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令和6(ワ)70331損害賠償等請求事件

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裁判所 一部認容 東京地方裁判所
裁判年月日 令和8年7月1日
事件種別 民事
当事者 原告甲
被告乙
法令 著作権
著作権法32条1項5回
著作権法114条3項3回
著作権法20条2項4号1回
キーワード 侵害34回
許諾2回
損害賠償2回
主文 1 被告は、原告に対し、1万9200円及びこれに対する令和4年12月6日
2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。
3 訴訟費用は、これを100分し、その1を被告の負担とし、その余を原告の
4 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。
事件の概要 1 事案の概要 本件は、原告が被告に対し、被告が、ツイッター(インターネットを利用し てメッセージ等を投稿することができる情報ネットワークであり、現在の名称 はXである。以下、名称変更の前後を問わず「ツイッター」という。 )におい て、別紙投稿記事目録記載の各URLにより特定される各投稿(以下「本件各 投稿」という。 )を行ったことにより、原告の著作権(複製権及び公衆送信権) 及び著作者人格権(同一性保持権)が侵害されたと主張して、不法行為に基づ く損害賠償金490万5000円及びこれに対する不法行為以後の日である令 和4年12月6日から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅 延損害金の支払を求める事案である。

▶ 著作権に関する裁判例

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判決文

令和8年7月1日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官

令和6年(ワ)第70331号 損害賠償等請求事件

口頭弁論終結日 令和8年4月28日

判 決

原 告 甲

同訴訟代理人弁護士 太 田 真 也

被 告 乙

同訴訟代理人弁護士 森 江 悠 斗

主 文

1 被告は、原告に対し、1万9200円及びこれに対する令和4年12月6日

から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。

2 原告のその余の請求をいずれも棄却する。

3 訴訟費用は、これを100分し、その1を被告の負担とし、その余を原告の

負担とする。

4 この判決は、第1項に限り、仮に執行することができる。

事 実 及 び 理 由

第1 請求

被告は、原告に対し、金490万5000円及びこれに対する令和4年12月6日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。

第2 事案の概要等

1 事案の概要本件は、原告が被告に対し、被告が、ツイッター(インターネットを利用してメッセージ等を投稿することができる情報ネットワークであり、現在の名称はXである。以下、名称変更の前後を問わず「ツイッター」という。)において、別紙投稿記事目録記載の各URLにより特定される各投稿(以下「本件各投稿」という。)を行ったことにより、原告の著作権(複製権及び公衆送信権)及び著作者人格権(同一性保持権)が侵害されたと主張して、不法行為に基づく損害賠償金490万5000円及びこれに対する不法行為以後の日である令

5 和4年12月6日から支払済みまで民法所定の年3パーセントの割合による遅延損害金の支払を求める事案である。2 前提事実(当事者間に争いがないか、後掲各証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実。以下、枝番号のある証拠について枝番号を記載しない場合は、全ての枝番号を含む。)

⑴ 原告による動画の制作及び文章の作成ア 原告は、別紙著作物目録記載1及び5の動画(以下、「原告動画1」などといい、「原告各動画」と総称する。)を制作し、インターネット上の動画サイトYouTubeの原告のチャンネル(以下「原告チャンネル」という。)で公開した。イ 原告は、別紙著作物目録記載3、4、6~28の投稿の文章部分(ただし、「a」、「b」又は「c」というアカウントによる投稿中の文章部分に限る。以下、「原告文章3」などといい、「原告各文章」と総称する。枝番号のあるものについて枝番号を記載しない場合は、全ての枝番号を含む。)を作成し、「a」、「b」又は「c」というアカウント名で、ツイッターに投稿した(以下、原告各動画及び原告各文章を併せて「本件各著作物」と総称する。)。

