ホーム > 知財判決速報/裁判例集 > 平成20(ワ)4712 技術指導料等請求事件
裁判所 | 請求棄却 大阪地方裁判所 |
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裁判年月日 | 平成21年7月23日 |
事件種別 | 民事 |
当事者 | 被告株式会社安川メカトレック 原告有限会社浦上技術研究所前川拓郎 |
法令 |
その他 |
キーワード | 実施3回 特許権1回 |
主文 | 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。事 実第1 当事者の求めた裁判 1 請求の趣旨( ) 被告は,原告に対し,462万5250円及びこれに対する平成19年110月28日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。( ) 訴訟費用は被告の負担とする。2( ) ( )につき仮執行宣言3 1 2 請求の趣旨に対する答弁主文と同じ。第2 当事者の主張 1 請求原因(原告の主張)( ) 当事者1ア 原告は,特許権の登録,実施,その情報提供を業務とする会社である。イ 被告は,電気機器,機械器具等の製造,販売を業とする会社である。( ) 技術指導契約の締結2原告は,被告との間で,平成19年9月初旬,以下の内容の技術指導契約を締結した(以下「本件契約」という 。。)ア 原告の技術指導原告は,被告に対し 「吸着自走式超高圧ウォータージェットロボッ,ト」及び「吸着自走式塗装ロボット (以下,これらを併せて「本件ロボ」ット」という )の設計・製作に必要な技術指導を行う。。イ 技術指導料(ア) 被告は,本件ロボットを株式会社西部川崎(以下「西部川崎」という )に販売した日の翌日,原告に対し,技術指導料として本件ロボッ。トの販売価格の10%に相当する金員を支払う。(イ) 原告が個別のプロジェクト毎に出張,指導等を行った場合には,被告は,原告に対し,上記(ア)とは別に技術指導料及び経費を支払う。( ) 設計図等の交付による原告の技術指導3原告は,被告に対し,平成19年8月26日から同年10月1日にかけて,本件契約に基づき,本件ロボットの設計図等を交付して技術指導を行った。( ) 被告の西部川崎に対する本件ロボットの販売による技術指導料4被告は,西部川崎に対し,代金2157万円(消費税別)で本件ロボットを販売し,平成19年10月26日,これを納入した。したがって,被告が原告に支払うべき技術指導料は,その10%に相当する215万7000円である。( ) 原告の出張による技術指導5原告は,被告に対し,平成19年8月25日から平成20年1月17日にかけて,本件契約に基づき,本件ロボットの設計・製造・現地試運転等のために合計62日間の出張をして技術指導を行った。( ) 原告の出張による技術指導料・経費6ア 原告の出張による技術指導料は1日当たり5万円を下ることはないから,合計で310万円となる。イ 原告は,上記( )の技術指導を行うため,旅費64万円及び宿泊費425万円を支出した。( ) 結語7よって,原告は,被告に対し,本件契約に基づき,技術指導料・経費の合計631万7000円のうち462万5250円及びこれに対する被告が西部川崎に本件ロボットを納入した日の後である平成19年10月28日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める。 2 請求原因に対する認否・反論(被告の主張)( ) 請求原因( )について1 1いずれも認める。( ) 請求原因( )について2 2ア 否認する。イ 被告担当者のA(以下「A」という )は,原告代表者との間で,平成。19年9月初旬,原告に対して本件ロボットの設計・製造の技術指導料を支払うという協議をしたことはあるが,これはあくまで見積作業の一環としての協議であり,この協議により原告と被告との間で本件契約が締結されたことにはならない。上記協議の後,被告は,西部川崎との間で,西部川崎が原告に技術指導料を支払うことを合意しているが,このことは原告も承諾していた。( ) 請求原因( )について3 3認める。