ホーム > 知財判決速報/裁判例集 > 令和7(ワ)70055 商標権侵害差止等請求事件
| 裁判所 | 請求棄却 東京地方裁判所 |
|---|---|
| 裁判年月日 | 令和7年12月23日 |
| 事件種別 | 民事 |
| 法令 |
商標権 |
| キーワード | 商標権17回 侵害10回 差止6回 損害賠償4回 審決4回 分割3回 ライセンス2回 実施1回 |
| 主文 | 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 |
| 事件の概要 |
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令和 7 年 12 月 23 日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官
令和 7 年(ワ)第 70055 号 商標権侵害差止等請求事件
口頭弁論終結日 令和 7 年 10 月 21 日
判 決
当事者の表示 別紙当事者目録記載のとおり
主 文
原告の請求をいずれも棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事 実 及 び 理 由
第1 請求
被告らは、別紙被告標章目録記載の標章を広告に付してはならない。
被告らは、別紙被告ウェブサイト目録記載の各ウェブサイトから、別紙被告標
章目録記載の各標章を削除せよ。
被告らは、原告に対し、連帯して 60 万 5000 円及びこれに対する令和 7 年 2
月 17 日から支払済みまで年 3 分の割合による金員を支払え。
被告 963 は、原告に対し、96 万 8000 円及びこれに対する令和 7 年 2 月 17 日
から支払済みまで年 3 分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
本件は、原告が、被告らが餃子に関するイベントにおいて別紙被告標章目録
記載の各標章(以下、同目録記載の順に「被告標章 1」などといい、これらを
併せて「被告各標章」という。)を使用する行為が、原告の別紙原告商標目録記
載の登録商標(以下「原告商標」という。)に係る商標権(以下「原告商標権」
という。)を侵害する(商標法(以下「法」という。)37 条 1 項 1 号)と主張し
て、被告らに対し、商標権に基づく被告各標章の使用の差止め(法 36 条 1 項)
及び別紙被告ウェブサイト目録記載の各ウェブサイトからの被告各標章の削
除(同条 2 項)、不法行為(民法 709 条及び 719 条、損害額につき法 38 条 2
項)に基づく 60 万 5000 円の損害賠償及びこれに対する令和 7 年 2 月 17 日
(訴状提出日)から支払済みまで民法所定の年 3%の割合による遅延損害金の
支払を求めるとともに、被告 963 に対し、不法行為(同上)に基づく 96 万 8000
円の損害賠償及びこれに対する令和 7 年 2 月 17 日(同上)から支払済みまで
年 3 分の割合による遅延損害金の支払を請求する事案である。
前提事実(証拠等を掲記しない事実は、当事者間に争いがないか、弁論の全趣
旨により容易に認められる。なお、書証の番号は特に断らない限り枝番号を含
む(以下同じ。)。)
(1) 当事者
ア 原告は、餃子に関するイベントの開催、餃子に関する商品開発、マーケ
ティングのコンサルティング等を業とする一般社団法人である。
イ 被告連盟會は、餃子をはじめとする食文化の保護及び振興事業、餃子に
関する情報提供事業、餃子業界の発展を支援するための情報提供事業、レ
ストラン、料理教室等の事業者の支援事業、フェスティバル、コンテスト
等のイベントの企画、運営を業とする一般社団法人である。
ウ 被告 963 は、飲食店の経営、飲食店、物販店等各種店舗開発の企画及び
経営コンサルティング、食料品及び飲料品の卸売業並びに小売業等を業と
する株式会社である。
(2) 原告商標権
ア エナジャイズ株式会社(以下「エナジャイズ」という。同社の代表者は
原告代表者と同じである。)は、平成 28 年 4 月 7 日、原告商標に係る商標
登録出願(商願 2016-45199 号。以下「本件出願」という。)をした。その
出願時の指定役務は、以下のとおりである。(乙 2)
・第 35 類
ウェブサイト上の広告用スペースの貸与、ウェブサイト上の広告用ス
ペースの提供、ウェブサイトによる広告、電子メールによる広告、広告
の代理、旅行に関する広告、その他の広告、広告用具の貸与、商品又は
店舗の売上ランキング又は人気ランキングに関する情報の提供、商品の
販売に関する情報の提供、飲食料品の小売又は卸売の業務において行わ
れる顧客に対する便益の提供
・第 41 類
電子出版物の提供、書籍の制作、放送番組の制作、イベントの企画・
運営又は開催、映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営