⑵ 被告の行為被告は、原告動画1のスクリーンショット画像(以下「本件静止画像」という。)及び前記⑴イの原告の投稿のスクリーンショット画像(以下「本件投稿画像」という。)を作成し、また、原告動画5の複数のスクリーンショット画像を合成した画像(以下「本件合成画像」といい、本件静止画像及び本件投稿画像と併せて「本件各画像」と総称する。)を作成した。被告は、令和2年9月5日から令和4年12月4日までの間に、本件各画像を、「d」というアカウント名で、ツイッターの投稿に掲載した(本件各投稿)。本件各投稿に掲載された本件各画像に対応する原告各動画及び原告

5 各文章の番号と数は、別紙一覧表「対応関係」欄記載のとおりである(原告動画5については本件合成画像を構成するスクリーンショット画像(静止画像)の数を示す。)。(甲1、2、5)。3 争点原告各動画が映画の著作物に、原告各文章が言語の著作物に当たり、原告が本件各著作物の著作権を有していること、被告による本件静止画像及び本件投稿画像の作成及び投稿により原告動画1及び原告各文章の複製権及び公衆送信権が侵害されたことが認められ、この点については当事者間に争いがなく、本件の争点は次のとおりである(原告動画5の著作権及び著作者人格権侵害については後述する)。

⑴ 引用の抗弁の成否

⑵ 同一性保持権侵害の成否

⑶ 原告の損害の発生及びその額4 争点に関する当事者の主張

⑴ 争点⑴(引用の抗弁の成否)について(被告の主張)本件各投稿における本件各著作物の利用は、原告が被告を誹謗中傷したことなどに対する批評を目的としたものであり、個別の主張は、別紙被告主張一覧表記載のとおりである。本件各投稿は、ツイッターの字数制限の下で被告の意見を相当程度記載した上で、本件各画像を掲載したものであり、本件各投稿が主、利用される本件各著作物は従であることは明らかである。以上に照らせば、本件各投稿における本件各著作物の利用は、公正な慣行に合致し、引用の目的上正当な範囲内で行われたものといえる。(原告の主張)YouTubeチャンネルに公表された動画及びツイッターに投稿された文章に関する批評を行うには、当該公表又は投稿に係るURLを掲載するの

5 が公正な慣行であるところ、被告は、それをせずに、意図的に本件各著作物を切り取り、編集した本件各画像を本件各投稿に掲載しているから、本件各投稿における本件各画像の掲載は、公正な慣行に合致するものとはいえない。また、被告は、原告を誹謗中傷することを目的として本件各投稿を行っていること、本件各投稿において、本件各画像の部分が主であり、本件各投稿の文章部分が従たるものであることなどに照らせば、本件各投稿における本件各著作物の利用が引用の目的上正当な範囲内で行われたものであるとはいえない。

⑵ 争点⑵(同一性保持権侵害の成否)について(原告の主張)被告は、原告動画1に係る本件静止画像及び原告動画5に係る本件合成画像を作成し、これにより、原告の意に反して原告各動画を改変した。(被告の主張)意に反する改変であることは争う。原告動画5は、上部に原告の顔を映し、下部に原告の主張等の字幕を表示するという形で構成されており、上部と下部が区別されているところ、被告は、下部の字幕部分について編集を加えずに本件合成画像を作成したのであるから、原告動画5に係る同一性保持権を侵害するものではない。また、被告は、原告に対する批評を行うために原告各動画に係る画像を掲載したのであって、前記⑴(被告の主張)のとおり、被告の行為は「引用」に当たることに照らせば、著作権法20条2項4号の「やむを得ないと認められる改変」に当たる。

⑶ 争点⑶(原告の損害の発生及びその額)について(原告の主張)ア 本件各著作物に係る著作権侵害による損害被告による本件各著作物の利用態様は、本件各画像を作成し、本件各投

