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令和5(ワ)70626損害賠償請求事件

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裁判所 一部認容 東京地方裁判所
裁判年月日 令和8年2月27日
事件種別 民事
当事者 原告一般社団法人共同通信社
被告首都圏新都市鉄道株式会社
法令 著作権
著作権法10条2項4回
著作権法114条3項3回
民法724条1回
民法709条1回
キーワード 侵害40回
損害賠償12回
抵触6回
実施6回
許諾4回
主文 1 被告は、原告に対し、87万3000円及びこれに対する令和5年11月1
4日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。
3 訴訟費用は、これを10分し、その9を被告の負担とし、その余を原告の負
4 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。
事件の概要 本件は、通信社である原告が被告に対し、被告が、新聞社が原告の配信記事 を複製又は翻案して作成した新聞記事の画像データを被告の社内イントラネッ ト(以下「本件イントラネット」という。 )にアップロードし、被告の従業員 が閲覧することができる状態に置いたことによって、当該配信記事の文章に係 る原告の著作権(公衆送信権又は二次的著作物の利用に関する原著作者の権利 (公衆送信権) )が侵害されたとして、民法709条に基づく損害賠償金94 万6200円(損害期間は平成30年4月3日から平成31年4月16日まで。 以下「本件損害期間」という。 )及びこれに対する不法行為以後の日(訴状送 達の日の翌日)である令和5年11月14日から支払済みまで民法(平成29 年法律第44号による改正前のもの。以下同じ。 )所定の年5分の割合による 遅延損害金の支払を求める事案である。

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判決文

令和8年2月27日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官
令和5年(ワ)第70626号 損害賠償請求事件
口頭弁論終結日 令和7年11月25日
判 決
原 告 一般社団法人共同通信社
同訴訟代理人弁護士 野 本 俊 輔
吉 葉 一 浩
10 三 神 光 滋
被 告 首都圏新都市鉄道株式会社
同訴訟代理人弁護士 富 田 純 司
15 主 文
1 被告は、原告に対し、87万3000円及びこれに対する令和5年11月1
4日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。
3 訴訟費用は、これを10分し、その9を被告の負担とし、その余を原告の負
20 担とする。
4 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。
事 実 及 び 理 由
第1 請求
被告は、原告に対し、94万6200円及びこれに対する令和5年11月1
25 4日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
本件は、通信社である原告が被告に対し、被告が、新聞社が原告の配信記事
を複製又は翻案して作成した新聞記事の画像データを被告の社内イントラネッ
ト(以下「本件イントラネット」という。)にアップロードし、被告の従業員
が閲覧することができる状態に置いたことによって、当該配信記事の文章に係
5 る原告の著作権(公衆送信権又は二次的著作物の利用に関する原著作者の権利
(公衆送信権))が侵害されたとして、民法709条に基づく損害賠償金94
万6200円(損害期間は平成30年4月3日から平成31年4月16日まで。
以下「本件損害期間」という。)及びこれに対する不法行為以後の日(訴状送
達の日の翌日)である令和5年11月14日から支払済みまで民法(平成29
10 年法律第44号による改正前のもの。以下同じ。)所定の年5分の割合による
遅延損害金の支払を求める事案である。
1 前提事実(当事者間に争いがないか、後掲各証拠及び弁論の全趣旨により容
易に認められる事実。以下、枝番号のある証拠について枝番号を記載しない場
合は、全ての枝番号を含む。)
15 ⑴ 当事者
ア 原告は、いわゆる通信社であり、ニュース等の収集、調査、分析及び編
集を行い、全国の報道機関等に対して記事を配信する一般社団法人である。
イ 被告は、第一種鉄道事業等を営むことを目的とする株式会社である。
⑵ 原告の従業員である記者は、原告の発意に基づいて、原告の職務上、別紙
20 記事対照一覧1及び2(以下「別紙各記事対照一覧」と総称する。)の左側
の各配信記事を作成し、原告は、これらを別紙記事分類一覧表1及び2「共
同通信社配信日」欄記載の日に原告名義で加盟社に配信することにより公表
した(以下、当該配信記事のうち見出し及び編注を除く文章の部分を「原告
文章」といい、別紙記事対照一覧1の原告文章を各枝番号に従って「原告文
25 章1-1」などといい、「原告文章1」と総称し、別紙記事対照一覧2の原
告文章を各枝番号に従って「原告文章2-1」などといい、「原告文章2」
と総称し、全ての原告文章を「原告各文章」と総称する。また、後記⑶の新
聞記事文章の略称の番号と同じ番号の原告文章を当該新聞記事文章の対応に
おいて「対応原告文章」という。)。
⑶ 株式会社中日新聞社(以下「中日新聞社」という。)は別紙記事対照一覧
5 1の右側の各新聞記事を東京新聞に掲載し、株式会社日本経済新聞(以下
「日本経済新聞社」という。)は、別紙記事対照一覧2の右側の各新聞記事
を日本経済新聞に掲載した(以下、別紙記事対照一覧1の新聞記事(赤色の
枠が付されているものは同枠内のものをいう。別紙記事対照一覧2について
も同様。)のうち見出しを除く文章の部分を各枝番号に従って「本件新聞記
10 事文章1-1」などといい、「本件新聞記事文章1」と総称し、別紙記事対
照一覧2の新聞記事のうち見出しを除く文章の部分を各枝番号に従って「本
件新聞記事文章2-1」などといい、「本件新聞記事文章2」と総称し、こ
れらの新聞記事を「本件各新聞記事文章」と総称する。)。
⑷ 被告は、本件損害期間中、本件各新聞記事文章の画像データを本件イント
15 ラネットにアップロードし、別紙記事分類一覧表1及び2「掲載日数」欄記
載の日数の間、被告の不特定の従業員が閲覧することができる状態に置いた。
⑸ 中日新聞社及び日本経済新聞社は、被告に対し、被告が本件イントラネッ
トに各新聞社の新聞記事の画像データをアップロードしたことなどにより、
各新聞社の著作権(複製権及び公衆送信権)が侵害されたとして、令和2年
20 2月17日及び同年5月19日、東京地方裁判所において不法行為に基づく
損害賠償請求訴訟(以下、それぞれ「別件訴訟1」及び「別件訴訟2」とい
う。当庁令和2年(ワ)第3931号及び令和2年(ワ)第12348号)
を提起し、東京地方裁判所及び控訴審である知的財産高等裁判所(同庁令和
4年(ネ)第10106号及び令和5年(ネ)第10008号)は、各新聞
25 社の著作権侵害を認めて損害賠償請求を一部認容し、当該判決は確定した。
(甲8、9)
⑹ 原告は、令和5年10月25日、本件訴訟を提起した。被告は、本件訴訟
において、本件訴訟の提起前に、原告の請求に係る著作権侵害に基づく損害
賠償請求権について民法724条前段所定の消滅時効が完成していると主張
して、これを援用した。(当裁判所に顕著な事実)
5 2 争点
⑴ 本件訴えが別件判決1の既判力に抵触するか
⑵ 本件各新聞記事文章が原告各文章を複製又は翻案したものであるか
⑶ 被告の故意又は過失の有無
⑷ 原告の損害の発生及びその額
10 ⑸ 消滅時効の起算点
3 争点に関する当事者の主張
⑴ 争点⑴(本件訴えが別件判決1の既判力に抵触するか)
(被告の主張)
原告文章1については、別件訴訟1の訴訟対象物となっているから、本件
15 訴えのうち、原告文章1に係る著作権侵害による損害賠償請求に関する部分
は、別件判決1の既判力に抵触するものであり、許されない。
(原告の主張)
争う。
⑵ 争点⑵(本件各新聞記事文章が原告各文章を複製又は翻案したものである
20 か)について
(原告の主張)
ア 原告の配信記事は、一般に、冒頭にニュースの重要部分を示した後に、
詳しい内容や経過等を記載する構成(以下「逆三角形構成」という。)を
採用していること、配信記事に盛り込む事項を取捨選択していること、記
25 者が現場で見聞した情景を記載していること、取材相手の発言を主旨やニ
ュアンスを変えないように要約及び整理していること、文章を短く簡潔に
するため、通常の散文に比して1文を短めにし、名詞の直後に丸括弧で情
報を補っていること、読者が読みやすいリズムにするため、1文の終わり
