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平成22(ワ)8137民事訴訟 特許権

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裁判所 請求棄却 大阪地方裁判所
裁判年月日 平成24年3月29日
事件種別 民事
当事者 被告株式会社ドレスファイル訴訟承継人
原告株式会社ハッピー株式会社クリエイターズ・ラブ
法令 特許権
特許法100条2項1回
キーワード 特許権22回
無効19回
差止11回
侵害9回
無効審判9回
進歩性7回
実施5回
刊行物1回
損害賠償1回
主文 1 被告は,別紙被告方法目録記載の方法を使用してはならない。
2 被告は,被告の提供する「オンラインクローゼット」サービスにおいて,別紙被告物件目録記載の装置を使用してはならない。
3 原告のその余の請求をいずれも棄却する。
4 訴訟費用は,これを4分し,その1を被告の負担とし,その余を原告の負担とする。
5 この判決は,1項及び2項に限り,仮に執行することができる。
事件の概要 本件は,後記本件特許権を有する原告が,被告が,その提供する「オンラ インクローゼット」サービス(以下「被告サービス」という。)において別 紙被告方法目録記載の方法(以下「被告方法」という。)及び別紙被告物件 目録記載の装置(以下「被告装置」という。)を使用する行為が,本件特許 権を侵害する行為であると主張して,被告に対し,本件特許権に基づき,被 告サービスにおける被告方法の使用差止め及び被告装置の使用の差止めを 求めるとともに(被告方法の差止めについては,後記本件特許権1を主位的 に,本件特許権2を1次的予備的に,本件特許権3を2次的予備的に行使す る。被告装置の差止めについては,後記本件特許権4を主位的に,本件特許 権5を1次的予備的に,本件特許権6を2次的予備的に行使する。),その付 随的請求として,被告装置の廃棄及び被告サービスで登録された情報を記録 しているデータベースの消去,並びに謝罪広告の新聞紙への掲載を求めた事 案である。なお,本件訴訟は,当初,株式会社ドレスファイルを被告として, 上記請求に損害賠償請求を併合して提起されたが,株式会社ドレスファイル のオンラインクローゼットサービス事業が被告に譲渡されたことに伴い,上

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判決文

平成24年3月29日判決言渡 同日原本交付 裁判所書記官
平成22年(ワ)第8137号 特許権侵害差止等請求事件
口頭弁論終結日 平成24年2月2日
判 決
原 告 株 式 会 社 ハ ッ ピ ー
被 告 株式会社ドレスファイル訴訟承継人
株式会社クリエイターズ・ラブ
同訴訟代理人弁護士 吉 ヶ 江 治 道
同 廣 瀬 淳
同 新 保 雄 一
主 文
1 被告は,別紙被告方法目録記載の方法を使用してはならない。
2 被告は,被告の提供する「オンラインクローゼット」サービスにおいて,
別紙被告物件目録記載の装置を使用してはならない。
3 原告のその余の請求をいずれも棄却する。
4 訴訟費用は,これを4分し,その1を被告の負担とし,その余を原告の負
担とする。
5 この判決は,1項及び2項に限り,仮に執行することができる。
事 実 及 び 理 由
第1 請求
1 主文1,2項同旨
2 被告は,別紙被告物件目録記載の装置を廃棄し,被告の提供する「オンラ
インクローゼット」サービスで登録された情報を記録しているデータベース
を消去せよ。
3 被告は,別紙謝罪広告目録記載の謝罪広告を,同目録記載の要領で,同目
録記載の新聞紙に,各1回宛掲載せよ。
4 仮執行宣言
第2 事案の概要
本件は,後記本件特許権を有する原告が,被告が,その提供する「オンラ
インクローゼット」サービス(以下「被告サービス」という。)において別
紙被告方法目録記載の方法(以下「被告方法」という。)及び別紙被告物件
目録記載の装置(以下「被告装置」という。)を使用する行為 が,本件特許
権を侵害する行為であると主張して,被告に対し,本件特許権に基づき,被
告サービスにおける被告方法の使用差止め及び被告装置の使用の差止めを
求めるとともに(被告方法の差止めについては,後記本件特許権1を主位的
に,本件特許権2を1次的予備的に,本件特許権3を2次的予備的に行使す
る。被告装置の差止めについては,後記本件特許権4を主位的に,本件特許
権5を1次的予備的に,本件特許権6を2次的予備的に行使する。 ,その付

随的請求として,被告装置の廃棄及び被告サービスで登録された情報を記録
しているデータベースの消去,並びに謝罪広告の新聞紙への掲載を求めた事
案である。なお,本件訴訟は,当初,株式会社ドレスファイルを被告として,
上記請求に損害賠償請求を併合して提起されたが,株式会社ドレスファイル
のオンラインクローゼットサービス事業が被告に譲渡されたことに伴い,上
記本訴請求部分に係る訴訟だけが被告に承継されたものである。
1 判断の基礎となる事実(当事者間に争いがない。)
(1) 当事者
ア 原告
原告は,クリーニング事業及びこれに附帯する業務等を業とする株式
会社である。
イ 被告
被告は,インターネットを利用した,衣類,その他動産の保管・メン
テナンス・宅配サービス等を業とする株式会社である。
(2) 本件特許権
原告は,次の特許(以下「本件特許」といい,各請求項に係る発明を,
順に「本件発明1」などといい,併せて「本件各発明」という。)に係る
特許権(以下「本件特許権」という。なお,請求項単位で本件特許権をい
うときには,各請求項に係る本件特許権を順に「本件特許権1」などとい
う。)を有している。
特許番号 第3604335号
出 願 日 平成12年9月5日
登 録 日 平成16年10月8日
発明の名称 預かり物の提示方法,装置およびシステム
特許請求の範囲
【請求項1】
クリーニング対象の品物の保管業務における顧客からの預かり物
の内容をインターネットを介して顧客に提示する預かり物の提示方
法であって,提示者が利用する第1通信装置により,顧客から預かる
べき複数の品物又は顧客から預かった複数の品物の画像データを得
て,該複数の品物の画像データを記憶手段に記憶する第1ステップと,
顧客が直接利用するウェブブラウザ機能を備えた第2通信装置から
受信するユーザ情報と前 記複数の品物の画像データに対応付けて前
記記憶手段に予め記憶された認証情報とに基づいて認証を行う第2
ステップと,前記ユーザ情報が前記認証情報と一致する場合に,前記
記憶手段に記憶された前記複数の品物の画像データの中から,前記ユ
ーザ情報に対応するものを一覧出力形式で,品物の顧客による識別の
用に供すべく,前記第2通信装置へ送信する第3ステップとを有し,
該第3ステップは,品物を識別した顧客の画面上における所定のクリ
ック操作に応じて品物の選択的な返却要求を前記第2通信装置から
送信させるようになしたウェブページに,前記品物に対応する画像デ
ータを含めて送信することを特徴とする預かり物の提示方法。
【請求項2】
顧客からの前記品物の返却要求の受信に伴って,顧客から返却要求
があった旨の情報をその品物に対応付けて出力する第4ステップを
更に有することを特徴とする請求項1記載の預かり物の提示方法。
【請求項3】
前記画像データは,ディジタルカメラで撮像したものであることを
特徴とする請求項1又は2記載の預かり物の提示方法。
【請求項4】
クリーニング対象の品物の保管業務における顧客の預かり物の内
容をインターネットを介して顧客に提示 する預かり物の提示装置で
あって,顧客から預かるべき複数の品物又は顧客から預かった複数の
品物の画像データを得て,該複数の品物の画像データを記憶する記憶
手段と,顧客が直接利用するウェブブラウザ機能を備えた通信装置か
ら受信するユーザ情報と前記複数の品物の画像データに対応付けて
前記記憶手段に予め記憶された認証情報とに基づいて認証を行う認
証手段と,前記ユーザ情報が前記認証情報と一致する場合に,前記記
憶手段に記憶された前記複数の品物の画像データの中から,前記ユー
ザ情報に対応するものを一覧出力形式で,品物の顧客による識別の用
に供すべく,前記通信装置へ送信する送信手段とを備え,該送信手段
は,品物を識別した顧客の画面上における所定のクリック操作に応じ
て品物の選択的な返却要求を前記通信装置から送信させるようにな
したウェブページに,前記品物に対応する画像データを含めて送信す
べくなしてあることを特徴とする預かり物の提示装置。
【請求項5】
顧客からの前記品物の返却要求の受信に伴って,顧客から前記品物
の返却要求があった旨の情報をその品物に対応付けて出力する出力
手段を更に備えることを特徴とする請求項4記載の預かり物の提示
装置。
【請求項6】
顧客から預かるべき品物又は顧客から預かった品物の画像データ
を撮像するディジタルカメラを更に備え,前記記憶手段は,前記ディ
ジタルカメラにより撮像された画像データを記憶すべくなしてある
ことを特徴とする請求項4又は5記載の預かり物の提示装置。
(3) 構成要件の分説
本件各発明の構成要件を分説すると,次のとおりである。
ア 本件発明1
1A クリーニング対象の品物の保管業務における顧客からの預か
り物の内容をインターネットを介して顧客に提示する 預かり物
の提示方法であって,
1B 提示者が利用する第1通信装置により,顧客から預かるべき複
数の品物又は顧客から預かった複数の品物の画像データを得て,
該複数の品物の画像データを記憶手段に記憶する第1ステップ
と,
1C 顧客が直接利用するウェブブラウザ機能を備えた第2通信装
置から受信するユーザ情報と前記複数の品物の画像データに対
応づけて前記記憶手段に予め記憶された認証情報とに基づいて
認証を行う第2ステップと,
1D 前記ユーザ情報が前記認証情報と一致する場合に,前記記憶手
段に記憶された前記複数の品物の画像データの中から,前記ユー
ザ情報に対応するものを一覧出力形式で,品物の顧客による識別
の用に供すべく,前記第2通信装置へ送信する第3ステップとを
有し,
1E 該第3ステップは,品物を識別した顧客の画面上における所定
のクリック操作に応じて品物の選択的な返却要求を前記第2通
信装置から送信させるようになしたウェブページに,前記品物に
対応する画像データを含めて送信する
1F ことを特徴とする預かり物の提示方法。
イ 本件発明2
2A 顧客からの前記品物の返却要求の受信に伴って,顧客から返却
要求があった旨の情報をその品物に対応付けて出力する第4ス
テップを更に有する
2B ことを特徴とする請求項1記載の預かり物の提示方法。
ウ 本件発明3
3A 前記画像データは,ディジタルカメラで撮像したものである
3B ことを特徴とする請求項1又は2記載の預かり物の提示方法。
エ 本件発明4
4A クリーニング対象の品物の保管業務における顧客の預かり物
の内容をインターネットを介して顧客に提示する預かり物の提
示装置であって,
4B 顧客から預かるべき複数の品物又は顧客から預かった複数の
品物の画像データを得て,該複数の品物の画像データを記憶する
記憶手段と,
4C 顧客が直接利用するウェブブラウザ機能を備えた通信装置か
ら受信するユーザ情報と前記複数の品物の画像データに対応付
けて前記記憶手段に予め記憶された認証情報とに基づいて認証
を行う認証手段と,
4D 前記ユーザ情報が前記認証情報と一致する場合に,前記記憶手
段に記憶された前記複数の品物の画像データの中から,前記ユー
ザ情報に対応するものを一覧出力形式で,品物の顧客による識別
の用に供すべく,前記通信装置へ送信する送信手段とを備え,
4E 該送信手段は,品物を識別した顧客の画面上における所定のク
リック操作に応じて品物の選択的な返却要求を前記通信装置か
ら送信させるようになしたウェブページに,前記品物に対応する
画像データを含めて送信すべくなしてある
4F ことを特徴とする預かり物の提示装置。
オ 本件発明5
5A 顧客からの前記品物の返却要求の受信に伴って,顧客から前記
品物の返却要求があった旨の情報をその品物に対応付けて出力
する出力手段を更に備える
5B ことを特徴とする請求項4記載の預かり物の提示装置。
カ 本件発明6
6A 顧客から預かるべき品物又は顧客から預かった品物の画像デ
ータを撮像するディジタルカメラを更に備え,
6B 前記記憶手段は,前記ディジタルカメラにより撮像された画像
データを記憶すべくなしてある
6C ことを特徴とする請求項4又は5記載の預かり物の提示装置。
(4) 被告の行為
被告は,業として,インターネットを利用した衣類のクリーニング及び
保管並びに宅配を行う「オンラインクローゼット」サービス(被告サービ
ス)を提供している。
2 争点
(1) 被告方法は本件発明1ないし3の技術的範囲に属するか (争点1)
(2) 被告装置は本件発明4ないし6の技術的範囲に属するか (争点2)
(3) 本件各発明は進歩性を欠如しており,本件特許は特許無効審判により無
効にされるべきものと認められるか (争点3)
第3 争点に係る当事者の主張
1 争点1(被告方法は本件発明1ないし3の技術的範囲に属するか)につい

