ホーム > 知財判決速報/裁判例集 > 令和7(ネ)10074 特許権侵害差止請求控訴事件(第1事件)、特許権侵害損害賠償請求控訴事件(第2事件)
| 裁判所 | 控訴棄却 知的財産高等裁判所 |
|---|---|
| 裁判年月日 | 令和8年3月24日 |
| 事件種別 | 民事 |
| 当事者 | 被控訴人株式会社カケハシ |
| 対象物 | 予約管理装置、予約管理システム、予約管理方法及び予約管理プログラム |
| 法令 |
特許権 |
| キーワード | 特許権7回 侵害5回 差止3回 損害賠償2回 |
| 主文 | 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人の負担とする。 |
| 事件の概要 | 1 本件は、発明の名称を「予約管理装置、予約管理システム、予約管理方法 及び予約管理プログラム」とする発明に関する特許(特許第5931837 号。本件特許)に係る特許権(本件特許権)を有する控訴人が、原判決別紙 被告製品目録記載の製品(被告製品)は本件特許に係る特許請求の範囲請求 項7の発明(本件発明7)の、原判決別紙被告方法目録記載の方法(被告方 法)は本件特許に係る特許請求の範囲請求項8の発明(本件発明8)の技術 的範囲にそれぞれ属することから、被告製品の生産等及び被告方法の使用は いずれも本件特許権の侵害に当たると主張して、被控訴人に対し、本件特許 権に基づき、被告製品の生産等の差止め及び被告方法の使用の差止め並びに 被告製品及びその半製品の廃棄を求める(第1事件)とともに、本件特許権 侵害の不法行為に基づき、総額12億7050万円の損害の一部請求として |
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令和8年3月24日判決言渡
令和7年(ネ)第10074号 特許権侵害差止請求控訴事件(第1事件)、特許
権侵害損害賠償請求控訴事件(第2事件)
(原審・東京地方裁判所令和6年(ワ)第70283号、同第70284号)
口頭弁論終結日 令和8年2月3日
判 決
控 訴 人 株 式 会 社 く す り の 窓 口
同訴訟代理人弁護士兼弁理士 弓 削 田 博
同訴訟代理人弁護士 平 田 慎 二
被 控 訴 人 株 式 会 社 カ ケ ハ シ
同訴訟代理人弁護士 佐 藤 安 紘
小 西 絵 美
同補佐人弁理士 大 谷 寛
主 文
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。
事実及び理由
第1 控訴の趣旨
1 原判決を取り消す。2 第1事件
⑴ 被控訴人は、原判決別紙被告製品目録記載の製品を生産し、使用し、譲渡し若しくは貸し渡し(電気通信回線を通じた提供を含む。)、又はその譲渡若しくは貸渡しの申出(譲渡又は貸渡しのための展示を含む。)をしてはならない。
⑵ 被控訴人は、前項の製品及びその半製品(同目録記載の製品の構造を具備しているが製品として完成するに至らないもの)を廃棄せよ。
5 ⑶ 被控訴人は、原判決別紙被告方法目録記載の方法を使用してはならない。3 第2事件被控訴人は、控訴人に対し、1億円及びこれに対する令和6年7月3日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要(略称等は、原判決に倣う。)
1 本件は、発明の名称を「予約管理装置、予約管理システム、予約管理方法及び予約管理プログラム」とする発明に関する特許(特許第5931837号。本件特許)に係る特許権(本件特許権)を有する控訴人が、原判決別紙被告製品目録記載の製品(被告製品)は本件特許に係る特許請求の範囲請求項7の発明(本件発明7)の、原判決別紙被告方法目録記載の方法(被告方法)は本件特許に係る特許請求の範囲請求項8の発明(本件発明8)の技術的範囲にそれぞれ属することから、被告製品の生産等及び被告方法の使用はいずれも本件特許権の侵害に当たると主張して、被控訴人に対し、本件特許権に基づき、被告製品の生産等の差止め及び被告方法の使用の差止め並びに被告製品及びその半製品の廃棄を求める(第1事件)とともに、本件特許権侵害の不法行為に基づき、総額12億7050万円の損害の一部請求として1億円の損害賠償金及びこれに対する遅延損害金の支払を求める(第2事件)事案である。原審は、被告製品及び被告方法(被告システム)が、本件発明7及び8(本件各発明)の構成要件7C-3及び8Dを充足せず、また、均等侵害も成立しないことから、本件各発明の技術的範囲に属さないとして、控訴人の請求をいずれも棄却したところ、控訴人がこれを不服として控訴した。2 前提事実、争点及び争点に関する当事者の主張は、後記3のとおり当審における控訴人の補充主張を付加するほかは、原判決の「事実及び理由」の第2の1から3まで(2頁13行目~39頁25行目)に記載のとおりであるから、これを引用する。
5 3 当審における控訴人の補充主張
⑴ 本件各発明における課題解決手段は、処方箋の画像データを画像印刷装置に送信するタイミングを、当該画像データが表示された店舗端末に対する操作がされたタイミングとすることである。この構成により、処方箋を店舗に持参することなく調剤の予約を行うことができるとともに、画像データを画像印刷装置に送信した後に店舗端末の利用者(店舗スタッフ)が処方箋画像データに記載される文字等の内容を確認、判読することができず、調製作業を行うことができないといった事態を回避できるという顕著な作用効果を奏する。よって、このタイミングこそが本件各発明の本質的部分であり、画像データがどの装置から画像印刷装置に送信されるのかは意味をなさない。