・第 43 類
飲食物の提供、飲食物に関する情報の提供、業務用加熱調理機械器具
の貸与、業務用食器乾燥機の貸与、業務用食器洗浄機の貸与、加熱器の
貸与、食器の貸与、調理台の貸与、流し台の貸与
イ 本件出願について特許庁より拒絶査定を受けたことから、しかけ株式会
社(エナジャイズから商号変更。以下「しかけ社」という。)は、平成 29
年 12 月 1 日付け審判請求書により、上記拒絶査定に対する不服審判を請
求する(以下「本件審判請求」という。)と共に、以下の手続を行った。
(甲
、乙 1 の 1、3、4)
(ア) 本件出願に係る指定役務を、第 41 類「餃子に関する文化イベントの
企画・運営又は開催」及び第 43 類「餃子を主とする飲食物の提供、餃子
を主とする飲食物に関する情報の提供」とする手続補正書を提出した。
(イ) 本件出願に係る指定役務のうち、第 35 類「ウェブサイト上の広告用
スペースの貸与、ウェブサイト上の広告用スペースの提供、ウェブサイ
トによる広告、電子メールによる広告、広告の代理、旅行に関する広告、
その他の広告、広告用具の貸与、商品又は店舗の売上ランキング又は人
気ランキングに関する情報の提供、商品の販売に関する情報の提供、飲
食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提
供」、第 41 類「電子出版物の提供、書籍の制作、放送番組の制作、映画・
演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営」及び第 43 類「業務用
加熱調理機械器具の貸与、業務用食器乾燥機の貸与、業務用食器洗浄機
の貸与、加熱器の貸与、食器の貸与、調理台の貸与、流し台の貸与」に
ついて、商標登録出願の分割出願を行った(以下「本件分割出願」とい
う。)。
ウ 特許庁は、本件分割出願につき、商標登録の査定をし、平成 30 年 3 月 2
日、これを登録した。(甲 1)
エ 本件審判請求について、特許庁は、平成 31 年 4 月 18 日、原告商標は法
条 1 項 3 号に該当するとして、請求不成立の審決をした(以下「本件審
決」という。)。その理由の要旨は、以下のとおりである。(乙 5)
原告商標は、「餃子フェス」及び、「Gyoza Festival」の文字を二段に書
してなるところ、原告商標からは、全体として「餃子に関する催し物」程
の意味合いが容易に認識される。また、様々な工夫を凝らして来場者に餃
子を提供する催し物が「餃子フェス」、「餃子フェスティバル」のように称
されて、開催されている。さらに、
「食」をテーマにしたイベントが各地で
開催されており、各種の料理、飲料を提供する催し物が、例えば「ラーメ
ンフェス」のように、
「〇〇フェス」のような形式で称されて開催されてい
たり、各種の料理等をテーマにした催し物の総称のように使用されている。
このような状況から、原告商標をその指定役務に使用しても、これに接す
る需要者等は、
「餃子に関する催し物」程の意味合いを容易に理解し、当該
役務が、例えば「餃子を提供するイベント」のような「餃子に関する催し
物」であること、すなわち、単に役務の質(内容)を表示したに過ぎない
ものと認識するにとどまり、自他役務の識別標識としては認識しないとい
うのが相当である。
オ 原告は、令和 5 年 8 月 17 日、しかけ社から、原告商標権を取得した。
(甲 1、2)
(3) 被告らの各行為
ア 本件イベント 1
被告 963 は、令和 6 年 10 月 4 日~同月 7 日の間、道の駅「やまがた蔵
王」において、「全国ぐっと!!餃子フェス」と題するイベント(以下「本件
イベント 1」という。)を開催し、被告連盟會は、これを監修した。
本件イベント 1 は、「道の駅やまがた蔵王にて初開催される本格餃子イ
ベント!関東や関西で行われる大型餃子イベントに出店する人気餃子店が
ついに山形に集結!山形初出店の店も多数!普段なかなか食べられない有
名店、人気店の餃子が焼き立てで食べられる」などと雑誌記事において紹
介された。被告 963 は、本件イベント 1 につき、全国の餃子店から出店を
募り、各出店店舗から出店料を得た。また、本件イベント 1 では、大道芸
の興行等も行われた。
上記雑誌記事、上記道の駅及び被告 963 のインスタグラムの各アカウン
ト及び被告連盟會のウェブサイト上の本件イベント 1 の各広告において、
被告標章 1 及び 2 が使用された。(甲 3~6)
イ 本件イベント 2
被告 963 は、令和 6 年 12 月 20 日~同月 22 日の間、JR 福島駅東口の
「全国ぐっと!ラーメン祭り With 餃子フェス」ない
再開発エリアにおいて、
し「全国ぐっと!ラーメン祭り With 全国ぐっと!餃子フェス.」と題するイ
ベント(以下「本件イベント 2」という。また、これと本件イベント 1 を
併せて「本件各イベント」という。)を開催した。
本件イベント 2 は、食品会社のウェブサイトの記事において、
