知財判決速報/裁判例集知的財産に関する判決速報,判決データベース

ホーム > 知財判決速報/裁判例集 > 令和7(ワ)8052

この記事をはてなブックマークに追加

令和7(ワ)8052

判決文PDF

▶ 最新の判決一覧に戻る

裁判所 一部認容 大阪地方裁判所
裁判年月日 令和8年4月23日
事件種別 民事
当事者 原告株式会社MeME
被告株式会社グリーンフィールド
法令 著作権法114条3項3回
著作権法15条1回
キーワード 侵害11回
許諾4回
損害賠償3回
ライセンス1回
主文 1 被告は、原告に対し、33万円及びこれに対する令和6年10月23日から支
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用は、これを10分し、その1を被告の負担とし、その余を原告の負担
4 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。
事件の概要 ・本件各写真:別紙著作物目録1ないし5の各写真の総称。同別紙1などの写真を 個別に指すときは「本件写真1」などという。 ・被告ウェブ配信記事:被告が自社ウェブサイトにおいて「GFCマガジン」との 名称で配信する記事 ・岳洋社:株式会社岳洋社 ・I:原告代表者である I

▶ に関する裁判例

本サービスは判決文を自動処理して掲載しており、完全な正確性を保証するものではありません。正式な情報は裁判所公表の判決文(本ページ右上の[判決文PDF])を必ずご確認ください。

判決文

令和8年4月23日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

令和7年(ワ)第8052号 損害賠償請求事件

口頭弁論終結日 令和8年3月17日

判 決

原告 株式会社MeME

代表者代表取締役 I

訴訟代理人弁護士 山 本 明 生

被告 株式会社グリーンフィールド

代表者代表取締役

訴訟代理人弁護士 角 野 佑 子

主 文

1 被告は、原告に対し、33万円及びこれに対する令和6年10月23日から支

払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。

2 原告のその余の請求を棄却する。

3 訴訟費用は、これを10分し、その1を被告の負担とし、その余を原告の負担

とする。

4 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。

事 実 及 び 理 由

第1 請求

被告は、原告に対し、374万円及びこれに対する令和6年10月23日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。

第2 本判決における略称

・本件各写真:別紙著作物目録1ないし5の各写真の総称。同別紙1などの写真を個別に指すときは「本件写真1」などという。・被告ウェブ配信記事:被告が自社ウェブサイトにおいて「GFCマガジン」との名称で配信する記事・岳洋社:株式会社岳洋社・I:原告代表者である I

5 第3 事案の概要本件は、原告が、自らが著作権を有する別紙著作物目録1ないし5の写真(本件各写真)について、被告が自身のウェブサイト上で配信した記事(被告ウェブ配信記事)に無断で掲載し、その複製権及び公衆送信権を侵害した(ただし、本件写真1ないし4に係る令和6年8月9日までの期間についてはそれら著作物の独占的利用権を侵害した)として、不法行為に基づき、損害賠償として374万円及びこれに対する不法行為後である令和6年10月23日から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金を請求する事案である。1 前提事実(争いのない事実及び証拠により容易に認定できる事実)

(1) 当事者ア 原告は、インターネットを利用した各種情報提供サービス業等を目的とする株式会社である(甲1)。イ 被告は、ゴルフ場、陸上スポーツ施設、家庭用園芸施設、宿泊施設の斡旋等を目的とする株式会社である。

(2) 本件各写真の掲載本件各写真には著作物性があり、「関西のつりWeb」との名称のウェブサイト内の、以下の各ページに掲載されている。ア 本件写真1:「釣り公園ガイド南あわじ市海釣り公園メガフロート」とのページ(公開日平成30年4月26日)イ 本件写真2:「フィールドガイド 鳥飼漁港」とのページ(公開日令和元年7月4日)ウ 本件写真3:「フィールドガイド 郡家」とのページ(公開日平成29年11月20日)エ 本件写真4:「釣り公園ガイド南あわじ市海釣り公園メガフロート」(公開日平成30年4月26日)オ 本件写真5:「フィールドガイド 育波漁港」(公開日令和元年10月21

5 日)

(3) 被告の行為被告は、観光やグルメ等の情報を発信する「GFCマガジン」(被告ウェブ配信記事)を配信するウェブサイトを運営している。被告ウェブ配信記事では、令和3年11月29日に公開された「GFC淡路島グランデシアから立ち寄りやすい、周辺の釣りスポット6選をご紹介!」とのページにおいて、本件各写真が掲載された。原告は、被告との間で、本件各写真のウェブサイト掲載について、許諾をしたことも、その前提としての申請をされたこともない。

