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令和8(ネ)10025特許権侵害等に基づく損害賠償請求控訴事件

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裁判所 控訴棄却 知的財産高等裁判所
裁判年月日 令和8年7月14日
事件種別 民事
当事者 被控訴人株式会社リクルート
対象物 未確定の将来クレジット債権の買い取りによるクレジットカード加盟店への無担保のファンディングシステム
法令 特許権
特許法2条1項1回
民法709条1回
キーワード 実施12回
侵害9回
特許権4回
分割4回
損害賠償3回
無効1回
抵触1回
主文 1 本件各控訴をいずれも棄却する。
2 控訴費用は、控訴人らの負担とする。
事件の概要 「被告」を「被控訴人」と、 「別紙」を「原判決別紙」とそれぞれ読み替える。)

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判決文

令和8年7月14日判決言渡

令和8年(ネ)第10025号 特許権侵害等に基づく損害賠償請求控訴事件(原

審 東京地方裁判所令和6年(ワ)第70225号)

口頭弁論終結日 令和8年6月30日

判 決

控 訴 人 株 式 会 社 J B F

(以下「控訴人会社」という。)

控 訴 人 X

(以下「控訴人X」という。)

両名訴訟代理人弁護士 高 橋 隆 二

同 高 村 知 子

被 控 訴 人 株 式 会社 リ ク ル ー ト

同訴訟代理人弁護士 松 山 智 恵

同 津 城 尚 子

同 熊 谷 仁 孝

同 補 佐 人 弁 理 士 伊 藤 健 太 郎

同 長 沼 弘

主 文

1 本件各控訴をいずれも棄却する。

2 控訴費用は、控訴人らの負担とする。

事 実 及 び 理 由

第1 控訴の趣旨

1 原判決を取り消す。2 被控訴人は、控訴人会社に対し、4400万円及びこれに対する令和6年7月17日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。3 被控訴人は、控訴人Xに対し、1100万円及びこれに対する令和6年7月17日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。4 訴訟費用は、第1、2審とも被控訴人の負担とする。

第2 事案の概要(略語は原判決の表記に従う。なお、「原告」を「控訴人」と、

「被告」を「被控訴人」と、「別紙」を「原判決別紙」とそれぞれ読み替える。)1 本件は、①発明の名称を「未確定の将来クレジット債権の買い取りによるクレジットカード加盟店への無担保のファンディングシステム」とする特許(特許第5785272号(本件特許))について独占的通常実施権の設定を受けたとする控訴人会社が、被控訴人に対し、被控訴人による原判決別紙被控訴人システム目録記載のシステム(被控訴人システム)の生産及び使用は上記独占的通常実施権を侵害するとして、民法709条(対象期間は令和3年4月1日から令和6年4月30日まで)に基づく損害賠償金4400万円(一部請求)及び遅延損害金の支払を求め、②控訴人会社の代表者である控訴人Xが、被控訴人に対し、原判決別紙営業秘密目録1及び2記載の情報(本件情報1、2)は控訴人Xの保有する営業秘密であり、被控訴人が本件情報を使用したことは不正競争防止法(不競法)2条1項7号所定の不正競争に当たり、また、控訴人Xと被控訴人の間の合意に反するとして、不競法4条又は債務不履行に基づく損害賠償金1100万円(一部請求)及び遅延損害金の支払を求めた事案である。原審が、控訴人らの請求をいずれも棄却したところ、控訴人らがその取消しを求めて本件控訴を提起した。控訴人会社は、当審において均等の主張を追加した。2 前提事実、争点及び争点に関する当事者の主張は、次のとおり補正し、後記

第3のとおり当審における控訴人らの主な補充主張を付加するほかは、原判決

の「事実及び理由」中(原判決を引用する場合に「事実及び理由」中との記載を省略する。以下、同様である。)、第2の2ないし4(原判決2頁23行目から29頁19行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。

⑴ 原判決6頁4行目の「平成28年」を「平成28年5月」と改め、同頁1

7行目の末尾の次を改行し、次のとおり加える。「令和2年2月初旬には、セゾンと被控訴人子会社との間で秘密保持契約の締結が話題となっていたところ、被控訴人子会社は、セゾンに対しメールで連絡し、秘密保持契約の案につき、『甲または乙が相手方より開示された一切の情報』とあるのを『甲または乙が相手方より秘密である旨の表示がなされた上で開示を受ける情報』と修正する旨の提案をした。その趣旨につき被控訴人子会社は、『お打ち合わせ時にお伝え致しましたように、類するサービス検討は弊社でも既に進めておりまして、貴社から開示いただく一切の情報が機密扱いとなりますと、既存の業務遂行に影響する可能性があるためです。』と説明するとともに、セゾンに対し、『貴社から開示いただく情報は事前に吟味いただき、機密でないものの弊社への開示は適当でないと判断された情報は、開示対象から除』くことを求めた。(乙2)」

⑵ 原判決7頁7行目の「システムの生産及び使用をしている」を「システム

を使用している」と改め、同頁9行目の「概要」の次に「及び被控訴人サービスの利用契約の締結の手順」を、同頁10行目の「被告は、」の次に「クレジットカード決済代行サービスである」をそれぞれ加える。

⑶ 原判決8頁7行目の「及び」から同頁8行目の「手順」までを削る。

⑷ 原判決8頁8行目の末尾の次を改行し、次のとおり加える。

「

①Airペイ加盟店は、アプリケーションの設定画面に表示される『利用

金額』及び『引落率』の各選択肢の提示の中から、いずれかの『利用金額』及び『引落率』を選択する(上図参照)。」

⑸ 原判決9頁1行目の冒頭から同頁3行目の「選択する。」までを削る。

⑹ 原判決9頁6行目の「(上図参照)。」の次に「ちなみに、上図は引落率40%

を選択した場合であり、引落率85%を選択した場合には、下図のとおり表示される。」を加える。

⑺ 原判決13頁19行目の「(争点1-5)」を「(争点1-4)」と改める。

第3 当審における控訴人らの主な補充主張

〔控訴人会社の主張〕

1 「クレジットカード会社」という文言の解釈について

「クレジットカード会社」という文言の解釈について、原判決の判断には誤りがある。すなわち、原判決は、本件発明における「クレジットカード会社」の文言につき、「クレジットカード決済代行会社やクレジットカード決済代行サービス部門を含むものであると解することはできない」と判示した(原判決41~44頁)。原判決は、その理由として、「クレジットカード会社」の一般的な語義にクレジットカード決済代行会社やクレジットカード決済代行サービス部門が含まれないこと、特許請求の範囲や明細書の記載にクレジットカード決済代行会社やクレジットカード決済代行サービス部門を含むことを示す記載がないことを挙げている。しかし、原判決は、発明の技術的意義を考慮することなく「クレジットカード会社」の意義を判断しており、その判断は誤りである。発明とは技術的思想であり(特許法2条1項)、特許権は技術的思想を保護するものであるから、本件発明における「クレジットカード会社」は、その技術的意義を重視して、「クレジットカード会社としての機能を有する主体(組織体)」と解釈すべきである。特に本件発明の「クレジットカード会社」のように、法的・社会的な属性を表す文言「会社」があってもそれは法人格を有する法的表現にすぎないのであるから、技術的な意味としては、法人格があると否とにかかわらず特定の機能を有する組織体の意味合いを有するものと理解されるべきである。そのように理解しないと、発明と全く同じ技術を実施しているにもかかわらず、発明の利用主体や当事者の法的・社会的属性を多少変更しただけで、特許権侵害の責任を回避できるといった不当な結論になる。これを防ぐためには、特に技術的意義を重視して解釈されなければならない。本件発明においては、本件明細書の段落【0016】の2段落目に「本スキームにおいて、クレジットカード加盟店10とクレジットカード会社30の間に、クレジットカード管理会社やクレジットカード決済代行会社を含んでよい」との記載があるとおり、本件発明を実施するに当たって、クレジットカード決済代行サービスをクレジットカード加盟店とクレジットカード会社の間に介在させるような実施形態が想定されている。このような実施形態の場合、クレジットカード決済代行サービスはクレジットカード会社と一体となって資金決済サービスを提供するものであるから、両者は機能上一体であり、クレジットカード決済代行サービスもクレジットカード会社としての機能を有する主体となる以上、クレジットカード決済代行サービスは本件発明における「クレジットカード会社」に含まれる。原判決が示す解釈の根拠として「特許請求の範囲の記載からは、『クレジットカード会社』がクレジットカード決済事業者のうちイシュアとアクワイアラのいずれを示すのかは一義的に明らかではないが、これがクレジット決済代行会社やクレジット決済代行サービス部門を含むことを示す記載はない。」、「明細書にはクレジットカード会社とクレジットカード決済代行会社を別の主体として明確に区別している」ことが挙げられている(原判決42~43頁)。しかし、本件発明においてはクレジット決済分野において知られているイシュア(カードの発行者)とアクワイアラ(クレジットカードの加盟店開拓を主たる役割として遂行する中心的な役割を担う。カード会社や決済代行会社がアクワイアラとして業務を遂行することが多い。)の存在を説明する必要がないから記載されていないのであって、それらの記載がないからといって原判決のようなクレーム解釈の根拠となるものではない。また、「明細書にはクレジットカード会社とクレジットカード決済代行会社を別の主体として明確に区別している」としても、前述のとおり本件明細書の段落【0016】においてクレジットカード決済代行会社が存在する実施例が開示されていることから、クレジットカード決済代行サービスとクレジットカード会社は機能上一体であると理解されるのであって、本件発明の「クレジットカード会社の情報処理サーバ」には「クレジットカード決済代行サービスの情報処理サーバ」を含むと解釈すべきことは明らかである。そして、被控訴人システムのAirペイはクレジットカード決済代行サービスの役割を有している(当事者間で争いがない。)から、Airペイは本件発明の「クレジットカード会社」に該当する。

