ホーム > 知財判決速報/裁判例集 > 令和7(ネ)10082 損害賠償請求控訴事件
| 裁判所 | 控訴棄却 知的財産高等裁判所 |
|---|---|
| 裁判年月日 | 令和8年8月31日 |
| 事件種別 | 民事 |
| 法令 |
特許権 特許法29条1項3号1回 特許法29条1項1号1回 特許法126条5項1回 特許法102条2項1回 |
| キーワード | 侵害20回 実施7回 特許権6回 刊行物3回 進歩性2回 損害賠償2回 無効1回 新規性1回 |
| 主文 | 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は、控訴人の負担とする。 |
| 事件の概要 | 1 本件は、本件特許権1及び2を有する原告が、被告ゲームシステムは本件特 許1に係る本件発明1の技術的範囲に、被告ゲームプログラムは本件特許2に 係る本件発明2の技術的範囲にそれぞれ属するなどと主張して、被告に対し、 主位的に特許権侵害に基づく損害賠償請求(民法709条、特許法102条2 項、3項)として、予備的に不当利得返還請求(民法703条)として、1億 円及びこれに対する令和6年6月18日(訴状送達日の翌日)から支払済みま で民法所定の年3%の割合による遅延損害金又は利息金の支払を求める事案で ある(一部請求)。 原審は、① 被告ゲームシステムは、本件発明1の構成要件1B及び1Cを 充足せず、本件発明1の技術的範囲に属するものではない、② 被告ゲームプ ログラムは、本件発明2の構成要件2Bを充足せず、本件発明2の技術的範囲 に属するものではないし、本件発明2には進歩性欠如の無効事由があるとして、 原告の請求をいずれも棄却し、原告は、これを不服として控訴を提起した。 |
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令和8年8月31日判決言渡
令和7年(ネ)第10082号 損害賠償請求控訴事件
(原審・東京地方裁判所令和6年(ワ)第70223号)
口頭弁論終結日 令和8年5月18日
判 決
控 訴 人 株 式 会 社 セ ガ
同訴訟代理人弁護士 井 上 義 隆
同 吉 浦 洋 一
同 三 村 量 一
同 山 田 知 司
同 高 橋 綾
同訴訟代理人弁理士 山 田 彰 彦
被 控 訴 人 LINEヤフー株式会社
同訴訟代理人弁護士 大 野 聖 二
同 木 村 広 行
同 亀 山 和 輝
同訴訟代理人弁理士 松 野 知 紘
同補佐人弁理士 野 本 裕 史
主 文
1 本件控訴を棄却する。
2 控訴費用は、控訴人の負担とする。
事 実 及 び 理 由
この判決で用いる主な略語は、次のとおりであり、特に断らない限り、原判決の例による。原告 控訴人株式会社セガ被告 被控訴人LINEヤフー株式会社
5 本件特許1 発明の名称を「ゲームシステム及びゲームプログラム」とする特許(特許第6143141号。出願日:平成28年7月22日、原出願日:平成24年8月9日、登録日:平成29年5月19日。請求項の数3)本件特許権1 本件特許1に係る特許権本件明細書1 本件特許1の願書に添付した明細書及び図面。【】は明細書の段落番号を、【図】はその図面番号を示す。本件発明1 本件特許1の特許請求の範囲請求項1に記載された発明(本件発明1-1)及び同請求項2に記載された発明(本件発明1-2)の総称。構成要件の分説は、別紙「特許請求の範囲」記載1のとおりである。本件特許2 発明の名称を「ゲーム装置」とする特許(特許第5622184号。出願日:平成26年5月2日、原出願日:平成21年4月28日、登録日:平成26年10月3日。請求項の数4)本件特許権2 本件特許2に係る特許権本件明細書2 本件特許2の願書に添付した明細書及び図面。【】は明細書の段落番号を、【図】はその図面番号を示す。本件訂正 本件特許2の特許請求の範囲請求項2~4についての訂正本件発明2 本件訂正後の本件特許2の特許請求の範囲請求項2に記載された発明。構成要件の分説は、別紙「特許請求の範囲」記載2のとおりである。被告ゲーム タイトルを「LINE:ディズニーツムツム」とする被告が生産し電気通信回線を通じて提供等するゲーム被告ゲームプログラム 被告ゲームに係るプログラム被告ゲームシステム 被告が、被告ゲームプログラムについて使用する通信システム
5 第1 控訴の趣旨1 原判決を取り消す。2 被告は、原告に対し、1億円及びこれに対する令和6年6月18日から支払済みまで年3%の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
1 本件は、本件特許権1及び2を有する原告が、被告ゲームシステムは本件特許1に係る本件発明1の技術的範囲に、被告ゲームプログラムは本件特許2に係る本件発明2の技術的範囲にそれぞれ属するなどと主張して、被告に対し、主位的に特許権侵害に基づく損害賠償請求(民法709条、特許法102条2項、3項)として、予備的に不当利得返還請求(民法703条)として、1億円及びこれに対する令和6年6月18日(訴状送達日の翌日)から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金又は利息金の支払を求める事案である(一部請求)。原審は、① 被告ゲームシステムは、本件発明1の構成要件1B及び1Cを充足せず、本件発明1の技術的範囲に属するものではない、② 被告ゲームプログラムは、本件発明2の構成要件2Bを充足せず、本件発明2の技術的範囲に属するものではないし、本件発明2には進歩性欠如の無効事由があるとして、原告の請求をいずれも棄却し、原告は、これを不服として控訴を提起した。2 前提事実、争点及び争点に関する当事者の主張は、次のとおり補正ないし補充し、3のとおり当審における当事者の追加主張(予備的主張)を加えるほかは、原判決「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」の1及び2(原判決2頁16行目から8頁23行目まで)並びに「第3 争点に関する当事者の主張」の1から24まで(原判決8頁25行目から51頁23行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。
⑴ 原判決9頁2行目末尾を改行の上、次のとおり加える。「⑴ 被告ゲームシステムの構成は、次のとおりである(下線部は、原
5 判決の認定に係る構成と相違する部分である。)。a 被告ゲームシステムには、有料ルビーと無料ルビーが存在する。b ユーザがルビーを購入すると、購入金額に応じて、購入ルビー(有料ルビー)のみ、又は、購入ルビー(有料ルビー)と、ボーナスとして購入ルビー(無料ルビー)がそれぞれ付与される。例えば、ルビーを20個とする購入を行った場合、購入ルビー(有料ルビー)が20個付与され、購入ルビー(無料ルビー)は付与されない。ルビーを70個とする購入を行った場合、購入ルビー(有料ルビー)が65個、購入ルビー(無料ルビー)が5個付与される。c ユーザがゲームをプレイすることによって無料ルビーであるゲーム実行ルビーが付与される。d ユーザの所持アイテムはマイデータに表示される。例えば、購入ルビー(有料ルビー)を0個、ゲーム実行ルビーを11個保有していたユーザが、ルビーを20個とする購入を行った場合、購入ルビー(有料ルビー)を20個(0個+20個)、ゲーム実行ルビーを11個(11個+0個)保有していると表示され、ルビーを70個とする購入を行った場合、購入ルビー(有料ルビー)を65個(0個+65個)、ゲーム実行ルビーを16個(11個+5個)保有していると表示される。e ゲーム実行ルビーと購入ルビー(無料ルビー)の保有の有無にかかわらず、購入ルビー(有料ルビー)を保有している場合には、購入ルビー(有料ルビー)が優先して消費される。f 購入ルビー(有料ルビー)、ゲーム実行ルビー及び購入ルビー(無料ルビー)は、有料無料の区別なく、「コイン」、「メダル」又は「ハート」に交換し、「BOX」を開封することでツムを●●●獲得する場合には「コイン」や「メダル」を利用し、また、画面に表示されるツムを消去するゲームをプレイする場合には「ハート」を利用することができる。」
