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令和7(ワ)9851民事訴訟 著作権

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裁判所 請求棄却 大阪地方裁判所
裁判年月日 令和8年2月26日
事件種別 民事
当事者 原告
被告アマゾンジャパン合同会社
法令 著作権
キーワード 侵害23回
損害賠償6回
抵触1回
主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事件の概要 ・ 本件サイト:被告が運営するAmazon.co.jpのウェブサイト ・ 本件商品:本件サイトにおいて別紙「本件商品掲載ページ」のとおり出品さ れた商品(ASIN:B0F2GR7HFB) ・ 本件商品名:本件商品に付された「バッファローホーン 壁掛け 角 インテ リア 壁飾りメキシコ産ビンテージ」との商品名 ・ 本件写真:本件商品を示すものとして別紙「本件商品掲載ページ」のとおり 掲載された商品写真5枚の総称 ・ 本件出品者:本件商品の出品者(店舗名: B ) ・ 特定商取引法:特定商取引に関する法律 ・ 個人情報保護法:個人情報の保護に関する法律 ・ 取引DPF法:取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保 護に関する法律

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判決文

令和8年2月26日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官
令和7年(ワ)第9851号 損害賠償請求事件
口頭弁論終結日 令和8年1月13日
判 決
原告 A
被告 アマゾンジャパン合同会社
同代表者代表社員 アマゾン・エイパック・ホールディン
10 グス・インク
同代表社員職務執行者
同訴訟代理人弁護士 矢倉 千栄
同 児玉 友輝
同 宮内 望
15 主 文
1 原告の請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事 実 及 び 理 由
第1 請求
20 被告は、原告に対し、89万9899円及びこれに対する令和7年3月25
日から支払済みまで年14.6パーセントの割合による金員を支払え。
第2 本判決における略称
・ 本件サイト:被告が運営するAmazon.co.jpのウェブサイト
・ 本件商品:本件サイトにおいて別紙「本件商品掲載ページ」のとおり出品さ
25 れた商品(ASIN:B0F2GR7HFB)
・ 本件商品名:本件商品に付された「バッファローホーン 壁掛け 角 インテ
リア 壁飾りメキシコ産ビンテージ」との商品名
・ 本件写真:本件商品を示すものとして別紙「本件商品掲載ページ」のとおり
掲載された商品写真5枚の総称
・ 本件出品者:本件商品の出品者(店舗名: B )
5 ・ 特定商取引法:特定商取引に関する法律
・ 個人情報保護法:個人情報の保護に関する法律
・ 取引DPF法:取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保
護に関する法律
第3 事案の概要等
10 1 原告の請求及び法的根拠
令和7年3月25日から本件サイトにおいて出品された本件商品に係る本件
商品名及び本件写真は、原告が以前にフリマサイト等で使用したものが盗用さ
れたものであり、原告の著作権を侵害するところ、被告が、本件サイトの管理
責任を怠り、本件出品者による著作権侵害・特定商取引法違反・古物営業法違
15 反に加担し、明確な理由なく原告による本件出品者に係る情報の開示請求に応
じなかったことなどを理由として、不法行為又は不当利得に基づき、損害金又
は利得金89万9899円及びこれに対する同日から支払済みまで原告主張の
年14.6パーセントの割合による遅延損害金の支払を求める(選択的併合)。
2 前提事実(争いのない事実並びに掲記の証拠(枝番号を含む。以下同じ。)
20 及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)
(1) 当事者
ア 原告は、自然人である。
イ 被告は、インターネット等を利用した電子商取引事業、電子商取引サイ