2 「通信ネットワークで接続」という構成要件の充足性について

「通信ネットワークで接続」という構成要件の充足性について、原判決の判断(原判決44~47頁)には誤りがある。

⑴ クレーム解釈の誤り

原判決は、「通信ネットワークで接続」(構成要件A)との構成の意義について、ファンディング事業者が使用するサーバの償還管理部がクレジットカード会社のサーバに通知を行うことや本件システムがシステムの発明であることなどをもって、「ファンディング事業者が使用するサーバの償還管理部がクレジットカード会社のサーバに通知をすることができるように通信回線で接続されていることを意味する」と判示したが(原判決45頁)、原判決におけるクレーム解釈は、以下のとおり、技術常識にも明細書の記載にも反した独自の解釈であって明確な誤りである。ア 「通信ネットワーク」とは、データなどを伝送する通信網ないし加入者の端末を結ぶ電気通信回路網を意味する用語である(甲35・473頁)。その語義が示すとおり、様々な機器が網(ネット)状に相互に接続されていること、すなわち多点接続・多経路性を当然の前提とする概念であるから(甲36・369頁)、通常、単一の直接回線を意味しない。ましてや、原判決が認定したように、単一の直接回線のみに限定して理解されることはあり得ず、原判決のかかる認定は技術常識に明らかに反するものである。そうだとすれば、「通信ネットワークで接続」とは、コンピュータがスタンドアロンで(他のコンピュータと接続せず独立して)稼働していることを前提とする趣旨ではなく(甲35・367頁、甲36・347頁)、字義どおり、通信ネットワークを介して機器同士が接続されていれば足りると解すべきである。イ 本件明細書の段落【0028】には「クレジットカード決済取引の売上データの取得は、申請加盟店の指示を受けたクレジットカード管理会社又はクレジットカード決済代行会社から取得するものであってよい」として、クレジットカード加盟店の端末とファンディング事業者のサーバの間にクレジットカード決済代行会社等のサーバが存在する実施例が開示されている。すなわち、本件発明においては、このようなクレジットカード加盟店の端末とファンディング事業者のサーバの間に別の端末ないしサーバが介在する実施例を含めて「クレジットカード加盟店の端末装置・・・と通信ネットワークで接続されたファンディング事業者のサーバ」(構成要件A)としているのであって、「通信ネットワークで接続」に、他の機器を介在させて接続する場合が含まれるのは当然である。原判決が判示したように単一の直接回線で接続されていない限り「通信ネットワークで接続」に該当しないといったような判断は、本件明細書の記載にも反している。また、本件明細書の図2に示されるように、ファンディング事業者が使用するサーバの通信部105は、クレジットカード加盟店の端末装置から各データをいわばオンラインで送受信できるように通信ネットワークで接続したものである。そのため、本件発明の「通信ネットワークで接続」は、通常の意味においてオンラインでデータのやり取りができるような態様を示すものにすぎず、単一の直接回線で接続されていない限り「通信ネットワークで接続」に該当しないといった解釈に限定する根拠はない。ウ 原判決は、その解釈の根拠として、本件明細書の段落【0019】に「システム・センターのサーバ100は、ファンディング事業者のサーバとして使用され、クレジットカード加盟店の端末装置15及びクレジットカード会社の情報処理サーバ25と公衆回線網・専用回線等の通信ネットワークを介して接続され」との記載があること挙げている(原判決45頁)。しかしながら、上記の記載は「通信ネットワークで接続」を「単一の直接回線で接続」と解釈することの根拠にはなり得ない。むしろ「公衆回線網・・・等」という、様々な機器が網状に相互接続されていることを示す記載と矛盾しており、原判決は論理的整合性を欠くものである。エ なお、被控訴人は、ある中間機器を介してサーバ同士が接続されている場合について、「サーバ同士が通信ネットワークで接続されていると解するとすれば、インターネットに接続されているあらゆるサーバについて、サーバ同士が『通信ネットワークで接続』されていると解され得ることになり、妥当でない」と主張している。しかし、インターネットはコンピュータやネットワークが相互に接続されたものであるから(甲36)、インターネットに接続されたコンピュータ同士が通信ネットワークで接続されていることは当然である。オ したがって、「通信ネットワークで接続」とは、字義どおり、両サーバが通信ネットワークを介して接続されていれば足りると解釈すべきである。原判決のように直接の回線(両サーバ間に何も介在していないような回線)で接続されていない限り「通信ネットワークで接続」に該当しないかのような解釈は明らかな誤りであり、本件発明の「接続」について、本件明細書に記載のない「直接回線の接続」に限定して解釈されるべき理由は全くない(原判決のいう「通信回線で直接接続」(原判決46頁)の技術的意味は曖昧であり、技術常識を考慮してもその意味合いは不明である。)。

⑵ 被控訴人システムの認定の誤り

原判決は、被控訴人の主張を受けて「●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●」と判示した(原判決46頁)。しかしながら、原判決の上記事実認定は、以下の3点で誤りである。

第一に、原判決には被控訴人の主張のみに基づいて事実認定をした誤りが

ある。原判決が認定の根拠とした業務フロー図(乙17、18、23)はあくまで業務フローを示した図であって、システムの構成を示した設計図書ではないから、ネットワークで接続されているか否かというシステムの設計・態様を認定する根拠にはなり得ない。さらに、乙17を見ると、むしろ被控訴人システムにおける「●●●●●●●●」(ファンディング事業者が使用するサーバ)と「●●●●●●●」(クレジットカード決済代行サービスの情報処理サーバ)とが●●●●●●●●の線で繋がっており、AirペイのサーバとAirキャッシュのサーバが通信ネットワークで接続されていることが示されている。乙17のかかる記載は、原判決の被控訴人システムに関する前記の事実認定とは矛盾する。また、乙18や23にも原判決の事実認定を裏付ける記載はない。上記の事実認定における矛盾は、原判決が証拠に基づかずに被控訴人の主張に安易に依拠したからに他ならない。

第二に、迅速性、正確性及び秘匿性が求められる金融システムにおいて、

●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●という、処理の手間を増やし、かつ誤謬・不正のリスクを高める方法を合理的な理由なく採用しているとする被控訴人の主張は不自然である。また、精算の場面ではなく、利用申込みの場面においては、Airキャッシュの初回利用申込をする時点で、Airペイの利用IDと共通するAir IDでAirキャッシュにログイン可能であり(甲9、37)、初回ログイン後直ちに利用金額や引落率などが選択できるようになっている(甲9、37)とおり、加盟店の端末でAirキャッシュのサーバにアクセスした場合(この場合、加盟店の端末とAirキャッシュのサーバが通信ネットワークで接続されていることは自明である。)には、Airキャッシュのサーバが通信ネットワークを介してAirペイのサーバに接続し、同サーバの情報(Air IDやAirペイ加盟店におけるクレジットカード決済の売上情報等)を参照していることを裏付けている。この点は、乙17において、●●●●●●●●を起点に●●●●●●●●●●●●と●●●●●●●●●が、●●●●●●●●の線で繋がっていることとも整合している。

