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令和8(行ケ)10030審決取消請求事件

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裁判所 請求棄却 知的財産高等裁判所
裁判年月日 令和8年9月17日
事件種別 民事
当事者 原告株式会社リスタ
被告有限会社銀座ロッソ
法令 商標権
商標法2条3項8号11回
商標法50条3回
商標法50条2項1回
キーワード 審決12回
商標権5回
主文 1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事件の概要 1 特許庁における手続の経緯等(当事者間に争いがないか、又は当裁判所に顕 著である。

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判決文

令和8年9月17日判決言渡

令和8年(行ケ)第10030号 審決取消請求事件

口頭弁論終結日 令和8年7月28日

判 決

原 告 株 式 会 社 リ ス タ

同訴訟代理人弁護士 小 林 幸 夫

平 田 慎 二

山 田 亮

同訴訟代理人弁理士 柴 田 富 士 子

神 原 浩 久

被 告 有 限 会 社 銀 座 ロ ッ ソ

同訴訟代理人弁護士 吉 田 幸 一 郎

加 藤 隆 弘

岩 本 真 璃 恵

同訴訟代理人弁理士 田 坂 一 朗

主 文

1 原告の請求を棄却する。

2 訴訟費用は原告の負担とする。

事実及び理由

第1 請求

特許庁が取消2025-300537号事件について令和8年3月24日にした審決を取り消す。

第2 事案の概要

1 特許庁における手続の経緯等(当事者間に争いがないか、又は当裁判所に顕著である。)

⑴ 原告は、 次の登録第5749212号の商標(以下「本件商標」という。)の商標権者である。構 成指定商品 第3類「ボディーオイル、その他の化粧品、せっけん類、香料」

第5類「ルリジサ種子油を主原料とする錠剤状・カプセ

ル状・チュアブル状・顆粒状・粒状・粉状・固体状・半固体状・液体状・ペースト状の加工食品、天然植物を主原料とする錠剤状・カプセル状・チュアブル状・顆粒状・粒状・粉状・固体状・半固体状・液体状・ペースト状の加工食品、その他のサプリメント」登録出願日 平成26年10月10日設定登録日 平成27年3月13日

⑵ 被告は、令和7年7月1日、本件商標につき商標登録取消審判を請求し、同月14日、同審判請求の登録がされた。特許庁は、同事件を取消2025-300537号事件として審理し、令和8年3月24日、「登録第5749212号商標の商標登録を取り消す。」との審決(以下「本件審決」という。)をして、その謄本は、同年4月1日に原告に送達された。

⑶ 原告は、令和8年4月27日、本件審決の取消しを求める本件訴訟を提起した。2 本件審決の理由の要旨

⑴ 商標法50条2項本文に規定する期間本件において、審判請求の登録日は令和7年7月14日であるから、商標法50条2項本文により、原告が本件商標の使用の事実を立証すべき期間(以下「要証期間」という。)は、令和4年7月14日から令和7年7月13日までの間である。

⑵ 本件商標の使用の事実原告は、要証期間における本件商標(社会通念上同一と認められる商標を含む。)の使用に係る事実として、①本件商標が付された2025(令和7)年3月31日付け発注書(甲9)を株式会社サイセイメディカル(以下「サイセイメディカル」という。)に交付したこと、及び②本件商標が付された2025(令和7)年3月5日付け発注書(甲10。以下、上記①の発注書と併せて「本件発注書」という。)をサイセイメディカルに交付したことを挙げ、本件発注書は商標法2条3項8号にいう指定商品に関する「取引書類」に当たるから、本件商標の「使用」の事実が認められると主張する。そこで検討すると、商標法2条3項8号は、標章を広告的に使用する行為をもって「使用」と定義したものと解される。また、商標法50条の適用上、「商品」について商標が使用されるというためには、当該商品が市場において独立して商取引の対象として流通に供されるものであることを要すると解される。しかるところ、本件発注書は、いずれも、原告が製造委託先に商品の製造を発注した際の発注書にすぎず、当該商品が原告に納品されたとしても、この取引のみでは、当該商品が、市場において独立して商取引の対象として流通に供されるものになったとはいえない。そうすると、本件発注書は、商品の譲渡や引渡し等を行う取引の当事者間で接受される書類とはいえないから、これに本件商標が付されていたとしても、商標法2条3項8号に規定する「使用」をしたと認めることはできない。その他の証拠によっても、要証期間中に本件商標の使用がされたことを認めるに足りない。

