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令和7(ネ)10085著作権侵害差止等請求控訴事件

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裁判所 控訴棄却 知的財産高等裁判所
裁判年月日 令和8年4月16日
事件種別 民事
法令 著作権
著作権法112条1回
民法710条1回
キーワード 差止2回
許諾1回
損害賠償1回
侵害1回
主文 1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。
事件の概要 1 原審における控訴人の請求 ⑴ 第1請求 ア 主位的請求 控訴人及び被控訴人の間の労働契約に基づく、令和5年9月分、令和6 年3月分及び同年9月分の未払賞与合計56万9500円及びこれに対 する訴状送達の日の翌日である令和7年2月8日から支払済みまで民法 所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の支払請求 イ 予備的請求 被控訴人代表者が、控訴人との間の信頼関係を裏切り、被控訴人の財産 を散逸させるような背任行為をし、控訴人に精神的損害を被らせたとして、 民法710条又は民法709条及び会社法429条(法人代表者たる被控 訴人代表者の行為によって控訴人に生じた損害の賠償を求めていること から、会社法350条に基づく請求とも解される。)に基づく損害賠償金 56万9500円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である令和7年 2月8日から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延

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判決文

令和8年4月16日判決言渡
令和7年(ネ)第10085号 著作権侵害差止等請求控訴事件
(原審・大阪地方裁判所令和7年(ワ)第389号)
口頭弁論終結日 令和8年3月10日
5 判 決
控 訴 人 X
被 控 訴 人 エデュ・プラニング株式会社
同訴訟代理人弁護士 財 前 昌 和
主 文
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。
15 事実及び理由
第1 控訴の趣旨
1 原判決を次のとおり変更する。
2 被控訴人は、控訴人に対し、19万4527円及びこれに対する令和7年1
月1日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。
20 3 被控訴人は、控訴人の許諾なく、原判決別紙1「著作物目録」記載の著作物
を使用してはならない。
4 被控訴人は、控訴人に対し、295万円及びこれに対する令和7年2月8日
から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。
第2 事案の概要(略称等は、原判決の例による。)
25 1 原審における控訴人の請求
⑴ 第1請求
ア 主位的請求
控訴人及び被控訴人の間の労働契約に基づく、令和5年9月分、令和6
年3月分及び同年9月分の未払賞与合計56万9500円及びこれに対
する訴状送達の日の翌日である令和7年2月8日から支払済みまで民法
5 所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の支払請求
イ 予備的請求
被控訴人代表者が、控訴人との間の信頼関係を裏切り、被控訴人の財産
を散逸させるような背任行為をし、控訴人に精神的損害を被らせたとして、
民法710条又は民法709条及び会社法429条(法人代表者たる被控
10 訴人代表者の行為によって控訴人に生じた損害の賠償を求めていること
から、会社法350条に基づく請求とも解される。)に基づく損害賠償金
56万9500円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である令和7年
2月8日から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延
損害金の支払請求
15 ⑵ 第2請求
控訴人及び被控訴人の間の労働契約に基づく、令和4年1月から令和6年
11月11日までの時間外労働及び休日労働に対する未払割増賃金(未払残
業代)計158万6786円及びこれに対する賃金支払日より後の日である
令和7年1月1日から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による
20 遅延損害金の支払請求
⑶ 第3請求
控訴人が、原判決別紙1「著作物目録」記載の著作物(本件プログラム)
の著作権者であるとして、著作権法112条に基づく同著作物の使用差止請