第三に、被控訴人がAirキャッシュのサービスを開始するに当たって出

願した特許発明(甲22)の明細書には、「資金提供管理サーバ10と、顧客端末20及び決済代行サービス管理サーバ30は、通信ネットワークNを介して接続されている。」(段落【0013】、図1)として、Airキャッシュのサーバ(資金提供管理サーバ10に対応)とAirペイ(決済代行サービス管理サーバ30に対応)がネットワークで接続されている旨の記載があり、「Airペイの情報処理サーバと被告サービスのサーバは、通信回線で直接接続されていない」旨の被控訴人の主張とは全く整合しておらず、この点でも不自然である。原判決は、控訴人らの主張及び文書提出命令の申立てを一切考慮しない一方で、被控訴人の主張を裏付ける証拠がないにもかかわらず漫然と被控訴人の主張のとおりの事実認定を行ったが、これは明白な事実誤認である。被控訴人システムを認定するに当たっては、文書提出命令申立書に記載されているような被控訴人システムの設計図書に基づき、客観的に判断されなければならない。

⑶ 構成要件の当てはめに関する判断の誤り

原判決は、上記のクレーム解釈及び被控訴人システムの認定に基づき、「●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●」と判示した(原判決46頁)。しかしながら、被控訴人システムにおいては、Airペイの情報処理サーバと通信ネットワークで接続されたAirキャッシュが使用するサーバが存在しているから、被控訴人システムはクレジットカード会社の情報処理サーバと通信ネットワークで接続されたファンディング事業者が使用するサーバの構成を有しているといえ、原判決は誤りである。仮に、原判決の「●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●」という被控訴人システムの認定を前提としても、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●いずれにせよ原判決の判断は誤りである。原判決は、「●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●」などと、当事者が一切主張していないあてはめを行っているが、サーバが通信ネットワークで接続されているか否かという点(通信経路の問題)と、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●は別次元の問題である。被控訴人システムにおいて、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●は、サーバを含むシステムである以上あり得るとはいえ、そのようなアクセスがあることと両サーバが通信ネットワークで接続されていることとは全く関係がない。この点を混同して上記判断をした原判決には明らかに誤りがある。

3 「クレジットカード会社」という文言(構成要件Aほか)についての均等の

主張

⑴ 「クレジットカード会社」について

本件発明の構成要件A、D、F及びGにおける「クレジットカード会社」の文言に対し、これに対応する被控訴人システムの構成が「クレジットカード決済代行サービス」であったとしても、以下のとおり、本件発明と被控訴人システムは均等であり、被控訴人システムは本件発明の技術的範囲に属する。

⑵ 均等の第1要件

ア 特許法が保護しようとする発明の実質的価値は、従来技術では達成し得なかった技術的課題の解決を実現するための、従来技術に見られない特有の技術的思想に基づく解決手段を、具体的な構成をもって社会に開示した点にあるから、明細書の特許請求の範囲に記載された構成のうち、当該特許発明特有の解決手段を基礎付ける技術的思想の中核をなす特徴的部分が特許発明における本質的部分であると理解すべきである。そして、上記本質的部分は、特許請求の範囲及び明細書の記載に基づいて、特許発明の課題及び解決手段とその効果を把握した上で、特許発明の特許請求の範囲の記載のうち、従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分が何であるかを確定することによって認定されるべきである。すなわち、特許発明の実質的価値は、その技術分野における従来技術と比較した貢献の程度に応じて定められることからすれば、特許発明の本質的部分は、特許請求の範囲及び明細書の記載、特に明細書記載の従来技術との比較から認定されるべきであり、そして、①従来技術と比較して特許発明の貢献の程度が大きいと評価される場合には、特許請求の範囲の記載の一部について、これを上位概念化したものとして認定され、②従来技術と比較して特許発明の貢献の程度がそれ程大きくないと評価される場合には、特許請求の範囲の記載とほぼ同義のものとして認定されると解される。イ 本件発明の出願(平成25年4月10日)から本件発明を実施したセゾンのサービス(甲8参照)が提供されるまで同様のサービスは存在しておらず、2015年(平成27年)3月30日時点でも「クレジットカード会社をかまして、将来債権の譲渡を行う本件の取引はFSAとしても初めて検討するスキームであり」(甲23・2頁)とされるとおり、未確定の将来のクレジット債権を用いてクレジットカード加盟店に資金を提供するシステムは全く存在していなかった。したがって、本件発明はいわゆるパイオニア発明であるから、本件発明の技術的な本質的部分を認定するに当たっては、特許発明を上位概念化し、広く解釈することが許されるというべきである。ウ 本件明細書の記載によれば、本件発明は、クレジットカード利用の売掛金の決済がなされるまで手元資金が不足するクレジットカード加盟店への資金提供方法に関して(段落【0003】)、従来的な売掛債権のファクタリング等では①加盟店の売上状況等の変化によりクレジット債権が買い取られないケースがある、②定額返済のため返済時に手元資金が不足するといった技術背景において(段落【0005】)、一定期間の売上実績に基づく未確定の将来クレジット債権を債券化して、無担保で加盟店の短期的な売上高の変動に影響されない、クレジットカード加盟店へのファンディングシステムを提供する(段落【0007】)必要があったという課題に対し、本件発明を解決手段として(段落【0008】)、クレジットカード加盟店に①’売上高の変動の影響を受けることなく手元流動性資金を潤沢に確保させ、②’返済(償還)時に売上の変動による影響を抑制させることを目的としている(段落【0010】)。そして、本件発明のうち、上記の背景技術に基づく課題の解決や、効果を奏するために重要なのは、(i)未確定の将来クレジットカード債権の買い取りを用いた資金提供のシステムであって(構成要件A)、(ii)クレジットカード加盟店の一定期間のクレジットカード決済取引売上高と債券化割合を用いて、回収可能な将来の一定期間における買取債権価額を決定する構成(構成要件C)と、(iii)一定期間ごとに、確定したクレジットカード決済高と債権化割合を用いて償還金額を算出することで、確定した債権から一定割合ずつ提供した資金を回収するという構成(構成要件D)を有している点にあるから、当該部分が従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分であり、本件発明の本質的部分である。エ これに対し、被控訴人システムも、(i)未確定の将来クレジットカード債権の買い取りを用いた資金提供のシステムであって(原判決9頁、甲9・8頁)、(ii)クレジットカード加盟店の一定期間のAirペイの決済高(=クレジットカード決済取引売上高)と引落率(=債券化割合)を用いて、回収可能な将来の一定期間における本サービス引落総額(=買取債権価額)を決定する構成(甲22)と、(iii)一定期間ごとに、確定したAirペイ決済高(クレジットカード決済高)と引落率(債権化割合)を用いて償還金額を算出することで、確定した債権から一定割合ずつ提供した資金を回収するという構成(甲15)を有しており、本件発明の本質的部分を備えている。オ 一方で、クレジットカード会社であるかクレジットカード決済代行サービスであるかの差異は、クレジットカード会社であるか、その一部の業務ないし機能を代行する組織であるかという主体の差異にすぎず、技術的な事項ではない上、その役割も異なるところがないから、明らかに非本質的部分である。カ したがって、被控訴人システムは、均等の第1要件を充足する。

⑶ 均等の第2要件

前述のとおり、本件発明は①クレジットカード加盟店に売上高の変動の影響を受けることなく手元流動性資金を潤沢に確保させ、②返済(償還)時に売上の変動による影響を抑制させることができるという効果を奏する。これに対し、被控訴人システムにおいても、クレジットカード加盟店にファンディングシステムを提供することにより、①’クレジットカード加盟店に売上高の変動の影響を受けることなく手元流動性資金を潤沢に確保させ、

②’返済(償還)時に売上の変動による影響を抑制させるという、本件発明

の効果を達成できている(甲9・2頁)。すなわち、本件発明のうち、「クレジットカード会社」という構成を、被控訴人システムのようにクレジットカード決済代行サービスと置き換えたとしても、被控訴人システムは本件発明と同一の作用効果を奏しているから、被控訴人システムは、均等の第2要件を充足する。

⑷ 均等の第3要件

クレジットカード決済代行サービスは遅くとも1990年代には存在しており(甲30)、被控訴人システムがリリースされた当時、クレジットカード決済代行サービスの存在は一般的になっていた。また、本件明細書においても、クレジットカード決済代行会社をシステムに含む実施形態が示唆されている(段落【0016】、【0028】)。そのため、少なくとも侵害時において、本件発明のうち「クレジットカード会社」という構成を、被控訴人システムのようにクレジットカード決済代行サービスと置き換えることは、平均的な当業者であれば容易に想到することができる。したがって、被控訴人システムは、均等の第3要件を充足する。

⑸ 均等の第4要件

被控訴人システムは、本件発明の特許出願時である2013年(平成25年)4月10日における公知技術と同一又は当業者が容易に推考できたものではない。したがって、被控訴人システムは、均等の第4要件を充足する。

