平成22(ワ)38409特許権侵害差止等請求事件
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裁判所 |
請求棄却 東京地方裁判所
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裁判年月日 |
平成23年9月20日 |
事件種別 |
民事 |
当事者 |
被告株式会社イデアテック 原告ドーエイ外装有限会社
株式会社パラキャップ社
両名訴訟代理人弁護士大津卓滋
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法令 |
特許法100条1項1回 特許法70条2項1回 特許法70条1項1回
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キーワード |
実施29回 特許権12回 侵害4回 損害賠償4回 差止3回
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主文 |
1 原告らの請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告らの負担とする。 |
事件の概要 |
本件は,隣り合う建物を連通する渡り通路の目地部を覆う,渡り通路の目地
装置についての特許権を有する原告ドーエイ外装有限会社(以下「原告ドーエ
イ外装」という。)及び同原告から同特許権に基づく損害賠償請求権を譲り受
けた原告株式会社パラキャップ社(以下「原告パラキャップ社」という。)が,
被告による被告製品の製造,販売行為は上記特許権を侵害する行為であると主
張して,被告に対し,原告ドーエイ外装が,特許法100条1項に基づき被告
製品の製造及び販売の差止めを求め,原告パラキャップ社が,特許権侵害の不
法行為に基づく損害賠償として,3850万円及びこれに対する平成23年1
月22日(訴状送達の日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅
延損害金の支払を求める事案である。 |
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判決文
平成23年9月20日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官
平成22年(ワ)第38409号 特許権侵害差止等請求事件
口頭弁論終結日 平成23年8月4日
判 決
三重県桑名市<以下略>
原 告 ド ー エ イ 外 装 有 限 会 社
三重県桑名市<以下略>
原 告 株式会社パラキャップ社
原告両名訴訟代理人弁護士 大 津 卓 滋
同 原 田 活 也
同 佐 藤 一 誠
東京都北区<以下略>
被 告 株 式 会 社 イ デ ア テ ッ ク
主 文
1 原告らの請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用は原告らの負担とする。
事 実 及 び 理 由
第1 請求
1 被告は,別紙物件目録記載の物件(以下「被告製品」という。)を製造,販
売してはならない。
2 被告は,原告株式会社パラキャップ社に対し,3850万円及びこれに対す
る平成23年1月22日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
本件は,隣り合う建物を連通する渡り通路の目地部を覆う,渡り通路の目地
装置についての特許権を有する原告ドーエイ外装有限会社(以下「原告ドーエ
イ外装」という。)及び同原告から同特許権に基づく損害賠償請求権を譲り受
けた原告株式会社パラキャップ社(以下「原告パラキャップ社」という。)が,
被告による被告製品の製造,販売行為は上記特許権を侵害する行為であると主
張して,被告に対し,原告ドーエイ外装が,特許法100条1項に基づき被告
製品の製造及び販売の差止めを求め,原告パラキャップ社が,特許権侵害の不
法行為に基づく損害賠償として,3850万円及びこれに対する平成23年1
月22日(訴状送達の日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅
延損害金の支払を求める事案である。
1 請求原因
(1) 原告ドーエイ外装の有する特許権
原告ドーエイ外装は,次の特許権(以下「本件特許権」といい,その特許
請求の範囲請求項1の発明を「本件発明」という。また,本件発明に係る特
許を「本件特許」といい,本件特許に係る明細書(別紙特許公報参照)を「本
件明細書」という。)を有している。
特 許 番 号 第2906374号
発明の名称 渡り通路の目地装置
出 願 日 平成8年2月13日
登 録 日 平成11年4月2日
特許請求の範囲請求項1
「一方の建物の外部通路の外壁に形成された渡り通路用開口部と,この渡
り通路用開口部と目地部を介して連通するように他方の建物より突出す
るように設けられた渡り通路と,この渡り通路の目地部側端部の床面上
