っていた。
イ 原告は、コマツCSから、上記アの見積もり依頼を受け、これに応じて見
10 積書を提出した。
ウ 被告は、令和5年頃、神和商事に対し、ブルドーザに関するICT導入の
営業を開始した。原告は、同年11月1日、神和商事との間で、本件売買契
約を締結した。
(3) Aの行為(本件各行為)
15 ア Aは、令和6年8月頃、トプコンの代表者に対し、①被告が神和商事に対
して本件システムの販売営業を行っていたにもかかわらず、原告が、商慣習
上のルールを破り、神和商事と直接取引をし、被告に損害を与えた、②トプ
コンから、原告から被告へ損害賠償金を支払わせること及びトプコン製品の
販売代理店である原告に何らかのペナルティを課すことを求めるとの内容
20 の文書を送付した(本件行為1。乙6、8ないし10)。
イ Aは、令和6年10月23日、トプコン西日本販売責任者会議が開催され
た場で、原告取締役であるBに対し、被告が神和商事に対して本件システム
の販売営業を行っていたにもかかわらず、原告が、商慣習上のルールを破っ
て神和商事と直接取引をしているとし、原告が、被告と神和商事の取引を横
25 取りした泥棒であると発言した(本件行為2。発言の内容については争いが
ないが、態様については争いがある。)。

ウ Aは、令和6年10月頃、トプコンPJに対し、原告が神和商事との間で
本件売買契約を締結するため、トプコンPJの担当者に対し、不正なリベー
トを交付したとの事実を告知した(本件行為3)。
(4) 被告の請求等
5 被告は、令和6年8月20日、トプコンに対し、原告が神和商事との間で本
件売買契約を締結したことが、商慣習上のルールに違反するものであるが、ト
プコンが何らこれを取り締まらないとして、163万8000円の支払を求め
たが拒絶された(乙7ないし10)。
その後、被告は、同年11月14日、原告に対し、本件売買契約が締結され
10 たことによって生じた損害約313万7000円の半分の支払を求めたが(
(乙
11)、原告は、理由がないものとして争っている。
4 争点
(1) 原告が本件売買契約を締結したことが、被告に対する不法行為に該当する
ものであるか(争点1)
15 (2) 本件各行為が不競法2条1項21号に該当する競争関係にある他人の営業
上の信頼を害する虚偽の事実を告知又は流布したものといえるか(争点2)
(3) 原告に生じた損害及びその額(争点3)
第3 争点に関する当事者の主張
1 争点1(原告が本件売買契約を締結したことが、被告に対する不法行為に該当
20 するものであるか)について
【原告の主張】
(1) 被告が神和商事から受注を受ける機会を喪失していたこと
被告は、神和商事に対し、本件システムの導入に関する営業を行っていたが、
アポイント無しで営業を行うなどしたことから、同社からの信頼を得ることが
25 できず、同社は、令和5年4月末日頃、被告に対し、被告から購入しない旨を
告げた。
よって、被告は、本件売買契約締結当時、神和商事から本件システムの受注
を受ける機会を喪失していた。
(2) 本件売買契約は何ら不法行為に当たらないこと
(1)に加え、原告は、本件システムの販売代理店であると同時に、サポート体
5 制も整えており、被告では困難であった本件システムのサポートも担当するこ
とができたことから、神和商事は、サポート体制が整った原告と直接取引をす
ることを希望した。
そこで、原告は、神和商事と原告を仲介したコマツCSの了承を得たうえで、
神和商事と直接取引をすることとし、本件売買契約を締結した。
10 このように、本件売買契約は、被告が神和商事から失注した後、顧客である
同社の選択に基づいて締結されたものであるから、何ら商慣習上のルールに違
反するものではなく、これを締結したことが、被告に対する不法行為に該当す
ることはない。
【被告の主張】
15 (1) 被告と神和商事の商談の状況
被告は、令和5年4月27日、神和商事に対し、コマツCSの担当者も同席
していた場で、本件システムの導入に関する営業を行った。その際、神和商事
は、本件システムを被告から導入することを決定した。ただし、導入に際し、
補助金の申請等も合わせて行うこととなったが、その申請のためには1年以上
20 の時間を要することから、なお、被告に対して発注することを前提として、見
積書の作成などの話合いが続いていた。
よって、被告は、本件売買契約締結当時、神和商事から本件システムの受注
を受ける機会を喪失していなかった。
(2) 原告による顧客の違法な奪取