トへの出品サービス業務等を目的とする株式会社であり、本件サイト(A
25 mazon.co.jpのウェブサイト)を運営し、自ら通信販売を行う
ほか、通信販売を行おうとする者に対し、本件サイトにおいて商品の販売
等を行うための出品サービスを提供している(乙10、12、弁論の全趣
旨)。
(2) 本件商品の出品
本件出品者は、令和7年3月25日、本件サイトにおいて「バッファロー
5 ホーン 壁掛け 角 インテリア 壁飾りメキシコ産ビンテージ」との商品名
(本件商品名)を付して本件商品を出品し、別紙「本件商品掲載ページ」の
とおりに本件商品を示す写真として本件写真を掲載した。本件出品者につい
ては、「特定商取引法に基づく表記」として、「販売業者」及び「運営責任
者名」(同一の個人名)、「住所」、「店舗名」( B )
10 が本件サイトに記載されていた。(甲1、4)
(3) 本件商品の出品に関するやり取り等
ア 原告は、令和7年5月14日、被告に対し、本件商品の出品に関して、
本件写真が原告の著作権を侵害している旨の申立てを行った。
イ 被告は、令和7年5月17日、原告に対し、「ご報告いただいた情報を
15 もとに慎重に審査いたしました結果、報告内容を変更または削除しました
ので、お知らせいたします。」、「今回のご報告について撤回を行うよう、
出品者から連絡を受ける可能性があります。撤回の申請または有効な申し
立てが行われなかった場合、元の措置がそのまま残り、報告された出品者
が対象のASINを再出品することはできなくなります。」との内容を含
20 む連絡をし、本件商品(本件商品名及び本件写真を含む。)は、遅くとも
同月18日までには、本件サイトから削除された(甲2)。
ウ 本件写真に関し、原告は、本件出品者に対して前記(2)記載の「住所」
宛てに書面を郵送したが、「あて名不完全で配達できません」との理由に
より返送された。また、原告は、本件サイト上の連絡用フォームにより本
25 件出品者に対し連絡をしたが、応答はなかった。(甲3、乙1)
エ 原告は、令和7年6月初め頃、被告に対し、数度にわたり、本件出品者
の正確な氏名及び住所を開示するよう求めた。これに対し、被告は、「サ
イト上で開示されていない出品者個人を識別できる情報を開示することが
個人情報保護法違反となるため、カスタマーサービスから出品者の連絡先
をご案内することはできません。」、「弊社では捜査機関からの令状があ
5 る場合等の例外的な場合を除き、利用者の個人情報を第三者へ開示するこ
とは行っておらず、開示には応じかねます。」などとして、原告の上記開
示請求を拒否した。さらに原告は、上記開示請求の根拠として、本件サイ
ト上に取引DPF法5条に基づく販売業者情報開示請求とその手続につい
ての情報が掲載されていることを指摘し、「著作権侵害の共犯・幇助罪と
10 して告訴いたします。」などと被告に連絡したが、被告は、これに対する
回答は行わなかった。(甲7)
(4) 本件訴訟の提起等
原告は、令和7年6月16日、本件訴訟を大阪簡易裁判所に提起した。そ
の後、被告の移送申立てに原告が同意し、同年8月5日、民訴法19条1項
15 に基づき、本件訴訟は大阪地方裁判所に移送された。
3 争点
(1) 被告は不法行為責任ないし不当利得返還義務を負うか(争点1)
(2) 原告の損害又は損失の有無及び額(争点2)
4 争点に関する当事者の主張
20 (1) 被告は不法行為責任ないし不当利得返還義務を負うか(争点1)
〔原告の主張〕
ア 本件出品者が本件サイトに掲載した本件商品に係る本件商品名及び本件
写真は、原告が以前にメルカリ等のフリマサイト及びオークションサイト
で使用したものを完全にコピー・盗用したものであり、原告の著作権侵害
25 に当たる。本件商品名は、字数制限がある中で消費者の目を引くように工
夫されたものであるし、本件写真も、被写体の魅力を最大限に表現するよ
う工夫して撮影されたものであって、いずれも創作性が認められる著作物
である。
イ 原告は、本件サイトに掲載されていた「特定商取引法に基づく表記」を
基に、本件出品者に対して損害賠償請求書を送付したが、宛名が不完全で
5 あるとして返送され、また、本件サイトを通じて本件出品者に対して同じ
文面の連絡をしたが、返事は一切なかった。そのため、原告は、本件出品
者と連絡を取ることが不可能となり、損害賠償請求等を行うことができな
くなった。
被告は、本件サイトの運営者でありながら、本件出品者が、「特定商取