に一端部が前後方向にスライド移動可能に支持され,他端部が前記渡り
通路用開口部の床面に左右方向にスライド移動可能に取付けられた目地
プレートと,前記渡り通路の目地部側の側壁に一端部が前後方向にスラ
イド移動可能にそれぞれ取付けられ,他端部が前記渡り通路用開口部が
形成された外壁に左右方向にスライド移動可能に取付けられた一対のス
ライド側壁とからなることを特徴とする渡り通路の目地装置。」
(2) 構成要件の分説
本件発明を構成要件に分説すると,次のとおりである(以下,分説した構
成要件をそれぞれ「構成要件A」などという。)。
A 一方の建物の外部通路の外壁に形成された渡り通路用開口部と,
B この渡り通路用開口部と目地部を介して連通するように他方の建物
より突出するように設けられた渡り通路と,
C この渡り通路の目地部側端部の床面上に一端部が前後方向にスライ
ド移動可能に支持され,他端部が前記渡り通路用開口部の床面に左右
方向にスライド移動可能に取付けられた目地プレートと,
D 前記渡り通路の目地部側の側壁に一端部が前後方向にスライド移動
可能にそれぞれ取付けられ,他端部が前記渡り通路用開口部が形成さ
れた外壁に左右方向にスライド移動可能に取付けられた一対のスライ
ド側壁
E とからなることを特徴とする渡り通路の目地装置。
(3) 被告製品の製造,販売
被告は,平成21年9月下旬ころまでに,東京都足立区梅田8丁目396
番16他所在のマンション「リライズガーデン西新井」(以下「本件マンシ
ョン」という。)の建築工事において,別紙物件目録記載の物件(被告製品)
を少なくとも22個製造し,設置するなどの工事を施工した。
(4) 被告製品が本件発明の技術的範囲に属すること
被告製品は,別紙物件目録記載第1の1ないし9の構成(以下「構成1」
などという。)を有するものであり,次のとおり,構成要件AないしEを充
足する。したがって,被告製品は,本件発明の技術的範囲に属する。
ア 構成要件Aについて
被告製品は,構成1及び2のとおり,隙間1を介した建物2と建物3が
あり,建物2の外壁には,渡り通路を設置するための開口部8が設置され
ている。
したがって,被告製品は,構成要件Aの「一方の建物の外部通路の外壁
に形成された渡り通路用開口部」を備えているといえ,同構成要件を充足
する。
イ 構成要件Bについて
被告製品は,構成3,4及び6のとおり,建物3に設置された通路5が,
隙間1を間に挟んで建物2方向に突出し,開口部8に設置されたカバープ
レート4の端部を下から支えることによって,開口部8と連通している。
したがって,被告製品は,構成要件Bの「この渡り通路用開口部と目地
部を介して連通するように他方の建物より突出するように設けられた渡り
通路」を備えているといえ,同構成要件を充足する。
ウ 構成要件Cについて
(ア) 被告製品は,構成6,8及び9のとおり,カバープレート4が通路
5の隙間1側の床面上に重なっており,カバープレート4の左右端部に
は前後方向に側壁7が設置され,前後方向に動くローラー10でカバー
プレート4が支持されている。したがって,カバープレート4は,「渡
り通路の目地部側端部の床面上に一端部が前後方向にスライド移動可
能に支持され」(構成要件C)ているといえる。
また,カバープレート4は,構成3及び8のとおり,建物2の床面を
構成するスロープ部分に,建物2の床面としての機能上一体のものとな
って接触しているものであり,カバープレート4の左右端部に設置され
た側壁7が,左右方向につき左右方向のレール6内を左右に動くローラ
ー9で支持されていることから,カバープレート4は,「他端部が前記
渡り通路用開口部の床面に左右方向にスライド移動可能に取付けられ」
(構成要件C)ているといえる。
したがって,カバープレート4は構成要件Cの「目地プレート」に
該当し,被告製品は構成要件Cを充足する。
(イ) なお,カバープレート4は,構成3のとおり,建物2のスロープ
に固定されているものではなく,スロープに接触しているだけのもの
である。
しかしながら,カバープレート4の下部に設けられたレール6は,
建物2側において建物2のスロープと接触しているものであるから
(別紙物件目録記載第2の図面(以下,単に「図面」という。)3-
3「A断面」参照),同レールは建物2の床面を構成するものといえ,
カバープレート4は,建物2の開口部8の床面に取り付けられている
といえる。
また,仮に,レール6は,建物2の隙間1側の外壁に設けられた固
定金具で固定されていることから,同レールは建物2の外壁を構成す
るものであり,カバープレート4は,建物2のスロープに接触してい
るにすぎないとみられるとしても,本件明細書の発明の詳細な説明に
記載された本件発明の実施例では,レールが建物2の外壁に設置され
ており,目地プレートが建物2の床面に支持されているわけではない
ものも記載されており(図20,23),この点に関しては,被告製
品も同様である。
【図19】本発明の第5の実施の形態の平面図。
【図20】図19の20-20線に沿う断面図。
