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令和8(ネ)10024著作物無断使用禁止等請求控訴事件

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裁判所 控訴棄却 知的財産高等裁判所
裁判年月日 令和8年6月29日
事件種別 民事
法令 著作権
キーワード 侵害2回
主文 1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。
事件の概要 1⑴ 本件は、自作の小説をインターネット上で公開している控訴人(以下「原 告」という。)が、被控訴人(以下「被告」という。)の出版した被告小説、 及び、被告小説のコミカライズ版(被告小説コミカライズ版)は、原告各小 説を複製又は翻案したものであり、原告各小説に係る著作権(複製権、翻案 権、譲渡権)及び著作者人格権(氏名表示権、同一性保持権)を侵害するも のであるなどと主張して、被告に対し、名誉回復措置として謝罪広告の掲載 を求める事案である。

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判決文

令和8年6月29日判決言渡
令和8年(ネ)第10024号 著作物無断使用禁止等請求控訴事件
(原審・東京地方裁判所令和7年(ワ)第70088号)
口頭弁論終結日 令和8年5月20日
5 判 決
控 訴 人 A
被 控 訴 人 SBクリエイティブ株式会社
同訴訟代理人弁護士 清 水 節
同 秋 山 洋
同 竹 島 淳 輝
主 文
15 1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。
事 実 及 び 理 由
第1 控訴の趣旨
1 原判決を取り消す。
20 2 被控訴人は、被控訴人のウェブサイト及び被控訴人のXアカウントにおいて、
原判決別紙1記載の広告を1回掲載せよ。
第2 事案の概要等(以下、特に断らない限り、略語は原判決の例による。)
1⑴ 本件は、自作の小説をインターネット上で公開している控訴人(以下「原
告」という。)が、被控訴人(以下「被告」という。)の出版した被告小説、
25 及び、被告小説のコミカライズ版(被告小説コミカライズ版)は、原告各小
説を複製又は翻案したものであり、原告各小説に係る著作権(複製権、翻案
権、譲渡権)及び著作者人格権(氏名表示権、同一性保持権)を侵害するも
のであるなどと主張して、被告に対し、名誉回復措置として謝罪広告の掲載
を求める事案である。
⑵ 原審は、被告小説は、原告各小説に依拠することなく、独自に作成された
5 ものであり、原告各小説の著作権(複製権又は翻案権)を侵害するものとは
いえない、被告小説コミカライズ版を出版したのは、被告ではなく、これに
被告が関与したともいえない、被告小説の各記述(被告各記述)と原告各小
説の各記述(原告各記述)は、記述の同一性がないものか、思想、アイデア
等の表現それ自体でない部分において同一性を有するにすぎないものか、あ
10 るいは、表現上の創作性を認めることができない部分において同一性を有す
るにすぎないものであり、被告各記述を含む被告小説の発行又は販売は、複
製にも翻案にも当たらないとして、原告の請求を棄却し、被告は、これを不
服として控訴を提起した。
2 前提事実、争点に関する当事者の主張は、原判決4頁14行目の「被告小説
15 コミカライズ版にも被告が関与していると考えられる」を「被告小説コミカラ
イズ版の創作にも被告が関与し、キャラクターのプロフィール等の内部資料を
通じて影響を及ぼしていると考えられる」に改め、3のとおり、当審における
当事者の補充主張を加えるほかは、原判決「事実及び理由」欄の「第2 事案
の概要等」の1及び2(原判決2頁4行目から5頁4行目まで)に記載のとお
20 りであるから、これを引用する。
3 当審における当事者の補充主張
(原告の主張)
⑴ 原告は、2015年(平成27年)頃にも、原告各小説に類似する作品
(以下「原告作品」という。)のうちの一つを出版社の公募に応募している。
25 また、被告小説の原型は、被告小説の出版より前に被告主催のGA新人賞に
応募された作品であるところ、原告は、当該新人賞の応募期間内に、インタ
ーネット上で原告作品を公開し完結させている。加えて、被告小説が受賞し
その改稿が行われている期間内に、インターネット上で公開された原告作品
や、他の公募作品等からの盗作の可能性もある。
そうすると、被告小説が出版された平成29年2月時点で、被告主催のG
5 A新人賞に原告各小説が応募されていなかったからといって、被告小説が原
告各小説に依拠して創作された事実を否定することはできない。
⑵ 被告小説は、「原告作品と特定の原告作品と作品内の特定のキャラクター」
というような一塊の内容について原告作品と類似し、表現上の創作性がある
部分について原告作品と同一性を有する。
10 (被告の主張)
⑴ 被告及び被告小説の作者が原告作品等を盗作した事実はない。被告小説が
出版された平成29年2月時点で、被告主催のGA新人賞に原告各小説が応
募されていた事実はなく、被告及び被告小説の作者が、インターネット上の
小説投稿サイトにおいて、原告作品が掲載されているのを認識していた事実
15 もない。
⑵ 原告各小説の具体的表現と被告小説のそれとでは、その多くが類似してい
ないし、類似している部分についても、ありふれた表現にとどまる。また、
ストーリー展開や、情景描写、アイデア、キャラクター設定はいずれも具体
的表現とはいえず、これらが複数合わさったとしても、具体的表現となるも
20 のではない。
第3 当裁判所の判断
1 当裁判所も、原告の請求は理由がないものと判断する。その理由は、次のと
おり当審における当事者の補充主張に対する判断を付加するほかは、原判決
「事実及び理由」欄の「第3 当裁判所の判断」の1から4まで(原判決5頁
25 6行目から30頁6行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。
2 当審における当事者の補充主張に対する判断
原告は、被告小説は、原告各小説に依拠して作成されたもので、盗作である、
被告小説は、一塊の内容について原告作品と類似し、表現上の創作性がある部
分について原告作品と同一性を有する旨の主張をする。
しかしながら、① 被告小説が、原告各小説を含む他の作品に依拠すること
5 なく創作されたこと、② 被告各記述と原告各記述は、記述の同一性がないも
のか、表現それ自体でない部分において同一性を有するにすぎないものか、又
は、表現上の創作性を認めることができない部分において同一性を有するにす
ぎないものであり、被告各記述を含む被告小説を発行し販売することが、著作
権法2条15号所定の「複製」にも、同法27条所定の「翻案」にも当たらな
10 いことは、原判決の説示するとおりであって、原告の主張を採用することはで
きない。
3 結論
よって、原判決は相当であり、本件控訴は理由がないから、これを棄却する
こととして、主文のとおり判決する。
15 知的財産高等裁判所第2部

裁判長裁判官
20 森 冨 義 明

裁判官
25 菊 池 絵 理
裁判官
5 天 野 研 司

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