が同じ語の繰り返しとなるのを避け、数回に1回は体言止めにしているこ
と等の表現上の工夫がされたものである。
5 以下のとおり、本件各新聞記事文章は、原告各文章の文章と全部又は一
部が一致しており、その一致している部分において、原告各文章の上記
の表現上の工夫が維持され、本件各新聞記事文章から原告各文章の表現
上の本質的特徴を直接感得することができるから、原告各文章を複製又
は翻案したものといえる(原告は、本件各新聞記事文章を別紙記事分類
10 一覧表1及び2「分類」欄記載のとおり分類して主張したが、分類④と
⑤を併せて「分類④」という。以下、各分類の本件新聞記事文章を「分
類①の記事文章」などと総称する。)。
イ 分類①の記事文章について
分類①は対応原告文章が比較的短いものである。
15 (ア) 本件新聞記事文章1-5
本件新聞記事文章1-5は、対応原告文章の第1段落及び第3段落と
一致する。当該一致部分は、第1段落の第1文に事件の概要を記載した
上で、事件による交通への影響については既に運転が再開されているこ
とから最後の第3段落に記載していること、文字数を減らすため、「三
20 島-新富士間の上下線」と記載するとともに、個別の列車の遅延時間に
は言及せずに「上下計124本が最大70分遅れ」と最大の遅れをもっ
て事故の影響を説明していること等の表現上の工夫をしたものであり、
本件新聞記事文章1-5から対応原告文章の表現上の本質的特徴を直接
感得することができる。
25 (イ) 本件新聞記事文章1-17
本件新聞記事文章1-17は、対応原告文章の第1段落及び第3段落
と一致する。当該一致部分は、第1段落の第1文に事件の日時や概要、
衝突箇所などの重要事項をまとめて書いた上で、事故による交通への影
響については、既に運転が再開されていることから最後の第3段落に記
載していること、行数を圧縮するため、列車の編成数を「貨物列車(1
5 9両編成)」のように丸括弧で記載し、運行区間等についても「府中本
町発東京行き」、「東所沢-吉川美南間」と記載していること等の表現上
の工夫をしたものであり、本件新聞記事文章1-17から対応原告文章
の表現上の本質的特徴を直接感得することができる。
(ウ) 本件新聞記事文章2-21
10 本件新聞記事文章2-21は、対応原告文章の大部分と一致する。当
該一致部分は、逆三角形構成で、冒頭にJR西日本の元社員の被疑事実、
刑事処分の内容など重要な事項を記載した上で、逮捕時の経緯などは後
半に回していること、1つの文に2つの日付が混在するなどして混乱を
招くことを避けるため、第1文の後に処分日を簡潔に「14日付。」と
15 付記していること等の表現上の工夫をしたものであり、本件新聞記事文
章2-21から対応原告文章の表現上の本質的特徴を直接感得すること
ができる。
(エ) 本件新聞記事文章2-23
本件新聞記事文章2-23は、対応原告文章の第1段落と一致する。
20 当該一致部分は、逆三角形構成で、新幹線の非常ドアコックのふたが2
回開くという事故の概要について、運行区間等を簡潔に表現するなどし
て第1文にまとめて記載した上で、その事故原因については複数の可能
性があることから、文章を簡潔にするために第2文で列挙するという表
現上の工夫をしたものであり、本件新聞記事文章2-23から対応原告
25 文章の表現上の本質的特徴を直接感得することができる。
(オ) 本件新聞記事文章1-24、1-31、1-57、1-76、1-
77、2-11、2-18
本件新聞記事文章1-24、1-31、1-57、1-76、1-7
7、2-11、2-18は、対応原告文章とほぼ一致している。前記
(ア)ないし(エ)と同様、対応原告文章のうち当該一致部分は、長さが短い
5 ものの、前記アで主張する表現上の工夫が表れたものであり、本件新聞
記事文章1-24、1-31、1-57、1-76、1-77、2-1
1、2-18から対応原告文章の表現上の本質的特徴を直接感得するこ
とができる。
ウ 分類②の記事文章について
10 分類②は、原告文章と新聞記事文章の重なり合いが比較的小さいもの
である。
(ア) 本件新聞記事文章1-3
本件新聞記事文章1-3は、対応原告文章の第1段落、第2段落及び
第5段落と一致する。当該一致部分は、逆三角形構成であり、第1段落
15 では、第1文に尼崎脱線事故の概要や事故発生から13年が経過したこ
となどの重要な情報を記載した上で、JR西日本の社長の発言を記載し
ていること、第2段落では、新幹線の台車に亀裂が見つかったという新
たに発生した問題に関する事実経過の説明、第3段落以降では、慰霊式
の様子及び遺族の発言を記載することによって、慰霊式が形骸化してい
20 るかのようなJR西日本の社内意識の緩みに警鐘を鳴らすという表現上
の工夫をしたものであり、本件新聞記事文章1-3から対応原告文章の
表現上の本質的特徴を直接感得することができる。
(イ) 本件新聞記事文章1-6
本件新聞記事文章1-6は、対応原告文章の第1段落及び第3段落と
25 一致する。当該一致部分は、逆三角形構成で、第1段落では、4連休と
なったゴールデンウィークの混雑の全体像など重要な情報を第1文に記
載し、続けて、読者の関心事である連休中の天候について注意を呼びか
ける記載をした上で、第3段落において、公共交通機関の具体的な混雑
に関するデータを詳述し、読者が概要を把握してから詳細を知ることが
できるように工夫したものであり、本件新聞記事文章1-6から対応原
5 告文章の表現上の本質的特徴を直接感得することができる。
(ウ) 本件新聞記事文章1-25
本件新聞記事文章1-25は、対応原告文章の第1段落、第4段落及
び第5段落の一部と一致する。当該一致部分は、第1段落において、帰
省ラッシュのピーク日が「11日」であるという重要な情報を最初に記
10 載した上で、雑観要素としてJR東京駅の光景を記載し、第4段落以降
に、鉄道や道路の混雑のデータを記載することで、帰省ラッシュの様子
が読者に分かりやすく伝わるよう工夫したものであり、本件新聞記事文
章1-25から対応原告文章の表現上の本質的特徴を直接感得すること
ができる。
15 (エ) 本件新聞記事文章1-27
本件新聞記事文章1-27は、対応原告文章の第1段落と一致する。
当該一致部分は、逆三角形構成の冒頭部分であり、東京メトロの役員の
不適切行為に関する概要及び東京メトロによる処分の内容から書き出し、
同役員の行為についてインターネット上で批判が集まっていた経緯を記
20 載するとともに、東京メトロのコメントをかぎ括弧で記載していること、
東京地下鉄株式会社のよく知られた名称である「東京メトロ」を併記し、
「減給20%(1カ月)」といった表現を使うなどして、簡潔ながらも
分かりやすく情報を記載することなどの工夫をしたものであり、本件新
聞記事文章1-27から対応原告文章の表現上の本質的特徴を直接感得
25 することができる。
(オ) 本件新聞記事文章1-28
本件新聞記事文章1-28は、対応原告文章の第1段落及び第4段
落の1文と一致する。当該一致部分は、冒頭に製品の概略を記載し、
それに続けてシステム導入のメリット、導入実績、販売戦略や値段な
ど、監視システムに関する情報を読者が理解し易いように配置すると
5 いった工夫をしたものであり、本件新聞記事文章1-28から対応原
告文章の表現上の本質的特徴を直接感得することができる。
(カ) 本件新聞記事文章1-46
本件新聞記事文章1-46は、対応原告文章の第1段落及び第2段落
の1文と一致する。当該一致部分は、逆三角形構成で、冒頭に蒸気機関
10 車の取得に関する概要を記載し、その後に当該蒸気機関車の復元の予定
及び来歴などの詳細を説明し、読者が当該蒸気機関車に関する情報を理
解しやすいようにするといった工夫をしたものであり、本件新聞記事文
章1-46から対応原告文章の表現上の本質的特徴を直接感得すること
ができる。
15 (キ) 本件新聞記事文章1-68
本件新聞記事文章1-68は、対応原告文章の一部と一致する。当該
一致部分は、育児中の女性運転士等のためのJR東日本の新制度の概略
を冒頭で説明した上で、実施時期、旧制度と対比する形で新制度を簡潔
に説明することで、JR東日本の育児中の女性の運転士や車掌に関する
20 労務政策の内容を読者が理解できるよう工夫したものであり、本件新聞
記事文章1-68から対応原告文章の表現上の本質的特徴を直接感得す
ることができる。
(ク) 本件新聞記事文章1-72
本件新聞記事文章1-72は、対応原告文章の第1段落と一致する。
25 当該一致部分は、東京五輪に向けたJR東日本のテロ対策の内容を冒頭
で簡潔に説明した上で、東京五輪開幕時に駅に設置する防犯カメラの台
数、ネットワーク化等のシステムの詳細、非常事態発生時の画像伝送シ
ステムの説明という順序で、防犯カメラによるテロ対策の内容が読者に
伝わりやすいように工夫しており、本件新聞記事文章1-72から対応