【図22】本発明の第6の実施の形態の平面図。
【図23】図22の23-23線に沿う断面図。
したがって,被告製品のように,目地プレートが建物2の床面に支
持されているわけではなく,建物2の外壁に設置されたレールによっ
て支持されている構成も,目地プレートの「他端部が前記渡り通路用
開口部の床面に左右方向にスライド移動可能に取付けられ」ているも
のといえ,構成要件Cを充足する。
エ 構成要件Dについて
(ア) 被告製品は,構成8及び9のとおり,側壁7が,前後方向につきカ
バープレート4の左右端部かつ建物3の左右の外壁の内側にそれぞれ
設置され,カバープレート4は,前後方向に動くローラー10で支持さ
れている。また,側壁7は,左右方向につき左右方向のレール6内を左
右に動くローラー9で支持され,建物2の開口部8を介した左右の外壁
の外側にそれぞれ設置されている。
したがって,側壁7は,構成要件Dの「渡り通路の目地部側の側壁に
一端部が前後方向にスライド移動可能に取付けられ,他端部が渡り通路
用開口部が形成された外壁に左右方向にスライド移動可能に取付けら
れ」た「一対のスライド側壁」であるといえる。
(イ) なお,被告製品では,上記のとおり,側壁7は,建物3の左右の外
壁の内側に設置されているものであり,側壁7と建物3の左右の外壁を
接続したり,固定したりする部材は存在しない。
しかしながら,「取り付ける」とは「機器などを一定の場所に設置し
たり他の物に装置したりする。 ことであり
」 (広辞苑第5版1950頁),
「装置する」とは「ある目的のために機械,器具などを取り付けること」
であって(同1551頁),それぞれの物を接続させたり固定させたり
する部材の存在は,「取り付ける」ことの必須の要件ではない。
側壁7は,建物3の左右の外壁の内側に近接させて,揺れが生じた時
に前後方向にスライド移動を可能とするという目的のために設置されて
いるのであるから,上記外壁に「取付けられ」ているといえる。
本件明細書に記載された本件発明の実施例にも,次のとおり,スライ
ド側壁が渡り通路の目地部側の側壁の内側に位置するだけで,スライド
側壁と目地部側の側壁が接触していないものが掲載されている(段落【0
022】,図22~24。なお,【図22】及び【図23】については,
前記ウのとおり。)。
「【0022】図22ないし図24の本発明の第6の実施の形態におい
て,前記本発明の第5の実施の形態と主に異なる点は渡り通路5の目
地部6側の床面上に目地プレート12を位置させるとともに,側壁1
6,16の内壁面にスライド側壁15D,15Dを位置させて前後方
向にスライド移動可能に取付けた点で,このように構成した渡り通路
の目地装置21Eにしても,前記本発明の第5の実施の形態と同様な
作用効果が得られる。なお,目地プレート12は渡り通路5の床面上
に前後方向にスライド移動可能に位置させただけでもよく,あるいは
目地プレート12と渡り通路5の床面との間に小さなローラーを複
数個介装させてもよい。」
【図24】本発明の第6の実施の形態の目地プレートとスライド側壁
の斜視図。
(5) 原告らの損害
被告は,上記(3)のとおり,平成21年9月下旬ころまでに被告製品を少
なくとも22個製造,販売したものであり,被告製品の販売による被告製
品1個当たりの利益額は,175万円を下らない。
したがって,被告が被告製品を製造販売することにより原告ドーエイ外
装の被った損害額は,被告が上記販売行為により受けた利益の額(175
万円×22個=3850万円)と推定される。
原告ドーエイ外装は,原告パラキャップ社に対し,本件特許権に基づく
上記損害賠償請求権を譲渡した。
(6) よって,原告ドーエイ外装は,被告に対し,本件特許権に基づき被告製品
の製造及び販売の差止めを求め,原告パラキャップ社は,被告に対し,本件
特許権の侵害に基づく損害賠償として,3850万円及びこれに対する不法
行為の後である平成23年1月22日(訴状送達の日)から支払済みまで民
法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。
2 請求原因に対する認否
(1) 請求原因(1)及び(2)は認める。
(2) 請求原因(3)ないし(5)は否認する。
第3 当裁判所の判断
1 請求原因(1)(原告ドーエイ外装の有する特許権)及び(2)(構成要件の分説)
については,当事者間に争いがない。
2 請求原因(3)(被告製品の製造,販売)及び(4)(被告製品が本件発明の技術的
範囲に属すること)について
(1) 原告らは,被告が本件マンションの建築工事において施工した目地装置は
別紙物件目録記載の構成を有するもの(被告製品)であると主張し,同装置
が同目録記載の構成を有することの証拠として,原告パラキャップ社の従業
員が撮影した同装置の写真(甲3)を提出する。
しかしながら,本件発明は,目地装置を構成する目地プレートやスライド
側壁の端部が,通路の床面や側壁等にどのように取り付けられたり,支持さ
れたりするものかについて,その構造を具体的に定めているところ(構成要