5 ⑵ 原判決9頁3行目から8行目までを次のとおり改める。「⑵ 上記⑴のとおり、被告ゲームシステムには、遊技価値アイテムとして、有料ルビーと無料ルビーが存在し、ユーザがルビーを購入すると、購入金額に応じて、購入ルビー(有料ルビー)のみ、又は、購入ルビー(有料ルビー)と、ボーナスとして購入ルビー(無料ルビー)がそれぞれ付与され、ユーザがゲームをプレイすることによって、無料ルビーであるゲーム実行ルビーが付与される。そして、構成要件1Aは、文言上、購入手続を行うことで、遊技価値アイテムである「第1の仮想アイテム」が、ゲームの実行により、同じく遊技価値アイテムである「第2の仮想アイテム」がそれぞれユーザに付与される構成を特定するものの、本件明細書1に記載された本件発明1の作用効果(「仮想的な遊技場を営業するサービス提供側の立場からすれば、直接的な収益に繋がる課金メダルMcを先に消費してもらうことで収益向上を図りやすいという利点もある。」【0036】)によれば、当該遊技価値アイテムが「第1の仮想アイテム」、「第2の仮想アイテム」のいずれに該当するかは、「第1の仮想アイテム」の優先消費により収益向上を図りやすいといえるかという経済的側面から判断されるべきであり、そうすると、課金対象の遊技価値アイテムである「第1の仮想アイテム」には、購入ルビー(有料ルビー)が、課金対象外の遊技価値アイテムである「第2の仮想アイテム」には、購入ルビー(無料ルビー)及びゲーム実行ルビーがそれぞれ該当するというべきである。被告は、「第1の仮想アイテム」が優先的に消費されても、全ての遊技価値アイテムが消費されなければ、ユーザが購入手続を行う必要はなく、収益向上に繋がらない旨の主張をするが、「前払式支払手段」に該当しない「第2の仮想アイテム」に優先して、これに該当する「第1の仮想アイテム」(前払式支払手段に該当する課金対象の遊技価値アイテムの購入代金は、そ
5 の購入時点では「前受金」として計上され、使用に至った場合に初めて「売上」として計上すべきものとされる。)を消費させる構成(構成要件1C)により、購入代金を早期に「売上」として計上することが可能となり、構造的に収益を生みやすいという作用効果を奏し得るのであるから、被告の主張は失当である。購入ルビー(無料ルビー)は、購入ルビー(有料ルビー)の未使用残高、及び、資金決済に関する法律所定の要供託額(基準日未使用残高の2分の1の額)の算定を簡略化し、1回当たりのルビーの購入金額が高額なユーザを優遇する手段として導入されているにすぎず、これは、課金対象外の遊技価値アイテムとして、「第2の仮想アイテム」に該当するというべきである。」
⑶ 原判決9頁12行目から13行目にかけての「購入ルビー(有料ルビー)とゲーム実行ルビーは」を「購入ルビー(有料ルビー)と、購入ルビー(無料ルビー)及びゲーム実行ルビーは」に改める。
⑷ 原判決9頁17行目末尾を改行の上、次のとおり加える。「⑴ 被告ゲームシステムの構成は、原判決58頁8行目から21行目までのとおりである。ルビーについては、有料ルビー、無料ルビー、及び、有料ルビーと無料ルビーの合計が表示されるのであり、「購入ルビー(有料ルビー)を0個、ゲーム実行ルビーを11個保有していたユーザが、ルビーを20個とする購入を行った場合、購入ルビー(有料ルビー)を20個(0個+20個)、ゲーム実行ルビーを11個(11個+0個)保有していると表示され」ることはない。」
⑸ 原判決9頁18行目の「被告ゲームシステムのうち」を「⑵ 被告ゲームシステムのうち」に改める。
⑹ 原判決9頁20行目末尾を改行の上、次のとおり加える。「 原告は、経済的側面から判断すると、購入ルビー(無料ルビー)は「第2の仮想アイテム」に該当する旨の主張をするが、「第1の仮想アイテ
5 ム」が優先的に消費されても、全ての遊技価値アイテムが消費されなければ、ユーザが購入手続を行う必要はなく、収益向上には繋がらない。構成要件1Aは、「第1の仮想アイテム」が購入手続を行うことで付与され、「第2の仮想アイテム」がゲームの実行により付与されることを特定するのであり、特許請求の範囲の記載によれば、前記のとおり、「第1の仮想アイテム」には、購入ルビー(有料ルビー)及び購入ルビー(無料ルビー)が、「第2の仮想アイテム」には、ゲーム実行ルビーがそれぞれ該当するというべきである。」
⑺ 原判決10頁1行目から2行目にかけての「区別されている」を「区別されていて、この点は、仮に「第1の仮想アイテム」には購入ルビー(有料ルビー)が、「第2の仮想アイテム」には購入ルビー(無料ルビー)及びゲーム実行ルビーがそれぞれ該当するとしても、同様である」に改める。
⑻ 原判決10頁11行目から12行目にかけての「その数量を蓄積しているから、ゲーム実行ルビーの個数を記憶している」を「有料ルビーと無料ルビーの数量を表示する前提として、購入ルビー(無料ルビー)とゲーム実行ルビーの数量を記憶している」に改める。
⑼ 原判決10頁25行目から11頁4行目までを次のとおり改める。「 前記のとおり、「第1の仮想アイテム」には、購入ルビー(有料ルビー)が、「第2の仮想アイテム」には、購入ルビー(無料ルビー)及びゲーム実行ルビーがそれぞれ該当するところ、被告ゲームシステムは、購入ルビー(有料ルビー)、並びに、購入ルビー(無料ルビー)及びゲーム実行ルビーの両方を保有している場合、後者に優先して前者を消費させる構成であるから、構成要件1Cを充足する。」
⑽ 原判決11頁17行目から24行目までを次のとおり改める。「 前記のとおり、「第1の仮想アイテム」には、購入ルビー(有料ルビー)が、「第2の仮想アイテム」には、購入ルビー(無料ルビー)及びゲー
5 ム実行ルビーがそれぞれ該当するところ、被告ゲームシステムは、その表示画面において、購入ルビー(有料ルビー)の表示領域と、購入ルビー(無料ルビー及びゲーム実行ルビーの表示領域とが区別されているのであるから、構成要件1Eを充足する。」
⑾ 原判決12頁11行目の「乙2文献は」を「本件発明1の原出願日(平成24年8月9日)より前に公開された乙2文献は」に改める。
⑿ 原判決13頁17行目の「仕組みになっており、」の次に「仮に、有償Weキャッシュとボーナスキャッシュでは、その使用(消費)範囲や単位(価値)に差異があるとしても、」を加える。
⒀ 原判決14頁22行目から24行目までを次のとおり改める。「 乙2文献は、Wemade社のゲームに関する利用規約及びウェブサイトの記事であり、上記利用規約の施行日は、2011年6月1日、上記ウェブサイトの最終更新日は、上記利用規約施行前の2008年4月2日である。上記ウェブサイトの記事は上記利用規約に基づくものではなく、これらを合わせて乙2発明の構成を特定することはできない。また、上記利用規約の内容は判然とせず、これによって乙2発明の構成を特定するのも困難である。」
⒁ 原判決14頁25行目の「本件発明1の」を「この点を措くとしても、本件発明1の」に、15頁1行目の「制限が付されているから」を「制限が付されている上、その有効期間や単位(価値)に差異があることから」にそれぞれ改め、18行目の「生じないにもかかわらず、」の次に「また、乙2発明が、有償Weキャッシュとボーナスキャッシュを敢えて異なる性質を有する仮想通貨として構成し、これらを「区別なく利用可能」な構成に変更することを全く予定していないにもかかわらず、」を加える。
⒂ 原判決17頁8行目の「仕組みになっており、」の次に「仮に、有償ファ
5 ンとボーナスファンとでは、その使用(消費)範囲や単位(価値)に差異があるとしても、」を加える。
⒃ 原判決18頁15行目の「制限が付されているから」を「制限が付されている上、その有効期間や単位(価値)に差異があることから」に改め、19頁5行目の「生じないにもかかわらず、」の次に「また、乙3発明が、有償ファンとボーナスファンを敢えて異なる性質を有する仮想アイテムとして構成し、これらを「区別なく利用可能」な構成に変更することを全く予定していないにもかかわらず、」を加える。
⒄ 原判決20頁12行目末尾を改行の上、次のとおり加える。「 原告の主張によれば、「購入手続きを行なうことでユーザーに付与される第1の仮想アイテム」を文言上充足し、かつ、文言上両立しない「ゲームの実行によりユーザーに付与される第2の仮想アイテム」に該当する仮想アイテムが存在することになるのであって、特許請求の範囲が第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確というべきである。また、原告の予備的主張(後述の「第3の仮想アイテム」に係る主張)を前提としても、「購入手続きを行なうことでユーザーに付与される第1の仮想アイテム」を文言上充足するのに、経済的側面を考慮した結果、これに該当しない仮想アイテムが存在することになるのであって、やはり、特許請求の範囲が第三者に不測の不利益を及ぼすほどに不明確というべきである。」
⒅ 原判決20頁26行目末尾を改行の上、次のとおり加える。「 構成要件1Aは、課金対象の遊技価値アイテムである「第1の仮想アイテム」、及び、課金対象外の遊技価値アイテムである「第2の仮想アイテム」につき、経済的側面から、「第1の仮想アイテム」の付与手続が「購入手続き」、「第2の仮想アイテム」のそれが「ゲームの実行」であることを特定するのであり、被告の主張するような問題が生ずるわけではない。」
