知財判決速報/裁判例集知的財産に関する判決速報,判決データベース

ホーム > 知財判決速報/裁判例集 > 令和8(ネ)10045 商標権侵害による不法行為損害賠償請求控訴事件

この記事をはてなブックマークに追加

令和8(ネ)10045商標権侵害による不法行為損害賠償請求控訴事件

判決文PDF

▶ 最新の判決一覧に戻る

裁判所 控訴棄却 知的財産高等裁判所
裁判年月日 令和8年10月8日
事件種別 民事
当事者 被控訴人関ケ原町 Y₂ Y₃
法令 商標権
商標法36条1項1回
キーワード 侵害9回
商標権7回
損害賠償5回
差止2回
主文 1 本件控訴をいずれも棄却する。
2 控訴費用は控訴人の負担とする。
事件の概要 あるのは「控訴人」と、「被告」(「被告Y₁」を除く。)とあるのは「被控訴 人」と、「被告Y₁」とあるのは「一審被告Y₁」と、「別紙」とあるのは「原 判決別紙」とそれぞれ読み替える。)

▶ 商標権に関する裁判例

本サービスは判決文を自動処理して掲載しており、完全な正確性を保証するものではありません。正式な情報は裁判所公表の判決文(本ページ右上の[判決文PDF])を必ずご確認ください。

判決文

令和8年10月8日判決言渡

令和8年(ネ)第10045号 商標権侵害による不法行為損害賠償請求控訴事件

(原審 東京地方裁判所令和7年(ワ)第70146号)

口頭弁論終結日 令和8年8月20日

判 決

控 訴 人 X

被 控 訴 人 関 ケ 原 町

被 控 訴 人 Y₂

(以下「被控訴人Y₂」という。)

被 控 訴 人 Y₃

(以下「被控訴人Y₃」という。)

被控訴人ら訴訟代理人弁護士 池 田 智 洋

主 文

1 本件控訴をいずれも棄却する。

2 控訴費用は控訴人の負担とする。

事 実 及 び 理 由

第1 控訴の趣旨

1 原判決中、被控訴人らに関する部分を取り消す。2 被控訴人らは、控訴人に対し、連帯して、20万円及びこれに対する令和7年4月1日から支払済みまで年3パーセントの割合による金員を支払え。3 訴訟費用中当審において生じた部分及び原審において控訴人と被控訴人らとの間に生じた部分は、全て被控訴人らの負担とする。

第2 事案の概要(以下、略語は原判決の表記に従う。なお、原判決に「原告」と

あるのは「控訴人」と、「被告」(「被告Y₁」を除く。)とあるのは「被控訴人」と、「被告Y₁」とあるのは「一審被告Y₁」と、「別紙」とあるのは「原判決別紙」とそれぞれ読み替える。)1 本件は、原判決別紙商標目録記載1ないし3の各商標(以下、同目録の項番に従い「控訴人商標1」ないし「控訴人商標3」といい、これらを併せて「控訴人各商標」という。)に係る商標権(以下、控訴人商標1から3までに係る商標権を「控訴人商標権1」ないし「控訴人商標権3」といい、これらを併せて「控訴人各商標権」という。)を有する控訴人が、控訴人各商標の登録出願後に警告書を送付したにもかかわらず、被控訴人ら及び被控訴人関ケ原町の代表者町長である一審被告Y₁が無断で控訴人各商標を使用した旨主張して、被控訴人ら及び一審被告Y₁に対し、①商標法36条1項及び2項に基づき、控訴人各商標を付した物品の頒布の差止め及び同物品の廃棄並びに控訴人各商標を使用した事業の差止めを求めるとともに、②商標法13条の2第1項に基づき、損失に相当する額である105万円及びこれに対する被控訴人らによる商標使用行為の後である令和5年10月26日から支払済みまで民法所定の年3%の割合による遅延損害金の支払を求めた事案である。原審が控訴人の請求をいずれも棄却したところ、控訴人が被控訴人らに対し、上記②の請求の一部のみを不服として控訴した。2 前提事実は、原判決「事実及び理由」第2の2(原判決2頁19行目から3頁19行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する(以下、原判決の引用部分について「事実及び理由」との記載を省略する。)。3 当審における争点及び争点に対する当事者の主張は、後記4のとおり控訴人の主な補充主張を付加するほかは、原判決第2の3⑵(原判決3頁22行目から24行目まで)並びに第3の2及び3(原判決4頁15行目から5頁19行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。ただし、次のとおり補正する。原判決3頁22行目の「商標法13条の2」を「商標法13条の2第1項(以下、単に「商標法13条の2」という。)」と改める。4 当審における控訴人の主な補充主張

⑴ 原審の判断は、当事者を同じくする著作権侵害を理由とした別訴に係る損害賠償請求訴訟事件(東京地方裁判所令和5年(ワ)第70582号損害賠償請求事件)の判決(令和7年3月28日判決言渡し。乙2。以下、同事件を「別訴事件」と、その判決を「別訴判決」という。)と判断基準が異なっており、同じ知的財産権を取り扱う裁判所でありながら「二重規範」となっているものであって、これにつき納得できる合理的な理由が存在しない。

⑵ 別訴事件は控訴人の著作物を侵害した、本件訴訟と同じ一審被告らに対し損害賠償を求めたものであり、別訴判決は控訴人の請求を一部認容したところ、本件訴訟と別訴事件で警告書の送付方法・内容や被控訴人らの責任範囲は変わっていないにもかかわらず、原判決は控訴人の請求をいずれも棄却した。この判断は同じ知的財産権を取り扱う裁判所での同一の規範となっていないことに問題があるものである。

