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平成21(ラ)10004移送申立却下決定に対する抗告事件

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裁判所 知的財産高等裁判所 大阪地方裁判所
裁判年月日 平成21年10月23日
事件種別 民事
法令 特許権
キーワード 特許権12回
侵害5回
差止4回
損害賠償3回
主文 1 本件抗告を棄却する。
2 抗告費用は抗告人の負担とする。理 由第1 抗告の趣旨
1 原決定を取り消す。
2 基本事件を東京地方裁判所に移送する。第2 事案の概要
1 基本事件の概要は,下記のとおりである。記事 件 番 号 大阪地裁平成21年(ワ)第7821号事 件 名 特許権侵害差止等請求事件提 訴 日 平成21年6月3日原 告 Y(相手方)被 告 X(移送申立人,抗告人)請求の趣旨 1 被告は,別紙物件目録(省略,以下同じ)1記載の各製品を製造し,販売し,又は販売の申出(販売のための展示を含む )をしてはならない。。
2 被告は,前項記載の各製品及びその半完成品(別紙物件目録1記載の構造を具備しているが製品として完成するに至らないもの )を廃棄せよ。。, , ,3 被告は 別紙物件目録2記載の各製品を製造し 販売し又は販売の申出(販売のための展示を含む )をしてはな。らない。
4 被告は,前項記載の各製品及びその半完成品(別紙物件目録2記載の構造を具備しているが製品として完成するに至らないもの )を廃棄せよ。。
5 被告は,原告に対し,30億円及びこれに対する平成21年6月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
6 訴訟費用は被告の負担とする。
7 仮執行宣言基礎となる特許権 【特許権1】登録番号 第3542615号発明の名称 複数ロボットの制御装置出願日 平成5年2月26日登録日 平成16年4月9日【特許権2】登録番号 第4105586号発明の名称 リニアモータ式単軸ロボット出願日 平成15年5月14日登録日 平成20年4月4日請求原因の要旨 被告(抗告人)が製造し大阪営業所などを通じて販売するロボット制御装置及びアクチュエータの各製品が 原告 相, (手方)の特許権を侵害するので,特許権に基づく上記各製品の製造・販売・販売の申出の差止め及び上記各製品の廃棄と,不法行為に基づく損害賠償30億円等の支払を求める。訴訟の進行状況 平成21年7月21日に第1回口頭弁論期日が開かれ,同9月10日に弁論準備期日が開かれることとなっていたが,同年8月19日に上記弁論準備期日は取り消された。
2 本件は,基本事件の被告である抗告人が,管轄違い又は遅滞を避ける等のために必要があるとして,民訴法16条1項,20条2項・17条に基づいて東京地方裁判所への移送を申し立てたところ,原審の大阪地裁は,平成21年8月3日,大阪市北区所在の被告大阪営業所は民訴法5条9号の「不法行為地」に該当し,また東京地裁に移送しなければ訴訟の著しい遅滞又は当事者間の衡平を図ることができないとはいえない等として,被告の移送申立てを却下したので,これに不服の申立人が抗告を申し立てた事案である。
3 争点は,①被告営業所(大阪市)を「不法行為地 (民訴法5条9号)と認」定することの当否,及び,②遅滞を避ける等のため東京地裁へ移送をする必要があるか(民訴法20条2項・17条 ,である。)第3 当事者の主張本件抗告の理由の要旨は,別添「抗告状」のとおりであり,これに対する相手方の意見の要旨は,別添「抗告に対する意見書」のとおりである。第4 当裁判所の判断当裁判所も,本件移送は却下すべきものと判断する。その理由は,以下のとおり付加するほか,原決定記載のとおりであるから,これを引用する。
