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令和8(ネ)10036損害賠償請求控訴事件

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裁判所 控訴棄却 知的財産高等裁判所
裁判年月日 令和8年7月27日
事件種別 民事
法令 不正競争
キーワード 損害賠償2回
主文 1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は、控訴人の負担とする。
事件の概要 1⑴ 本件は、控訴人が、その元従業員である被控訴人の行為は、控訴人との間 の秘密保持契約(本件契約)に基づく秘密保持義務に違反し、不競法2条1 項7号所定の不正競争に該当するなどと主張して、被控訴人に対し、民法4

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判決文

令和8年7月27日判決言渡
令和8年(ネ)第10036号 損害賠償請求控訴事件
(原審・東京地方裁判所令和6年(ワ)第70374号)
口頭弁論終結日 令和8年6月10日
5 判 決
控 訴 人 D & X 株 式 会 社
同訴訟代理人弁護士 萩 原 達 也
10 同訴訟復代理人弁護士 矢 野 麻 美 子
被 控 訴 人 Y
同訴訟代理人弁護士 片 田 真 志
同 川 村 遼 平
15 主 文
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は、控訴人の負担とする。
事 実 及 び 理 由
第1 控訴の趣旨
20 1 原判決を取り消す。
2 被控訴人は、控訴人に対し、3399万3050円及びこれに対する令和6
年9月9日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要等(以下、特に断らない限り、略語は原判決の例による。)
1⑴ 本件は、控訴人が、その元従業員である被控訴人の行為は、控訴人との間
25 の秘密保持契約(本件契約)に基づく秘密保持義務に違反し、不競法2条1
項7号所定の不正競争に該当するなどと主張して、被控訴人に対し、民法4
15条1項又は不競法4条に基づき、損害賠償金3399万3050円及び
これに対する令和6年9月9日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民
法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払を求める事案である(一部請
求)。
5 ⑵ 原審は、控訴人が営業秘密とする顧客情報(以下「本件顧客情報」とい
う。)について、控訴人による秘密管理措置が十分にされていたとも、控訴
人の秘密管理意思が従業員等に明確に示されていたともいえず、本件顧客情
報を「秘密として管理されている」ものとし営業秘密に該当するということ
はできないとして、控訴人の請求を棄却し、控訴人は、これを不服として控
10 訴を提起した。
2 前提事実、争点及び争点に関する当事者の主張は、原判決6頁22行目から
23行目にかけての「社内 WiFi に接続された端末3種類は」を「社内 WiFi に
接続された端末の数は、」に改めるほかは、原判決「事実及び理由」欄の「第
2 事案の概要等」の2から4まで(原判決2頁5行目から8頁21行目まで)
15 に記載のとおりであるから、これを引用する。
第3 当裁判所の判断
1 当裁判所も、控訴人の請求は理由がないと判断する。その理由は、原判決1
0頁7行目の「就業規則の存在は一応うかがわれるものの(被告本人)、」を
削り、14行目から15行目にかけての「原告が私的端末による本件アプリの
20 使用禁止を原告として周知したことはない」を「控訴人において、私的端末に
よる本件アプリの利用禁止を従業員に周知したことはないというのである」に
改め、2のとおり控訴理由に対する判断を付加するほかは、原判決「事実及び
理由」欄の「第3 当裁判所の判断」の1及び2(原判決8頁23行目から1
1頁18行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。
25 2 控訴理由に対する判断
控訴人は、不競法2条6項にいう「秘密として管理されている」は、「その
情報が秘密として扱われるべきものであるという意思を表明し、かつ合理的な
範囲で管理している」ことを要件とするもので、絶対的な情報の漏出を防止す
る措置を講ずることを要件とするものではない、そして、控訴人においては本
件顧客情報につき「秘密として管理されている」と認められる十分な措置を講
5 ずるとともに、その意思を明確に示していた旨の主張をする。
しかしながら、本件において、本件顧客情報につき、控訴人による秘密管理
措置が十分にされていたとも、控訴人の秘密管理意思が従業員等に明確に示さ
れていたともいえないことは、補正後の原判決の説示のとおりである。
控訴人は、① 控訴人が、本件アプリ上に作成された各グループへの所属の
10 可否を最終的に決定、管理する権限を有していた、② 控訴人において、本件
アプリ上に本件顧客情報の管理用のカレンダーを作成し、特定の従業員を「参
加者」として招待した時点で、アクセス制御と所属管理は完了している、③
控訴人は、本件アプリ上のカレンダーの「オーナー」として、情報の閲覧、編
集を厳格に管理していた、④ 本件アプリを利用して「全員が同じルール(カ
15 レンダー)に従って情報を記録する」こと自体が、本件顧客情報の一貫性と機
密性を保つための合理的措置である、⑤ 控訴人において、本件顧客情報は本
件アプリの「カレンダーイベント」として管理されていたのであり、本件アプ
リ全体が秘密管理の対象となっているなどと縷々主張するが、これらの主張を
踏まえても、前記判断は覆らない。
20 3 よって、原判決は相当であり、本件控訴は理由がないから、これを棄却する
こととして、主文のとおり判決する。
知的財産高等裁判所第2部

25 裁判長裁判官
森 冨 義 明
裁判官
菊 池 絵 理
裁判官
天 野 研 司

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