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平成19(ワ)3485損害賠償

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裁判所 一部認容 大阪地方裁判所
裁判年月日 平成20年6月26日
事件種別 民事
当事者 被告スズキ鋳鉄工業株式会社
原告株式会社ラインセンス&プロパティコントロール井上裕史
法令 特許権
キーワード 許諾38回
実施15回
損害賠償10回
侵害1回
特許権1回
主文 1 被告は,原告に対し,330万5000円及びこれに対する平成19年4月6日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。
2 原告のその余の請求を棄却する。
3 訴訟費用はこれを10分し,その1を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。
4 この判決の第1項は,仮に執行することができる。
事件の概要 本件は,原告と被告との間で締結された通常実施権許諾契約に定められた製造委 託義務を被告が怠ったとして,原告が被告に対し,債務不履行に基づく損害賠償 (訴状送達の日の翌日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害 金を含む )を請求した事案である。。

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判決文

平成20年6月26日判決言渡 同日原本交付 裁判所書記官

平成19年第3485号 損害賠償請求事件

口頭弁論終結日 平成20年4月14日

判 決

原 告 株式会社ラインセンス&プロパティコントロール

訴訟代理人弁護士 村 林  一

井 上 裕 史

被 告 スズキ鋳鉄工業株式会社

訴訟代理人弁護士 古 井 戸 康 雄

主 文

1 被告は,原告に対し,330万5000円及びこれに対する平成19年4月6日

から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。

2 原告のその余の請求を棄却する。

3 訴訟費用はこれを10分し,その1を原告の負担とし,その余を被告の負担とす

る。

4 この判決の第1項は,仮に執行することができる。

事 実 及 び 理 由

第1 請求

被告は,原告に対し,368万円及びこれに対する平成19年4月6日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。