原告文章の表現上の本質的特徴を直接感得することができる。
5 (ケ) 本件新聞記事文章2-1
本件新聞記事文章は、原告文章2-1①及び原告文章2-1②の第
2段落の第1文と一致している。当該一致部分は、全部で5段落を有
する原告文章2-1①に、新たな2段落目として原告文章2-1②の
文章が挿入されたものであるところ、対応原告文章2-1①は、逆三
10 角形構成で、第1段落でJR身延線が全線開通90年を迎える事実に
加え、ローカル線を取り巻く環境や地場産業の取組みを紹介し、第2
段落以降では鉄道創設の経緯に加え、観光客、地元店主、地元首長な
ど多様な立場の者の具体的な発言をかぎ括弧で紹介して、記事の内容
を具体的に補強する構成となっており、対応原告文章2-1②との一
15 致部分についても、具体的な情景が簡潔な表現で読者に伝わるように
工夫したものであり、本件新聞記事文章2-1から対応原告文章の表
現上の本質的特徴を直接感得することができる。
(コ) 本件新聞記事文章2-3
本件新聞記事文章2-3は、対応原告文章の第1〜3段落と一致する。
20 当該一致部分は、わたらせ渓谷鉄道のオリジナルヘッドマーク掲示サー
ビスについて、逆三角形構成で、第1段落で同サービスが好評であるこ
とを記載するとともに、「鉄道が大好きな孫の顔写真を掲げた女性」の
具体的なコメントを入れることで、どういったサービスなのか想像しや
すいように紹介し、これに続けて、第2段落以降でわたらせ渓谷鉄道の
25 見所などの観光情報や沿革、当該サービスの料金及びサービスの用途を
具体的に記載することで、興味を持った読者がより詳しい情報を収集で
きるよう工夫をしたものであり、本件新聞記事文章2-3から対応原告
文章の表現上の本質的特徴を直接感得することができる。
(サ) 本件新聞記事文章2-9
本件新聞記事文章2-9は、対応原告文章の第1段落と一致する。当
5 該一致部分は、冒頭にJR東日本の鉄道妨害に関する臨時協議会開催の
事実を記載し、それに続いて妨害事案の件数及びその増加の状況、開催
経緯を簡潔な表現で臨時協議会開催のニュースがコンパクトに読者に伝
わるよう工夫したものであり、本件新聞記事文章2-9から対応原告文
章の表現上の本質的特徴を直接感得することができる。
10 (シ) 本件新聞記事文章2-10
本件新聞記事文章2-10は、対応原告文章の第1段落及び第2段落
と一致する。当該一致部分は、逆三角形構成で、第1段落の第1文に容
疑者の供述内容の重要部分である犯行動機を、第2文に容疑者の供述内
容の枝葉の部分を記載し、既報である事件経緯や捜査の見立ては第2段
15 落に記載するといった工夫をしたものであり、本件新聞記事文章2-1
0から対応原告文章の表現上の本質的特徴を直接感得することができる。
(ス) 本件新聞記事文章2-19
本件新聞記事文章2-19は、対応原告文章の第1〜3段落及び第6
段落と一致している。当該一致部分は、一部順序が変更されているが、
20 逆三角形構成で、第1段落の冒頭で、青函トンネルでレールの変形が判
明し、JR北海道が緊急工事に着手するという重要な事項を説明し、そ
の直後に、レールの変形が直ちに安全性に直結しないことを盛り込み、
読者の不安が長引かないよう構成に配慮した上で、第2段落以降で詳し
いレール構造やダイヤへの影響などを説明し、特殊な用語にはかぎ括弧
25 を付して、読者が読みやすいように工夫したものであり、本件新聞記事
文章2-19から対応原告文章の表現上の本質的特徴を直接感得するこ
とができる。
(セ) 本件新聞記事文章2-31
本件新聞記事文章2-31は、対応原告文章の第1〜3段落を抜粋と
一致する。当該一致部分は、逆三角形構成で、大阪地裁の判決の概要を
5 記載しており、第1段落では、訴訟の概略を1文に簡潔にまとめ、読者
に伝わりやすいよう「(現・大阪メトロ)」との注釈も入れつつ、「ひげ
を理由にした考課の減点は裁量権の逸脱で違法」という主な判決理由を
含め訴訟の要点を説明した上で、第2段落以降で判決文を引用し、判決
理由のポイントを詳述することで読者が判決の内容を理解しやすいよう
10 に工夫しており、本件新聞記事文章2-31から対応原告文章の表現上
の本質的特徴を直接感得することができる。
エ 分類③の記事文章について
分類③は、原告文章と新聞記事文章の相当部分が一致しており、文章の
長いものである。
15 分類③の記事文章と対応原告文章の対比は別紙各記事対照一覧のとお
り一致している。対応原告文章のうち上記の一致部分は、一定の長さが
あり、かつ、前記アのとおりの対応原告文章の表現上の創作性が認めら
れ、また、分類③の記事文章から対応原告文章の表現上の本質的特徴を
直接感得することができる。
20 オ 分類④の記事文章について
分類④の記事文章は、いずれも対応原告文章と完全に一致しているから、
上記の一致部分について前記アのとおりの対応原告文章の表現上の創作
性が認められ、また、分類④の記事文章から対応原告文章の表現の本質
的な特徴を直接感得することができる。
25 カ 以上によれば、本件各新聞記事文章は、原告各文章を複製又は翻案した
ものであるといえる。
(被告の主張)
原告各文章は、「人物往来、死亡記事、火事、交通事故に関する日々のニ
ュースが著作物性を有しない」との文化庁の見解に照らせば、「事実の伝達
にすぎない雑報及び時事の報道」(著作権法10条2項)に当たるから、著
5 作物性が認められない。また、原告各文章が、原告から新聞社に提供された
原稿にすぎず、世間に公表されていないことに照らしても、著作物性が認め
られない。
したがって、本件各新聞記事文章について、原告各文章の文章と一致して
いる部分があるとしても、原告各文章を複製又は翻案したものということは
10 できない。
⑶ 争点⑶(被告の故意又は過失の有無)について
(原告の主張)
被告は、自らが創作した著作物ではないことを認識して、原告各文章の複
製物又は翻案物である本件各新聞記事文章を公衆送信したから、被告には著
15 作権侵害の故意又は過失が認められる。
(被告の主張)
前記⑵(被告の主張)で主張するとおり、原告各文章は「事実の伝達にす
ぎない雑報及び時事の報道」(著作権法10条2項)に当たり、著作物性が
認められないから、被告には著作権侵害の故意及び過失が認められない。
20 ⑷ 争点⑷(原告の損害の発生及びその額)について
(原告の主張)
ア 著作権法114条3項に基づく損害額
原告の配信記事の利用料の基準は以下のとおりであり、これを前提事
実⑷の被告の行為に適用して算出される額は、別紙記事分類一覧表1及
25 び2「損害額(税別)」欄記載のとおり合計77万6000円であるから、
同額が著作権法114条3項に基づく損害額と認められる。
掲載期間が3か月以下の記事 3000円
掲載期間が3か月を超え6か月以下の記事 5000円
掲載期間が6か月を超え1年以下の記事 1万円
掲載期間が1年を超え2年以下の記事 1万5000円
5 イ 弁護士費用 17万0200円
ウ したがって、原告の損害額は、合計94万6200円となる。
(被告の主張)
原告の主張は争う。
⑸ 争点⑸(消滅時効の起算点)について
10 (被告の主張)
原告の業務内容のほか、中日新聞社及び日本経済新聞社を含む新聞社らが
令和元年5月9日付けで被告に対し新聞記事の無許諾配信についての書面を
送付したこと、原告と中日新聞社及び日本経済新聞社は共に日本新聞協会の
会員であること、中日新聞社が別件訴訟1を提起したことからすれば、原告
15 は、遅くとも別件訴訟1が提起された令和2年2月17日までに、被告によ
る原告各文章の著作権侵害による損害の発生を現実に認識した。
したがって、原告の請求に係る著作権侵害に基づく損害賠償請求権の消滅
時効は、同時点から進行するから、本件訴訟の提起前に消滅時効が完成した。
(原告の主張)
20 原告が令和2年2月17日時点までに、被告の著作権侵害による損害の発
生を現実に認識していたことは否認する。原告が被告の著作権侵害による損
害の発生を現実に認識したのは、東京新聞に掲載された配信記事については、
別件訴訟1の訴訟記録を閲覧した令和4年12月13日、日本経済新聞に掲
載された配信記事については、別件訴訟2の訴訟記録を閲覧した令和5年1
25 月20日である。
第3 当裁判所の判断
1 争点⑴(本件訴えが別件判決1の既判力に抵触するか)について
被告は、本件訴えが別件判決1の既判力に抵触すると主張するが、本件訴訟
の訴訟物は、原告文章1に係る原告の著作権(公衆送信権又は二次的著作物の
利用に関する原著作者の権利(公衆送信権))侵害を理由とする不法行為に基
5 づく損害賠償請求であるのに対し、別件判決1の訴訟物は、中日新聞社の新聞
記事に係る同社の著作権(複製権及び公衆送信権)侵害を理由とする不法行為
に基づく損害賠償請求であって(前提事実⑸)、両者の訴訟物は異なるから、
本件訴えのうち、原告文章1に係る著作権侵害による損害賠償請求が別件判決