25 トプコンの販売代理店間では、互いに相互協力すべき義務があり、受注前提
で営業を行っている者がいる場合、その取引に介入しないようにすべき商慣習
上のルールが存在した。
それにもかかわらず、原告は、被告との契約が決まっていた神和商事と直接
取引を行い、本件売買契約を締結したものであり、これによって、被告は、本
件システムの販売機会を喪失するなどの損害を被った。
5 よって、原告が本件売買契約を締結したことは、商慣習上のルールに違反し
ており、被告に対する不法行為に該当する。
2 争点2(
(本件各行為が不競法2条1項21号に該当する競争関係にある他人の
営業上の信頼を害する虚偽の事実を告知又は流布したものといえるか)について
【原告の主張】
10 (1) 競争関係の有無について
被告は、本件システムの導入に関し、原告から製品の卸を受け、これを販売
する立場であったが、原告と被告は、いずれも、本件システムの売主になり得
る立場であり、競争関係が存在する。
(2) 本件行為1について
15 本件行為1は、原告が商慣習上のルールに違反する不正な取引をしたとの虚
偽の事実をトプコンに告知したものであり、原告の営業上の信頼を害したもの
である。
(3) 本件行為2について
本件行為2は、他の販売代理店の役職者にも聞こえるよう、本件売買契約を
20 締結したことを指して、原告が、被告と神和商事の取引を横取りした「泥棒」
であると大声で発言するとの態様でされたものであり、原告が商慣習上のルー
ルに違反する不正な取引をした「泥棒」であるとの虚偽の事実を、トプコン製
品の販売代理店の関係者に対し、流布したものであって、原告の営業上の信頼
を害したものである。
25 (4) 本件行為3について
本件行為3は、原告がトプコンPJの担当者に対し、被告と神和商事との取
引を失注させるために不正なリベートを支払ったとの虚偽の事実を告知した
ものであり、原告は、その釈明のため、ヒアリング等に応じなければならなく
なった。よって、原告の営業上の信頼を害したものである。
【被告の主張】
5 (1) 競争関係の有無について
被告は、本件システムの導入を原告から行う必要があった。よって、本件シ
ステムの導入に関し、原告と被告は、卸と小売の関係に立つから、競争関係が
存在しない。
(2) 本件行為1について
10 本件行為1は、トプコンに対し、原告がトプコン製品の代理店としてのルー
ルを無視した経緯に関する事実を述べ、代理店としての資格があるのかを問う
ただけのものであり、虚偽の事実を告知したものではない。
(3) 本件行為2について
Aの発言内容は認めるが、休憩中の立ち話程度のものであり、多数の取引先
15 に印象付けるようなものではなかった。
(4) 本件行為3について
本件行為3は、トプコンPJに対し疑問を呈したのみであり、流布はしてい
ない。
3 原告に生じた損害及びその額(争点3)
20 【原告の主張】
本件各行為は、原告の長年の取引先であるトプコンPJに対し、原告が商慣習
を軽視する不誠実な企業であるとの印象を与えるものである。また、本件行為2
は、トプコン製品の販売代理店他社に対し、原告が不誠実な企業であるとの印象
を与えるものであり、これらの代理店が、原告からの仕入を控えるおそれも生じ
25 るものであった。このように、本件各行為は、原告から見て川上、川下に該当す
る企業に対し、原告の営業上の信用を失わせるものであり、現に、令和6年10
月から令和7年3月までの原告の測量機器関連の売上が、令和5年10月から令
和6年3月までのものに比して1億円(24パーセント)程度減少した。また、
原告には、信用毀損に伴う無形損害が生じた。
このような無形損害の金額を金銭評価するならば、本件各行為それぞれについ
5 て100万円の合計300万円及び同額を被告に請求するために必要かつ相当
な弁護士費用30万円を加えた330万円である。
【被告の主張】
争う。
第4 裁判所の判断
10 1 争点1(原告が本件売買契約を締結したことが、被告に対する不法行為に該当
するものであるか)について
(1) 被告と神和商事間の商談について
証拠(甲11、12、乙2ないし5、証人B、被告代表者A(
(認定に沿わな
い部分を除く。))及び弁論の全趣旨によると、令和5年頃、神和商事が、本
15 件システムの導入を検討するにあたり、被告が営業を行っていたこと、原告も、
これに先立ち、トプコンPJの依頼を受けて見積を出すなどして当該商談に関
与していたこと、同年4月27日に、被告の担当者、トプコンPJやコマツC