⑹ 均等の第5要件

被控訴人システムの構成を本件発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外するなどの特段の事情はない。なお、本件明細書の段落【0016】、【0028】にはクレジットカード決済代行会社についての記載があるものの、その趣旨はクレジットカード決済代行会社がクレジットカード会社の存在を前提に、その機能を代行しても良い旨を述べたものであって、クレジットカード会社の範囲から意識的に除外したものではないことは明らかである。したがって、被控訴人システムは、均等の第5要件を充足する。

4 「通信ネットワークで接続」という文言(構成要件A)についての均等の主

張

⑴ 「通信ネットワークで接続」について

本件発明の構成要件Aにおける「(クレジットカード会社の情報処理サーバと)通信ネットワークで接続」の文言に対し、これに対応する被控訴人システムの構成が、「●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●」、というものであったとしても、以下のとおり、本件発明と被控訴人システムは均等であり、被控訴人システムは本件発明の技術的範囲に属する。

⑵ 均等の第1要件

被控訴人システムが本件発明の本質的部分を備えていることは前述のとおりである。一方で、直接の通信回線で接続されているか、●●●●●●●●という仲介的な機器を含む通信ネットワークで接続されているかは、通知等のデータや信号を送受信するための(迂回)経路の差異にすぎない。仲介的な機器を含む通信ネットワークを用いていたとしても、通信ネットワークを介して情報を送受信できる環境であることに変わりはないから、明らかに非本質的部分である。このことは、本件明細書の段落【0028】にクレジット債権に関する情報をクレジットカード決済代行会社等から取得するという、仲介的な機器が存在する構成が開示されていることからも裏付けられる。したがって、被控訴人システムは、均等の第1要件を充足する。

⑶ 均等の第2要件

本件発明のうち、直接の通信回線で接続という構成を、仲介的な機器の存在する通信ネットワークで接続という構成に置き換えたとしても、被控訴人システムは前述のような作用効果を奏している(加えてデータの送受信もできている。)から、被控訴人システムは、均等の第2要件を充足する。

⑷ 均等の第3要件

被控訴人システムがリリースされた当時、通信ネットワークに仲介的な機器が存在することは常識であるから(甲35、36)、仲介的な機器の存在する通信ネットワークでサーバを接続することは平均的な当業者であれば、容易に想到できる。したがって、被控訴人システムは、均等の第3要件を充足する。

⑸ 均等の第4要件

被控訴人システムは、本件発明の特許出願時である2013年(平成25年)4月10日における公知技術と同一又は当業者が容易に推考できたものではない。したがって、被控訴人システムは、均等の第4要件を充足する。

⑹ 均等の第5要件

被控訴人システムの構成を本件発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外するなどの特段の事情はない。したがって、被控訴人システムは、均等の第5要件を充足する。

5 「将来クレジット債権の買取債券の額面」の設定方法(構成要件C)につい

ての均等の主張

⑴ 被控訴人システムの認定に当たっては、●●●●●●●●●●●●●●●

●●●●●●●●●●●●●●●●を含めていない。なぜならば、その点を考慮しても、本サービス引落総額をAirペイの引落対象期間の決済高に引落率を乗じて算出していることに変わりはないからである。もっとも、原審は構成要件Cに対応する被控訴人システムの構成について、全く認定をしていない。そこで、以下では、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●を踏まえて、構成cが以下のc’のように認定され、構成要件Cを充足しないと判断された場合に備え、その場合であっても被控訴人システムが本件発明と均等であることを主張する。「c’:●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●に引落率を乗じて本サービス引落総額を設定して、これらをデータベースに保存する債権化パターン設定部と、」

⑵ 均等の第1要件

被控訴人システムが本件発明の本質的部分を備えていることは前述のとおりである。前述のように構成c’を認定した場合、構成要件Cと被控訴人システムの構成c’とでは、買取債券の額面を設定するために債券化割合を乗じる対象(構成要件C)、本サービス引落総額を設定するために引落率を乗じる対象(構成c’)が、「該債券化対象期間に対応する前年度期間の実績クレジットカード決済取引売上高」(構成要件C)であるか、「●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●」(構成c’)であるかという相違点が生じる。もっとも、この点は、将来のクレジットカード取引による売上を予測するための具体的な計算方法の差異にすぎないから、本件発明の本質的部分ではない。すなわち、上記の差異は、本件発明が過去の売上実績をそのまま用いて将来の売上予測を行って将来クレジット債権の買取債券の額面を算出するのに対し、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●、という具体的な計算方法の差異にすぎず、過去の売上から将来の売上を予測して回収可能な将来の一定期間における買取債権価額を決定するという技術思想は同一であるから、当該差異は非本質的部分における差異である。したがって、被控訴人システムは、均等の第1要件を充足する。

⑶ 均等の第2要件

本件発明に関し、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●構成に置き換えたとしても、被控訴人システムは前述のような作用効果を奏しているから、被控訴人システムは、均等の第2要件を充足する。

⑷ 均等の第3要件

被控訴人システムがリリースされた当時、●●●●●●●●●●●●●●●●●●は一般的に行われていた(甲38)から、当該構成は平均的な当業者であれば容易に想到できる。

⑸ 均等の第4要件

被控訴人システムは、本件発明の特許出願時である2013年(平成25年)4月10日における公知技術と同一又は当業者が容易に推考できたものではない。したがって、被控訴人システムは、均等の第4要件を充足する。

⑹ 均等の第5要件

被控訴人システムの構成を本件発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外するなどの特段の事情はない。したがって、被控訴人システムは、均等の第5要件を充足する。

6 「月間」、「当月」(構成要件D)についての均等の主張

⑴ 控訴人らは、被控訴人システムにおいては引落金額の償還が1月を3期又

は6期に分割した期間ごとに行われているという被控訴人の主張を踏まえても、被控訴人システムが本件発明の構成要件Dを充足していると主張した。もっとも、原審はこの点に関する判断をすることなく控訴人会社の請求を棄却した。そこで、控訴人会社は、引落金額の償還が1月を3期又は6期に分割した期間ごとに行われているとしても、少なくとも被控訴人システムが本件発明と均等であることを主張する。

⑵ 均等の第1要件

被控訴人システムが本件発明の本質的部分を備えていることは前述のとおりである。一方で、引落金額の償還が1月ごとか、1月を3期又は6期に分割した期間ごとかは、1月における償還回数を1回とするか複数回とするかという1か月間における回収の頻度の問題にすぎず、明らかに非本質的部分である。したがって、被控訴人システムは、均等の第1要件を充足する。

⑶ 均等の第2要件

本件発明に関し、引落金額の償還を1月を3期又は6期に分割した期間ごとにする構成に置き換えたとしても、被控訴人システムは前述した本件発明と同様の作用効果を奏しているから、被控訴人システムは、均等の第2要件を充足する。

⑷ 均等の第3要件

1月における引落金額の償還を1回とするか複数回とするかは回収の頻度の問題にすぎず、本件システムがリリースされた当時、当該構成は平均的な当業者であれば容易に想到できるから、被控訴人システムは均等の第3要件を充足する。

⑸ 均等の第4要件

被控訴人システムは、本件発明の特許出願時である2013年(平成25年)4月10日における公知技術と同一又は当業者が容易に推考できたものではない。したがって、被控訴人システムは、均等の第4要件を充足する。

⑹ 均等の第5要件

被控訴人システムの構成を本件発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外するなどの特段の事情はない。したがって、被控訴人システムは、均等の第5要件を充足する。

7 「通知」について(構成要件F及びG)の均等の主張

⑴ 控訴人らは、構成要件F及びGに対応する被控訴人システムの構成につき、

●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●という被控訴人の主張を踏まえても、被控訴人システムが構成要件F及びGを充足していることを主張した。すなわち、①本件発明が(i)(前記償還金額累積額と前記債権買取債券の額面額が一致したと判断した場合、)前記債権買取債券の償還の終了を(クレジットカード会社の)情報処理サーバに通知し(構成要件F)(ii)(一致していないと判断した場合)償還期間の延長を(クレジットカード会社の)情報処理サーバに通知する(構成要件G)のに対し、②被控訴人システムが、(i)(前記引落金額累積額と前記本サービス引落総額が一致したと判断した場合、)●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●(構成f)、(ii)(一致していないと判断した場合)、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●(構成g)としても、被控訴人システムは、本件発明の構成要件F、Gを充足している。もっとも、原審はこの点に関する判断をすることなく控訴人らの請求を棄却した。そこで、控訴人らは、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●としても、少なくとも被控訴人システムが本件発明と均等であることを主張する。