(4) 原告から被告に対する請求原告は、被告に対し、令和6年10月8日到達の書面で、被告ウェブ配信記事における本件各写真の使用中止とともに、本件各写真の著作権侵害を理由として、2週間以内に340万円(写真1点につき月額2万円で、写真5点を34か月間無断掲載したとする算定)を支払うよう請求した。被告は、直ちに、被告ウェブ配信記事から本件各写真を削除した。2 争点

(1) 原告は本件各写真の著作権者等か(争点1)

(2) 損害の額(争点2)

第4 争点に関する当事者の主張

1 争点1(原告は本件各写真の著作権者等か)について【原告の主張】

(1) 本件写真1ないし3は、原告の代表者であるIが、岳洋社の業務として撮影したもの、本件写真4は、岳洋社が、他の業者に依頼して撮影され、その納品を受けたもので、いずれも岳洋社が著作権を有していたが、岳洋社が魚釣りの総合誌「関西のつり」を廃刊とした後の平成29年9月29日に、岳洋社からそれら著作物の独占的利用の許諾を受け、さらに令和6年8月10日、それら

5 著作物に係る著作権の譲渡を受けたものである。

(2) 本件写真5は、Iが、原告の業務として撮影したもので、当初から原告が著作権を有していた。【被告の主張】原告が本件各写真の著作権者であり、独占的利用権者であった旨の原告の主張については、本件写真1ないし4の著作権譲渡の点を含め、十分な立証がされているとはいえない。2 争点2(損害の額)について【原告の主張】本件各写真の無断利用に係る損害は、1点あたり月額2万円で、侵害期間が34か月にわたっているところ、写真5点の損害額は340万円となる(著作権法114条3項、独占的利用権の侵害との関係では類推適用)。これに相当因果関係のある弁護士費用34万円を加えた374万円が、本件で原告の被った損害である。原告は、「関西のつりWeb」とのウェブサイトにおいて、写真の無断利用については、自社規定の料金である月額1万円の200%の金額を請求する旨明示しており、無断利用者はこれに承諾したともいえるし、著作権法114条3項の趣旨に照らしても、上記損害算定は妥当なものといえる。【被告の主張】否認ないし争う。本件各写真について1点あたりの利用料が月額1万円、損害算定上はその倍の月額2万円を相当とする原告の算定は高額に過ぎる。

第5 判断

1 争点1(原告は本件各写真の著作権者等か)について証拠(甲1~3、5、7、11~25、30~37)及び弁論の全趣旨によれば、本件各写真のうち本件写真1ないし3は、撮影当時、岳洋社の従業員であっ

5 たIが岳洋社の業務の一環として撮影したもので、その著作権は、職務著作として、岳洋社に原始的に帰属したものであったこと(著作権法15条)、本件写真4は、岳洋社が他の業者に委託して撮影されたもので、その岳洋社への納品と共にその著作権も岳洋社に帰属したものであったこと、岳洋社の発刊に係る魚釣りの総合誌「関西のつり」が平成28年に廃刊となった後、Iは平成29年6月20日に原告を設立し、原告として、「関西のつりWeb」とのウェブサイトを開設した上、上記総合誌「関西のつり」を引き継ぐ形での発信を行うようになったこと、このような経過の中で、岳洋社は、原告に対し、平成29年9月29日、本件写真1ないし4を含めた所定の著作物について、「デジタル媒体(Webサイト、SNSなど)を用いた記事として複製し、使用することについて独占的利用を許諾」し、さらに、令和6年8月10日、本件各写真を含めた所定の著作物について、その著作権を譲渡したこと、他方で、本件写真5は、原告の上記設立後に、その代表者であるIが、原告の職務として撮影したもので、その著作権は、職務著作として原告に帰属したものであったことが認められる。以上より、原告は、本件各写真が被告ウェブ配信記事に掲載されていた令和3年11月29日以降の期間のうち、令和6年8月9日までは本件写真1ないし4の著作物に係る独占的利用の許諾を受けた地位に、同月10日以降は本件1ないし4の著作権者であったと認められるとともに、本件写真5については、これら全期間を通じて著作権者であったと認められるもので、この認定を妨げるに足りる証拠はない。したがって、被告は、被告ウェブ配信記事に本件各写真を掲載することによって、本件写真1ないし4については、上記各期間に応じて、独占的利用権ないし著作権(複製権及び公衆送信権)を、本件写真5については著作権(複製権及び公衆送信権)を、それぞれ侵害した不法行為が成立するもので、その侵害終期は、被告が上記掲載を削除した令和6年10月8日頃であったものといえる。2 争点2(損害の額)について