5 稿に掲載したというものであるから、本件各著作物に係る著作権の行使につき受けるべき金銭の額に相当する額(著作権法114条3項)の算定に当たっては、映像からキャプチャした写真の使用料に係るNHKエンタープライズの規定を参酌するのが相当である。そして、当該規定によると、使用目的が「通信(モバイル含む)」の場合の基本料金は5000円とされ、写真素材使用料は、「カラー」、「一般写真」及び「国内撮影」の場合、1カット当たりの使用料が2万円とされるから、著作権の行使につき受けるべき金銭の額の算定はこれによるべきである。そうすると、被告が利用した原告文章の個数(別紙一覧表「A」欄)及び静止画像の枚数(原告動画5については本件合成画像を構成する静止画像の枚数。同別紙「B」欄)に2万円を乗じ、5000円の基本料金を加算したものが本件各動画及び本件各文章の著作権の行使につき受けるべき金銭の額に相当する額であり、その合計額は436万5000円である(同別紙「C」「小計」欄)〔判決注:本件投稿6及び本件投稿31については、上記計算方法によっていない。〕。イ 原告各動画に係る著作者人格権侵害による慰謝料被告は、原告各動画を改変した本件静止画像及び本件合成画像を本件各投稿に掲載していることを考慮すれば、原告各動画の同一性保持権侵害による慰謝料額は投稿1件ごとに3万円として算定すべきであり、その合計額は54万円である(同別紙「D」「小計」欄)〔判決注:本件投稿6については損害額に対応する原告各動画の侵害主張はない。〕。ウ 合計以上によれば、原告の損害額は、合計490万5000円である。(被告の主張)ア 本件各著作物に係る著作権侵害による損害本件各画像の利用に経済的価値はないから、著作権侵害による損害は発

5 生していない。仮に損害が発生しているとしても、原告チャンネルのチャンネル登録者数は約4万人にすぎないことに照らせば、本件各著作物に係る著作権の行使につき受けるべき金銭の額に相当する額は、原告が主張するNHKエンタープライズの規定により算定した額の170分の1を下回る。イ 原告各動画に係る著作者人格権侵害による慰謝料原告は、被告に対して多数の訴えを提起しており、被告の行為の違法性は、別件訴訟で評価し尽されていることに照らせば、慰謝料額は相当程度減額すべきである。

第3 当裁判所の判断

1 原告動画5の著作権及び著作者人格権侵害について

原告は、被告による本件合成画像の作成及び投稿への掲載により、原告動画5の著作権及び著作者人格権が侵害されたと主張する。しかし、本件合成画像は、原告動画5の多数のスクリーンショット画像の字幕部分が見えるよう合成して作成されたものであるところ、スクリーンショット画像が重なり合って原告動画5の画面すら見て取ることができないものであるから(甲1の8~12、20、30、31、35、36)、視覚的又は視聴覚的効果を生じさせる方法で表現された原告動画5の表現上の本質的な特徴を維持し、これに接する者が原告動画5の表現上の本質的な特徴を直接感得することができるものとはいえない。以上によれば、本件合成画像の作成及び投稿は、原告動画5についての複製及び公衆送信に当たるということはできないし、本件合成画像の作成が原告動画5に係る同一性保持権を侵害するものであるということもできない。したがって、原告動画5の著作権及び著作者人格権の侵害に基づく原告の請求はいずれも理由がない。そこで以下においては、原告動画1及び原告各文章について判断する。

5 2 争点⑴(引用の抗弁の成否)について

⑴ 著作権法32条1項により、他人の著作物を引用して利用することが許さ

れるためには、引用して利用する方法や態様が公正な慣行に合致するものであり、かつ、引用の目的上正当な範囲内、すなわち、社会通念に照らして合理的な範囲内のものであることが必要である。