⒆ 原判決21頁18行目の「それぞれ該当し」から24行目末尾までを「そ
5 れぞれ該当するところ、被告ゲームプログラムの「ユーザID」はプレイヤに一身専属的に帰属するのであるから、「ユーザID」に対応付けられた●●●●●●●は、当然にプレイヤに対応付けられていることになる。したがって、被告ゲームプログラムは、「プレイヤに対応づけて、ゲームアイテムデータを記憶する記憶手段」を備える。」に、25行目の「⑶ 被告は、「ゲームアイテムデータ」とは」を「⑵ 被告は、「ゲームアイテムデータ」は、同一のデータを対象とするものであり、これは」にそれぞれ改める。
⒇ 原判決22頁11行目から12行目にかけての「「ゲームアイテムデータ」とは」を「「ゲームアイテムデータ」は、同一のデータを対象とするものであり、これは」に改める。
(21) 原判決23頁2行目末尾を改行の上、次のとおり加える。「 被告は、被告ゲームプログラムは「金銭の支払いに基づき」を充足しない旨の主張をするが、金銭の支払とゲームアイテムデータの獲得との間に「コイン」等が介在するとしても、金銭の支払が根拠となってゲームアイテムデータを獲得するのであるから、被告ゲームプログラムは「金銭の支払いに基づき」を充足するというべきである。」
(22) 原判決23頁4行目の「被告ゲームプログラムは」を「被告ゲームプログラムは、サーバ装置2が●●●●●●●保持する構成を備え」に、11行目の「規定しているにすぎない」を「規定しているにすぎないし、仮にそうでないとしても、被告プログラムの●●●●●●●●●が「獲得」に、●●●●●●●●●●●の保持が「取得」にそれぞれ該当するのであるから、「獲得」と「取得」の前後関係は逆転していない」にそれぞれ改める。
(23) 原判決24頁1行目の「●●●●●●ではないから」を「「ツム」●●●●●●●●●●でもないし、金銭の支払によってゲーム実行の準備がされることもないから」に改める。
(24) 原判決24頁6行目の「仮に」を「被告ゲームプログラムが、サーバ装
5 置において●●●●●●●●を保持する構成を備えるとしても、●●●●●●●●を取得する取得手段を備えているとはいえない。また、仮に」に改める。
(25) 原判決26頁4行目の「しかしながら、」の次に「本件発明2の「ゲームアイテムデータ」は、複数の項目から成るデータ群として構成されているのであり、」を加える。
(26) 原判決27頁15行目の「スキルチケットを使用すると」から17行目の「明らかである」までを「スキルチケットに係る構成の技術的意義は、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●所望するツムを選択し、確実にスキルレベルを増加させることを可能にすることにあり、かかる付加的な構成によって、同一種類のゲームアイテムデータが繰り返し獲得された場合にも「遊戯者に一定の満足感を提供する」(本件明細書2【0138】)という本件発明2の作用効果は何ら減殺されるものではない。いずれにせよ、被告ゲームプログラムは、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●スキルレベルが1増加する構成であるから、構成要件2Bを充足する」に改める。
(27) 原判決28頁9行目末尾を改行の上、次のとおり加える。「 原告は、被告ゲームプログラムのスキルチケットに係る構成は付加的なものにすぎない旨の主張をするが、前記のとおり、被告ゲームプログラムは、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●スキルレベルを変更する構成であるから、失当である。」
(28) 原判決30頁14行目の「であるから」を「であり、また、ゲーム中のある時点における同一種類のアイテムの累計獲得数に応じてパラメータを変
5 更することは、乙8発明や乙27-1~27-4文献に記載された周知技術(以下「周知技術2」という。)であるから」に、24行目から25行目にかけての「乙8発明や乙27-1~27-4文献に記載された周知技術(以下「周知技術2」という。)」を「周知技術(周知技術2)」にそれぞれ改める。
(29) 原判決31頁22行目の「そして、乙6発明3は、」の次に「先発選手のオーダーを各選手の「日々変動する調子」に基づいて組み替える工夫をすることに一番の面白みを有するゲームであり、」を加え、26行目の「設定されるというものであり」を「設定される構成であるところ、これを、プレイヤが獲得した選手カードのデータが同一種類であると判断された場合、「日々変動する調子」のデータを、例えば「絶好調」に固定し、対象となる選手カードの選手が常に活躍できる構成に変更することは、乙6発明の本質を毀損するものであるから」に改める。
(30) 原判決32頁4行目末尾を改行の上、次のとおり加える。「 原判決の認定に係る乙6発明3の構成のうち、「選手カードの種類、調子」は、いずれも「選手カードに対応する種類、日々変動する調子」と、「選手カードの調子」は、いずれも「選手カードに対応し日々変動する調子」とすべきである。そして、本件発明2と乙6発明3は、本件発明2が、ゲームアイテムデータを「同一種類であると判断された前記ゲームアイテムデータの前記プレイヤによる累計獲得数に応じて変更する」構成であるのに対し、乙6発明3は、「同一種類であると判断された前記選手カードに対応する種類、日々変動する調子、守備力などのデータのうち、日々変動する調子を絶好調に変更し、その後、調子は再び日々変動する」構成である点で相違する。」
(31) 原判決34頁6行目の「相違点が認められるとしても、」の次に「そもそも、乙7発明は、金銭の支払をしてゲームソフトを購入しなければ、プレ
5 イすることができず、ソウルを入手することもできないのであるから、上記相違点は、実質的には相違点ではないし、」を加える。
(32) 原判決38頁23行目の「乙8発明の奪取した」から24行目末尾までを「乙8発明の取得手段は、プレイヤによる金銭の支払に基づくことなく、敵キャラクタを倒して武器を奪取するものである点が相違点である。」に改める。
(33) 原判決41頁3行目末尾を改行の上、次のとおり加える。「 乙39発明は、公然知られた発明(特許法29条1項1号)又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明(同項3号)であるから、その構成は、乙39文献に開示された構成、技術的思想から認定されるべきである。」
(34) 原判決42頁7行目末尾を改行の上、次のとおり加える。「 原告は、本件発明2と乙39発明は、① 本件発明2は、「前記判断手段が同一種類であると判断した場合、前記記憶手段に前記プレイヤに既に対応づけて記憶される、同一種類であると判断された前記ゲームアイテムデータの前記プレイヤによる累計獲得数に応じて変更する」構成であるのに対し、乙39発明は、同様の判断がされた場合、単に「同一種類であると判断された前記種類、獲得枚数及び基本パラメータ(格闘、射撃、砲撃等)のデータのうち獲得枚数を、1つ増加させるよう変更する」構成である点(以下「データ累計獲得変更に係る相違点」という。)、② 本件発明2は、ゲームアイテムデータの獲得が「前記プレイヤが金銭の支払いに基づき」行われる構成であるのに対し、乙39発明は、これが「無料でプレイヤに与えられるチケットとの交換により」行われる構成である点(以下「課金に係る相違点」という。)において相違する旨の主張をする。しかしながら、乙39発明は、「前記変更手段は、前記判断手段が同一種類であると判断した場合、前記記憶手段に前記プレイヤに既に対応づけて記
5 憶される、同一種類であると判断された前記種類、獲得枚数及び基本パラメータ(格闘、射撃、砲撃、回避等)のデータのうち獲得枚数のデータを1つ増加させ、かつ、基本パラメータを向上させるよう変更する」構成であり、本件発明2の構成要件2Bと一致するのであって、データ累計獲得変更に係る相違点は存在しない。また、乙39発明は、データの獲得が「基本料金の支払によってゲーム開始時にプレイヤに与えられるチケットや、プレイヤが追加購入したチケットとの交換により」行われる構成であり、本件発明2の構成要件2A⑵と一致するのであって、課金に係る相違点も存在しない。」
(35) 原判決42頁18行目末尾を改行の上、次のとおり加える。「ウ 仮に、原告の主張する相違点が存在するとしても、乙39文献には、上記の相違点に係る構成について記載があり、これを適用することは当然に動機付けられているから、当業者において容易に想到できる。」