【原告の主張】
以下のとおり,被告サービスで使用される被告方法は,本件発明1ないし
3の技術的範囲に属する。
(1) 被告方法の構成
被告方法の構成は,別紙被告方法目録記載のとおりであるところ,その
構成を分説すると,次のとおりである。
ア 本件発明1に対応する構成
1a 顧客の所有する衣類,履物,かばん等のアイテムをクリーニン
グした後にアパレル専用倉庫で保管する保管業務における,アパ
レル専用倉庫で保管しているアイテムの内容を,インターネット
を介して顧客に提示する。
1b 提示者が利用する第1通信装置により,顧客から預かった複数
のアイテムの画像データをクリーニング後に得て,該複数のアイ
テムの画像データを記憶手段に記憶する第1ステップを有する。
1c 上記第1通信装置により,顧客が直接利用するウェブブラウザ
機能を備えた第2通信装置から受信するユーザ情報と前記複数
のアイテムの画像データに対応付けて前記記憶手段に予め記憶
された認証情報とに基づいて認証を行う第2ステップを有する。
1d 上記第1通信装置により,前記ユーザ情報が前記認証情報と一
致する場合に,顧客画面上で「返却する」メニューの表示が求め
られるとき,前記ユーザ情報に対応するアパレル専用倉庫で保管
しているアイテムの画像データを一覧出力形式で,アイテムの顧
客による識別の用に供すべく,前記第2通信装置へ送信する第3
ステップを有する。
1e 該第3ステップは,アイテムを識別した顧客の「返却する」メ
ニュー画面上でのクリック操作に応じてアパレル専用倉庫で保
管しているアイテムの中から選択的な返却要求を前記第2通信
装置へ送信させるようになしたウェブページに,前記アパレル専
用倉庫で保管しているアイテムに対応する画像データを含めて
送信する。
1f ことを特徴とする保管されているアイテムの提示方法。
イ 本件発明2に対応する構成
2a 顧客からの前記アイテムの返却要求の受信に伴って,顧客から
返却要求があった旨の情報をそのアイテムに対応付けて出力す
る第4ステップを有する。
2b 前記アの構成1aないし1eを備えることを特徴とする保管
されているアイテムの提示方法。
ウ 本件発明3に対応する構成
3a 前記画像データは,ディジタルカメラで撮像したものである。
3b 前記アの構成1aないし1eを備えることを特徴と する保管
されているアイテムの提示方法。
(2) 被告方法と本件発明1ないし3との対比
ア 本件発明1との対比
(ア) 構成要件1Aについて
被告方法の構成1aのうち,「顧客の所有する衣類,履物,かばん
等のアイテム」は,クリーニングされた後にアパレル専用倉庫で保管
される品物であるから,「クリーニング対象の品物」であるし,「保管
業務」は,「クリーニング対象の品物」と等価である「アイテム」を
アパレル専用倉庫で保管する業務であるから,「クリーニング対象の
品物の保管業務」である。
また,アパレル専用倉庫で保管するためには,顧客からアイテムを
預かる必要があるため,構成1aの「アパレル専用倉庫で保管してい
るアイテム」は,「顧客からの預かり物」である。
そして,構成1aは,インターネットを介して品物を顧客に提示す
るものである。
したがって,構成1aは,構成要件1Aを充足する。
(イ) 構成要件1Bについて
被告方法の構成1bは,「提示者が利用する第1通信装置により,
画像データを記憶手段に記憶する第1ステップ」を有する。
また,構成1bの「顧客から預かった複数のアイテムの画像データ
をクリーニング後に得る」ことは,保管業務のために顧客から預かっ
た複数アイテムの画像データを得ることを意味するから,「顧客から
預かった複数の品物の画像データを得る」ことである。
そして,構成1bでは,このようにして得たアイテムの画像データ
を,記憶手段であるデータベースに登録することから,顧客から預か
った複数の品物の画像データを記憶手段に記憶している。
したがって,構成1bは,構成要件1Bを充足する。
(ウ) 構成要件1Cについて
被告方法の構成1cは,「第1通信装置により,顧客が直接利用す
るウェブブラウザ機能を備えた第2通信装置から受信するユーザ情
報と記憶手段に予め記憶された認証情報とに基づいて認証を行う第
2ステップ」を有する。
そして,構成1cにおける認証情報が,「複数のアイテムの画像デ
ータに対応づけられた」ものであるし,前記(ア)で述べたとおり,
「品
物」と「アイテム」とは等価である。
したがって,構成1cは,構成要件1Cを充足する。
(エ) 構成要件1Dについて
被告方法の構成1dは,「前記ユーザ情報が前記認証情報と一致す
る場合に,前記ユーザ情報に対応する画像データを一覧出力形式で,
顧客による識別の用に供すべく,前記第2通信装置へ送信する第3ス
テップ」を有する。
また,構成1dの「アパレル専用倉庫で保管しているアイテム」は,
前記(ア)で述べたとおり,「顧客からの預かり物」であるから,「アパ
レル専用倉庫で保管しているアイテムの画像データ」は,「顧客から
預かった品物に対して得た画像データ」である。
そして,構成1dにおいて,第2通信装置へ送信する画像データは,
「ユーザ情報に対応する顧客から預かった品物の画像データ」である。
さらに,構成要件1Dでは,ユーザ情報が認証情報と一致する場合
に,品物の画像データが送信されるから,構成1dの「顧客画面上で
「返却する」メニューの表示が求められるときに画像データが送信さ
れること」は,構成要件1Dの内容が制限されたものにすぎない。
したがって,構成1dは,構成要件1Dを充足する。
(オ) 構成要件1Eについて
被告方法の構成1eは,「第3ステップは,顧客のクリック操作に
おいて選択的な返却要求を第2通信装置へ送信させるようになした
ウェブページに,画像データを含めて送信する」ものである。
また,構成1eにおける第2通信装置に送信されるウェブページは,
「返却する」メニュー画面上でなされる顧客のクリック操作に応じて
返却要求がなされるものであるから,「顧客の画面上における所定の
クリック操作に応じて」返却要求がなされるものである。
そして,構成1eの「アパレル専用倉庫で保管しているアイテム」
は,前記(ア)で述べたとおり,「顧客からの預かり物」である。
したがって,構成1eは,構成要件1Eを充足する。
(カ) 構成要件1Fについて
被告方法の構成1fにおける「保管されているアイテムの提示方
法」は,前記(ア)で述べたとおり,
「預かり物の提示方法」と同等とい
える。
したがって,構成1fは,構成要件1Fを充足する。
イ 本件発明2との対比
(ア) 構成要件2Aについて
被告方法の構成2aは,「顧客からの返却要求の受信に従って,顧
客からの返却要求があった旨の情報を出力する第4ステップ」を有す
る。
また,構成2aにおいて,出力する情報はアイテムに対応付けた情
報であるが,前記ア(ア)で述べたとおり,
「アイテム」と「品物」は同
等であるから,これに対応付けた情報も同等といえる。
したがって,構成2aは,構成要件2Aを充足する。
(イ) 構成要件2Bについて
前記アで述べたとおり,被告方法の構成1aないし1eは,それぞ
れ本件発明1の構成要件1Aないし1Eを充足しており,「保管され
ているアイテムの提示方法」は,「預かり物の提示方法」と同等とい
える。
したがって,構成2bは,構成要件2Bを充足する。
ウ 本件発明3との対比
(ア) 構成要件3Aについて
被告方法の構成3aは,「画像データは,ディジタルカメラで撮像
したものである」から,構成要件3Aを充足する。
(イ) 構成要件3Bについて
前記アで述べたとおり,被告方法の構成1aないし1eは,それぞ
れ本件発明1の構成要件1Aないし1Eを充足しており,「保管され
ているアイテムの提示方法」は,「預かり物の提示方法」と同等とい
える。
したがって,構成3bは,構成要件3Bを充足する。
【被告の主張】
以下のとおり,被告方法は,本件発明1ないし3の技術的範囲に属さない。
(1) 被告方法の構成について
下記アないしウで個別に指摘する点を除き,被告方法が,原告が特定及
び分説して主張する個々の構成を有することは認める。しかし,被告が提
供している被告サービスは,各種の機能が一体となった,顧客が所有する
アイテム全般を対象とする保管サービスであるから,そのうちの一部だけ
を個々の構成に分断して取り出し,これを被告方法として特定する原告主
張は相当ではない。
ア 原告主張の構成1a及び1bについて
被告サービスが対象とするアイテムは,被告がクリーニングするもの
に限られないから,被告方法として,構成1aの「アイテムをクリーニ
ングした後に」及び構成1bの「クリーニング後に得て」と特定する点
を否認する。
イ 原告主張の構成1d及び1eについて
被告サービスでは,「すべて表示」 「預ける」及び「返却する」の3

つのメニューに対応して表示される各一覧立体画像が,互いに有機的に
変動する関係にあり,1つのメニューだけを切り離すことはできないか
ら,被告方法として,構成1d及び1eにおいて,「返却する」メニュ
ーの表示についてのみ摘示している点は否認する。
ウ 原告主張の構成2b及び3bについて
前記ア及びイと同様の点を否認する。
(2) 被告方法と本件発明1ないし3との対比について
以下のとおり,被告サービスは,本件発明1ないし3の構成要件を充足
していないから,その一部を分断して特定した被告方法をもって本件発明
1ないし3と対比する原告主張は失当である。
ア 本件発明1との対比について
(ア) 構成要件1Aについて
構成要件1Aは,「顧客からの預かり物」をクリーニング対象の品
物に限定している。
これに対し,被告サービスは,顧客の所有するすべてのアイテムに
ついて,自宅にあるものとアパレル専用倉庫にあるものとにかかわら
ず提示する方法である。
(イ) 構成要件1Bについて
構成要件1Bの「画像データ」は,専用スタジオで写真撮影される
ものではなく,平面的な1枚の写真が撮影されているにすぎない。ま
た,平成14年7月29日付け手続補正書によれば,この画像データ
は,高解像度の画像データではない。
これに対し,被告サービスでは,専用スタジオにおいて,トルソー
等を使用して立体的に撮影した代表的写真の他,角度を変えて模様や
柄やブランド名が判別できる程度に鮮明な写真を提示するし,同一ア
イテムに対し,異なる角度から撮影した複数の写真を鮮明に提示する。
(ウ) 構成要件1Cについて
構成要件1Cでは,クリーニング品の一時預かりしている品物を提
示するにすぎず,返却済みのクリーニング品は提示されない。
これに対し,被告サービスでは,アイテムとして登録した全品物が
画像データとして登録され,返却済みのアイテムとアパレル倉庫に保
管されているアイテムのすべてが画像データの対象となる。
(エ) 構成要件1Dないし1Fについて
被告サービスの対象は「預かり物」に限定されず,構成要件1D及
び1Eの「品物」や,構成要件1Fの「預かり物」とは異なる。
イ 本件発明2及び3との対比について
前記アで述べたところと同様である。
2 争点2(被告装置は本件発明4ないし6の技術的範囲に属するか)につい