「北海道か
ら沖縄まで、各地で人気のラーメンと餃子が大集合するイベント」などと
紹介された。被告 963 は、本件イベント 2 につき、全国の餃子店からの出
店を募り、各出店店舗から出店料を得た。
上記記事を含む本件イベント 2 の各広告において、被告標章 3 及び 4 が
使用された。(甲 8、9)
争点
(1) 商標権侵害の成否(争点 1)
ア 原告商標と被告各標章の類否及び役務の類否(争点 1-1)
イ 被告各標章の商標的使用の有無(争点 1-2)
(2) 差止め及び削除の必要性(争点 2)
(3) 損害の有無及びその額(争点 3)
当事者の主張
(1) 争点 1-1(原告商標と被告各標章の類否及び役務の類否)について
(原告の主張)
ア 原告商標と被告標章 1 及び 2 の類似
(ア) 被告標章 1 及び 2 のうち、「全国ぐっと!!」の「!」には、文章を終わ
らせる役割があるから、需要者は、
「全国ぐっと!!」の部分と「餃子フェ
ス」の部分は別のものであると認識する。また、
「全国ぐっと!!」の部分
はあずき色の枠に囲まれた白抜きの文字になっているのに対し、
「 餃子フ
ェス」の部分は、白色の枠に囲まれたあずき色の文字になっているから、
明らかに区別される。加えて、「全国ぐっと!!」の部分は、キャッチフレ
ーズとして用いられている点で、「餃子フェス」の部分と役割が異なる。
このことは、本件イベント 2 において、
「全国ぐっと!ラーメン祭り With
餃子フェス」のように、
「全国ぐっと!」が「餃子フェス」と関係なく冒頭
に配置されていることによっても裏付けられる。実際に、本件イベント
に出演したパフォーマーの一人は、「『餃子フェス』…出演してきまし
た!全国からたくさんの餃子が大集合した餃子フェス!」などと投稿し
ている。
以上の事情によれば、被告標章 1 及び 2 は、いずれも、各構成部分が
それを分離して観察することが取引上不自然であると思われるほど不可
分的に結合しているとはいえないから、
「餃子フェス」部分を抽出して原
告商標との類否判断をすることができる。
(イ) 原告商標と被告標章 1 及び 2 につき分離観察した「餃子フェス」の部
分は、称呼及び観念が一致するから、原告商標と被告標章 1 及び 2 は類
似する。
(ウ) 指定役務との類似性
本件イベント 1 においては大道芸が行われたことから、被告 963 は、
被告標章 1 ないし 2 を用いて、原告商標の指定役務である「映画・演芸・
演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営」に類似する役務を行ってい
るといえる。また、本件イベント 1 においては全国各地の餃子が販売さ
れているところ、被告 963 は、被告標章 1 ないし 2 を用いて、原告商標
の指定役務である「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧
客に対する便益の提供」に類似する役務を行っているといえる。
被告連盟會は、雑誌記事や自己のウェブサイト等に本件イベント 1 の
広告を掲載したところ、被告連盟會が餃子に関するイベントを開催する
法人であり、本件イベント 1 の監修をしていることから、本件連盟會は、
被告標章 1 ないし 2 を用いて、原告商標の指定役務である「広告の代理」
をしているといえる。
(エ) 被告連盟會による共同不法行為又は幇助
被告連盟會は、本件イベント 1 を監修していることから、被告 963 と
共同不法行為を行っており、又は少なくとも被告 963 の不法行為を幇助
している。
イ 原告商標と被告標章 3 及び 4 の類似
(ア) 原告商標と被告標章 3 は、称呼及び観念が一致するから、少なくとも
類似する。
(イ) 被告標章 4 のうち、
「全国ぐっと!」の部分は、
「餃子フェス」の部分に
比して、文字の横幅が 1/4 程度、面積比は 1/16 程度となっている。また、
「全国ぐっと!」の部分はキャッチフレーズとして用いられている。この
ことは、被告標章 1 及び 2 と同様の事情からもうかがわれる。
以上の事情から、被告標章 4 は、各構成部分がそれを分離して観察す
ることが取引上不自然であると思われるほど不可分的に結合しているも
のとはいえず、「餃子フェス.」の部分を抽出して原告商標との類否判断
ができる。
そうすると、原告商標と分離観察した被告標章 4 は、称呼及び観念が
一致するから、類似する。
(ウ) 指定役務の類似性
本件イベント 2 においては全国各地の餃子が販売されているから、被
告 963 は、原告商標の指定役務である「飲食料品の小売又は卸売の業務
において行われる顧客に対する便益の提供」に類似した役務を行ってい
るといえる。
(被告の主張)
ア 原告商標と被告標章 1 及び 2 の非類似
(ア) 「餃子フェス」及び「Gyoza Festival」の文字を二段に書
原告商標は、