⑵ 原告動画1の利用について

被告は、本件投稿1~5における原告動画1の利用は、原告が被告を誹謗中傷したことなどに対する批評の目的でされたものであり、著作権法32条1項によりその利用が許されるものと主張する。本件投稿1~5には本件静止画像が掲載され、投稿の文章部分には、本件静止画像の字幕部分に記載された原告の発言に対するものと思われる被告の批評が含まれていることが認められる(甲1の1〜5)。しかし、上記各投稿における原告動画1の利用が、原告動画1における原告の発言に対する批評を述べる目的で行われたものであるとしても、利用された原告動画1はYouTube上で公開された映画の著作物であり、ツイッター上で原告動画1における原告の発言に対する批評をするために、当該動画のスクリーンショット画像である本件静止画像を掲載する必要性は乏しいことからすれば、上記各投稿における原告動画1の利用が、社会通念に照らして合理的な範囲内のものであるとはいえず、引用の目的上正当な範囲内のものであったということはできない。また、原告動画1の利用が公正な慣行に合致するとみるべき事情も認められない。したがって、本件投稿1~5における原告動画1の利用は、著作権法32条1項により許されるものであるということはできない。

⑶ 原告各文章について

ア 本件投稿6、9~11、13~15、23、24、29、31、32、34、35について(甲1の6、9〜11、13〜15、23、24,2

5 9、31、32、34、35)

(ア) 上記各投稿に掲載された本件投稿画像中の原告文章は、後記(イ)のとおりの批評の目的で、その批評の対象として利用されたものであると認めることができる。そして、上記各投稿の文章部分と利用された原告文章は明瞭に区分され、当該原告文章の上部には投稿者として原告のアカウント名も表示されていること、上記各投稿の文章部分と利用された原告文章の内容に照らし、当該原告文章が批評の対象であることも自ずと明らかであること、上記各投稿において利用された原告文章は最大で4個であり、いずれも140字の範囲内の短文であることが認められる。また、上記各投稿において利用された原告文章は、ツイッターに投稿された文章であるところ、ツイッターはいわゆるソーシャルメディアであり、ツイッターの投稿における文章がインターネット上で広く共有されて批評の対象となることは当然に予定されているということができる。以上のとおりの利用の目的、利用の方法及び態様や、利用された原告文章の種類及び性質などに照らせば、上記各投稿に掲載された本件投稿画像中の原告文章の利用は、引用して利用する方法及び態様が公正な慣行に合致するものであり、かつ、社会通念に照らして合理的な範囲内のものであって、引用の目的上正当な範囲内のものであるということができる。(イ) 本件投稿6は、文章部分に、原告に関して「各所で誹謗中傷。私を人殺し、妨害者とし刑事告訴予定。」、「規則を守らずブロック。」などと記載され、原告文章3に係る本件投稿画像が掲載されている。原告文章3には、被告のやっていることが人殺しであり、被告が馬鹿であること、車中泊禁止という表現をするユーチューバー等は極めて悪質であること、被告は人を死に追いやりたいことなどが記載され、本件投稿6の文章部

5 分及び原告文章3の内容に照らせば、上記画像は、原告が被告に対して

攻撃的な発言をしていること及び原告が車中泊を推奨していることを批評することを目的として、その批評の対象として掲載されたものであると認められる。本件投稿9は、文章部分に、原告に関して「動画の内容も論外ですが一部以外のコメントも論外です。」、「「全責任を負う」軽々しい発言。」などと記載され、原告文章6に係る本件投稿画像が掲載されている。原告文章6には、道の駅での車中泊に関し、原告がマナーモラルの警備に行くこと、道の駅は車中泊のために作られた施設であること、原告が全責任を取ることなどが記載され、本件投稿9の文章部分及び原告文章6の内容に照らせば、上記画像は、車中泊に関する原告の発言を批評することを目的として、その批評の対象として掲載されたものであると認められる。本件投稿10は、文章部分に、原告に関して「「車中泊するのが前提の道の駅」←全く違います。」、「この方は車中泊を「仮眠・休憩・滞在」と勝手に定義しています。」などと記載され、原告文章7に係る本件投稿画像が掲載されている。原告文章7には、車中泊とは休憩・仮眠・滞在のことで、車中泊禁止という表現をするユーチューバー等は極めて悪質であることなどが記載され、本件投稿10の文章部分及び原告文章7の内容に照らせば、上記画像は、車中泊に関する原告の発言に対する批評を目的として、その批評の対象として掲載されたものであると認められる。本件投稿11は、文章部分に、原告に関して「彼はルールを守らず暴言を吐き」などと記載され、原告文章8に係る本件投稿画像が掲載されている。原告文章8には、車中泊とは休憩・仮眠・滞在のことで、車中泊禁止という表現をするユーチューバー等は極めて悪質であることや被