⑶ まとめしたがって、商標権者が、要証期間に、請求に係る商品に本件商標を使用したと認めることはできない。よって、本件商標の登録は、商標法50条の規定により、取り消すべきものである。

第3 原告主張の審決取消事由(本件商標の使用の事実に係る判断の誤り)

商標法2条3項8号にいう「商品…に関する取引書類」は、必ずしも同取引書類自体が需要者に対する広告的機能を果たしていることを要さず、製造委託先に発注した際の発注書もこれに含まれると解すべきである。製造委託先に対する業務上の信用も、商標制度により保護されるべきものといえるからである。本件において、原告は、令和7年3月、二度にわたり、サイセイメディカルに対し、本件商標と社会通念上同一の標章である「REVI」を付した本件発注書(甲9、10)により、化粧品及びサプリメントの製造を委託した。本件発注書には、「REVI」の文字のみならず、本件商標がそのまま掲載されており、「商品…に関する取引書類に標章を付し」たものに当たる。また、原告は、同年6月にも、「REVI」の文字列が記載された発注書をサイセイメディカルに交付した(甲33)。そして、特定の取引先に取引書類を交付する場合であっても、標章が付された書類を現に交付した事実が認められる以上、その標章を保護すべき必要性がないとはいえないから、当該交付行為は、商標法2条3項8号にいう「頒布」に当たるというべきである。原告は、上記発注書により、現実に化粧品500個の製造を委託しているのであって、その化粧品が「商品」に該当することは明らかであるし、実際に当該化粧品が納品されるに至っていることなど、原告が現実に費用と労力を投じていることからすると、原告による本件商標の使用が、名目的なものにすぎないということもできない。したがって、原告は、本件商標の指定商品に属する化粧品やサプリメントについて、本件商標を付した取引書類である発注書を頒布することにより、本件商標を使用したといえる。これと異なる認定をした本件審決には、結論に影響を及ぼすべき誤りがある。

第4 被告の反論

商標法2条3項8号は、商標の広告的使用たる側面に着目した規定であるところ、製造委託先にすぎないサイセイメディカルに宛てた発注書は、商品の取引者、需要者に向けられておらず、商標の広告的機能を発揮していない。また、原告は、発注書を「展示」又は「頒布」したということはできない。不使用による取消しを免れることを目的とした名目的・形式的な使用は、商標法50条の適用を受ける「使用」ということはできないと解すべきところ、原告は、取引関係にあった被告の業務を妨害する目的をもって第三者から本件商標に係る商標権の譲渡を受けて、取消しを免れるため、形式的に発注書に本件商標を付したにすぎない。したがって、原告が要証期間中に本件商標を使用したとは認められず、本件審決に取り消されるべき誤りはない。