(36) 原判決42頁19行目末尾を改行の上、次のとおり加える。「 乙39文献は、乙39ゲームのうち「クローズドβテスト」に係るゲームを紹介するウェブサイトの記事である。したがって、乙39発明の構成は「クローズドβテスト」に係るゲームの構成により認定すべきであり、これを「クローズドβテスト」終了後の正式リリース版にて採用予定とアナウンスされるのみで実装されていない構成により認定すべきでない。そうすると、乙39発明の構成は、次のとおりとなる。39a コンピュータを、39a⑴ プレイヤに対応付けて、パイロットユニットに対応する種類、獲得枚数及び基本パラメータ(格闘、射撃、砲撃等)のデータを記憶する記憶手段、39a⑵ 無料でプレイヤに与えられるチケットとの交換により、抽選によって前記プレイヤが入手したパイロットユニットに対応する種類及び基
5 本パラメータ(格闘、射撃、砲撃等)のデータを取得する取得手段、39a⑶ 前記記憶手段を参照し、前記取得手段により取得したパイロットユニットに対応する種類及び基本パラメータ(格闘、射撃、砲撃等)のデータが、前記プレイヤに既に対応付けられている種類、獲得枚数及び基本パラメータ(格闘、射撃、砲撃等)のデータと同一種類であるか否かを判断する判断手段、39a⑷ 前記判断手段が同一種類でないと判断した場合、前記取得手段により取得されたパイロットユニットに対応する種類、獲得枚数及び基本パラメータ(格闘、射撃、砲撃等)のデータを前記プレイヤに対応付けて前記記憶手段に登録し、前記判断手段が同一種類であると判断した場合、前記記憶手段に前記プレイヤに既に対応付けて記憶される、同一種類であると判断されたパイロットユニットに対応する種類、獲得枚数及び基本パラメータ(格闘、射撃、砲撃等)のデータを変更する変更手段、として機能させ、39b 前記変更手段は、前記判断手段が同一種類であると判断した場合、前記記憶手段に前記プレイヤに既に対応づけて記憶される、同一種類であると判断された前記種類、獲得枚数及び基本パラメータ(格闘、射撃、砲撃等)のデータのうち獲得枚数のデータを、1つ増加させるよう変更する、ことを特徴とする39c ゲームプログラム。」
(37) 原判決42頁21行目から43頁16行目までを次のとおり改める。「 本件発明2と乙39発明については、少なくとも、① データ累計獲得変更に係る相違点、② 課金に係る相違点が存在する。」
(38) 原判決43頁19行目から20行目までを次のとおり改める。「 乙39発明は、「同一種類であると判断された前記種類、獲得枚数及び基本パラメータ(格闘、射撃、砲撃等)のデータのうち獲得枚数のデータ
5 を、1つ増加させるよう変更する」構成であり、乙39発明において、同一の「パイロットユニットを複数所持している場合に、当該「パイロットユニット」に対応する「基本パラメータ(格闘、射撃、砲撃等)」のデータを変更することは想定されていない。また、乙39発明は、「クローズドβテスト」中のゲームであり、その実施期間は2週間程度にすぎない。かかる短期間に限り、かつ、無料でプレイヤを募り、テストの形式で実施されるゲームについて、プレイヤに金銭的な負担を求める課金(チケットの有料購入)の構成を採用することはあり得ない。以上によれば、乙39発明に周知技術等を適用することは想定できず、むしろ阻害されているというべきであるから、当業者において容易に想到できるものではない。」
(39) 原判決44頁18行目から19行目にかけての「そのようなことは、発明の詳細な説明には一切記載がない」を「本件明細書2には、どのようにして、先ず、プレイヤが当該無体物に係るデータを獲得し、次いで、取得手段が当該無体物に係るデータを獲得するのか記載されていない。ゲームアイテムが無体物を包含するのであれば、本件発明2は本件明細書2に記載された発明とはいえず、サポート要件に違反し、実施可能要件にも違反する」に改める。
(40) 原判決46頁18行目の「【0138】」を「【0137】【0138】【図19】」に改める。
(41) 原判決48頁9行目の「この点につき」から13行目の「記載されていない」までを「本件明細書2には、「コインの投入およびクレジットの投資」、「ゲーム実行の準備」、「1ゲームの進行処理」の「終了」を経て、「新たに払い出される予定の選手カード20のキャラクタデータを読み取」ることが記載されているのみであり(【0125】【0136】)、本件訂
5 正によれば、「金銭の支払い」を契機として「ゲームアイテムデータ」を取得したものは全て含まれることになるが、かかる態様は、本件明細書2に記載されていない」に改める。
(42) 原判決49頁11行目末尾に「被告は、本件訂正は特許法126条5項の規定に違反する旨の主張をするが、新規事項の追加に該当するか否かは、明細書等の全ての記載を総合して導かれる技術的事項との関係において、新たな技術的事項を導入するものか否かにより判断されるべきである。被告の主張は独自の基準に基づくものであり、失当である。」を加える。
(43) 原判決51頁6行目末尾を改行の上、次のとおり加える。「 また、本件発明2の「ゲームアイテム」が無体物を包含するのであれば、本件明細書2は、本件発明2に係るゲームプログラムを作成できる程度に発明の詳細な説明を記載するものではなく、実施可能要件に違反する。」3 当審における当事者の追加主張(予備的主張・均等侵害の成否)(原告の主張)被告ゲームシステムは、「第2の仮想アイテムの数量…を…記憶する手段」(構成要件1B)による記憶の対象が、「第2の仮想アイテム」に限定した「数量」ではなく、「第3の仮想アイテム」(ゲームの実行によることなく付与される課金対象外の遊技価値アイテム)である購入ルビー(無料ルビー)を合算した「数量」である点(以下「予備的主張に係る相違点」という。)で、構成要件1Bを充足しないとしても、次のとおり、本件発明1について均等侵害が成立する。
⑴ 均等侵害の第1要件本件発明1の特許請求の範囲の記載のうち、従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分は、① 課金対象の遊技価値アイテムである「第1の仮想アイテム」と課金対象外の遊技価値アイテムである「第2の仮想アイテム」を区別なく利用可能とし、② 「第2の仮想アイテム」に優
5 先して「第1の仮想アイテム」を消費させる手段を備えたゲームシステムを提供することにあり、予備的主張に係る相違点は、本件発明1の本質的部分ではない。
⑵ 均等侵害の第2要件本件発明1における、「記憶する手段」(構成要件1B)による記憶の対象(カウント範囲)を、「第2の仮想アイテム」であるゲーム実行ルビーに、「第3の仮想アイテム」である購入ルビー(無料ルビー)を合算した数量とする構成に置き換えても、区別なく利用可能な「第1の仮想アイテム」と「第2の仮想アイテム」のうち、「第1の仮想アイテム」を優先して消費させることにより収益向上を図るという、本件発明1の目的を達することができ、同一の作用効果を奏する。
⑶ 均等侵害の第3要件本件発明1における、「記憶する手段」(構成要件1B)による記憶の対象(カウント範囲)を、「第2の仮想アイテム」であるゲーム実行ルビーに、「第3の仮想アイテム」である購入ルビー(無料ルビー)を合算した数量とする構成に置き換えることは、被告ゲームシステム提供の時点において、当業者が適宜選択することのできた設計的事項にすぎない。
⑷ 均等侵害の第4要件被告ゲームシステムの構成は、本件特許1の特許出願時における公知技術と同一ではなく、当業者が容易に推考できたものでもない。
⑸ 均等侵害の第5要件被告ゲームシステムの構成は、本件発明1の特許出願手続において特許請求の範囲から意識的に除外されたものに該当するなどの特段の事情はない。原告は、本件発明1の特許出願手続において、先行技術との差異を記載した意見書を提出したが、これは「第2の仮想アイテム」と「第3の仮想アイテム」を合算した数量を記憶する構成を除外することを内容とするものでは
5 ない。(被告の主張)次のとおり、均等侵害は成立しない。
⑴ 均等侵害の第1要件本件発明1は、新規性及び進歩性を欠く発明であり、その特許請求の範囲の記載のうち、従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分はないし、これがあるとしても、特許請求の範囲の記載と同義というべきである。いずれにせよ、本件明細書1の記載(【0004】)に照らすと、本件発明1の「第2の仮想アイテムの数量とを…記憶する手段」(構成要件1B)を備える構成は、遊技者が、遊技結果で獲得した遊技価値アイテムのみを用いて遊技をし続けることにより、遊技が無料化し、収益を生みづらいものになるという課題を解決するための必須の構成であるから、予備的主張に係る相違点は、本件発明1の本質的部分に該当し、均等侵害の第1要件を充足しない。