⑵ 均等の第1要件

被控訴人システムが本件発明の本質的部分を備えていることは前述のとおりである。上記のように被控訴人システムの認定を行った場合、本件発明と被控訴人システムとでは、(a)サーバ間で送受信される情報の内容が終了・延長の通知か、●●●●●●●●●●か、(b)送受信が直接行われるか、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●という点が一応差異となり得る。もっとも、これらの差異は、(a)送受信される電子情報の形式と、(b)送受信される電子情報の伝達経路の差異にすぎない。すなわち、上記のような差異があったとしても、(a)償還の終了・延長の判断結果となる情報を、(b)(ファンディング事業者の)サーバが発信し、(クレジットカード会社の情報処理)サーバが受信するという技術思想は同一であるから、当該差異は非本質的部分における差異である。したがって、被控訴人システムは、均等の第1要件を充足する。

⑶ 均等の第2要件

本件発明の構成を、前述の被控訴人システムの構成に置き換えたとしても、被控訴人システムは前述のような作用効果を奏しており、加えて償還の終了・延長も実際にできているから、被控訴人システムは均等の第2要件を充足する。

⑷ 均等の第3要件

サーバ間の通知の構成を、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●に置き換えたとしても、本件システムがリリースされた当時、当該構成は平均的な当業者であれば容易に想到できるから、被控訴人システムは均等の第3要件を充足する。

⑸ 均等の第4要件

被控訴人システムは、本件発明の特許出願時である2013年(平成25年)4月10日における公知技術と同一又は当業者が容易に推考できたものではない。したがって、被控訴人システムは、均等の第4要件を充足する。

⑹ 均等の第5要件

被控訴人システムの構成を本件発明の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外するなどの特段の事情はない。したがって、被控訴人システムは、均等の第5要件を充足する。

8 均等主張の結論

上記3ないし7のとおり、本件特許の特許請求の範囲に記載された構成中に被控訴人システムと異なる部分が存在するとしても、その部分は、いずれも均等の第1~第5要件を充足するから、被控訴人システムは、特許請求の範囲に記載された構成と均等なものとして、本件発明の技術的範囲に属する。〔控訴人Xの主張〕

1 営業秘密についての原判決の判断の誤り

⑴ 利息制限法に関する判断

原判決は、本件情報1に関し、金融庁での法令適用事前確認手続に係る甲6照会書や甲23議事録に利息制限法の記載がないことを理由として、「『将来債権の買取手数料が利息制限法上の利息に該当するか否か』に関しては、そもそも何ら照会及び回答がされた事実が認められない」と判示した(原判決49頁)。しかしながら、将来クレジット債権の譲渡による資金提供が貸金業法上の「貸付け」に該当する場合には当然に利息制限法が適用されるのであるから、甲23議事録の「貸金業法上の『貸付け』には該当せず、従って貸金業法の適用は受けないものと考える」との金融庁の回答は、「将来債権の買取手数料が利息制限法上の利息に該当しない」との回答と同義である。したがって、上記金融庁の回答は、利息制限法に係る事項についての照会・回答が存在することを裏付けるものに他ならない。当該金融庁の回答が存在するにもかかわらず、営業秘密の存在を認めなかった原判決は誤りである。

⑵ 金融庁の回答がファンディングサービス一般についての回答であるか否

かの判断原判決は、本件情報1に関し、貸金業法2条1項本文の「貸金業」の該当性判断は実質的に検討すべきとの前提の下、本件の金融庁の回答(甲23)が、セゾンが送付した契約書の内容に基づいて判断されていることをもって、「『未確定の将来クレジット債権の買い取りによるクレジットカード加盟店への無担保のファンディングを行う事業』という概括的な事業全般に関して『貸金業法上の貸金業者としての登録が必要であるか否か』の照会及び回答がされた事実が認められない」(原判決49頁)と判示した。しかしながら、金融庁がセゾンの契約書を確認して回答を行ったのは、「こちらから1点質問をさせていただきたい。通常のファクタリングとは異なり、クレジットカード会社をかまして、将来債権の譲渡を行う本件の取引はFSAとしても初めて検討するスキームであり、そうであるからこそ、契約書の内容を含め、細かい点までつめさせていただいたが、本件と同様のスキームが他社においても用いられる可能性はあるか。」(甲23)との回答のとおり、前例がないスキームの全体像(当該スキームを実施する場合、一般的にどのような内容になるのか)を知る必要があったからである。甲23議事録の金融庁の回答は、セゾンのサービスという個別事例の適法性について回答したものではなく、セゾンのサービスを基にスキーム一般について検討した結果を回答したものであり(ノーアクションレターが公開されるのも、その回答がある程度一般化できるからである。)、これに反して「事業全般に関して『貸金業法上の貸金業者としての登録が必要であるか否か』の照会及び回答がされた事実が認められない」(原判決49頁)と判示した原判決は明らかに誤りである。

2 営業秘密の使用についての原判決の認定及び判断の誤り

⑴ 原判決は、

「決済代行サービスであるAirペイを前提とする点(・・・)、利用規約上、Airペイ加盟店の故意又は過失等に基づきAirペイ加盟店の売上が不発生となった場合には、被告から契約を解除することができ、Airペイ加盟店に対して、既に振込を完了した譲渡対価の全額の返還を求めることができるとされている点(・・・)で、本件情報のファンディング事業と相違」するとして、被控訴人による控訴人Xの営業秘密の使用を認めなかった(原判決52頁)。しかしながら、Airペイのような決済代行サービスを介在させるか否かは、本件情報との関係では付加的な要素の差異にすぎない。また、被控訴人サービスにおいては、加盟店から回収できる例外的な場合を「本サービス利用者の故意又は過失に基づき、本サービス利用者の売上げがチャージバック、解除、取消し、無効その他の事由により不発生となった場合」(甲13・7条1項⑽)」に限定しているのであるから、将来債権が発生せず提供資金が回収不可能になった場合であっても、例外的な場合を除いて将来債権の買戻等の義務を定めて加盟店から資金を回収しないという本件情報2の核心部分を使用している。したがって、本件情報のファンディング事業と被告サービスの同一性を認めず、被控訴人による営業秘密の使用も認めなかった原判決の判断は誤りである。

⑵ なお、原判決は、

「セゾンのサービスは被告サービスの約5年前に提供が開始され、その内容は公知となっていたのであるから・・・被告は、セゾンのサービスが適法であることを一応の前提として被告サービスの法律上の問題について検討することができたはず」として、被控訴人が金融庁への意見照会を行っていないことも不自然ではないと判示する。しかしながら、セゾンのサービスについては、被控訴人が見解を求めた法律事務所が「①貸金業にぎりぎり当たらない線での企画をされているのか、

②貸金業に当たったとしても貸金業者として問題のない運用をしているので

はないか」(乙4の1・37頁)、「規約の具体的な条項を確認しない限り①②のいずれとも判断できない」(乙4の2・3頁)と回答しているとおり、被控訴人は、被控訴人サービス自体の法律上の問題を検討するに当たって、セゾンのサービスが適法であることを一応の前提としていない。したがって、かかる判示は証拠の記載に反する以上、誤りである。