第5 当裁判所の判断

1 取消事由(本件商標の使用の事実に係る判断の誤り)について

⑴ 本件商標の使用の事実について

ア 商標法2条3項8号は、「商品若しくは役務に関する広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して展示し、若しくは頒布し、又はこれらを内容とする情報に標章を付して電磁的方法により提供する行為」を、標章についての「使用」に当たる旨を規定している。その趣旨は、商標を広告等において用いることによっても商標に営業上の信用が蓄積されることがあり、また、他人がこのような態様で商標を用いることによっても商標に化体された営業上の信用が害されることがあるため、商品が流通される等の前段階における広告等に商標を付して流通させることも、「使用」としてみるべきであるという点にあると解される。このような趣旨に加え、同号では「頒布」が「展示」と併記されていることや、一般に「頒布」という語が「広くゆきわたるように分かち配ること」という意義を有することに照らすと、同号にいう「広告、価格表若しくは取引書類に標章を付して」「頒布」するとは、標章を付した広告等を、公衆が閲覧可能な状態に置く程度に流通させることを意味すると解するのが相当である。イ これを本件についてみると、証拠(甲9、10)によると、原告は、令和7年3月、サイセイメディカルに対し、本件標章を付した発注書(本件発注書)を二度にわたり交付したことが認められる。しかるところ、サイセイメディカルは、原告が化粧品やサプリメントの製造を委託した先であることは、当事者間に争いがない。また、本件商標が付された本件発注書は、サイセイメディカル1社のみに交付されたものにすぎない。このように、自身の商品の需要者として想定される者ではない1社のみに宛てて作成した注文書を2回交付したことのみをもっては、標章を付した取引書類を公衆が閲覧可能な状態に置く程度に流通させるものとはいえず、「商品…に関する…取引書類に標章を付して…頒布」したものと認めることはできない。なお、原告は、令和7年6月頃、「商品名:REVISHAKE LOTION 150ml」と記載された発注書をサイセイメディカルに交付したと主張するが、これが現実にサイセイメディカルに交付されたかは明らかではない。仮に、これが交付されていたとしても、同発注書の性質は本件発注書と同じであって、上記結論を左右しない。そして、他に、原告が、要証期間中に本件商標を使用したと認めるに足りる具体的な事実関係は認められない。ウ したがって、要証期間中に、商標権者、専用使用権者又は通常使用権者のいずれかが指定商品について本件商標の使用をしたことが証明されたということはできないから、本件商標の登録を取り消した本件審決に誤りはない。

⑵

(原告の主張)

についてア 原告は、特定の取引先に配布する場合であっても、標章が付された書類を現に交付した事実が認められる以上、その標章を保護すべき必要性がないとはいえないから、当該配布行為は、商標法2条3項8号に規定する「頒布」に当たる旨主張する。しかし、前記⑴アのとおり、商標法2条3項8号は、商品が流通される等の前段階における広告等に商標を付して流通させることによる商標への営業上の信用の蓄積や、当該行為による営業上の信用への影響に着目して規定されたものであるところ、同号に該当する使用に当たるというには、広告等に商標を付して流通させることに匹敵する程度の実質を有することを要するというべきである。商品の需要者ではない製造委託先1社のみに宛てた発注書を2回交付したことのみをもっては、そのような実質を有しているとはいえない。したがって、本件発注書の交付が商標法2条3項8号に規定する「頒布」に当たる旨の

(原告の主張)

は採用することができない。イ 原告は、本件発注書により現実に化粧品500個の製造を委託しているのであるから、その化粧品が「商品」に該当することは明らかであり、実際に当該化粧品が納品されていることなど、原告が現実に費用と労力を投じていることからして、本件商標の使用が名目的なものにすぎないとはいえない旨主張する。しかし、原告が本件発注書により現に商品の製造を委託し、これに費用を支出していたとしても、本件発注書の交付が商標法2条3項8号に規定する「商品…に関する…取引書類に標章を付して…頒布」に当たらないことや、他に、原告が、要証期間中に本件商標を使用したと認めるに足りる具体的な事実関係が認められないことは、前記⑴イのとおりである。したがって、

(原告の主張)

するところによっても、原告が、要証期間中に、本件商標を使用したと認めることはできない。

⑶ 小括

以上のとおり、要証期間において、本件商標の商標権者、専用使用権者又は通常使用権者が、その指定商品について本件商標を使用していることが立証されているとはいえないから、本件商標の登録を取り消した本件審決の認定及び判断に誤りはない。

(原告の主張)

する取消事由には理由がない。

2 結論

上記1のとおり、

(原告の主張)

する取消事由には理由がなく、本件審決に取り消されるべき違法はない。よって、原告の請求は理由がないから、これを棄却することとして、主文のとおり判決する。知的財産高等裁判所第1部裁判長裁判官増 田 稔裁判官頼 晋 一裁判官天 野 研 司

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