【原告の主張】
以下のとおり,被告装置は,本件発明4ないし6の技術的範囲に属する。
(1) 被告装置の構成
被告サービスで使用される被告装置は,別紙被告物件目録記載のとおり
であるところ,その構成を分説すると,次のとおりである。
ア 本件発明4に対応する構成
4a 顧客の所有する衣類,履物,かばん等のアイテムをクリーニン
グした後にアパレル専用倉庫で保管する保管業務における,アパ
レル専用倉庫で保管しているアイテムの内容を,インターネット
を介して顧客に提示する。
4b 顧客から預かった複数のアイテムの画像データをクリーニン
グ後に得て,該複数のアイテムの画像データを記憶させる記憶手
段を備える。
4c 顧客が直接利用するウェブブラウザ機能を備えた第2通信装
置から受信するユーザ情報と前記複数のアイテムの画像データ
に対応付けて前記記憶手段に予め記憶された認証情報とに基づ
いて認証を行う認証手段を有する。
4d 前記ユーザ情報が前記認証情報と一致する場合に,顧客画面上
で「返却する」メニューの表示が求められるとき,前記ユーザ情
報に対応するアパレル専用倉庫で保管しているアイテムの画像
データを一覧出力形式で,アイテムの顧客による識別の用に供す
べく,前記第2通信装置へ送信する送信手段を有する。
4e 該送信手段は,アイテムを識別した顧客の「返却する」メニュ
ー画面上でのクリック操作に応じてアパレル専用倉庫で保管し
ているアイテムの中から選択的な返却要求を前記第2通信装置
へ送信させるようになしたウェブページに,前記アパレル専用倉
庫で保管しているアイテ ムに対応する画像データを含めて送信
すべくなしてある。
4f ことを特徴とする保管されているアイテムの提示装置。
イ 本件発明5に対応する構成
5a 顧客からの前記アイテムの返却要求の受信に伴って,顧客から
返却要求があった旨の情報をそのアイテムに対応付けて出力す
る出力手段を備える。
5b 前記アの構成4aないし4eを有することを特徴とする保管
されているアイテムの提示装置。
ウ 本件発明6に対応する構成
6a 顧客から預かったアイテムの画像データを撮像するディジタ
ルカメラを備える。
6b 前記記憶手段は,前記ディジタルカメラにより撮像されたアイ
テムの画像データを記憶すべくなしてある。
6c 前記アの構成4aないし4eを有することを特徴とする保管
されているアイテムの提示装置。
(2) 被告装置と本件発明4ないし6との対比
ア 本件発明4との対比
(ア) 構成要件4Aないし4Eについて
被告装置の構成4aないし4eは,被告方法の構成1aないし1e
を,サーバー,端末,データベースによって構築される被告サービス
を運営するためのシステムに組み込むことによって実現されるもの
であり,それぞれ構成1aないし1eに対応する。また,本件発明4
の構成要件4Aないし4Eは,それぞれ本件発明1の構成要件1Aな
いし1Eに対応する。
そして,前記1【原告の主張】(2)で述べたとおり,被告方法は本件
発明1の構成要件1Aないし1Eを充足するから,被告装置は,本件
発明4の構成要件4Aないし4Eを充足する。
(イ) 構成要件4Fについて
被告装置の構成4fにおける「保管されているアイテム」は,「預
かり物」と同等であるから,構成要件4Fを充足する。
イ 本件発明5との対比
(ア) 構成要件5Aについて
被告装置の構成5aは,被告サービスを運営するためのシステムに
組み込まれる被告方法の構成2aにより実現されるものである。
そして,構成要件5Aは,本件発明2の構成要件2Aに対応するも
のであり,被告方法の構成2aは,本件発明2の構成要件2Aを充足
する。
したがって,構成5aは,構成要件5Aを充足する。
(イ) 構成要件5Bについて
被告装置の構成4aないし4eは,それぞれ本件発明4の構成要件
4Aないし4Eを充足する。そして,構成5bの「保管されているア
イテムの提示装置」は,「預かり物の提示装置」と同等といえる。
したがって,構成5bは,構成要件5Bを充足する。
ウ 本件発明6との対比
(ア) 構成要件6Aについて
被告装置の構成6aは,「顧客から預かった品物(アイテム)の画
像データを撮像するディジタルカメラ」を備えるものであるから,構
成要件6Aを充足する。
(イ) 構成要件6Bについて
被告装置の構成6bは,「前記記憶手段は,前記ディジタルカメラ
により撮像されたアイテムの画像データを記憶すべくなしてある」か
ら,構成要件6Bを充足する。
(ウ) 構成要件6Cについて
被告装置の構成4aないし4eは,それぞれ本件発明4の構成要件
4Aないし4Eを充足する。そして,構成6cの「保管されているア
イテムの提示装置」は,「預かり物の提示装置」と同等といえる。
したがって,構成6cは,構成要件6Cを充足する。
【被告の主張】
本件発明1について述べたところと同様の理由により,被告装置は,本件
発明4ないし6の技術的範囲に属さない。
3 争点3(本件各発明は進歩性を欠如しており,本件特許は特許無効審判に
より無効にされるべきものと認められるか)について
【被告の主張】
以下のとおり,本件各発明は,特開平11-157616号公報(以下「乙
16文献」という。)に記載された発明及び周知技術等に基づいて,当業者
が容易に発明できたものであるから,進歩性欠如の無効理由を有しており,
本件特許は特許無効審判により無効にされるべきものと認められる。
(1) 本件発明1について
ア 乙16文献の記載内容
乙16文献には,次の記載がある(【】内は公報の段落番号である。 。

(ア) 【0010】
倉庫管理用コンピュータ1bは,このような小型コンテナの収容保
管管理に加えて以下のような機能を有する。すなわち,倉庫管理用コ
ンピュータ1bは,インターネット2(公衆通信回線)に接続されて
おり,Webサーバとしての機能をも備えている。倉庫管理用コンピ
ュータ1bに備えられた外部記憶装置(記憶手段)には,上記自動倉
庫1aで預かる荷物の預入と該荷物の返却に係わるサービス情報を
提供するためのWebページ(荷物預入ホームページ)が記憶されて
いる。したがって,倉庫管理用コンピュータ1bは,インターネット
2を介してアクセスしてくる一般ユーザのコンピュータ3,3,……
に対して,荷物の預入に係わるサービス情報を提供することができる。
(イ) 【0011】
上記荷物預入ホームページは,例えば以下の各ページから構成され
るものである。
① 荷物の預入予約を受付ける予約ページ
② 預入荷物が収納された小型コンテナの回収指示を受付ける回収
指示ページ
③ 既に預入れられた荷物の内容を照会する照会ページ
④ 預入荷物の引取を要求する引取要求ページ
(ウ) 【0012】
なお,当該荷物預入ホームページにアクセス可能なユーザは,予め
登録したユーザ(登録ユーザ)のみであり,該登録ユーザは登録時に
発行されるID番号とパスワードを用いることにより荷物預入ホー
ムページにアクセスする。倉庫管理用コンピュータ1bは,この登録
ユーザに係わる情報,例えば住所,氏名,電話番号等を顧客マスター
データとして予め記憶している。
(エ) 【0019】
運送業者を介して当該発送コンテナ(空コンテナ)を受取った登録
ユーザは,荷物の収納が完了すると,荷物預入ホームページにアクセ
スして上記回収指示ページを自らのコンピュータ3に表示させる。そ
して,空コンテナに収納した荷物の内容を入力すると共に該荷物を収
納した小型コンテナ(実コンテナ)の回収を倉庫管理用コンピュータ
1bに指示する。この回収指示は,インターネット2を介して倉庫管
理用コンピュータ1bに受信される(ステップS3)。このとき,倉
庫管理用コンピュータ1bは,預入荷物マスタテーブルの当該登録ユ
ーザの欄に上記荷物の内容をパレット番号とともに登録する。
(オ) 【0022】
このように荷物を預入れた登録ユーザは,荷物預入ホームページに
アクセスして照会ページを参照することにより,預入荷物の内容を照
会することができる。倉庫管理用コンピュータ1bは,預入荷物の内
容照会を登録ユーザのコンピュータ3から受付けると,上記預入荷物
マスタテーブルから該当する登録ユーザの預入荷物に係わるデータ
を読出してコンピュータ3に送信する(ステップS6)。
(カ) 【0023】
続いて,荷物を預入れた登録ユーザは,荷物預入ホームページにア
クセスすることにより,預入荷物の引取を倉庫管理用コンピュータ1
bに要求することができる。この場合,登録ユーザは,上記引取要求
ページをコンピュータ3に表示させ,自らの預入荷物のパレット番号
と引取希望日時とを入力することによって預入荷物の引取を倉庫管
理用コンピュータ1bに要求する(ステップS7)。
イ 乙16-1発明
前記アの記載からすれば,乙16文献には,預かり物の内容を提示す
る方法が開示されているところ(以下「乙16-1発明」という。 ,そ