⑶ 原判決は、一審被告Y₁に伝えていないことを控訴人の主張を認めない理由としているが、本件訴訟は公権力による侵害事件として訴えているものであり、被控訴人Y₂と被控訴人Y₃への警告で十分である。また、商標設定された後でも使用が継続されていた事実があり、商標先願権を犯していることも明白である。

⑷ 被控訴人らは、本件警告書は個人宛てであることから商標法13条の2の警告の要件を備えない旨主張するが、本件商標の使用行為は被控訴人関ケ原町が行う事業の一環として被控訴人Y₃、被控訴人Y₂により行われたものであるから、当該行為は公務員が職務の執行として行った公権力の行使にほかならず、その帰属主体は被控訴人関ケ原町である。また、控訴人が本件警告書を送付した趣旨は、当該職員を通じて被控訴人関ケ原町に当該事業における商標の使用態様が商標権を侵害することを指摘しその是正を求める点にあった。これらのことから、本件警告書は、実質においては被控訴人関ケ原町に対する侵害中止要請の性質を有するものと解すべきである。

第3 当裁判所の判断

1 当裁判所も、当審の争点に係る控訴人の請求はいずれも棄却すべきものと判

断する。その理由は、当審における控訴人の主な補充主張も踏まえ、次のとおり補正するほかは、原判決第4の1(原判決5頁22行目から8頁8行目まで)に記載のとおりであるから、これを引用する。

⑴ 原判決6頁6行目の末尾の次を改行し、次のとおり加える。

「-3.又、同事業で貴殿らが発行した帳票(案内、ポスター、賞状、合格証など)に使用されたマスコットを含むデザインの著作権は著作者である当方にあります。」

⑵ 原判決7頁15行目の「当該記載が」の次に「出願中の」を、同頁19行

目の「そして、」の次に「本件警告書の送付当時に出願中で登録に至っていない控訴人商標1及び2の文字部分は「関ケ原の戦い 検定 一級合戦士」、みっ や「関ケ原BOYS 三ちゃん&康っくん」であるのに対し、本件警告書には、前記のとおり「関ケ原検定(セキケン)、及び「合戦士」の商標は、当方が所持(登録)」と記載されているなど、」をそれぞれ加える。

2 当審における控訴人の主な補充主張に対する判断

⑴ 控訴人は、前記第2の4⑴及び⑵のとおり、原判決は、同一の警告に基づ

きながら別訴判決と異なる基準を採用するなどしており、誤りである旨などを主張する。しかし、本件訴訟の金銭請求は商標法13条の2を根拠とするものであり、本件警告書の記載が同条の要件を満たすか否かが問題となるので、同じ本件警告書に端を発した著作権侵害に基づく損害賠償請求事件である別訴事件と結論的に異なる判断となったとしても、請求の根拠法条がそもそも異なる以上、問題とすべき点はない。したがって、控訴人の上記主張は採用することができない。

⑵ 控訴人は、前記第2の4⑶のとおり、本件警告書は被控訴人Y₂と被控訴人

Y₃に対してなされており、警告として十分である旨、商標登録後にも本件商標を使用していた事実があり「商標先願権」を侵害する旨を主張する。しかし、本件警告書の名宛人は被控訴人Y₂と被控訴人Y₃であって、本件警告書には、同人らの本件警告書に対する対応次第では被控訴人関ケ原町の代表者に対し通知をする旨等の記載があり、本件警告書が被控訴人関ケ原町ないしその代表者に対し警告をする趣旨のものとは認められない。また、商標法13条の2は、出願後、商標設定登録前の商標の使用に基づき損失が生じた場合についての請求権について定めたものであるから、登録後の使用には適用がないところ、そもそも控訴人各商標の設定登録後における使用の事実についても本件証拠上認められない。したがって、控訴人の上記主張はいずれも採用することができない。

⑶ 控訴人は、前記第2の4⑷のとおり、本件警告書につき、その趣旨等に鑑

みれば、実質において被控訴人関ケ原町に対する警告(侵害中止要請)の性質を有するものと解すべきであると主張する。しかし、既に述べたとおり、本件警告書の名宛人は、その趣旨や記載内容等に鑑みても被控訴人Y₂と被控訴人Y₃と認められるので、本件警告書は商標法13条の2の要件を満たさない。したがって、控訴人の上記主張は採用することができない。

3 よって、原判決は相当であり、本件控訴はいずれも理由がないから棄却する

こととして、主文のとおり判決する。知的財産高等裁判所第3部裁判長裁判官佐 藤 達 文裁判官今 井 弘 晃裁判官柵 木 澄 子

最新の判決一覧に戻る

法域

特許裁判例 実用新案裁判例
意匠裁判例 商標裁判例
不正競争裁判例 著作権裁判例

最高裁判例

特許判例 実用新案判例
意匠判例 商標判例
不正競争判例 著作権判例

来週の知財セミナー (10月26日~11月1日)

10月29日(木) - オンライン

第68回東北大学知財セミナー

特許事務所紹介 IP Force 特許事務所紹介

プライムワークス国際特許事務所

〒153-0061 東京都目黒区中目黒1-8-1VORT中目黒Ⅰ3階 特許・実用新案 意匠 商標 外国特許 外国意匠 外国商標 訴訟 鑑定 コンサルティング 

イージスエイド特許事務所

東京都新宿区四谷2-12-5 四谷ISYビル3階 PDI特許商標事務所内 特許・実用新案 訴訟 鑑定 コンサルティング 

弁護士法人T&N 長友国際法律事務所

〒063-0811 札幌市西区琴似1条4丁目3-18紀伊国屋ビル3階 特許・実用新案 意匠 商標 外国特許 外国意匠 外国商標 訴訟 コンサルティング