第4 当裁判所の判断

当裁判所も、控訴人らの請求は理由がないからいずれも棄却すべきであると

判断する。その理由は、当審における控訴人らの主な補充主張も踏まえ、次の

とおり補正し、後記2のとおり当審における控訴人会社の「クレジットカード

会社」という文言の解釈についての補充主張に対する判断、後記3のとおり当

審における控訴人会社の均等の補充主張に対する判断及び後記4のとおり当審

における控訴人Xの補充主張に対する判断を付加するほかは、原判決の第3の

ないし3(原判決29頁20行目ないし53頁20行目)に記載のとおりで

あるから、これを引用する。

⑴ 原判決44頁25行目から46頁23行目までを削る。

⑵ 原判決46頁24行目の「ウ」を「イ」と改め、同47頁1行目の「構成

を有しておらず」から同頁4行目末尾までを「構成を有していない。」と改め

る。

⑶ 原判決47頁7行目末尾の後に行を改めて次のとおり加える。

「⑶ 争点1-4(構成要件Cの充足性)について

ア 構成要件Cは、

『前記クレジットカード加盟店のクレジットカード決

済取引による売上データを用いて、前記クレジットカード加盟店のク

レジットカード決済取引による一定期間の実績クレジットカード決済

取引売上高を計算し、前記クレジットカード加盟店において将来発生

すると予測されるクレジット債権を債券化する対象期間を設定して、

該債券化対象期間に対応する前年度期間の実績クレジットカード決済

取引売上高に債券化割合を乗じて将来クレジット債権の買取債券の額

面を設定して、これらをデータベースに保存する債権化パターン設定

部と、』とされており、構成要件Cにいう債権化パターン設定部は、①

クレジットカード加盟店のクレジットカード決済取引による売上デー

タを用い、②その決済取引による一定期間の実績クレジットカード決

済取引売上高を計算し、③債券化対象期間を設定し、④その債券化対

象期間に対応する前年度期間の実績クレジットカード決済取引売上高

に債券化割合を乗じて将来クレジット債権の買取債券の額面を設定し、

⑤これらをデータベースに保存するものであることが明らかである。

そして、そこにいう将来クレジット債権の買取債券の額面は、後にこ

れと償還金額累積額と一致するかが判断の対象となり(構成要件E)、

その結果が一致する場合に償還が終了する(構成要件F)こととなる

ものである。

これを被控訴人システムについてみると、補正の上で引用した原判

決第2の2⑺アのとおり、後に償還金額累積額と対比され償還の終了

の可否を決することとなる、本件発明の将来クレジット債権の買取債

券の額面に対応する金額は、利用金額と手数料を合計した引落総額(本

サービス引落総額)であるところ、被控訴人システムにおける引落総

額は、加盟店が利用金額と引落率を選択することにより計算されるも

のであり、その際に上記③にいう債券化対象期間は設定されていない。

加えて、控訴人が被控訴人システムにおいて債券化対象期間に当たる

として主張する引落開始日から引落終了月(目安)までの期間の長さ

は、上記利用金額と引落率を選択することにより定まるものである。

この点は、補正の上で引用した原判決第2の2⑺ア(エ)のとおり、将来

クレジット債権の買取債券の額面(引落総額)は、加盟店が同じ利用

金額を選択しても、異なる引落率を選択すると、異なる引落総額が決

まること(引落率40%を選択した場合は引落総額78万5960円、

%を選択した場合は引落総額73万8360円となる。)、控訴人

らが債券化対象期間に当たるとする引落開始日から引落終了月(目安)

までの期間の長さも、引落率を40%を選択した場合には2022年

月20日から2022年11月までと表示され、引落率を85%を

選択した場合には2022年4月20日から2022年7月までと表

示され、いずれも異なることからも明らかである。

このように、被控訴人システムにおいて、将来クレジット債権の買

取債券の額面に対応する金額は、債券化対象期間を設定し、その期間

に対応する前年度期間の実績クレジットカード決済取引売上高に、債

券化割合を乗じて設定されるものではない。

したがって、被控訴人システムは構成要件Cを充足しない。

イ 控訴人会社の主張に対する判断

控訴人会社は、補正の上で引用した原判決第2の4⑴エのとおり、

Airペイのアプリケーションの設定画面に表示される引落開始日か

ら引落終了月(目安)までの期間が債券化対象期間であり、当該期間

に引落しが行われるから構成要件Cを充足する旨主張する。しかし、

上記のとおり、被控訴人システムにおける引落総額は、加盟店が利用

金額と引落率を選択することにより計算され、引落開始日から引落終

了月(目安)までの期間の長さは、上記利用金額と引落率を選択する

ことにより定まるものであって、債券化対象期間が設定され、将来ク

レジット債権の買取債券の額面に対応する金額が、債券化対象期間に

対応する前年度期間の実績クレジットカード決済取引売上高に債券化

割合を乗じて設定されるものではない。そのため、被控訴人システム

は構成要件Cを充足しない。

したがって、控訴人会社の上記主張は、採用することができない。

ウ 小括(争点1-4)

上記によれば、被控訴人システムは構成要件Cを充足しない。」

⑷ 原判決47頁8行目の「⑶」を「⑷」と改める。

⑸ 原判決48頁4行目の「そこで検討すると」を以下のとおり改める。

「控訴人Xの主張する営業秘密に関し、控訴人Xは、これを『長期間に亘る

金融庁への照会を経て獲得した』、『私とクレディセゾンがかけた5年に及ぶ

調査』

(控訴人Xの陳述書、甲3)の結果取得したものであるなどとするとこ

ろ、それら照会及び調査の結果などの情報獲得の経緯を含め、営業秘密に係

る情報の存在及びその内容を特定し得る客観的証拠は一切提出されていない。

控訴人Xが証拠として提出する甲6照会書及び甲23議事録は、いずれもビ

ッグパートナーやセゾンが行ったとする照会や会合等に係る書証であり、こ

れらに控訴人Xの関与は記されていないから、これらを通じて獲得された情

報が、控訴人Xの営業秘密となると直ちには認められないところである。控

訴人Xは、『平成23年に原告Xが株式会社ビッグパートナーを通して金融

庁に照会をしていたが、その後株式会社ビッグパートナーが離脱し、原告X

と訴外セゾンにおいて金融庁と調整を続けていた』(原審における令和7年

月28日付け原告第3準備書面5頁)とも主張するところ、控訴人Xとビ

ッグパートナーとの委任関係を証する証拠も提出されておらず、ビッグパー

トナーが照会をしたことを証するとする甲6照会書には日付けも記載されて

おらず、受理印等もないから、実際の照会を行った書面とは認め難く、ビッ

グパートナーの離脱の時期やその理由、離脱後の守秘義務の遵守についての

証拠も提出されていない。

甲23議事録(平成27年3月30日にセゾンが弁護士を同道して金融庁

を訪問した際の議事録)についてみても、金融庁側が『本件は平成23年に

ビッグパートナーから始まって足かけ4年間かかっているが、ビッグパート

ナーとの話も含めて、本件はこれをもって終了という理解でよいか。』と質問

したのに対し、セゾンは『ご理解のとおりである。本件はビッグパートナー

ではなく、CS(判決注:クレディセゾン)を事業者とするものであり、ビ

ッグパートナーは関係していない。X′氏(判決注:控訴人X)とCSのチ

ームとしては終了とご理解いただいて構わない。』と回答しており、むしろこ

れら情報が営業秘密に当たるとした場合には、その帰属先はセゾンであると

解するのが自然であって、その旨は、セゾンの『今回、ノーアクションレタ

ー(判決注:金融庁の見解取得方法が、口頭による回答ではなく、書面によ

るもの。ノーアクションレターの取得には、見解取得の前提となる契約書を

準備して照会書を作成し、それら書類が整って後、回答まで1か月以上を要

するほか、ノーアクションレターの申請をすると、金融庁としての最終回答

が出るまで、その事業を開始することが禁止される。事業を開始してからで

はノーアクションレターの申請をすることはできない。甲31)ではなく、

口頭での確認という形をとらせていただいたのは、それによって、CSがス

タートダッシュを切るという意味もあった。』との発言や、そもそもノーアク

ションレターではない方法を取ることとしたのも、平成27年1月27日に

セゾンが金融庁を訪問した際に、金融庁からの見解の取得方法には、口頭と

ノーアクションレターの二つの方法があることを確認し、そのいずれを取る

かをセゾンの社内コンセンサスにより決定し、口頭回答の方法を採る場合に

は弁護士同席のもと議事確認書面を作成し、これをもってセゾンの社内決済

手続のエビデンスとすることが検討対象とされたこと、これらに控訴人Xが

関与している旨の記載が一切なく、関与したことを裏付ける証拠も提出され

ていないことにも表れている。

そして、これらに係る情報が、控訴人Xの保有する営業秘密となるに至っ

たことを裏付ける証拠は提出されておらず、セゾンと控訴人会社との業務提

携契約(甲4)、セゾンと控訴人Xが代表を務めるとする訴外香港法人のAC

FL(Asia Commercial Funding Ltd.)との間の相互守秘義務契約書(甲3

)においても、甲23議事録に示されたような金融庁とセゾンとのやり取

りが、控訴人Xの営業秘密となることに関する規定はないから、控訴人Xが

これらを知り得たとした場合には、保有者であるセゾンから開示を受けた受

領者の立場(業務提携契約書(甲4)第3.6条の1.)にあるものと解する

のがむしろ自然である。

また、控訴人Xは、本件情報について、

『本件情報を自身のPC、自宅の書

棚及び記憶上でのみ管理していた』(補正の上で引用した原判決第2の4⑶

ア(控訴人Xの主張)(イ))とするところ、控訴人Xが主張する本件情報自体、

原判決別紙営業秘密目録1及び2記載のとおり極めて抽象的な内容であって、

秘密に係る情報内容の特定性にも疑義があり、アクセス制限の方法等を含む

管理の態様が秘密管理性を満たすものであることが具体的に明らかにされて

いないことに加え、管理の対象が明確でないことからしても、秘密として管

理されていたとは認められない。

本件情報の有用性に関しても、平成27年末までに取得したとするこれら

情報について、被控訴人子会社がセゾンを通じて最初に取得したとする令和

元年12月23日の時点においても、なお有用性を有する情報であったのか

について、何らの立証もない。むしろ、前記甲23議事録には、金融庁から

『本件と同様のスキームが他社においても用いられる可能性はあるか。』と

の質問に対し、セゾンから『現時点において同様のスキームが用いられてい

る例はないと思うが、本件のスキームは、他社であっても実行可能である。

・・・

Eコマースのモールを運用している楽天やアマゾンのような企業であれば資

金力があるので、CSの本件ビジネスがうまくいっていることを確認すれば、

参入は容易だと思う。』との回答があったこと、平成28年5月頃にセゾンは

セゾンのサービスを開始したこと(補正の上で引用した原判決第2の2⑸ア)