Sの担当者、神和商事の代表者のほか、中小企業診断士等が同席した会合が持
たれ、導入する機器や補助金等について議論されたこと、同年5月29日に被
20 告代表者Aが神和商事に再訪問の機会を求める電子メールを送り、同年6月1
2日付けの神和商事宛て見積書を作成したりしていたことは認められる。
他方、同年4月27日を含め、本件において被告と神和商事間の本件システ
ムの売買について成約したことはおろか、被告作成の上記見積等に神和商事が
何等かの応答をしたことを認めるに足りる証拠はない(
(被告代表者Aは、被告
25 の見積に神和商事から応答がなかったことを自認している。)。
そうすると、被告が、神和商事への本件システムの売買に関し、売主その他
何らかの法的保護に値する地位にあったと認めることも困難である。
むしろ、前掲証拠によると、神和商事は、令和5年5月頃には、被告のサポ
ート態勢や営業姿勢に問題を感じて、被告から本件システムを購入しないこと
を決め(これ自体にも契約自由の観点から特に問題となる点は見出し難い)、
5 被告からの見積書の提出その他電話等による接触にもまともに応答していな
かったことがうかがわれるのであって、これらの事情からすれば、本件売買契
約に先立って、被告が本件システムの売買契約を締結できる余地はなかったも
のと認められる。
(2) 原告による本件売買契約の締結について
10 前記(1)の本件売買契約に先立つ被告のおかれた客観的状況に加え、原告は、
神和商事が被告と契約する意思がないことを慎重に確認しつつ、神和商事やコ
マツCSの意向を踏まえて本件売買契約に至ったことが認められる(甲12、
乙10、証人B)。
このような状況でされた本件売買契約について、何ら違法な点はない。
15 (3) 被告の主張について
被告は、トプコン製品の販売代理店間には、互いに相互協力すべき商慣習上
の義務があり、本件売買契約は、かかる義務に違反して締結されたものである
と主張する。しかし、被告代表者A自身、当事者尋問において、トプコン製品
の販売代理店間で、そのような商慣習が存在していたことを示す文書はなく、
20 むしろ、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律上の問題が生じうる
ものであるから、紳士協定的な運用があったものと供述しているように、被告
が主張する商慣習は、法規範性を有するものとは到底認められない。
(4) 小括
以上から、原告に本件売買契約に関する不法行為はなく、これを原因とする
25 債務の不存在確認請求は理由がある。
2 争点2(本件各行為が不競法2条1項21号に該当する競争関係にある他人の
営業上の信頼を害する虚偽の事実を告知又は流布したものといえるか)について
(1) 競争関係の有無について
被告が、原告から製品の卸を受け、これを販売する立場である一方、原告も
本件売買契約を締結することが可能であったとおり、顧客との間で直接取引を
5 することがあったのであるから、原告と被告は、競争関係にあるといえる。
(2) 本件行為1について
前記のとおり、原告が本件売買契約を締結したことは何ら違法ではなかった
ところ、被告が本件行為1をもってトプコンに告知した内容が虚偽であること
は容易に知り得たものである。
10 また、本件行為1の告知内容は、原告が、契約交渉中の当事者に介入し、自
ら契約を受注するように仕向けたという、不誠実な取引をなす者であるという
ものであるから、原告の営業上の信頼を害したものであると認められる。
よって、本件行為1は、不競法2条1項21号に定める虚偽事実の告知に該
当する。
15 (3) 本件行為2について
ア 本件行為2の態様
原告は、Aが、本件行為2について、周囲に聞こえるような大声で述べた
ものであったと主張し、被告は、休憩中の立ち話程度のものであったと主張
する。
20 この点、証拠(乙11、12、15、16)によれば、被告は、原告から
本件行為2について指摘された当初、「公然と」原告の名誉、信頼を毀損す
る行為をしたことについて「頭に血が上り」発言したことを認め、その後、
大勢の前で詳しく話をしたわけではないと付記しつつも、
「頭に血が上って」

本件行為2に及んだことを自認しており、被告代表者Aの当事者尋問でも、
25 そのような心情の中、本件行為2に及んだこと自体は認めている。また、被
告代表者Aが、本件行為2に及ぶに際し、他に聞こえないようにするなどの
配慮をしたこともうかがえない。
これからすると、Aは、トプコン製品の販売に関係する者が集まるトプコ
