知財判決速報/裁判例集知的財産に関する判決速報,判決データベース

ホーム > 知財判決速報/裁判例集 > 令和7(ワ)70184 債務不存在確認請求事件

この記事をはてなブックマークに追加

令和7(ワ)70184債務不存在確認請求事件

判決文PDF

▶ 最新の判決一覧に戻る

裁判所 却下 東京地方裁判所
裁判年月日 令和8年7月3日
事件種別 民事
法令 著作権
キーワード 損害賠償12回
主文 1 本件訴えを却下する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事件の概要 1 事案の要旨 本件は、原告が、別紙掲載論文目録記載①ないし⑦の論文等(以下、これら を併せて「本件各論文」という。 )において、被告が作成した別紙図表目録記 載①ないし⑦の各図表(以下、これらを併せて「本件各図表」という。 )を掲 載したこと(以下、当該掲載行為を「本件利用行為」という。 )が、被告に対 する不法行為に該当せず、また、原告において利益を受けていないなどと主張 して、被告に対し、本件利用行為について、被告が原告に対し、不法行為に基 づく損害賠償請求債権(以下「本件損害賠償請求債権」という。 )及び不当利 得返還請求債権(以下「本件不当利得返還請求債権」という。 )のいずれも有 しないことの確認を求める事案である。

▶ 著作権に関する裁判例

本サービスは判決文を自動処理して掲載しており、完全な正確性を保証するものではありません。正式な情報は裁判所公表の判決文(本ページ右上の[判決文PDF])を必ずご確認ください。

判決文

令和8年7月3日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

令和7年(ワ)第70184号 債務不存在確認請求事件

口頭弁論終結日 令和8年4月10日

判 決

原 告

同訴訟代理人弁護士 近 藤 剛

前 田 拓 郎

被 告

同訴訟代理人弁護士 大 島 麻 子

主 文

1 本件訴えを却下する。

2 訴訟費用は原告の負担とする。

事 実 及 び 理 由

第1 請求

原告が、別紙掲載論文目録記載の論文において、被告に無断で被告作成の図表を掲載したことにつき、被告の原告に対する不法行為に基づく損害賠償請求権又は不当利得返還請求権がいずれも存在しないことを確認する。

第2 事案の概要等

1 事案の要旨本件は、原告が、別紙掲載論文目録記載①ないし⑦の論文等(以下、これらを併せて「本件各論文」という。)において、被告が作成した別紙図表目録記載①ないし⑦の各図表(以下、これらを併せて「本件各図表」という。)を掲載したこと(以下、当該掲載行為を「本件利用行為」という。)が、被告に対する不法行為に該当せず、また、原告において利益を受けていないなどと主張して、被告に対し、本件利用行為について、被告が原告に対し、不法行為に基づく損害賠償請求債権(以下「本件損害賠償請求債権」という。)及び不当利得返還請求債権(以下「本件不当利得返還請求債権」という。)のいずれも有しないことの確認を求める事案である。

5 2 前提事実(当事者間に争いのない事実並びに後掲証拠(枝番を含む。)及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)

⑴ 当事者原告は、立教大学異文化コミュニケーション学部の教授である。被告は、国立研究開発法人情報通信研究機構ユニバーサルコミュニケーション研究所先進的音声翻訳研究開発推進センターの主任研究員である。

⑵ 原告による訴え提起に至る経緯ア 原告は、平成30年3月から令和2年10月にかけて、本件各図表を掲載した本件各論文の公表等を行った。イ 被告は、令和4年12月21日、立教大学及び独立行政法人日本学術振興会(以下「日本学術振興会」という。)に対し、本件利用行為が盗用に該当する旨の通報を行った。(甲18、乙1)ウ 立教大学は、令和5年10月25日、原告に対し、本件利用行為が立教大学研究活動における不正行為への対応に関する規程において不正行為とされる盗用に該当する旨通知し、盗用に係る是正措置として、盗用によって生じた不適切な状態を可能な限り是正し、被告に十分な説明をすることなどを勧告するとともに、原告に対する競争的研究費の執行及び研究プロジェクト室の使用を停止した。(甲18)エ 日本学術振興会は、令和6年3月27日、原告に対し、同会の補助事業において本件利用行為に係る不正行為があったと認定されたことを受け、同年4月1日から令和9年3月31日までの間、科学研究費補助金及び学術研究助成基金助成金を交付しないことを通知した。(甲23)オ 立教大学は、令和6年4月19日、原告に対し、上記エの通知を踏まえ、同大学内の競争的研究費についても、令和8年度(令和9年3月31日)までの交付を制限するとともに、令和4年度の執行済みの経費の一部の返還を請求した。(甲13、24)

5 カ 原告は、令和7年2月7日、被告に対し、原告代理人を通じて、原告と被告との間で本件利用行為に関する問題が全て解決済みであることなどを確認する旨の確認書(以下「本件確認書」という。)を送付し、署名を求めたが、被告はこれを拒否した。(甲14、15)キ 原告は、令和7年4月30日、被告に対し、本件訴えを提起した。

⑶ 被告による原告に対する本件損害賠償請求債権及び本件不当利得返還請求債権の放棄被告は、令和8年3月10日の本件第6回弁論準備手続期日において、本件利用行為により原告が経済的利益を得ていないこと及び本件利用行為そのものにより被告に損害が生じていないことを認めるとともに、仮に本件利用行為そのものにより、原告に対する不法行為に基づく損害賠償請求債権あるいは不当利得返還請求債権が発生するとしても、これらの請求債権をいずれも放棄する旨を陳述した。3 本案前の争点及びこれに関する当事者の主張本件の本案前の争点は、本件訴えに訴えの利益があるかである。