1の既判力に抵触しないのは明らかである。
10 したがって、被告の上記主張を採用することはできない。
2 争点⑵(本件各新聞記事文章が原告各文章を複製又は翻案したものであるか)
について
⑴ 言語の著作物について、翻案とは、既存の著作物に依拠し、かつ、その表
現上の本質的な特徴の同一性を維持しつつ、具体的表現に修正、増減、変更
15 等を加えて、新たに思想又は感情を創作的に表現することにより、これに接
する者が既存の著作物の表現上の本質的な特徴を直接感得することのできる
別の著作物を創作する行為をいい(最高裁平成11年(受)第922号同1
3年6月28日第一小法廷判決・民集55巻4号837頁)、複製とは、既
存の著作物に依拠し、これと同一のものを作成し、又は、具体的表現に修正、
20 増減、変更等を加えても、新たに思想又は感情を創作的に表現することなく、
その表現上の本質的な特徴を維持し、これに接する者が既存の著作物の表現
上の本質的特徴を直接感得することのできるものを作成する行為をいうもの
と解される。
本件各新聞記事文章について通信社である原告が新聞社に配信した原告各
25 文章に依拠して作成されたものであることが認められる(弁論の全趣旨)。
そこで、本件各新聞記事文章が原告各文章を複製又は翻案したものであるか
に関し、本件各新聞記事文章について、原告各文章の表現上の本質的な特徴
の同一性を維持し、これに接する者が原告各文章の表現上の本質的な特徴を
直接感得することができるといえるかについて検討する。
⑵ 分類①の記事文章について
5 ア 本件新聞記事文章1-5
別紙記事対照一覧1によれば、本件新聞記事文章1-5は、数字の表記
(漢数字、アラビア数字)を除いて、順序も含め対応原告文章の第1段
落及び第3段落と、文章の具体的表現において同一である。
原告の従業員である記者は、配信記事について、一般に、冒頭にニュ
10 ースの重要部分を示した後に、詳しい内容や経過等を記載する構成(逆
三角形構成)を採用し、配信記事に盛り込む事項を選択し、記者が現場
で見聞した情景を記載し、取材相手の発言を主旨やニュアンスを変えな
いように要約及び整理し、文章を短く簡潔にするため、通常の散文に比
して1文を短めにし、名詞の直後に丸括弧で情報を補い、読者が読みや
15 すいリズムにするため、1文の終わりが同じ語の繰り返しとなるのを避
け、数回に1回は体言止めにするなどの表現上の工夫をしているところ
(甲18及び弁論の全趣旨)、上記の同一性ある部分は、東海道新幹線の
線路への男性の立入りのニュースについて、第1文に立入りの日時、場
所及び概要といった重要な情報を記載した後に、第2文及び第3文並び
20 にその後の文において立入りによる影響を適宜要約し、及び整理して順
に記載しており、同部分には、記事に盛り込む事項の選択、その配列、
構成や具体的な文章表現に、作成者の思想又は感情が創作的に表現され、
対応原告文章の表現上の本質的な特徴の同一性が維持されているといえ
る。
25 そして、対応原告文章は3段落からなる文章であるのに対し、本件新
聞記事文章1-5は1段落からなる文章であり、同文章では、対応原告
文章のうち、第2段落(男性の行方及び新幹線の停止に至る経緯)が削
除され、第1段落の後の改行がないものの、同一性ある部分に維持され
た表現上の本質的特徴及び対応原告文章における分量からすれば、同新
聞記事文章に接する者が対応原告文章の表現上の本質的特徴を直接感得
5 することができるといえる。
イ 本件新聞記事文章1-17
別紙記事対照一覧1によれば、本件新聞記事文章1-17は、数字の表
記(漢数字、アラビア数字)を除いて、順序も含め対応原告文章の第1
段落及び第3段落と、文章の具体的表現において同一である。
10 上記の同一性ある部分は、貨物車カバーと電車との接触事故について、
第1文に事故の日時、場所及び概要といった重要な情報を記載した上で、
第2文及び第3文で事故の結果や影響を、その後の文で運行状況を適宜
要約し、及び整理して順に記載し、名詞の直後に丸括弧で情報を補足し
ており、同部分には、記事に盛り込む事項の選択、その配列、構成や具
15 体的な文章表現に、作成者の思想又は感情が創作的に表現され対応原告
文章の表現上の本質的な特徴の同一性が維持されているといえる。
そして、対応原告文章は3段落からなる文章であるのに対し、本件新
聞記事文章1-17は1段落からなる文章であり、同文章では、対応原
告文章のうち、第2段落(貨物車カバーの詳細)が削除され、第1段落
20 の後の改行がないものの、同一性ある部分に維持された表現上の本質的
特徴及び対応原告文章における分量からすれば、同新聞記事文章に接す
る者が対応原告文章の表現上の本質的特徴を直接感得することができる
といえる。
ウ 本件新聞記事文章2-21
25 別紙記事対照一覧2によれば、本件新聞記事文章2-21は、順序も含
め、対応原告文章の第1段落(第1文の被疑者の氏名の記載を除く。)及
び第2段落の第1文(一部の句を除く。)と、文章の具体的表現において
同一である。
上記の同一性ある部分は、鉄道会社の従業員による事件について、第
1段落の第1文に当該事件の被疑事実及び検察庁による処分の内容とい
5 った重要な概要を簡潔に記載した上で、第2文及び第3文に処分日及び
処分の理由を、第2段落の第1文に事件の詳細を適宜要約し、及び整理
して記載しており、同部分には、記事に盛り込む事項の選択、その配列、
構成や具体的な文章表現に、作成者の思想又は感情が創作的に表現され、
対応原告文章の表現上の本質的な特徴の同一性が維持されているといえ
10 る。
そして、対応原告文章は2段落からなる文章であるのに対し、本件新
聞記事文章2-21は1段落からなる文章であり、同文章では、対応原
告文章の第1段落のうち被疑者の氏名、第2段落の第1文のうちの「被
害者が泥酔して抵抗できない」の部分が削除され、第1段落の後の改行
15 がないものの、同一性ある部分に維持された表現上の本質的特徴及び対
応原告文章における分量からすれば、同新聞記事文章に接する者が対応
原告文章の表現上の本質的特徴を直接感得することができるといえる。
エ 本件新聞記事文章2-23
別紙記事対照一覧2によれば、本件新聞記事文章2-23は、順序も含
20 め、対応原告文章の第1段落と具体的表現において同一である。
上記の同一性ある部分は、新幹線の非常ドアコックのふたが2回開く
という事故について、第1文に2回の事故の日時、場所及び概要といっ
た重要な情報を記載した上で、第2文に事故の原因及び鉄道会社による
調査の実施といった詳細を適宜要約し、及び整理して記載しており、同
25 部分には、記事に盛り込む事項の選択、その配列、構成や具体的な文章
表現に、作成者の思想又は感情が創作的に表現され、対応原告文章の表
現上の本質的な特徴の同一性が維持されているといえる。
そして、対応原告文章は2段落からなる文章であるのに対し、本件新
聞記事文章2-23は1段落からなる文章であり、同文章では、対応原
告文章の第2段落(上記のふたが開いた場合の詳細及び事故の影響)が
5 削除されているものの、同一性ある部分に維持された表現上の本質的特
徴及び対応原告文章における分量からすれば、同新聞記事文章に接する
者が対応原告文章の表現上の本質的特徴を直接感得することができると
いえる。
オ 本件新聞記事文章1-24、1-31、1-57、1-76、1-77、
10 2-11、2-18
別紙各記事対照一覧によれば、本件新聞記事文章1-24、1-31、
1-57、1-76、1-77、2-11及び2-18と対応原告文章
は、数字の表記(漢数字、アラビア数字)、地名の表記方法、読点の有無、
ごく一部の単語又は句を除いて、順序も含め具体的表現において同一で
15 ある。
上記の同一性ある部分は、鉄道会社の社員の不祥事、鉄道会社の分社
化、線路への放置自転車による事故、券売機のプログラムミス、鉄道利
用者のはしかの感染、線路脇の発煙、鉄道博物館のニュースについて、
冒頭にニュースの重要な情報や要約を示した後に、ニュースの詳細や経
20 過、取材相手の発言、記者が現場で見聞した情景、関連する情報などを
適宜要約し、及び整理して記載し、名詞の直後に丸括弧で情報を補足す
るなどしており、同部分には、記事に盛り込む事項の選択、その配列、
構成や具体的な文章表現に、作成者の思想又は感情が創作的に表現され、
対応原告文章の表現上の本質的な特徴の同一性が維持されているといえ
25 る。
そして、別紙各記事対照一覧から認められる上記各新聞記事文章と対
応原告文章との同一性ある部分に維持された表現上の本質的特徴及び対
応原告文章における分量からすれば、上記相違する部分を考慮してもな
お、上記各新聞記事文章に接する者が対応原告文章の表現上の本質的特
徴を直接感得することができるといえる。
5 ⑶ 分類②の記事文章について
ア 本件新聞記事文章1-3
別紙記事対照一覧1によれば、本件新聞記事文章1-3は、順序も含め、