( ) 請求原因( )について4 4被告が,西部川崎に対し,本件ロボットを販売し,平成19年10月26日に納入したことは認めるが,代金が2157万円であるとの点は否認する。本件ロボットの販売代金は1717万円である。( ) 請求原因( )について5 5ア 原告が技術指導のために出張をしたことは認める。イ 原告が主張する技術指導は,本件の製品企画における個々の作業にすぎず,本件とは独立した別のプロジェクトにおいてなされたものではない。また,被告は,平成19年11月17日には本件ロボットを西部川崎に納入しているので,同日以降の原告の技術指導は西部川崎に対するものであり,被告には関係がない。( ) 請求原因( )について6 6否認する。被告は原告に対し,請求原因( )の技術指導に係る技術指導料5及び経費の支払義務を負うものではない。 3 抗弁−相殺(被告の主張)( ) 不当利得返還請求権を自働債権とする相殺1ア 被告は,平成19年10月2日,原告からグリット回収機改良型デモ機の設計技術指導を受けるため,原告と技術指導契約を締結することを前提として,原告に前渡金105万円を支払った。イ 原告が本件訴訟を提起したことにより,被告と原告との間の信頼関係が喪失したので,被告と原告との間で上記技術指導契約が締結される可能性はなくなった。したがって,上記前渡金105万円の支払は,法律上の原因を欠くから,被告は原告に対し同額の不当利得返還請求権を有する。ウ 被告は,原告に対し,平成20年12月22日の本件弁論準備手続において,上記不当利得返還請求権をもって,原告の本訴請求債権とその対当額において相殺する旨の意思表示をした。( ) 原状回復請求権を自働債権とする相殺2仮に,上記( )の前渡金105万円が原告に対し技術指導料として支払わ1れたものであるとしても,ア 被告は,原告との間で,平成19年10月2日,グリット回収機改良型デモ機の設計技術指導契約を締結し,原告に対し,技術指導料として105万円を支払った。イ 原告は,被告に対し,上記技術指導契約の締結から半年以上が経過しても技術指導を行わず,本件訴訟も提起したのであるから,原告と被告との間の信頼関係は喪失した。ウ 被告は,原告に対し,平成20年12月22日の本件弁論準備手続期日において,原告と被告との間の信頼関係喪失を理由に,上記技術指導契約を解除する旨の意思表示をした。したがって,被告は原告に対し,上記技術指導料105万円の原状回復請求権を有する。エ 被告は,原告に対し,同日,上記解除に基づく原状回復請求権をもって,原告の本訴請求債権とその対当額において相殺する旨の意思表示をした。 4 抗弁に対する認否・反論(原告の主張)( ) 不当利得返還請求権を自働債権とする相殺について1ア 原告が被告から105万円を受領したことは認めるが,その余はいずれも否認する。イ 被告は,原告に対し,平成19年春ころから,原告が有する吸着自走ロボット技術を用いた「吸着自走式グリットブラストロボット」や「グリット回収機」を造船所へ売り込むことを提案した。そして,被告は,平成19年9月から,名村造船株式会社に対して本格的に営業活動を行い,名村造船の造船所において,原告の指導により上記ロボットのデモンストレーションを実施した。また,原告は,被告から,原告が技術指導を行っている韓国のサムソン重工業及び現代重工業の造船所を見学したいと要望され,各造船所への見学会の開催を斡旋して同行した。原告は,上記のとおり被告の営業活動や造船所の見学会の開催に協力し,そのために多額の交通費や宿泊費を支出したので,被告からの申出によりその費用として105万円を受領したものである。したがって,原告が被告から105万円を受領したことには法律上の原因がある。( ) 原状回復請求権を自働債権とする相殺について2ア 原告が被告から105万円を受領したことは認めるが,その余はいずれも否認する。イ 被告は,西部川崎との間で,原告に無断で本件ロボットの製造・販売に関する合意をしたが,このような合意は原告と被告との信頼関係を破壊するものである。原告が本件訴訟を提起したのは原告と西部川崎との間の上記合意に起因するものであるから,原告が被告との信頼関係を破壊したとする被告の主張は失当である。理 由第1 請求原因について 1 請求原因( )はいずれも当事者間に争いがない。