の構成は次のとおりである。
1a 荷物の保管業務における顧客からの預かり物の内容をインタ
ーネットを介して顧客に提示する方法である。
1b 提示者が利用する倉庫管理用コンピュータにより,顧客からの
預かり物の内容の入力を得て,預入荷物マスタテーブルに記憶す
るステップを有する。
1c 顧客が直接利用するコンピュータから,ID番号とパスワード
を使用して,倉庫管理用コンピュータの荷物預入ホームページに
アクセスするステップ(なお,当該ホームページにアクセス可能
なユーザは,予め登録されたユーザのみである)を有する。
1d 荷物預入ホームページの照会ページで,該当する登録ユーザ
(顧客)の預かり物の内容をコンピュータ3へ送信するステップ
を有する。
1e 荷物預入ホームページの引取要求ページで,預入荷物のパレッ
ト番号を入力してその預入荷物の引取を倉庫管理用コンピュー
タに要求する。
ウ 一致点と相違点
乙16-1発明と本件発明1とを対比すると,次の点で相違し,その
他の点で一致する。
(ア) 相違点1A(構成要件1Aに係る相違点)
本件発明1では,預かり物が「クリーニング対象の品物」に限定さ
れている。
(イ) 相違点1B(構成要件1Bに係る相違点)
本件発明1では,預かり物の内容を示すデータとして画像データが
使用されている。
(ウ) 相違点1D(構成要件1Dに係る相違点)
本件発明1では,預かり物の内容を示すデータとして画像データが
使用されている。
(エ) 相違点1E(構成要件1Eに係る相違点)
本件発明1では,クリック操作で選択している。
エ 原告主張の相違点について
原告主張の相違点において抽出されている本件発明1の構成は,いず
れも特許請求の範囲に記載されていないものであって,このような相違
点の主張は失当である。
オ 相違点についての検討
以下のとおり,本件発明1は,当業者であれば,乙16-1発明から
容易に想到できる。
(ア) 当業者
本件発明1は,「保管業務」という特定分野のソフトウェ ア関連発
明であるため,当業者としては,保管業務分野とソフトウェア分野の
両方の一般常識及び技術常識を有する者である。
(イ) 相違点について
a 相違点1Aについて
乙16-1発明の「荷物」を「クリーニング対象の品物」とする
ことについて,何らの技術的困難性も阻害要因もない。
b 相違点1B及び1Dについて
乙17の1ないし4から明らかなように,画像データによる画像
の一覧を顧客側のコンピュータにおいて表示させる技術は,本件特
許出願当時,ソフトウェア分野では周知技術であった。
このため,ソフトウェア分野の当業者であれば,預かり物の内容
を示すデータとして画像データを使用することに,何らの技術的困
難性も阻害要因もない。
c 相違点1Eについて
乙17の1及び乙18から明らかなように,クリック操作で選択
している点は,本件特許出願当時,ソフトウェア分野では周知技術
であった。
(ウ) 顕著な効果の不存在
乙16-1発明の効果は,遠隔の自宅等にいながらにして,預かり
物の確認や返還要求を行えることであり,本件発明1の効果と一致す
る。
なお,本件発明1では,顧客が画像で内容を確認することができる
が,この点は,本件特許出願当時におけるソフトウェア分野の当業者
であれば,画像データを用いることによって容易に想到し得る程度の
効果である。
(エ) 原告の主張に対する反論
原告がクリーニング業の保管業務について述べている「保管場所の
変更」の要素は,本件発明1の特許請求の範囲には記載されていない。
また,乙16-1発明でコンテナごとに管理している点は,技術的
には,コンピュータシステムにおいて預入している単位ごとに管理し
ている点で,本件発明1と一致しているし,クリーニング対象の預か
り物をデータベースで管理する技術は,乙22の1ないし3から明ら
かなように,本件特許出願当時の周知技術である。
なお,保管業務の内容が相違している場合であっても,コンピュー
タシステム上ではデータ内容の相違にすぎず,技術思想は相違しない。
(2) 本件発明2について
ア 乙16文献の記載内容
乙16文献には次の記載がある。
(ア) 【0024】
この預入荷物の引取要求を受付けると,倉庫管理用コンピュータ1
bは,運送業者に実パレットの配送指示を送信する(ステップS8)。
そして,配送当日になると,登録ユーザのコンピュータ3から受信し
た上記パレット番号に基づいて移載手段を制御することにより当該
パレット番号に該当するパレットを棚から取出し,登録ユーザの預入
荷物が収納された実コンテナが運送業者に引渡されて自動倉庫1a
から搬出される(ステップS9)。
(イ) 【0026】
本実施形態によれば,以下のような効果を奏することができる。
(1)各棚へのパレットの収容及び取出が倉庫管理用コンピュータ1
bの制御の下に自動的に行われ,または運送業者への運送指示がイン
ターネット2を介して行われるので,殆ど人を介することなく自動倉
庫1aの管理運営を行うことができる。
イ 対比
前記ア(ア)の記載のうち,「預入荷物の引取要求」は,「顧客からの前
記品物の返却要求」に相当し,「配送指示」の「送信」は,「顧客から返
却要求があった旨の情報」の「出力」に相当する。また,「配送指示」
で「預入荷物が収納された実コンテナ」が指定されているから,「品物
に対応付けて」「配送指示」が出力されていることになる。
したがって,本件発明2の構成要件2Aと前記ア記載の構成には実質
的な相違点がない。
そして,その他の構成要件については,前記(1)で述べたとおりである。
(3) 本件発明3について
乙20のとおり,本件特許出願当時において,ディジタルカメラは周知
なものであり,ディジタルカメラで画像データを作成することは周知技術
であった。
また,そのような周知技術であるディジタルカメラで本件発明3におけ
る画像データを作成することには,特段の技術的困難性も阻害要因もない。
そして,その他の構成要件については,前記(1)で述べたとおりである。
(4) 本件発明4について
ア 乙16文献の記載内容
前記(1)アのとおり
イ 乙16-4発明
前記アの記載からすれば,乙16文献には,預かり物の内容を提示す
る装置が開示されているところ(以下「乙16-4発明」という。 ,そ