5 告のやっていることが人殺しであり、被告が馬鹿であることなどが記載

され、本件投稿11の文章部分及び原告文章8の内容に照らせば、上記画像は、原告が車中泊を推奨していること及び原告が被告に対して攻撃的な発言をしていることに対する批評を目的として、その批評の対象として掲載されたものであると認められる。本件投稿13は、文章部分に、原告に関して「最初からずっと礼儀も全くありませんでしたけどね。」などと記載され、原告文章9に係る本件投稿画像が掲載されている。原告文章9には、被告のやっていることが人殺しであり、被告が馬鹿であること、被告は靴の裏について吐き捨てられたガムであること、被告の周囲の人物を示す「aのハエ」との語などが記載され、本件投稿13の文章部分及び原告文章9の内容に照らせば、上記画像は、原告の礼儀を欠く発言に対する批評を目的として、その批評の対象として掲載されたものであると認められる。本件投稿14は、文章部分に、原告に関して「この方のどこに礼儀があってどこが大人の対応だったのでしょうかね。」などと記載され、原告文章10に係る本件投稿画像が掲載されている。原告文章10には、被告が哀れで滑稽であること、自分より人間レベルがあまりにも低すぎる連中で用済みであること、被告とその他の人達は結局ブロックという言葉を信じ確証もない状態で発信するようなレベルであること、被告の周囲の人物に対する「aのハエ」との語などが記載され、本件投稿14の文章部分及び原告文章10の内容に照らせば、上記画像は、原告の礼儀を欠く発言に対する批評を目的として、その批評の対象として掲載されたものと認められる。本件投稿15は、文章部分に、原告に関して「本当にひどい態度でしたよね。」、「反省だけで済まされないので裁判を起こしました」などと記載され、原告文章11に係る本件投稿画像が掲載されている。原告文

5 章11には、原告が失礼な返信をしたことについて今は反省しているこ

と、被告の周囲の人物に対する「aのハエ」との語、被告とその他の人達は結局ブロックという言葉を信じ確証もない状態で発信するようなレベルであること、自分より人間レベルがあまりにも低すぎる連中で用済みであることなどが記載され、本件投稿15の文章部分及び原告文章11の内容に照らせば、上記画像は、原告のこれまでの態度にもかかわらず反省しているという原告の発言に対する批評を目的として、その批評の対象として掲載されたものと認められる。本件投稿23は、文章部分に、原告に関して「少し前まで私(私だけではありません)に罵詈雑言を浴びせていた方が、本当に反省しているのか疑問に思います。」などと記載され、原告文章16に係る本件投稿画像が掲載されている。原告文章16には、アンチコメントに反応してはいけないこと、被告が哀れで滑稽であること、被告のやっていることが人殺しであり、被告が馬鹿であること、被告についての「ダサッ君」「カス君」という呼称などが記載され、本件投稿23の文章部分及び原告文章16の内容に照らせば、上記画像は、原告のこれまでの発言内容にもかかわらずアンチコメントに反応してはいけないという原告の発言に対する批評を目的として、その批評の対象として掲載されたものと認められる。本件投稿24は、文章部分に、原告に関して「嫌がらせなどしていないのに、誹謗中傷をこの方に散々されて会社や家族に相談するなどと脅迫行為までされてます」、「ご自身は反省する気は全くないのですね。」などと記載され、原告文章17に係る本件投稿画像が掲載されている。原告文章17には、自分から人に嫌がらせして、言い返されたら誹謗中傷されたというのは自分に問題があること、誹謗中傷されたといえば被害者ぶれること、被告のやっていることが人殺しであり、被告が馬鹿で