⑴ 原告の主張原告は、本件利用行為による不適切な状態の回復のために必要な措置をとったものの、現在に至るまで、研究活動への参加の一部停止、競争的研究費の停止及び教育活動への参加の停止という極めて厳正な処分を受けており、原告の不利益は回復していない。また、本件利用行為による不適切な状態の回復措置には被告に対する通知も含まれているところ、被告は本件確認書への署名を拒否している。上記の状況により、原告は、立教大学及びその他の第三者に対して本件利用行為による原告被告間の紛争が解決していることを外部に証明することができない状況にある。原告の研究活動に関する処分の解除及び本件に関する原告の名誉や信頼回

5 復のためには、原告と被告との間において、原告が被告に対して少なくとも法的には違法なことを行っていないことを判決によって確認する必要がある。

⑵ 被告の主張本件利用行為により原告が経済的利益を得ていないこと及び本件利用行為そのものにより被告に損害が生じていないことに争いはなく、仮に本件損害賠償請求債権あるいは本件不当利得返還請求債権が発生するとしても、被告はこれらを放棄した。また、原告と被告は、令和4年4月16日、原告において本件利用行為に関して是正を行うことを含む合意をしたところ、被告が原告に対して求めているのは当該合意の履行であり、仮に本件損害賠償請求債権及び本件不当利得返還請求債権の不存在が確認されたとしても、原告の権利又は法的地位への危険又は不安が除去されるものではない。

第3 当裁判所の判断

1 確認の訴えにおける確認の利益は、即時確定の利益がある場合、すなわち、

判決をもって法律関係の存否を確定することが、その法律関係に関する法律上の紛争を解決し、現に当事者の有する権利又は法律上の地位の不安、危険を除去するために必要かつ適切である場合に限り認められる(最高裁昭和27年(オ)第683号同30年12月26日第三小法廷判決・民集9巻14号2082頁、最高裁昭和44年(オ)第719号同47年11月9日第一小法廷判決・民集26巻9号1513頁)。これを本件についてみると、原告は、本件利用行為について、被告の原告に対する不法行為に基づく本件損害賠償請求債権及び本件不当利得返還請求債権の不存在の確認を求めているところ、前提事実⑶で認定したとおり、被告は、令和8年3月10日に行われた本件第6回弁論準備手続期日において、本件利用行為により原告が経済的利益を得ていないこと及び本件利用行為そのものにより被告に損害が生じていないことを認めるとともに、本件損害賠償請求債権

5 及び本件不当利得返還請求債権を放棄する旨陳述したことが認められる。

以上によれば、被告の原告に対する本件損害賠償請求債権及び本件不当利得返還請求債権が存在しないことは被告の自認するところであり、この点について、現に当事者間に紛争が存在し、原告の有する権利又は法律上の地位の不安、危険が存在しているとはいえず、即時確定の利益があるとは認められない。2

(原告の主張)

について原告は、原告の研究活動に関する処分の解除及び本件に関する原告の名誉や信頼回復のためには、原告と被告との間において、原告が被告に対して少なくとも法的には違法なことを行っていないことを判決によって確認する必要がある旨主張する。しかしながら、本件訴えは、本件損害賠償請求債権及び本件不当利得返還請求債権の不存在の確認を求める訴えであり、原告の研究活動に関する処分の解除及び本件に関する原告の名誉や信頼回復を求めるものではないから、被告が確認することが必要であるとする対象は理由中の判断その他本件における訴訟物外の事情にとどまり、本件損害賠償請求債権及び本件不当利得返還請求債権が存在しない旨の確認判決を得ることが、

(原告の主張)

する権利又は法的地位への危険又は不安を除去するために必要かつ適切であるということはできない。したがって、原告の上記主張は採用することができない。

第4 結論

よって、本件訴えは訴えの利益を欠くものであるから却下することとして、主文のとおり判決する。東京地方裁判所民事第29部裁判長裁判官澁 谷 勝 海裁判官本 井 修 平裁判官浅 川 浩 輝別紙掲載論文目録(以下省略)別紙図表目録(以下省略)

最新の判決一覧に戻る

法域

特許裁判例 実用新案裁判例
意匠裁判例 商標裁判例
不正競争裁判例 著作権裁判例

最高裁判例

特許判例 実用新案判例
意匠判例 商標判例
不正競争判例 著作権判例

来週の知財セミナー (10月26日~11月1日)

10月29日(木) - オンライン

第68回東北大学知財セミナー

特許事務所紹介 IP Force 特許事務所紹介

ボングゥー特許商標事務所

〒101-0032 東京都千代田区岩本町3-2-10 SN岩本町ビル9階 特許・実用新案 意匠 商標 外国特許 外国意匠 外国商標 訴訟 鑑定 コンサルティング 

日本知財サービス 特許出願・商標登録事務所

〒106-6111 東京都港区六本木6丁目10番1号 六本木ヒルズ森タワー 11階 横浜駅前オフィス:  〒220-0004  神奈川県横浜市西区北幸1丁目11ー1 水信ビル 7階 特許・実用新案 意匠 商標 外国特許 外国意匠 外国商標 訴訟 鑑定 コンサルティング 

エムケー特許事務所(大阪・奈良・和歌山(全国対応))

大阪市天王寺区上本町六丁目9番10号 青山ビル本館3階 特許・実用新案 意匠 商標 外国特許 外国意匠 外国商標 訴訟 鑑定 コンサルティング