第2 事案の概要

本件は,原告と被告との間で締結された通常実施権許諾契約に定められた製造委託義務を被告が怠ったとして,原告が被告に対し,債務不履行に基づく損害賠償(訴状送達の日の翌日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金を含む。)を請求した事案である。1 争いのない事実 当事者原告は,知的財産権の保有,運用等を業とする株式会社である。被告は,上下水道用鋳物鉄蓋製造販売等を業とする株式会社である。 平成17年度契約原告は被告との間で,平成17年6月24日,原告が保有する特許権等の通常実施権の許諾に係る「基本契約書」(甲1)を交わして基本契約を締結し,同月日,同基本契約に基づく「合意書」(甲2)を交わした。上記基本契約書及び合意書による原被告の合意(以下「平成17年度契約」という。)の内容は,次のとおりである。ア 契約期間契約締結の日から翌年3月末までイ 対価及び製造委託義務許諾数量の範囲内は無償とし,許諾数量を超過する部分につき被告は原告に製造を委託する。許諾数量を定めない局契(入札等の方式により自治体が業者から直接製品を購入する形態の取引)の場合,被告は受注数量の25%を原告に製造委託する。ウ 許諾数量別紙1「被告製品製造販売目録」の「許諾数量」欄記載のとおりエ 対象権利別紙2「知的財産権目録」記載のとおりオ 損害賠償上記イの製造委託義務に違反して製造販売した場合,被告は原告に対し,その数量(以下「違反数量」という 。)に下記の製品タイプごとの損害賠償単価を乗じて算出した額を支払う。(製品タイプ) (損害賠償単価)GM 2万5000円防護 1万円 被告の製造販売数量の超過ア 被告は,平成17年4月20日から平成18年3月31日までの間に,別紙1「被告製品製造販売目録」の「製造販売数量」欄記載の数量の,上記対象権利の実施品(以下「本件製品」という。)を製造販売した。イ 被告は,原告に対し,同目録の「委託数量」欄記載の数量の本件製品を製造委託した。争点及び争点に関する当事者の主張原告の損害算定の基礎となる違反数量は,製造販売数量から許諾数量と委託数量の合計を差し引いた数量か(原告の主張 ),それとも,原告主張の違反数量からさらに平成17年度の期首在庫数量を減じた数量か(被告の主張)【原告の主張】 原告の損害算定の基礎となる違反数量は,製造販売数量から許諾数量と委託数量の合計を差し引いた数量である。 被告は,平成17年度期首に保有していた在庫製品を平成17年度中に販売したとしても損害賠償責任を負う理由はない旨主張する。しかし,被告と日之出水道機器株式会社(以下「日之出」という。)が平成16年度に締結していた通常実施権許諾契約(以下「平成16年度契約」という。 ,)は 「本契約の有効期間内に製造し,販売することのできる本製品の数量」(甲3の1,第4条。以下「16年度契約第4条」という。)を定めたものにすぎない。すなわち,平成16年度に製造した本件製品を,その契約の有効期間経過後の平成17年度に販売することが許されているわけではない。 仮に,被告の上記主張が認められるとしても,被告の主張する在庫は平成17年度期首に存在していないから,被告の主張には理由がない。 被告は ,「本契約の有効期間内に製造し,販売することのできる本製品の数量」の解釈は,有効期間内に「製造」され,かつ「販売」できる数量を規定したものであって,有効期間外で「製造」され有効期間外で「販売」する場合及び有効期間外で「製造」され有効期間内で「販売」する場合を含まないと主張するところ,原告はこれを有利に援用する。すなわち,被告は,前記基本契約書(甲)第4条(以下「平成17年度契約第4条」という。)の範囲内においてのみ,同契約書に記載された本産業財産権を実施することが許諾されているのであるから,平成17年度契約第4条の範囲を逸脱する行為は,本産業財産権を無許諾で実施する行為である。なお,平成17年度契約第4条の解釈は被告の主張するとおりであるが,原告としては,被許諾者が当該有効期間内に販売した製品の数量が許諾数量内であれば,それが当該期間内に製造されたものであっても,それ以前の時期に販売されたものであっても特に問題としていない。また,平成16年度契約第4条も ,「本契約の有効期間内に製造し,販売することのできる本製品の数量」となっているから,同条が平成17年度契約で許諾された「許諾数量」とは無関係に平成16年度内に製造した製品を平成17年度に販売することを許諾するものでないことは明らかである。 以上のとおりであるから,平成17年度に被告が販売した製品に,仮に平成1年度内に製造した製品が含まれていたとしても,平成17年度に,平成17年度契約第4条で規定された「許諾数量」を超過して製品を販売する行為は,同条に違反するものであることは明らかである。【被告の主張】 被告は,日之出から正当に許諾を受け,又はOEMによって正当に製造していた本件製品を,平成17年度期首において別紙1「被告製品製造販売目録」の「平成17年度期首在庫数」記載の数量だけ在庫として保有していた。したがって,この在庫製品を平成17年度中に販売したとしても,被告が損害賠償責任を負う理由はない。 被告が日之出との間で締結していた平成16年度契約第4条の「本契約の有効期間内に製造し,販売することのできる本製品の数量」の解釈は,有効期間内に「製造」され,かつ「販売」できる数量を規定したものであって,有効期間外で「製造」され有効期間外で「販売」する場合及び有効期間外で「製造」され有効期間内で「販売」する場合を含まない。よって,他年度に製造された在庫を本年度に販売しても何ら同条に違反するものではない。 したがって,原告の損害算定の基礎となる違反数量は,製造販売数量から許諾数量と委託数量の合計を差し引いた数量(原告主張の違反数量)から,さらに平成17年度の期首在庫数量を減じた数量である。