5 あることなどが記載され、本件投稿24の文章部分及び原告文章17の

内容に照らせば、原告の誹謗中傷に関する発言に対する批評を目的として、その批評の対象として掲載されたものと認められる。本件投稿29は、文章部分に、「反省だけでは許されないレベルだと思います」などと記載され、原告文章22に係る本件投稿画像が掲載されている。原告文章22には、被告のやっていることが人殺しであり、被告が馬鹿であること、被告についての「ダサッ君」「カス君」という呼称、被告は日本にいない方がいい、独裁国家が好きなようであることことなどが記載され、本件投稿29の文章部分及び原告文章22の内容に照らせば、上記画像は、原告が被告に対して攻撃的な発言をしていることに対する批評を目的として、その批評の対象として掲載されたものと認められる。本件投稿31は、文章部分に、原告に関して「あれだけ訴える訴えると多方面に騒いでいたのに、私に誹謗中傷をして訴えられて弁護士の費用がないと寄付を求めてましたもんね。今はすっかり訴訟の毎日。」などと記載され、原告文章24に係る本件投稿画像が掲載されている。原告文章24には、開示請求について原告は基本本人訴訟であり1〜2万ですむが、平日に何度も裁判所に行くこと、弁護士に頼めば100万円前後かかることなどが記載され、本件投稿31の文章部分及び原告文章24の内容に照らせば、原告の訴訟提起に関する発言に対する批評を目的として、その批評の対象として添付されたものであると認められる。本件投稿32は、文章部分に、原告に関して「あなたにそのようなことを言う資格があるとは思えませんけど。」などと記載され、原告文章25に係る本件投稿画像が掲載されている。原告文章25には、原告が誹謗中傷され続けわかったことは、誹謗中傷し粘着している人は、自分たちが批判されれば嫌がらせだと主張する人が多いこと、被告とその他

5 の人達は結局ブロックという言葉を信じ確証もない状態で発信するよう

なレベルであること、被告が哀れで滑稽であること、被告は靴の裏について吐き捨てられたガムであることなどが記載され、本件投稿32の文章部分及び原告文章25の内容に照らせば、上記画像は、原告の誹謗中傷に関する発言に対する批評を目的として、その批評の対象として掲載されたものであると認められる。本件投稿34は、文章部分に、「大いなる誤解と矛盾。」と記載され、原告文章27に係る本件投稿画像が掲載されている。原告文章27には、道の駅が車中泊禁止と記載すると誤解をうむこと、車中泊禁止という表現をするユーチューバー等は極めて悪質であることなどが記載され、本件投稿34の文章部分及び原告文章27の内容に照らせば、上記画像は、車中泊に関する原告の発言に対する批評を目的として、その批評の対象として掲載されたものであると認められる。本件投稿35は、文章部分に、「道の駅は時間帯によって機能は分かれていません。適当なことを言わないように。」などと記載され、原告文章28に係る本件投稿画像が掲載されている。原告文章28には、道の駅は昼の機能と夜の機能がはっきり分かれていることなどが記載され、本件投稿35の文章部分及び原告文章28の内容に照らせば、上記画像は、道の駅の機能に関する原告の発言に対する批評を目的として、批評の対象として掲載されたものと認められる。イ 本件投稿7、16~19、25~28、30、33について被告は、上記各投稿に掲載された本件投稿画像中の原告文章の利用が、原告が車中泊を推進すること及び原告の侮辱や暴言などを批評する目的でされたものであることを前提に、上記の利用は、著作権法32条1項により適法であると主張する。しかし、上記各投稿の文章部分には何も記載されていないか、「この方