数字の表記(漢数字、アラビア数字)を除き、対応原告文章の第1段落、
第2段落、第3段落(一部の句を除く。)及び第5段落と、具体的表現に
10 おいて同一である。
上記の同一性ある部分は、尼崎の脱線事故の慰霊式について、第1段落
において、尼崎脱線事故の概要及び事故から13年が経過したという慰
霊式に至る経緯、慰霊式が開催されたこと及びJR西日本の社長の発言
といった重要な情報を記載した上で、第2段落において、新幹線の台車
15 に亀裂が見つかったという新たに発生した問題に関する説明、第3段落
において慰霊式の様子、その後の段落において遺族の発言を適宜要約し、
及び整理して記載しており、同部分には、記事に盛り込む事項の選択、
その配列、構成や具体的な文章表現に、作成者の思想又は感情が創作的
に表現され、対応原告文章の表現上の本質的な特徴の同一性が維持され
20 ているといえる。
そして、対応原告文章は7段落からなる文章であるのに対し、本件新
聞記事文章1-3は4段落からなる文章であって、同文章では、対応原
告文章の第3段落の社長の「かけがえのない日々を奪い、悲しみ、苦し
みをもたらしてしまった」との発言の一部を省略して「かけがえのない
25 日々を奪ってしまった」とし、第4段落(遺族の言動)、第6段落(JR
西日本の献花)、第7段落(事故現場の現状)が削除されているものの、
同一性ある部分に維持された表現上の本質的特徴及び対応原告文章にお
ける分量からすれば、同新聞記事文章に接する者が対応原告文章の表現
上の本質的特徴を直接感得することができるといえる。
イ 本件新聞記事文章1-6
5 別紙記事対照一覧1によれば、本件新聞記事文章1-6は、数字の表記
(漢数字、アラビア数字)及び体言止めの有無を除き、順序も含め、対応
原告文章の第1段落並びに第3段落の第1文及び第2文と具体的表現にお
いて同一である。
上記の同一性ある部分は、ゴールデンウィークの公共交通機関について、
10 第1段落において、ゴールデンウィークの後半の初日の公共交通機関の混
雑の概要及び今後の天候の概要について記載した上で、その後の段落にお
いて、公共交通機関の混雑に関する具体的なデータを適宜整理し、簡潔に
列挙するという構成をとっており、同部分には、記事に盛り込む事項の選
択、その配列、構成や具体的な文章表現に、作成者の思想又は感情が創作
15 的に表現され、対応原告文章の表現上の本質的な特徴の同一性が維持され
ているといえる。
そして、対応原告文章は6段落からなる文章であるのに対し、本件新聞
記事文章1-6は2段落からなる文章であり、同文章では、対応原告文章
の第3段落の第2文の末尾が「渋滞が発生した。」から「渋滞が発生。」に
20 変更され、第2段落(JR東京駅の光景及び取材対象者の発言)、第3段
落の第3文(東名高速の混雑に関する具体的なデータ)、第4〜6段落
(天気予報及び各地の天気に関する詳細)が削除されているものの、同一
性ある部分に維持された表現上の本質的特徴及び対応原告文章における分
量からすれば、同新聞記事文章に接する者が対応原告文章の表現上の本質
25 的特徴を直接感得することができるといえる。
ウ 本件新聞記事文章1-25
別紙記事対照一覧1によれば、本件新聞記事文章1-25は、数字の表
記(漢数字、アラビア数字)を除き、順序も含め、対応原告文章の第1段
落、第4段落及び第5段落(末尾の一部を除く。)と具体的表現において
同一である。
5 上記の同一性ある部分は、帰省ラッシュについて、第1段落において、
帰省ラッシュのピーク日という重要な情報及び雑感要素としてJR東京駅
の光景を記載した上で、その後の段落において新幹線の混雑に関する具体
的なデータを、その次の段落において東北自動車道の混雑に関する具体的
なデータを、それぞれ適宜整理、簡潔に列挙するという構成をとっており、
10 同部分には、記事に盛り込む事項の選択、その配列、構成や具体的な文章
表現に、作成者の思想又は感情が創作的に表現され、対応原告文章の表現
上の本質的な特徴の同一性が維持されているといえる。
そして、対応原告文章は5段落からなる文章であるのに対し、本件新聞
記事文章1-25は3段落からなる文章であり、同文章では、対応原告文
15 章の第2段落及び第3段落(取材対象者の発言)並びに第5段落の末尾の
具体的な地点の渋滞状況に関する記載が削除されているものの、同一性あ
る部分に維持された表現上の本質的特徴及び対応原告文章における分量か
らすれば、同新聞記事文章に接する者が対応原告文章の表現上の本質的特
徴を直接感得することができるといえる。
20 エ 本件新聞記事文章1-27
別紙記事対照一覧1によれば、本件新聞記事文章1-27は、数字の表
記(漢数字、アラビア数字)を除き、順序も含め、対応原告文章の第1段
落と具体的表現において同一である。
上記の同一性ある部分は、東京メトロの役員の不適切な行為について、
25 第1文に当該役員の不適切な行為の概要及び東京メトロによる処分の内容
を記載した上で、第2文に処分に至る経緯、第3文に東京メトロの処分の
理由を適宜要約し、及び整理して記載し、名詞の直後に丸括弧で情報を補
足しており、同部分には、記事に盛り込む事項の選択、その配列、構成や
具体的な文章表現に、作成者の思想又は感情が創作的に表現され、対応原
告文章の表現上の本質的な特徴の同一性が維持されているといえる。
5 そして、対応原告文章は4段落からなる文章であるのに対し、本件新聞
記事文章1-27は1段落からなる文章であり、同文章では、対応原告文
章の第2段落(当該役員の不祥事の詳細)、第3段落(当該役員の不適切
な行為後の事実経過)及び第4段落(不適切な行為時の状況及び当該役員
の謝罪)が削除されているものの、同一性ある部分に維持された表現上の
10 本質的特徴及び対応原告文章における分量からすれば、同新聞記事文章に
接する者が対応原告文章の表現上の本質的特徴を直接感得することができ
るといえる。
オ 本件新聞記事文章1-28
別紙記事対照一覧1によれば、本件新聞記事文章1-28は、順序も含
15 め、対応原告文章の第1段落及び第4段落の第1文と、文章の具体的表現
において同一である。
上記の同一性ある部分は、駅のホームからの転落を自動検知するパナソ
ニックのシステムについて、第1段落の第1文に当該システムの概要、第
2文に当該システムの目的及び役割、第3文に導入実績という重要な情報
20 を適宜要約し、及び整理して記載し、その後の文で当該システムの値段を
補足しており、同部分には、記事に盛り込む事項の選択、その配列、構成
や具体的な文章表現に、作成者の思想又は感情が創作的に表現され、対応
原告文章の表現上の本質的な特徴の同一性が維持されているといえる。
そして、対応原告文章は4段落からなる文章であるのに対し、本件新聞
25 記事文章1-28は1段落からなる文章であり、対応原告文章の第2段落
(当該システムの機能の詳細)、第3段落(当該システムの転落の検知以
外の役割及び担当者の発言)、第4段落のうち第2文ないし第4文(工事
費が別途必要になること及び将来的な開発方針)が削除され、第1段落の
後の改行がないものの、同一性ある部分に維持された表現上の本質的特徴
及び対応原告文章における分量からすれば、同新聞記事文章に接する者が
5 対応原告文章の表現上の本質的特徴を直接感得することができるといえる。
カ 本件新聞記事文章1-46
別紙記事対照一覧1によれば、本件新聞記事文章1-46は、順序も含
め、対応原告文章の第1段落(一部の句を除く。)及び第2段落の第1文
と、文章の具体的表現において同一である。
10 上記の同一性ある部分は、東武鉄道の蒸気機関車の取得について、第1
文に東武鉄道の蒸気機関車の取得の概要及び簡潔な経緯、第2文及び第3
文に今後の当該蒸気機関車の復元及び運行の予定、第4文に今後の運行に
よる効果を適宜要約し、及び整理して記載し、第5文で当該蒸気機関車の
歴史の概要について簡潔に記載しており、同部分には、記事に盛り込む事
15 項の選択、その配列、構成や具体的な文章表現に、作成者の思想又は感情
が創作的に表現され、対応原告文章の表現上の本質的な特徴の同一性が維
持されているといえる。
そして、対応原告文章は5段落からなる文章であるのに対し、本件新聞
記事文章1-46は1段落からなる文章であり、対応原告文章の第1段落
20 の第2文の「整備して走れる」を「走れる」、第3文の「観光客呼び込み
と地域活性化」を「観光客呼び込み」と変更し、第2段落の第2文及び第
3文(当該蒸気機関車の歴史の詳細)、第3段落(東部鉄道による取得の
経緯の詳細)、第4段落(別の蒸気機関車の運行状況)、第5段落(別の蒸
気機関車の運休に関する情報及び東部グループ幹部の発言)が削除され、
25 第1段落の後の改行がないものの、同一性ある部分に維持された表現上の
本質的特徴及び対応原告文章における分量からすれば、同新聞記事文章に
