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令和8(ネ)10015等等損害賠償請求控訴、同附帯控訴事件

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裁判所 控訴棄却 知的財産高等裁判所
裁判年月日 令和8年7月8日
事件種別 民事
当事者 被控訴人Y X
法令 著作権
著作権法114条2項1回
著作権法114条の51回
キーワード 侵害12回
損害賠償2回
許諾1回
主文 1 本件控訴及び本件附帯控訴をいずれも棄却する。
2 控訴費用は控訴人の、附帯控訴費用は被控訴人の各負担とする。
事件の概要 1⑴ 本件は、被控訴人が、控訴人はその運営するウェブサイト(以下「ロジカ ル速報」という。)に被控訴人が著作権を有する3枚の写真(本件各写真) を無断で転載した(本件転載)などと主張して、控訴人に対し、著作権(公 衆送信権及び複製権)の侵害を理由とする不法行為に基づき損害賠償金22 5万0100円(著作権侵害による損害197万5100円、発信者情報開 示命令の申立てに係る弁護士費用等27万5000円)及びこれに対する令 和3年3月30日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害 金の支払を求める事案である。

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判決文

令和8年7月8日判決言渡
令和8年(ネ)第10015号、同年(ネ)第10033号 損害賠償請求控訴、
同附帯控訴事件
(原審・さいたま地方裁判所令和7年(ワ)第1280号)
5 口頭弁論終結日 令和8年5月20日
判 決
控訴人兼附帯被控訴人 Y
(以下「控訴人」という。)
被控訴人兼附帯控訴人 X
(以下「被控訴人」という。)
主 文
1 本件控訴及び本件附帯控訴をいずれも棄却する。
15 2 控訴費用は控訴人の、附帯控訴費用は被控訴人の各負担とする。
事 実 及 び 理 由
第1 控訴及び附帯控訴の趣旨
1 控訴の趣旨
⑴ 原判決中、控訴人敗訴部分を取り消す。
20 ⑵ 上記の部分につき、被控訴人の請求を棄却する。
2 附帯控訴の趣旨
⑴ 原判決を次のとおり変更する。
⑵ 控訴人は、被控訴人に対し、32万5000円及びこれに対する令和6年
10月4日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。
25 第2 事案の概要等(以下、特に断らない限り、略語は原判決の例による。)
1⑴ 本件は、被控訴人が、控訴人はその運営するウェブサイト(以下「ロジカ
ル速報」という。)に被控訴人が著作権を有する3枚の写真(本件各写真)
を無断で転載した(本件転載)などと主張して、控訴人に対し、著作権(公
衆送信権及び複製権)の侵害を理由とする不法行為に基づき損害賠償金22
5万0100円(著作権侵害による損害197万5100円、発信者情報開
5 示命令の申立てに係る弁護士費用等27万5000円)及びこれに対する令
和3年3月30日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害
金の支払を求める事案である。
⑵ 原審は、被控訴人は承諾なく本件転載がされたことにより本件各写真に対
する著作権(公衆送信権及び複製権)を侵害された、控訴人には本件転載に
10 よる著作権の侵害につき過失があるなどとして、被控訴人の請求を15万円
(著作権侵害による損害5万円、発信者情報開示命令の申立てに係る弁護士
費用等10万円)及びこれに対する令和6年10月4日(不法行為の日)か
ら支払済みまで年3%の割合による遅延損害金の支払を求める限度で認容し
た。
15 控訴人は、原判決中、控訴人敗訴部分を不服として控訴を提起し、被控訴
人は、控訴人に対して32万5000円(著作権侵害による損害5万円、発
信者情報開示命令の申立てに係る弁護士費用等27万5000円)及びこれ
に対する令和6年10月4日から支払済みまで年3%の割合による遅延損害
金の支払を求める限度で附帯控訴を提起した。
20 2 前提事実、争点及びこれに対する当事者の主張は、原判決「事実及び理由」
欄の「第2 事案の概要」の2及び3(原判決1頁25行目から3頁17行目
まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。
第3 当裁判所の判断