の構成は次のとおりである。
4a 荷物の保管業務における顧客からの預かり物の内容をインタ
ーネットを介して顧客に提示する装置である。
4b 顧客からの預かり物の内容の入力を得て,それを記憶する預入
荷物マスタテーブルを有する。
4c 顧客が直接利用するコンピュータからID番号とパスワード
を使用しての倉庫管理用コンピュータの荷物預入ホームページ
へのアクセスを,予め登録されたユーザのみに許可する手段を有
する。
4d 荷物預入ホームページの照会ページで,預かり物の内容の照会
を受け付けると,該当する登録ユーザ(顧客)の預かり物の内容
をコンピュータ3へ送信する手段を有する。
4e 荷物預入ホームページの引取要求ページで,預入荷物のパレッ
ト番号を入力してその預入荷物の引取を倉庫管理用コンピュー
タに要求できるようにしている。
ウ 一致点と相違点
本件発明4と乙16-4発明とを対比すると,次の点で相違し,その
他の点で一致する。
(ア) 相違点4A(構成要件4Aに係る相違点)
本件発明4では,預かり物が「クリーニング対象の品物」に限定さ
れている。
(イ) 相違点4B(構成要件4Bに係る相違点)
本件発明4では,預かり物の内容を示すデータとして画像データが
使用されている。
(ウ) 相違点4D(構成要件4Dに係る相違点)
本件発明4では,預かり物の内容を示すデータとして画像データが
使用されている。
(エ) 相違点4E(構成要件4Eに係る相違点)
本件発明4では,クリック操作で選択している。
エ 原告主張の相違点について
原告主張の相違点において抽出されている本件発明4の構成は,相違
点4E-3に係るもの以外,いずれも本件発明4の特許請求の範囲に記
載されていないものであって,このような構成に係る相違点の主張は失
当である。
また,相違点4D-3に係る構成は,乙9,乙21の1,乙21の2,
乙17の1などから明らかなように,本件特許出願当時の周知技術であ
る。
オ 相違点についての検討
前記(1)オで述べたところと同様の理由により,本件発明4は,当業者
であれば,乙16-4発明から容易に想到できる。
(5) 本件発明5について
ア 乙16文献の記載内容
前記(2)アのとおり
イ 対比
前記(2)イで述べたところと同様の理由により,構成要件5Aと前記ア
記載の構成に実質的な相違点はない。
そして,その他の構成要件については,前記(4)で述べたとおりである。
(6) 本件発明6について
前記(3)ないし(5)で述べたところが,本件発明6にも当てはまる。
【原告の主張】
以下のとおり,本件各発明は進歩性を有しており,本件特許は特許無効審
判により無効にされるべきものとは認められない。
(1) 本件発明1について
ア 乙16文献の開示内容
乙16文献の開示内容は,次のとおりである。
(ア) 被告主張の構成1aについて
乙16文献で開示される「荷物の保管業務」は,預かり物となる荷
物が収納されたコンテナを収容したパレットを自動倉庫で保管管理
するものであるから,「荷物を倉庫内のパレットに収容されるコンテ
ナに収納して一時預かりする保管業務」である。
したがって,乙16文献で開示される構成1aは,「荷物を倉庫内
のパレットに収容されるコンテナに収納して一時預かりする保管業
務における顧客からの預かり物の内容をインターネットを介して顧
客に提示する方法」である。
(イ) 被告主張の構成1bについて
乙16文献では,「提示者が利用する倉庫管理用コンピュータによ
り,顧客からの預かり物の内容の入力を得て,預入荷物マスタテーブ
ルに記憶するステップ」が開示されている。
しかしながら,顧客によって入力される預かり物の内容は,顧客が
コンテナへの収納を完了した荷物の内容である。また,このコンテナ
へ収納された荷物の内容は,顧客によって操作されるコンピュータ3
から倉庫管理用コンピュータ1bが受信する。
したがって,乙16文献で開示される構成1bは,「提示者が利用
する倉庫管理用コンピュータにより,顧客が直接利用するコンピュー
タで入力された,顧客がコンテナに収納した預かり物の内容を該コン
ピュータから受信して,預入荷物のマスタテーブルに記憶するステッ
プ」である。
(ウ) 被告主張の構成1dについて
乙16文献では,「荷物預入ホームページの照会ページで,該当す
る登録ユーザの預かり物の内容をコンピュータ3へ送信する ステッ
プ」が開示されている。
しかしながら,倉庫管理用コンピュータ1bが登録ユーザの預かり
物の内容を送信するのは,預入荷物の内容照会を登録ユーザのコンピ
ュータ3から受け付けたときである。
したがって,乙16文献によって開示される構成1dは,「預入荷
物の内容照会をコンピュータ3から受付けたとき,荷物預入ホームペ
ージの照会ページを該コンピュータ3に表示させるべく,該当する登
録ユーザの預かり物の内容をコンピュータ3へ送信するステップ」で
ある。
(エ) 被告主張の構成1eについて
乙16文献では,「荷物預入ホームページの引取要求ページで,預
入荷物のパレット番号を入力してその預入荷物の引取を倉庫管理用
コンピュータに要求する」ことが開示されている。
しかしながら,登録ユーザが倉庫管理用コンピュータ1bに引取を
要求できるようにするためには,前記(ウ)のステップにおける照会ペ
ージと異なる引取要求ページが,コンピュータ3に表示されなければ
ならない。
また,乙16文献では,預入荷物の引取が倉庫管理用コンピュータ
1bに要求される場合,コンピュータ3に表示された引取要求ページ
に対して,預入荷物が収納されたコンテナを収容するパレットに対し
て付与されたパレット番号が入力されることで,引取の対象となる預
入荷物が特定されるものとなっている。
したがって,乙16文献によって開示される構成1eは,「荷物預
入ホームページにアクセスした登録ユーザが預入荷物の引取を要求
するとき,コンピュータ3に表示された引取要求ページに対して,預
入荷物が収納されたコンテナを収容したパレットのパレット番号が
入力されて,その預入荷物の引取を倉庫管理用コンピュータに要求す
るステップ」である。
イ 一致点と相違点
本件発明1と乙16-1発明には,被告主張の相違点に加え,次の相
違点がある。
(ア) 相違点1A-2(構成要件1Aに係る相違点)
本件発明1の保管業務は,乙16-1発明のように,預かり物をコ
ンテナに収納して保管するものではなく,倉庫内のパレットによって
預かり物を管理するものでもない。
(イ) 相違点1B-2(構成要件1Bに係る相違点)
本件発明1では,複数の預かり物の内容を,それぞれの画像データ
によって記憶するが,乙16-1発明では,預かり物の内容を,その
収納されたコンテナごとに記憶する。
(ウ) 相違点1D-2(構成要件1Dに係る相違点)
乙16-1発明では,本件発明1と異なり,預かり物の内容を表示
させる照会ページは,顧客からの内容照会を受け付けたときにのみ,
顧客のコンピュータに送信される。
(エ) 相違点1D-3(構成要件1Dに係る相違点)
本件発明1は,顧客の複数の預かり物を識別できるように,預かり
物それぞれの画像データを一覧出力形式で表示させるが,乙16-1
発明では,コンテナに収納された預かり物の内容を表示させることが
開示されるのみであり,表示のための出力形式も,複数の預かり物の
内容を表示させることも開示されていない。
(オ) 相違点1E-2(構成要件1Eに係る相違点)
乙16-1発明では,本件発明1と異なり,顧客が返却要求を行う
ための引取要求ページが,預かり物の内容を表示させる照会ページと
は別に,顧客のコンピュータに送信される。
(カ) 相違点1E-3(構成要件1Eに係る相違点)
乙16-1発明では,引取要求ページで返却の対象となるコンテナ
のパレット番号が入力されることで,返却の対象となるコンテナが収
容されたパレットが指定されるが,本件発明1では,一覧出力形式で
預かり物の画像データが表示された画面をクリックすることで,返却
する預かり物が選択的に指定される。
ウ 相違点についての検討
(ア) 当業者について
本件特許の「発明の名称」は,「クリーニング対象の品物の保管業
務における預かり物の提示方法,装置およびシステム」であるから,
その技術分野における特定分野は,クリーニング業である。
また,本件発明1は,コンピュータ・ソフトウェア関連発明に属す
るものであるから,上記特定分野であるクリーニング業に関するソフ
トウェア関連発明である。
したがって,本件発明1の当業者は,クリーニング業に関する技術
常識や一般常識と,コンピュータ技術分野の技術常識を有する者であ
る。
(イ) 容易想到性について
a 乙16-1発明の技術分野
乙16-1発明は「レンタル倉庫システム及び倉庫のレンタル方
法」であり,荷物をコンテナに収納して倉庫内で保管を行うシステ
ム及び方法である。
そして,乙16-1発明に係る事業は,荷物をコンテナに収納し
て一時預かりするレンタル倉庫事業であり,クリーニング業による
保管等を除いた,寄託を受けた物品の倉庫における保管を行うもの
である。
b クリーニング業における保管業務との対比
乙16-1発明は,コンテナを利用した保管業務であり,コンテ
ナが倉庫内で移動することがないため,コンテナを収容するパレッ
トでコンテナを管理するシステムを構築すればよい。また,乙16
-1発明は,コンテナを収容するパレットのパレット番号により,
コンテナごとの管理を行うシステムである。
一方,クリーニング業における保管業務では,公衆衛生の見地か
ら,預かり物の処理状態に応じて保管場所が遷移するだけではなく,
預かり物それぞれについて,その処理に対応して保管場所が異なる。
また,預かり物一点ごとに管理を行う必要がある。
c 容易想到でないこと
乙16-1発明は,パレットの管理によってコンテナを管理する
ことで,預かり物の保管を実現するためのシステムであるから,こ
れをクリーニング業の保管業務のシステムに転用するためには,そ
の管理対象をコンテナから預かり物に変更し,かつ保管場所が遷移
する保管に対応したシステムに変更する必要がある。
したがって,保管方法が異なるという阻害要因が大きいため,当
業者であったとしても,乙16-1発明から本件発明1を想到する
ことは容易ではない。
d 周知技術について
(a) 相違点1B及び1Dに係る周知技術について
乙17の1ないし4には,保管対象となる預かり物の内容を表
すデータとして,預かり物を撮影した画像データを使用すること
や,預かり物について,一点ごとにその内容の情報を記憶して管
理することについて,開示も示唆もない。
(b) 相違点1Eに係る周知技術について
乙17の1は,保管対象である画像データを一覧表示し,印字
出力するための画像データを選択する技術を,乙18は,組み合
わせ画像の対象となる画像データを一覧表示し,組み合わせ画像
として表示出力する画像データを選択する技術を,それぞれ開示
するのみであり,保管対象である預かり物の画像データを一覧表
示して,クリック操作によって返却要求される預かり物が提供者
に通知されることについては,開示も示唆もない。
(2) 本件発明4について
ア 乙16文献の開示内容
乙16文献の開示内容は,次のとおりである。
(ア) 被告主張の構成4aについて
乙16文献では,倉庫管理用コンピュータ1bは,預かり物の内容
をインターネットを介して顧客に提示する機能が,預かり物となる荷
物が収納されたコンテナを収容したパレットを自動倉庫1aで保管
管理するための機能(小型コンテナの収容保管管理)に追加されたも
のとされており,倉庫管理用コンピュータ1bが採用される「荷物の
保管業務」は,「荷物を倉庫内のパレットに収容されるコンテナに収
納して一時預かりする保管業務」である。
したがって,乙16文献によって開示される構成4aは,「荷物を
倉庫内のパレットに収容されるコンテナに収納して一時預かりする
保管業務における顧客からの預かり物の内容をインターネットを介
して顧客に提示する装置」である。
(イ) 被告主張の構成4bについて
乙16文献では,「顧客からの預かり物の内容の入力を得て,それ
を記憶する預入荷物マスタテーブル」が開示されている。
しかしながら,顧客によってコンピュータ3に入力される預かり物
の内容は,顧客がコンテナへの収納を完了した荷物の内容であるとと
もに,倉庫管理用コンピュータ1bは,このコンピュータ3に入力さ
れた預かり物の内容を受信して得ることとなる。
したがって,乙16文献によって開示される構成4bは,「顧客が
直接利用するコンピュータ3で入力された,顧客がコンテナに収納し
た預かり物の内容であって,該コンピュータ3から受信した預かり物
の内容を,記憶する預入荷物マスタテーブル」である。
(ウ) 被告主張の構成4dについて
乙16文献では,「荷物預入ホームページの照会ページで,預かり
物の内容の照会を受付けると,該当する登録ユーザの預かり物の内容
をコンピュータ3へ送信する手段」が開示されている。
しかしながら,倉庫管理用コンピュータ1bが登録ユーザの預かり
物の内容を送信するのは,預入荷物の内容照会を登録ユーザのコンピ
ュータ3から受け付けたときである。
したがって,乙16文献によって開示される構成4dは,「荷物預
入ホームページにアクセスした顧客が操作するコンピュータ3から
預入荷物の内容照会の要求を受け付けたとき,荷物預入ホームページ
の照会ページを該コンピュータ3に表示させるべく,該当する登録ユ
ーザの預かり物の内容をコンピュータ3へ送信する手段」である。
(エ) 被告主張の構成4eについて
乙16文献では,「荷物預入ホームページの引取要求ページで,預
入荷物のパレット番号を入力してその預入荷物の引取を倉庫管理用
コンピュータに要求できるようにしている」ことが開示されている。
しかしながら,登録ユーザが引取を要求する場合には,引取を要望
する預入荷物が収容されたコンテナを収容しているパレットのパレ
ット番号を入力するための引取要求ページが,倉庫管理用コンピュー
タ1bからコンピュータ3に送信される。
したがって,乙16文献によって開示される構成4eは,「荷物預
入ホームページにアクセスした顧客が操作するコンピュータ3から
預入荷物の引取の要求を受け付けたとき,預入荷物が収納されたコン
テナを載置したパレットのパレット番号が入力されることで,その預
入荷物の返却要求を前記コンピュータから送信させるようになした
引取要求ページを,前記コンピュータ3へ送信する手段」である。
イ 一致点と相違点
本件発明4と乙16-4発明には,被告主張の相違点に加え,以下の
相違点がある。
(ア) 相違点4A-2(構成要件4Aに係る相違点)
本件発明4の保管業務は,乙16-4発明のように,預かり物をコ
ンテナに収納して保管するものではなく,倉庫内のパレットによって
預かり物を管理するものでもない。
(イ) 相違点4B-2(構成要件4Bに係る相違点)
本件発明4における記憶手段は,乙16-4発明における預入荷物
マスタテーブルと異なり,預かり物の内容をその収納されたコンテナ
毎に記憶するものではなく,複数の預かり物の内容をそれぞれの画像
データによって記憶する。
(ウ) 相違点4D-2(構成要件4Dに係る相違点)
乙16-4発明の送信手段は,本件発明4と異なり,預かり物の内
容を表示させる照会ページを,顧客からの内容照会を受け付けたとき
に,顧客のコンピュータに送信する。
(エ) 相違点4D-3(構成要件4Dに係る相違点)
本件発明4は,顧客の複数の預かり物を識別できるように,預かり
物それぞれの画像データを一覧出力形式で表示させるが,乙16-4
発明では,コンテナに収納された預かり物の内容を表示させることが
開示されるのみであり,表示のための出力形式も,複数の預かり物の
内容を表示させることも開示されていない。
(オ) 相違点4E-2(構成要件4Eに係る相違点)
乙16-4発明は,本件発明4と異なり,顧客が返却要求を行うた
めの引取要求ページを,預かり物の内容を表示させる照会ページとは
別に,顧客のコンピュータに送信する送信手段を備える。
(カ) 相違点4E-3(構成要件4Eに係る相違点)
乙16-4発明では,引取要求ページで返却の対象となるコンテナ
のパレット番号が入力されることで,返却の対象となるコンテナが収
容されたパレットが指定されるが,本件発明4では,一覧出力形式で
預かり物の画像データが表示された画面をクリックすることで,返却
する預かり物が選択的に指定される。
ウ 相違点についての検討
前記(1)ウで述べたところが,本件発明4にも当てはまる。
第4 当裁判所の判断
1 争点1(被告方法は本件発明1ないし3の技術的範囲に属するか)につい