接する者が対応原告文章の表現上の本質的特徴を直接感得することができ
るといえる。
キ 本件新聞記事文章1-68
別紙記事対照一覧1によれば、本件新聞記事文章1-68は、順序も含
5 め、対応原告文章の第1段落(2文)、第3段落の第1文、第5段落の第
1文及び第6段落の第2文の各一部と、文章の具体的表現において共通
する。
上記の共通する部分は5文であり、第1段落の第1文及び第2文に育
児中の女性運転士等のためのJR東日本の新制度の概要及び実施開始日、
10 その後の文に現在の制度の概要、その後の文に現在の制度の変更の詳細、
その後の文に乗務員数を増やすための制度の導入について記載されてい
る。もっとも、本件新聞記事文章1-68では、前記⑵アの逆三角構成
において重要とされる対応原告文章の冒頭第1段落の第1文について、
「22日、…新制度を導入すると明らかにした」を「新制度を導入する」
15 として含まれる事実及び表現それ自体を変更し、第2文について、末尾
を体言止めに変更し、第3段落の第1文について、中盤の「育児や介護
中の運転士と車掌に」との短時間勤務の対象者についての表現部分を削
除し、第5段落の第1文について、冒頭の「そして」との前段落からの
接続について表現部分を削除し、第6段落の第2文について、冒頭の
20 「女性乗務員の勤務時間の柔軟に設定するには」との乗務員数を増やす
目的についての表現部分、中盤の「週2〜3日、列車本数が多い朝だけ」
との短時間乗務の頻度についての表現部分及び終盤の「3月16日から」
との短時間乗務の開始時期についての表現部分を削除した結果、両文章
に共通する5文すべてについて表現それ自体を変更しており、4文につ
25 いて素材となる事実を変更し、最も変更の幅が大きい文では半分程度の
文字数に短縮している。
また、対応原告文章は6段落13文からなる文章であるのに対し、本
件新聞記事文章1-68は1段落5文からなる文章であり、同文章では、
対応原告文章の第2段落(運転士等として働くことを前提とした新卒採
用者における女性の割合及びJR東日本の執行役員の発言)、第3段落の
5 第2文及び第3文(現在の制度の対象者及び利用者の概要)、第4段落
(現在の制度の例と欠点)、第5段落の第2文(新制度の導入による効
果)、第6段落の第1文(新制度の導入の前提となる運転士等に関する説
明)及び第2文のうち当該新制度の導入に伴う乗務員数の確保のための
制度の詳細に関する記載が削除された上、すべての改行がなくなってい
10 るから、対応原告文章における段落分けや前後の文の接続関係といった
配列及び構成も変更されている。
以上のとおり、共通する5文においても、含まれる事実及び表現それ
自体が変更され、共通する文章の間の対応原告文章の文が間引きされた
結果、記事に盛り込む事項、配列及び構成も変更されているから、本件
15 新聞記事文章1-68が、対応原告文章の表現上の本質的な特徴の同一
性を維持しているとはいえないし、また、共通する部分の表現の共通性
及び対応原告文章における分量に照らせば、同新聞記事文章に接する者
が対応原告文章の表現上の本質的な特徴を直接感得することができると
いうこともできない。
20 ク 本件新聞記事文章1-72
別紙記事対照一覧1によれば、本件新聞記事文章1-72は、順序も含
め、数字の表記(漢数字、アラビア数字)を除いて、対応原告文章の第1
段落と具体的表現において同一である。
上記の同一性ある部分は、東京五輪に向けたJR東日本の防犯カメラを
25 活用したテロ対策について、第1文にJR東日本による当該対策に関する
発表の事実を簡潔に記載した上で、第2文及び第3文に、設置する防犯カ
メラの台数や警察に画像を伝送するシステムの導入といった当該対策の概
要を、適宜要約し、及び整理して記載しており、同部分には、記事に盛り
込む事項の選択、その配列、構成や具体的な文章表現に、作成者の思想又
は感情が創作的に表現され、対応原告文章の表現上の本質的な特徴の同一
5 性が維持されているといえる。
そして、対応原告文章は4段落からなる文章であるのに対し、本件新聞
記事文章1-72は1段落からなる文章であり、対応原告文章の第2段落
(現行の仕組みからの変更点及び当該対策の人的な体制)、第3段落(当
該対策の詳細及び社長の発言)、第4段落(当該対策の導入に付随する他
10 の対策)が削除されているものの、同一性ある部分に維持された表現上の
本質的特徴及び対応原告文章における分量からすれば、同新聞記事文章に
接する者が対応原告文章の表現上の本質的特徴を直接感得することができ
るといえる。
ケ 本件新聞記事文章2-1
15 別紙記事対照一覧2によれば、本件新聞記事文章2-1の第1段落、第
3〜6段落は、順序も含め、原告文章2-1①と具体的表現において同
一である。
上記の同一性ある部分は、JR身延線の開通90周年について、第1
段落にJR身延線が開通90周年を迎えること及び富士山の眺望と沿線
20 のB級グルメを理由に人気であることを簡潔に記載した上で、その後の
段落にJR身延線の歴史、次の段落及びその次の段落にJR身延線が通
る富士宮駅の概要、観光客及び地元店主の発言並びにB級グルメに関す
る情報を記載した上で、更に次の段落にJR身延線の将来の見通し及び
山梨県昭和町長の発言を適宜要約し、及び整理して記載しており、同部
25 分は、記事に盛り込む事項の選択、その配列、構成や具体的な文章表現
に、作成者の思想又は感情が創作的に表現され、対応原告文章の表現上
の本質的な特徴の同一性が維持されているといえる。
そして、原告文章2-1①は5段落からなる文章であるのに対し、本
件新聞記事文章2-1は6段落からなる文章であり、同文章では、原告
文章2-1①の第1段落と第2段落の間に2文からなる1段落(開通9
5 0周年を記念する出発式に関する記載)が追加されているものの、同一
性ある部分に維持された表現上の本質的特徴及び対応原告文章における
分量からすれば、同新聞記事文章に接する者が対応原告文章の表現上の
本質的特徴を直接感得することができるといえる。
なお、原告は、本件新聞記事文章2-1が原告文章2-1②の複製物又
10 は翻案物であることも主張するが、原告は、原告文章の数ではなく新聞
記事文章の数に応じて損害を主張し、この点は原告の損害額の算定に影
響を及ぼさないから、判断しない。
コ 本件新聞記事文章2-3
別紙記事対照一覧2によれば、本件新聞記事文章2-3は、年の表記方
15 法を除いて、順序も含め、対応原告文章の第1〜3段落と、文章の具体的
表現において同一である。
上記の同一性ある部分は、わたらせ渓谷鉄道の運行列車へのオリジナル
ヘッドマークの掲示の事業について、第1段落の第1文及び第2文にわた
らせ渓谷鉄道による当該事業の概要を簡潔に記載し、第3文に取材対象者
20 の発言を簡潔に記載した上で、第2段落にわたらせ渓谷鉄道の紹介、第3
段落の第1文にオリジナルヘッドマークの大きさや料金及び往復本数を、
その後の文に使用後のマークの引き取りや利用例を、適宜要約し、及び整
理して記載しており、同部分には、記事に盛り込む事項の選択、その配列、
構成や具体的な文章表現に、作成者の思想又は感情が創作的に表現され、
25 対応原告文章の表現上の本質的な特徴の同一性が維持されているといえる。
そして、対応原告文章は5段落からなる文章であるのに対し、本件新聞
記事文章2-3は4段落からなる文章であり、対応原告文章の第4段落
(取材対象者のエピソード及び発言)、第5段落(わたらせ渓谷鉄道の社
長の発言及び問合せ先)が削除され、第3段落の第1文の後で改行されて
いるものの、同一性ある部分に維持された表現上の本質的特徴及び対応原
5 告文章における分量からすれば、同新聞記事文章に接する者が対応原告文
章の表現上の本質的特徴を直接感得することができるといえる。
サ 本件新聞記事文章2-9
別紙記事対照一覧2によれば、本件新聞記事文章2-9は、順序も含め、
対応原告文章の第1段落と具体的表現において同一である。
10 上記の同一性ある部分は、JR東日本と警察による鉄道妨害の対策会議
について、第1文に当該対策会議の開催に関する概要を、第2文に鉄道妨
害に関する具体的なデータ及びJR東日本による要請を、適宜要約し、及
び整理して記載しており、同部分には、記事に盛り込む事項の選択、その
配列、構成や具体的な文章表現に、作成者の思想又は感情が創作的に表現
15 され、対応原告文章の表現上の本質的な特徴の同一性が維持されていると
いえる。
そして、対応原告文章は4段落からなる文章であるのに対し、本件新聞
記事文章2-9は1段落の文章であり、同文章では、対応原告文章の第2
段落及び第3段落(警視庁鉄道警察隊長及びJR東日本常務の発言)、第
20 4段落(具体的な鉄道妨害事案の紹介)が削除されているものの、同一性
ある部分に維持された表現上の本質的特徴及び対応原告文章における分量
からすれば、同新聞記事文章に接する者が対応原告文章の表現上の本質的