ン西日本販売責任者会議において、感情の赴くままに本件行為2に及んだも
のであって、周囲の者がその内容を覚知し得るものであったと認められる。
5 イ 不正競争該当性
本件行為2は、トプコン西日本販売責任者会議という、トプコン製品の販
売に関係する者が集まっている場所で、これら関係者が了知可能な態様で、
原告が、同製品の取引に関し、不誠実な取引をしたという事実を述べるもの
であり、これによって、原告との取引を検討する者が生じうるものであるか
10 ら、原告の営業上の信頼を害したものであると認められる。
被告の主張は、原告が商慣習上のルールに違反したという誤った前提に立
つものであり採用できない。
よって、本件行為2は、不競法2条1項21号に定める虚偽事実の流布に
該当する。
15 (4) 本件行為3について
本件行為3は、原告が本件売買契約を締結するために、トプコンPJの関係
者に対し、不正なリベートを支払ったという事実を告知したものであり、原告
が、契約獲得のために不正な金銭を支払うという不公正な取引をなしたという
ものである。また、被告代表者Aは、当事者尋問において、具体的な根拠なく、
20 単なる想像で原告がトプコンPJの関係者に対し、不正なリベートを支払って
いたのではないかと述べ、実際には不正なリベートは払われていないのではな
いかと思う旨を供述しており、その告知内容は虚偽のものであったと認められ
る。
一方、原告は、本件行為3により、不公正な取引をした者であると指摘され
25 たこととなり、もって、原告の営業上の信頼が害されたと認められる。
よって、本件行為3は、不競法2条1項21号に定める虚偽事実の告知に該
当する。
3 争点3(原告に生じた損害及びその額)について
(1) 原告は、本件各行為によって、トプコン製品の取引に関する原告の川上、川
下いずれからも信頼を失ったことで営業上の信頼が害され、売上が減少するな
5 どの損害が発生したと主張し、その無形損害の金額が、本件各行為それぞれに
ついて100万円を下回らないと主張する。
(2) この点、原告は、令和6年10月から令和7年3月までの原告の測量機器
関連の売上が、令和5年10月から令和6年3月までのものに比して1億円
(24パーセント)程度減少したと主張し、令和3年10月1日から令和6年
10 9月30日までの決算報告書及び同年10月から令和7年9月までの売上高
に関する資料(甲7ないし10)を提出する。
しかし、本件各行為は、いずれも、トプコン製品の販売に関する者に対して
なされたものであるところ、これらの資料から、原告のトプコン製品に関連す
る売上が減少したとは認められないし、また、本件各行為との因果関係も明ら
15 かではない。
したがって、現実の売上減少をいう原告の主張は採用できない。
(3) 一方、本件各行為によって、原告が取引相手として不相当な、不誠実な者で
あると受け止められ、トプコン商品について、上流においてトプコンやトプコ
ンPJとの、下流において複数の卸先との取引を継続していかなければならな
20 い原告にとって、信頼関係が損なわれることで、営業上の利益を害するおそれ
があるものと考えられ、無形損害が発生したものと認められる。
そして、その無形損害を金銭評価するならば、その内容、態様及び影響範囲
等を踏まえると、本件各行為を通じて合計50万円とすることが相当である。
そして、原告が、同合計額を被告に対し請求するために必要な弁護士費用は
25 5万円とすることが相当である。
(4) よって、原告に生じた損害額は、合計55万円であると認められる。
第5 結論
よって、原告の請求は、不競法4条に基づき、被告に対し、55万円及びこれに対
する令和6年11月1日から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による
遅延損害金の支払を求める部分並びに原告と神和商事との間で令和5年11月1日
5 に本件売買契約を締結したことによる原告の被告に対する不法行為に基づく損害賠
償債務が存在しないことを確認する限度で理由があるからこれを認容し、その余の請
求は理由がないから棄却することとし、訴訟費用の負担について民訴法64条本文、
61条を適用して、主文のとおり判決する。
大阪地方裁判所第26民事部
裁判長裁判官
松 阿 彌 隆
裁判官
阿 波 野 右 起
裁判官
西 尾 太 一

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