⑵ 均等侵害の第2要件予備的主張に係る相違点を被告ゲームシステムの構成に置き換えると、「第2の仮想アイテム」の数量が不明となり、本件発明1と同一の作用効果を奏するとはいえない。
⑶ 均等侵害の第3要件予備的主張に係る相違点を被告ゲームシステムの構成に置き換えることが、被告ゲームシステム提供の時点において、当業者が適宜選択することのできた設計的事項であることについて、何ら証拠はない。
⑷ 均等侵害の第4要件仮に、被告ゲームシステムが、予備的主張に係る相違点以外の構成要件を充足し、かつ、予備的主張に係る相違点の構成が設計的事項にすぎないとい
5 うのであれば、本件特許1の特許出願時においても、上記構成は設計的事項ということになるから、被告ゲームシステムの構成は、本件特許1の特許出願時における公知技術と同一又は当業者がこれから当該出願時に容易に推考できたものということになる。
⑸ 均等侵害の第5要件原告は、本件発明1の特許出願手続において、先行技術と異なり、「本願発明は、『第1の仮想アイテムの数量と第2(の)仮想アイテムの数量とをそれぞれ記憶』しており、第1の仮想アイテムの数量、及び、第2の仮想アイテムの数量について、ゲームスタートに必要な単位以上の数量をそれぞれ記憶することが可能です。」と記載した意見書を提出しているところ、これは、第2の仮想アイテムの数量を独立して記憶しない構成を特許請求の範囲から意識的に除外したものと評価できる。したがって、均等侵害の第5要件を充足しない。
第3 当裁判所の判断
1 当審も、原告の請求に理由はなく、本件控訴は棄却すべきものと判断する。
その理由は、次のとおり補正ないし補充し、2のとおり当審における当事者の追加主張に対する判断を付加するほかは、原判決「事実及び理由」欄の「第4当裁判所の判断」の1から5まで(原判決52頁5行目から76頁18行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。
⑴ 原判決57頁4行目から8行目までを次のとおり改める。
「ア 「第1の仮想アイテムの数量」及び「第2の仮想アイテムの数量」の意義」
⑵ 原判決57頁24行目から58頁5行目までを次のとおり改める。
「 前記の特許請求の範囲及び本件明細書1の記載に加え、「数量」は「個数、分量」の意味を有する用語であることを考慮すると、「第1の仮想アイテムの数量」の意義は、「購入手続を行うことでユーザに付与される遊
5 技価値アイテムの個数、分量」と、「第2の仮想アイテムの数量」のそれは、
「ゲームの実行によりユーザに付与される遊技価値アイテムの個数、分量」とそれぞれ解釈するのが相当である。原告は、「第1の仮想アイテム」及び「第2の仮想アイテム」の意義は、「第1の仮想アイテム」の優先消費により収益向上を図りやすいといえるかという経済的側面から判断されるべきである旨の主張をし、他方、被告は、「数量」の意義は、その技術的意義にかんがみると「総量」と解釈すべきである旨の主張をするが、「第1の仮想アイテムの数量」及び「第2の仮想アイテムの数量」の意義は前記のとおりであり、いずれも採用することができない。」
⑶ 原判決58頁8行目から21行目までを次のとおり改める。
「a 被告ゲームシステムには、有料ルビーと無料ルビーが存在する。b ユーザがルビーを購入すると、購入金額に応じて、購入ルビー(有料ルビー)のみ、又は、購入ルビー(有料ルビー)と、ボーナスとして購入ルビー(無料ルビー)がそれぞれ付与される。例えば、ルビーを20個とする購入を行った場合、購入ルビー(有料ルビー)20個が付与され、購入ルビー(無料ルビー)は付与されない。ルビーを70個とする購入を行った場合、購入ルビー(有料ルビー)が65個、購入ルビー(無料ルビー)が5個付与される。c ユーザがゲームをプレイすることによって無料ルビーであるゲーム実行ルビーが付与される。d ユーザの所持アイテムについては、マイデータに有料ルビーの総量と無料ルビーの総量がそれぞれ表示される。例えば、有料ルビーを0個、無料ルビーを11個保有していたユーザが、ルビーを20個とする購入を行った場合、有料ルビーを20個(0個+20個)、無料ルビーを11個(11個+0個)保有していると表示され、ルビーを70個とする購
5 入を行った場合、購入ルビー(有料ルビー)が65個、ボーナスとして
購入ルビー(無料ルビー)が5個付与される結果、有料ルビーを65個(0個+65個)、無料ルビーを16個(11個+5個)保有していると表示される。e 無料ルビーの保有の有無にかかわらず、有料ルビーを保有している場合には、有料ルビーが優先して消費される。f ルビーは、「コイン」、「メダル」又は「ハート」に交換可能であり、有料ルビーは「有料コイン」又は「有料メダル」に、無料ルビーは「無料コイン」又は「無料メダル」に交換される。「BOX」を開封することで「ツム」を●●●●●獲得する場合には、「コイン」や「メダル」を利用し、画面に表示される「ツム」を消去するゲームをプレイする場合には、「ハート」を利用することができる。」
⑷ 原判決59頁13行目の「上記認定事実によれば」を「前記のとおり、
「第1の仮想アイテムの数量」の意義は、「購入手続を行うことでユーザに付与される遊技価値アイテムの個数、分量」と、「第2の仮想アイテムの数量」のそれは、「ゲームの実行によりユーザに付与される遊技価値アイテムの個数、分量」と解釈するのが相当であるところ、前記認定事実によれば」に改める。
⑸ 原判決60頁10行目、12行目から13行目にかけて、及び、14行目
から15行目にかけての「ゲーム実行ルビーの総量」をいずれも「ゲーム実行ルビーの数量」に改める。
⑹ 原判決60頁18行目末尾を改行の上、次のとおり加える。
「 原告は、本件発明1の作用効果が「第1の仮想アイテム」の優先消費により収益向上を図るという経済的側面にあることを踏まえると、被告ゲームシステムの購入ルビー(有料ルビー)は「第1の仮想アイテム」に、購入ルビー(無料ルビー)及びゲーム実行ルビーは「第2の仮想アイテム」にそ
5 れぞれ該当するところ、被告ゲームシステムは、課金対象の遊技価値アイテ
ムである購入ルビー(有料ルビー)の数量と、課金対象外の遊技価値アイテムである購入ルビー(無料ルビー)及びゲーム実行ルビーを合算した数量をそれぞれ記憶する構成であるから、構成要件1Bを充足する旨の主張をする。しかしながら、前記のとおり、「第1の仮想アイテムの数量」の意義は、「購入手続を行うことによりユーザに付与される遊技価値アイテムの個数、分量」であり、「第2の仮想アイテムの数量」のそれは、「ゲームの実行によりユーザに付与される遊技価値アイテムの個数、分量」というべきであって、
(原告の主張)
は前提において採用し得ない。」
⑺ 原判決60頁22行目から24行目までを次のとおり改める。
「 被告ゲームシステムは、「第1の仮想アイテム」である購入ルビー(無料ルビー)及び「第2の仮想アイテム」であるゲーム実行ルビーを合算した数量を、無料ルビーの総量として表示する構成であり、「第2の仮想アイテムの数量」を記憶する手段を備えないことは、前記のとおりである。」
⑻ 原判決61頁12行目から13行目にかけての「被告システムは、」の次
に「本件明細書1に記載(【0004】【0005】【0036】)された、本件発明1における」を加える。
⑼ 原判決61頁19行目末尾を改行の上、次のとおり加える。
「⑷ 以上によれば、被告ゲームシステムは、少なくとも構成要件1B及び構成要件1Cを充足しないから、その余の点について判断するまでもなく、本件発明1について文言侵害は成立しない。」
⑽ 原判決65頁12行目の「…」を「このとき、新たなコインの投入および
クレジットの投資が有効となり、ゲーム実行の準備がなされる。」に改める。
⑾ 原判決67頁17行目から69頁6行目までを次のとおり改める。
「4 被告ゲームプログラムの構成被告ゲームプログラムの構成は、次のとおりである(当事者間に争いは
5 ない。)。
2a サーバ装置2を、2a⑴ ユーザIDに対応付けて、●●●●●●●●●●●●●●●●「スキルレベル」を記憶するメモリ手段、●(省略)●●●●●● ●●●●●● ●(省略)● ●●●●●●●●● ●●●●● ●●● ●●●●●● ●●●●● ●●● ●●●●●● ●●●●● ●●● ●●●●●● ●●●●● ●●● ●●●2a⑵ ユーザが、購入したルビーを交換して入手した、あるいはゲーム進行によって入手した、所定数のコイン又はメダルと引き換えに、所定の購入手続を行ったときに、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●ツムを獲得する。)、2a⑶ ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●2a⑷ ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