5 にお伝えください」(本件投稿7)、「しばらく紹介します。」(本件投稿1

6)、「こちらも。」(本件投稿17)、「さらにこちら。」(本件投稿18)、「このくらいにしておきます。ちなみに全て裁判所に提出してあります。」(本件投稿19)、「これはその一部です。」(本件投稿28)、「確かに記録としてずっと残りますね。【Wikipedia について】…」(本件投稿30)、などと記載されているにとどまり、上記の批評を目的として行われたものと認めることはできず、引用の目的上正当な範囲内のものであったということもできない。ウ したがって、本件投稿6、9~11、13~15、23、24、29、31、32、34、35に掲載された原告文章の利用について、著作権法32条1項により適法であるといえるのに対し、本件投稿7、16~19、25~28、30、33に掲載された原告文章の利用については、同項により適法であるということはできない。

⑷

(原告の主張)

に対する判断原告は、ツイッターに投稿された文章に関する批評を行う際には当該投稿のURLを掲載するのが公正な慣行であることを理由に、本件投稿6、9~11、13~15、23、24、29、31、32、34、35における原告文章の利用は公正な慣行に合致しないと主張する。しかし、ツイッターに投稿された文章に関する批評を行う際に当該投稿のURLを掲載しなければ公正な慣行に合致しないとする事情は認められない。また、原告は、①被告が原告を誹謗中傷することを目的として上記各投稿を行っていること、②上記各投稿において、本件投稿画像の部分が主であり、被告の文章部分が従たるものであることを理由に、原告文章の利用が引用の目的上正当な範囲内で行われたものであるとはいえないと主張する。

①について、原告は、本件訴訟の弁論準備手続において引用の抗弁の成否

について本件各投稿について個別の反論の補充の機会を複数回設けたにもか

5 かわらず、最終の提出期限までにこれを行わなかったものであるが、上記各

投稿における原告文章の利用の目的は前記⑶アに認定したとおり認められ、上記各投稿の内容に照らしても、上記各投稿が原告を誹謗中傷することを目的としたものであるとは認められない。また、②について、上記各投稿における原告文章の利用の方法及び態様に照らし、本件投稿画像の部分が主であるという評価は当たらないし、上記各投稿における原告文章の利用が、社会通念に照らして合理的な範囲内のものであって、引用の目的上正当な範囲内で行われたものといえることは前記⑶アに説示したとおりである。

⑸ 以上によれば、被告は、本件投稿1~5によって原告動画1に係る著作権

(複製権及び公衆送信権)を、本件投稿7、16~19、25~28、30、33によって掲載された本件投稿画像に含まれる原告文章に係る著作権(複製権及び公衆送信権)を侵害したものといえ、また、被告にこれらの著作権侵害についての故意が認められるから、被告は、著作権侵害によって原告に生じた損害を賠償する義務を負う。

3 争点⑵(同一性保持権侵害の成否)について

⑴ 原告動画1に係る同一性保持権侵害の検討

本件投稿1~5に添付された原告動画1に係る本件静止画像(9枚)は、YouTubeに配信された原告動画1の一場面をスクリーンショットした画像であるところ、本件静止画像(甲1の1〜5)からは、同画像が原告動画1の表現を損なうなどするものであることを直ちに見て取ることができず、本件静止画像の作成が原告の意に反する改変であることを認めることはできない。なお、原告は、本件訴訟の弁論準備手続において改変が原告の意に反することについての主張の補充の機会を複数回設けたにもかかわらず、最終の提出期限までにこれを行わなかったものである。したがって、本件投稿1~5に添付された本件静止画像の作成により、原告の原告動画1に係る同一性保持権が侵害されたということはできない。

5 ⑵ よって、原告動画1の著作者人格権侵害に基づく原告の請求は理由がない。

4 争点⑶(原告の損害の発生及びその額)