して成るものであるから、
「餃子フェス」の部分のみを分離観察すべき合
理的理由はない。
また、被告標章 1 及び 2 のうち、「全国ぐっと!!」の部分だけからは、
商品の出所識別標識としての称呼及び観念が生じるものではないから、
「全国ぐっと!!餃子フェス」は一連にして成るものであって、分離観察で
きるものではない。
原告商標と被告標章 1 及び 2 の類似性は争う。
(イ) 指定役務の非類似
大道芸は、本件イベント 1 において付随的に実施されたものに過ぎず、
被告 963 は、「餃子フェス」の名のもとに指定役務に類似した役務を行
ったものではない。
イ 原告商標と被告標章 3 及び 4 の類似
(ア) 原告商標と被告標章 3 及び 4 の類似性はいずれも否認ないし争う。
(イ) 「餃子フェス」及び「Gyoza Festival」の文字を二段に書
原告商標は、
して成るものであるから、
「餃子フェス」の部分のみを分離観察すべき合
理的理由はない。
また、被告 963 が使用した標章は、「全国ぐっと!ラーメン祭り With
全国ぐっと!餃子フェス.」であり、
「全国ぐっと!」の部分が「餃子フェス」
と関係なく冒頭に配置されているものではない。
ウ 指定役務の非類似
本件イベント 2 において全国各地の餃子が販売されたことは認める。そ
の余は否認ないし争う。
(2) 争点 1-2(被告各標章の商標的使用の有無)について
(被告の主張)
被告 963 は、被告標章 1~4 を含む標章「全国ぐっと!!餃子フェス」及び
「全国ぐっと!餃子フェス.」を、餃子の提供を行うイベントにおいて使用した
ものであり、
「映画・演芸・演劇又は音楽の演奏の興行の企画又は運営」及び
「飲食料品の小売又は卸売りの業務において行われる顧客に対する便益の提
供」として使用したものではない。
本件イベント 1 の需要者は、あくまで餃子が提供されるイベントと認識し
て参加するのであり、大道芸の興行や付随する食品提供のイベントと認識し
て参加するものではない。本件イベント 2 の需要者も、あくまで餃子が提供
されるイベントとして参加し、ラーメンについては「全国ぐっと!ラーメン祭
り」の名のもとに参加している。このため、餃子の提供に付随するサービス
や商品の表記に接した需要者が、本件各イベントを「興行の企画又は運営」
や「顧客に対する便益の提供」として誤認混同することはない。
また、被告連盟會との関係では、原告が主張する「監修」と「広告の代理」
との結び付きは不明である。
そもそも、「餃子フェス」の標章に接する需要者等は、単に役務の質(内
容)を表示したに過ぎないものと認識するにとどまり、自他役務の識別標識
として認識しない。そうである以上、被告各標章は、いずれも商標的使用に
当たらない(法 26 条 1 項 6 号)。
加えて、被告 963 が本件各イベントを開催したことにより、原告に「興行
の企画又は運営」に係る機会の損失は発生していない。その意味でも、被告
による商標権侵害の事実は存在せず、そうすると、被告連盟會の記事発
信による商標権侵害もない。
(原告の主張)
本件審決が識別力なしと判断したのは、あくまで、第 41 類のうち「餃子
に関する文化イベントの企画・運営又は開催」及び第 43 類のうち「餃子を
主とする飲食物の提供、餃子を主とする飲食物に関する情報の提供」であ
る。本件においては、被告 963 との関係では、「映画・演芸・演劇又は音
楽の演奏の興行の企画又は運営」及び「飲食料品の小売又は卸売りの業務に
おいて行われる顧客に対する便益の提供」が問題となっており、被告連盟會
との関係では、「広告の代理」が問題となっている。
本件イベント 1 においては、インスタグラムの投稿や広告の記載にあると
おり、大道芸の興行が行われており、「演劇又は音楽の演奏の興行の企画又
は運営」との関係では、「餃子フェス」の標章に識別力がある。その上、本
件イベント 1 は、餃子に限らず、ラーメンやチュロス、りんご飴等の多様な
食品を扱うイベントであるから、「飲食料品の小売又は卸売の業務において
行われる顧客に対する便益の提供」との関係では、「餃子フェス」の標章に
識別力があるといえる。
本件イベント 2 においては、餃子に限らず、日本各地のラーメン等の麺類
に加え、ザンギ、たこ焼き、和菓子等の様々な食品を取り扱っているから、
「飲食料品の小売又は卸売の業務において行われる顧客に対する便益の提供」
との関係では、「餃子フェス」の標章に識別力があるといえる。
また、被告連盟會は、本件イベント 1 の「監修」をしており、被告 963 に
代わって広告の編集等を行うことによって利益を得ているといえるから、
「監
修」としての「広告の代理」を行っているといえる。したがって、「広告の
代理」との関係では、「餃子フェス」の標章に識別力があるといえる。
以上より、被告各標章は、原告商標に係る指定役務の内容との関係で、識
別力を有する商標の使用に当たる。
(3) 争点 2(差止め及び削除の必要性)について