10 引法に基づく表記」として虚偽の住所・氏名を掲載し、必須の表記事項で
ある電話番号を掲載していなかったこと、さらに、本件商品が古物である
にもかかわらず、古物商の許可番号を記載していなかったことをいずれも
放置し、必要な対策を講じておらず、管理責任を怠った。
ウ 被告は、本件サイトに出品者として登録する者に本人確認書類の提出を
15 求めており、当該出品者の正確な個人情報を保持しているため、原告は被
告に対し、何度も本件出品者の氏名及び住所の情報開示を求めたが、被告
が本件サイトで公開している情報開示請求の要件を全て満たしているにも
かかわらず、かつ、本件出品者の氏名及び住所は、「特定商取引法に基づ
く表記」として一般に広く知ることができなければならない情報であって、
20 個人情報には該当しないにもかかわらず、明確な理由なく全て開示を拒否
された。
被告は、本件出品者の情報を公開できる立場にありながらこれを拒否し
たことにより、犯罪者である本件出品者を隠匿し、原告が本件出品者を訴
える権利を妨害し、原告が得るべき利益を逸失させた。
25 さらに、被告は、原告からの情報開示請求があった時点で、本件出品者
に連絡し、原告に対して氏名及び住所を開示すべきことを伝える義務があ
りながらこれを怠り、原告に不利益を生じさせた。
エ 以上のことからすると、被告は、意図的・非意図的にかかわらず、本件
サイトの管理責任を怠り、本件出品者による著作権侵害・特定商取引法違
反・古物営業法違反の3つの犯罪に加担し、これらの犯罪を助長・幇助し
5 て、明確な理由なく本件出品者の情報を隠匿しているものであるから、原
告に対する不法行為責任及び不当利得返還義務を負う。
〔被告の主張〕
ア 本件写真の撮影方法は、いずれも商品を紹介する目的で撮影された他の
商品撮影写真においても通常用いられる、ありふれたものであって、撮影
10 者の思想又は感情を創作的に表現したものと認められない。「バッファロ
ーホーン 壁掛け 角 インテリア 壁飾りメキシコ産ビンテージ」という本
件商品名も、本件商品に関する一般名詞を並べたものであるから、思想又
は感情を創作的に表現したものではない。したがって、本件写真及び本件
商品名に著作権は認められない。
15 仮に、本件商品名及び本件写真に著作権が認められ、かつ、これらを本
件サイトに掲載したことが著作権侵害行為を構成するとしても、かかる掲
載をした者は本件出品者であって、被告は何ら関与していない。さらに、
被告は、原告から本件写真に関する著作権侵害の申立てを受領した後、速
やかに本件商品(本件写真及び本件商品名を含む。)の掲載を停止してお
20 り、オンラインモール運営者として合理的期間内に適切な対応を講じてい
る。したがって、被告に不法行為は成立しない。
イ 本件サイト上で、本件商品に関して、特定商取引法上必要な事項及び古
物営業法上必要な古物営業の許可証の番号を表示する義務を負うのは販売
業者である本件出品者であって、被告ではない。また、被告は、本件出品
25 者に対し、法令上表示が義務付けられている表示を行うようプログラムポ
リシーで義務付け、プログラムポリシー違反が認められる場合には、必要
な措置をとる体制を整えていた。
したがって、被告に、特定商取引法違反及び古物営業法違反(共同不法
行為責任を含む。)は認められない。
ウ 原告は、被告に対して本件出品者の情報開示を求め、取引DPF法5条
5 1項に言及したが、この手続は、本件サイト上での出品者との売買契約に
係る消費者の債権を行使するためのものであり、情報の開示を求める者が
出品者に対する売買契約に基づく債権を有していない場合、情報開示請求
は認められない。本件では、原告が、本件出品者に対し、売買契約に基づ
く債権を有していることが確認できなかったため、原告の情報開示請求は
10 認められなかった。また、被告が出品者から取得した個人情報を法的根拠
なく第三者に開示することは個人情報保護法に抵触する可能性があるため、
被告は、裁判所の命令等の法的根拠なく、出品者の個人情報を第三者に開
示することはできない。
本件の事実関係の下で、被告は、本件出品者の個人情報を原告に開示す
15 る法的義務を何ら負っているものではないから、原告の情報開示請求に応
じなかったことが不法行為を構成するものではない。
エ 以上のとおり、被告は、原告に対する不法行為責任を負わない。また、
