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令和8(ネ)10035売買代金支払請求控訴事件

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裁判所 控訴棄却 知的財産高等裁判所
裁判年月日 令和8年7月30日
事件種別 民事
当事者 被控訴人仏山市順徳区禾栄食品有限公司
法令 特許権
キーワード 損害賠償4回
特許権2回
侵害2回
主文 1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。
事件の概要 1 請求の要旨 本件は、被控訴人が、控訴人に対し、被控訴人と控訴人との間で締結された原 判決別紙売買契約一覧表記載のウナギ加工品の売買契約のうち、積荷日を令和4 年9月7日及び同年10月22日とする各売買契約(本件各売買契約)に基づき、 売買代金合計71万3249.92米ドル及びこれに対する訴状送達日の翌日で ある令和6年3月29日から支払済みまで中国法所定の年4.485%の割合に よる遅延損害金の支払を求める事案である。

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判決文

令和8年7月30日判決言渡

令和8年(ネ)第10035号 売買代金支払請求控訴事件

(原審・東京地方裁判所令和6年(ワ)第3910号)

口頭弁論終結日 令和8年6月23日

判 決

控 訴 人 株式会社BGI JAPAN

同訴訟代理人弁護士 朝 野 哲 朗

被 控 訴 人 仏山市順徳区禾栄食品有限公司

(佛山市顺德区禾荣食品有限公司)

同訴訟代理人弁護士 石 田 卓 遠

山 口 哲 郎

岡 部 優 志

北 島 志 保

大 堀 健 太 郎

吉 原 慎 一

同訴訟復代理人弁護士 村 田 勇 太

主 文

1 本件控訴を棄却する。

2 控訴費用は控訴人の負担とする。

事実及び理由

第1 控訴の趣旨

1 原判決を取り消す。2 被控訴人の請求を棄却する。

第2 事案の概要等(略語は特記するもののほか原判決の例による。)

1 請求の要旨本件は、被控訴人が、控訴人に対し、被控訴人と控訴人との間で締結された原判決別紙売買契約一覧表記載のウナギ加工品の売買契約のうち、積荷日を令和4年9月7日及び同年10月22日とする各売買契約(本件各売買契約)に基づき、売買代金合計71万3249.92米ドル及びこれに対する訴状送達日の翌日である令和6年3月29日から支払済みまで中国法所定の年4.485%の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。控訴人は、原審において、①特許権侵害を原因とする被控訴人に対する損害賠償請求権、及び、②原判決別紙不良品存在取引一覧表の売買契約欄に各記載の売買契約(以下「本件対象契約」という。)の債務不履行を原因とする被控訴人に対する損害賠償請求権を自働債権とし、本訴請求権を受働債権として、対当額で相殺する旨の相殺の抗弁を提出した。原審は、控訴人による抗弁をいずれも排斥し、被控訴人の請求を全部認容したため、控訴人が原判決を不服として控訴を提起した。2 前提事実及び当事者の主張本件の前提事実及び当事者の主張は、次のとおり当審における控訴人の補充主張を加えるほかは、原判決の「事実及び理由」第2の2から4まで(2頁9行目~11頁9行目)に記載のとおりであるからこれらを引用する。

⑴ 争点2-1(原告製品の本件発明の技術的範囲の属否)について控訴人が提出した証拠(乙25~27)において測定されている食品用台紙が原告製品に係るものであることは、信用性の高い控訴人代表者の陳述書(乙35)から明らかである。