件C,D),上記写真は,上記目地装置の細部の構造を撮影したものではな
いため,この写真だけでは,同装置における目地プレートやスライド側壁が
床面や側壁等にどのように取り付けられているのか(別紙物件目録記載の取
付構造を有するものか否か)を確認することはできない。また,上記写真の
他に,上記目地装置が別紙物件目録記載の構成を有することを認めるに足り
る証拠はない。
したがって,上記目地装置が別紙物件目録記載の構成を有するものである
と認めることはできず,原告らの主張は理由がない。
(2) 仮に,被告が本件マンションに設置した目地装置の構成が別紙物件目録記
載のとおりであるとしても,同装置(被告製品)は,本件発明の技術的範囲
に属するものとは認められない。その理由は,次のとおりである。
ア 構成要件Aについて
被告製品は,構成1及び2のとおり,隙間1を介した建物2と建物3が
あり,建物2の外壁には,渡り通路を設置するための開口部8が設置され
ている。また,証拠(甲3)によれば,上記外壁は,建物2の外部側に設
けられた通路の外壁であると認められる。
したがって,開口部8は,構成要件Aの「一方の建物の外部通路の外壁
に形成された渡り通路用開口部」に該当し,被告製品は,同構成要件を充
足する。
イ 構成要件Bについて
被告製品は,構成3,4及び6のとおり,建物3に設置された通路5が,
建物2方向に突出し,通路5と建物2との間には,隙間1を覆うカバープ
レート4が設置されており,カバープレート4を通って,隙間1が存在す
る通路5と開口部8との間を往き来することができる。
したがって,通路5は,構成要件Bの「この渡り通路用開口部と目地部
を介して連通するように他方の建物より突出するように設けられた渡り通
路」に該当し,被告製品は,同構成要件を充足する。
ウ 構成要件Cについて
(ア) 目地プレートの渡り通路側の端部の構成について
被告製品は,構成9のとおり,カバープレート4が,通路5の床面の
上に前後方向に動くローラー10で支持されている。
したがって,カバープレート4は,「渡り通路の目地部側端部の床面
上に一端部が前後方向にスライド移動可能に支持され」(構成要件C)
ているといえる。
(イ) 目地プレートの渡り通路用開口部側の端部の構成について
a 被告製品は,構成8のとおり,側壁7が,前後方向につきカバープ
レート4の左右端部かつ建物3の左右の外壁の内側にそれぞれ設置さ
れ,左右方向につき左右方向のレール6内を左右に動くローラー9で
支持されている。また,図面3-4のとおり,側壁7は,カバープレ
ート4の左右端部上に固定されている。
したがって,側壁7が固定されているカバープレート4は,その建
物2側,すなわち他端部が,側壁7とともに,建物2に対して「左右
方向にスライド移動可能」であるといえる。
b 一方,カバープレート4の他端部は,構成3のとおり,建物2の床
面の一部を構成するスロープと普段接触しているものの,固定されて
はおらず,揺れが生じた時にはスロープと離間するような構成となっ
ている。
そうすると,カバープレート4の他端部は,カバープレート4の左
右端部上に固定された側壁7を介してレール6に支持されているとい
うべきであり,このレール6は,構成5のとおり建物2の外壁に固定
されたものであるから,結局,カバープレート4の他端部は,単にカ
バープレート4と接触しているだけであるスロープ,すなわち「渡り
通路用開口部の床面」(構成要件C)に取り付けられているものでは
なく,「渡り通路用開口部が形成された外壁」に取付けられているも
のであるというべきである。
c これに対し,原告らは,カバープレート4を支持するレール6は,
その建物2側が建物2のスロープと接触していることから,建物2の
床面を構成するといえると主張する。
しかしながら,レール6は,構成5のとおり,その底面が建物2の
外壁に固定されているものであって,スロープに固定されているもの
ではなく,スロープと一体の部材となっているものではない。また,
レール6自体は人の通行等に用いられるものではないから,レール6
が,上記スロープとは別に開口部8の「床面」を構成しているともい
えない。
したがって,単に,開口部8の「床面」の一部を構成するスロープ
と接触していることのみをもって,レール6が開口部8の「床面」を
構成するということはできず,原告らの主張は理由がない。
d(a) また,原告らは,本件明細書の発明の詳細な説明に記載された
本件発明の実施例には,レールが建物2の外壁に設置されており,
目地プレートが建物2の床面に支持されているわけではないものも
記載されているから(図20,23),被告製品のように,目地プ
レートが建物2の床面に支持されているわけではなく,建物2の外
壁に設置されたレールによって支持されている構成も,目地プレー
トの「他端部が前記渡り通路用開口部の床面に左右方向にスライド
移動可能に取付けられ」ているものに当たると主張する。
(b) しかしながら,特許発明の技術的範囲は,願書に添付した特許
請求の範囲の記載に基づいて定めなければならないところ(特許法