1 民訴法6条1項は 「特許権…に関する訴え…について,前2条の規定によ,れば次の各号に掲げる裁判所が管轄権を有すべき場合には,その訴えは,それ」 , ,ぞれ当該各号に定める裁判所の管轄に専属する… と定めて これらの訴えは地域により東京地裁又は大阪地裁の専属管轄に属するとされているところ,前記第2,1のとおり,本件の基本事件は特許権侵害を理由とする差止め及び損害賠償等を求める訴えであるから,その土地管轄は,東京地裁又は大阪地裁の専属管轄に属することは明らかである。そして,本件記録によれば,原被告のいずれもが静岡地裁管内の静岡市に本店所在地を有するから,本件訴えは民訴法4条1項,6条1項1号により東京地裁が土地管轄権を有すると認められるものの,そのほかに,原決定記載のとおり,被告が大阪地裁の管轄する大阪市等において製品の販売等をする行為が原告(相手方)に対する不法行為を構成する等とするものであるから,不法行為地の裁判籍として,民訴法5条9号,6条1項2号により大阪地裁も土地管轄権を有することになる。そうすると,特許権侵害を理由とする本件訴えは,東京地裁と大阪地裁の双方が土地管轄権を有することになるが,民訴法20条2項は,特許権等に関する訴えについても,遅滞を避けるための移送を定めた同法17条の適用を肯定しているから,両地裁間の管轄の調整は同法17条の適用により決すべきこととなる。
2 不法行為地に関する主張について(1) 抗告人は,本件に関連する主要な事実が東日本にあるとか,販売や販売の申出は東日本及び西日本の両地域にわたることが一般的であると主張するが,原決定が認定するとおり,本件は民訴法5条9号(不法行為に関する訴え ,6条1項2号に基づき大阪地裁に土地管轄が認められるのであって,)抗告人の主張するような事情は,適法に成立した管轄権の存在を左右するものではないから,抗告人の主張は採用することができない。(2) 抗告人は,本件の基本事件の訴えは,販売の申出よりも製造,販売,抗告人の製品及びその半完成品の廃棄並びに損害賠償が重要性を有しているにもかかわらず,販売の申出が西日本において行われていることのみを根拠として提起されたもので,管轄選択権の濫用に当たる旨主張する。しかし,原決定記載のとおり,被告が大阪地裁の管轄する大阪市等において製品の販売等をする行為について,民訴法5条9号,6条1項2号に基づき大阪地裁に土地管轄権があると認めることに疑義はない。その他原告の本訴提起が管轄選択権の濫用に当たるべき事情を認めるに足りる証拠もない。そうすると,抗告人の上記主張は採用することができない。
3 遅滞を避ける等のための移送について抗告人は 「制度のマクロ的な見地からの主張」として,特許権等に関する,訴え等の管轄は我が国を東西に二分して東京地裁又は大阪地裁の専属管轄と定められているところ,全国的な商品展開をすることが一般的である現代においては上記両裁判所に管轄が生じることになり,大会社が小会社に対する訴えの管轄を自由に選択できるとすることで管轄の不利益という応訴の負担の増大を強いることができるとして,大阪地裁に対する本件訴えは当事者間の衡平を欠くものである旨主張する。しかし,抗告人の主張する原被告間における経済的な格差は,共に十分な経済力を有する当事者間における相対的なものにすぎず,移送を認めなければ当事者間の衡平を図ることができない事情といえないことは,原決定の説示するとおりである。その他,抗告人が挙げる抗告人及び相手方の事業活動の中心地が静岡にあるという事情も東京地裁への移送の必要性を基礎付けるものでないこともまた,原決定の説示するとおりである。なお抗告人は,相手方による大阪地裁への訴え提起は正当な意図に基づかないものであると主張するが,相手方において殊更に抗告人の応訴の負担を増大させる目的で大阪地裁に本件訴えを提起したことを認めるに足りる証拠はない。そうすると,本件において東京地方裁判所に移送を認めなければ当事者間の衡平を図ることができないということはできず,抗告人の上記主張は採用することができない。
4 結語以上によれば,本件移送の申立ては理由がなくこれを却下すべきである。したがって,これと結論を同じくする原決定は相当であり,本件抗告は理由がないから棄却することとして,主文のとおり決定する。平成21年10月23日知的財産高等裁判所 第2部裁判長裁判官 中 野 哲 弘裁判官 森 義 之裁判官 澁 谷 勝 海
事件の概要 1 基本事件の概要は,下記のとおりである。

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判決文

平成21年(ラ)第10004号 移送申立却下決定に対する抗告事件
(原審・大阪地裁平成21年 モ)
( 第845号。基本事件・大阪地裁平成21年 ワ)

第7821号 特許権侵害差止等請求事件)
決 定
抗 告 人 X