⑴ 著作権侵害による損害

ア 原告動画1の著作権侵害による損害原告動画1はYouTubeに公表された映画の著作物で、その内容は原告が自らの見解を喋る様子を撮影し、字幕部分を付したものであり、原告動画1が公表された原告チャンネルの登録者数は約4万人である(乙11)。このような原告動画1の性質及び創作性の程度のほか、本件における侵害態様、著作権の行使につき受けるべき金銭の額に相当する額(著作権法114条3項)は、著作権侵害をした者との関係で事後的に定められるものであり任意の著作物利用許諾契約等により定められる額に比して高額となり得ると考えられることその他本件に現れた一切の事情を総合的に考慮すると、原告動画1に係る著作権の行使につき受けるべき金銭の額に相当する額は、本件静止画像の1回の投稿当たり1000円として算定するのが相当である。本件投稿1~5に添付された本件静止画像の枚数は、別紙一覧表「B」欄記載のとおりであると認められるから(甲1)、原告動画1に係る著作権の行使につき受けるべき金銭の額に相当する額は、同別紙「E①」「小計」欄記載のとおり合計9000円であると認められる。イ 原告各文章の著作権侵害による損害原告各文章(引用の抗弁が認められるものを除く。以下同様。)は、原告によりツイッターに投稿された文章で、その内容は別紙著作物目録各欄のとおりであり、原告各文章が販売の対象とされることを予定したものであることはうかがわれない。このような原告各文章の性質及び創作性の程度のほか、本件における侵害態様、著作権の行使につき受けるべき金銭の額に相当する額(著作権法114条3項)は、著作権侵害をし

5 た者との関係で事後的に定められるものであり任意の著作物利用許諾契

約等により定められる額に比して高額となり得ると考えられることその他本件に現れた一切の事情を総合的に考慮すると、原告各文章に係る著作権の行使につき受けるべき金銭の額に相当する額は、原告文章の1回の投稿あたり300円として算定するのが相当である。投稿ごとの原告各文章の数は、同別紙「A」欄記載のとおりであると認められるから(甲1及び弁論の全趣旨)、原告各文章に係る著作権の行使につき受けるべき金銭の額に相当する額は、同別紙「E②」「小計」欄記載のとおり合計1万0200円と認められる。ウ したがって、著作権侵害による原告の損害は、合計1万9200円と認められる。

⑵ 当事者の主張に対する判断

ア 原告は、映像からキャプチャした写真の使用料に係るNHKエンタープライズの規定を基準として損害額を算定すべきであると主張するが、原告動画1と上記規定の対象となる動画との間で、コンテンツが配信される媒体、視聴者数、映像ないし動画の制作に要する費用、労力及び時間、コンテンツとしての社会的価値等の相違が大きいことは明らかであるから、当該規定を基準として原告動画1に係る著作権侵害の損害額を算定すべきであるとはいえない。また、言語の著作物である原告各文章について、上記規定を基準とすべきであるとはいえない。イ 被告は、本件静止画像及び原告各文章に経済的価値はないから、著作権侵害による損害は発生していないと主張するが、原告動画1は車中泊に関する

(原告の主張)

の展開方法や表現方法等を工夫したものである点などにおいて、原告各文章は短文で自己の見解等を伝達するため表現方法等を工夫したものである点などについて一定の創作性が認められ、経済的価値が全くないということはできないから、損害が発生していないということはで

5 きない。

第4 結論

よって、原告の請求は、主文認容の限度でいずれも理由があるからこれらを認容することとして、主文のとおり判決する。東京地方裁判所民事第46部裁判長裁判官 髙 橋 彩裁判官 西 山 芳 樹裁判官 瀧 澤 惟 子(別紙)投稿記事目録 (省略) (別紙)著作物目録 (省略)(別紙)一覧表 別添のとおり(別紙)被告主張一覧表 別添のとおり

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