ホーム > 知財判決速報/裁判例集 > 平成19(ワ)17279 著作権侵害差止等請求事件
| 裁判所 | 認容 東京地方裁判所 |
|---|---|
| 裁判年月日 | 平成20年5月28日 |
| 事件種別 | 民事 |
| 対象物 | ロクラクアパート |
| 法令 |
著作権 著作権法114条2項8回 著作権法21条6回 著作権法114条3項5回 著作権法98条3回 著作権法114条の53回 特許法102条2項1回 著作権法30条1回 著作権法30条1項1回 |
| キーワード | 侵害43回 実施24回 差止8回 審決4回 許諾3回 分割3回 損害賠償1回 商標権1回 |
| 主文 | 1 被告は,被告が運営する別紙サービス目録記載のサービスにおいて,別紙著作物目録記載1ないし7の著作物を複製の対象としてはならない。 2 被告は,被告が運営する別紙サービス目録記載のサービスにおいて,別紙放送目録記載1ないし11の放送に係る音又は影像を,録音又は録画の対象としてはならない。 3 被告は,別紙物件目録記載の器具を廃棄せよ。 4 被告は,別紙支払目録記載のとおり,原告欄記載の各原告に対し,対応する支払金額欄記載の各金員を支払え。 5 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。 6 訴訟費用は,これを3分し,その2を原告らの負担とし,その余を被告の負担とする。 7 この判決は,第4項に限り,仮に執行することができる。 |
| 事件の概要 | 本件は,原告ら(以下,原告らを総称する際には「原告ら」と,原告日本テ レビ,原告 ,原告フジテレビ,原告テレビ朝日及び原告テレビ東京の5TBS 社を総称して「東京局各社」と,原告静岡第一テレビ,原告 ,原告テレビSBS 静岡及び原告あさひテレビを総称して「静岡局各社」という。)が,被告にお いて,「ロクラクⅡビデオデッキレンタル」との名称で行っている事業は,ハ ードディスクレコーダー「ロクラクⅡ」(以下「ロクラクⅡ」という。)2台 のうち1台を日本国内に設置して,受信するテレビ放送の放送波をその1台に 入力するとともに,これに対応するもう1台を利用者に貸与又は譲渡すること により,当該利用者をして,日本国内で放送されるテレビ番組の複製を可能と するサービス,すなわち,別紙サービス目録記載の内容のサービス(以下「本 件対象サービス」という。)であるとし,その事業を行う被告の行為は,原告 及び東京局各社が著作権を有する別紙著作物目録記載の番組(以下「本NHK 件番組」と総称する。)及び原告らが著作隣接権を有する別紙放送目録記載の 放送(以下「本件放送」と総称する。)に係る音又は影像を複製する行為に当 たるから,原告 及び東京局各社の本件番組についての著作権(複製権,NHK |
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平成20年5月28日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官
平成19年(ワ)第17279号 著作権侵害差止等請求事件
口頭弁論終結日 平成20年3月17日
判 決
当事者の表示 別紙当事者目録記載のとおり
主 文
1 被告は,被告が運営する別紙サービス目録記載のサービスにおいて,別紙著
作物目録記載1ないし7の著作物を複製の対象としてはならない。
2 被告は,被告が運営する別紙サービス目録記載のサービスにおいて,別紙放
送目録記載1ないし11の放送に係る音又は影像を,録音又は録画の対象とし
てはならない。
3 被告は,別紙物件目録記載の器具を廃棄せよ。
4 被告は,別紙支払目録記載のとおり,原告欄記載の各原告に対し,対応する
支払金額欄記載の各金員を支払え。
5 原告らのその余の請求をいずれも棄却する。
6 訴訟費用は,これを3分し,その2を原告らの負担とし,その余を被告の負
担とする。
7 この判決は,第4項に限り,仮に執行することができる。
事 実 及 び 理 由
第1 請求
1 主文第1項ないし第3項と同旨2 被告は,原告 NHK に対し,金4259万1214円及びこれに対する平成19年8月4日から支払済みに至るまで年5分の割合による金員を支払え。3 被告は,原告日本テレビに対し,金279万8357円及びこれに対する平成19年8月4日から支払済みに至るまで年5分の割合による金員を支払え。4 被告は,原告 TBS に対し,金279万8357円及びこれに対する平成19年8月4日から支払済みに至るまで年5分の割合による金員を支払え。5 被告は,原告フジテレビに対し,金279万8357円及びこれに対する平成19年8月4日から支払済みに至るまで年5分の割合による金員を支払え。6 被告は,原告テレビ朝日に対し,金279万8357円及びこれに対する平成19年8月4日から支払済みに至るまで年5分の割合による金員を支払え。7 被告は,原告テレビ東京に対し,金279万8357円及びこれに対する平成19年8月4日から支払済みに至るまで年5分の割合による金員を支払え。8 被告は,原告静岡第一テレビに対し,金2038万0500円及びこれに対する平成19年8月4日から支払済みに至るまで年5分の割合による金員を支払え。9 被告は,原告 SBS に対し,金2038万0500円及びこれに対する平成19年8月4日から支払済みに至るまで年5分の割合による金員を支払え。10 被告は,原告テレビ静岡に対し,金2038万0500円及びこれに対する平成19年8月4日から支払済みに至るまで年5分の割合による金員を支払え。11 被告は,原告あさひテレビに対し,金2038万0500円及びこれに対する平成19年8月4日から支払済みに至るまで年5分の割合による金員を支払え。
第2 事案の概要
本件は,原告ら(以下,原告らを総称する際には「原告ら」と,原告日本テレビ,原告 TBS,原告フジテレビ,原告テレビ朝日及び原告テレビ東京の5社を総称して「東京局各社」と,原告静岡第一テレビ,原告 SBS,原告テレビ静岡及び原告あさひテレビを総称して「静岡局各社」という。)が,被告において,「ロクラクⅡビデオデッキレンタル」との名称で行っている事業は,ハードディスクレコーダー「ロクラクⅡ」(以下「ロクラクⅡ」という。)2台のうち1台を日本国内に設置して,受信するテレビ放送の放送波をその1台に入力するとともに,これに対応するもう1台を利用者に貸与又は譲渡することにより,当該利用者をして,日本国内で放送されるテレビ番組の複製を可能とするサービス,すなわち,別紙サービス目録記載の内容のサービス(以下「本件対象サービス」という。)であるとし,その事業を行う被告の行為は,原告NHK 及び東京局各社が著作権を有する別紙著作物目録記載の番組(以下「本件番組」と総称する。)及び原告らが著作隣接権を有する別紙放送目録記載の放送(以下「本件放送」と総称する。)に係る音又は影像を複製する行為に当たるから,原告 NHK 及び東京局各社の本件番組についての著作権(複製権,著作権法21条)及び原告らの本件放送に係る音又は影像についての著作隣接権(複製権,著作権法98条)を侵害するとして,原告 NHK 及び東京局各社において,本件番組を複製の対象とすることの差止め並びに原告らにおいて,本件放送に係る音又は影像を録音又は録画の対象とすることの差止め及び本件対象サービスに供されているロクラクⅡの親機の廃棄を求めるとともに,原告らが,それぞれ,複製権の侵害により損害を受けたとして,その損害の賠償及び本訴状送達の日の翌日である平成19年8月4日から支払済みに至るまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めたのに対し,被告が,本件対象サービスの利用による本件番組等の複製行為の主体は被告ではないことなどを主張して争っている事案である。前提となる事実等(争いがない事実以外は証拠等を末尾に記載する。)
⑴ 当事者原告らは,いずれも放送事業者である。被告は,平成12年1月27日に設立された,デジタル情報家電製品のマーケティング,企画,設計,製造,販売等を目的とする株式会社である(弁論の全趣旨)。
⑵ 原告 NHK 及び東京局各社の著作権原告 NHK 及び東京局各社は,以下のとおり,対応する番組についての著作権を有している(甲19の1∼19の6)。原告 NHK 別紙著作物目録記載1及び2の各番組(以下,同目録の番号順に「本件番組1」,「本件番組2」のように示す。)原告日本テレビ 本件番組3原告 TBS 本件番組4原告フジテレビ 本件番組5原告テレビ朝日 本件番組6原告テレビ東京 本件番組7
⑶ 原告らの著作隣接権原告らは,以下のとおり,対応する放送についての著作隣接権を有している(弁論の全趣旨)。原告 NHK 別紙放送目録記載1及び2の各放送(以下,同目録の番号順に「本件放送1」,「本件放送2」のように示す。)原告日本テレビ 本件放送3原告 TBS 本件放送4原告フジテレビ 本件放送5原告テレビ朝日 本件放送6原告テレビ東京 本件放送7原告静岡第一テレビ 本件放送8原告 SBS 本件放送9原告テレビ静岡 本件放送10原告あさひテレビ 本件放送11
⑷ 被告の行為被告は,「ロクラクⅡビデオデッキレンタル」という名称で,ハードディスクレコーダーであるロクラクⅡ(被告が製造し,販売・貸与を行っている,インターネット通信機能を有するハードディスクレコーダーである。)の,親子機能を有する2台のロクラクⅡ(以下,親機能を有するロクラクⅡを「親機ロクラク」,子機能を有するロクラクⅡを「子機ロクラク」という。)をセットにして,有償で貸与する(子機ロクラクについては販売する場合もある。)事業(以下「本件サービス」という。なお,本件サービスの内容の詳細については,後記のとおり,当事者間に争いがある。)を行っている。なお,被告は,本件サービスで使用されている機器と同一の機器を,親機ロクラク及び子機ロクラクのセットとして,「ロクラクⅡ親子ビデオセット」の名称で販売している(甲2の17,24の11)。本件サービスの利用者は,同サービスを利用することによって,手元に設置した子機ロクラクを操作して,離れた場所に設置した親機ロクラクにおいて地上波アナログ放送を受信してテレビ番組を複製させ,複製した番組データを子機ロクラクに送信させ,子機ロクラクに接続したテレビ等のモニタに,当該番組データを再生して,複製したテレビ番組を視聴することができることになる。
⑸ 先行仮処分事件原告らは,平成18年5月17日,被告に対し,本件サービスにおいて,被告が,原告 NHK 及び東京局各社が著作権を有する番組(本件番組3を除いて本件番組と同一である。)並びに原告 NHK 及び静岡局各社が著作隣接権を有する放送(本件放送から,東京局各社に係る本件放送3ないし7を除いたもの。東京局各社の著作隣接権の侵害の有無は審理の対象とされていなかった。)の放送に係る音又は影像の複製を行っていると主張して,著作権及び著作隣接権に基づく侵害差止請求仮処分命令の申立てを行った(以下「先行仮処分事件」という。)。そして,先行仮処分事件において,平成19年3月30日,被告は,本件対象サービスを提供し,上記番組や放送に係る音又は影像の複製行為を行っているというべきで,原告 NHK 及び東京局各社の上記番組についての著作権並びに原告 NHK 及び静岡局各社の上記放送についての著作隣接権を侵害すると判断され,被告に対し,本件対象サービスにおいて上記番組や上記放送に係る音又は影像の複製行為を対象とすることの差止めを命ずる決定がされた(甲25,裁判所に顕著な事実。以下「先行仮処分決定」という。)。その後,原告らが,先行仮処分決定に基づく間接強制を申し立てたところ,被告は,上記番組を複製することができないようにしたこと及び静岡県内に設置された親機ロクラクを東京に移転させたことを主張し,先行仮処分決定によって示された不作為義務に違反するおそれはないとして争ったが,同年5月11日,上記間接強制の申立てを認容する決定がされ,同年7月12日,同決定に対する執行抗告が棄却された(甲28)。争点