(1) 被告方法の構成
証拠(甲5,10)及び弁論の全趣旨によれば,被告方法の構成は,別紙
被告方法目録記載第2のとおりであると認められるところ,これを本件発
明1の構成要件に対応させて分説すると,次のとおりである。
1a 顧客の所有する衣類,履物,かばん等のアイテムをクリーニング
した後にアパレル専用倉庫で保管する保管業務における,アパレル
専用倉庫で保管しているアイテムの内容を,インターネットを介し
て顧客に提示する保管されているアイテムの提示方法であって,
1b 提示者が利用する第1通信装置により,顧客から預かった複数の
アイテムの画像データをクリーニング後に得て,該複数のアイテム
の画像データを記憶手段に記憶する第1ステップと,
1c 顧客が直接利用するウェブブラウザ機能を備えた第2通信装置
から受信するユーザ情報と前記複数のアイテムの画像データに対
応付けて前記記憶手段に予め記憶された認証情報とに基づいて認
証を行う第2ステップと,
1d 前記ユーザ情報が前記認証情報と一致する場合に,顧客画面上で
「返却する」メニューの表示が求められるとき,前記ユーザ情報に
対応するアパレル専用倉庫で保管しているアイテムの画像データ
を一覧出力形式で,アイテムの顧客による識別の用に供すべく,前
記第2通信装置へ送信する第3ステップとを有し,
1e 該第3ステップは,アイテムを識別した顧客の「返却する」メニ
ュー画面上でのクリック操作に応じてアパレル専用倉庫で保管し
ているアイテムの中から選択的な返却要求を前記第2通信装置か
ら送信させるようになしたウェブページに,前記アパレル専用倉庫
で保管しているアイテムに対応する画像データを含めて送信する
1f ことを特徴とする保管されているアイテムの提示方法。
(2) 本件発明1との対比
ア 構成要件1Aについて
本件発明1の構成要件1Aは,「クリーニング対象の品物の保管業務
における顧客からの預かり物の内容をインターネットを介して顧客に
提示する預かり物の提示方法であって,」である。
他方,被告方法は,前記(1)の構成1aのとおり,「クリーニング後の
アイテムの保管業務におけるアイテムの内容をインターネットを介し
て顧客に提示する保管されているアイテムの提示方法」であり, 「ア
この
イテム」は,顧客の所有するすべてのアイテムのうちアパレル専用倉庫
にあるものであるから,「顧客からの預かり物」である。
したがって,被告方法は,構成要件1Aを充足する。
イ 構成要件1Bについて
本件発明1の構成要件1Bは,「提示者が利用する第1通信装置によ
り,顧客から預かるべき複数の品物又は顧客から預かった複数の品物の
画像データを得て,該複数の品物の画像データを記憶手段に記憶する第
1ステップと,」である。
他方,被告方法は,前記(1)の構成1bのとおり,「提示者が利用する
第1通信装置により,顧客から預かった複数のアイテムの画像データを
得て,該複数のアイテムの画像データを記憶手段に記憶する第1ステッ
プ」を有する。
したがって,被告方法は,構成要件1Bを充足する。
なお,被告は,構成要件1Bの「画像データ」は,専用スタジオで写
真撮影されるものではなく,この画像データは,品物の汚れ,しみ傷,
ボタン取れなどまで判別できるほどの高解像度の画像データではない
と主張するが,被告の主張は,構成要件1Bの内容について,特許請求
の範囲にも明細書(甲2)にも記載のない限定を加えるものであって,
採用できない。
ウ 構成要件1Cについて
本件発明1の構成要件1Cは,「顧客が直接利用するウェブブラウザ
機能を備えた第2通信装置から受信するユーザ情報と前記複数の品物
の画像データに対応づけて前記記憶手段に予め記憶された認証情報と
に基づいて認証を行う第2ステップと,」である。
他方,被告方法は,前記(1)の構成1cのとおり,「顧客が直接利用す
るウェブブラウザ機能を備えた第2通信装置から受信するユーザ情報
と前記複数のアイテムの画像データに対応付けて前記記憶手段に予め
記憶された認証情報とに基づいて認証を行う第2ステップ」を有する。
したがって,被告方法は,構成要件1Cを充足する。
エ 構成要件1Dについて
本件発明1の構成要件1Dは,「前記ユーザ情報が前記認証情報と一
致する場合に,前記記憶手段に記憶された前記複数の品物の画像データ
の中から,前記ユーザ情報に対応するものを一覧出力形式で,品物の顧
客による識別の用に供すべく,前記第2通信装置へ送信する第3ステッ
プとを有し,」である。
他方,被告方法は,前記(1)の構成1dのとおり,「前記ユーザ情報が
前記認証情報と一致する場合に,前記ユーザ情報に対応するアパレル専
用倉庫で保管しているアイテムの画像データを一覧出力形式で,アイテ
ムの顧客による識別の用に供すべく,前記第2通信装置へ送信する第3
ステップ」を有する。
そして,被告方法では,構成1bのとおり,顧客から預かった複数の
アイテムの画像データを得て,該複数のアイテムの画像データを記憶手
段に記憶しているから,「アパレル専用倉庫で保管しているアイテムの
画像データ」は,「前記記憶手段に記憶された前記複数の品物の画像デ
ータ」である。
また,構成要件1Dでは,品物の画像データが送信されるのは,「前
記ユーザ情報が前記認証情報と一致する場合」であればよいから,被告
方法のように,それが「顧客画面上で「返却する」メニューの表示が求
められるとき」であることは,構成要件1Dに包含される。
したがって,被告方法は,構成要件1Dを充足する。
オ 構成要件1Eについて
本件発明1の構成要件1Eは,「該第3ステップは,品物を識別した
顧客の画面上における所定のクリック操作に応じて品物の選択的な返
却要求を前記第2通信装置から送信させるようになしたウェブページ
に,前記品物に対応する画像データを含めて送信する」である。
他方,被告方法は,前記(1)の構成1eのとおり,
「該第3ステップは,
アイテムを識別した顧客の「返却する」メニュー画面上でのクリック操
作に応じてアパレル専用倉庫で保管しているアイテムの選択的な返却
要求を前記第2通信装置から送信させるようになしたウェブページに,
前記アパレル専用倉庫で保管しているアイテムに対応する画像データ
を含めて送信する」ものである。
したがって,被告方法は,構成要件1Eを充足する。
カ 構成要件1Fについて
本件発明1の構成要件1Fは,「ことを特徴とする預かり物の提示方
法。」である。
他方,被告方法は,前記(1)の構成1fのとおり,「ことを特徴とする
保管されているアイテムの提示方法。」であり,前記アのとおり,この
「アイテム」は「顧客からの預かり物」である。
したがって,被告方法は,構成要件1Fを充足する。
(3) 被告の主張について
被告は,被告サービスが機能として一体的になったサービスであるから,
そのうちの一部だけを個々の構成に分断して取り出し,これを被告方法と
して特定する原告主張は相当ではないと主張し,また属否についても,要
するに被告サービスには被告方法に付加する要素があることを理由とし
て本件発明1に属しないと主張する。
しかしながら,被告の主張は,要するに,被告は被告方法を実施してい
るほかに,それ以外のサービスも同時並行的に行っていることを主張して
いるだけのことであって,被告が被告方法を実施している事実に変わりは
なく,被告方法が本件発明1の技術的範囲に属するか否かの判断が,被告
が同時並行的に他のサービスを行っていることによって左右されるもの
ではないから,被告の主張は失当であって採用できない。
(4) 小括
以上のとおり,被告方法は,本件発明1の技術的範囲に属する。
2 争点2(被告装置は本件発明4ないし6の技術的範囲に属するか)につい

(1) 被告装置の構成
証拠(甲5,10)及び弁論の全趣旨によれば,被告装置の構成は,別紙
被告物件目録記載第2のとおりであると認められるところ,これを本件発
明4の構成要件に対応させて分説すると,次のとおりである。
4a 顧客の所有する衣類,履物,かばん等のアイテムをクリーニング
した後にアパレル専用倉庫で保管する保管業務における,アパレル
専用倉庫で保管しているアイテムの内容を,インターネットを介し
て顧客に提示する保管されているアイテムの提示装置であって,
4b 顧客から預かった複数のアイテムの画像データをクリーニング
後に得て,該複数のアイテムの画像データを記憶させる記憶手段と,
4c 顧客が直接利用するウェブブラウザ機能を備えた第2通信装置
から受信するユーザ情報と前記複数のアイテムの画像データに対
応付けて前記記憶手段に予め記憶された認証情報とに基づいて認
証を行う認証手段と,
4d 前記ユーザ情報が前記認証情報と一致する場合に,顧客画面上で
「返却する」メニューの表示が求められるとき,前記ユーザ情報に
対応するアパレル専用倉庫で保管しているアイテムの画像データ
を一覧出力形式で,アイテムの顧客による識別の用に供すべく,前
記第2通信装置へ送信する送信手段とを備え,
4e 該送信手段は,アイテムを識別した顧客の「返却する」メニュー
画面上でのクリック操作に応じてアパレル専用倉庫で保管してい
るアイテムの中から選択的な返却要求を前記第2通信装置から送
信させるようになしたウェブページに,前記アパレル専用倉庫で保
管しているアイテムに対応する画像データを含めて送信すべくな
してある
4f ことを特徴とする保管されているアイテムの提示装置。
(2) 本件発明4との対比
被告装置は,被告方法の構成に係る各要素をその内容とする装置であり,
本件発明4は,本件発明1の構成要件に係る各要素をその内容とする装置
である。
そして,前記1(2)のとおり,被告方法は本件発明1の構成要件をいずれ
も充足する。
したがって,被告装置は本件発明4の構成要件をいずれも充足する。
(3) 被告の主張について
被告は,被告装置の構成についても,被告方法の場合と同様の主張を行
い,また属否についても同様の主張を行っており,その主張の要点は,被
告装置が本件発明4の構成要件をすべて充足することを実質的には認め
ながら,他の方法に用いる機能を有している点をいうものと解される。し
かし,被告装置が本件発明4の構成要件をすべて充足しているのなら,そ
れだけで本件発明4の技術的範囲に属するというに十分である。また,仮
に被告装置が他の構成を具備していることを斟酌したとしても,その場合,
被告装置は本件発明 4 を利用する関係にあるといえるにすぎないから,い
ずれにしても本件発明4の技術的範囲に属することを否定できるわけで
はない。
(4) 小括
以上のとおり,被告装置は,本件発明4の技術的範囲に属する。
3 争点3(本件各発明は進歩性を欠如しており,本件特許は特許無効審判に
より無効にされるべきものと認められるか)について
(1) 乙16に記載された内容
本件特許出願前に頒布された刊行物である乙16文献(特開平11-1
57616号公報)には,「レンタル倉庫システム及び倉庫のレンタル方
法」に関し,以下の事項が記載されている。
ア 【0001】【発明の属する技術分野】
本発明は,比較的小型の荷物を一時的に預かるレンタル倉庫システム
及び倉庫のレンタル方法に関する。
イ 【0007】
図1は,本実施形態におけるレンタル倉庫システムの機能構成を示す
ブロック図である。この図において,符号1がレンタル倉庫システムで
あり,自動倉庫1a(コンテナ用倉庫)と倉庫管理用コンピュータ1b
とから構成されている。自動倉庫1aは,パレット棚式に構成されてお
り,パレットを収容する棚が多数設けられている。このパレットは,上
記倉庫管理用コンピュータ1bによる制御の下に当該自動倉庫1a内
を移動する移載手段(例えば無人搬送車)によって自動的に棚に収納さ
れると共に該棚から自動的に取り出されるようになっている。このよう
なパレット上には,預入荷物が収納された複数の小型コンテナが収容保
管されるようになっている。
ウ 【0010】
また,倉庫管理用コンピュータ1bは,このような小型コンテナの収
容保管管理に加えて以下のような機能を有する。すなわち,倉庫管理用
コンピュータ1bは,インターネット2(公衆通信回線)に接続されて
おり,Webサーバとしての機能をも備えている。倉庫管理用コンピュ
ータ1bに備えられた外部記憶装置(記憶手段)には,上記自動倉庫1
aで預かる荷物の預入と該荷物の返却に係わるサービス情報を提供す
るためのWebページ(荷物預入ホームページ)が記憶されている。し
たがって,倉庫管理用コンピュータ1bは,インターネット2を介して
アクセスしてくる一般ユーザのコンピュータ3,3,……に対して,荷
物の預入に係わるサービス情報を提供することができる。
エ 【0011】
上記荷物預入ホームページは,例えば以下の各ページから構成される
ものである。
① 荷物の預入予約を受付ける予約ページ
② 預入荷物が収納された小型コンテナの回収指示を受付ける回収指
示ページ
③ 既に預入れられた荷物の内容を照会する照会ページ
④ 預入荷物の引取を要求する引取要求ページ
オ 【0012】
なお,当該荷物預入ホームページにアクセス可能なユーザは,予め登
録したユーザ(登録ユーザ)のみであり,該登録ユーザは登録時に発行
されるID番号とパスワードを用いることにより荷 物預入ホームペー
ジにアクセスする。倉庫管理用コンピュータ1bは,この登録ユーザに
係わる情報,例えば住所,氏名,電話番号等を顧客マスターデータとし
て予め記憶している。
カ 【0019】
運送業者を介して当該発送コンテナ(空コンテナ)を受取った登録ユ
ーザは,荷物の収納が完了すると,荷物預入ホームページにアクセスし
て上記回収指示ページを自らのコンピュータ3に表示させる。そして,
空コンテナに収納した荷物の内容を入力すると共に該荷物を収納した
小型コンテナ(実コンテナ)の回収を倉庫管理用コンピュータ1bに指
示する。この回収指示は,インターネット2を介して倉庫管理用コンピ
ュータ1bに受信される(ステップS3)。このとき,倉庫管理用コン
ピュータ1bは,預入荷物マスタテーブルの当該登録ユーザの欄に上記
荷物の内容をパレット番号とともに登録する。
キ 【0022】
このように荷物を預入れた登録ユーザは,荷物預入ホームページにア
クセスして照会ページを参照することにより,預入荷物の内容を照会す
ることができる。倉庫管理用コンピュータ1bは,預入荷物の内容照会
を登録ユーザのコンピュータ3から受付けると,上記預入荷物マスタテ
ーブルから該当する登録ユーザの預入荷物に係わるデータを読出して
コンピュータ3に送信する(ステップS6)。
ク 【0023】
続いて,荷物を預入れた登録ユーザは,荷物預入ホームページにアク
セスすることにより,預入荷物の引取を倉庫管理用コンピュータ1bに
要求することができる。この場合,登録ユーザは,上記引取要求ページ
をコンピュータ3に表示させ,自らの預入荷物のパレット番号と引取希
望日時とを入力することによって預入荷物の引取を倉庫管理用コンピ
ュータ1bに要求する(ステップS7)。
(2) 本件発明1について
ア 乙16-1発明
前記(1)エの記載からすれば,乙16-1発明では,既に預け入れられ
た荷物の内容を照会する照会ページと,預入荷物の引取を要求する引取
要求ページとは,異なるページである。また,前記(1)キ及びクの記載に
よれば,乙16-1発明では,預入荷物の引取要求は,照会ページでは
なく,引取要求ページをコンピュータ3に表示させて,自らの預入荷物
のパレット番号と引取希望日時とを入力することによって行われてい
る。つまり,乙16-1発明では,預入荷物の内容を照会する照会ペー
ジから直接,預入荷物の引取を要求することができない。
したがって,本件発明1と対比すべき乙16-1発明は,内容照会が
あった場合における(引取要求は,内容照会とは異なる,選択的なステ
ップである。 ,預入荷物の内容の提示方法と捉えるべきであり,その構

