令和8(ネ)10009損害賠償請求控訴事件
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| 裁判所 |
控訴棄却 知的財産高等裁判所
|
| 裁判年月日 |
令和8年7月22日 |
| 事件種別 |
民事 |
| 法令 |
不正競争
民法709条1回
|
| キーワード |
無効2回 損害賠償2回 差止1回
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| 主文 |
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。 |
| 事件の概要 |
1⑴ 本件は、控訴人が、① 控訴人の元従業員であり被控訴人会社の従業員で
ある被控訴人Y2は、同じく控訴人の元従業員であり被控訴人会社の従業員
である1審被告A、1審被告B及び1審被告C(以下、1審被告ら3名を併
せて「Aら」という。)、並びに、控訴人の元取締役であり被控訴人会社の
代表取締役である被控訴人Y1と共謀して、控訴人の保有する営業秘密(本
件機密情報)を不正に取得し被控訴人会社の営業のために使用した、また、
上記の行為は不競法2条1項4号所定の不正競争に該当する、② 被控訴人
Y2は、控訴人との間の合意(本件個別合意)に反して、不正に取得した本
件機密情報を被控訴人会社の営業のために使用した、③ 被控訴人会社は、
控訴人との間の業務委託契約(本件各業務委託契約)に基づく秘密保持義務
に違反して、控訴人から提供された秘密情報を被控訴人会社の営業のために
使用した、④ 被控訴人Y1は、控訴人から被控訴人Y2及びAらを引き抜
いて被控訴人会社に入社させた、また、被控訴人Y1は、控訴人に誓約(本
件誓約)をしたにもかかわらず、競業行為を行った、⑤ 被控訴人Y2及び
Aらは、控訴人の就業規則及び本件個別合意に反して、競業行為又は利益相 |
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判決文
令和8年7月22日判決言渡
令和8年(ネ)第10009号 損害賠償請求控訴事件
(原審・東京地方裁判所令和4年(ワ)第28365号)
口頭弁論終結日 令和8年5月25日
5 判 決
控 訴 人 フォースバレー・コンシェル
ジュ株式会社
同訴訟代理人弁護士 中 山 達 樹
15 被 控 訴 人 Beyond Technologies 株式会社
(以下「被控訴人会社」という。)
同訴訟代理人弁護士 大 空 裕 康
20 被 控 訴 人 Y1
(以下「被控訴人Y1」という。)
同訴訟代理人弁護士 大 空 裕 康
同 山 村 行 弘
25 被 控 訴 人 Y2
(以下「被控訴人Y2」という。)
同訴訟代理人弁護士 高 津 陽 介
主 文
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。
5 事 実 及 び 理 由
第1 控訴の趣旨
1 原判決中、被控訴人らに関する部分を取り消す。
2 被控訴人らは、控訴人に対し、連帯して5000万円及びこれに対する被控
訴人会社については令和5年2月17日から、被控訴人Y 1 については同月1
10 8日から、被控訴人Y 2 については同月20日から各支払済みまで年3%の割
合による金員を支払え。
3 被控訴人らは、原判決別紙2「営業秘密の内容」記載の各情報を使用し、又
は第三者に開示してはならない。
4 被控訴人らは、原判決別紙2「営業秘密の内容」記載の各情報が記録された
15 文書及び電磁的記録媒体を廃棄せよ。
第2 事案の概要等(以下、特に断らない限り、略語は原判決の例による。)
1⑴ 本件は、控訴人が、① 控訴人の元従業員であり被控訴人会社の従業員で
ある被控訴人Y2 は、同じく控訴人の元従業員であり被控訴人会社の従業員
である1審被告A、1審被告B及び1審被告C(以下、1審被告ら3名を併
20 せて「Aら」という。)、並びに、控訴人の元取締役であり被控訴人会社の
代表取締役である被控訴人Y 1 と共謀して、控訴人の保有する営業秘密(本
件機密情報)を不正に取得し被控訴人会社の営業のために使用した、また、
上記の行為は不競法2条1項4号所定の不正競争に該当する、② 被控訴人
Y2は、控訴人との間の合意(本件個別合意)に反して、不正に取得した本
25 件機密情報を被控訴人会社の営業のために使用した、③ 被控訴人会社は、
控訴人との間の業務委託契約(本件各業務委託契約)に基づく秘密保持義務
に違反して、控訴人から提供された秘密情報を被控訴人会社の営業のために
使用した、④ 被控訴人Y 1 は、控訴人から被控訴人Y 2 及びAらを引き抜
いて被控訴人会社に入社させた、また、被控訴人Y1 は、控訴人に誓約(本
件誓約)をしたにもかかわらず、競業行為を行った、⑤ 被控訴人Y2 及び
5 Aらは、控訴人の就業規則及び本件個別合意に反して、競業行為又は利益相
反行為を行ったなどと主張して、被控訴人ら及びAらに対し、民法709条、
719条(被控訴人ら及びAら)、会社法350条(被控訴人会社)、債務
不履行(被控訴人ら及びAら)に基づき、損害賠償金5000万円及びこれ
に対する訴状送達の日の翌日から各支払済みまで民法所定の年3%の割合に
10 よる遅延損害金の連帯支払を求める(一部請求)とともに、不競法3条に基
づき、本件機密情報の使用又は開示の差止め、及び、本件機密情報が記録さ
れた文書又は電磁的記録媒体の廃棄を求める事案である。
⑵ 原審は、① 原判決別紙2「営業秘密の内容」の「ファイル名」欄記載の
