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平成21(ワ)15373特許権の実施許諾契約に基づく実施料等請求事件

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裁判所 請求棄却 東京地方裁判所
裁判年月日 平成22年6月30日
事件種別 民事
当事者 被告日本電動式遊技機特許株式会社三好邦幸
原告サミー株式会社 株式会社大都技研 株式会社オリンピア 株式会社タイヨー栗宇一樹 ら訴訟代理人弁護士飯田秀郷早稲本和徳
法令 特許権
民事訴訟法61条1回
キーワード 実施6回
許諾4回
特許権4回
実用新案権3回
差止1回
主文 1 被告は,原告サミー株式会社に対し,11億9628万4637円及びこれに対する平成21年5月19日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
2 被告は,原告株式会社大都技研に対し,3億8136万4956円及びこれに対する平成21年5月19日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
3 被告は,原告株式会社オリンピアに対し,9467万6669円及びこれに対する平成21年5月19日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
4 被告は,原告株式会社タイヨーに対し,3082万8545円及びこれに対する平成21年5月19日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
5 訴訟費用は被告の負担とする。
6 この判決は仮に執行することができる。事 実第1 当事者の求めた裁判
1 請求の趣旨主文と同趣旨
2 請求の趣旨に対する答弁(1) 原告らの請求をいずれも棄却する。(2) 訴訟費用は原告らの負担とする。第2 当事者の主張
1 請求原因(1)ア 原告らは,いずれもパチスロ遊技機の製造及び販売を業とする株式会社であり,被告に対し,自ら保有する特許権及び実用新案権を実施許諾している。イ 被告は,パチスロ遊技機の製造,販売業者で構成されるパテントプールの運営管理を目的とする株式会社であり,原告らから,原告らが保有する特許権,実用新案権の実施許諾を受けている。(2) 被告は,平成21年2月23日,原告らに対し,原告らから許諾を受けている特許権,実用新案権に係る実施料(平成10年度から平成16年度まで)のうち次の金額(暫定分配金)を支払うことを約した。ア 原告サミー株式会社について 11億9628万4637円イ 原告株式会社大都技研について 3億8136万4956円ウ 原告株式会社オリンピアについて 9467万6669円(ただし,仮払金を控除した残額)エ 原告株式会社タイヨーについて 3082万8545円(3) よって,原告らは,被告に対し,上記合意に基づき,上記各金員(暫定分配金)及びこれに対する弁済期の経過した後である平成21年5月19日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める。
2 請求原因に対する認否請求原因(1),(2)は認める。
3 抗弁(仮処分決定)(1) 被告の株主である株式会社ユニバーサルエンターテインメント(旧商号・アルゼ株式会社)及び株式会社メーシー販売は,平成21年2月23日,被告代表取締役Aを債務者とし,会社法360条に基づく株主による取締役に対する違法行為差止請求権を被保全権利として,本件暫定分配金の支払が違法(善管注意義務違反,忠実義務違反)であり,被告に著しい損害が生じるおそれがあるとして,東京高等裁判所平成20年(ネ)第3593号実施料請求控訴事件及び東京高等裁判所平成21年(ネ)第905号約定金請求控訴事件が判決の確定又は和解等により終了するまで,本件暫定分配金等の支払をしてはならない旨の仮処分命令の申立てをし(当庁平成21年(ヨ)第20017号),平成21年3月24日,上記申立てを認容する旨の仮処分決定(以下「本件仮処分決定」という。)がされた。(2) 被告は,本件仮処分決定の効力により,原告らに対し,本件暫定分配金の支払に応じることができない。