5 (1) 本件各写真は、株式会社である岳洋社ないし原告の業務として撮影された後、原告の事業の一環として用いられたものであり、また、撮影の過程は一定の負担を伴うものであった(甲31、33、35~37)。加えて、被告による本件各写真の無断利用の期間は、令和3年11月29日から令和6年10月8日頃までの約34か月間に及んだものである。他方で、被告は、その主張のとおりに、被告ウェブ配信記事を掲載するウェブサイトの制作を第三者に委託していたという経過があったとしても、本件各写真の著作権処理について十分な注意を尽くさないまま無断利用を継続していたものとして、過失による不法行為責任を免れるものではないが、令和6年10月に原告から請求を受けた後は直ちに被告ウェブ配信記事への本件各写真の掲載を削除したほか、その掲載中も、出典として「関西のつり」との記載をしていたもので(甲4)、インターネット上の著作権の扱いに関する何らかの誤解があった可能性がうかがわれる一方で、少なくとも被告の主観面として、悪質な侵害態様であったとは言い難い。これら事情に加え、一般的な風景写真等の利用料金に係る双方提出の証拠(甲28、乙1、2)、本件各写真の内容など諸事情を考慮し、本件各写真5点に係る前記1の侵害行為によって原告の被ったライセンス料相当の損害額(著作権法114条3項。ただし独占的利用権の侵害に係る損害算定との関係ではその類推適用。)は計30万円と認めるのが相当である。

(2) これに対し、原告は、自身が運営する「関西のつりWeb」とのウェブサイトには、「無断での使用が認められた場合は使用期間に応じた当社規定の料金(Web使用の場合、写真・イラストは1か月あたり10,000円)の200%の金額を請求いたします。」との明記がされていることを踏まえ、本件各写真1点あたり月額2万円を基礎として損害算定をすべきであり、その合計額は340万円である旨主張する。しかし、権利者の一方的な方針ないし宣言、しかも、対象とする著作物の内

5 容などを踏まえない一律のものをもって、損害算定上の基礎とすることは困難である。この点、原告は、上記記載に沿った取引実績もある旨の主張立証もするが、その証拠とする請求書(甲27の1~3)は、写真の利用料ではなく、撮影料や執筆料に対するものであったり、写真の利用料であっても、本件各写真とは別のグレの写真に対するものであったりなど、本件各写真の利用料相当の損害額を検討する上で直接参酌できるものとはいえない。また、原告は、写真のウェブサイト上での利用について、短期間利用で比較的高額の料金設定をする他社事例(期間に応じて、1週間までが1万7600円、1か月までが2万2000円、1年までが3万9600円、3年までが6万1600円などとするもの。)を証拠提出する(甲28)が、これよりも低い価格帯を提示する事例(1年間で1万1000円など)も存在しており(乙1、2)、原告提出証拠のみに依拠した算定はできず、上記(1)のように本件の個別事情を総合的に考慮しての算定、判断が左右されるものではない。以上より、原告の上記主張は採用することができない。

(3) 被告の本件侵害行為と相当因果関係のある弁護士費用は上記(1)の認容額等に照らし、3万円が相当と認められる。したがって、原告が被告の不法行為によって被った損害額の合計は33万円である。

第6 結論

以上の次第で、原告の請求は、不法行為に基づき、33万円の損害賠償及びこれに対する不法行為後である令和6年10月23日から支払済みまで民法所定の年3分の割合による遅延損害金を請求する限りで理由があるから、これを認容し、その余の請求は理由がないから、これを棄却することとして、主文のとおり判決する。大阪地方裁判所第21民事部裁判長裁判官松 川 充 康裁判官阿 波 野 右 起裁判官島 田 美 喜 子※別紙著作物目録1ないし5は添付を省略した。

最新の判決一覧に戻る

法域

特許裁判例 実用新案裁判例
意匠裁判例 商標裁判例
不正競争裁判例 著作権裁判例

最高裁判例

特許判例 実用新案判例
意匠判例 商標判例
不正競争判例 著作権判例

今週の知財セミナー (10月19日~10月25日)

10月19日(月) - オンライン

共同研究開発における契約実務と留意点

10月20日(火) - オンライン

数値限定と「除くクレーム」の特許戦略

来週の知財セミナー (10月26日~11月1日)

10月29日(木) - オンライン

第68回東北大学知財セミナー

特許事務所紹介 IP Force 特許事務所紹介

スプリング弁理士法人

茨城県牛久市ひたち野東4-7-3 ブリーズノース101 特許・実用新案 意匠 商標 外国特許 外国意匠 外国商標 訴訟 鑑定 コンサルティング 

プライムワークス国際特許事務所

〒153-0061 東京都目黒区中目黒1-8-1VORT中目黒Ⅰ3階 特許・実用新案 意匠 商標 外国特許 外国意匠 外国商標 訴訟 鑑定 コンサルティング 

弁理士法人 矢野内外国特許事務所

大阪府大阪市中央区南本町二丁目2番9号 辰野南本町ビル8階 特許・実用新案 意匠 商標 外国特許 外国意匠 外国商標 訴訟 鑑定 コンサルティング