特徴を直接感得することができるといえる。
シ 本件新聞記事文章2-10
25 別紙記事対照一覧2によれば、本件新聞記事文章2-10は、読点の有
無及び氏名の読み仮名の記載の有無を除き、順序も含め、対応原告文章の
第1段落及び第2段落と、具体的表現において同一である。
上記の同一性ある部分は、東海道新幹線の殺傷事件の被疑者の供述につ
いて、第1段落の第1文に被疑者の直接的な犯行動機に関する重要な供述
を、第2文に被疑者の犯行場所に関する供述を、第2段落に被疑者の凶器
5 及び指定席券の購入並びに神奈川県警による犯行動機等の捜査を、適宜要
約し、及び整理して記載しており、同部分には、記事に盛り込む事項の選
択、その配列、構成や具体的な文章表現に、作成者の思想又は感情が創作
的に表現され、対応原告文章の表現上の本質的な特徴の同一性が維持され
ているといえる。
10 そして、対応原告文章は、東海道新幹線の殺傷事件の被疑者の供述を題
材とする8段落からなる文章であるのに対し、本件新聞記事文章2-10
は、2段落からなる文章であり、同文章では、対応原告文章の第1段落の
第1文の「無職」の後に読点が加えられ、氏名の次の読み仮名の記載が削
除され、第3段落(犯行に至る経緯)、第4段落(被疑者の供述)、第5段
15 落(被害者の年齢)、第6段落(当該事件当時の状況)、第7段落(当該事
件の概要)、第8段落(遺族の発言)が削除されているものの、同一性あ
る部分に維持された表現上の本質的特徴及び対応原告文章における分量、
同新聞記事文章に接する者が対応原告文章の表現上の本質的特徴を直接感
得することができるといえる。
20 ス 本件新聞記事文章2-19
別紙記事対照一覧2によれば、本件新聞記事文章2-19は、日付の表
記方法を除き、順序も含め、対応原告文章の第1段落、第2段落の第1文
及び第3段落と文章の具体的表現において同一である。
上記の同一性ある部分は、青函トンネルのレールの変形について、第1
25 段落の第1文に当該変形の概要を、次の2文に緊急工事の実施及び実施の
理由を、その後の段落に当該レールの基本的な情報を、その次の段落にJ
R北海道の緊急工事に関する考え及びダイヤへの影響を、適宜要約し、及
び整理して記載しており、同部分には、記事に盛り込む事項の選択、その
配列、構成や具体的な文章表現に、作成者の思想又は感情が創作的に表現
され、対応原告文章の表現上の本質的な特徴の同一性が維持されていると
5 いえる。
そして、対応原告文章は8段落からなる文章であるのに対し、本件新聞
記事文章2-19は4段落からなり、同文章では、対応原告文章の第1段
落第1文の「24日」が「25日までに」に変更され、第2段落の第2文
(当該変形の原因)、第4段落(緊急工事の実施頻度及び期間)、第5段落
10 (青函トンネルの利用状況)、第6段落(当該レールの変形の詳細及び他
のレールへの影響)、第7段落(JR北海道の従前の発表)、第8段落(国
道交通省による支援)が削除され、第1段落の第1文の後で改行されてい
るほか、本件新聞記事文章2-19の第3段落の2文目の次に当該レール
の変形の原因及び他のレールへの影響に関する2文が追加されているもの
15 の、同一性ある部分に維持された表現上の本質的特徴及び対応原告文章に
おける分量からすれば、同新聞記事文章に接する者が対応原告文章の表現
上の本質的特徴を直接感得することができるといえる。
セ 本件新聞記事文章2-31
別紙記事対照一覧2によれば、本件新聞記事文章2-31は、順序も含
20 め、対応原告文章の第1〜3段落と具体的表現において同一である。
上記の同一性ある部分は、大阪メトロの運転士のひげを理由とする人事
考課について、第1段落に事案の概要、判決の主文及び理由の概要を、第
2、3段落に原告らの主張を認めた部分の理由を、適宜要約し、及び整理
して記載しており、同部分には、記事に盛り込む事項の選択、その配列、
25 構成や具体的な文章表現に、作成者の思想又は感情が創作的に表現され、
対応原告文章の表現上の本質的な特徴の同一性が維持されているといえる。
そして、対応原告文章は7段落からなる文章であるのに対し、本件新聞
記事文章2-31は3段落からなる文章であり、対応原告文章の第4段落
(原告らの主張を排斥した部分の理由)、第5段落(当該事案に至る経緯
及び詳細)、第6段落(大阪メトロの現在の運用)、第7段落(当該判決に
5 対する大阪市のコメント)が削除されているものの、同一性ある部分に維
持された表現上の本質的特徴及び対応原告文章における分量からすれば、
同新聞記事文章に接する者が対応原告文章の表現上の本質的特徴を直接感
得することができるといえる。
⑷ 分類③の記事文章について
10 別紙各記事対照一覧によれば、本件新聞記事文章1-29は、本文と別項
がそれぞれ原告文章1-29①及び②と、本件新聞記事文章1-53は、少
なくとも「鉄道の安全対策」との小見出しがついた別項と原告文章1-53
②と、本件新聞記事文章2-6の少なくとも「頑張り屋さんだった」との小
見出しの部分と原告文章2-6③と(ただし、路線名の表記、括弧内の年齢
15 の記載、助詞、読点の有無及び最後の2文を除く。)、本件新聞記事文章2-
33は、少なくとも本文の部分が原告文章2-33①と(ただし、助詞及び
読点の有無を除く。)、それぞれ順序も含め、具体的表現において同一である。
また、その余の分類③の記事文章は、数字の表記(漢数字、アラビア数字)
の相違、読点の有無、地名の表記方法、年月日の記載の有無や表記方法及び
20 助詞のごく一部、ごく一部の句ないし文が上記の記事文章にない点を除いて
対応原告文章と、順番も含め具体的表現において同一である。
上記の同一性ある部分は、鉄道の運行や利用状況、鉄道に関する事件や事
故、鉄道会社の事業、鉄道に関する制度、災害などのニュースについて、冒
頭にニュースの重要な情報や要約を示した後に、ニュースの詳細や経過、取
25 材相手の発言、記者が現場で見聞した情景、関連する情報などを適宜要約し、
及び整理して記載し、名詞の直後に丸括弧で情報を補足するなどしており、
同部分には、記事に盛り込む事項の選択、その配列、構成や具体的な文章表
現に、作成者の思想又は感情が創作的に表現され、対応原告文章の表現上の
本質的な特徴の同一性が維持されているといえる。
そして、別紙各記事対照一覧から認められる上記各新聞記事文章と対応原
5 告文章(本件新聞記事文章1−53については原告文章1−53②、本件新
聞記事文章2-6については原告文章2-6③)との同一性ある部分に維持
された表現上の本質的特徴及び対応原告文章における分量からすれば、上記
相違部分を考慮してもなお、上記⑵及び⑶と同様に上記各新聞記事文章に接
する者が対応原告文章の表現上の本質的特徴を直接感得することができると
10 いえる。
なお、原告は、本件新聞記事文章1-53、2-6、2-33について、
原告文章1-53①、2-6①②、2-33②の複製物又は翻案物であるこ
とも主張するが、原告は、原告文章の数ではなく新聞記事文章の数に応じて
損害を主張し、この点は原告の損害額の算定に影響を及ぼさないから、判断
15 しない。
⑸ 分類④の記事文章について
別紙各記事対照一覧によれば、分類④の記事文章と対応原告文章は、数字
の表記(漢数字、アラビア数字)に相違があるが、この点を除き、順序も含
め具体的表現において同一である。
20 上記の同一性ある部分は、鉄道の運行情報や利用状況、鉄道に関する事件
や事故、鉄道事業などのニュースについて、冒頭にニュースの重要な情報や
要約を示した後に、ニュースの詳細や経過、取材相手の発言、記者が現場で
見聞した情景、関連する情報などを適宜要約し、及び整理して記載し、名詞
の直後に丸括弧で情報を補足するなどしており、同部分には、記事に盛り込
25 む事項の選択、その配列、構成や具体的な文章表現に、作成者の思想又は感
情が創作的に表現され、対応原告文章の表現上の本質的な特徴の同一性が維
持されているといえる。
そして、対応原告文章と分類④の記事文章について、数字の表記(漢数字、
アラビア数字)以外は同一であり、同一性ある部分に維持された表現上の本
質的特徴及び対応原告文章における分量からすれば、同新聞記事文章に接す
5 る者が対応原告文章の表現上の本質的特徴を直接感得することができるとい
える。
⑹ 被告の主張に対する判断
これに対し、被告は、原告各文章が、「事実の伝達にすぎない雑報及び時
事の報道」(著作権法10条2項)に当たること、原告から新聞社に提供さ
10 れた原稿にすぎないことを理由に、著作物に当たらないと主張する。
著作物といえるための創作性の程度については、高度な芸術性や独創性ま
で要するものではなく、作成者の何らかの個性が発揮されていれば足りると
ころ、前記⑵〜⑸において、原告文章1-68以外の原告各文章(本件新聞
記事文章1-53、2-1、2-6及び2-33との関係では、原告文章1