被告は、何ら法律上の原因のない利得を得ているものではないから、原告
に対する不当利得返還義務も負わない。
20 (2) 原告の損害又は損失の有無及び額(争点2)
〔原告の主張〕
原告は、以下のとおり、合計89万9899円の損害又は損失を被った
(内訳の詳細は、別紙「請求内訳」記載のとおりである。)。
ア 著作権侵害による損害賠償額 25万円
25 イ 交通費 3060円
ウ 裁判に関して要した時間に相当する額 33万9192円
エ 雑費 7647円
オ 慰謝料 30万円
カ 合計 89万9899円
〔被告の主張〕
5 争う。
第4 当裁判所の判断
1 争点1(被告は不法行為責任ないし不当利得返還義務を負うか)について
(1) 原告は、本件出品者が本件サイトに掲載した本件商品に係る本件商品名及
び本件写真は、原告が以前にメルカリ等のフリマサイト及びオークションサ
10 イトで使用したものを完全にコピー・盗用したものであり、原告の著作権侵
害に当たる旨主張する。
この点、本件商品名は、その内容からして著作物性があるとは認められな
い一方、本件写真は著作物性を認める余地があるものの、仮に、本件出品者
による上記掲載行為が原告の本件商品名ないし本件写真に係る著作権を侵害
15 することを前提としたとしても、これにより、本件出品者とは別主体であり、
掲載行為そのものを行ったわけではない被告が直ちに同侵害についての責任
を負うものではない。
もっとも、被告は、本件サイトの運営者であって、出品サービスの提供に
当たり、単に出品者による出品用ウェブページの開設のための環境等を整備
20 するにとどまらず、運営システムの提供・出品者からの出品申込み(出品用
アカウント作成)の許否・出品者へのサービスの一時停止や出品停止等の管
理・支配を行い、出品者からのサービス料の受領等の利益を受けている者と
認められるところ(前提事実(1)イ、乙2、5、8ないし11、弁論の全趣
旨)、かかる地位に鑑みれば、被告が出品者による著作権侵害があることを
25 知ったとき又は知ることができたと認めるに足りる相当の理由があるに至っ
た場合で、その後の調査等に必要な合理的期間内に侵害内容を当該ウェブペ
ージから削除しなかったときは、被告は著作権者に対し、不法行為責任を負
うと解し得るものではある。
しかし、本件では、前提事実(3)のとおり、原告は、令和7年5月14日、
被告に対し、本件写真が原告の著作権を侵害している旨の申立てを行い、被
5 告は、所定の審査を行った上で、遅くとも同月18日までには本件商品(本
件商品名及び本件写真を含む。)を本件サイトから削除している。被告が、
原告による上記申立てより前に、本件出品者による著作権侵害があることを
知った又は知ることができたと認めるに足りる証拠はなく、上記申立てから
上記削除までの期間が4日程度にとどまることに照らせば、被告は、合理的
10 期間内に侵害内容を削除したと認めるのが相当である。
そうすると、本件出品者による著作権侵害があったことを前提としたとし
ても、被告は上記侵害につき不法行為責任を負うものではなく、原告の主張
は理由がない。
(2) 原告は、本件出品者が、「特定商取引法に基づく表記」として本件サイト
15 に虚偽の住所・氏名を掲載し、必須の表記事項である電話番号を掲載してい
なかったこと、さらに、本件商品が古物であるにもかかわらず、古物商の許
可番号を記載していなかったことにつき、本件サイトの運営者である被告が
これらをいずれも放置し、必要な対策を講じておらず、管理責任を怠ったこ
とを理由として、被告は不法行為責任を負うべきである旨主張する。
20 しかしながら、特定商取引法11条6号、同法施行規則23条1号は、通
信販売を行う販売業者等に対し、通信販売をする場合の商品等について広告
をするときは、販売業者等の氏名又は名称、住所及び電話番号を表示しなけ
ればならない旨を定めているところ、本件商品との関係で、上記の表示義務
を負うのはその販売業者である本件出品者であって、被告ではない。また、
25 古物営業法12条は、古物商等に対し、一定の場合を除き、許可をした公安
委員会の名称及び許可証の番号を公衆の閲覧に供しなければならない旨を定
めているところ、本件商品が古物に該当し、一定の除外事由が存在しないと
しても、上記の供閲義務を負うのはその販売業者である本件出品者であって、
被告ではない。そのため、これらの法規に違反することが取引相手に対する