各ファイル(以下「本件各ファイル」ということがある。)に本件機密情報
15 が記録されていたとはいえない、また、仮に記録されていたとしても、被控
訴人Y 2 が本件機密情報を取得したとはいえず、これを被控訴人会社の営業
のために使用したともいえない、② 被控訴人会社が控訴人から提供された
秘密情報を被控訴人会社の営業のために使用したとはいえない、③ 被控訴
人Y 1 が被控訴人Y 2 及びAらの引き抜きを行ったとはいえない、④ 本件
20 誓約により直ちに被控訴人Y 1 が競業避止義務を負うとはいえない、⑤ 本
件個別合意のうち、競業避止義務を負う対象者を拡張する部分は労契法12
条により無効であり、1審被告B及び1審被告Cについて競業避止義務違反
はない、⑥ 本件個別合意のうち、利益相反行為に関する部分は同条により
無効である、また、仮に被控訴人Y2 及びAらの行為が競業避止義務違反に
25 該当し、Aらの行為が利益相反行為に該当したとしても、これにより控訴人
に損害が生じたとはいえないとして、控訴人の請求をいずれも棄却した。
控訴人は、これを不服として控訴を提起したが、当審において、Aらに対
する控訴を取り下げた。
2 前提事実、争点及び争点に関する当事者の主張は、原判決「事実及び理由」
欄の「第2 事案の概要等」の2から4まで(原判決2頁26行目から10頁
5 9行目まで)の被控訴人らに関する部分に記載のとおりであるから、これを引
用する。
第3 当裁判所の判断
1 当裁判所も、控訴人の被控訴人らに対する請求はいずれも理由がないと判断
する。その理由は、次のとおり補正し、2のとおり控訴の理由に対する判断を
10 加えるほかは、原判決「事実及び理由」欄の「第3 当裁判所の判断」の1か
ら7まで(原判決10頁11行目から20頁4行目まで)の被控訴人らに関す
る部分に記載のとおりであるから、これを引用する。
⑴ 原判決13頁22行目から24行目までを削り、25行目の「仮に、」を
「しかしながら、仮に」に改める。
15 ⑵ 原判決14頁9行目から10行目にかけての「原告が主張する不正アクセ
スが行われた日時とが異なっていること」を「、ドライブログに記録された、
控訴人において被控訴人Y 2 による不正なアクセスがあったと主張する日時
とが異なっていること」に改め、同行目の「②原告が、」の次に「原審にお
いて、」を加え、11行目の「認めていること」を「認めていたこと」に改
20 める。
⑶ 原判決15頁22行目の「事実が推認されるものではない」から25行目
末尾までを「事実を推認することはできない。」に改める。
⑷ 原判決17頁12行目から13行目にかけての「いずれも採用することが
できない。」の次に「そして、他に被控訴人Y 1 が被控訴人Y 2 の引き抜き
25 を行ったことを認めるに足りる的確な証拠はない。」を加える。
⑸ 原判決19頁21行目から22行目にかけての「うかがわれる上」から2
3行目の「事情も認められないことからすれば」までを「うかがわれ、そう
すると、控訴人の令和2年度及び令和3年度の売上げが令和元年度のそれに
比し大幅に減少した事実をもって」に改める。
2 控訴の理由に対する判断
5 控訴人は、同訴訟代理人作成に係る報告書(甲120)によれば、本件各フ
ァイルに本件機密情報が記録されていたことは明らかであるところ、① モバ
イルログに記録された、被控訴人Y 2 がモバイル端末からウェブブラウザにア
クセスをした日時と、ドライブログに記録された、控訴人において被控訴人に
よる不正なアクセスがあったと主張する日時とが近接していること、② 被控
10 訴人Y 2 の控訴人在職時のアカウント(以下「本件アカウント」という。)を
使用して本件機密情報にアクセスをすることができるのは、被控訴人Y 2 のみ
であること、③ 不正なアクセスにより情報を取得する場合、送信履歴を残さ
ないようにするため、ダウンロードすることなく、閲覧後に文字読取りツール
(OCR)を利用して情報を取得するのが一般的であることからすると、被控
15 訴人Y 2 は不正なアクセスにより本件機密情報を取得したというべきである旨
の主張をする。
しかしながら、証拠(甲33、甲62の2)及び弁論の全趣旨によれば、モ
バイルログに記録された、被控訴人Y 2 がモバイル端末からウェブブラウザに
アクセスをした日時と、ドライブログに記録された、控訴人において被控訴人
20 による不正なアクセスがあったと主張する日時との間には、0.5時間ないし
18時間程度の間隔があることが認められ、控訴人が縷々主張するクラウドサ
ービスにおける情報管理の仕組みやその利用実態を考慮しても、上記日時が近
接しているとは到底いえない。そして、本件アカウントを使用して本件機密情
報にアクセスし得るのは、被控訴人Y 2 のみであることや、不正なアクセスに
25 より情報を取得する場合、閲覧後にOCRを利用して情報を取得するのが一般
的であることを認めるに足りる的確な証拠もない。
そうすると、仮に本件各ファイルに本件機密情報が記録されていたとしても、
本件において、被控訴人Y 2 が不正アクセスにより本件機密情報を取得したと
認めるのは困難である。
3 以上によれば、原判決は相当であり、本件控訴は理由がないから、これを棄
5 却することとして、主文のとおり判決する。
知的財産高等裁判所第2部
裁判長裁判官
10 森 冨 義 明
裁判官
菊 池 絵 理
裁判官
頼 晋 一
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