を踏まえれば、甲23議事録記載の金融庁訪問による協議が行われた平成2

年3月30日の時点においてはこれら情報が仮に有用であり非公知であっ

たとしても、令和元年12月までの時点において、他社が同種問い合わせを

している可能性は十分にあり、金融庁の回答は、第三者が同じ質問をすれば

同趣旨の回答をするのが通常であり、金融庁訪問から4年半以上が経過し、

平成28年5月頃に開始したセゾンのサービスが特段の法的問題が指摘され

ることもなく順調に推移していたとみられることを踏まえれば、令和元年1

月23日の時点において、本件情報がなお有用であるとも、非公知である

とも考えにくいということができる。

さらには、補正の上で引用した原判決第2の2⑸ウのとおり、セゾンは、

被控訴人子会社から、令和2年2月の初旬には、開示が適当でない営業秘密

の開示は行わないよう求められており、それ以前のセゾンとの交渉当初から、

被控訴人独自のシステムを導入する検討が既に進められていることを告げら

れていて、セゾンはこれらを承知の上で被控訴人子会社と交渉を続けたので

あるから、セゾンが仮に控訴人Xの保有する営業秘密を有していたとしても、

それを被控訴人子会社に開示したとは考え難いし、セゾンが被控訴人子会社

に控訴人Xの保有する営業秘密を開示したのであれば、それはまさにセゾン

が控訴人会社との業務提携契約(甲4)と抵触する行為をすることになると

ころ、セゾンが控訴人らに対し、控訴人Xの営業秘密に当たる情報を開示し

たことを告げる旨の証拠は提出されていないから、この点からしても、セゾ

ンが被控訴人子会社に本件情報を開示したことが事実であるとするには大き

な疑問があるというべきである。

これらをひとまず措くとしても」

⑹ 原判決48頁5行目の「9月付けで」を「9月(『9月 日』として、日

付けが入る2文字分のスペースがあるが、日付けは記載されていない)に」

と改める。

⑺ 原判決50頁17行目の「セゾンに対し、」の次に「以前の打合せでも伝え

たとおり、」を、同頁20行目の「あること」の次に「、情報の開示の際に秘

密該当性が問題となるものについては秘密対象であることを明示するよう求

めること」をそれぞれ加える。

当審における控訴人会社の「クレジットカード会社」という文言の解釈につ

いての補充主張に対する判断

控訴人会社は、前記第3〔控訴人会社の主張〕1のとおり、クレジットカー

ド決済代行サービスはクレジットカード会社と一体となって資金決済サービ

スを提供するものであるから、両者は機能上一体であり、クレジットカード決

済代行サービスもクレジットカード会社としての機能を有する主体となる以

上、クレジットカード決済代行サービスは本件発明における『クレジットカー

ド会社』に含まれる旨を主張する。

しかし、補正の上で引用した原判決第3の1⑵ア(ア)aのとおり、本件明細書

には明確に「クレジット加盟店10とクレジットカード会社30の間に、

・・・

クレジットカード決済代行会社を含んでよい」(段落【0016】)とされ、ク

レジットカード決済代行会社は、クレジットカード加盟店とクレジットカード

会社との間に位置づけられる異なる存在として記載されており、同段落【00

】の記載もクレジットカード決済代行会社をクレジットカード会社と明確

に区別しているものであるから、クレジットカード決済代行サービスをクレジ

ットカード会社に含まれるものとするのは、本件明細書の記載に反するもので

あり採り得ない解釈である。

したがって、控訴人会社の上記主張は、採用することができず、被控訴人シ

ステムは、構成要件Aを充足しない。

当審における控訴人会社の均等の補充主張に対する判断

⑴ 控訴人会社は、仮に被控訴人システムが、文言上は本件各発明の技術的範

囲に属しないものとしても、これと均等なものとして、特許権侵害に当たる

旨を主張する。

特許請求の範囲に記載された構成中に相手方が製造等をする製品又は用い

る方法(以下「対象製品等」という。)と異なる部分が存する場合であっても、

①同部分が特許発明の本質的部分ではなく、②同部分を対象製品等における

ものと置き換えても、特許発明の目的を達することができ、同一の作用効果

を奏するものであって、③上記のように置き換えることに、当該発明の属す

る技術の分野における通常の知識を有する者(当業者)が、対象製品等の製

造等の時点において容易に想到することができたものであり、④対象製品等

が、特許発明の特許出願時における公知技術と同一又は当業者がこれから同

出願時に容易に推考できたものではなく、かつ、⑤対象製品等が特許発明の

特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに当たる

などの特段の事情もないときは、同対象製品等は、特許請求の範囲に記載さ

れた構成と均等なものとして、特許発明の技術的範囲に属するものと解する

のが相当である。

そして、上記①の要件(第1要件)における特許発明における本質的部分

とは、当該特許発明の特許請求の範囲の記載のうち、従来技術に見られない

特有の技術的思想を構成する特徴的部分であると解すべきであり、特許請求

の範囲及び明細書の記載に基づいて、特許発明の課題及び解決手段とその効

果を把握した上で、特許発明の特許請求の範囲の記載のうち、従来技術に見

られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分が何であるかを確定するこ

とによって認定されるべきである(最高裁平成6年(オ)第1083号同1

年2月24日第三小法廷判決・民集52巻1号113頁、最高裁平成28

年(受)第1242号同29年3月24日第二小法廷判決・民集71巻3号

頁参照)。

⑵ これを本件において検討すると、補正の上で引用した原判決第3の1⑴の

本件明細書の記載のとおり、本件発明は、

「未確定の将来クレジット債権の買

い取りによるクレジットカード加盟店への無担保のファンディングシステム

に関する」(段落【0001】)ものであるところ、クレジットカード会社の

加盟店が販売代金を回収するまでに日数を要し、この間の売上は売掛の状態

となり、決済まで手元流動性の資金として活用できず仕入れ資金の不足とい

う問題が生じていた(段落【0002】、

【0003】)ため、①発生したクレ

ジット債権をクレジットカード会社が買い取り、取引金額からクレジットカ

ード利用手数料とファクタリングサービス利用手数料を差引いた金額を加盟

店へ支払うという売掛金の早期回収方法、②クレジット取引にかかる合計取

引金額に応じて融資を受けられるようにした加盟店のキャッシュフローの改

善方法が既に提案されていた(段落【0004】)。しかし、これらにおいて

は、①売掛債権のファクタリングによる方法では取引がクレジットカード会

社により承認された直後にファクタリングサービスを利用しなかった場合は

クレジットカード会社に当該クレジット取引により発生したクレジット債権

の買い取りをしてもらえないなどの問題があり、②融資によるキャッシュフ

ローの改善方法では、定額返済のため、一時的な売り上げの減少等の売上高

の変動により手元資金が不足する場合がある(段落【0005】)ことから、

「一定期間の売上実績に基づく未確定の将来クレジット債権を債券化して、

無担保で加盟店の短期的な売上高の変動に影響されない、クレジットカード

加盟店へのファンディングシステムを提供する」(段落【0007】)との課

題に対し、当該課題を解決する手段として「クレジットカード加盟店の端末

装置及び前記クレジットカード加盟店が加盟するクレジットカード会社の情

報処理サーバと通信ネットワークで接続されたファンディング事業者が使用

するサーバを備えたシステム・センターによる未確定の将来クレジット債権

の買い取りを用いたクレジットカード加盟店への無担保のファンディングシ

ステムであって、前記システム・センターのサーバは、前記クレジットカー

ド加盟店のクレジットカード決済取引による売上データを用いて、前記クレ

ジットカード加盟店のクレジットカード決済取引による一定期間の実績クレ

ジットカード決済取引売上高を計算し、前記クレジットカード加盟店におい

て将来発生すると予測されるクレジット債権を債券化する対象期間を設定し

て、該債券化対象期間に対応する前年度期間の実績クレジットカード決済取

引売上高に債券化割合を乗じて将来クレジット債権の買取債券の額面を設定

して、これらをデータベースに保存する債権化パターン設定部と、前記債券

化対象期間の開始月以降の前記クレジットカード加盟店のクレジットカード

決済取引による売上データをクレジットカード会社毎に集計してクレジット

カード会社毎の月間実績決済高を算出し、当該月間実績決済高に前記債券化

割合を乗じて、クレジットカード会社毎の前記債権買取債券の当月償還金額

を設定し、これらをデータベースに保存して、前記償還金額を累積して求め