⑵ 争点3-1(被控訴人の債務不履行の有無)についてア 原判決は、被控訴人が死んだウナギを加工品に用いたことで、中国において何らかの処分又は処罰を受けたことがないことや、控訴人代表者や被控訴人の元従業員であるAの陳述内容も、被控訴人が納品したものの中に不良品が存在した旨や死亡したウナギを使用していた旨を抽象的又は断片的に指摘するにとどまることなどから、被控訴人による債務不履行の事実を認めるに足りないとした。しかし、次に述べるとおり、被控訴人には本件対象契約についての債務不履行があったと認められる。イ 被控訴人は、控訴人に対し、本件対象契約において、死んだウナギを用いたウナギ加工品を販売しない旨を約していた。ウナギは、活きたまま調理しないとすぐに酸化が進み、臭みが増し、焼き上がりの膨らみ感や食感が損なわれるほか、血液に含まれる毒素や体内に含まれる細菌が蓄積するためである。ウ 被控訴人が死んだウナギを仕入れていたことは、被控訴人によるウナギの仕入額が極めて低額であること(1kgあたり30元~37.5元。乙18)、被控訴人の元従業員であるAの陳述(乙34)、被控訴人代表者と仕入れ担当従業員とのチャットのやり取り(乙39)などから明らかである。被控訴人が死んだウナギを用いて加工品を製造していたことは、令和2年から令和6年にかけて被控訴人の加工工場内で撮影された動画(乙10、37の1~3、38)と、活きたウナギを加工している様子を撮影した動画(乙40)との対比により明らかである。被控訴人が死んだウナギの加工品を控訴人に輸出して販売していたことは、上記のとおり製造された加工品を控訴人宛ての外箱に入れている様子を撮影した動画や写真(乙37の4~6)から明らかである。なお、被控訴人については、令和5年4月頃、ウナギ加工品につき食品衛生法違反(細菌数1.5×105/g)があった旨が公表されており(乙42)、このことも、被控訴人が死んだウナギを加工して控訴人に販売していた可能性を裏付けるものである。エ 上記ウのとおり、被控訴人は、死んだウナギを用いた加工品を控訴人に輸出して販売し、控訴人はこれを取引先に販売していた。しかるところ、控訴人は、特に令和4年2月頃以降、取引先から味がおかしい、変なにおいがする、食感がおかしい、形が悪い等のクレームを受けるようになった。このことは、控訴人代表者と、取引先の担当者、被控訴人代表者及びAとの各チャットのやり取り(乙9、19、33、43)からも明らかである。オ このように、被控訴人から輸入して買い受けたウナギ加工品に不良品が存在していたことから、控訴人は、ゼンスイ野村フーズ株式会社との間で締結していた売買契約につき、単価を減額して取引することを余儀なくされた。これらの契約に係るウナギ加工品は、本件対象契約に基づいて被控訴人から納品されたものである。したがって、単価を減額して取引することを余儀なくされたことによる損害は、本件対象契約における被控訴人の債務不履行により生じた損害であるといえる。

第3 当裁判所の判断

1 当裁判所も、控訴人の抗弁にはいずれも理由がなく、被控訴人の請求には理由

があると判断する。その理由は、次に当審における控訴人の補充主張に対する判断を付加するほかは、原判決の「事実及び理由」第3(11頁10行目~20頁12行目)に記載のとおりであるから、これを引用する。

2 当審における控訴人の補充主張に対する判断

⑴ 争点2-1(原告製品の本件発明の技術的範囲の属否)について

控訴人は、控訴人が提出した証拠(乙25~27)において測定されている食品用台紙は、原告製品に係るものである旨主張する。しかし、引用する原判決の「事実及び理由」第3の2⑶(17頁7行目~19頁13行目)のとおり、本件発明における「板紙の秤量」とは、食品用台紙のうち、「撥水性層を有する上面部及び下面部」を含まないものの坪量(1㎡当たりの用紙1枚の重量)を意味するものと解されるところ、原告製品における「板紙の秤量」が「960~1440g/㎡」であることを認めるに足りる的確な証拠はない。したがって、控訴人が提出した証拠において測定されている食品用台紙が原告製品に係るものであるかにかかわらず、原告製品が本件発明の技術的範囲に属すると認めることはできない。よって、特許権侵害に基づく損害賠償請求権を自働債権とする控訴人の相殺の抗弁には理由がない。

⑵ 争点3-1(被控訴人の債務不履行の有無)について

控訴人は、被控訴人が死んだウナギを仕入れて加工し、これを控訴人に輸出、販売していたと主張し、その結果、控訴人は、当該ウナギ加工品の単価を減額して販売することを余儀なくされた旨主張する。そこで検討すると、控訴人が提出した動画(乙10、37の1~4、38)のうち、ウナギを加工している場面を撮影したものをみても、加工に係るウナギが、活きたものが氷水に浸けられて仮死状態にあるのか、既に死んだものであるのかは、判然としないというほかはない。控訴人代表者と関係者とのチャットのやり取り(乙9、19、33、36、39、43)やAの陳述(乙34)は、いずれも、商品にクレームや返品があった旨や被控訴人が死んだウナギを加工し販売している旨を抽象的に言及するにとどまっており、売買の目的物が契約により定められた水準に適合していなかったことを具体的に認定するに足るものではない。被控訴人につき公表された食品衛生法違反の事実(乙42)は、本件対象契約よりも後の出来事であって、その具体的内容も判然としないから、これをもって、本件対象契約の債務不履行を認定することは困難である。さらに、控訴人が商品の単価を減額して販売した原因が、被控訴人が販売した商品の品質によるものであることを示す証拠や事実関係も見当たらない。以上によると、被控訴人に本件対象契約上の債務不履行があって、これにより控訴人が損害を受けたものと認めることはできない。よって、本件対象契約の債務不履行に基づく損害賠償請求権を自働債権とする控訴人の相殺の抗弁には理由がない。

3 結論

以上のとおり、控訴人による相殺の抗弁にはいずれも理由がなく、被控訴人の請求には理由があるから、これを認容した原判決は相当であって、本件控訴には理由がない。よって、本件控訴を棄却することとして、主文のとおり判決する。知的財産高等裁判所第1部裁判長裁判官増 田 稔裁判官頼 晋 一裁判官天 野 研 司

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