ホーム > 知財判決速報/裁判例集 > 令和8(ネ)10014 損害賠償請求控訴事件
| 裁判所 | 控訴棄却 知的財産高等裁判所 |
|---|---|
| 裁判年月日 | 令和8年7月22日 |
| 事件種別 | 民事 |
| 法令 |
著作権 |
| キーワード | 損害賠償2回 侵害1回 |
| 主文 | 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人の負担とする。 |
| 事件の概要 | 1 本件は、控訴人が被控訴人に対し、原判決別紙プログラム目録記載のプログ ラム(本件プログラム)が控訴人の著作物又は共同著作物であり、被控訴人に よる本件プログラムの改変が控訴人の著作権(複製権又は翻案権)及び著作者 人格権(同一性保持権)の侵害であるとして、不法行為に基づき、損害賠償金 2800万円(3080万円のうちの一部請求)及び遅延損害金の支払を求め る事案である。 |
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令和8年7月22日判決言渡
令和8年(ネ)第10014号 損害賠償請求控訴事件
(原審・大阪地方裁判所令和7年(ワ)第3632号)
口頭弁論終結日 令和8年6月8日
判 決
控 訴 人 X
同訴訟代理人弁護士 木 村 清 志
寺 内 英 佑
被 控 訴 人 ニタコンサルタント株式会社
同訴訟代理人弁護士 真 鍋 直 敬
主 文
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。
事実及び理由
第1 控訴の趣旨
1 原判決を取り消す。2 被控訴人は、控訴人に対し、2800万円及びこれに対する令和7年5月13日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。
第2 事案の概要(以下、略語等は原判決の例による。)
1 本件は、控訴人が被控訴人に対し、原判決別紙プログラム目録記載のプログラム(本件プログラム)が控訴人の著作物又は共同著作物であり、被控訴人による本件プログラムの改変が控訴人の著作権(複製権又は翻案権)及び著作者人格権(同一性保持権)の侵害であるとして、不法行為に基づき、損害賠償金2800万円(3080万円のうちの一部請求)及び遅延損害金の支払を求める事案である。原審は、本件プログラムの著作者又は共同著作者が控訴人であるとは認められないとして、控訴人の請求を棄却したところ、控訴人がこれを不服として控
5 訴した。2 前提事実、主要な争点及び争点に関する当事者の主張は、原判決3頁16行目の「B」を「C 」に改め、後記第3の2のとおり当審における控訴人の補充主張を付加するほか、原判決「事実及び理由」欄の第2の3及び4並びに
第3(2頁7行目~6頁8行目)に記載のとおりであるから、これを引用する。
第3 当裁判所の判断
1 当審も、本件プログラムの著作者又は共同著作者が控訴人であるとは認めら
れないから、控訴人の請求は理由がないと判断する。その理由は、以下のとおり当審における控訴人の補充主張に対する判断を付加するほか、原判決「事実及び理由」欄の第4の1(6頁10行目~7頁19行目)に記載のとおりであるから、これを引用する。
2 控訴人の補充主張に対する判断
⑴ 控訴人は、原判決が「非定常浸透流下にある斜面の安定解析プログラムの
開発」と題する論文(甲1論文)の第一執筆者がAであったことから、Aが甲1論文について中心的な役割を果たしたとの誤った事実を認定し、これを前提として判断したことについて、事実誤認があると主張する。しかし、前記引用に係る原判決の判示のとおり、甲1論文を含め本件全証拠によっても、原告プログラムの具体的記述として何が作成されたのか全く不明といわざるを得ないから、著作物としての原告プログラムが存在するとは認められず、本件プログラムとの関係を検討することもできない以上、本件プログラムの著作者又は共同著作者が控訴人であると認めることはできない。そうすると、Aが甲1論文について中心的な役割を果たしたとの事実認定を前提として判断はされておらず、その事実いかんによって上記判断が左右されるものではない。
⑵ 控訴人は、控訴人が原告プログラムの内容について明らかにし、被控訴人
が本件プログラムの少なくとも中核部分については控訴人が作成したプログ
5 ラムを利用していることを自白したにもかかわらず、原判決はこれらを看過
した事実誤認があると主張する。しかし、控訴人が指摘する控訴人の陳述書(甲21、32)によっても、原告プログラムの具体的記述が明らかにされているとはいえない。また、被控訴人は、原審の答弁書において、甲1論文の内容として、Aが控訴人の研究室で使用されていたプログラムを連動させて計算し、その結果を学会で発表したと主張しているのみであること、及び、本件プログラムは、被控訴人従業員のAが修正を行い、Bが新たにプログラムを作成するなどして作成したのであり、原告プログラムの内容は明らかではないと主張していることからすれば、被控訴人が本件プログラムの少なくとも中核部分については控訴人が作成したプログラムを利用していることを自白したということはできない。
⑶ 控訴人は、本件プログラムのソースコードや控訴人本人及びAの尋問は本
件事案の真相を明らかにするために必要不可欠な証拠及び手続であったにもかかわらず、原審が文書提出命令の申立て及び人証の申出を却下したことは重大な誤りであると主張する。しかし、控訴人は、原告プログラムの具体的記述を一切特定していないのであるから、当審においても、本件プログラムのソースコードの文書提出命令の申立て並びに控訴人本人及びAの人証の申出は、いずれも必要性を欠くものとして却下したのであり、これと同旨の原審の判断に誤りはない。
⑷ その他、控訴人は様々な主張をするが、いずれも上記認定判断を左右する
ものではない。
第4 結論
以上によれば、控訴人の請求は理由がないからこれを棄却すべきところ、これと同旨の原判決は相当であり、本件控訴は理由がないからこれを棄却することとして、主文のとおり判決する。
5 知的財産高等裁判所第4部
裁判長裁判官長 谷 川 浩 二裁判官伊 藤 清 隆裁判官諸 岡 慎 介
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