70条1項),「床面」とは,「壁面・天井などに対して,床。床
の表面」を意味するものであり(広辞苑第6版2864頁),「取
り付ける」とは,「機器などを一定の場所に設置したり他の物に装
置したりする。」ことを意味するものである(同2048頁)。ま
た,「設置」とは「設けて置くこと。」(特許技術用語集第3版1
05頁)を,「装置」とは「取り付けて置くこと。備えつけること。」
(同113頁)を,それぞれ意味するものである。
したがって,構成要件Cの「床面に…取付けられ」という用語を
普通の意味で解釈すると,被告製品のように目地プレートを建物の
外壁に設置する場合は,これに当たらないものと解される。
(c) また,特許請求の範囲に記載された用語は,願書に添付した明
細書の記載すなわち発明の詳細な説明等の記載や図面を考慮して
解釈するものとされているところ(特許法70条2項),本件明細
書の発明の詳細な説明には,以下の記載が存在する。
「【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は隣り合う建物を連通する渡り通
路の目地部を覆う渡り通路の目地装置に関する。」(2頁3欄22
行~25行)
「【0002】
【従来の技術】従来,渡り通路の目地装置は左右の建物より渡り通
路を突出させ,床目地部に該床目地部をスライド移動可能に覆う目
地プレートを用いて設置された床用目地装置と,壁面間の目地部を
スライド移動可能に覆う目地プレートを用いて設置された壁面用
目地装置とで構成されている。」(2頁3欄26行~32行)
「【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の渡り通路の目地装置はスラ
イド移動可能な目地プレートを用いているので,地震等での左右の
建物の小さな前後左右方向の揺れ動きは吸収することができるが,
大きな前後左右方向の揺れ動きを吸収することができず,損傷する
という欠点があった。また,床用目地装置と壁面用目地装置との接
続がむずかしく,取付けに手数がかかるという欠点があった。 (2
」
頁3欄33行~41行)
「【0004】本発明は以上のような従来の欠点に鑑み,左右の建物
が地震等によって大きく前後左右方向に揺れ動いても,その動きに
追従することができるとともに,床目地部と壁面の目地部とを確実
に覆うことができる,取付けが容易な渡り通路の目地装置を提供す
ることを目的としている。」(2頁3欄42行~47行)
「【0005】本発明の前記ならびにそのほかの目的と新規な特徴は
次の説明を添付図面と照らし合わせて読むと,より完全に明らかに
なるであろう。ただし,図面はもっぱら解説のためのものであって,
本発明の技術的範囲を限定するものではない。」(2頁3欄48行
~同頁4欄2行)
「【0006】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために,本発明
は一方の建物の外部通路の外壁に形成された渡り通路用開口部と,
この渡り通路用開口部と目地部を介して連通するように他方の建
物より突出するように設けられた渡り通路と,この渡り通路の目地
部側端部の床面上に一端部が前後方向にスライド移動可能に支持
され,他端部が前記渡り通路用開口部の床面に左右方向にスライド
移動可能に取付けられた目地プレートと,前記渡り通路の目地部側
の側壁に一端部が前後方向にスライド移動可能にそれぞれ取付け
られ,他端部が前記渡り通路用開口部が形成された外壁に左右方向
にスライド移動可能に取付けられた一対のスライド側壁とで渡り
通路の目地装置を構成している。」(2頁4欄3行~16行)
「【0007】
【発明の実施の形態】以下,図面に示す実施の形態により,本発明
を詳細に説明する。」(2頁4欄17行~19行)
「【0008】図1ないし図9の本発明の第1の実施の形態において,
1は一方の建物2の外部通路3の外壁4に形成された渡り通路用
開口部である。」(2頁4欄20行~22行)
「【0009】5は前記渡り通路用開口部1と目地部6を介して連通
するように他方の建物7より突出するように設けられた渡り通路
で,この渡り通路5の幅寸法は前記渡り通路用開口部1の幅寸法よ
りも小さく,大きな左右方向の揺れを吸収できる寸法に形成されて
いる。」(2頁4欄23行~27行)
「【0010】8は前記渡り通路5の目地部6側の床面に形成された
凹部で,この凹部8には複数個の前後方向のガイドレール9が固定
されている。」(2頁4欄28行~30行)
「【0011】10は前記渡り通路用開口部1が形成された目地部6
側の床面に形成された凹部で,この凹部10には左右方向のガイド
レール11が固定されている。」(2頁4欄31行~33行)
「【0012】12は前記目地部6を覆う前記渡り通路5の内側幅寸
法とほぼ同じ幅寸法に形成された目地プレートで,この目地プレー
ト12の一端底面には前記複数個の前後方向のガイドレール9に
沿ってそれぞれ移動するローラ13が取付けられ,他端底面には前