第3 争点に対する判断

1 証拠(甲1,3の1∼5)によれば,次の事実が認められる。

ア 平成17年度契約第4条第1項は,次のとおり定めている。「甲(判決注:原告を指す 。)は,甲が前条第1項の通常実施権を乙(判決注:被告を指す 。)に許諾するにあたり,乙が指定業者となった対象事業を,一契約期間ごとに確認するとともに,該当対象事業(地方公共団体との直接の契約(以下「局契」という。)によって本製品(判決注:本件製品を指す。)を受注した場合を除く 。)ごとに,乙が当該契約期間内に製造し,販売することのできる本製品の数量(以下「許諾数量」という 。)について決定するものとする。」イ 被告は,平成16年度(4月1日から翌年3月31日まで)において,日之出との間で,「通常実施権許諾契約書」(甲3の1∼5はその例)を交わして通常実施権許諾契約(平成16年度契約)を締結し,本件製品の製造販売をしていた。平成16年度契約第4条1項は,次のとおり定めている。「乙(判決注:被告を指す 。)が本契約の有効期間内に製造し,販売することのできる本製品(判決注:本件製品を指す。)の数量(以下「許諾数量」という。)は,○○組(判決注:○○は契約によって異なる。)を上限とする。」上記「有効期間」は,平成16年度4月1日以降の特定の日(契約によって異なる。)から翌年3月末までとされている。被告は,平成17年度期首に保有していた在庫製品を平成17年度中に販売したとしても損害賠償責任を負わないから,違反数量から平成17年度期首在庫数量を差し引いて損害額を算定すべきであると主張する。しかし,被告が平成17年度契約によって原告から許諾されているのは,平成17年度の契約期間内に,前記認定の対象権利に係る特許発明等を実施すること,すなわち,あくまで上記期間内において本件製品を製造し,販売することであって,平成16年度以前に製造した本件製品を平成17年度中に販売することが平成17年度契約によって許諾されているものでないことは明らかである。同様に,被告が平成16年度契約によって日之出から許諾されていたのは,平成16年度の契約期間内において,同契約の対象権利の実施品である本件製品を製造し,販売することであって,平成16年度に製造した本件製品を平成17年度中に販売することは,平成16年度契約によって許諾されているものではない。したがって,仮に被告が平成17年度期首に在庫製品を保有していたとしても,同製品を平成17年度中に販売する行為は,平成17年度契約の定める許諾の範囲を逸脱する行為であり,また,平成16年度契約の定める許諾の範囲を逸脱する行為でもあって,各契約の対象権利を侵害する行為である。被告は,平成16年度契約第4条の「本契約の有効期間内に製造し,販売することのできる本製品の数量」の解釈について,有効期間内に「製造」され,かつ「販売」できる数量を規定したものであって,有効期間外で「製造」され有効期間外で「販売」する場合及び有効期間外で「製造」され有効期間内で「販売」する場合を含まないと主張するところ,同条と同趣旨の平成17年度契約第4条についても,同様の解釈をとるものと解される。しかし,このような解釈は,本来実施許諾契約の定める許諾の範囲内においてのみ当該権利を実施することが許され,その範囲を逸脱する行為は当該権利を無許諾で実施する行為であるのに,これとは逆に,実施許諾契約の定める許諾の範囲外においては,自由に当該権利を実施することができると言うに等しいものであり,採用できない。したがって,仮に平成17年度中に被告が販売した製品に平成16年度以前に製造した製品が含まれていたとしても,平成17年度において,平成17年度契約第4条で定められた許諾数量を超過して製品を販売する行為は,同条に違反するものというべきであるから,原告の損害額算定の基礎となる違反数量は,製造販売数量から許諾数量と委託数量を合計したものを差し引いた数量となる。そうすると,原告の損害額は,違反数量に製品タイプごとの損害賠償単価を乗じて算出した額,すなわち,GM 129個×2万5000円=322万5000円防護 8個×1万円 = 8万円の合計330万5000円となる。なお,原告の損害額が,請求額よりも小さいのは,原告が,佐賀県江北町の①「防護」の製造販売数量を,当初60と主張していたのを40と改め,②「GM」の委託数量を,当初0と主張していたのを20と改めたが,請求の減縮をしていないためである。以上によれば,原告の請求は,債務不履行による損害賠償金330万5000円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成19年4月6日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるからこれを認容し,その余は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。大阪地方裁判所第21民事部裁判長裁判官 田 中 俊 次裁判官 西 理 香裁判官 北 岡 裕 章

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