1 当裁判所も、被控訴人の請求は、原判決主文記載の限度で理由があると判断
25 する。その理由は、原判決4頁24行目の「本件期間のロジカル速報の閲覧者
数は1万5582回である」を「、同月におけるロジカル速報全体の閲覧者数
は1万5582回である」に、5頁6行目の「困難であるが」を「当該事実の
性質上極めて困難であるが」にそれぞれ改め、2のとおり控訴の理由及び附帯
控訴の理由に対する判断を加えるほかは、原判決「事実及び理由」欄の「第3
当裁判所の判断」の1から3まで(原判決3頁19行目から5頁21行目まで)
5 に記載のとおりであるから、これを引用する。
2 控訴の理由及び附帯控訴の理由に対する判断
⑴ 控訴の理由
ア 控訴人は、① 本件各写真は、第三者により画像共有サイトにアップロ
ードされ一般公開されていたものである上、画像の権利者の表示も有料で
10 ある旨の表示も付されていなかったのであるから、控訴人が、本件各写真
が他のウェブサイトにおいて有料で公開されていることを予見するのは不
可能である、② 控訴人は、被控訴人から本件転載について問合せを受け
た後、速やかに本件各写真を非公開とする措置を講じ侵害の拡大防止に努
めているのであって、このことは、少なくとも控訴人の過失の程度、悪質
15 性の有無の判断において考慮されるべきであり、損害額も大幅に減額され
るべきである旨の主張をする。
しかしながら、控訴人は、インターネット上の掲示板に投稿された記事
を自動的に収集し投稿するプログラム(スクリプト)により、当該記事が
著作物に該当するか否か、著作物に該当する場合、これが著作権者の許諾
20 を受けたものであるか否かなどについて確認することなく、漫然と本件転
載を行ったというのであり、控訴人の主張する事情を考慮しても、控訴人
には過失があるといわざるを得ない。また、著作権の侵害行為後に、被控
訴人から問合せを受けて本件各写真を非公開とする措置を講じたとしても、
これにより、その過失の程度が軽減されるものではない。
25 イ 控訴人は、① 「Google Analytics」によるアクセス解析資料(乙12)
によれば、本件期間内における本件各写真の閲覧数は27回であり、閲覧
の対価が1回当たり100円であったとしても、著作権侵害による損害額
は2700円にとどまる、② 原判決は、損害額につき著作権法114条
2項又は3項のいずれを適用したのか明らかでなく、仮に同条3項を適用
したとしても損害額認定に至る具体的な論理過程が示されていないことか
5 ら、裁量権の範囲を逸脱する違法がある旨の主張もする。
しかしながら、「Google Analytics」によるアクセス解析については、閲
覧者やユーザの設定により解析結果が異なることが認められるのであって
(甲17、18)、これを直ちに採用するのは困難である。そして、原判
決は、控訴人の侵害行為により損害が生じたことが認められるにもかかわ
10 らず、損害額を立証するために必要な事実、すなわち本件期間内における
本件各写真の閲覧数を立証することが、その性質上極めて困難であること
から、本件各写真の内容、閲覧の対価、ロジカル速報において本件各写真
が公開された期間等を総合考慮して、著作権法114条の5の規定に基づ
き、被控訴人の損害を5万円とするのであり、その認定判断に裁量権の範
15 囲を逸脱する違法はない。
⑵ 附帯控訴の理由
被控訴人は、インターネット上の著作権侵害において、侵害者を特定する
ためには発信者情報開示命令の申立てが不可欠であることに照らすと、原判
決認定に係る弁護士費用等は不当に低額であり、被控訴人が支出した27万
20 5000円全額を、控訴人による不法行為と相当因果関係のある損害とすべ
きである旨の主張をするが、発信者情報開示手続の性質、内容、本件におけ
る認容額その他諸般の事情を総合考慮すると、原判決のとおり、被控訴人が
発信者情報開示命令の申立てに係る弁護士費用等として支出した27万50
00円(甲8、13、14)のうち、10万円をもって控訴人による不法行
25 為と相当因果関係のある損害と認めるのが相当である。
3 以上によれば、原判決は相当であり、本件控訴及び本件附帯控訴は理由がな
いから、これらをいずれも棄却することとして、主文のとおり判決する。
知的財産高等裁判所第2部

5 裁判長裁判官
森 冨 義 明

裁判官
10 菊 池 絵 理

裁判官
頼 晋 一

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