⑵ 上記⑴のとおり、本件各発明の本質的部分が上記のタイミングであることからすれば、「利用者の前記店舗端末に対する操作に応じて、前記受信された画像データを前記画像印刷装置に送信する」(構成要件7C-3、8D)は、「利用者の前記店舗端末に対する操作に応じて、前記受信された画像データを予約管理装置とは異なる装置から前記画像印刷装置に送信する」ことを含むと解釈される。被告システムにおいて、サーバ(予約管理装置)は、患者端末(利用者端末)から処方箋の画像データを受信し、患者端末(利用者端末)から受信された処方箋の画像データを薬局端末(店舗端末)に表示し、当該画像データが表示された薬局端末(店舗端末)に対する印刷実行ボタンの押下(操作)に応じて画像データを薬局端末(予約管理装置とは異なる装置)からプリンタ(画像印刷装置)に送信する構成を有する。よって、被告システムは、本件各発明における「利用者の前記店舗端末に対する操作に応じて、前記受信された画像データを(予約管理装置とは異なる装置から)前記画像印刷装置に送信する」ことを備えるから、構成
5 要件7C-3及び8Dを充足する。
⑶ 上記⑴のとおり、本件各発明の本質的部分が上記のタイミングであることからすれば、構成要件7C-3の「前記受信された画像データを前記画像印刷装置に送信する送信手段」について、構成要件7C-3では予約管理装置が当該送信手段を含むのに対し、被告製品では薬局端末が当該送信手段を含む点で異なるところ、この部分は本質的部分ではない。また、構成要件8Dの「前記受信された画像データを前記画像印刷装置に送信するステップ」について、構成要件8Dでは予約管理装置が実行するのに対し、被告方法では薬局端末が実行する点で異なるところ、この部分は本質的部分ではない。よって、本件各発明と被告システムとの異なる部分は、本件各発明の本質的部分ではないから、均等の第1要件を充足する。
第3 当裁判所の判断
1 当審も、原審と同様の理由により、被告システムが本件各発明の技術的範
囲に属さず、控訴人の請求は理由がないと判断する。その理由は、後記2のとおり当審における控訴人の補充主張に対する判断を付加するほかは、原判決の「事実及び理由」の第3(39頁26行目~52頁26行目)に記載のとおりであるから、これを引用する。
2 当審における控訴人の補充主張に対する判断
⑴ 控訴人は、本件各発明における課題解決手段は、処方箋の画像データを
画像印刷装置に送信するタイミングを、当該画像データが表示された店舗端末に対する操作がされたタイミングとすることであるから、このタイミングこそが本件各発明の本質的部分であると主張する。しかし、引用に係る原判決の「事実及び理由」中の第3の5⑵に判示したとおり、店舗端末の操作を契機として画像データが予約管理装置から画像印刷装置に送信されるという構成が本件各発明の本質的部分であるから、控訴人が主張するタイミングのみが本件各発明の本質的部分であると
5 いうことはできない。
⑵ 控訴人は、本件各発明の本質的部分が上記のタイミングであることを根
拠として、「利用者の前記店舗端末に対する操作に応じて、前記受信された画像データを前記画像印刷装置に送信する」(構成要件7C-3、8D)ことは、「利用者の前記店舗端末に対する操作に応じて、前記受信された画像データを予約管理装置とは異なる装置から前記画像印刷装置に送信する」ことを含むと主張する。しかし、控訴人が主張するタイミングのみが本件各発明の本質的部分であるということはできないことは上記説示のとおりである。また、「利用者の前記店舗端末に対する操作に応じて、前記受信された画像データを前記画像印刷装置に送信する」主体が予約管理装置であることは、本件各発明の構成要件の記載から明らかであるから、予約管理装置からの送信という点を捨象して、前記構成要件(構成要件7C-3、8D)が「受信された画像データを予約管理装置とは異なる装置から画像印刷装置に送信する」ことを含むと解することはできない。
⑶ 控訴人は、本件各発明と被告システムとの異なる部分は、本件各発明の
本質的部分ではないから、均等の第1要件を充足すると主張する。しかし、上記⑴に判示したとおり、店舗端末の操作を契機として画像データが予約管理装置から画像印刷装置に送信されるという構成が本件各発明の本質的部分であるところ、被告システムは、この本質的部分をその要素とする本件各発明の構成要件7C-3及び8Dの発明特定事項を備えていないから、均等の第1要件を充足するとはいえない。
⑷ 以上のとおり、控訴人の主張はいずれも採用することができない。そし
て、控訴人はその他にも様々な主張をするが、いずれも上記認定判断を左右するものではない。
3 結論
5 以上によると、控訴人のその余の主張を判断するまでもなく、控訴人の請
求はいずれも理由がないからこれを棄却すべきところ、これと同旨の原判決は相当であり、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとして、主文のとおり判決する。知的財産高等裁判所第1部裁判長裁判官増 田 稔裁判官伊 藤 清 隆裁判官天 野 研 司
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