記左右方向のガイドレール11に沿って移動する複数個のローラ
14が取付けられている。」(2頁4欄34行~40行)
「【0013】15,15は前記渡り通路用開口部1が形成された両
端部の外壁4,4と,前記渡り通路5の目地部6側の側壁16,1
6との間をほぼ直角に覆う一対のスライド側壁で,この一対のスラ
イド側壁15,15は前記外壁4,4および側壁16,16の端部
を覆うことができるように断面コ字状に形成されかつ全体をほぼ
直角になるように形成されたスライド側壁本体17,17と,この
スライド側壁本体17,17の両端部寄りの内壁面に取付けられた
前記外壁4,4および側壁16,16の上面を移動するローラ18,
18とで構成されている。」(2頁4欄41行~3頁5欄1行)
「【0014】19は前記目地プレート12の一端部の上部を覆う前
記渡り通路5の凹部8寄りの床面に複数本の固定ビス20によっ
て取付けられた押さえ板である。」(3頁5欄2行~4行)
「【0015】上記構成の渡り通路の目地装置21は,左右の建物が
前後方向に地震等で揺れ動いた場合には,図8に示すように目地プ
レート12と渡り通路5とが前後方向にスライド移動し,その動き
を吸収するとともに,一対のスライド側壁15,15の渡り通路側
も渡り通路5の側壁16,16と前後方向にスライド移動し,その
動きを吸収する。」(3頁5欄5行~11行)
「【0016】左右の建物が左右方向に地震等で揺れ動いた場合には,
図9に示すように一方の建物2の外部通路3の外壁4と目地プレ
ート12とが左右方向にスライド移動し,その動きを吸収するとと
もに,一対のスライド側壁15,15の外部通路3側が外壁4,4
と左右方向にスライド移動し,その動きを吸収する。」(3頁5欄
12行~17行)
「【0017】
【発明の異なる実施の形態】次に,図10ないし図21に示す本発
明の異なる実施の形態につき説明する。なお,これらの本発明の異
なる実施の形態の説明に当って,前記本発明の第1の実施の形態と
同一構成部分には同一符号を付して重複する説明を省略する。(3
」
頁5欄18行~23行)
「【0021】図19ないし図21の本発明の第5の実施の形態にお
いて,前記本発明の第1の実施の形態と主に異なる点は一対のスラ
イド側壁15C,15Cで,このスライド側壁15C,15Cは板
材を直角に折り曲げ形成したスライド側壁本体17C,17Cを目
地プレート12に一体あるいは固定的に取付けた点で,このように
構成した渡り通路の目地装置21Dにしても,前記本発明の第1の
実施の形態と同様な作用効果が得られる。」(3頁6欄10行~1
7行)
「【0022】図22ないし図24の本発明の第6の実施の形態にお
いて,前記本発明の第5の実施の形態と主に異なる点は渡り通路5
の目地部6側の床面上に目地プレート12を位置させるとともに,
側壁16,16の内壁面にスライド側壁15D,15Dを位置させ
て前後方向にスライド移動可能に取付けた点で,このように構成し
た渡り通路の目地装置21Eにしても,前記本発明の第5の実施の
形態と同様な作用効果が得られる。なお,目地プレート12は渡り
通路5の床面上に前後方向にスライド移動可能に位置させただけ
でもよく,あるいは目地プレート12と渡り通路5の床面との間に
小さなローラーを複数個介装させてもよい。」(3頁6欄18行~
29行)
「【0025】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように,本発明にあっては
次に列挙する効果が得られる。」(4頁7欄12行~14行)
「【0026】(1)一方の建物の外部通路の外壁に形成された渡り
通路用開口部と,この渡り通路用開口部と目地部を介して連通する
ように他方の建物より突出するように設けられた渡り通路と,この
渡り通路の目地部側端部の床面上に一端部が前後方向にスライド
移動可能に支持され,他端部が前記渡り通路用開口部の床面に左右
方向にスライド移動可能に取付けられた目地プレートと,前記渡り
通路の目地部側の側壁に一端部が前後方向にスライド移動可能に
それぞれ取付けられ,他端部が前記渡り通路用開口部が形成された
外壁に左右方向にスライド移動可能に取付けられた一対のスライ
ド側壁とで構成されているので,左右の建物が地震等で前後左右方
向に揺れ動いた場合に,目地プレートおよび一対のスライド側壁が
その動きに追従して移動し吸収することができる。したがって,目
地プレートや一対のスライド側壁が損傷するのを防止することが
でき,安全に長期間使用することができる。」(4頁7欄15行~
31行)
「【0027】(2)前記(1)によって,目地プレートおよび一対
のスライド側壁を一方を前後方向にスライド移動可能に取付け,他
方を左右方向にスライド移動可能に取付けているので,構造が簡単
で,大きな前後左右方向の揺れ動きに追従することができる。 (4
」
頁7欄32行~36行)
「【0028】(3)前記(1)によって,構造が簡単であるので,
容易に設置することができるとともに,安価に製造することができ