4 抗弁に対する認否(1) 抗弁(1)は認める。(2) 本件仮処分決定の債権者は株式会社ユニバーサルエンターテインメント(旧商号・アルゼ株式会社)及び株式会社メーシー販売であり,債務者は被告代表者(A)であるから,被告や原告らには本件仮処分決定の効力は及ばない。したがって,本件仮処分決定が存在するとしても,原告らが被告に本件暫定分配金の支払を求めることや,被告が原告らに本件暫定分配金の支払をすることは妨げられない。
5 再抗弁(仮処分決定の失効)株式会社ユニバーサルエンターテインメント(旧商号・アルゼ株式会社)及び株式会社メーシー販売は,平成22年4月5日付けで,本件仮処分決定の申立てを取り下げた。
6 再抗弁に対する認否認める。理 由
1 請求原因について請求原因(1),(2)は当事者間に争いがない。
2 抗弁及び再抗弁について抗弁(1)の事実は当事者間に争いがない。本件仮処分決定の効力(主観的範囲等)について,当事者間に争いがあるが,いずれにしても,その後,株式会社ユニバーサルエンターテインメント(旧商号・アルゼ株式会社)及び株式会社メーシー販売が本件仮処分決定の申立てを取り下げたこと(再抗弁)に争いはなく,本件仮処分決定の効力が既に消滅している(失効している)ことは明らかである。したがって,被告は,原告らに対し,本件仮処分決定の効力を理由として,本件暫定分配金の支払を拒むことはできない。
3 結論よって,原告らの請求は,いずれも理由があるから,これを認容することとし,訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条を,仮執行の宣言につき同法259条1項をそれぞれ適用して,主文のとおり判決する。東京地方裁判所民事第40部裁判長裁判官岡 本 岳裁判官鈴 木 和 典裁判官寺 田 利 彦
事件の概要 1 請求原因 (1)ア 原告らは,いずれもパチスロ遊技機の製造及び販売を業とする株式会社 であり,被告に対し,自ら保有する特許権及び実用新案権を実施許諾して いる。 イ 被告は,パチスロ遊技機の製造,販売業者で構成されるパテントプール の運営管理を目的とする株式会社であり,原告らから,原告らが保有する 特許権,実用新案権の実施許諾を受けている。 (2) 被告は,平成21年2月23日,原告らに対し,原告らから許諾を受けて いる特許権,実用新案権に係る実施料(平成10年度から平成16年度ま で)のうち次の金額(暫定分配金)を支払うことを約した。

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判決文

平成22年6月30日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官
平成21年(ワ)第15373号 特許権の実施許諾契約に基づく実施料等請求事件
口頭弁論終結日 平成22年6月16日
判 決
東京都豊島区<以下略>
原 告 サ ミ ー 株 式 会 社
東京都台東区<以下略>
原 告 株 式 会 社 大 都 技 研
東京都台東区<以下略>
原 告 株 式 会 社 オ リ ン ピ ア
東京都千代田区<以下略>
原 告 株 式 会 社 タ イ ヨ ー
原告ら訴訟代理人弁護士 飯 田 秀 郷
栗 宇 一 樹
早 稲 本 和 徳
和 氣 満 美 子
隈 部 泰 正
大 友 良 浩
戸 谷 由 布 子
辻 本 恵 太
林 由 希 子
東京都台東区<以下略>
被 告 日本電動式遊技機特許株式会社
同訴訟代理人弁護士 山 崎 優
三 好 邦 幸
川 下 清
河 村 利 行
加 藤 清 和
沢 田 篤 志
伴 城 宏
今 田 晋 一
坂 本 勝 也
梁 沙 織
小 林 悠 紀
三 井 円
安 達 友 基 子
新 藤 勇 介
高 橋 幸 平
古 賀 健 介
池 垣 彰 彦
主 文
1 被告は,原告サミー株式会社に対し,11億9628万4637円及びこ
れに対する平成21年5月19日から支払済みまで年6分の割合による金員
を支払え。
2 被告は,原告株式会社大都技研に対し,3億8136万4956円及びこ
れに対する平成21年5月19日から支払済みまで年6分の割合による金員
を支払え。
3 被告は,原告株式会社オリンピアに対し,9467万6669円及びこれ
に対する平成21年5月19日から支払済みまで年6分の割合による金員を
支払え。
4 被告は,原告株式会社タイヨーに対し,3082万8545円及びこれに
対する平成21年5月19日から支払済みまで年6分の割合による金員を支
払え。
5 訴訟費用は被告の負担とする。
6 この判決は仮に執行することができる。
事 実
第1 当事者の求めた裁判
1 請求の趣旨
主文と同趣旨
2 請求の趣旨に対する答弁