5 ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●2b ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●2c ゲームプログラム。
5 本件発明2に係る構成要件充足性
5 ⑴ 「プレイヤに対応づけて、ゲームアイテムデータを記憶する記憶手段」
(構成要件2A⑴)についてア 請求項2は、ゲームアイテムデータが、プレイヤに対応付けて記憶され(構成要件2A⑴)、これが、プレイヤに既に対応付けられているものと同一種類であるか否か判断され(構成要件2A⑶)、同一種類であると判断した場合、プレイヤによる累計獲得数に応じて変更される(構成要件2B)構成を特定する。また、本件明細書2には、「新たに払い出される予定の選手カード20のキャラクタデータを読み取り、…読み取られたキャラクタデータに対応する選手カード20の所有権情報を、遊戯者情報に紐付けられた所有権情報に追加して、データベースに記憶されている所有権情報を更新して記憶する処理を行い…」(【0136】)、「遊戯者情報に紐付けられた所有権情報に新たな選手カード20の所有権情報の追加処理を行う際に、所有権の有無だけではなく、これまでに累計何枚獲得したかというカード獲得数情報を記憶する処理を実行する構成としても良い。」、「カード獲得数情報に応じて、対応する選手カード20の各種パラメータに変更を加えることができるように構成しても良い。」、「例えば、獲得数データの数値が大きいほど、対応する選手カード20のキャラクタの基本パラメータが上昇する構成とすることで、一般に排出率が高く、希少価値の低いノーマルカード(コモンカード)と呼ばれる選手カード20であっても、その排出率の高さから繰り返し同様のノーマルカードを獲得することでレアカードと同等のパラメータ値となるように構成することができる。」(【0138】)などと記載され、選手カード20のキャラクタデータ、所有権情報、カード獲得数情報、基本パラメータ等の一群の情報が遊戯者情報に紐付けられて記憶され、更新され、同一種類であるか否か判断さ
5 れ、獲得数データに応じて変更されることが開示されている。
かかる特許請求の範囲及び本件明細書2の記載を考慮すると、「ゲームアイテムデータ」の意義は、特定のゲームのアイテムに関し、一連の処理を行う上で必要となり、相互に関連性を有する一群のデータと解釈するのが相当であるところ、前記のとおり、被告ゲームプログラムは、サーバ装置2を、ユーザIDに対応付けて、特定のゲームのアイテムに関し、一連の処理を行う上で必要となり、相互に関連性を有する一群のデータである●●●●●●●●●●●●●●●●「スキルレベル」を記憶するメモリ手段として機能させる構成であるから、構成要件2A⑴を充足するというべきである。イ 被告は、被告ゲームプログラムの「ユーザID」は「プレイヤ」に該当せず、「プレイヤに対応づけて、ゲームアイテムデータを記憶する」構成ではない旨の主張をするが、被告ゲームプログラムは、「ユーザID」が「ユーザ」に紐付けられ、ユーザIDに対応付けて●●●●●●●●●●●●●●●●「スキルレベル」という一群のデータを記憶する構成であるから、やはり、構成要件2A⑴を充足するというべきである。また、被告は、「ゲームアイテムデータ」は、有体物に係るデータと解釈すべきである旨の主張もするが、本件発明2の特許請求の範囲及び本件明細書2の記載に照らすと、上記主張を採用することはできない。
⑵ 「前記プレイヤが金銭の支払いに基づき獲得したゲームアイテムデー
タを取得する取得手段」(構成要件2A⑵)についてア 請求項2は、情報処理装置を、プレイヤが金銭の支払いに基づき獲得したゲームアイテムデータを取得する取得手段として機能させる構成を特定する。また、本件明細書2には、「払出カードデータ読み取
5 り手段が新たに払い出される予定の選手カード20のキャラクタデー
タを読み取り、続いて、…読み取られたキャラクタデータに対応する選手カード20の所有権情報を、遊戯者情報に紐付けられた所有権情報に追加して、データベースに記憶されている所有権情報を更新して記憶する処理を行い…」【0136】)などと記載され、払い出される予定であるものの現実には払い出されていない、すなわち観念的に獲得したにとどまる選手カード20の所有権情報を、遊戯者情報に紐付けられた所有権情報に追加し、データベースに記憶されている所有権情報を更新して記憶する処理を行う構成が開示され、併せて、コインの投入又はクレジットの投資が有効となってゲームの実行の準備がされ、ゲームの実行がされて1ゲームの進行処理が終了すると、選手カード20の払い出しをするか否かを選択する処理に進む構成が開示されている(【0124】【0125】【0136】【図19】)。かかる特許請求の範囲及び本件明細書2の記載に加え、「基づき(基づく)」は「もととして起こる。起因する。」(甲24)との意味を有する用語であることを考慮すると、「プレイヤが金銭の支払いに基づき獲得したゲームアイテムデータを取得する取得手段」の意義は、「プレイヤが金銭の支払いに起因して少なくとも観念的には獲得したゲームアイテムデータを取得する取得手段」と解釈するのが相当である。そして、被告ゲームプログラムは、サーバ装置2を、① ユーザが、購入したルビーを交換して入手したコイン又はメダルと引き換えに、所定の購入手続を行ったときに、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
5 ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●ツムを獲得する(2a⑵)構成であり、●●●●●●●●●●●●●●●●●●を保持した上、ユーザIDに対応付けてメモリ手段への記憶又は書換手段による書き換えを実行する構成であることを踏まえると、ユーザは、金銭の支払に起因して●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●観念的に「獲得」し、サーバ装置2は、メモリ手段、書換手段●●●●●●において●●●●●●●●に基づく一連の処理を行うために、これを「取得」するものというべきであるから、構成要件2A⑵を充足する。イ 被告は、被告ゲームプログラムでは、プレイヤが獲得するのは「ツム」であって、有体物に係るデータではない旨の主張をするが、前記のとおり、「ゲームアイテムデータ」は有体物に係るデータに限られるものでない。また、被告は、被告ゲームプログラムにおいて、金銭の支払により購入できるのは有償ルビーであり、これによってゲームの実行が準備されることもないから、「金銭の支払いに基づき」を充足しない旨の主張をするが、前記のとおり、「金銭の支払いに基づき」の意義は、「金銭の支払に起因して」と解釈するのが相当であり、金銭の支払と●●●●●●●●の獲得との間に、購入したルビーを交換して入手したコインやメダルが介在するからといって、構成要件2A⑵の充足性が否定されるものではない。さらに、被告は、被告ゲームプログラムでは、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
5 ●●を保持する構成を備えるとしても、これを取得するものではない
旨の主張をするが、前記のとおり、被告ゲームプログラムでは、メモリ手段、書換手段●●●●●●において●●●●●●●●に基づく処理を実行するために、●●●●●●●●●●●●●を取得しているというべきである。被告は、●●●●●●●●を取得しているとしても、「獲得」と「取得」の前後関係が異なる旨の主張もするが、前記のとおり、ユーザは、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●ことによって、当該●●●●●●●●を観念的に「獲得」し、サーバ装置2は、メモリ手段、書換手段●●●●●●において●●●●●●●●に基づく一連の処理を行うために、これを「取得」するものというべきであるから、「獲得」と「取得」の前後関係は異ならない。
(被告の主張)
は、いずれも採用することができない。
⑶ 「前記記憶手段を参照し、前記取得手段により取得したゲームアイテ
ムデータが、前記プレイヤに既に対応づけられているゲームアイテムデータと同一種類であるか否かを判断する判断手段」(構成要件2A
⑶)について