成は,次のとおりと認められる。
1a 荷物を倉庫内のパレット上に収容される小型コンテナに収納
して一時的に預かる保管業務における登録ユーザの預入荷物の
内容をインターネット2を介して登録ユーザに提示する方法で
あって,
1b 倉庫管理用コンピュータ1bにより,登録ユーザが小型コンテ
ナに収納した荷物の内容の入力を得て,預入荷物マスタテーブル
に,当該小型コンテナが収容されるパレットの番号とともに登録
する第1ステップと,
1c 登録時に発行されるID番号とパスワードを用いてアクセス
してくる登録ユーザのみ,倉庫管理用コンピュータ1bの荷物預
入ホームページにアクセス可能とする第2ステップと,
1d 当該荷物預入ホームページにアクセスした登録ユーザから預
入荷物の内容照会を受け付けると,登録ユーザの預入荷物の内容
に関するデータを読み出して,登録ユーザのコンピュータ3へ送
信する第3ステップとを有し,
1e 該第3ステップは,預入荷物の内容を照会する照会ページを送
信する
1f ことを特徴とする預入荷物の内容の提示方法。
イ 一致点と相違点
乙16-1発明と本件発明1を対比すると,「倉庫管理用コンピュー
タ1b」は「第1通信装置」に,「預入荷物」は「預かり物」に,「イン
ターネット2」は「インターネット」に,「コンピュータ3」は「第2
通信装置」に,「登録時に発行されるID番号とパスワード」は「ユー
ザ情報」に,「登録ユーザ」は「顧客」に,それぞれ相当する。
したがって,両発明は,次の点で相違し,その他の点で一致する。
(ア) 相違点1A(構成要件1Aに係る相違点)
インターネットを介して顧客に提示する預かり物が,本件発明1で
は,クリーニング対象の品物であるのに対し,乙16-1発明では,
そうではない点。
(イ) 相違点1B(構成要件1Bに係る相違点)
記憶手段に記憶する複数の品物に関するデータが,本件発明1では,
画像データであるのに対し,乙16-1発明では,そうではない点。
(ウ) 相違点1D(構成要件1Dに係る相違点)
品物の顧客による識別の用に供すべく,本件発明1では,記憶手段
に記憶された複数の品物の画像データの中から,ユーザ情報に対応す
るものを一覧出力形式で,第2通信装置へ送信するのに対して,乙1
6-1発明では,コンピュータ3へ送信するのが画像データではなく,
一覧出力形式がどうかについては不明な点。
(エ) 相違点1E(構成要件1Eに係る相違点)
第3ステップにおいて,本件発明1では,品物を識別した顧客の画
面上における所定のクリック操作に応じて品物の選択的な返却要求
を第2通信装置から送信させるようになしたウェブページに,前記品
物に対応する画像データを含めて送信するのに対し,乙16-1発明
では,預入荷物の内容を照会する照会ページを送信するが,画像デー
タは含まれていない点。
ウ 相違点についての検討
(ア) 当業者
本件発明1は,その特許請求の範囲の記載からみて,クリーニング
対象の品物の保管業務に係る発明であり,かつコンピュータ・ソフト
ウェアに関する発明である。
したがって,本件発明1の当業者は,クリーニング業及びコンピュ
ータ・ソフトウェアの双方の技術分野における,通常の知識を有する
者といえる。
被告は,本件発明1の技術分野について,保管業務の分野であると
主張するが,本件発明1は,保管の対象をクリーニング対象の品物に
限定しており,クリーニング対象の品物の保管は,通常,クリーニン
グ業者が行うものであるから,被告の主張は採用できない。
また,被告は,本件発明1の技術分野について,コンピュータ技術
分野であり,クリーニング対象の品物であることは本質的要素ではな
いとも主張するが,本件発明1は,クリーニングの対象物を,顧客と
クリーニング会社の双方が把握できるようにするために,画像データ
を共有できるようにしたものであり(甲2の【0007】~【001
0】 ,顧客から預かっている物がクリーニングの対象物であることは

本件発明1の前提となっているから,やはり,被告の主張は採用でき
ない。
(イ) 相違点1Aについて
被告は,乙16-1発明の「荷物」を「クリーニング対象の品物」
とすることについて,何らの技術的困難性も阻害要因もないと主張す
る。
しかしながら,乙16-1発明における預入荷物の対象は,小型コ
ンテナに収納される,本や小物,スキー板,車のタイヤ等であり(乙
16の【0009】 ,クリーニング対象の品物は想定されていない。

また,乙16文献には,預入荷物の対象をクリーニング対象の品物と
することについての示唆もない。
さらに,クリーニング後の保管業務は,適切な温度及び湿度の維持
や除菌といった,預かり物の適切な管理が問題になり得るところ(甲
2の【0006】 ,乙16-1発明は,倉庫のレンタルに係るもので

あって,保管管理サービスの提供ではなく,専ら保管場所の提供を内
容とするものであるし,発明の意図するところも,倉庫の空き状況の
検索を簡便にすることである(乙16の【0003】 【0004】 。
, )
そうすると,乙16-1発明における荷物を「クリーニング対象の
品物」とする動機付けはないといえるから,乙16-1発明における
荷物を,クリーニング対象の品物とすることは,当業者において容易
に想到できるものではない。
(ウ) 相違点1B及び1Dについて
被告は,乙17の1ないし4を根拠として,画像データによる画像
の一覧を顧客側のコンピュータにおいて表示させることは,本件特許
出願当時の周知技術であると主張する。
しかしながら,乙17の1(電子メールによる画像のやりとりを,
時間やコストをかけずに,より手軽に行えるようにする,ネットワー
クフォトサービスシステムの発明),乙17の2(データ管理装置お
よびデータ管理方法の発明),乙17の3(画像データの印刷処理時
間を短縮した画像管理システムおよび画像管理方法の発明),乙17
の4(簡易な操作で画像の登録処理が可能なディジタル複合機および
画像管理システムの発明)は,いずれも画像データ自体を管理するた
めの技術を開示しているにすぎず,本件発明1のように,保管対象と
なる預かり物の内容を顧客に示すために,預かり物を撮影した画像デ
ータを使用することについては開示していない。そして,顧客からの
預かり物の内容を画像データにより提示すること(乙22の1ないし
3記載の発明のような,クリーニング対象の預かり物を単にデータベ
ースで管理する技術とは異なる。)が,本件特許出願前に周知であっ
たことを認めるに足りる証拠はない。
また,乙16-1発明では,利用者において,送付を受けた空コン
テナに荷物を収納し,これが回収されて倉庫に搬入され,予定された
番号のパレットに収納される(乙16の【0019】 【0021】 。
~ )
したがって,利用者は荷物の内容を登録するとはいえ,内容物の詳細
や外観は倉庫業者の知るところではないし,荷物の内容を登録するの
は,倉庫業者における保管管理のためではないから(乙16の【00
28】の(3)),登録された内容が実際の内容物と異なっている可能性
も存在する。つまり,保管業務における画像データの利用は,そもそ
も乙16-1発明の予定するところではない。
さらに,乙16-1発明では,荷物の返還はコンテナ単位で行われ
るのであり,その内容物について個別に返還を受けられるものではな
いから,複数の内容物について,顧客による識別の用に供すべく,画
像データを出力する必要性もない。むしろ,利用者のプライバシーの
観点からすれば,利用者以外の者がコンテナの中身を知ることは想定
されておらず,倉庫業者が預かり物の内容について画像データを得る
こともまた,乙16-1発明が一般に予定するところではないといえ
る。
したがって,乙16-1発明におけるコンテナの内容を画像データ
とすることは,周知技術から当業者が容易に想到できるものではない。
(エ) 相違点1Eについて
乙16-1発明では,そもそも,第3ステップ(内容照会)の場面
においては,顧客が預入荷物の返還要求を行うことはできないところ,
第3ステップにおいて,画像データにより提示された預かり物の内容
を,クリック操作により引取要求することが,本件特許出願前に周知
であったことや,この点について示唆があったことを認めるに足りる
証拠はない。
被告は,画像をクリック操作で選択することについて,乙17の1
及び乙18によれば,本件特許出願当時の周知技術であると主張する。
しかしながら,乙17の1は,前記(ウ)のとおり画像データ自体を
管理するための技術を開示するものであるし,乙18(利用者の通常
の購買行動により近い形態で,商品の組み合わせ,組み替え表示を可
能にする,商品表示装置の発明)は,一覧表示された画像の中からク
リック操作により利用者が選択した画像を,所定の位置に表示するた
めの技術を開示するものである。そして,乙17の1及び乙18のい
ずれにも,預かり物の内容を画像データにより提示することや,提示
された預かり物の内容をクリック操作することにより引取要求 する
ことは,記載されていない。
したがって,乙16-1発明の第3ステップにおいて送信する預入
荷物の内容を照会する照会ページを,顧客の画面上における所定のク
リック操作に応じて品物の選択的な返却要求を第2通信装置から送
信させるようになしたウェブページとし,品物に対応する画像データ
を含めて送信するようにすることは,当業者が容易に想到できるもの
ではない。
エ 結論
以上のとおりであるから,本件発明1は進歩性を有しており,これに
係る特許は,特許無効審判により無効にされるべきものとは認められな
い。
(3) 本件発明4について
ア 乙16-4発明
前記(2)アで述べたところと同様の理由から,乙16-4発明の構成は,
次のとおりと認められる。
4a 荷物を倉庫内のパレット上に収容される小型コンテナに収納
して一時的に預かる保管業務における登録ユーザの預入荷物の
内容をインターネット2を介して登録ユーザに提示する装置で
あって,
4b 登録ユーザが小型コンテナに収納した荷物の内容の入力を得
て,それを当該小型コンテナが収容されるパレットの番号ととも
に登録する預入荷物マスタテーブルと,
4c 登録時に発行されるID番号とパスワードを用いてアクセス
してくる登録ユーザのみ,倉庫管理用コンピュータ1bの荷物預
入ホームページにアクセス可能とする手段と,
4d 当該荷物預入ホームページにアクセスした登録ユーザから預
入荷物の内容照会を受け付けると,前記預入荷物マスタテーブル
に登録された預入荷物の内容に関するデータのうち,登録ユーザ
に対応するものを,登録ユーザのコンピュータ3へ送信する手段
とを備え,
4e 該送信する手段は,預入荷物の内容を照会する照会ページを送
信すべくなしてある
4f ことを特徴とする預入荷物の内容の提示装置。
イ 一致点と相違点
乙16-4発明と本件発明4を対比すると,「預入荷物」は「預かり
物」に,「インターネット2」は「インターネット」に,「コンピュータ
3」は「通信装置」に,「登録時に発行されるID番号とパスワード」
は「ユーザ情報」に,
「登録ユーザ」は「顧客」に,それぞれ相当する。
したがって,両発明は,次の点で相違し,その他の点で一致する。
(ア) 相違点4A(構成要件4Aに係る相違点)
インターネットを介して顧客に提示する預かり物が,本件発明4で
は,クリーニング対象の品物であるのに対し,乙16-4発明では,
そうではない点。
(イ) 相違点4B(構成要件4Bに係る相違点)
記憶手段に記憶する複数の品物に関するデータが,本件発明4では,
画像データであるのに対し,乙16-4発明では,そうではない点。
(ウ) 相違点4D(構成要件4Dに係る相違点)
品物の顧客による識別の用に供すべく,本件発明4では,記憶手段
に記憶された複数の品物の画像データの中から,ユーザ情報に対応す
るものを一覧出力形式で,通信装置へ送信するのに対し,乙16-4
発明では,コンピュータ3へ送信するのが画像データではなく,一覧
出力形式がどうかについては不明な点。
(エ) 相違点4E(構成要件4Eに係る相違点)
送信手段が,本件発明4では,品物を識別した顧客の画面上におけ
る所定のクリック操作に応じて品物の選択的な返却要求を通信装置
から送信させるようになしたウェブページに,前記品物に対応する画
像データを含めて送信するのに対し,乙16-4発明では,預入荷物
の内容を照会する照会ページを送信するが,画像データは含まれてい
ない点。
ウ 相違点についての検討
前記イの各相違点は,本件発明1に係る前記(1)イの各相違点と同様の
ものであり,したがって,前記(1)ウで述べたところと同様,前記イの各
相違点に係る本件発明4の発明特定事項は,当業者が容易に想到できる
ものではない。
エ 結論
したがって,本件発明4は進歩性を有しており,これに係る特許は,
特許無効審判により無効にされるべきものとは認められない。
4 原告の請求について
(1) 差止請求について
前記1及び3で述べたとおり,被告方法は本件発明1の技術的範囲に属
し,本件発明1に係る特許が特許無効審判により無効にされるべきものと
は認められないから,主位的請求原因である本件特許権1に基づく被告方
法の使用差止めを求める原告の請求には理由がある。
また,前記2及び3で述べたとおり,被告装置は本件発明4の技術的範
囲に属し,本件発明4に係る特許が特許無効審判により無効にされるべき
ものとは認められないから,主位的請求原因である本件特許権4に基づき,
被告サービスにおいて,被告装置の使用差止めを求める原告の請求には理
由がある。
(2) 廃棄請求及び消去請求について
特許法100条2項に基づく物の廃棄請求は,同条1項の特許権の侵害
の停止又は予防請求に付随して,侵害の予防に必要な行為として,その必
要な範囲で認められる。
しかるところ,原告が廃棄請求をしている被告装置は,侵害の行為を組
成した物であるけれども,その物自体は,市販品のパソコンやディジタル
カメラ等から構成される装置であって,これを構成する個々の機器は汎用
性があり,被告方法の実施以外においても広く使用可能なものと認められ
る。また,これらの機器は市販品である以上,これらを他から調達するこ
とも容易であると考えられる。
そうすると,被告に対し,被告方法の使用差止めを命ずることに加えて
被告装置の廃棄を命ずることは,差止めの実効性を確保する上では必ずし
も有用ではない反面,被告方法の使用を止めた被告に対し,他用途に活用
できる資産を廃棄させるだけのことになって,いってみれば必要のない経
済的負担を与えるだけになるというおそれがある。
したがって,これをもって本件特許権の侵害の予防に必要な行為である
ということはできないから,原告の被告に対する被告装置の廃棄請求は棄
却することが相当である。
また,原告が消去請求をしている被告サービスで登録された情報を記録
しているデータベースについて,その内容となる被告サービスで登録され
る情報は,「預かったアイテムの画像データ」 「顧客が登録したメールア