⑴ 本件サービスにおいて,被告は,本件番組及び本件放送に係る音又は影像の複製行為を行っているか(争点1)
⑵ 原告らの損害の有無及びその金額(争点2)
⑶ 原告らの請求は権利の濫用といえるか(争点3)争点についての当事者の主張
⑴ 争点1(本件サービスにおいて,被告は,本件番組及び本件放送に係る音又は影像の複製行為を行っているか)について(原告らの主張)ア 本件サービスについて(ア) ロクラクⅡについてa 基本機能ロクラクⅡは,主な基本機能として,デジタル録画機能,インターネット機能(その一部としてメール機能)を有している。デジタル録画機能は,アナログのテレビ番組等をデジタルデータとして圧縮録画し,それを再生するハードディスクレコード機能である。インターネット機能は,インターネットに接続し,インターネットを利用できる機能である。メール機能は,インターネット機能の一部で,メールアドレスを有して,電子メールを利用することができる機能であるが,子機ロクラクから親機ロクラクへの録画予約要求及び録画されたデータの親機ロクラクから子機ロクラクへの転送には,一般にはメール機能とは呼称しない, http プロトコルによるトランザクションが用いられている。ロクラクⅡで受信録画できるテレビ番組は,機器の構造上,地上波アナログ放送に係るもののみである。また,ロクラクⅡには,設定された録画時間枠において継続的に上書き録画を行う,リングバッファ録画機能を備えることも可能である。b 親子機能ロクラクⅡには,親子機能を利用することができる機種(異なる種類のファームウェアを上書きすることはできないとの処理がされた上で,親機能を持たせるためのファームウェア又は子機能を持たせるためのファームウェアが組み込まれているもの。)があり,その親子機能を利用することで,以下の手順により,別の場所のテレビ番組を受信録画し,その番組データを手元に移動して,再生することが可能となる。
⒜ 親機ロクラクと,当該親機ロクラクと対応関係にある,子機ロクラクを準備する。
⒝ 子機ロクラクを手元に設置し,親機ロクラクを,視聴したいテレビ番組を受信できる別の場所に設置する。
⒞ 子機ロクラクを操作し,親機ロクラクが受信する放送における,自己の視聴したいテレビ番組の録画予約のメールを,親機ロクラクに送信する。
⒟ 親機ロクラクは,子機ロクラクの操作により送信された録画予約指示に基づき,番組を録画し,同番組データをハードディスク内に記録した上,子機ロクラクに当該番組データをメールにより移動する(移動後,親機ロクラクには番組データが保存されないように設定されている。また,録画された番組データには,他の機器で更に複製することができないように,コピー防止機能が付されている。)。
⒠ 子機ロクラクを操作し,親機ロクラクから移動して子機ロクラクに蓄積された番組データを,子機ロクラクにおいて再生して視聴する。(イ) 本件サービスの概要被告は,自己の管理支配下において,親子機能を有する2台のロクラクⅡのうち親機ロクラクを日本国内に設置して,受信するテレビ放送の放送波をその親機ロクラクに入力するとともに,これに対応する子機ロクラクを利用者に貸与又は譲渡することにより,当該利用者をして,日本国内で放送されるテレビ番組の複製及び視聴を可能ならしめるサービスを提供している。本件サービスの利用者は,同サービスを利用することによって,手元に設置した子機ロクラクを操作して,離れた場所に設置された親機ロクラクにおいて受信された地上波アナログ放送に係るテレビ番組を複製するように要求するとともに,複製された番組のデータを子機ロクラクに送信するよう要求し,子機ロクラクに接続したテレビ等のモニタに,送信された当該番組データを再生させ,複製されたテレビ番組を視聴できることになる。(ウ) 本件サービスの仕組み本件サービスを実現している機器類は,以下のとおりである。これらの機器類が,別紙「本件サービスのシステム構成」のとおり接続されて,本件サービスのシステムが構築されている。a 親機ロクラク親機ロクラクは,子機ロクラクから送信された指示に基づき,入力されたテレビ番組をデジタルデータ化した動画ファイルとしてハードディスク内に複製し,利用者の手元の子機ロクラクに自動的に送信する機能を有する機器である。親機ロクラクは,インターネット回線に接続されており,録画されたテレビ番組は,インターネット回線を通じて利用者の手元の子機ロクラクに送信される。b 子機ロクラク利用者は,手元に設置した子機ロクラクからの操作により録画予約要求を親機ロクラクあてに送信し,親機ロクラクが複製した動画ファイルを受信し,テレビ番組を視聴する。なお,子機ロクラクで録画予約したテレビ番組が親機ロクラクで録画され,自動的に子機ロクラクにダウンロードされる一連の機能は,被告が製造するソフトウェア(ロクラクファームウェア等)によって実装されているものである。被告は,当該ソフトウェアを,随時,ヴァージョンアップし,自社のウェブサイトで公表している。c テレビアンテナ放送波を受信するための機器である。本件サービスにおいて複製されるすべてのテレビ番組は,被告が管理する設置場所に設置されたアンテナで受信され,後記のブースター及び分配機を経由して親機ロクラクに入力されるよう,被告によってシステム構築されている。d ブースターアンテナから受信された放送波は,そのまま多数の親機ロクラクに分配して供給すると,出力が減少して画像が劣化してしまう。被告は,各親機ロクラクでテレビ番組を良好な画質で録画できるように,ブースターによってその出力を高めている。e 分配機放送波を各親機ロクラクに供給するための分岐点の役目を果たす機器である。f 光ファイバーインターネットに接続する回線であって,利用者が本件サービス全体にアクセスする際の入口であり,複製したテレビ番組のデータを送信する際の出口でもある。g ルーター親機ロクラク及び光ファイバーの間に入り,相互の信号やデータの割り振りを行う機器である。(エ) 本件サービスの対象となる番組本件サービスで録画できるのは,被告が親機ロクラクを設置した場所で放送されているテレビ番組である。静岡県内に設置した場合は,静岡地区のテレビ番組が録画の対象となり,東京に設置した場合及び東京周辺に設置した場合は,東京のテレビ番組が録画の対象となる。すなわち,親機ロクラクが静岡県内に設置されていた(現在も設置されている可能性がある。)本件サービスの開始時から平成19年4月19日ころまでは , 原 告 NHK( 総 合 及 び 教 育 の 2 局 ) , 原 告 静 岡 第 一 テ レ ビ , 原 告SBS,原告テレビ静岡及び原告あさひテレビの地上波アナログ放送(別紙放送目録記載1(静岡),2(静岡)及び8∼11)が録画の対象となり,同月20日以降は,原告 NHK(総合及び教育の2局),原告日本テレビ,原告 TBS,原告フジテレビ,原告テレビ朝日,原告テレビ東京の地上波アナログ放送(別紙放送目録記載1(関東),2(関東)及び3∼7)が録画の対象となっている。したがって,本件サービスにおいて複製の対象となっているテレビ番組は,原告らが放送事業者として著作隣接権を有するものである。また,本件サービスにおいて複製の対象となっているテレビ番組には,本件番組のほか,原告 NHK 及び東京局各社が著作権を有するものが多数含まれている。(オ) 利用者が本件サービスにおいて通常のサービスを利用する場合の具体的手順a 録画予約利用者は,自宅でインターネットに接続した子機ロクラクを起動して,テレビ画面に子機ロクラクの操作画面を表示させる。そして,子機ロクラクを操作して録画予約のための番組表を表示させ,その番組表の中から,視聴を希望する番組を選択,決定する。この決定は,インターネットを通じて,被告が管理する設置場所内に設置された親機ロクラクに送信される。b 録画被告が管理する設置場所内に設置された親機ロクラクが,自動的にテレビ番組の録画を行う。c ダウンロード録画が終了すると,同時に,被告が管理する設置場所内に設置された親機ロクラクから子機ロクラクに,録画された番組のデータが自動的にインターネットを通じて送信される。d 視聴利用者は,手元の子機ロクラクに送信された番組のデータ(動画ファイル)を再生することにより,録画されたテレビ番組を視聴することができる。イ 被告による著作権及び著作隣接権の侵害(ア) 複製行為の主体について著作権法上の複製行為の主体が誰であるかは,カラオケ装置を設置したスナック等の経営者について,客の歌唱についての管理及びそれによる営業上の利益という観点から,演奏の主体として,演奏権侵害の不法行為責任があると認めた最高裁判例(最高裁昭和59年(オ)第1204号同63年3月15日第三小法廷判決・民集42巻3号199頁,以下「クラブキャッツアイ事件最高裁判決」という。)等も踏まえ,当該複製行為を実際に管理しているかどうか,また,経済的利益を得ているかどうか等によって規範的見地から総合的に判断されるべきである。(イ) 本件サービスの目的本件サービスは,日本国外で日本のテレビ番組を視聴させる点を強調して広告が行われ,また,サービス内容の説明においても,利用者が日本国外で利用する場合を想定した説明のみを行い,利用申込欄の住所記載欄の表示も,国名の入力が求められていることなどから明らかなように,海外に居住する利用者を対象に,日本のテレビ番組をその複製物によって視聴させることのみを目的としたサービスである。そして,被告が,親機ロクラクの設置場所について,取扱業者が提供する場所に設置されているものと利用者の自宅に設置されているものとの割合を示すよう求められたにもかかわらず,その回答を行っていないことからすれば,本件サービスの利用者において,自宅に親機ロクラクを設置している利用者がほとんど存在しないことが推察され,そうであれば,被告は,本件サービスを維持するために,親機ロクラクの設置場所の確保に関与せざるを得ないといえる。このことは,被告が,親機ロクラクが設置されていたと主張する静岡県浜松市<以下略>や,現在の設置場所と主張する東京都渋谷区<以下略>が,被告の親会社であり被告と人的・経済的に密接に関連する株式会社日本コンピュータ(以下「日本コンピュータ社」という。)の取引先である有限会社スター電子工業(以下「スター電子工業」という。)やホライズンパリテートサービス株式会社(以下「ホライズン社」という。)の所在地であることにも示されている。(ウ) 機器の調達・設置・管理本件サービスにおいては,後記ウのとおり,被告の管理する設置場所内に被告が設置した親機ロクラク,テレビアンテナ,ブースター,分配機,ルーター等多くの機器類が,有機的に結合して1つの本件録画システムを構成しており,親機ロクラクは被告の所有物であり,その他の機器類も被告の管理下にあるものであり,被告は,上記システムが常時作動するように監視し,これを一体として管理している。また,本件サービスで利用されるロクラクⅡには,被告が製造したソフトウェア(ロクラクファームウェア等)がインストールされており,同ソフトウェアによって,利用者は子機ロクラクを通じてテレビ番組の録画予約が可能となり,また,親機ロクラクに録画されたテレビ番組が自動的に子機ロクラクに送信される仕組みが作り上げられている。利用者は,子機ロクラクを操作して,録画予約のための番組表を表示させ,その番組表の中から,視聴を希望する番組を選択,決定することによってテレビ番組の録画予約を行うが,この番組表のデジタルデータは,被告が,被告のサーバから,インターネットを通じて提供している。被告は,先行仮処分決定後に,同決定で複製の対象とすることを禁止された番組を除外した被告作成の番組表を,子機ロクラクが取得する方法で利用者に取得させているが,これは,後記(エ)のとおり,被告が,親機ロクラクと子機ロクラク間の通信をウェブサーバ又はメールサーバによって直接管理し,インターネット経由で子機ロクラクに被告作成のファームウェアを送信するなどして利用者の手元にある子機ロクラクに随時変更を及ぼし得ることから,可能となったものである。そして,親機ロクラクと子機ロクラク間の録画予約や録画された番組データの送受信は, http プロトコルにより,被告の管理するサーバを経由して行われている。このように,被告は,上記システムが常時作動するように監視し,これを一体として管理しているのであり,これに伴い,本件サービスの規約においても,ロクラクⅡについて,その性能や機能の維持向上を目的として,被告の定める方法及び内容によって,定期的に1か月当たり5日間程度の日数について,メンテナンスを実施する旨が定められている。(エ) 被告による親機ロクラクと子機ロクラク間の通信の管理親機ロクラクと子機ロクラク間の通信は,以下のとおり,被告の管理支配下で行われている。
