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平成27(ワ)906商標権侵害損害賠償等請求事件

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裁判所 一部認容 東京地方裁判所
裁判年月日 平成27年4月15日
事件種別 民事
当事者 被告有限会社ガレージワークス
原告株式会社トータルサービス
法令 商標権
商標法36条1項1回
商標法25条1回
民事訴訟法61条1回
キーワード 商標権6回
侵害4回
損害賠償3回
実施2回
主文 1 被告は,平成32年4月30日までの間,車輌・家具・室内装飾品に使用される,レザー・布・ビニール・プラスチック製品・その他革製品の傷み・穴・破れ・欠けの補修,褪色のカラーコーティング再生,色替え,脱臭及び磨きを行う事業並びにこれに類似する事業を行ってはならない。
2 被告は,自転車の修理,自動車の内外装の修理・その他の修理又は整備,鉄道車両の内外装の修理・その他の修理又は整備,二輪自動車の修理又は整備の提供に関する広告を内容とするWebページに,別紙被告標章目録に記載の被告標章を付して,前記役務を提供してはならない。
3 被告は,原告に対し,275万円及びこれに対する平成27年2月1日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
4 被告は,原告に対し,100万円及びこれに対する平成27年2月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
5 原告のその余の請求を棄却する。
6 訴訟費用は被告の負担とする。
7 この判決は,第1項ないし第4項に限り仮に執行することができる。
事件の概要 1 原告は,請求原因として,次のとおり述べた。 (1) 原告は,建造物内外装・車輌・家具等の補修・清掃・保守の各事業,同 各事業に関わるフランチャイズチェーン店の加盟店募集,指導業務等を営む 株式会社である。

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判決文

平成27年4月15日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官
平成27年(ワ)第906号 商標権侵害損害賠償等請求事件
口頭弁論終結日 平成27年3月2日
判 決
東京都新宿区<以下略>
原 告 株式会社トータルサービス
同訴訟代理人弁護士 山 上 芳 和
同 藤 井 圭 子
同 笹 岡 優 隆
同 林 瑛 子
広島県福山市<以下略>
被 告 有限会社ガレージワークス
主 文
1 被告は,平成32年4月30日までの間,車輌・家具・室内装飾品に使用さ
れる,レザー・布・ビニール・プラスチック製品・その他革製品の傷み・穴・
破れ・欠けの補修,褪色のカラーコーティング再生,色替え,脱臭及び磨きを
行う事業並びにこれに類似する事業を行ってはならない。
2 被告は,自転車の修理,自動車の内外装の修理・その他の修理又は整備,鉄
道車両の内外装の修理・その他の修理又は整備,二輪自動車の修理又は整備の
提供に関する広告を内容とするWebページに,別紙被告標章目録に記載の被
告標章を付して,前記役務を提供してはならない。
3 被告は,原告に対し,275万円及びこれに対する平成27年2月1日から
支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
4 被告は,原告に対し,100万円及びこれに対する平成27年2月1日から
支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
5 原告のその余の請求を棄却する。
6 訴訟費用は被告の負担とする。
7 この判決は,第1項ないし第4項に限り仮に執行することができる。
事 実 及 び 理 由
第1 請求
1 主文第1項及び第2項と同旨
2 被告は,原告に対し,375万円及びこれに対する平成27年2月1日から
支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
第2 当事者の主張等
1 原告は,請求原因として,次のとおり述べた。
(1) 原告は,建造物内外装・車輌・家具等の補修・清掃・保守の各事業,同
各事業に関わるフランチャイズチェーン店の加盟店募集,指導業務等を営む
株式会社である。
被告は,各種自動車の販売,リース業,自動車の整備,修理,鈑金及び塗
装業等を営む特例有限会社であり,平成22年4月末日まで,原告フラン
チャイズチェーン店に加盟していた。
(2) 原告と被告は,平成17年10月12日,インテリアリペア加盟店契約
(以下「本件契約」という。)を締結した。
インテリアリペア事業とは,車輌・家具・室内装飾品に使用される,レ
ザー・布・ビニール・プラスチック製品・その他革製品の傷み・穴・破れ・
欠けの補修,褪色のカラーコーティング再生,色替え,脱臭及び磨きを行う
事業を意味し,素材の張替え・取替えをせず,安価に修理が可能となる点に
大きな特色がある。なお,原告は,「インテリアリペア」を称呼とする標章
を商標登録している。
本件契約では,契約終了後,10年間にわたり,本部(原告)からノウハ
ウ教示を受けた事業並びにこれに類似する事業を行ってはならないとの競業
避止義務が課されているにもかかわらず(34条3項),被告は,本契約が
終了した平成22年5月1日以降も,「インテリアリペア」と称して,家具
や車輌内装の皮革,ビニール等のヒビ割れ,破れ,穴あき,色褪せ等の修復
事業(張替えを伴わない修復事業)を継続してきた。
上記被告事業は,原告が実施するインテリアリペア事業と同一ないし類似
する事業であり,上記競業避止義務規定により禁止される事業である。
(3)ア 原告は,別紙原告商標目録記載の商標(以下「原告商標」という。)に
つき,次の商標権(以下「原告商標権」という。)を有している。