不法行為責任に直結するわけではないことを措いて考えても、被告が原告と
5 の関係において、それら違反に伴う責任主体となるものではないといえる。
また、原告の主張は、被告が本件出品者による特定商取引法上の表示義務
等に違反していることを是正しなかったために、原告の本件出品者に対する
著作権侵害に基づく損害賠償請求権の行使が妨げられたことをもって、被告
の不法行為とする趣旨とも解される。しかし、本件では、本件出品者が本件
10 商品を出品したのは令和7年3月25日であり、本件商品が削除されるまで
の期間は2か月にも満たず(前提事実(2)、(3)イ)、その間、本件出品者は、
内容に不正確な部分があったとしても、「特定商取引法に基づく表記」とし
て「販売業者」及び「運営責任者名」(同一の個人名)、「住所」、「店舗
名」( B )を本件サイトに表示していたし(前提
15 事実(2))、原告による著作権侵害の申立てがあるまでの間に、被告におい
て本件出品者による第三者の権利侵害を知り得たことも証拠上うかがわれな
い上、上記(1)のとおり、上記著作権侵害の申立てを受けた後は、4日程度
で削除の対応を行ったものでもある。このような事情の下では、被告が本件
出品者による前記表示義務等の違反を是正しなかったことが本件サイトの運
20 営者としての義務を怠ったということはできず、原告に対する不法行為が成
立するとはいえない。
したがって、原告の主張は理由がない。
(3) 原告は、被告が本件サイトで公開している情報開示請求の要件を全て満た
しているにもかかわらず、被告が原告に対する本件出品者の情報開示を拒否
25 したことは、犯罪者である本件出品者を隠匿し、原告が本件出品者を訴える
権利を妨害し、原告が得るべき利益を逸失させたものであるから、被告は不
法行為責任等を負う旨主張する。
しかしながら、原告が開示請求の根拠として 指摘する本件サイトの表示
(甲6)は、取引DPF法5条に基づく販売業者情報開示請求とその手続に
ついて案内するものであるところ、原告が被告に対して本件出品者に係る情
5 報開示請求を行った令和7年6月初め頃(前提事実(3)エ)の時点で、原告
が本件出品者との関係で、本件サイトを「利用して行われる通信販売に係る
販売業者等との間の売買契約又は役務提供契約に係る自己の債権」(同法5
条1項)を有していたと認めるに足りる証拠はない。なお、本件サイトにお
いて「Amazon.co.jpが対応できない案件」として列挙された各
10 場合は、「たとえば、以下の場合は」との記載があるように例示にすぎず
(甲6)、これらに該当しない限りは情報開示請求が認められるというもの
ではない。
その他、本訴訟の証拠及び弁論の全趣旨によっても、情報開示に係る適式
な法的手続を経ることなく、被告において原告に対し本件出品者の情報を開
15 示すべきであったとはいえず(本件出品者が、特定商取引法に基づき氏名や
住所を表示すべき義務を負っていたからといって、被告が原告の開示請求に
対してこれらの情報を開示すべき義務を負うものではない。)、情報開示を
拒否したことにより被告は不法行為責任を負う旨の原告の主張は理由がない。
また、原告は、原告からの情報開示請求があった時点で、被告は本件出品
20 者に連絡し、原告に対して氏名及び住所を開示すべきことを伝える義務があ
るとも主張するが、被告においてかかる法的義務があることを根拠づけるに
足る事情は認められず、この点についての原告の主張も理由がない。
(4) したがって、被告の原告に対する不法行為責任は認められない。
原告は、不当利得返還請求権に基づく請求もするが、原告の主張に理由が
25 ないことは前記判示のとおりであるし、被告の利得その他同請求権の請求原
因事実を認めるに足りる証拠はなく、被告の原告に対する不当利得返還義務
は認められない。
2 結論
よって、原告の請求(不法行為に基づく損害賠償請求又は不当利得返還請求)
は、いずれも理由がないから棄却することとして、主文のとおり判決する。
5 大阪地方裁判所第21民事部

裁判長裁判官
松 川 充 康

裁判官
阿 波 野 右 起
裁判官西尾太一は、差支えのため、署名押印することができない。
裁判長裁判官
松 川 充 康

(別紙)「本件商品掲載ページ」及び「請求内訳」は省略

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