1 2 請求原因( )について2( ) 証拠(甲10,乙11,12,証人A,同B,原告代表者及び各項末尾に1掲記のもの)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。ア 西部川崎は,平成17年10月ころ,原告との間で,共同でロボット事業を立ち上げることを合意し,その後,ロボット事業のパンフレットを作成し,造船所や石油備蓄タンク施設等を有する会社に対して原告と共同で営業活動をするようになった (乙7)。イ 被告推進部FAシステムグループのグループ長のAは,インターネットで原告のロボットに興味を抱き,原告の発想と被告グループのロボット製作能力を組み合わせることができないかと考え,原告代表者に連絡を取った。その後,Aは,原告代表者と協議を重ね,原告と被告とで共同して本件ロボットを製作・販売することの基本合意をした。そして,原告,被告及び被告グループの安川エンジニアリング株式会社(以下「安川エンジニアリング」という )は,平成19年6月15日,原告のロボット関連技。術の事業化を検討するために相互に提供又は開示する秘密情報に関して,秘密保持契約を締結した (甲8)。ウ 原告は,東京電力株式会社(以下「東京電力」という )に対し,株式。会社大和エンジニアリング(以下「大和エンジニアリング」という )を。通じて本件ロボットの宣伝活動を行っていた。大和エンジニアリング及び株式会社鈴木塗装工務店(以下「鈴木塗装工務店 )は,同年8月中旬,東京電力から,本件ロボットを使用した同社」袖ヶ浦発電所LNGタンクの塗装剥離・塗装工事(以下「本件工事」という )を受注し,同月20日,大和エンジニアリングが原告に本件ロボッ。トの製作を依頼した。原告代表者は,同月23日,被告本社を訪れ,Aに対し,本件ロボットの製作を打診したところ,Aが被告において本件ロボットを製作することを希望し,原告,被告及び安川エンジニアリングにおいて具体的な協議を行うこととなった。エ 原告は,同月26日,被告及び安川エンジニアリングに対し,本件ロボットの製作に必要となる図面を送付し,その後も随時必要な図面や写真を送付した。オ 原告代表者は,同月28日,西部川崎本社において,同社代表取締役の。 。B(以下「B」という )をAに紹介し,本件工事に関する協議を行ったこの協議において,西部川崎が本件ロボットを被告から購入して本件工事を実施するという方針が決まった。カ 原告,被告及び安川エンジニアリングは,同月29日,協議を行い,同年9月5日に被告が西部川崎に見積書を提出することとなった。Aは,被告が原告に本件ロボットに関する特許・ノウハウ料を支払うものと考えていたので,同日,原告代表者に対し,原告が取得する特許・ノウハウ料を算出してほしいと求めた。キ 原告代表者は,Aに対し,同年9月3日,本件ロボットの特許・ノウハウ料として 「特許・ノウハウ料(Pr)は工場出荷価格(P1)の10,%とする 「 注記)2.上記の特許・ノウハウ料(Pr)には,個別。」, (のプロジェクト毎に発生する,新規設計料,技術コンサル料及びそれらに関する経費は含まれていない 」などと記載した電子メールを送った。。(甲7の1,2)ク 被告は,西部川崎に対し,同月6日,本件ロボットの見積書(乙2,以下「見積書1」という )を提出した。。見積書1には「機械製作費」として合計2200万円 「特許ノウハウ,料(有限会社浦上技術研究所 」として220万円が計上され,その他の)「営業所経費及び輸送費 「スタンバイ予備機」などとして計上されて」,いる金額を含めた見積金額の合計は4405万円であった (乙2)。ケ 原告代表者,A,被告大阪支店長のC,安川エンジニアリング所長のD及び同社課長のEは,同月7日,安川エンジニアリングの事務所において,本件ロボットの製作に関する打合せをした(以下「本件打合せ」という 。原告代表者は,本件打合せにおいて,①被告及び安川エンジニア。)リングは,本件ロボットを設計・製作して西部川崎に納入する,②原告は,被告,安川エンジニアリング,西部川崎,鈴木塗装工務店及び大和エンジニアリングに対し,技術指導を行う,③被告及び安川エンジニアリングが原告に技術指導の費用を支払い,西部川崎,鈴木塗装工務店及び大和エンジニアリングは原告に費用を支払わないと説明をした。