① 親機ロクラクと子機ロクラク間の通信は,被告のサーバ又は被告が契約するサーバを経由して行われている。
② 上記サーバは,録画予約及び番組データの送信のために被告が用意した専用サーバである。
③ 被告のサーバ又は被告が契約するサーバを経由するたびに,当該サーバの管理者である被告が ID 等による認証を行っている。
④ これらの通信を実行するロクラクⅡ及びファームウェアは,すべて被告が製造・開発したものであり,被告の規定する方式によって,通信が実行されている(被告は,子機ロクラクの貸与後も,変更したファームウェアを利用者の手元にある子機ロクラクに送信するなどしており,その点でも,親機ロクラクと子機ロクラク間の通信を強固に規律している。)。
⑤ 利用者は,録画予約や番組データの受信という,被告が規定する目的及び方法でしか,当該通信機能を利用することはできない。(オ) 複製可能な放送・番組本件サービスで録画可能な放送は,被告が設定した範囲内の放送(被告の管理する設置場所所在の静岡県又は東京で受信された地上波アナログ放送)に限定されている。加えて,上記のとおり,本件サービスでは,テレビ番組の複製は,被告が提供する番組表により強く規制され,その範囲内でのみ可能とされているにすぎない。(カ) テレビ番組を複製するための環境整備利用者は,本件サービスを利用する場合,被告から購入し又はレンタルされて手元にある子機ロクラクを用いなければ割り当てられた親機ロクラクにアクセスすることができず,アクセスした後も,子機ロクラクが示す手順に従って,番組の録画や録画データのダウンロードを行うものである。そして,親子機能を有するロクラクⅡは,親子機能を実現するための特別のソフトウェアであるファームウェアを被告自身が開発して組み込み,かつ,被告が用意又は契約して管理するサーバを経由してのみ録画予約や録画した番組データの送出が可能なように設定し,本件サービス又は同種のサービスに利用されることのみを目的とするといえるものであり,これらのことにかんがみれば,親子機能を有するロクラクⅡは,本件サービス又は同種サービスのための専用品と評価できるものである。(キ) 経済的利益被告は,利用者から初期登録料3000円を受領し,また,毎月のロクラクⅡのレンタル料(通常サービスで1か月8500円,親機ロクラクのみのレンタルの場合1か月6500円)及び後記のロクラクアパートの賃料(1か月2000円)の名目で毎月本件サービスの対価を受領し,利益を得ている。(ク) 小括上記各事情を総合すれば,被告が,本件番組を含む,本件放送に係る放送についての複製行為を管理していることは明らかであり,同複製行為の主体であることは明らかである。したがって,被告の上記複製行為は,原告 NHK 及び東京局各社の本件番組についての複製権(著作権法21条)並びに原告らの本件放送に係る音又は影像についての著作隣接権としての複製権(著作権法98条)をいずれも侵害する。ウ 親機ロクラク等の設置及び管理について(ア) ロクラクアパートについて被告は,従前,本件サービスと同様のサービスを無料のモニタに対して実施していた(以下「本件モニタ事業」という。)際,親機ロクラクを被告事業所内に設置し,親機ロクラクとテレビアンテナ端子,分配機,高速インターネット回線,ハブ,ルーターの各種機器を接続し一体として管理を行ってきた。本件モニタ事業終了後,本件サービスを開始するまでの期間はわずか1か月に満たず,また,海外の利用者に日本のテレビ番組を視聴させるという本件サービスの性質上,利用者の大多数は日本国内に親機ロクラク設置場所を有しておらず,本件モニタ事業終了後,被告事業所内に親機ロクラクを設置したままにしていた者もいたことなどから,被告に設置場所の確保が強く要請されていた。そして,親機ロクラクの所有権は被告にあること,利用者は本件サービスの利用の際に保証金の支払をすること,被告による機器の変更も可能で,定期的にメンテナンスが実施されること,本件サービス終了時には返還が求められていること,被告が親機ロクラクの設置場所として不適当であると考える場合には別の設置場所を登録しなければならないことなどからすれば,被告が設置場所を知らないとか関与しないということはあり得ない。被告は,従前,親機ロクラクを設置している場所を「ハウジングセンター」と称していたが,近時,その名称を「ロクラクアパート」と変更している。また,この名称変更に伴い,この「ロクラクアパート」の運営主体は,第三者である「 Nu Star Supply」(以下「 NS 社」という。)や,「 DREAMS DELITE SDN. BHD.」 (以下「 DD 社」という。)等の代理店となった旨説明している。しかしながら,まず,「ロクラクアパート」については,被告の説明によれば,①親機ロクラクを預かる場所であり,②テレビアンテナ,光ファイバー等の必要な機器がすべて用意されており,③親機ロクラクが適正にテレビ番組の複製を行うよう管理する者がおり,④親機ロクラクに対する保険が自動的に付され,⑤毎月2000円の賃料が発生するということであるが,これは,費用が2000円追加されただけで,他は,従前の「ハウジングセンター」と何ら変わらないものである。そして,被告は,自社ウェブサイト及び広告などで本件サービスを宣伝する際に,この設置方法について言及し,特にウェブサイトにおいては,通常の家庭に設置する場合の危険性を述べるとともに,上記「ロクラクアパート」の特性を詳述して利用者を「ロクラクアパート」の利用に誘引している。「ハウジングセンター」のころから本件サービスを利用している利用者に対して,本件サービス上の利用者に対するメッセージ送信機能を利用して,「ロクラクアパート」の利用を繰り返し勧めている。また,ロクラクアパート利用料は,「 Nustar Supply レントダイ」なる屋号で決済されていたが,当該屋号を用いて徴収していた事業者は,平成18年7月まで被告であり,その後は,被告と人的及び経済的に密接な関係にある日本コンピュータ社であった。さらに, NS 社や DD 社などは,被告の説明によれば,海外の業者であり,比較的小規模や個人事業主であることが多く,このような業者が日本国内で直ちに一定規模の適切な親機ロクラク設置場所を一定数確保することが困難であることは明らかである。以上から,被告は,先行仮処分決定に至るまで,親機ロクラクを実質的に管理していたことは明らかである。(イ) 先行仮処分決定後の親機ロクラクの移転についてa 被告は,先行仮処分決定後に,被告とは関係のない海外の取扱業者が浜松市所在の有限会社スカッシュ(以下「スカッシュ社」という。)に親機ロクラクの設置場所を移動させた旨主張するが,被告の説明は,以下のとおり信用できない。被告は,平成18年1月から平成19年4月までの間,親機ロクラクが,浜松市<以下略>のスター電子工業と同市<以下略>のスカッシュ社所在地に設置されていた旨主張する。しかしながら,スター電子工業では親機ロクラクの設置,管理等は行われておらず,仮に行われていたとしても,当該場所はロクラクⅡの製造を行う工場であり,被告との関連性は明らかである。スカッシュ社所在地は,同社の代表者の自宅であるが,同人の話では,コンピュータ機器の管理や運送等の業務は一切行っておらず, DD 社や NS社などは一切名前を聞いたことや取引を行ったことはなく,また,依頼を受けて親機ロクラクの設置を行ったこともないとのことである。さらに,被告は, DD 社が,スカッシュ社に依頼して,静岡県内の親機ロクラクを東京都内に移動させた旨主張するが,移動に用いたレンタカーの契約は日本コンピュータ社の従業員がスカッシュ社を名乗って行っていたことが判明した。これらのことからすれば,親機ロクラクの移動及び設置場所の確保に被告が関与していないとの主張は何ら信用できない。b また,被告は,親機ロクラクの東京における設置場所について,東京都渋谷区<以下略>のホライズン社及び東京都豊島区<以下略>の株式会社クロスワン(以下「クロスワン社」という。)である旨主張するが,ホライズン社は,被告の親会社であり被告と人的・経済的に密接に関連する日本コンピュータ社の取引先である。また,クロスワン社の代表者の話によれば,同社の電気供給量の関係で,親機ロクラクの接続等は行っておらず,テレビアンテナ,ブースター,分配機,光ファイバー,ルーター等の機器は何ら準備しておらず,これらと親機ロクラクの接続等はしていなかったとのことである。以上からすれば,親機ロクラクの設置場所に何ら関与していないとの被告の主張は信用できず,被告が親機ロクラクを実質的に管理している状況は何ら変わっていないというべきである。(被告の反論)ア 原告らの主張の認否(ア) 原告らの主張アについてa ロクラクⅡの基本機能についての主張は,親機ロクラクと子機ロクラク間の通信に関する主張を除いて認める。親機ロクラクと子機ロクラク間の通信は, http プロトコルによるメール通信によって行われているが,同通信が一般にメール通信と呼称されないとの原告らの主張は誤りである。ロクラクⅡの親子機能については,子機ロクラクを操作して,別の場所のテレビ番組をその場所に設置した親機ロクラクが録画し,当該番組データを手元の子機ロクラクに移動することで,子機ロクラクで当該番組データを再生することが可能となることは認めるが,これは,被告がロクラクⅡの利用者に対し,番組を再生させたり,視聴させるものではなく,利用者各自が操作することによって行われるものである。また,子機ロクラクからの録画予約に基づき,親機ロクラクにおいてデジタル化して圧縮された番組は,親機ロクラク内のハードディスク内に一時記録され,子機ロクラクにメールによって転送移動される。この際,番組データは親機ロクラクに残らないようにされており,また,移動先は,1体1で対応している子機ロクラクだけであり,コピー防止機能により,録画された番組データを他の機器で更に複製することなどはできない。放送をタイムシフト視聴するための機器としてみれば,広く普及している HDD レコーダー等から,再複製機能を除いたタイムシフト視聴専用機ともいえる。そして,親機ロクラクは,株式会社ソニー(以下「ソニー」という。)製の「ロケーションフリーテレビ」(以下「ロケーションフリー」という。)におけるベースステーション(親機ロクラクと類似の機能を有する機器)が,遠隔地に番組データを送信するに当たり,いったんベースステーション内のメモリに番組データを記憶することと同様の一時的記憶作業をハードディスク内で行っているだけと評価できる。b 原告らの主張ア(イ)の本件サービスの概要についての主張は,否認する。本件サービスは,ロクラクⅡという機器を賃貸する事業であり,それにとどまる。各利用者による複製行為は,著作権法30条が認める私的使用のための複製にすぎない。本件サービス開始前の,試行として行っていた本件モニタ事業の段階で,レンタルされた親機ロクラクが被告の事業所内に設置されていた時期があったが,本件サービス開始後は,親機ロクラクが被告の管理支配する場所に設置されたことは一切ない。