(原告の主張)
被告らの行為は、原告商標権を侵害するから、同権利に基づき、被告各標
章を広告に付すことによる使用を差し止め、また、各ウェブサイトから被告
各標章を削除する必要がある。
(被告の主張)
否認ないし争う。
(4) 争点 3(損害の有無及びその額)
(原告の主張)
ア 被告 963 は、本件イベント 1 の開催により、出店した餃子店である 10
店舗から 1 店舗当たり 10 万円程度の出店料を得て、その一部を広告代理
業務の対価として被告連盟會に支払っていると考えられる。また、被告 963
は、会場費や設備費を負担しており、その利益率は 50%程度である。
したがって、本件イベント 1 の開催により生じた損害額(法 38 条 2 項)
は、被告らの利益の合計である 50 万円(=10 万円×50%×10 店舗)程度
である。これに消費税相当額(5 万円)及び弁護士費用相当額(5 万 5000
円)を加えた 60 万 5000 円が本件イベント 1 に係る原告の損害額である。
イ 被告 963 は、本件イベント 2 の開催により、出店したラーメン店 7 店
舗、餃子店 8 店舗、和菓子店 1 店舗から 1 店舗当たり 10 万円程度の出店
料を得ていると考えられる一方で、被告 963 は会場費や設備費を負担して
おり、利益率は 50%程度である。
したがって、本件イベント 2 の開催により生じた損害額(法 38 条 2 項)
は、10 万円×50%×16 店舗=80 万円程度であり、これに消費税相当額及
び弁護士費用相当額を加えた 96 万 8000 円が本件イベント 2 に係る原告
の損害額である。
ウ なお、被告らは、本来であれば金銭を支払って原告からライセンスを受
けなければ原告商標を使用することができなかったにもかかわらず、無断
で使用したから、少なくとも、原告にはライセンス料相当額の損害が発生
しており、損害がないとはいえない。
(被告の主張)
否認ないし争う。
本件イベント 1 に係る損害について、被告らは被告標章 1 及び 2 を商標的
に使用しておらず、原告に損害は発生していない。また、1 店舗当たりの出
店料は 10 万円ではなく、被告 963 がその一部を被告連盟會に支払ったこと
もない。
本件イベント 2 に係る損害について、被告らは被告標章 3 及び 4 を商標的
に使用しておらず、原告に損害は発生していない。また、1 店舗当たりの出
店料は 10 万円ではないし、本件イベント 2 は地方自治体からの要請で行わ
れた町おこしイベントであり、会場費及び水道利用料は無償であった。設備
費としてテント借入費用は発生したものの、被告 963 が出店者から集めた費
用をこれに充てたため、被告 963 には利益が発生していない。
第3 当裁判所の判断
原告商標と被告各標章との類否(争点 1)
(1) 被告標章 1 及び 2 について
ア 被告標章 1 の使用状況
(ア) 「道の駅やまがた蔵王」の運営会社は、その公式インスタグラムアカ
ウントにおいて、当該道の駅で開催されるイベントの 1 つとして本件イ
ベント 1 を紹介ないし告知している(甲 3)。当該投稿は、「全国ぐっ
と❕ 餃子フェス 」とのタイトルを付し、開催日時及び場所を
記載すると共に、本件イベント 1 の広告ポスターと理解される画像(以
下「本件画像 1」という。)をも掲載している。被告標章 1 は、本件画
像 1 の上部(全体の 1/3 程度)に配置された黒地の背景上に表示された
ものであり、その「餃子フェス」の文字の直下には開催場所及び初開催
である旨が、「フェス」の右横には餃子及びこれをつまんだ箸の先端部
分イラストが、その下部には開催日程が、それぞれ記載されている。本
件画像 1 の残りの部分のうち中央部分(全体の 1/2 程度)には、赤地の
背景上に、「SDGs を考えよう!」との記載並びに監修者である被告連盟
會のパンフレットないしチラシ風のイラスト及び QR コードの表示が右
側(中央部分の左右方向 1/3 程度のスペース)に配置されているほかは、
餃子とみられる画像 6 枚がこれを名物とする地域名と共に表示されてい
る。最下部(全体の 1/6 程度)には、赤地の背景に重ねるように配置さ
れた緑の地色を背景として、「大道芸もやってくる!」との記載及びその
パフォーマンスの開催日程が左右方向に一行で記載され、その下部に出
演予定者とみられる画像 5 枚が掲載されている。
(イ) 被告標章 1 は、本件画像 1 の中で最も大きなフォントの白抜き文字に
小豆色の枠囲みを施した「全国」及びこれよりやや小さいフォントで同
様の装飾を施した「ぐっと!!」を横一列に配した文字部分と、
「ぐっと!!」
部分と略同じサイズのフォントの小豆色の文字に白色の枠囲みを施した
「餃子フェス」の文字部分とを上下二段に配してなるものである。
(ウ) 上記投稿のタイトル及び本文部分の記載内容並びに本件画像 1 の構
成に鑑みると、被告標章 1 は、本件イベント 1 のイベント名として表示