ア 前記のとおり、「ゲームアイテムデータ」の意義は、特定のゲームのアイテムに関し、一連の処理を行う上で必要となり、相互に関連性を有する一群のデータと解釈するのが相当であるから、「同一種類であるか否かを判断する」の意義は、取得手段により取得した一群のデータが、プレイヤに既に対応付けられている一群のデータと同一種類であるか否かを判断することと解釈するのが相当である。そして、被告ゲームプログラムは、●●●●●●●●●●●●●●●●「スキルレベル」という一群のデータのうち、●●●●●●●●●●●●保持されている●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
5 ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
する構成であるから、構成要件2A⑶を充足する。イ 被告は、被告ゲームプログラムは、●●●●●●●●●●●●●が、ユーザIDに既に対応付けられている●●●●●●●●と同一種類であるか否かを判断するものではない旨の主張をするが、採用できない。
⑷ 「前記判断手段が同一種類でないと判断した場合、前記取得手段によ
り取得されたゲームアイテムデータを前記プレイヤに対応づけて前記記憶手段に登録し、前記判断手段が同一であると判断した場合、前記記憶手段に前記プレイヤに既に対応づけて記憶される、同一種類であると判断された前記ゲームアイテムデータを変更する変更手段」(構成要件2A⑷)について被告ゲームプログラムは、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●構成であり、前記⑴から
⑶までを踏まえると、構成要件2A⑷を充足する。
⑸ 「同一種類であると判断された前記ゲームアイテムデータを、同一種
類であると判断された前記ゲームアイテムデータの前記プレイヤによる累計獲得数に応じて変更する」(構成要件2B)について
5 ア 構成要件2Bは、判断手段が同一種類であると判断した場合、記憶
手段にプレイヤに既に対応付けて記憶される、同一種類であると判断されたゲームアイテムデータを、同一種類であると判断されたプレイヤによる累計獲得数に応じて変更する構成を特定する。また、本件明細書2には、「遊技者情報に紐付けられた所有権情報に新たな選手カード20の所有権情報の追加処理を行う際に、所有権の有無だけではなく、これまでに累計何枚獲得したかというカード獲得数情報を記憶する処理を実行する構成としても良い。そして、カード獲得数情報に応じて、対応する選手カード20の各種パラメータに変更を加えることができるように構成しても良い。」(【0138】)などと記載され、カード獲得数情報(選手カードの累計獲得数)を記憶し、これに応じて、対応する選手カードの各種パラメータに変更を加える構成が開示されている。かかる特許請求の範囲及び本件明細書2の記載に加え、「応じて(応ずる)」は、「物事の変化に合わせて、それにふさわしく対応する。」(甲52の1)、「物事の状況・状態の変化にふさわしい対応をする。」(甲52の2)、「物事の状態・変化に見合うようにする。」(甲52の3)との意味を有する用語であることを考慮すると、「累計獲得数に応じて変更する」の意義は、累計獲得数の変化に見合うように変更することと解釈するのが相当である。そして、被告ゲームプログラムは、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
5 ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●(累計獲得数)の変化に見合うように「スキルレベル」を変更する構成を備えているといえるから、構成要件2Bを充足するというべきである。イ 被告は、被告ゲームプログラムは、スキルチケットを使用する●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●構成であり、構成要件2Bを充足しない旨の主張をする。しかしながら、カード獲得数情報に応じて、対応する選手カードの各種パラメータに変更を加える構成により、「既に獲得済みの選手カード20が払い出される時であっても、遊戯者に一定の満足感を提供することが可能である」(本件明細書2【0138】)との本件発明2の作用効果を考慮すると、被告ゲームプログラムが、●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●(累計獲得数)の変化に見合うように「スキルレベル」を変更する構成を備える以上、スキルチケットの使用により「スキルレベル」を増加させる構成をも備えるからといって、構成要件2Bの充足性が否定されるものではない。
⑹ 「情報処理装置」(構成要件2A)及び「ゲームプログラム」(構成要
件2C)について被告ゲームプログラムの「サーバ装置2」が、「情報処理装置」(構成要件2A)に該当し、被告ゲームプログラムの「ゲームプログラム」が、「ゲームプログラム」(構成要件2C)に該当することは明らかであり、被告ゲームプログラムは、構成要件2A及び構成要件2Cを充足する。
⑺ 以上によれば、被告ゲームプログラムは、本件発明2の構成要件を充足
するというべきである。」
5 ⑿ 原判決69頁7行目の「5」を「6」に改め、8行目から12行目までを
削る。
⒀ 原判決69頁18行目、20行目から21行目にかけて、22行目から2
3行目にかけて、24行目、70頁1行目、5行目、9行目、17行目から18行目にかけて、20行目から21行目にかけて、及び、71頁10行目から11行目にかけての「選手カードの種類、調子」をいずれも「選手カードに対応する種類、日々変動する調子」に、70頁6行目、10行目、21行目、71頁11行目及び12行目の「調子」をいずれも「日々変動する調子」に改める。
⒁ 原判決72頁2行目から12行目までを次のとおり改める。
「 上記認定事実及び弁論の全趣旨によれば、同一種類のアイテムを複数獲得した際、同一種類のアイテムの累計獲得数に応じて、プレイヤに一定の満足感を与えるため、キャラクタがより強化するようにパラメータを変更することは周知技術であると認められる。そして、乙6発明3において、同一の選手カードを複数獲得することは当然に想定されるところ、乙6発明の「同一種類であると判断された選手カードに対応する種類、日々変動する調子のうち、日々変動する調子を絶好調に変更する」構成と上記周知技術の構成は、同一種類のアイテムを複数獲得した際、同一種類のアイテムの累計獲得数に応じて、プレイヤに一定の満足感を与えるため、キャラクタがより強化するようにパラメータを変更する点において、作用効果を共通にする。上記の事情を踏まえると、乙6発明3に接した当業者には、上記周知技術を乙6発明3に適用する動機付けがあるといえ、同一種類の選手カードの累計獲得数に応じて、日々変動する調子を絶好調に変更する構成を、同一種類の選手カードの累計獲得数に応じて、選手カードに対応する調子や守備力等のパラメータを段階的に上昇(変更)させる構成とすることは、当業者にお
5 いて容易に想到し得たものと認められる。」
⒂ 原判決73頁5行目末尾を改行の上、次のとおり加える。
「 また、原告は、乙6発明3(乙6ゲーム)が、先発選手のオーダーを各選手の「日々変動する調子」に基づいて組み替える工夫をすることに一番の面白みを有するゲームであることに照らすと、「日々変動する調子」のデータを「絶好調」に固定する構成に変更することは乙6発明の本質を毀損する旨の主張もする。しかしながら、証拠(乙6-1、6-7)及び弁論の全趣旨によれば、乙6ゲームは「実在のプロ野球選手をカードとして入手し、オーダーを決定」することに醍醐味があること、乙6ゲームは、野手カードにつき、巧打力、長打力、走力、バント、守備力、精神力、また、投手カードにつき、体力、球速、球威、変化球、制球力、精神力という複数のパラメータを備えるものであることが認められ、かかる事情を踏まえると、プレイヤは、実在のプロ野球選手に対する思い入れや、複数のパラメータの値を総合勘案して、先発選手のオーダーを決定するものというべきであるから、乙6ゲームが先発選手のオーダーを各選手の「日々変動する調子」に基づいて組み替える工夫をすることに一番の面白みを有するゲームであるということはできない。」
⒃ 原判決73頁22行目末尾を改行の上、次のとおり加える。
「 原告は、乙39発明の構成は、乙39ゲームのうち「クローズドβテスト」に係るゲームの構成により認定すべきであり、これを「クローズドβテスト」終了後の正式リリース版にて採用予定とアナウンスされるのみで実装されていない構成により認定すべきでない旨の主張をする。この点、特許法29条1項3号に規定する「頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明」は、当業者が特許出願時の技術水準に基づいて容易に発明をすることができたか否かを判断する基礎となるべきものであるから、当該刊行物等において、これに接