Aは,原告代表者の上記説明を複写機能付きのホワイトボードに記載し,これを印刷したものを原告代表者に渡した (甲1の3)。コ Aは,同月10日,見積書1について説明をするために西部川崎を訪れたところ,Bから,全体としての見積額が高いと指摘され,見積額を押し上げていた1要因であった原告に対する特許・ノウハウ料については西部川崎が負担するので見積書から削除するように指示された。この際,Aは,Bから,本件ロボットの事業計画は西部川崎と原告が相当以前から進めている共同事業であり,原告の特許・ノウハウ料は共同事業に関する原告と西部川崎の利益分配の問題であるから,西部川崎が負担すべき性質のものであるとの説明を受けた。サ 被告は,Bの上記指摘を受け,同月11日,西部川崎に対し,見積書1の「特許ノウハウ料(有限会社浦上技術研究所 」として計上されていた)220万円を削除(220万円の数字に線を引いて消去)した上,その下部に「㈱西部川崎殿所掌」と記載し,他の箇所についても値引きするなどして,新たに見積金額の合計を3377万5000円とする見積書(乙3,以下「見積書2」という )を作成して西部川崎に提出した (乙3)。 。シ その後も,被告は,西部川崎との間で交渉を重ね,同月20日には見積金額を合計2725万円とする見積書(乙4,以下「見積書3」という )を,同月26日には見積金額を合計2322万円とする見積書(乙。5,以下「見積書4」という )をそれぞれ西部川崎に提出した。見積書。3及び見積書4においても 「特許ノウハウ料(有限会社浦上技術研究,所 」の項目の220万円の数字に線を引いて消去した上,その下部に)「㈱西部川崎殿所掌」と記載した (乙4,5)。ス 西部川崎は,同月26日,見積書4から一部の項目を削除した見積金額金額2157万円(内訳:機器製作費1717万円,諸経費及び輸送費300万円,完成図書140万円)の注文書(乙6,以下「本件注文書」という )を作成して被告に交付し,被告は本件注文書の内容で本件ロボッ。トの設計・製作等を請け負うことを承諾した。西部川崎は,本件注文書の「特許ノウハウ料(㈲浦上技術研究所 」の金額欄に「㈱西部川崎殿所)掌」と記載し,金額の記載をしなかった (乙6)。セ 被告及び安川エンジニアリングは,同年10月以降には本件ロボットの設計・製造のために原告に出張による技術指導もしてもらい,安川エンジニアリングにおいて本件ロボットを製作した。そして,被告は,西部川崎に対し,同年10月17日に「吸着自走式超高圧ウォータージェットロボット ,同年11月17日に「吸着自走式塗」装ロボット」をそれぞれ納入した。( ) 検討2ア 上記認定事実からすれば,原告が,被告との合意に基づき,被告及び安川エンジニアリングに対し,本件ロボットの設計・製作に必要な技術指導を行っていたことは明らかであるが,問題は,原告と被告との間において,被告が原告に対して技術指導料を支払うとの合意が成立していたか否かである。原告は,被告との間で,平成19年9月初旬,原告が被告に本件ロボットの設計・製作に必要な技術指導を行い,被告が原告に技術指導料(本件ロボットの販売価格の10%並びに原告が個別のプロジェクト毎に出張指導等を行った場合の技術指導料及び経費)を支払うと合意したと主張し,原告代表者はこれに沿う供述をする。そして,上記認定のとおり,①被告担当者のAが,平成19年8月29日,原告代表者に対し,原告が取得する本件ロボットの特許・ノウハウ料を算出してほしいと求めたこと,②これを受けて,原告代表者が,Aに対し,同年9月3日,本件ロボットの特許・ノウハウ料を工場出荷価格の10%とするが,個別のプロジェクト毎に発生する新規設計料・技術コンサル料・経費については特許・ノウハウ料には含まないとする内容の電子メールを送信したこと,③被告が同月6日に西部川崎に提出した見積書1には,原告に支払うべき特許ノウハウ料として機械製作費の10%に相当する220万円が計上されていたこと,④原告代表者が,同月7日にAらと本件打合せを行った際,被告及び安川エンジニアリングが原告に技術指導の費用を支払うとの説明をしたこと,⑤実際,被告及び安川エンジニアリングが,原告から,本件ロボットに関する図面を受け取ったり,設計・製造の指導を受けている,との事実が認められるのであり,これらの事実は,原告と被告との間において被告が原告に対して機械製作費の10%に相当する技術指導料を支払うとの合意が成立したとの原告代表者の上記供述の信用性を補強する事情といえなくもない。