る。」(4頁7欄37行~39行)
【図1】本発明の第1の実施の形態の平面図。
【図2】図1の2-2線に沿う拡大断面図。
【図3】図1の3-3線に沿う拡大断面図。
【図4】本発明の第1の実施の形態の渡り通路用開口部の説明図。
(d) 上記発明の詳細な説明の記載等によれば,本件発明において,
目地プレートの一端部を渡り通路の目地部側端部の床面上に前後方
向にスライド移動可能に支持し,他端部を渡り通路用開口部の床面
に左右方向にスライド移動可能に取り付けること(構成要件C),
及び,一対のスライド側壁の一端部を渡り通路の目地部側の側壁に
前後方向にスライド移動可能に取り付け,他端部を渡り通路用開口
部が形成された外壁に左右方向にスライド移動可能に取り付けるこ
と(構成要件D)の技術的意義は,従来の渡り通路の目地装置では,
地震等での左右の建物の大きな前後左右方向の揺れ動きを吸収する
ことができず,床用目地装置と壁面用目地装置との接続が難しいな
どの欠点があったのに対し,上記構成を採ることにより,①左右の
建物が地震等で前後左右方向に揺れ動いた場合に,目地プレート及
び一対のスライド側壁がその動きに追従して移動し吸収することが
できるため,目地プレートや一対のスライド側壁が損傷するのを防
止することができ,安全に長期間使用することができること,②構
造が簡単で,大きな前後方向の揺れ動きに追従することができるこ
と,③構造が簡単なため,容易に設置することができ,安価に製造
することができること,などの効果を得ることにあるものと認めら
れる。
そして,構成要件Cの「床面に…取付けられ」の意義を上記(b)
の通常の意味どおりに解し,目地プレートの他端部を,建物の外壁
ではなく通路用開口部の床面に取り付けることによっても,上記本
発明の第1の実施の形態(段落【0008】~【0016】,図1
~9)のように,従来技術の上記欠点を解消し,上記効果を実現す
ることができるといえる。
そうすると,本件明細書において,「特許請求の範囲」における
目地プレートの他端部の取付けに関する記載内容と,本件発明の実
施の形態を示す図面とが整合しない点があるとしても,「床面に…
取付けられ」という記載について,これを「外壁に…取付けられ」
という場合を含む意味に解釈することは,文言解釈の限界を超える
ものとして,許されないというべきである。
また,本件明細書の他の記載を見ても,構成要件Cの「床面に…
取付けられ」に関して,上記(b)の通常の意味と異なり,床面だけ
でなく外壁に取り付けられることを含む意味で使用する旨を定義す
る記載は存在しない。
原告らの主張は,採用することができない。
(ウ) したがって,被告製品は,「他端部が前記渡り通路用開口部の床面
に左右方向にスライド移動可能に取付けられ」の構成を有せず,構成要
件Cを充足しない。
エ 構成要件Dについて
(ア) スライド側壁の渡り通路用開口部側の取付構造について
被告製品は,構成5及び8のとおり,一対の側壁7の開口部8側の端
部が,レール6内を左右に動くローラー9で支持され,レール6は,建
物2の隙間1側の外壁に設けられた固定金具で固定されている。
したがって,一対の側壁7の各他端部は,「渡り通路用開口部が形成
された外壁に左右方向にスライド移動可能に取付けられた」ものといえ
る。
(イ) スライド側壁の渡り通路側の取付構造について
a 被告製品は,上記ウのとおり,一対の側壁7が,カバープレート4
の左右端部上にそれぞれ固定され,カバープレート4は,通路5の床
面の上に前後方向に動くローラー10で支持されている。したがって,
カバープレート4上に固定された一対の側壁7の各通路5側,すなわ
ち各「一端部」が,通路5に対して「前後方向にスライド移動可能」
であるといえる。
b 他方,一対の側壁7がカバープレート4に固定されている位置は,
構成8及び図面3-4のとおり,通路5の各側壁の内側であり,側壁
7は,通路5の各側壁に近接してはいるものの,間隔を置いており,
接触してはいない。
したがって,一対の側壁7は,カバープレート4の左右端部ないし
カバープレート4を支持する通路5の床面に一端部が取り付けられた
ものであるとはいえても,「渡り通路の目地部側の側壁」である通路
5の各側壁に「一端部が」「取付けられ」ているものとはいえない。
c これに対し,原告らは,「取付け」るとは,「機器などを一定の場
所に設置したり他の物に装置したりすること」であり,それぞれの物
を接続させたり固定させたりする部材の存在は「取付け」ることの必
須の要件ではないところ,側壁7は,建物3の左右の外壁の内側に近
接させて,揺れが生じた時に前後方向にスライド移動を可能とすると
いう目的のために設置されているのであるから,上記外壁に「取付け
られ」ているものであると主張する。
しかしながら,側壁7は,上記のとおり,通路5の各側壁の内側に
近接して位置してはいるものの,同側壁と接触するものではなく,カ
バープレート4上に固定されているものである。
したがって,側壁7は,単に,通路5の各側壁の内側に近接してい