c 原告らの主張ア(ウ)の本件サービスの仕組みについての主張は,否認する。被告は,本件サービスにおいて,親機ロクラクの設置場所を提供したことはなく,親機ロクラクを管理支配していないから,別紙「本件サービスのシステム構成」は明らかな誤りである(なお,この図面は,本件モニタ事業時の状況とも相違している。分配機からのアンテナ接続用ケーブルと,イーサネットケーブルは,親機ロクラクごとに個別に接続していなければ,親機ロクラクは対応する子機ロクラクからの指示を受けることはできない。)。ファームウェアの更新は,他の市販のデジタル家電においても,アフターサービスにおいて一般的に行われている。ロクラクⅡでは,被告が電子メールに新しいファームウェアを添付して送る方法と,被告がインターネット上で新しいファームウェアを公開し,各利用者が子機ロクラクのメニュー画面からファームウェア更新を選択してファームウェアをダウンロードする方法により行われている。なお,本件モニタ事業実施時には,被告事業所内に親機ロクラクが設置されていたが,その際にも,原告が主張するようなシステムが構築されていたものではない。すなわち,親機ロクラクの設置場所は,監視サーバ等の特別な設備や保守管理をする者の配置を必要とせず,テレビアンテナの接続環境,電源供給環境,高速インターネット接続環境があればよいので,個人の利用者の自宅等でも,一般のハウジング業者が提供する置き場所でも,親機ロクラクの設置が可能なのである。d 原告らの主張ア(エ)の本件サービスの対象となる番組についての主張は,否認する。ロクラクⅡでは,販売用機器と賃貸用機器で録画可能な放送波は共通であり,本件サービスの場合に,特別な設定や限定(受信制限)はない。e 原告らの主張ア(オ)の利用者が本件サービスにおいて通常のサービスを利用する場合の具体的手順についての主張は,否認する。本件サービスにおいて,レンタルされた親機ロクラクは,被告が管理する場所には設置されていない。(イ) 原告らの主張イについてa 原告らの主張イ(ア)の複製行為の主体についての主張は争う。本件サービスの利用者の複製行為に関連して,被告の管理性を認めることはできないから,被告を複製行為の主体であると評価することはできない。b 原告らの主張イ(イ)の本件サービスの目的についての主張は否認する。本件サービスの目的は,販売用商品であるロクラクⅡの製造者である被告として,ロクラクⅡを賃貸することによって,デジタル家電機器であるロクラクⅡを広く普及させるとともに,その利用を促進すること及び利用者のニーズに従ってロクラクⅡを利用させることによって,本件サービスの利用を広げることである。なお,被告は,レンタル機器の利用方法のうち,子機ロクラクのみで影像を録画し,再生する方法,親子機能を用いて離隔地の番組を録画し,再生する方法(国内の離隔地の場合と海外の離隔地の場合双方),インターネットビデオをダウンロードして視聴する方法などをウェブサイトで紹介しており,実際にどのような方法でレンタル機器を利用するかは,利用者の自由に委ねられている。c 原告らの主張イ(ウ)の機器の調達・設置・管理についての主張は否認する。本件サービスにおいて,被告は,親機ロクラクの設置にも設置場所にも関与していない。ロクラクⅡの親子機能を利用するためには,そもそも,機器を常時監視したり,保守するなどして,管理下においておく必要は全くない。本件サービスの規約に記載されている「物件のメインテナンス」とは,「性能や機能の維持向上を目的として」と記載されているように,バグを防止したり,機器をより扱いやすくするためなどに,インターネット通信により行うファームウェアの更新のことである。番組表の取得に関する原告らの主張が誤りであることは,後記のとおりである。d 原告らの主張イ(エ)の被告による親機ロクラクと子機ロクラク間の通信の管理についての主張は否認する。原告らの主張が誤りであることは,後記のとおりである。e 原告らの主張イ(オ)の複製可能な放送・番組についての主張は否認する。被告は,録画対象の番組の範囲に何の関係も有していない。f 原告らの主張イ(カ)のテレビ番組を複製するための環境整備の主張は否認する。親機ロクラクに,対応した特定の子機ロクラクからしかアクセスできないことは,親機ロクラク及び子機ロクラクが完全な1対1の対応関係を有していることから当然である。販売されている親子機能を有するロクラクⅡについても同様である。g 原告らの主張イ(キ)の経済的利益についての主張は否認する。本件サービスにおいて被告が得ている金銭は,初期登録料と毎月の機器のレンタル料金のみで,親機ロクラクの設置場所に関係する対価を受領している事実は存在しない。(ウ) 原告らの主張ウについて原告らの主張ウの(ア)のロクラクアパート及び(イ)の先行仮処分決定後の親機ロクラクの移転についての主張は否認する。イ 親機ロクラクの設置場所(ア) 本件モニタ事業実施期間(平成16年∼平成17年3月)被告は,本件モニタ事業実施時,希望する利用者に対し,「ハウジングセンター」との名称で,被告本社事業所内の一部のスペースを親機ロクラクの設置場所として提供するオプショナル契約を提案するビジネスモデルを検討したことがあり,利用者の親機ロクラクを被告本社事業所内に設置していたことがあった。(イ) ビジネスモデルの確定後(平成17年3月以降)被告は,平成17年3月,本件サービスを本格的に有料事業化するに当たり,親機ロクラクの設置場所の提供は一切行わないビジネスモデルを確定した。そのため,それ以降に,本件サービスの利用を申し込んだ者は,被告から送付を受けるか,取扱業者から送付され,又は手渡しで受け取った親機ロクラクを,被告と関係なく,各自の準備した任意の場所に設置している。なお,取扱業者は,利用者から相談や希望があれば,親機ロクラクの設置場所を賃貸することができる不動産業者を紹介している事実はあるが,被告は,これに一切関与しておらず,また,設置場所に関する対価も得ていない。(ウ) ビジネスモデル確定に伴った被告事業所内からの移動(平成17年3月∼平成18年1月)本件モニタ事業実施時に被告事業所内に親機ロクラクを設置していた利用者については,確定後のビジネスモデルに基づくレンタル規約への同意を得た上で,直接又は取扱業者を通じて,新たな親機ロクラクの設置場所の連絡を受け,その場所あてに親機ロクラクを発送して,順次,被告事業所内に残っていた親機ロクラクを移動した。さらに,平成17年秋ころ,親機ロクラクを移動していない利用者との契約を相当期間経過後に終了することを決め,取扱業者に伝えるとともに,取扱業者において,利用者に対する親機ロクラク移動の呼びかけを行うように依頼した。これに対し,マレーシアの取扱業者である DD 社から被告に対し,取扱業者が責任をもって新たな設置場所を準備するので,いったん取扱業者に引き渡してもらいたい旨の申入れがされたので,被告は,引き渡す親機ロクラクの紛失等について取扱業者が責任を持つことを確認し,平成18年1月10日, DD 社の連絡どおりに親機ロクラクの引取りに訪れた者に,被告事業所内に残されていた親機ロクラクをすべて引き渡した。その後,被告が引き渡した親機ロクラクは,各取扱業者が確保した不動産業者が準備した場所に移動された。この移動先を提供し,賃料を得ていたのは, DD 社の紹介による NS 社等であったが, NS 社等の不動産業者は,被告とは何らの関係もない会社である。以降,レンタルされている親機ロクラクが被告事業所内に設置されたことは一度もない。なお, NS 社に親機ロクラク設置場所を提供した業者に関する,上記(原告の主張)ウ(イ)の原告主張は,信用性に欠ける調査結果に基づくものであり,不正確である。(エ) 先行仮処分決定を受けての移動(平成19年4月以降)被告は,先行仮処分決定に従うため,取扱業者に対し,同決定の内容を連絡した上で, NS 社等の不動産業者が静岡県内に準備した場所に設置されている親機ロクラクについては,やむを得ない措置として,レンタル契約を解除する旨を連絡した。そして,レンタル契約を継続するためには,親機ロクラクを賃借人の自宅や静岡県外に移動することを求め,かつ,その事実を明確に報告するとともに,静岡県外に移動した親機ロクラクの設置場所も被告に報告するように求めた。被告は,平成19年4月13日, DD 社から,同月19日に,静岡県内の NS 社等の不動産業者が準備した場所に設置されている親機ロクラクすべてを東京都内に移動する予定であるとの連絡を受けた。そして,DD 社は,同月19日,当該親機ロクラクのすべてを,東京都内の2か所に分けて移動した。この2か所は, NS 社が借り受け,利用者に提供していた。その後,被告は, DD 社から,移動した親機ロクラクについて, DD社担当の利用者のもののみならず,他の取扱業者担当のものも含め,静岡県内に設置されていた親機ロクラクのすべてであることの報告を受け,他の取扱業者も含めて,現時点では,静岡県内に親機ロクラクを設置している利用者はないとの報告を受けている。(オ) 現在の親機ロクラクの設置場所NS 社は,後記のとおり,平成19年5月に開設した DD 社のクレジットカードのアカウントの継続ができなくなったという理由から,同年10月に至って,独自に行っていた設置場所の提供を終了した。現在は,ホライズン社が, NS 社から設置場所のハウジングを引き継いでいる。ホライズン社は,①被告と資本関係や人的関係のない別法人格の独立した株式会社であること,②その資本金額(1億4000万円)において被告(5000万円)を上回っている事業会社であること,③自社事業としてロクラクⅡのほかにもソニー製のロケーションフリー等を預かり保管するハウジングサービスを営んでいること,④利用者との間でハウジング契約を締結し,自らハウジングの利用料を徴収しており,他方,被告にはハウジング利益の分配をしていないこと,⑤事業所内に,ハウジング契約を結んだ親機ロクラクを設置していることからすれば,ホライズン社が,単独で親機ロクラクのハウジング事業を行っているとしか評価できない。被告とホライズン社が,いわば法的に不可分一体となって,親機ロクラクのハウジング事業を実施しているとか,親機ロクラクの設置場所を提供しているなどと,規範的に評価することはおよそ不可能である。加えて,ロクラクⅡの設置は,上記ア(ア)cのとおり,家庭用ビデオ録画機の利用とインターネット接続に関する経験のある利用者であれば,特別な知識なしに実現可能であること(なお,ロクラクⅡの設置は,ソニーのロケーションフリーのベースステーションの設置と比べてもかなり容易であること),ロクラクⅡの設置場所について特別な管理施設の用意は必要ないこと,ロクラクⅡが常時作動するように監視したりする特別な対処(保守管理)を必要としないことからも,ホライズン社が独自のハウジング事業によって事業所内に占有保管している親機ロクラクについて,被告の管理支配性を認めることはできない。したがって,現在,親機ロクラクは,本件サービスの原則形態として全国に散らばる利用者個人の自宅等に設置されているほかは, NS 社を引き継いだハウジング業者であるホライズン社が準備した設置場所に置かれ,被告はこれらを管理支配していない。ウ 被告は親機ロクラク設置場所に関する収益を得ていないこと(ア) 「 NuStarSupply レントダイ」の屋号による収益が被告に帰属していないこと原告らは, SBI ベリトランス株式会社(以下「ベリトランス社」という。)において,屋号名「 NuStarSupply レントダイ」として取り扱われている決済代行業務によりクレジットカード会社からなされる入金が,親機ロクラクの設置場所の賃料であり,その決済代行業務の申込みが,当初被告により行われ,その後,申込名義が日本コンピュータ社に変更されたことをもって,被告が親機ロクラク設置場所の賃料を得ていたと主張するが,以下のとおり,これは誤りである。