15 -53②、2-1①、2-6③及び2-33①。以下「本件被侵害原告文章」
という。)と本件新聞記事文章1-68以外の本件各新聞記事文章(以下
「本件侵害新聞記事文章」という。)の同一性ある部分について説示したと
おり、本件被侵害原告文章は、作成者の個性が表れており、いずれも作成者
の思想又は感情が創作的に表現されたものと認められるから、「思想又は感
20 情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属
するもの」、すなわち、著作物(同法2条1項1号)と認められるのであっ
て、「事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道」には当たらないのであり、
被告が主張する文化庁の見解と矛盾するものではない。
また、本件被侵害原告文章が原告から新聞社に提供されたものであること
25 によって、本件被侵害原告文章の著作物性の判断が左右されるものではない。
したがって、被告の上記主張は採用することはできない。
なお、被告は、前記第2の3⑵(原告の主張)のとおりの原告文章と新聞
記事文章の同一性ある部分の表現上の創作性に関する原告の具体的主張につ
いては、複数回の反論の機会があったにもかかわらず、何らの具体的反論を
しない。
5 ⑺ 以上によれば、本件侵害新聞記事文章は、本件被侵害原告文章の複製物又
は翻案物に当たるといえるから、被告が本件侵害新聞記事文章の画像データ
を本件イントラネットの掲示板にアップロードし、被告の従業員が閲覧する
ことができる状態に置いたことによって、本件被侵害原告文章に係る原告の
著作権(公衆送信権又は二次的著作物の利用に関する原著作者の権利(公衆
10 送信権))が侵害されたといえる。他方、本件新聞記事文章1-68は、原
告文章1-68の複製物又は翻案物に当たるといえないから、被告の上記行
為によって、原告文章1-68に係る原告の著作権(公衆送信権又は二次的
著作物の利用に関する原著作者の権利(公衆送信権))が侵害されたとはい
えない。
15 3 争点⑶(被告の故意又は過失の有無)について
⑴ 本件侵害新聞記事文章は、中日新聞社及び日本経済新聞社が新聞に掲載し
たものであり(前提事実⑶)、被告もこのことを認識していたことは明らか
であるところ、被告は、中日新聞社及び日本経済新聞社に対して本件侵害新
聞記事文章の権利関係について確認するなど、本件侵害新聞記事文章の著作
20 権やその使用の許否について法的な観点から調査検討したことが本件証拠上
認められないことに照らせば、被告には、少なくとも著作権侵害の過失が認
められる。
⑵ 被告は、原告文章が「事実の伝達にすぎない雑報及び時事の報道」(著作
権法10条2項)に当たり、著作物性が認められないことを理由に過失がな
25 いと主張するが、本件被侵害原告文章が著作物に当たるのは前記2⑹説示の
とおりである上、被告が本件侵害新聞記事文章の著作権やその使用の許否に
ついての調査検討を行っていないことをもって、被告に過失が認められるの
は上記⑴説示のとおりであるから、被告の上記主張を採用することはできな
い。
4 争点⑷(原告の損害の発生及びその額)について
5 ⑴ 著作権法114条3項に基づく損害額
原告の配信記事のイントラネットでの利用に係る利用料の基準は、掲載期
間が3か月以下の記事の場合は3000円、掲載期間が3か月を超え6か月
以下の記事の場合は5000円、掲載期間が6か月を超え1年以下の記事の
場合は1万円、掲載期間が1年を超え2年以下の記事の場合は1万5000
10 円であったと認められる(甲7)。
以上に加え、本件被侵害原告文章の内容、被告の侵害態様及び侵害期間に
加え、原告が著作権の行使につき受けるべき金銭の額(著作権法114条3
項)について上記の基準により計算していることを含む本件訴訟に現れた諸
事情を総合考慮すると、著作権の行使につき受けるべき金銭の額については、
15 上記基準によって算出するのが相当であり、上記基準を本件侵害新聞記事文
章に係る前提事実⑷の被告の行為に適用して算出される額は、別紙記事分類
一覧表1及び2「損害額(税別)」欄(ただし、別紙記事分類一覧表1記載
1-68欄を除く。)記載のとおり、合計77万3000円である。
したがって、原告の損害額は合計77万3000円と認められる。
20 ⑵ 弁護士費用
本件事案の内容、審理経過を含む本件における一切の事情に照らし、被告
の不法行為との相当因果関係が認められる弁護士費用は10万円と認めるの
が相当である。
⑶ 以上によれば、被告の不法行為による原告の損害額は、合計87万300
25 0円と認められる。
5 争点⑸(消滅時効の起算点)について
⑴ 前提事実に加え、後掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認め
られる。
ア 朝日新聞社、産経新聞社、中日新聞社、日本経済新聞社、毎日新聞社及
び読売新聞グループ本社は、令和元年5月9日、被告に対し、「6紙記事
5 の貴社内における無許諾配信につきまして」と題する書面(乙2。以下
「乙2書面」という。)を連名で送付した。乙2書面には、上記各新聞社
が新聞協会著作権小委員会の主要メンバーとして無許諾利用の是正活動を
行っていること、被告が長年にわたり無許諾で記事を社内配信していたと
の情報提供があったこと、上記各新聞社が共同で対処すること、被告に対
10 する質問事項が記載されていた。
イ 中日新聞社は、令和2年2月17日、別件訴訟1を提起し、日本経済新
聞社は、令和2年5月19日、別件訴訟2を提起した(前提事実⑸及び
⑹)。
ウ 原告は、令和4年10月6日、別件訴訟1の第1審判決を入手し、被告
15 が原告の配信記事に基づいて作成された新聞記事の画像データを本件イン
トラネットにアップロードした可能性があると考え、同年11月8日に被
告に対して、同月9日に中日新聞社に対して、被告がアップロードした記
事の開示を求めたが、いずれからも拒否された。また、原告は、同月30
日、別件訴訟2の第1審判決を入手し、同日、日本経済新聞社に対して、
20 被告がアップロードした記事の開示を求めたが、拒否された。
エ 原告は、令和4年12月13日、知的財産高等裁判所での別件訴訟1の
訴訟記録の閲覧によって、被告が、原告に無断で、原告文章1に基づいて
作成された本件新聞記事文章1の画像データを本件イントラネットにアッ
プロードしていたことを把握した。原告は、令和5年1月20日、知的財
25 産高等裁判所での別件訴訟2の訴訟記録の閲覧によって、被告が、原告に
無断で、原告文章2に基づいて作成された本件新聞記事文章2の画像デー
タを本件イントラネットにアップロードしていたことを把握した。
⑵ 上記⑴によれば、原告が被告による著作権侵害による損害の発生を現実に
認識したのは、原告文章1については別件訴訟1の訴訟記録を閲覧した令和
4年12月13日、原告文章2については別件訴訟2の訴訟記録を閲覧した
5 令和5年1月20日であると認められるから、それぞれの著作権侵害に基づ
く損害賠償請求権の消滅時効は、同時点から進行する。
したがって、本件訴訟の提起前に、原告の請求に係る著作権侵害に基づく
損害賠償請求権についての消滅時効が完成したということはできない。
⑶ これに対し、被告は、原告の業務内容のほか、原告と中日新聞社及び日本
10 経済新聞社とが共に日本新聞協会の会員であり、中日新聞社及び日本経済新
聞社を含む新聞社らが令和元年5月9日付けで被告に対し乙2書面を送付し
たこと、中日新聞社が別件訴訟1を提起したことからすれば、原告は、遅く
とも別件訴訟1が提起された令和2年2月17日の時点で、被告の著作権侵
害による損害の発生を現実に認識していたと主張する。
15 しかし、乙2書面の作成者は新聞社であり、原告がその作成に関与してい
ることをうかがわせる記載は乙2書面にない。また、新聞記事は、各通信社
の配信記事に基づいて作成されたもの以外に各社の記者の取材に基づいて独
自に作成されたものが存在する上、配信記事に基づいて作成された記事が常
に配信記事の複製物又は翻案物に当たるわけでもないから、被告の指摘する
20 各事情から、原告が、別件訴訟1が提起された令和2年2月17日の時点ま
でに被告の著作権侵害による損害の発生を現実に認識していたことを推認す
ることはできない。
したがって、被告の上記主張を採用することはできない。
第4 結論
25 よって、原告の請求は、主文掲記の限度で理由があるからこれらを認容し、
その余はいずれも理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第46部

5 裁判長裁判官 髙 橋 彩

裁判官 西 山 芳 樹
裁判官 瀧 澤 惟 子

(別紙)記事対照一覧1及び2は省略

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