訴訟代理人弁護士 椙 山 敬 士
同 大 澤 恒 夫
同 市 川 穣
同 曽 根 翼
同 片 山 史 英
訴訟代理人弁理士 牛 久 健 司
補佐 人弁 理士 島 野 美 伊 智
相 手 方 Y
訴訟代理人弁護士 小 松 陽 一 郎
同 福 田 あ や こ
同 宇 田 浩 康
同 井 崎 康 孝
同 辻 村 和 彦
同 井 口 喜 久 治
同 森 本 純
同 中 村 理 紗
同 山 崎 道 雄
同 辻 淳 子
同 藤 野 睦 子
補佐 人弁 理士 小 谷 悦 司
同 小 谷 昌 崇
同 樋 口 次 郎
同 大 月 伸 介
同 佐 藤 興
主 文
1 本件抗告を棄却する。
2 抗告費用は抗告人の負担とする。
理 由
第1 抗告の趣旨
1 原決定を取り消す。
2 基本事件を東京地方裁判所に移送する。
第2 事案の概要
1 基本事件の概要は,下記のとおりである。

事件番号 大阪地裁平成21年(ワ)第7821号
事 件 名 特許権侵害差止等請求事件
提 訴 日 平成21年6月3日
原 告 Y
(相手方)
被 告 X
(移送申立人,抗告人)
請求の趣旨 1 被告は,別紙物件目録(省略,以下同じ)1記載の各製
品を製造し,販売し,又は販売の申出(販売のための展示
を含む。)をしてはならない。
2 被告は,前項記載の各製品及びその半完成品(別紙物件
目録1記載の構造を具備しているが製品として完成するに
至らないもの。
)を廃棄せよ。
3 被告は,別紙物件目録2記載の各製品を製造し,販売し,
又は販売の申出(販売のための展示を含む 。)をしてはな
らない。
4 被告は,前項記載の各製品及びその半完成品(別紙物件
目録2記載の構造を具備しているが製品として完成するに
至らないもの。
)を廃棄せよ。
5 被告は,原告に対し,30億円及びこれに対する平成2
1年6月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を
支払え。
6 訴訟費用は被告の負担とする。
7 仮執行宣言
基礎となる特許権 【特許権1】
登録番号 第3542615号
発明の名称 複数ロボットの制御装置
出願日 平成5年2月26日
登録日 平成16年4月9日
【特許権2】
登録番号 第4105586号
発明の名称 リニアモータ式単軸ロボット
出願日 平成15年5月14日
登録日 平成20年4月4日
請求原因の要旨 被告(抗告人)が製造し大阪営業所などを通じて販売する
ロボット制御装置及びアクチュエータの各製品が, (相
原告
手方)の特許権を侵害するので,特許権に基づく上記各製
品の製造・販売・販売の申出の差止め及び上記各製品の廃
棄と,不法行為に基づく損害賠償30億円等の支払を求め
る。
訴訟の進行状況 平成21年7月21日に第1回口頭弁論期日が開かれ,同
9月10日に弁論準備期日が開かれることとなっていた
が,同年8月19日に上記弁論準備期日は取り消された。
2 本件は,基本事件の被告である抗告人が,管轄違い又は遅滞を避ける等のた
めに必要があるとして,民訴法16条1項,20条2項・17条に基づいて東
京地方裁判所への移送を申し立てたところ,原審の大阪地裁は,平成21年8
月3日,大阪市北区所在の被告大阪営業所は民訴法5条9号の「不法行為地」
に該当し,また東京地裁に移送しなければ訴訟の著しい遅滞又は当事者間の衡
平を図ることができないとはいえない等として,被告の移送申立てを却下した
ので,これに不服の申立人が抗告を申し立てた事案である。
3 争点は,①被告営業所(大阪市)を「不法行為地 」(民訴法5条9号)と認
定することの当否,及び,②遅滞を避ける等のため東京地裁へ移送をする必要
があるか(民訴法20条2項・17条)
,である。
第3 当事者の主張
本件抗告の理由の要旨は,別添「抗告状」のとおりであり,これに対する相
手方の意見の要旨は,別添「抗告に対する意見書」のとおりである。
第4 当裁判所の判断
当裁判所も,本件移送は却下すべきものと判断する。その理由は,以下のと
おり付加するほか,原決定記載のとおりであるから,これを引用する。
1 民訴法6条1項は ,「特許権…に関する訴え…について,前2条の規定によ
れば次の各号に掲げる裁判所が管轄権を有すべき場合には,その訴えは,それ
ぞれ当該各号に定める裁判所の管轄に専属する…」と定めて,これらの訴えは,