被告は,平成17年,本件サービスの取扱業者である DD 社から,ベリトランス社のクレジットカード決済業務を, DD 社の代わりに申し込んでもらいたい旨の依頼を受けた。その理由は,例えば,設置サービスや有料情報の提供など, DD 社が本件サービスに関連して,日本人を中心とする利用者に有料のサービスを提供する場合に,その費用について,日本のクレジットカード決済代行業務を利用して受け取りたいが, DD社が海外の業者であって,日本円の決済を行うことは難しく,そのために日本で口座を開設する等の手続は時間や手間がかかる可能性があるというものであった。 DD 社の申入れは,当該屋号に関する入金について,DD 社の指示する方法に従って被告から DD 社に渡すという扱いにしてもらいたいというものであった。その後,被告は,取扱業者が,利用者から親機ロクラクの設置場所に関する相談があった場合に, NS 社を紹介していると知り,放送局との無用な紛争を避けるために被告は親機ロクラクの設置場所に関与しないとの方針から,上記屋号の依頼名義人が被告である状況は解消しておくべきであると考え,平成18年7月,日本コンピュータ社に名義人変更の手続を行ったものである。上記屋号に関する入金は,全額,入金後速やかに DD 社の指示に従って処理され, DD 社に渡されている。したがって,被告の売上げでも,日本コンピュータ社の売上げでもない。(イ) DD 社指定の「 NuStarSupply レントダイ」のアカウントの解除先行仮処分決定において,上記経緯について事実とは異なる事実認定がされていたため,被告は, DD 社に関する「 NuStarSupply レントダイ」の屋号での入金の取次終了を日本コンピュータ社に要請した。その結果,同屋号による日本コンピュータ社名義でのベリトランス社の決済代行業務の契約は,平成19年3月31日付けで解除されている。(ウ) 平成19年4月19日の移動先に関する賃料について上記のとおり,親機ロクラクの東京への移動後,移動先に関する賃料は, DD 社が,自ら米ドル建てのクレジットアカウントを開設して,集金を行ったが,これについて,被告は,一切関与していないし,配分も受けていない。しかしながら, DD 社が行ったドル建て賃料の請求に対しては,対象者からの入金の手続が円滑に進まず,また,平成19年9月で DD 社の当該クレジットアカウントが使用中止とされたことなどもあり, NS 社は,ホライズン社に対し,自らが契約していた利用者に対する設置場所の提供を引き継いでいる。この後のホライズン社による賃料請求にも,被告は関与していないし,ホライズン社からその配分も受けていない。エ ロクラクⅡによる番組表の取得原告らは,ロクラクⅡによる録画予約の際に,番組表が利用され,その番組表を,被告が「 EPG 用のウェブサーバ」からインターネットを通じて,各子機ロクラクに送信しているものであると主張するが,明らかな誤りである。番組表は,「 iEPG」と呼ばれる,ソニーが開発したインターネットでのテレビ番組予約方式を利用して,親機ロクラクが一般に iEPG 対応の番組表を提供しているウェブサイト(いわゆる「 iEPG サイト」)にアクセスして取得し,子機ロクラクが録画予約する際に,メール通信によって,親機ロクラクから番組表を閲覧することによって利用されているものであって,被告には,番組表を子機ロクラクに送信する「 EPG 用ウェブサーバ」など存在しない。なお,先行仮処分決定から現在に至るまで,番組表は,先行仮処分決定で録画の対象とすることを禁止された番組のみを除外した被告作成の番組表を,子機ロクラクが取得する方法で取得されているが,これは,先行仮処分決定の理由中に,その履行方法として,対象の番組を除外した番組表が提供されるとの方法が示されたことから,やむを得ずその指示に従い,新たな技術開発をして,暫定的に番組表の取得方法を変更したためである(仮に,この変更を原告らが取り上げて論難するとしても,被告としては,先行仮処分決定の示唆に従って,本案訴訟の勝訴に至るまでの間の暫定的措置として実施しているとしか言いようがない。)。オ 親機ロクラクと子機ロクラク間の通信(ア) http プロトコルによるメール通信親機ロクラクと子機ロクラク間の通信は, http プロトコルによるメール通信である。レンタル機器であるロクラクⅡは,世界中の様々なインターネット事情に柔軟に対応できるよう, POP プロトコルによるメール通信及び httpプロトコルによるメール通信のいずれにも対応している。なお, POP プロトコルによるメール通信と同様に, http プロトコルによるメール通信においても,間にメールサーバが経由されるところ,メールサーバは,あくまでも,メールを経由する役割を担うだけであり,メールの内容に解析や改変を加えるなど,メール内容に関与することはないし,メールサーバが自ら符号を作成したり,独自にメールを送信することも,性質上あり得ない。すなわち,すべてのメールアドレスは,断続的にメールサーバに自身あてのメール確認のためにアクセスしており,自身あてのメールが送信されている場合は,そのメールを取得して受信するのであり,メールサーバからメールの送信を受けるのではない。(イ) 録画予約がメール通信によること親子機能による録画予約の手順は,①利用者が子機ロクラクを操作して,録画予約のメールを,対応する親機ロクラクあてに送信する,②親機ロクラクは,メールサーバを経由した子機ロクラクからの録画予約のメールを取得(受信)し,録画予約メールに含まれる指令に基づき,録画予約の処理を行い,録画予約完了のメールとして,録画予約を特定する ID を,子機ロクラクあてに送信する,③子機ロクラクは,メールサーバを経由した親機ロクラクからの録画予約完了のメールに含まれるID に基づき,録画予約の完了の確認処理を行う,というものであり,すべて①の利用者の操作に基づいて,ロクラクⅡに搭載されているインターネット通信機能,親子機能が働いて実現されているものであり,被告は,このプロセスに一切介在しない。なお,最新のファームウェアに基づくプロトコルにおいては,②の録画終了メールが省略され,録画終了メールを待たずに,子機ロクラクが番組データの移動を求めるメールを送信している。(ウ) 番組データ移動がメール通信によること親子機能による番組データの移動の手順は,①利用者の子機ロクラク操作による録画予約に従い,親機ロクラクが番組を録画する,②録画が終了すると,親機ロクラクは,子機ロクラクあてに録画が終了し,番組データの移動が開始可能である旨の録画終了メールを送信する,③子機ロクラクは,メールサーバを経由した親機ロクラクからの録画終了メールを取得(受信)し,親機ロクラクに対し,番組データの移動を求めるメールを送信する,④親機ロクラクは,メールサーバを経由した子機ロクラクからの番組データの移動を求めるメールを取得(受信)し,録画した番組データを細かく分割し,順次,番組データを添付したメールを,子機ロクラクあてに送信する,⑤子機ロクラクは,メールサーバを経由した番組データが添付されたメールを取得(受信)する,というものであり,これは,上記(イ)の①での利用者の操作に従って,ロクラクⅡが実行する一連の動作にすぎず,このプロセスには,被告の介在は一切ない。(エ) メールサーバの性質について上記のようなメール通信で経由されるメールサーバは,一般的なメールサーバであり,容量が特別大きいとか,一般のメールサーバ以上に特別な認証が必要とされるものではなく,現に被告は,一般のプロバイダが提供するメールサーバも併用している。原告らは,大容量の番組データが送信されるためには,大容量のメールサーバが必要である旨を述べるが,番組データは分割して,1分割当たり4 MB 程度にして送られるために,当該メールが経由するメールサーバの容量としては,1アカウント当たり20 MB 程度もあれば十分である。一般に普及しているフリーメールなどでも1アカウントについて100 MB 程度のものが通常であるから,親機ロクラクと子機ロクラク間の通信におけるメールサーバが,一般に比して大容量であるとはいえない。また,メールサーバを経由する通信について,メールサーバの管理者が認証し,管理していると評価することは,余りに現実離れしている。さらに,ロクラクⅡは, POP プロトコルによるメール通信と, http プロトコルによるメール通信の双方に対応し,利用される国や地域に応じ,また,その時々のインターネット状況,利用されるメールアドレスの種類などに応じ,その時点で最も高速で安定するメールサーバ及びメール通信のプロトコルを自動的に選択するようになっている。現在も,ロクラクⅡを用いた通信では,被告のメールサーバのみならず, NTT コミュニケーションズのプロバイダ「 OCN」のメールサーバが併用されている。以前には,プロバイダ「 IIJ」や「ソフトバンク」のメールサーバが使用されていたこともある。(オ) 市販されているロクラクⅡでも同様であること以上のような通信方法は,レンタル機器だけでなく,販売しているロクラクⅡを利用して親子機能を利用する場合も同様である。カ 本件サービスにおける複製行為の主体について(ア) 本件において「カラオケ法理」により判断することが相当でないことクラブキャッツアイ事件最高裁判決は,カラオケをめぐる極めて特殊な事情を前提とした事例判決であって,そこで示された考え方(以下「カラオケ法理」という。)についても,一般化された法理として他の事案に援用されることは予定されておらず,また,同判決は,直接的な利用行為を行っていない者を行為主体とみなすという,一般的な行為概念を大きく踏み出す極めて擬制的な判断をするに当たって,それを正当化する根拠として,わずかに「著作権法の規律の観点から」としか述べていない。したがって,同判決で示された考え方を一般化された法理として本件に援用することは許されるべきではない。また,直接的な利用行為が著作権(又は著作隣接権)侵害とはならない場合に,それに関与する間接的な行為の著作権(又は著作隣接権)侵害を肯定するには,十分な正当化根拠が示されていなければならないが,カラオケ法理は,その根拠を示すものではない。したがって,本件においては,そもそも,カラオケ法理により行為主体性を判断すること自体が相当ではない。(イ) 本件において,原告らが主張するような基準,要素で判断することが相当でないことa ネットワークサービスの提供者の行為主体性を肯定した裁判例(東京地判平成15年1月29日,以下「ファイルローグ事件中間判決」という。)は,直接的な利用行為をしているわけではないサービス提供者を行為主体ととらえることができるか否かについて,直接的な利用行為に対する管理・支配及びそれによって受ける利益の状況だけではなく,行為の内容・性質を判断要素としてあげており,問題とされるサービスが,利用者に著作権侵害行為を行わせるためのサービスであることを認定している。これは,カラオケ法理で示された管理支配,それによって受ける利益の状況という判断要素だけでは,あまりに無限定に過ぎるからである。海外居住者を対象に,日本のテレビ番組をその複製物によって視聴させるサービスにおける複製行為の主体性が肯定された裁判例(知財高決平成17年11月15日,以下「録画ネット事件抗告審決定」といい,この事案を「録画ネット事件」という。)は,サービスの性質を認定しているが,海外に居住する利用者が日本のテレビ番組を複製物によって視聴することは,テレビ番組の著作権を侵害する行為でも,放送事業者の著作隣接権を侵害する行為でもないから,上記のサービスの性質は,行為主体性を考えるに当たっては,中立的な事実にすぎないはずである。録画ネット事件抗告審決定は,ファイルローグ事件中間判決が,行為の内容・性質を判断要素に加えてカラオケ法理の適用範囲を限定しようとした趣旨を無視するもので,相当ではない。