(1) 原告らの請求をいずれも棄却する。
(2) 訴訟費用は原告らの負担とする。
第2 当事者の主張
1 請求原因
(1)ア 原告らは,いずれもパチスロ遊技機の製造及び販売を業とする株式会社
であり,被告に対し,自ら保有する特許権及び実用新案権を実施許諾して
いる。
イ 被告は,パチスロ遊技機の製造,販売業者で構成されるパテントプール
の運営管理を目的とする株式会社であり,原告らから,原告らが保有する
特許権,実用新案権の実施許諾を受けている。
(2) 被告は,平成21年2月23日,原告らに対し,原告らから許諾を受けて
いる特許権,実用新案権に係る実施料(平成10年度から平成16年度ま
で)のうち次の金額(暫定分配金)を支払うことを約した。
ア 原告サミー株式会社について 11億9628万4637円
イ 原告株式会社大都技研について 3億8136万4956円
ウ 原告株式会社オリンピアについて 9467万6669円
(ただし,仮払金を控除した残額)
エ 原告株式会社タイヨーについて 3082万8545円
(3) よって,原告らは,被告に対し,上記合意に基づき,上記各金員(暫定分
配金)及びこれに対する弁済期の経過した後である平成21年5月19日か
ら支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める。
2 請求原因に対する認否
請求原因(1),(2)は認める。
3 抗弁(仮処分決定)
(1) 被告の株主である株式会社ユニバーサルエンターテインメント(旧商号・
アルゼ株式会社)及び株式会社メーシー販売は,平成21年2月23日,被
告代表取締役Aを債務者とし,会社法360条に基づく株主による取締役に
対する違法行為差止請求権を被保全権利として,本件暫定分配金の支払が違
法(善管注意義務違反,忠実義務違反)であり,被告に著しい損害が生じる
おそれがあるとして,東京高等裁判所平成20年(ネ)第3593号実施料請
求控訴事件及び東京高等裁判所平成21年(ネ)第905号約定金請求控訴事
件が判決の確定又は和解等により終了するまで,本件暫定分配金等の支払を
してはならない旨の仮処分命令の申立てをし(当庁平成21年(ヨ)第200
17号),平成21年3月24日,上記申立てを認容する旨の仮処分決定
(以下「本件仮処分決定」という。)がされた。
(2) 被告は,本件仮処分決定の効力により,原告らに対し,本件暫定分配金の
支払に応じることができない。
4 抗弁に対する認否
(1) 抗弁(1)は認める。
(2) 本件仮処分決定の債権者は株式会社ユニバーサルエンターテインメント
(旧商号・アルゼ株式会社)及び株式会社メーシー販売であり,債務者は被
告代表者(A)であるから,被告や原告らには本件仮処分決定の効力は及ば
ない。したがって,本件仮処分決定が存在するとしても,原告らが被告に本
件暫定分配金の支払を求めることや,被告が原告らに本件暫定分配金の支払
をすることは妨げられない。
5 再抗弁(仮処分決定の失効)
株式会社ユニバーサルエンターテインメント(旧商号・アルゼ株式会社)及
び株式会社メーシー販売は,平成22年4月5日付けで,本件仮処分決定の申
立てを取り下げた。
6 再抗弁に対する認否
認める。
理 由
1 請求原因について
請求原因(1),(2)は当事者間に争いがない。
2 抗弁及び再抗弁について
抗弁(1)の事実は当事者間に争いがない。
本件仮処分決定の効力(主観的範囲等)について,当事者間に争いがあるが,
いずれにしても,その後,株式会社ユニバーサルエンターテインメント(旧商
号・アルゼ株式会社)及び株式会社メーシー販売が本件仮処分決定の申立てを
取り下げたこと(再抗弁)に争いはなく,本件仮処分決定の効力が既に消滅し
ている(失効している)ことは明らかである。
したがって,被告は,原告らに対し,本件仮処分決定の効力を理由として,
本件暫定分配金の支払を拒むことはできない。
3 結論
よって,原告らの請求は,いずれも理由があるから,これを認容することと
し,訴訟費用の負担につき民事訴訟法61条を,仮執行の宣言につき同法25
9条1項をそれぞれ適用して,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第40部
裁判長裁判官
岡 本 岳
裁判官
鈴 木 和 典
裁判官
寺 田 利 彦

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