地域により東京地裁又は大阪地裁の専属管轄に属するとされているところ,前
記第2,1のとおり,本件の基本事件は特許権侵害を理由とする差止め及び損
害賠償等を求める訴えであるから,その土地管轄は,東京地裁又は大阪地裁の
専属管轄に属することは明らかである。
そして,本件記録によれば,原被告のいずれもが静岡地裁管内の静岡市に本
店所在地を有するから,本件訴えは民訴法4条1項,6条1項1号により東京
地裁が土地管轄権を有すると認められるものの,そのほかに,原決定記載のと
おり,被告が大阪地裁の管轄する大阪市等において製品の販売等をする行為が
原告(相手方)に対する不法行為を構成する等とするものであるから,不法行
為地の裁判籍として,民訴法5条9号,6条1項2号により大阪地裁も土地管
轄権を有することになる。
そうすると,特許権侵害を理由とする本件訴えは,東京地裁と大阪地裁の双
方が土地管轄権を有することになるが,民訴法20条2項は,特許権等に関す
る訴えについても,遅滞を避けるための移送を定めた同法17条の適用を肯定
しているから,両地裁間の管轄の調整は同法17条の適用により決すべきこと
となる。
2 不法行為地に関する主張について
(1) 抗告人は,本件に関連する主要な事実が東日本にあるとか,販売や販売
の申出は東日本及び西日本の両地域にわたることが一般的であると主張する
が,原決定が認定するとおり,本件は民訴法5条9号(不法行為に関する訴
え),6条1項2号に基づき大阪地裁に土地管轄が認められるのであって,
抗告人の主張するような事情は,適法に成立した管轄権の存在を左右するも
のではないから,抗告人の主張は採用することができない。
(2) 抗告人は,本件の基本事件の訴えは,販売の申出よりも製造,販売,抗
告人の製品及びその半完成品の廃棄並びに損害賠償が重要性を有しているに
もかかわらず,販売の申出が西日本において行われていることのみを根拠と
して提起されたもので,管轄選択権の濫用に当たる旨主張する。
しかし,原決定記載のとおり,被告が大阪地裁の管轄する大阪市等におい
て製品の販売等をする行為について,民訴法5条9号,6条1項2号に基づ
き大阪地裁に土地管轄権があると認めることに疑義はない。その他原告の本
訴提起が管轄選択権の濫用に当たるべき事情を認めるに足りる証拠もない。
そうすると,抗告人の上記主張は採用することができない。
3 遅滞を避ける等のための移送について
抗告人は ,「制度のマクロ的な見地からの主張」として,特許権等に関する
訴え等の管轄は我が国を東西に二分して東京地裁又は大阪地裁の専属管轄と定
められているところ,全国的な商品展開をすることが一般的である現代におい
ては上記両裁判所に管轄が生じることになり,大会社が小会社に対する訴えの
管轄を自由に選択できるとすることで管轄の不利益という応訴の負担の増大を
強いることができるとして,大阪地裁に対する本件訴えは当事者間の衡平を欠
くものである旨主張する。
しかし,抗告人の主張する原被告間における経済的な格差は,共に十分な経
済力を有する当事者間における相対的なものにすぎず,移送を認めなければ当
事者間の衡平を図ることができない事情といえないことは,原決定の説示する
とおりである。その他,抗告人が挙げる抗告人及び相手方の事業活動の中心地
が静岡にあるという事情も東京地裁への移送の必要性を基礎付けるものでない
こともまた,原決定の説示するとおりである。
なお抗告人は,相手方による大阪地裁への訴え提起は正当な意図に基づかな
いものであると主張するが,相手方において殊更に抗告人の応訴の負担を増大
させる目的で大阪地裁に本件訴えを提起したことを認めるに足りる証拠はな
い。
そうすると,本件において東京地方裁判所に移送を認めなければ当事者間の
衡平を図ることができないということはできず,抗告人の上記主張は採用する
ことができない。
4 結語
以上によれば,本件移送の申立ては理由がなくこれを却下すべきである。
したがって,これと結論を同じくする原決定は相当であり,本件抗告は理由
がないから棄却することとして,主文のとおり決定する。
平成21年10月23日
知的財産高等裁判所 第2部
裁判長裁判官 中 野 哲 弘
裁判官 森 義 之
裁判官 澁 谷 勝 海

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