録画ネット事件抗告審決定において,サービス提供者の行為主体性を肯定する評価根拠事実のうち,大半が中立的な事実にすぎず,実質的な意味を有するのは,せいぜい, a)全体が有機的に結合した1つのシステムを構築していると評価できること(ただし,同決定がいかなる事実関係を根拠としてそのように認定したかは明確ではなく,結論の先取りとも考えられる。), b)サービス提供の中心となる機器の所有権がサービス提供者に帰属していること, c)サービスの提供に独自のソフトウェアが利用されていること, d)サービス提供者が運営するサイトにアクセスし,そこでの認証を受けなければ,機器へアクセスすることができないこと, e)サービスを利用するには,サービス提供者が運営するサイトの指示説明された手順に従わなければならないことであるが,この程度の事実によって,サービス提供者が自ら複製行為を行っているという擬制的な結論を導くことができないことは明らかである。b また,録画ネット事件抗告審決定において示されたサービス提供者の行為主体性を認める上での評価根拠事実は,本件において妥当しない。まず,本件サービスでは,親機ロクラクが被告の管理する設置場所に設置されていると仮定しても,特定の利用者の親機ロクラクと他の利用者の親機ロクラクとは,全く無関係に稼働し,それぞれ独立している。また,録画ネット事件のようにホームページサーバや監視サーバによる管理・制御はされていないから,複数の親機ロクラク全体が有機的に結合して1つのシステムを構成していると認めることはできない。また,録画ネット事件において,サービス提供の中心となる機器の所有権の帰属が問題とされたのは,利用者の機器を管理する権限の有無が問題とされた結果であるが,本件サービスでは,親機ロクラクのレンタルは実体を伴うもので,その管理権限は利用者に完全に移転していることから,親機ロクラクの所有権が被告に帰属しているとしても,被告の行為主体性を肯定する評価根拠事実たり得ない。そして,本件サービスで利用されるのは,ロクラクⅡという汎用品であり,本件サービスを提供するための特別なソフトウェアは一切利用されていない。さらに,本件サービスでは,機器へのアクセスのために,被告が運営するウェブサイトにアクセスして認証を得ることや,サービス利用のために,被告により指示説明された手順に従う必要はない。(ウ) 先行仮処分決定の判断が相当でないこと先行仮処分決定では,親機ロクラクの設置,維持,環境整備等に関して,被告事業所内に親機ロクラクを設置していた場合と同様に,その管理を継続しているとの誤った認定がされているが,仮にその事実が認定できるとしても,それは,ハウジングサービス業者の行為主体性が否定された裁判例(東京地決平成18年8月4日,以下「まねき TV 事件決定」という。)におけるロケーションフリーのベースステーションの設置状況と何ら変わるものではない。ロクラクⅡが一般にも販売されていることからもわかるように, DVD ビデオデッキ等の他のデジタル家電と同様,一般消費者であるユーザーにとって,使用が容易な機器であって,製造メーカーである被告による日常的な保守管理を必要とするものではなく,上記事実は,行為主体性の評価根拠事実とはなり得ない。さらに,本件サービスを利用する場合に,被告があらかじめ設定したメールアドレスを用い,管理するサーバを経由して,指示やデータの送受信が行われることは,汎用品であるロクラクⅡの仕組みにすぎず,また,デジタル家電のメーカーが一般的に行っていることにすぎない。加えて,カラオケ法理において問題とすべき利益とは,管理と直接に結びついた経済的利益でなければならないはずであるところ,親機ロクラクが被告の管理する設置場所に設置されていると仮定しても,被告が本件サービスによって,初期登録料及びレンタル料を取得していることは,親機ロクラクの管理とは無関係であり,いずれにしても,カラオケ法理において問題とすべき利益ではない。
⑵ 争点2(原告らの損害の有無及びその金額)について(原告らの主張)ア 逸失利益(ア) 主位的主張(著作権法114条2項)a 損害の発生
⒜ 本件サービスは,原告らが行う事業活動と競合するところがあり,本件サービスにより原告らに損害が発生している。
⒝ 原告らは,原告らを含むテレビ番組の著作権者及び著作隣接権者等合計15団体(原告 NHK,原告日本テレビ,原告 TBS,原告フジテレビ,原告テレビ朝日,原告テレビ東京,日本民間放送連盟(原告 NHK を除く原告らが会員となっている。),日本映画製作者連盟,全日本テレビ番組製作社連盟,日本脚本家連盟,日本シナリオ作家協会,日本文藝家協会,日本音楽著作権協会,日本芸能実演家団体協議会,日本レコード協会)で共同して,放送番組著作権保護協議会(以下「放番協」という。)を設立し,この放番協を通じて在外邦人のために原告らが日本国内で放送するテレビ番組を低廉な使用料(無償ではない)にて視聴させる仕組み(以下「放番協認定ビデオ供給事業」という。)を構築している。具体的には,会員の15団体が権利を有するテレビ番組については,在外邦人向けのレンタルサービスの用に供するためであれば,レンタル用ビデオテープ1本当たり60円(レンタル期間が3か月以内の場合)ないし120円(レンタル期間が3か月を超える場合)という廉価な使用料の支払を受けることで,当該ビデオの取扱業者に対して,認定ビデオとして許諾するものである。そして,放番協が集めた使用料は,予め定めた分配比率によって,原告らに分配されている。このように,原告らは,この放番協認定ビデオ供給事業を通じて,在外邦人に対して適法にテレビ番組を視聴してもらい,そこから得られた使用料について原告らを含む会員団体で分配するという一連のシステムを通じて一定の利益を得ている。テレビ番組などは,一般的に,一度視聴されて番組内容が伝達されれば,繰り返し視聴されることは極めて少ないという特性を持つから,被告が提供している本件サービスは,この放番協認定ビデオ供給事業と競合関係にある。
⒞ また,原告らは,別紙「インターネット配信番組一覧表」記載のとおり,それぞれのウェブサイトで多数の番組をインターネットを通じて配信している。さらに,他のプロバイダその他の配信会社に有償で提供して,それらの配信会社等を通じてインターネット上で配信しているものもある。これらの配信においては,現時点では,各放送局のウェブサイトへの誘導という広告的側面で行われ,配信に対し課金をしていないものも少なくないが,技術的にはいつでも課金制度を取り入れられるのはもちろん,将来において課金することも念頭に置かれているものである。
⒟ 被告の主張に対する反論被告は,著作権法114条2項の適用について,「同一の利用行為を現に行っている」必要がある旨主張するが,その必要はなく,著作権者が侵害者と同様の方法で著作物を利用して利益を得られる蓋然性があれば足りるものである。被告が主張するような,同一の利用行為を現に行っていることの規範を定立した裁判例は見当たらない。b 被告の利益被告は,本件サービスの提供に当たって,平成17年3月10日から,レンタル料名目下に月額8500円,ロクラクアパートレント代名目下に月額2000円,合計月額1万0500円(別途初期登録料円)を利用者から受け取っている。本件サービスの利用は,現在500名を下らないとして,経費もそれほどかからないことから,その利益率は90パーセントを下らないものと考えられる。これに基づいて,原告らの損害額を計算する。
⒜ 原告 NHK 及び静岡局各社の損害本件サービスにより,平成17年3月10日から,平成19年4月18日まで,原告 NHK 及び静岡局各社の放送に係る音又は影像が,録音又は録画の対象とされていたのであるから,原告 NHK 及び静岡局各社の1放送波当たりの損害額は,下記の計算式のとおり,当該期間の損害額を6(原告 NHK は2波として計算)で割った金額になり,少なくとも1912万5000円を下らない。
① 売上額:{ 3000 円+( 1 万 0500 円× 24 か月(平成 17 年 4 月から平成 19 年 3 月末日まで))}× 500 人= 1 億 2750 万円
② 利益率: 90%
③ 利益:①×②= 1 億 1475 万円
④ 1放送波当たりの損害額:③÷ 6 = 1912 万 5000 円
⒝ 原告 NHK 及び東京局各社の損害また,平成19年4月19日から現在に至るまで,原告 NHK 及び東京局各社の放送に係る音又は影像が,録音又は録画の対象とされているのであるから,原告 NHK 及び東京局各社の1放送波当たりの損害額は,下記の計算式のとおり,当該期間の損害額を7(原告 NHK は2波として計算)で割った金額になり,少なくとも154万2857円を下らない。
① 売上額:{ 3000 円+( 1 万 0500 円× 2 か月(平成 19 年 5 月から同年 6 月末日まで))}× 500 人= 1200 万円
② 利益率: 90%
③ 利益:①×②= 1080 万円
④ 1放送波当たりの損害額:③÷ 7 = 154 万 2857 円
⒞ 以上を計算すると,原告 NHK の損害は4133万5714円,原告日本テレビ,原告 TBS,原告フジテレビ,原告テレビ朝日及び原告テレビ東京の損害は,各154万2857円,原告静岡第一テレビ,原告 SBS,原告テレビ静岡,原告あさひテレビの損害は,各1912万5000円となる。(イ) 予備的主張原告らは,予備的に,著作権法114条3項に基づく損害賠償額の算定を主張する。a 著作隣接権者としての原告らの受けるべき金銭の額
⒜ 被告が静岡県内に機器を設置していたと称する間の原告らの受けるべき金銭の額(原告 NHK 及 び静岡局各社の受けるべき 金銭の額)1時間番組を1つ視聴させた場合,少なくとも利用者から100円の視聴料が徴収でき,これをコンテンツ配信事業者とコンテンツホルダーとが折半し,コンテンツホルダーとして,著作権者と著作隣接権者とは,これを更に折半して配分することが相当である。著作隣接権者としての原告らの受けるべき金銭の額の総額
100 円 / 時 間 × 1/2 × 1/2 × 7 時 間 × 1204 日 × 500 人 =105,350,000 円1放送波当たりの受けるべき額105,350,000 円÷ 6 = 17,558,333 円
① 1時間番組1番組当たり,利用者から徴収する料金は100円を下らない。
② 現在に至るまでの利用者数は,平均して500人を下らない。
③ 1利用者当たりの1日の平均視聴時間は,世帯当たりのテレビ視聴時間の調査結果からすれば,7時間を下らない。
④ 視聴日数1204日は,平成16年1月1日から平成19年4月18日で計算した。
⒝ 被告が機器を東京に移転・設置したと主張する日以降の原告らの受けるべき金銭の額(原告 NHK 及び東京局各社の受けるべき金銭の額)著作隣接権者としての原告らの受けるべき金銭の額の総額