た償還金額累積額が前記債権買取債券の額面額と一致するか否かを判断し、

前記償還金額累積額と前記債権買取債券の額面額が一致したと判断した場

合、前記債権買取債券の償還の終了をクレジットカード会社の情報処理サー

バに通知し、前記対象債券化期間を経過しても前記償還金額累積額と前記将

来クレジット債権買取債券の額面額が一致していないと判断した場合、前記

将来クレジット債権買取債券の償還期間の延長をクレジットカード会社の情

報処理サーバに通知する償還管理部と、を有することを特徴とする。」

(段落

【0008】)という構成を採用することにより、「本発明の将来クレジット

債権の買い取りによるクレジットカード加盟店への無担保のファンディング

システムによれば、一定期間の売上実績に基づく未確定の将来クレジット債

権を債券化してクレジットカード加盟店の資金調達を行うものであり、クレ

ジットカードの加盟店は、売上高の変動の影響を受けることなく手元流動性

資金を潤沢に確保することが可能となり、その資金を新規の仕入れや設備投

資等に利用することができ、資金繰りに余裕がもてるようになる。また、債

券の償還方法は、売上高に対する定率返済であるので、クレジットカードの

加盟店は、売上高の一時的な減少等の売上高の変動により償還が困難になる

といった問題を避けることができる。」

(段落【0010】)という効果を奏す

るものである。

このように、既にクレジットカード会社による債権買取によるファクタリ

ングサービスやクレジット取引の合計取引金額に応じた融資が行われていた

ことを前提として、これらに係る①クレジットカード会社による承認直後に

ファクタリングサービスを利用しなかった場合や②償還に当たって売上高の

変動による加盟店の償還困難といった問題に対応することを課題とした本件

発明において、従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部

分は、少なくとも、加盟店の端末及びクレジットカード会社の情報処理サー

バと通信ネットワークで接続されたファンディング事業者が使用するサーバ

を備えたシステム・センターによるファンディングシステムであること、将

来クレジット債権の買取債権の額面を設定するに当たり、債券化対象期間を

設定し、該対象期間に対応する実績クレジットカード決済取引売上高に債券

化割合を乗じることによることにあるものと認められる。

⑶ア 本件発明では、ファンディング事業者が使用するサーバと通信ネットワ

ークで接続されるものとしてクレジットカード会社の情報処理サーバが

存在するのに対し、被控訴人システムにおいて、本件発明のファンディン

グ事業者が使用するサーバに該当する被控訴人サーバ(Airキャッシュ

のサーバ)は、控訴人会社の主張によっても、クレジットカード決済代行

サービスであるAirペイの情報処理サーバと通信ネットワークで接続

されているというのであり、被控訴人システムを構成するものとして、被

控訴人サーバと接続されているクレジットカード会社の情報処理サーバ

は存在しない。

しかるに、前記2のとおり、本件明細書においては、クレジットカード

会社とクレジットカード決済代行サービスは明確に区別されており、クレ

ジットカード決済代行サービスがクレジットカード会社に含まれるとは

いえず、前記⑵の検討によれば、上記の相違に係る本件発明の構成、すな

わち、ファンディングシステムにおいてファンディング事業者が使用する

サーバと通信ネットワークで接続されるものとしてクレジットカード会

社の情報処理サーバが存在することは、本件発明の本質的部分に当たる。

したがって、本件発明のうち被控訴人システムと異なる部分は、本件発

明の本質的部分であり、被控訴人システムは均等侵害の第1要件を充足し

ないから、その他の要件について検討するまでもなく、均等侵害は成立し

ない。

イ また、本件発明は、将来クレジット債権の買取債権の額面を設定するに

当たり、債券化対象期間を設定し、該対象期間に対応する実績クレジット

カード決済取引売上高に債券化割合を乗じることによるのに対し、被控訴

人システムにおける引落総額は、加盟店が利用金額と引落率を選択するこ

とにより計算され、その際には加盟店による債券化対象期間は設定されて

いない。

前記⑵の検討によれば、上記の相違に係る本件発明の構成、すなわち将

来クレジット債権の買取債権の額面を設定するに当たり、債券化対象期間

を設定することは、本件発明の本質的部分に当たる。

したがって、本件発明のうち被控訴人システムと異なる部分は、本件発

明の本質的部分であり、被控訴人システムは均等侵害の第1要件を充足し

ないから、その他の要件について検討するまでもなく、均等侵害は成立し

ない。

⑷ア 控訴人会社は、前記第3〔控訴人会社の主張〕3⑵のとおり、クレジッ

トカード会社であるかクレジットカード決済代行サービスであるかの差

異は、クレジットカード会社であるか、その一部の業務ないし機能を代行

する組織であるかという主体の差異にすぎず、技術的な事項ではない上、

その役割も異なるところがないから、クレジットカード会社であるという

点は、本件発明の本質的部分ではない旨主張する。

しかし、本件発明の本質的部分については上記⑵のとおりと認められる

から、本件発明と被控訴人システムとは、その本質的部分において異なる

ものというべきである。

したがって、控訴人会社の上記主張は採用することができない。

イ 控訴人会社は、前記第3〔控訴人会社の主張〕3⑵ウ及び第3の5のと

おり、将来クレジット債権の買取債権の額面の設定に当たり債券化対象期

間を設定するか否かの相違について、これを設定することが本件発明の本

質的部分に含まれないことを前提として、構成要件Cに係る相違点につい

て均等の主張をする。

しかし、本件発明の本質的部分については前記⑵のとおりであり、将来

クレジット債権の買取債権の額面を設定するに当たり債券化対象期間を

設定した上で債券化割合を乗じることは本件発明の本質的部分と認めら

れる。そうすると、本件発明と被控訴人システムとの相違点に係る構成は、

本件発明の本質的部分において異なるものというべきである。

したがって、控訴人会社の上記主張は採用することができない。

当審における控訴人Xの補充主張に対する判断

⑴ 控訴人Xは、前記第3〔控訴人Xの主張〕1のとおり、金融庁の回答が存

するにもかかわらず、控訴人Xの営業秘密を認めなかった原判決の判断は誤

りである旨を主張する。

しかし、補正の上で引用した原判決第3の2⑴のとおり、甲23議事録の

記載内容等を十分に参照し、提出された証拠を精査しても、控訴人Xが本件

情報を保有していたとは認められないというべきである。

したがって、控訴人Xの上記主張は採用することができない。

⑵ 控訴人Xは、前記第3〔控訴人Xの主張〕2のとおり、被控訴人による営

業秘密の使用を認めなかった原判決の認定及び判断は誤りである旨を主張す

る。

しかし、補正の上で引用した原判決第3の2⑵のとおり、被控訴人が本件

情報を使用したとは認められないというべきである。加えて、控訴人Xは、

被控訴人サービスは「将来債権が発生せず提供資金が回収不可能になった場

合であっても、例外的な場合を除いて将来債権の買戻等の義務を定めて加盟

店から資金を回収しないという本件情報2の核心部分を使用している」と主

張するところ、既に2018年(平成30年)12月5日時点で、

「BASE

がリスク無し・即時に資金調達できる金融サービス『YELL BANK』

を提供開始」との報道がされているところ、同サービスは、ネットショップ

作成サービスのデータから各ショップの将来の売上金額を予測してショップ

オーナーから将来債権を買い取って同金額を即時に支払う金融サービスであ

り、同サービスはショップから買い取った将来債権が万一発生しない場合に

そのリスクを負担する旨が明らかにされているから(乙1)、控訴人X主張の

本件情報2の核心部分は、平成30年12月5日時点で公知であることとな

る。さらに、被控訴人が金融庁への意見照会を行わなかったことについても、

提供以来約5年が経過したセゾンのサービスが適法であることを前提に被控

訴人サービスの法律上の問題点を検討し、金融庁への照会を行わなかったと

しても、上記の状況も踏まえれば何ら不自然ではない。

したがって、控訴人Xの上記主張は採用することができない。

控訴人らはその他縷々主張するが、いずれも前記認定及び判断を左右しない。

よって、控訴人らの請求は、その余の点について判断するまでもなく理由が

なく、いずれも棄却すべきであるから、原判決は相当であり、本件各控訴は理

由がないからいずれも棄却することとして、主文のとおり判決する。

知的財産高等裁判所第3部

裁判長裁判官

中 平 健

裁判官

今 井 弘 晃

裁判官

柵 木 澄 子

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