イ しかし,原告代表者の供述に係る上記合意については,これを証するような契約書その他の書面は作成されておらず,上記アの①ないし⑤の事実を総合しても,原告と被告との間で,いつ,いかなる内容で意思表示の合致が見られたか(とりわけ被告の承諾の意思表示があったか)は明らかではない上,この点に関する原告代表者の供述も曖昧なところがある(原告代表者は,上記合意の内容は業界の常識であるとの趣旨を縷々供述するが,合意に至った具体的経緯,とりわけ上記内容について被告の承諾を得た事情についての供述はなく,また,原告代表者のいう「業界の常識」が慣習として存在することを認めるに足りる証拠はなく,被告がこの慣習による意思を有していたとも認められない 。。)かえって,原告代表者の上記供述の信用性を減殺する以下の事情も存する。すなわち,被告は,西部川崎と本件ロボットの設計・製作等に関する契約を締結するに当たっては,見積書1ないし見積書4を作成して提出し,最終的には具体的な契約条件が記載された本件注文書を受け取っているのであるから,原告との間で技術指導料の支払に関する契約を締結していれば,同様に具体的な契約条件を記載した書面を作成しているものと思われるが,本件においては,本件打合せにおける原告代表者の説明を記載した複写機能付きのホワイトボードを印刷したものがあるだけで,原告と被告との間で技術指導料の支払契約の成立を証するような書面は作成されていない。また,Aは,同月10日,西部川崎のBから,特許・ノウハウ料については西部川崎が負担するので見積書から削除するよう指示され,翌11日の夕方,原告代表者に電話をかけてこれを承諾してもらったと証言し,Bも,見積書1を受け取った後,原告代表者に見積書1に記載されていた原告に対する特許・ノウハウ料を削除することを求めて承諾を得たと証言するところ(A及びBの陳述書[順に乙11,12]にも同様の記載がある ,A及びBの上記証言は,被告が見積書1に続いて提出した見積書。)2ないし見積書4において,原告に対する特許・ノウハウ料が削除されていることと整合する上,原告と共同してロボット事業を立ち上げようとしていた西部川崎の立場からすれば,原告に本件ロボットの特許・ノウハウ料を取得しないよう求めたというのも不合理なことではないから,A及びBの上記証言の信用性を否定することはできないというべきである。原告代表者は,Aから,西部川崎が原告に対する特許・ノウハウ料を支払うという話をされたことはあるが拒否した,Bから,特許・ノウハウ料を被告には請求しないよう求められたことはないという趣旨の供述をするが,A及びBの上記証言に照らせば採用できないものである。さらに,同年12月20日に原告代表者がAに送信した電子メールには「なお,私は自費にて40日以上も袖ヶ浦に滞在し,また,横浜∼諫早間をこれも自費にて何度も往復しておりますが,この分は西部川崎殿へ請求したいと思っております 」と記載されていることからすれば(乙13 ,。 )原告としては,そもそも出張による指導料及びそのための経費を被告に請求することを意図していなかったものと考えられる。ウ 上記イで検討したところからすれば,上記アの①ないし⑤の事実に原告代表者の供述を併せても,原告と被告との間において,被告が原告に本件ロボットの技術指導料を支払うとの合意が成立したと推認することはできず,他にこれを認めるに足りる証拠もない。( ) したがって,原告の上記主張を採用することはできず,請求原因( )の事3 2実を認めることはできない。第2 結語以上によれば,その余の点について判断するまでもなく,原告の請求は理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。大阪地方裁判所第21民事部裁判長裁判官 田 中 俊 次裁判官 北 岡 裕 章裁判官 山 下 隼 人 |
事件の概要 | 1 請求原因(原告の主張) ( ) 当事者1 ア 原告は,特許権の登録,実施,その情報提供を業務とする会社である。 |
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