登 録 番 号 第4134822号
出 願 日 平成8年3月26日
登 録 日 平成10年4月10日
更新登録日 平成20年4月8日
指 定 役 務 第37類
自転車の修理,自動車の内外装の修理・その他の
修理又は整備,鉄道車両の内外装の修理・その他
の修理又は整備,二輪自動車の修理又は整備
登 録 商 標 別紙原告商標目録に記載のとおり
イ 被告は,平成22年5月1日以降,原告に無断で,被告ウェブページに
視認し得る態様で,別紙被告標章目録記載の標章(以下「被告標章」とい
う。)を使用して,インテリアリペア事業,マニキュアコート事業の宣伝
広告をし続けている。
なお,マニキュアコート事業とは,車両のポリマー加工事業を意味し,
トータルリペアとは,原告がフランチャイズ事業化している,インテリア
リペア事業,ホイールリペア事業(アルミホイールの傷・欠け・歪みの修
復事業),マニキュアコート事業,デントリペア事業(車輌の外装の凹み
修理事業),スクラッチリペア事業(ガラスのすり傷,水垢,油膜及びプ
ラスチック表面の黄ばみ,曇りを取り除く事業),エクステリアリペア事
業(軽板金事業)等のカーリペア事業の総称である。
ウ 原告商標と被告標章は,同一である。
エ 被告が被告標章を使用する役務(以下「被告役務」という。)は,「車
輌・家具・室内装飾品に使用されるレザー・布・ビニール・プラスチック
製品・その他革製品の傷み・穴・破れ・欠けの補修・褪色のカラーコー
ティング再生・色替え・脱臭及び磨き,車輌のポリマー加工」であり,そ
のうち「車輌に使用されるレザー・布・ビニール・プラスチック製品・そ
の他革製品の傷み・穴・破れ・欠けの補修・褪色のカラーコーティング再
生・色替え・脱臭及び磨き,車輌のポリマー加工」は,原告商標の指定役
務「自転車の修理,自動車の内外装の修理・その他の修理又は整備,鉄道
車両の内外装の修理又は整備,二輪自動車の修理又は整備」に包含される。
オ よって,被告の被告標章を用いての,「車輌に使用されるレザー・布・
ビニール・プラスチック製品・その他革製品の傷み・穴・破れ・欠けの補
修・褪色のカラーコーティング再生・色替え・脱臭及び磨き,車輌のポリ
マー加工」の役務提供行為は,原告商標権を侵害するものである。すなわ
ち,被告標章を付した「車輌に使用されるレザー・布・ビニール・プラス
チック製品・その他革製品の傷み・穴・破れ・欠けの補修・褪色のカラー
コーティング再生・色替え・脱臭及び磨き,車輌のポリマー加工」に関す
る広告,名刺及び販促製品に,別紙被告標章目録に記載の被告標章を付し
て展示し,頒布して,前記役務を提供する行為,被告標章を付した「車輌
に使用されるレザー・布・ビニール・プラスチック製品・その他革製品の
傷み・穴・破れ・欠けの補修・褪色のカラーコーティング再生・色替え・
脱臭及び磨き,車輌のポリマー加工」の提供に関する広告を内容とする
ウェブページに,別紙被告標章目録に記載の被告標章を付して役務を提供
する行為は,いずれも,原告商標と同一の商標の使用に該当する(商標法
25条,2条3項8号)。
したがって,原告は,商標法36条1項に基づき,被告の上記行為を差
し止める権利を有する。
(4)ア 本件契約16条1項(1)によれば,最低月額ロイヤリティーは金5
万円であることから,原告が被告の競業避止義務違反により被った損害は,
1月あたり5万円は下らないところ,被告は,少なくとも平成22年5月
から平成26年11月までの55か月にわたり,インテリアリペア事業と
同一ないし類似する事業を実施してきたのであるから,競業避止義務違反
による原告の損害額は,275万円を下らない。
イ 原告商標の使用に対し受けるべき金銭は,製作物1件につき金100万
円であるから,当該金額が被告の原告商標権侵害による原告の損害となる。
ウ よって,原告は,被告に対し,上記ア及びイの各金員の合計である37
5万円並びにこれに対する平成27年2月1日(訴状送達の日の翌日)か
ら支払済みまでの商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求
める。
2 被告は,適式の呼出しを受けながら本件口頭弁論期日に出頭せず,答弁書そ
の他の準備書面も提出しない。
第3 当裁判所の判断
1 被告は,請求原因事実を明らかに争わないものとして,これを自白したもの
とみなされる。
ただし,商標権侵害による損害賠償請求は,不法行為に基づく損害賠償請求
であるから,遅延損害金は,商事法定利率年6分の割合ではなく,民法所定の
年5分の割合によるものと認められる。商事法定利率によるとの原告の主張は
採用することができない。
2 よって,原告の請求は,主文第1項ないし第4項に掲げた限度で理由がある
から認容し,その余は理由がないから棄却することとし,訴訟費用の負担につ
き民事訴訟法61条,64条ただし書を適用して,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第29部
裁判長裁判官
嶋 末 和 秀
裁判官
鈴 木 千 帆
裁判官西村康夫は,転補のため署名押印できない。
裁判長裁判官
嶋 末 和 秀

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