5 した当業者が、特許出願時の技術水準に基づいて、その技術的事項を実施し
得る程度に技術的思想が開示されているのであれば、特許を受けようとする発明は、同号に規定する「頒布された刊行物に記載された発明又は電気通信回線を通じて公衆に利用可能となった発明」に該当するというべきである。これを本件についてみると、乙39文献は、「クローズドβテスト」に係るゲームを紹介するウェブサイトの記事であるところ、同記事には、基本料金の支払や追加購入によりチケットが付与され、「MSやパイロット、戦術のユニット」は、上記チケットと交換して入手すること、「βテスト」では実装されていないものの、パイロットユニットについては、同一パイロットを複数持っている場合、基本パラメータを向上させることなどが記載されていて、これに接した当業者は、正式リリース版においては、上記の構成を備えるものと理解するものといえる。そして、乙39文献において、基本料金の支払や追加購入によりチケットが付与される構成や、チケットと交換して入手したパイロットユニットについて、同一パイロットを複数持っている場合、基本パラメータを向上させる構成が開示されていて、これに接した当業者は、本件特許2の出願時の技術水準に基づいて、かかる構成を備えるゲームプログラムを作成し、これを実施し得るというべきである。
(原告の主張)
は採用することができない。」
⒄ 原判決75頁22行目から76頁2行目までを次のとおり改める。
「 原告は、乙39発明の構成を、乙39ゲームのうち「クローズドβテスト」に係るゲームの構成により認定することを前提に、短期間に限り、かつ、無料でプレイヤを募って、テストの形式で実施されるゲームについて、プレイヤに金銭的な負担を求める構成を採用することはあり得ない旨の主張をするが、その前提において失当である。そして、これまで説示したところによれば、原告のその余の容易想到性に係る主張も採用することができない。」
5 ⒅ 原判決76頁4行目から14行目までを次のとおり改める。
「前記のとおり、同一種類のアイテムを複数獲得した際、同一種類のアイテムの累計獲得数に応じて、プレイヤに一定の満足感を与えるため、キャラクタがより強化するようにパラメータを変更することは周知技術であると認められる。そして、乙39発明において、同一のパイロットユニットを複数入手することは当然に想定されるところ、乙39発明の「プレイヤに同一種類のパイロットが複数対応づけられていると、当該パイロットの種類及び基本パラメータのうち、基本パラメータを向上させる」構成と上記周知技術の構成は、同一種類のアイテムを複数獲得した際、同一種類のアイテムの累計獲得数に応じて、プレイヤに一定の満足感を与えるため、キャラクタがより強化するようにパラメータを変更する点において、作用効果を共通にする。上記の事情を踏まえると、乙39発明に接した当業者には、上記周知技術を適用する動機付けがあるといえ、同一パイロットの累計獲得数に応じて基本パラメータを向上させる構成とすることは、当業者において容易に想到し得たものと認められる。」
2 当審における当事者の追加主張(予備的主張・均等侵害の成否)に対する判
断原告は、本件発明1の特許請求の範囲の記載のうち、従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分は、① 課金対象の遊技価値アイテム(「第1の仮想アイテム」)と課金対象外の遊技価値アイテム(「第2の仮想相アテム」)を区別なく利用可能とし、② 課金対象外の遊技価値アイテムに優先して課金対象の遊技価値アイテムを消費させる手段を備えたゲームシステムを提供することにあり、予備的主張に係る相違点は本件発明1の本質的部分ではない旨の主張をする。しかしながら、本件明細書1に、本件発明1が解決しようとする課題として、
5 「従来のサービスにおいては、遊技者が経済的価値化体物と交換した遊技価値
アイテムと、遊技結果に基づいて獲得した遊技価値アイテムとに区別がないため、遊技者は、遊技結果で獲得した遊技価値アイテムのみを用いて遊技をし続けることができ、そのため、遊技が無料化してしまい、仮想的な遊技場を営業するものにとっては収益を生みづらいものとなってしまっていた。」(【0004】)、「本発明は、遊技結果により獲得した遊技価値アイテムを用いて遊技をし続けることができる場合におけるような、収益を生みづらい構造を改良したゲーム装置およびゲームプログラムを提供することを目的とする。」(【0005】)と、また、その作用効果として、「仮想的な遊技場を営業するサービス提供側の立場からすれば、直接的な収益に繋がる課金メダルMcを先に消費してもらうことで収益向上を図りやすいという利点もある。」(【0036】)と記載されていることを考慮すると、本件発明1における、従来技術に見られない特有の技術的思想を構成する特徴的部分は、購入手続を行うことでユーザに付与される遊技価値アイテム(「第1の仮想アイテム」)と、ゲームの実行によりユーザに付与される遊技価値アイテム(「第2の仮想アイテム」)を区別なく利用可能なゲームを実行するゲームシステムにおいて、「第1の仮想アイテム」の数量と、「第2の仮想アイテム」の数量とをそれぞれ記憶する手段を備えることにより(構成要件1B)、ユーザが「第1の仮想アイテム」及び「第2の仮想アイテム」の両方を保有している場合に、「第2の仮想アイテム」に優先して「第1の仮想アイテム」を消費させる手段を備えたこと(構成要件1C)にあると解される。これに対し、被告ゲームシステムは、「第1の仮想アイテム」である購入ルビー(無料ルビー)及び「第2の仮想アイテム」であるゲーム実行ルビーを合算した数量を、無料ルビーの総量として表示する構成であり、「第1の仮想アイテム」の数量と、「第2の仮想アイテム」の数量とをそれぞれ記憶する手段を備える構成でも、したがって、「第2の仮想アイテム」に優先して「第1の
5 仮想アイテム」を消費させる手段を備えた構成でもない。
そうすると、本件発明1の構成中の被告ゲームシステムと異なる部分(予備的主張に係る相違点)は本件発明1の本質的部分というべきであるから、被告ゲームシステムは、均等侵害の第1要件を充足しない。したがって、その余の点について判断するまでもなく、本件発明1について均等侵害は成立しない。
第4 結論
以上によれば、本件控訴は理由がないから、これを棄却することとして、主文のとおり判決する。知的財産高等裁判所第2部裁判長裁判官森 冨 義 明裁判官菊 池 絵 理裁判官天 野 研 司(別紙)特許請求の範囲
1 本件特許1の特許請求の範囲【請求項1】及び【請求項2】
5 【請求項1】
1A 購入手続きを行なうことでユーザーに付与される第1の仮想アイテム、および、ゲームの実行によりユーザーに付与される第2の仮想アイテムを区別なく利用可能なゲームを実行するゲームシステムであって、1B 前記ユーザーに対応付けて、前記第1の仮想アイテムの数量と、前記第2の仮想アイテムの数量とをそれぞれ記憶する手段と、1C 前記ユーザーが前記第1の仮想アイテムおよび前記第2の仮想アイテムの両方を保有している場合、第2の仮想アイテムに優先して第1の仮想アイテムを消費させる手段と、1D を備えたことを特徴とするゲームシステム。【請求項2】1E 前記ゲームシステムの表示画面内において、前記第1の仮想アイテムの表示領域と前記第2の仮想アイテムの表示領域とが区別されている、1F 請求項1に記載のゲームシステム。
2 本件特許2の特許請求の範囲【請求項2】
【請求項2】2A 情報処理装置を、
⑴ プレイヤに対応づけて、ゲームアイテムデータを記憶する記憶手段、
⑵ 前記プレイヤが金銭の支払いに基づき獲得したゲームアイテムデータを取得する取
得手段、
⑶ 前記記憶手段を参照し、前記取得手段により取得したゲームアイテムデータが、前
記プレイヤに既に対応づけられているゲームアイテムデータと同一種類であるか否かを判断する判断手段、
⑷ 前記判断手段が同一種類でないと判断した場合、前記取得手段により取得されたゲ
ームアイテムデータを前記プレイヤに対応づけて前記記憶手段に登録し、前記判断手
5 段が同一種類であると判断した場合、前記記憶手段に前記プレイヤに既に対応づけて
記憶される、同一種類であると判断された前記ゲームアイテムデータを変更する変更手段、として機能させ、2B 前記変更手段は、前記判断手段が同一種類であると判断した場合、前記記憶手段に前記プレイヤに既に対応づけて記憶される、同一種類であると判断された前記ゲームアイテムデータを、同一種類であると判断された前記ゲームアイテムデータの前記プレイヤによる累計獲得数に応じて変更することを特徴とする、2C ゲームプログラム。以上
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