25 ⑷ 第4請求
ア 主位的請求
前記(3)記載のとおり、控訴人が、本件プログラムの著作権者であること
を前提とし、被控訴人が、令和5年10月から令和6年12月まで、控訴
人に対し、何ら対価を支払わないままこれを使用したばかりか、その権利
行使を妨害する不法行為をしたとして、民法709条及び710条に基づ
5 く、同著作物の使用料相当額225万円及び慰謝料70万円の計295万
円並びにこれに対する訴状送達の日の翌日である令和7年2月8日から
支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の支払
請求
イ 予備的請求1
10 被控訴人が、何ら対価を支払うことなく、控訴人が作成した本件プログ
ラムを使用し、その便益を享受する一方で、控訴人に対し、上記アの使用
料相当額225万円の損害を被らせたとして、民法703条に基づく不当
利得225万円及び上記アの不法行為に基づく慰謝料70万円の合計2
95万円並びにこれに対する訴状送達の日の翌日である令和7年2月8
15 日から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金
の支払請求
ウ 予備的請求2
控訴人と被控訴人の間で、本件プログラムを作成することを約する請負
契約が成立したとして、民法632条に基づく報酬159万円及び上記ア
20 の不法行為に基づく慰謝料70万円の合計229万円並びにこれに対す
る訴状送達の日の翌日である令和7年2月8日から支払済みまで民法所
定の年3パーセントの割合による遅延損害金の支払請求
⑸ 第5請求
労働基準法114条に基づく、上記⑴ア記載の未払賞与56万9500
25 円、同⑵記載の未払残業代158万6786円及び同⑷ア記載の未払使用料
相当額225万円の計440万6286円の付加金並びにこれに対する判決
確定の日の翌日から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅
延損害金の支払請求
2 原審は、原審における控訴人の請求のうち、第2請求につき、未払残業代1
9万4527円及びこれに対する賃金支払日より後の日である令和7年1月
5 1日から支払済みまで年3パーセントの割合による遅延損害金の支払を求め
る限度でこれを認容し、その余の請求をいずれも棄却した。原審が、第3請求
及び第4請求を棄却したのは、本件プログラムが被控訴人における職務著作に
該当し、その著作者は被控訴人であることなどの理由による。これに対し、控
訴人が、第3請求及び第4請求(主位的請求並びに予備的請求1及び2を含む
10 趣旨と解される。)について不服として控訴した(控訴の趣旨第3項及び第4
項)。
3 前提となる事実、争点及び当事者の主張は、後記3のとおり当審における控
訴人の補充主張を付加するほかは、原判決の「事実及び理由」の第2の2、3
⑶、第3の3(4頁11行目~8頁13行目、同頁23行目~9頁6行目、同
15 頁10行目、15頁25行目~20頁3行目)に記載のとおりであるから、こ
れを引用する。
4 当審における控訴人の補充主張
控訴人が、被控訴人から指示を受けたのは、経理体制の構築であり、本件プ
ログラム制作ではない。控訴人が、本件プログラムに関して就業時間中に行っ
20 たことは、制作初期段階に、被控訴人で使用する請求書等の書式を入手したこ
と(10分程度)、被控訴人従業員Aに本件プログラムのサンプルを渡し、使い
勝手を確認したこと(10分程度)のみである。これは、単なる資料収集等の
準備行為にすぎず、創作活動の本質的部分ではない。当該行為は控訴人の私的
な逸脱行為にすぎず、被控訴人の指揮命令下にある職務上の行為として行われ
25 たものではない。よって、本件プログラムは、控訴人の発意に基づき制作され、
控訴人が自由意思に基づき、就業時間外に自宅で制作したものである。
第3 当裁判所の判断
1 当審も、原審と同様の理由により、控訴人の控訴の趣旨第3項及び第4項に
係る請求はいずれも理由がないと判断する。その理由は、後記2のとおり当審
における控訴人の補充主張に対する判断を付加するほかは、原判決の「事実及
5 び理由」の第4の3(27頁4行目~28頁24行目)に記載のとおりである
から、これを引用する。
2 当審における控訴人の補充主張に対する判断
⑴ 控訴人は、本件プログラムは、控訴人の発意に基づき制作され、控訴人が
自由意思に基づき、就業時間外に自宅で制作したものである旨主張する。
10 しかし、前記引用に係る原判決の「事実及び理由」中の第4の3⑴に判示
したとおり、①被控訴人における経理業務の効率化を目的とする被控訴人社
内での検討の中で、市販のアプリケーションを購入、導入する案の一方で、
エクセルでの情報処理に通じている控訴人が、いわば内製として、VBAを
用いたエクセルファイルで被控訴人の業務に適したプログラムを作成し、こ
15 れで運用する案を提案したことをきっかけに、控訴人が、本件プログラムの
作成に着手したこと、②控訴人が、必要な情報や画像等を、被控訴人代表者
等とSlack上でやり取りをしながら収集し、本件プログラムを作成した
こと、③本件プログラムを含むエクセルファイルが被控訴人の従業員用パソ
コンで作成されたこと、④控訴人が本件プログラムのマニュアルを作成し、
20 被控訴人代表者等に内容の確認を依頼したことなどの事実が認められる。こ
れらの事実は、本件プログラムが、控訴人の発意に基づき制作され、控訴人
が自由意思に基づき、就業時間外に自宅で制作されたものであるとの控訴人
の主張とは整合しない。これらの事実からは、むしろ、控訴人が所属する総
務部においても使用される経理システムを導入するとの被控訴人の判断に基
25 づく各種検討の中で、控訴人が、被控訴人における業務として、本件プログ
ラムを作成したものと認められるのであり、控訴人が指摘する行為が控訴人
の私的な逸脱行為ということはできない。
⑵ したがって、控訴人の主張は採用することができない。控訴人はその他様々
な主張をするが、いずれも上記認定判断を左右するものではない。
3 結論
5 よって、控訴人のその余の主張を判断するまでもなく、控訴人の控訴の趣旨
第3項及び第4項に係る請求はいずれも理由がないからこれを棄却すべきと
ころ、これと同旨の原判決は相当であり、本件控訴は理由がないからこれを棄
却することとして、主文のとおり判決する。
知的財産高等裁判所第1部
裁判長裁判官
増 田 稔
裁判官
20 伊 藤 清 隆

25 裁判官
天 野 研 司

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