されたものと理解されるのであって、このほかに本件イベント 1 の名称
を示すものとして理解し得る記載は見当たらない。
イ 被告標章 2 の使用状況
(ア) 「全国ぐっと!!餃子フェス in 道の駅やまがた蔵王 初開催!!」と題す
るインターネット上の雑誌記事(甲 4)は、被告連盟會のプレスリリー
スを掲載したものである。当該記事の 1 ページ目には、上記標題及び被
告連盟會の名称と掲載日時に続き、「道の駅山形蔵王にて初開催される
本格餃子イベント!」などとする紹介文に加え、餃子を箸でつまんだイラ
ストが存在しない点、餃子等の画像部分が画像全体の下部 2/3 程度を占
める点及び大道芸に関する記載部分が存在しない点を除けば実質的には
本件画像 1 とほぼ同じ内容の画像(以下「本件画像 2」という。)が表
示されている。なお、同記事の 2 ページ目以降には、出店予定の餃子店
の紹介を含む本件イベント 1 の詳細な情報等が記載されている。
被告標章 2 は、「全国ぐっと!!」及び「餃子フェス」の文字部分が連続
して一行で記載されている。文字に対する装飾の内容は被告標章 1 と同
様である。
(イ) 被告 963 は、インスタグラムの自己のアカウントにおいて、「【道の
駅やまがた蔵王】様にて/#全国ぐっと餃子フェス/が開催されます!!」
(「/」は開業部分を示す。)などと本文中にて告知すると共に、本件
画像 2 ほか 1 枚の画像を上下に組み合わせた(本件画像 2 が上側)画像
を掲載した。
(ウ) 被告連盟會は、その公式ウェブサイトに「全国ぐっと!!餃子フェス in
道の駅やまがた蔵王 初開催!!」と題する記事を掲載した。その 1 ページ
目には、「数々の餃子イベントの人気店が全国から道の駅やまがた蔵王
に集結!」との記載の下に、本件画像 2 が掲載され、2 ページ目以降には
本件イベント 1 に出店する各餃子店の紹介を含む詳細な情報が記載され
ている。
(エ) 上記各記事ないし投稿のタイトル及び本文部分の記載内容並びに本
件画像 2 の構成に鑑みると、被告標章 2 は、本件イベント 1 のイベント
名として表示されたものと理解されるのであって、このほかに本件イベ
ント 1 の名称を示すものとして理解し得る記載は見当たらない。
ウ 検討
(ア) 上記各認定事実によれば、上記各記事ないし投稿のいずれにおいても、
被告標章 1 及び 2 は本件イベント 1 のイベント名を示すものと理解さ
れ、他に本件イベント 1 のイベント名を示すものとして理解し得る記載
はこれらの画像には見当たらないことに加え、これらの画像のいずれに
おいても餃子の画像及びイラストが大きな割合を占めていることを併せ
考えると、被告標章 1 及び 2 は、需要者にとって、いずれも本件イベン
ト 1 のイベント名を示すものとして理解されるものと認められる。この
ことに加え、本件審決が理由として示すとおり、餃子の提供を中心とす
るイベントの名称としては、「餃子フェス」のみでは自他役務識別機能
に乏しいとみられることは論を俟たないといってよいほどであること、
文字数も合計 10 文字(促音等を含み、感嘆符を除く。)とさほど多くな
く、容易に一息で読み上げることができることに鑑みれば、「全国ぐっ
と!!」及び「餃子フェス」を結合した被告標章 1 及び 2 は、これらを上
下二段に配した場合(被告標章 1)及び一行に配した場合(被告標章 2)
のいずれを問わず、一連一体の標章として把握するのが相当である。
(イ) 原告の主張について
これに対し、原告は、「全国ぐっと!!」の感嘆符には文章を終わらせる
役割があることや、「全国ぐっと!!」部分と「餃子フェス」部分の文字の
装飾等の違い等を指摘して、被告標章 1 及び 2 のうち「餃子フェス」部
分を抽出した分離観察により原告商標との類否判断をすべきである旨と
共に、本件イベント 1 においては原告商標の指定役務と類似する役務で
ある大道芸の興行や餃子に限らない飲食物の提供が行われており、これ
らの役務との関係では「餃子フェス」の標章も識別力を有する旨を主張
する。
しかし、「全国ぐっと!!」部分と「餃子フェス」部分とを一連一体の標
章として把握すべきことは、前記のとおりである。原告商標の指定役務
との関係で「餃子フェス」の標章に識別力があるとしても、そのことか
ら直ちに被告標章 1 及び 2 の構成部分のうち「餃子フェス」部分を分離
して商標の類否を判断すべきことにはならない。また、仮に分離観察し
得るとしても、本件画像 1 の記載内容等に鑑みれば、大道芸の興行及び
餃子以外の飲食物の提供のいずれも、餃子の提供を内容とする本件イベ
ント 1 の集客ないし複数回来場や滞在時間の長時間化等をより促進する
ことなどを目的とする付随的なものに過ぎないとみられるから、原告商
標の指定役務と被告標章 1 及び 2 が使用された役務との類似性に疑義が
ある。
その他原告が縷々指摘する事情を考慮しても、この点に関する原告の