るというにすぎず,側壁7が設置されている場所ないし装置されてい
る物が通路5の各側壁であるということはできない。原告らの主張は,
採用することができない。
d さらに,原告らは,本件明細書に,本件発明の実施例として,スラ
イド側壁と目地部側の側壁が接触していないものが掲載されているこ
と(段落【0022】,図22~24)を指摘し,被告製品のように
スライド側壁7が一方の建物3の外壁の内側に位置している構成も,
側壁7が同外壁の内側に「取付けられ」ているものに当たると主張す
る。
しかしながら,上記段落【0022】及び図22ないし図24の記
載内容は前記ウのとおりであり,これらの記載からは,スライド側壁
15Dと側壁16が被告製品における側壁7と通路5の各側壁のよう
に互いに接触していないものなのかどうかについては,必ずしも判然
としないというべきである。また,段落【0022】には,「側壁1
6,16の内壁面にスライド側壁15D,15Dを位置させて前後方
向にスライド移動可能に取付けた」こと,すなわち,スライド側壁1
5Dを側壁16の内壁面に「位置させる」ことが記載されているだけ
であって,スライド側壁15Dを「取付けた」対象が側壁16である
ことが明記されているものではない。したがって,原告らの上記主張
は,その前提を欠くものといえ,失当である。
仮に,上記実施例が,スライド側壁と目地部側の側壁が接触してい
ない構成を記載したものであると認められるとしても,「取り付ける」
の通常の意味は前記ウ(イ)dのとおりであるから,構成要件Dの「側
壁に…取付けられ」という用語を普通の意味で解釈すると,被告製品
のように,スライド側壁である側壁7が,通路5の側壁の内側に位置
してはいるものの,同側壁と接触するものではなく,カバープレート
4上に固定されている場合は,これに当たらないものと解される。ま
た,構成要件Dの技術的意義については,前記ウd(d)のとおりであ
るところ,構成要件dの「側壁に…取付けられ」の意義を通常の意味
どおりに解し,スライド側壁の一端部を,目地プレートではなく渡り
通路の目地部側の側壁に取り付けることによっても,上記本発明の第
1の実施の形態のように,従来技術の上記欠点を解消し,上記効果を
実現することができるといえる。したがって,「側壁に…取付けられ」
という記載について,これを「側壁の内側に…位置し」という場合を
含む意味に解釈することは,前記ウと同様に,文言解釈の限界を超え
るものとして,許されないというべきである。
(ウ) したがって,被告製品は,「前記渡り通路の目地部側の側壁に一端
部が前後方向にスライド移動可能にそれぞれ取付けられ」の構成を有せ
ず,構成要件Dを充足しない。
オ 構成要件Eについて
被告製品は,「渡り通路の目地装置」であり,構成要件Eを充足する。
カ 以上のとおりであるから,被告製品は,構成要件C,Dを充足せず,本
件発明の技術的範囲に属しない。
3 よって,その余の点について判断するまでもなく,原告らの請求はいずれも
理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第47部
裁判長裁判官 阿 部 正 幸
裁判官 山 門 優
裁判官 志 賀 勝
(別紙特許公報は省略)
別 紙
物 件 目 録
次のとおりの構成を有する,渡り通路用免震エキスパンションジョイント
第1 構造
1 隙間1を介した建物2と建物3がある。
2 建物2の外壁には渡り通路を設置するための開口部8が設置されてい
る。
3 建物2には,隙間1を覆うカバープレート4が設置されている。なお,
建物2はスラブとスロープとで構成されており,カバープレート4は建物
2のスロープとは普段接触しているものの固定されてはおらず,揺れが生
じた時にはカバープレート4と建物2のスロープは離間する(図面3-3
「A断面」参照)。
4 建物3には建物2方向に突出する通路5が設置されている。
5 左右方向のレール6は,建物2の隙間1側の外壁に設けられた固定金具
で 固 定 さ れ て い る( 図 面 3 - 5「 イ 断 面 」及 び 図 面 3 - 3「 A 断 面 」参 照 )。
6 カバープレート4は,通路5の隙間1側の床面上に重なっている。
7 建物2の外壁と通路5の側壁との間をほぼ直角に覆う側壁7がある。
8 側壁7は,前後方向につきカバープレート4の左右端部かつ建物3の左
右の外壁の内側にそれぞれ設置されており,左右方向につき左右方向のレ
ール6内を左右に動くローラー9で支持されて開口部8の左右端部かつ建
物2の左右の外壁の外側にそれぞれ設置されている。
9 カバープレート4は通路5の床面の上に前後方向に動くローラー10で
支持されている(図面3-4「ロ断面」参照)。
第2 図面
1 図面1 上方向から見た図
なお,矢印は,地震時の揺れの際の作動方向を示す。
2 図面2 下方向から見た図
3 図面3-1~3-5
ローラー,カバープレート,レールの設置状況を示す図
以 上
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