ドレスとパスワード」であって,これらは侵害行為を組成する物の一部を
構成するということができる。
しかし,本件で被告方法及び被告装置の各使用差止めを命じられること
によって,被告は被告サービスの提供を停止しなければならなくなるとこ
ろ,上記データベースは,各顧客に預かっているアイテムを返還するため
に不可欠な情報を含むものであって,これを消去することは無用な混乱を
引き起こすだけとなることが予想される。また,これらのデータベースの
情報は,一種の顧客台帳の性質を有しているものであるから,被告にとっ
ては,被告サービス以外の事業において用いることもできる有用な営業資
産であるといえる。
したがって,これらの点からすると,被告サービスで登録された情報を
記録しているデータベースの消去請求は,本件特許権の侵害の予防に必要
な範囲を超えるものといわざるを得ず,これを認めることができないとい
わなければならないから,その消去請求は棄却することが相当である。
(3) 謝罪広告請求について
本件において,原告が,本件特許権1,4の侵害により,業務上の信用
を害されたことを認めるに足りる証拠はないから,これを回復するために
謝罪広告を命ずる必要はないというべきである。
第5 結論
以上のとおりであるから,原告の請求は,主文記載の限度において理由が
あるからこれを認容し,その余の部分については理由がないからこれを棄却
することとし,主文のとおり判決する。
大阪地方裁判所第21民事部
裁 判 長 裁 判 官 森 崎 英 二
裁 判 官 達 野 ゆ き
裁 判 官 網 田 圭 亮
(別 紙)
被告方法目録
第1 対象方法(被告方法)
「オンラインクローゼット」サービス(被告サービス)で使用され る,
「アパ
レル専用倉庫で保管されているアイテムの提示方法」
第2 被告方法の構成
1 預かったアイテムを写真撮影して,その画像データを取得し(第1図),そ
の画像データをデータベースに登録する(第2図)。
2 顧客の端末より送信されたユーザ情報と,データベースに記憶された認証
情報とによって,アイテムの返却を求める顧客を認証する。
(ユーザ情報の送信は,以下の手順で行われる。)
ア 顧客は,顧客の端末においてウェブブラウザを起動させて,
「ドレス
ファイル オンラインクローゼット」ホームページ(第3図)を表
示させる。
イ 顧客は,顧客の端末を操作して,
「ドレスファイル オンラインクロ
ーゼット」ホームページの「返却する」ボタンに対してクリック操
作する。
ウ 上記クリック操作により,顧客の端末の画面上には,ログイン画面
(第4図)が別ウィンドウで表示される。
エ 顧客は,顧客の端末を操作して,ログイン画面に表示される空欄に,
ユーザ情報として,顧客が登録したメールアドレスとパスワードを
入力する。
オ 顧客は,顧客の端末を操作して,ログイン画面の「ログイン」ボタ
ンに対してクリック操作する。
カ 上記クリック操作により,顧客の端末装置が,被告サービスで使用
されるサーバーに対して,ユーザ情報を送信する。
3 ユーザ情報と認証情報の一致により顧客を認証したとき,認証情報と対応
付けてデータベースに登録されている画像データのうち,認証された顧客の
アパレル倉庫に保管されているアイテムの画像データをデータベースから読
み出して,顧客の端末に送信して,顧客の端末の画面上に,顧客のアパレル
倉庫に保管されているアイテムの画像データを一覧出力形式とするウェブペ
ージ(以下, 「返却する」メニュー画面』という)を表示させる(第5図)
『 。
4 「返却する」メニュー画面が表示された顧客の端末に対する操作により,
顧客が選択したアイテムの返却要求が送信される。
(アイテムの返却要求の送信は,以下の手順で行われる。)
ア 顧客は,顧客の端末を操作することで,端末に表示された「返却す
る」メニュー画面上の画像データに付随した「Cart」ボタンを
クリックして,返却の対象となるアイテムを選択する(第5図)。
イ 端末に表示された「返却する」メニュー画面上では,
「Cart」ボ
タンがクリックされた画像データが,
「返却する」メニュー画面下の
「返却カート」内に表示される(第6図)。
ウ 顧客は,顧客の端末を操作して,その画面上に表示されている「返
却オーダー手続へ」ボタンをクリック操作する(第7図)。
エ 顧客の端末において,上記クリック操作により,選択されたアイテ
ムの返却日時を設定する画面に切り替わると(第8図),顧客は,そ
の端末を操作して,返却日時を入力する。
オ 顧客の端末で返却日時が入力されると,その端末において,返却の
ために選択されたアイテムの画像データが表示された画面に切り替
わり(第9図),顧客は,返却を所望する場合,端末を操作して,画
面上の「この内容でオーダーする」ボタンをクリック操作する。
カ 上記クリック操作により,顧客の端末が,顧客により選択されたア
イテムの返却要求を,被告サービスで使用されるサーバーに対して
送信する。
5 顧客の端末からの返却要求を受信したサーバーは,顧客からの返却要求を
受け付けたことを通知する情報を顧客の端末に送信し,返却オーダーを受け
付けた旨を表示したウェブページを顧客の端末装置に表示させる(第10図)。
6 顧客の端末からの返却要求を受信したサーバーは,当該サーバーと通信す
る被告所有の端末に接続された印刷機などにより,顧客から返却要求された
アイテムの画像データを表示させた納品書を印字出力させる。
第3 図面の簡単な説明
第1図 預かったアイテムの写真撮影を示す図。
第2図 写真撮影で取得した画像データのデータベース登録を示す図。
第3図 「ドレスファイル オンラインクローゼット」ホームページ画面。
第4図 ログイン画面。
第5図 画像データが一覧出力形式で表示される「返却する」メニュー画面。
第6図 「返却する」メニュー画面下の「返却カート」を示す図。
第7図 「返却する」メニュー画面下の「返却カート」を示す図。
第8図 アイテムの返却日時を設定する画面。
第9図 返却のために選択されたアイテムの画像データを表示した画面。
第10図 返却要求を受け付けたことを示す画面。
第1図
第2図
第3図
第4図
第5図
第6図
第7図
第8図
第9図
第10図
以上
(別 紙)
被告物件目録
第1 対象物件(被告物件)
「オンラインクローゼット」サービス(被告サービス)で使用される以下の
装置。
1 デスクトップPC(Personal Computer)8台
2 ノートPC
3 FAX/プリンタ/スキャナ複合機
4 xCube
5 VoIPゲ-トウェイ装置(NTT Netcommunity VG シリ-ズ)
6 ONU(回線終端装置 NTT製)
7 ディジタルカメラ
2 被告物件の構成
被告物件の構成について,第1図及び第2図を参照して,以下に説明する。
1 アイテムの画像データを取得する,上記8台のデスクトップPCのうちの
3台の撮影用デスクトップPC(端末装置)。
2 上記撮影用デスクトップPCで取得された画像データと,画像データに対
応付ける認証情報とを入力するための,上記8台のデスクトップPCのうち
の2台のデータ入力用デスクトップPC(端末装置)。
3 入力された画像データと認証情報とを記憶する記憶手段に相当するデータ
ベースを有する,上記8台のデスクトップPC及び上記2台のノートPCの
うちのいずれかのPC。
4 ユーザ情報と認証情報による顧客の認証を行う認証手段を備えるとともに,
記憶手段から顧客の端末装置に送信する画像データを選択して読み出すサー
バーとなる,上記8台のデスクトップPC及び上記2台のノートPCのうち
のいずれかのPC。
5 顧客の端末装置にサーバーによって読み出された画像データを送信する送
信手段であると同時に,顧客の端末装置から送信されるユーザ情報と返却要
求を受信してサーバーに送出する,ONU,VG(VoIPゲ-トウェイ装
置),及びxCube。
6 顧客から返却要求されたアイテムの画像データを表示させた納品書を印字
出力する出力手段である,FAX/プリンタ/スキャナ複合機
7 アイテムを写真撮影する第2図に示すディジタルカメラ
第3 図面の簡単な説明
第1図 被告物件を含む被告サービスによるシステムの概略構成を示すブロ
ック図。
第2図 撮影のためのディジタルカメラと撮影用PCとの関係を示 す図。
第1図
第2図
以上
(別 紙)
謝罪広告目録
【省 略】

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