主張は採用できない。
(ウ) 原告商標と被告標章 1 及び 2 の類否
以上を前提とすると、原告商標は漢字及び片仮名を組み合わせた「餃
子フェス」と欧文字「Gyoza Festival」を上下二段かつ左右略同一幅に
書してなるものであるのに対し、被告標章 1 及び 2 は、「全国ぐっと!!」
及び「餃子フェス」を、前記認定のとおり、上下二段(被告標章 1。な
お、左右幅は、「全国ぐっと!!」の感嘆符を除く部分と「餃子フェス」部
分とが略同一幅である。)ないし左右方向に一行(被告標章 2)に書し
てなるものであるから、原告商標と被告標章 1 及び 2 とは、外観、称呼
及び観念のいずれも異なる。したがって、被告標章 1 及び 2 は、いずれ
も原告商標とは類似しない。これに反する原告の主張は採用できない。
エ 小括
以上より、その余の点を論ずるまでもなく、被告らの被告標章 1 及び 2
の使用による原告商標権の侵害は認められない。したがって、原告は、被
告標章 1 及び 2 につき、原告商標権に基づく差止請求権(法 36 条 1 項)
及び削除請求権(同条 2 項)並びに原告商標権侵害の不法行為に基づく損
害賠償請求権(民法 709 条)を有しない。
(2) 被告標章 3 及び 4 について
ア 被告標章 3 の使用状況
(ア) 「ふくしま街なか賑わいカレンダー」のウェブページ(甲 8)には、
「全国ぐっと!ラーメン祭り with 餃子フェス」との見出しの下、本件イ
ベント 2 に関する告知が掲載されている。当該告知においては、「3 日
間限定!ここでしか食べられないラーメンと餃子の最強コラボ!」との紹
介文に続き、本件イベント 2 の広告ポスターと理解される画像(以下「本
件画像 3」という。)、開催日時及び場所に加え、内容について、「全国
からラーメンと餃子をコラボレーションさせた特別なイベントを開催し
ます!」などとする説明文が記載されている。
本件画像 3 は、全体を赤地の背景とし、上部 1/4 程度の部分には「全
国ぐっと!ラーメン祭り/With 餃子フェス」(「With」は黒丸内に白抜
き文字により記載されている。)との表示並びに開催日時及び場所の記
載が配置されている。全体の 1/2 程度を占める中央部には、その上半分
にラーメン店の出店予定店舗(7 店舗)の商品イメージ及び店舗名、下
半分に餃子店の出店予定店舗(8 店舗)の商品イメージ及び店舗名と「ア
ラカルト」として提供される予定のメニュー(4 種)の画像が配置され
ている。下部 1/4 程度の部分には、「香川より/緊急参戦」などと付し
て出店予定の和菓子店の名称及び商品画像が表示されると共に、最下部
に連絡先として被告 963 の名称及び電話番号等が表示されている。
(イ) 被告標章 3 は、上記のとおり本件画像 3 の上部に配置された「全国ぐ
っと!ラーメン祭り With 餃子フェス」などとする表示の一部をなすも
のである。当該部分には、上段に黒色の縁取り及び影付きの装飾を施し
た白抜き文字の「全国ぐっと!ラーメン祭り」の表示及びその右側に黒色
帯上に「3 日間限定!ここでしか食べられない/ラーメンと餃子の最強コ
ラボ!」との表示が配置され、下段には、「With 餃子フェス」の表示が、
「With」部分は黒丸内に細いフォントの白抜き文字により、「餃子フェ
ス」部分は上段の「全国ぐっと!ラーメン祭り」部分と同様の装飾を施し
た同一サイズのフォントを使用して表示され、その右側に開催日時及び
場所の表示が配置されている。
(ウ) 上記告知のタイトル及び本件画像 3 の構成に鑑みると、被告標章 3 は、
需要者にとって、本件画像 3 における本件イベント 2 の「全国ぐっと!ラ
ーメン祭り with 餃子フェス」というイベント名の一部をなすものとし
て表示されたものと理解される。
イ 被告標章 4 の使用状況
岩下食品株式会社は、その公式ウェブサイトのイベント紹介記事(甲 9)
として、取引先が出店予定の本件イベント 2 を紹介した。当該記事は、「北
越ぎょうざが「全国ぐっと!ラーメン祭り with 全国ぐっと!餃子フェス」で
『岩下の新生姜餃子』を販売。」などと題し、「イベント概要」欄におい
て、本件イベント 2 の広告ポスターと理解される画像(以下「本件画像 4」
という。)を掲載すると共に、開催日時及び場所等の詳細を告知している。
本件画像 4 は、上部のイベント名称部分下段の表示のうち本件画像 3 の被
告標章 3 が被告標章 4 に変更されている点と、中央部下段の「アラカルト」
の表示の下部に、会場にて提供されるビールに関する記載が追加されてい
る点で本件画像 3 と異なるものの、基本的にこれと同一の内容及び構成の
ものといえる。
このため、被告標章 4 についても、被告標章 3 と同様に、需要者にとっ
て、本件画像 4 における本件イベント 2 の「全国ぐっと!ラーメン祭り with
全国ぐっと!餃子フェス」というイベント名の一部をなすものとして表示さ