100 円 /時間× 1/2 × 1/2 × 7 時間× 348 日× 500 人= 30,450,000円1放送波当たりの受けるべき額30,450,000 円÷ 7 = 4,350,000 円視聴日数348日は,平成19年4月19日から平成20年3月31日で計算した。b 著作権者としての原告らの受けるべき金銭の額別紙損害額計算書に記載のとおり,原告らの本件放送の放送回数に応じ,原告 NHK 及び東京局各社の受けるべき金銭の額は,それぞれ,以下のとおりである。原告 NHK 236万6146円原告日本テレビ 52万1354円原告 TBS 59万4271円原告フジテレビ 60万5208円原告テレビ朝日 53万2292円原告テレビ東京 50万6771円c 原告らの損害以上を合計すると,原告らのそれぞれの損害額は,以下のとおりとなる(ただし,原告 NHK については,1放送波として計算し ている。)。原告 NHK 2427万4479円原告日本テレビ 487万1354円原告 TBS 494万4271円原告フジテレビ 495万5208円原告テレビ朝日 488万2292円原告テレビ東京 485万6771円原告静岡第一テレビ 1755万8333円原告 SBS 1755万8333円原告テレビ静岡 1755万8333円原告あさひテレビ 1755万8333円(ウ) 著作権法114条の5仮に,原告らによる損害額の立証が困難であるとされた場合であっても,本件訴訟の口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果を総合し,著作権法114条の5の規定に基づき,原告らに生じた相当な損害額が認定されるべきである。イ 弁護士費用被告の著作権及び著作隣接権侵害行為により,原告らが負担させられた弁護士費用は,本件訴訟の提起に至るまでの通告,仮処分命令申立等の経緯を考慮に入れれば,各原告について,金125万5500円を下回るものではない。ウ まとめ(ア) 著作権法114条2項を適用して逸失利益を計算した場合被告の著作隣接権侵害行為により原告らが被った損害は,著作権法114条2項を適用して逸失利益を計算した場合に,以下のとおりとなる。原告 NHK 4259万1214円原告日本テレビ 279万8357円原告 TBS 279万8357円原告フジテレビ 279万8357円原告テレビ朝日 279万8357円原告テレビ東京 279万8357円原告静岡第一テレビ 2038万0500円原告 SBS 2038万0500円原告テレビ静岡 2038万0500円原告あさひテレビ 2038万0500円(イ) 著作権法114条3項を適用して逸失利益を計算した場合以上のとおり,被告の著作権及び著作隣接権侵害行為により原告らが被った損害は,以下のとおりとなる。原告 NHK 2552万9979円原告日本テレビ 612万6854円原告 TBS 619万9771円原告フジテレビ 621万0708円原告テレビ朝日 613万7792円原告テレビ東京 611万2271円原告静岡第一テレビ 1881万3833円原告 SBS 1881万3833円原告テレビ静岡 1881万3833円原告あさひテレビ 1881万3833円(被告の反論)ア 著作権法114条2項の適用に関する原告らの主張について(ア) 著作権法114条2項の趣旨著作権法114条2項は,損害の発生自体を推定するものではないから,侵害行為との因果関係において権利者に何らかの損害が現実に発生したこと又は現実に発生するおそれがあることは,権利の主張者である原告らにおいて主張・立証責任を負う。また,114条2項は,当該著作物等を利用して侵害者が現実に利益を得ている以上,著作権者が同種の方法で著作物等を利用する限り同様の利益を得られる蓋然性があることに基づく規定であるから,著作権者等が自ら侵害者と同様の方法で著作物等を利用する行為を行っていない場合には,同項の適用がないと解されており,裁判例も同様の見解を示している。このような解釈は,特許法102条2項や,商標法38条2項でも同様である。(イ) 著作隣接権に関し,原告らが本件サービスと同様の方法で著作物等を利用しているといえるかa 著作権法114条2項の適用の前提となる被告の本件サービスと同様の方法による事業とは,ロクラクⅡと同様の機器の頒布,レンタル等に関する事業に限定されるべきであるが,原告らは,このような事業を現実に営んでいないから,同項の適用に関する原告らの主張は失当である。b 仮に,上記のような限定がされないとしても,著作権法114条2項を適用するためには,原告らは,以下の範囲の事業を実施している必要があるというべきである。まず,原告らの事業は,本件サービスと同様の目的・態様のものであることが必要であり,したがって,海外に居住する利用者を対象に,日本のテレビ番組をその複製物によって視聴させることのみを目的としたサービスでなければならない。また,著作隣接権としての複製権侵害に基づく主張の前提となる原告らの事業は,自らの放送波で放送した内容をいったん受信して,その放送に係る音又は影像を複製し,当該複製の成果を放送以外の媒体・経路でも流通させる事業に限定されなければならない。原告らが主張する,「放送される番組を放送以外の媒体・経路でも流通させる事業」のうちの複製に関連する部分は,いずれも,送信,受信の過程を経由しないものであることは明らかである。c 原告らは,放番協が行う事業が本件サービスと同様の方法による事業である旨主張するが,同事業は,テレビ番組の複製物(有体物)をレンタルするもので,有体物を伴うことのない本件サービスとは態様をまったく異にする上,そもそも,同事業は原告らの事業ではなく,原告らはライセンサーにすぎない。d 原告らは,インターネット配信についても,本件サービスと同様の方法による事業である旨主張するが,そもそも,インターネット配信番組に関する国内外市場は未形成であって,原告らがこれによって利益を得ているとはいえない状況であり,また,原告らが主張する配信は,送信,受信を経由しないものである。原告らがそれぞれのウェブサイトで行っている動画の配信は,無料の,短時間の断片的なものに限定されているから事業とはいえないし,会員制の動画配信やブロードバンド配信事業者やポータルサイト運営業者への配信許諾は,基本的には日本国内の居住者向けであり,海外に居住する利用者向けのサービスではない。加えて,上記配信許諾は,自ら行う配信事業ではなく,原告らはライセンサーにすぎない。(ウ) 本件サービスにより原告らに損害が生じ得ないことまた,そもそも,原告らには損害が生じない。一般に,テレビ視聴者が放送を視聴する行為は,書籍を購入した消費者がそれを読む行為と同様に,放送に係る音・影像を享受する行為であり,放送事業者は,視聴者の視聴行為について,著作隣接権に基づく権利行使を一切行うことはできない。テレビ番組が著作物性を有する場合には,著作権者についても同様である。テレビ視聴者の大半は,日常的にテレビ番組をいったん録画し,視聴可能な時間帯に再生して視聴している。この,いわゆるタイムシフトのための録画・視聴行為は,実質的にみれば,放送を放送時間どおりに視聴する行為と同質の,放送に係る音・影像を享受する行為にほかならず,かつ,放送事業者及び番組著作権者に何ら財産的損害を発生させるものではない。視聴者の数や視聴の回数の多寡は,放送事業者及び番組著作権者の経済的利益に何ら影響を及ぼすものではない。原告らが主張するところの本件サービスは,主に海外居住者に国内の放送を視聴する機会を確保するものにすぎないところ,放送を視聴する機会が確保されることによって,放送事業者及び番組著作権者に財産的損害が発生し得ないという点は,国内においてタイムシフトによる視聴をする場合と全く同一である。イ 著作権法114条3項の適用に関する原告らの主張について(ア) 著作隣接権者としての原告らの受けるべき金銭の額原告らは,1時間番組を1つ視聴させた場合,少なくとも利用者から100円の視聴料が徴収できる旨主張するが,原告らがインターネット配信をしているとして掲げるものは,大半が無料である。また,原告らは,上記の架空の視聴料をコンテンツ配信業者とコンテンツホルダーとが折半し,コンテンツホルダーとして,著作権者と著作隣接権者とが折半して配分する旨主張するが,そこで指摘されているものは,送信,受信を経由しないコンテンツの複製に関する事業であり,著作隣接権者としての原告らは上記配分を受け得る立場にない。さらに,原告らは,親機ロクラクが東京に設置されていた場合には,本件サービスの利用者500名の全員が,本件サービスを通じて1日7時間分の録画指示を必ず行う,その録画指示には原告 NHK 及び東京局各社の7放送波中の1波が必ず含まれる,その録画指示は,348日間休むことなく継続する,という非現実的な状況を前提とした損害の算定を行うが,上記前提事実を示す根拠はなく,非論理的,非現実的である。(イ) 著作権者としての原告らの受けるべき金銭の額まず,原告 NHK 及び東京局各社が本件番組の各著作権者であることの証拠は極めて不十分である上,被告又は本件サービスの各利用者が本件サービスにおいて本件番組を複製したことを認める証拠は全くない。また,番組当たりの料金,顧客数,視聴回数などの主張が,何らの実体も伴わず,証拠にも基づかないことは(ア)と同様である。(ウ) 小括以上から,著作権法114条3項の適用に関する原告らの主張は失当である。ウ 著作権法114条の5に関する原告らの主張について著作権法114条の5は,損害が生じたことが認められる場合における損害額の認定に関する規定であり,本件において,原告らに損害が生じたことを認める余地がないことは,上記ア(ウ)のとおりである。
⑶ 争点3(原告らの請求は権利の濫用といえるか)について(被告の主張)本件サービスの各利用者の行為は,著作権法30条1項,102条1項により適法であり,このため,原告らは,利用者の行為の適法性という本件の基本的争点を迂回する目的で,カラオケ法理により,被告を複製行為の主体であると擬制して,各利用者ではなく被告に対する本件訴訟を提起したものである。しかしながら,原告らの主張は,立法によらず権利範囲を拡張するに等しく,それは,著作権法が21条以下において支分権を,113条において侵害とみなす行為を,それぞれ明確に規定して法的安定性を図るとともに,30条以下において権利の制限規定を設けて過剰な権利とならないような配慮をした趣旨を没却するものである。また,本件サービスにおける複製は,有体物としての複製物の製作を伴うことのない,極めて,内部的,一時的,個別的なものである。さらに,原告らは,競合する事業を自ら行っていないため,本件サービスによって原告らに損害が発生する余地は全くない。これらの事情を総合すれば,原告らの本訴提起は,原告らの著作権及び著作隣接権を濫用するものとして許されない。(原告らの反論)被告の主張は争う。
第3 争点に対する当裁判所の判断
1 争点1(本件サービスにおいて,被告は,本件番組及び本件放送に係る音又
は影像の複製行為を行っているか)について
⑴ 事実認定
上記前提となる事実等,証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。ア ロクラクⅡの仕様・機能(甲2の1∼2の3,2の18∼2の24,2の30,21,24の1,24の19,24の24,31,乙1,34)(ア) 仕様ロクラクⅡには,地上波アナログ放送を受信することができるテレビチューナーが搭載されている。(イ) 基本機能ロクラクⅡは,主な基本機能として,デジタル録画機能,インターネット機能(その一部としてメール機能)を有している。デジタル録画機能は,アナログのテレビ番組等をデジタルデータとして圧縮録画し,それを再生するハードディスクレコード機能である。インターネット機能は,インターネットに接続し,インターネットを利用できる機能である。メール機能は,インターネット機能の一部で,メールアドレスを有して,電子メールを利用することができる機能である。メール機能の利用により,ハードディスクレコーダーに保存されたデータを,他の機器に転送することができるほか,メールによる録画予約をすることなどができる。ロクラクⅡには,設定された録画時間枠において継続的に上書き録画(被告の開設するウェブサイト(以下「被告サイト」という。)の説明では「リング録画」と呼ばれている。)を行う,リングバッファ録画機能を備えることも可能である。(ウ) 親子機能a ロクラクⅡには,親子機能を利用することができる機種(後記のとおり,親機能を持たせるためのファームウェア又は子機能を持たせるためのファームウェアが組み込まれているもの。)があり,その親子機能を利用することで,以下の手順により,別の場所のテレビ番組を受信録画し,その番組データを手元に移動して,再生することが可能となる。なお,親機ロクラクと子機ロクラクとの間のデータの送受信等についてはメールが用いられ,その際, http プロトコルによる場合(この場合に経由するメールサーバは,被告の管理するサーバである場合が含まれる。)と, POP プロトコルによる場合とが併用できるように設定されている。