れたものと理解されるものといってよい。
また、被告標章 4 は、「全国ぐっと!」及び「餃子フェス.」の各文字部分
を上下二段に書してなるものであるところ、各文字部分における文字に対
する装飾及びフォントは同一であるものの、フォントサイズは後者が前者
の 4 倍程度の大きさ(なお、本件画像 4 の上部上段の「全国ぐっと!ラーメ
ン祭り」部分と同一サイズである。)とみられる。
ウ 検討
(ア) 上記各認定のとおり、被告標章 3 及び 4 は、いずれも、本件イベント
のイベント名「全国ぐっと!ラーメン祭り with 餃子フェス」(被告標
章 3 について)ないし「全国ぐっと!ラーメン祭り with 全国ぐっと!餃子
フェス」(被告標章 4 について)の一部として本件画像 3 及び 4 に表示
されたものである。また、本件画像 3 及び 4 におけるイベント名の表示
の構成は、いずれも「全国ぐっと!ラーメン祭り」と「With 餃子フェス」
(本件画像 3)又は「With 全国ぐっと!餃子フェス.」を上下二段に配し
たものであること、下段の「With」は、他の記載と異なり、黒丸内に他
と異なるサイズ及びフォントにより記載されている。これらの事情に加
え、本件画像 3 及び 4 を全体としてみると、全体の半分を占める中央部
に出店予定のラーメン店舗及び餃子店舗が、やや前者に重点を置いてい
るとも理解し得るものの、ほぼ遜色ないといえる程度の重み付けにより
紹介されているとみられることなどにも鑑みると、本件イベント 2 のイ
ベント名については、「全国ぐっと!ラーメン祭り」部分と被告標章 3 又
は 4 部分とは分離して観察することとするのが相当である。
(イ) 被告標章 3 の商標的使用の有無
前記のとおり、餃子の提供を中心とするイベントの名称としては、
「餃
子フェス」のみでは自他役務識別機能に乏しい。本件画像 3 を全体とし
てみれば、本件イベント 2 は餃子の提供を中心的な内容の 1 つとするイ
ベントであるといえることから、被告標章 3 は、自他役務識別機能を欠
く標章の使用とみるのが相当である。同じく本件イベント 2 を紹介する
本件画像 4 において、被告標章 3 部分が「全国ぐっと!」との記載を付加
した被告標章 4 にされているのも、この点を考慮したことによるものと
推察することも十分に可能である。
そうすると、本件イベント 2 に係る被告標章 3 は、需要者が何人かの
業務に係る商品又は役務であることを認識することができる態様により
使用されていないというべきであるから、原告商標権の効力は及ばない
(法 26 条 1 項 6 号)。
(ウ) 原告商標と被告標章 4 の類否
前記のとおり、被告標章 4 は、「全国ぐっと!」及び「餃子フェス.」の
各文字部分を上下二段に配し、各文字部分の文字に対する装飾及びフォ
ントは同一であるものの、フォントサイズは後者が前者の 4 倍程度の大
きさのものである。もっとも、餃子の提供を中心とするイベントの名称
としての「餃子フェス」部分の自他役務識別機能の乏しさ(「餃子フェ
ス」に「.」が追加されたことのみでは、この点の評価は異ならないとみ
られる。)に鑑みると、このような構成を考慮してもなお、「全国ぐっ
と!」部分と「餃子フェス.」部分は一連一体の標章としてみるのが相
当である。
そうすると、原告商標と被告標章 4 とは、外観、称呼及び観念のいず
れも異なるものである。したがって、被告標章 4 は、原告商標とは類似
しない。
(エ) 原告の主張について
これに対し、原告は、本件イベント 2 では餃子以外の飲食物の提供が
行われており、このような役務との関係では「餃子フェス」の標章も識
別力を有する旨を主張する。しかし、被告標章 1 及び 2 と同様の理由か
ら、この点に関する原告の主張は採用できない。
エ 小括
以上より、その余の点を論ずるまでもなく、被告らの被告標章 3 及び 4
の使用による原告商標権の侵害は認められない。したがって、原告は、被
告標章 3 及び 4 につき、原告商標権に基づく差止請求権及び削除請求権並
びに原告商標権侵害の不法行為に基づく損害賠償請求権を有しない。
第4 結論
よって、原告の請求はいずれも理由がないから、これらをいずれも棄却する
こととし、主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第 47 部
裁判長裁判官
杉 浦 正 樹
裁判官
池 田 幸 子
裁判官
松 尾 恵 梨 佳
別紙
当事者目録
原 告 一般社団法人焼き餃子協会
同訴訟代理人弁護士 河部 康弘
被 告 一般社団法人餃子屋連盟會
(以下「被告連盟會」という。)
被 告 株式会社 PROJECT963
(以下「被告 963」という。)
被告ら訴訟代理人弁護士 滝田 三良
同 齊藤 好明
同 小室 未来
(別紙被告ウェブサイト目録省略)
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