⒜ 親機ロクラクと,当該親機ロクラクと対応関係にある,子機ロク
ラクを準備する。
⒝ 子機ロクラクを手元に設置し,親機ロクラクを,視聴したいテレ
ビ番組を受信できる別の場所に設置する。
⒞ 子機ロクラクを操作し,親機ロクラクが受信する放送における,
視聴したいテレビ番組の録画予約のメールを,親機ロクラクに送信する。
⒟ 親機ロクラクは,子機ロクラクの操作により送信された録画予約
指示に基づき,番組を録画し,同番組データをハードディスク内に記録した上,子機ロクラクに当該番組データをメールにより移動する(移動後,親機ロクラクには番組データが保存されないように設定されている。また,録画された番組データには,他の機器で更に複製することができないように,コピー防止機能が付されている。)。
⒠ 子機ロクラクを操作し,親機ロクラクから移動して子機ロクラク
に蓄積された番組データを,子機ロクラクにおいて再生して視聴する。b ロクラクⅡは,親機能を持たせるためのファームウェア,子機能を持たせるためのファームウェアが組み込まれることによって,上記(イ)の機能のほかに,上記aの親子機能を有するようになる。なお,機器の製造出荷工程のファームウェアを組み込む段階で,異なる種類のファームウェアを上書きすることはできない処理が行われるため,通常の操作によって,親機能を持たせるためのファームウェアと,子機能を持たせるためのファームウェアとを入れ替えることはできない。イ 親機ロクラク及び子機ロクラクにより親子機能を利用するために必要な準備等(ア) 必要な環境a 親機ロクラクについて(甲21)テレビアンテナ(地上波アナログ放送受信)の接続環境,電源供給環境,高速インターネットの接続環境である。b 子機ロクラクについて(甲22)電源供給環境,高速インターネットの接続環境である。(イ) 設置作業a 親機ロクラクについて(甲21)付属する電源ケーブルで,電源コンセントと親機ロクラク背面の電源入力端子を接続する。付属するアンテナ接続ケーブルで,地上波アナログ放送のテレビアンテナ端子と親機ロクラクの背面のアンテナ入力端子を接続する。イーサネットケーブルで,インターネット回線につながるルーターなどのイーサネット端子と親機ロクラク背面のイーサネット端子を接続し,電源を入れる。b 子機ロクラクについて(甲22)付属する電源ケーブルで,電源コンセントと子機ロクラク背面の電源入力端子を接続する。イーサネットケーブルで,インターネット回線につながるルーターなどのイーサネット端子と子機ロクラク背面のイーサネット端子を接続し,電源を入れる。付属するビデオケーブルで,テレビモニタの映像・音声入力端子と子機ロクラク背面の映像・音声出力端子を接続し,電源を入れる。(ウ) 接続作業a 親機ロクラクについて(甲21,39,乙29)親機ロクラクを接続して録画等を実行するためには,電源コンセント接続用の電源ケーブル,地上波アナログ放送へのアンテナケーブル,テレビ受像機への出力用ビデオケーブル及びインターネット接続用イーサネットケーブルを用いて,親機ロクラクと,それぞれ対応する接続先とを接続し,その上で,①親機ロクラクの IP アドレスの設定,
②子機ロクラクの ID 登録(その際,いったん親機ロクラクの接続を
はずし,子機ロクラクを同様に接続し,子機ロクラクの ID を取得する必要がある。),③自動時刻合わせ,④サーバーモードへの切換えを行う必要がある。ただし,通常,出荷時に,①について, DHCP により自動的に取得するよう設定し,②について,対応する子機ロクラクの ID を登録し,
③ に つ い て , NTP に よ る 自 動 時 刻 合 わ せ を 設 定 し て い る こ と か ら
(甲39),このような場合には,それぞれの作業が不要となり,サーバーモードへの切換えのみを行うこととなる。b 子機ロクラクについて(甲21,22,乙29)子機ロクラクを接続して録画予約等を実行するためには,電源コンセント接続用電源ケーブル,テレビ受像機への出力用ビデオケーブル及びインターネット接続用イーサネットケーブルを用いて,子機ロクラクと,それぞれ対応する接続先とを接続し,その上で,①番組表の取得,②録画予約を行う必要がある。番組表の取得については,親機ロクラク設置場所の地域(被告作成のマニュアルによれば,東京都,静岡県,大阪府,愛知県から選択する旨が説明されている(甲21,「子ロクラクの設定⑤番組表の取得」の頁の左下部)。)を選択する必要があり,録画予約を初めて番組表から行う場合には,まず,親機ロクラク設置場所における受信チャンネル番号を各放送局ごとに入力する必要があるが,これらの作業は,出荷時に設定済みの場合には不要とされている。ウ 本件モニタ事業(ア) 本件モニタ事業被告は,平成16年初めころ,無料のモニタを募集し,これらのモニタを対象として,親子機能を有するロクラクⅡビデオデッキのセットをレンタルする本件モニタ事業を開始した(甲31)。本件モニタ事業は,被告が設定した要領(甲30「ロクラクⅡビデオデッキ・レンタル無料モニタ申込書」別紙の「ロクラクⅡビデオデッキレンタル無料モニタ要領」,以下「本件モニタ要領」という。)を承諾して申込みをした利用者について,実施された。その内容は,以下のとおりである。
① 本件モニタ事業の目的は,被告が,当時,将来的な実施を予定し
ていた「ロクラクⅡビデオデッキレンタル」という名称の賃貸事業の試行であり,ロクラクⅡ2台を無料で貸し出すことを内容とするものであった(本件モニタ要領1項)。
② 利用者は,1台のモニタ機器(子機ロクラク)を日本国外の手元
に設置し,もう1台のモニタ機器(親機ロクラク)を日本国内に設置することが求められることになり,手元のモニタ機器から日本国内のモニタ機器にメールを送信して,日本国内のモニタ機器を直接操作することができ,私的使用目的の範囲内で,日本国内のテレビ番組を録画予約し,録画した番組を手元のモニタ機器に送信して,手元のモニタ機器で再生することができる(本件モニタ要領3項)。
③ 日本国内に設置するモニタ機器については,利用者から特に不要
である旨の申出がない限り,被告において設置場所を提供することとなり,その場合,静岡県浜松市において通常受信できる放送のみを受信できる。この設置場所の提供には,番組受信ないしインターネット接続のための設備の提供も含まれるが,被告は,インターネット通信回線及びテレビ放送受信アンテナなどの提供される設備に関して,その品質や性能を保証しない(本件モニタ要領8項)。また,本件モニタ事業の申込者は,住所を記載するとともに(住所記載欄には,「 Street」,「 City」,「 Zip Code」等の表示がされており,外国の住所を記載することが想定されている。),日本国外のモニタ機器設置場所が上記住所と異なる場合や,日本国内に設置するモニタ機器の被告による設置場所の提供を不要とする場合には,モニタ機器の設置場所を記入することが求められ,申込書には,モニタ期間中の機器の移動は認められない旨注意書きされていた(甲30)。なお,被告サイトの,本件モニタ事業実施期間中に作成された,ロクラクⅡのレンタル事業のビジネスコンセプトについての説明部分には,「海外駐在の日本人のみなさん。また海外在住の日本人のみなさん。皆様が自分自身で『日本のテレビ番組を早く楽しみたい』というご要望を実現する新たな事業が『ロクラクⅡビデオデッキレンタル』です。」との表示がある(甲3の20)。(イ) 親機ロクラクの設置場所及びその状況本件モニタ事業実施時は,上記(ア)③のとおり,利用者からの特段の申出がない限り,日本国内に設置するモニタ機器(親機ロクラク)は,被告の提供する場所に設置されることとされていた。そして,実際には,被告事業所内に設置され,保管されていた。その際の設置状況は,別紙「親機ロクラクが被告事業所内にも設置されていた当時の設置状況」のとおり,被告事業所のテレビアンテナ端子に分配機が接続され,分配機の各出力端子と各親機ロクラクのアンテナ入力端子が,アンテナ接続ケーブルで接続され,電源は,電源コンセントから供給され,各親機ロクラクと高速インターネット回線とは,ハブ及びルーターを介して接続されていた(甲23,弁論の全趣旨)。なお,被告は,本件モニタ事業から,本件サービスに移行する間の一時期において,ハウジングセンターという名称で,被告事業所内の一部分を親機ロクラクの設置場所として提供するオプショナル契約の導入を検討したことがあり,一時期,被告サイトには,上記オプショナル契約を含むレンタル規約の抜粋が掲載され,日本の自宅に置く場合と比較して,ハウジングセンターに設置する方が,ロクラクⅡの親子機能の利用が簡便である旨を示す説明が掲載されていた(甲4の3,4の14)。エ 本件サービスについて(ア) 本件サービスの開始被告は,平成17年2月ころ,同月末に本件モニタ事業を終了し,同年3月ころから,同事業に代わり,有料で,親機ロクラク及び子機ロクラクのレンタルを行うサービス(以下,このサービスのみを意味する場合には「本件 A サービス」という。)並びに子機ロクラクは販売し,親機ロクラクのみレンタルを行うサービス(以下,このサービスのみを意味する場合には「本件 B サービス」という。)を開始することを決定し,それぞれの規約(甲2の12,2の14)を定めた上で,本件レンタル規約に同意した利用者に対し,本件サービスを提供している(甲9,31)。(イ) 本件サービスに関する被告サイト上の表示被告サイトには,「ロクラクⅡビデオデッキレンタル」に関するページがあり,そこには,「海外出張でも日本のテレビ番組が毎日楽しめます。」,「ロクラクの親子ビデオ機能を使って日本のテレビ番組が楽しめます。」との表示があり,その下に,「日本のロクラク親機」及び「海外のロクラク子機」という表示とともに,テレビ番組が親機ロクラクによって録画されて子機ロクラクに送られる様子が図示されている(甲24の1)。また,本件サービス開始当初の被告サイトには,「代理店募集中 ただいま海外で『レンタルロクラク』の代理店を募集」との見出しの下に,「 世 界 中 ど ん な 場 所 で も , ブ ロ ー ド バ ン ド 環 境 さ れ あ れ ば ( ADSL・512Kbps 以上),レンタルロクラクビジネスが可能です。ご興味のある方はぜひお問い合わせください。」と記載され,代理店募集地域として,「日本(成田国際空港周辺,中部国際空港周辺,関西国際空港周辺),ヨーロッパ(ロンドン,パリ,その他),アジア(中国,日本,シンガポール,バンコク,その他),オセアニア(ニュージーランド,シドニー,その他),北米(アメリカ,カナダ,その他),南米(ブラジル,ペルー,その他)」と記載されていた(甲2の17)。なお,現在の被告サイト上, NHK 放送の受信・録画には,利用者が受信契約をすることが必要である旨,また,現在のファームウェアでは,親機の設置場所として,東京周辺地区,名古屋周辺地区,静岡西部地区の設定が可能である旨の説明がされている(甲24の2)。さらに,取扱業者の広告においては,親機ロクラク設置場所の賃貸物件の斡旋が行われている(甲1)が,同広告は,本件サービス開始後,少なくとも平成18年4月ころまで,被告サイト内に構成され,被告のサイト上(甲2の1)や子機ロクラクに表示される画面上に被告を示す表示として用いられていた「 NYX」という標章(甲10)を用いていたりするなどしている(甲1)。(ウ) 本件レンタル規約の内容本件レンタル規約には,以下のとおり規定されている。a 本件 A サービス(甲2の12,24の9)
第5条(物件の買取予約,物件の交換)
⑵ 弊社は必要に応じて物件の交換を定期的に行えるものとします。
その場合の運送費用は弊社が負担致します。ただし,お客様が予め買取予約をされている場合は,物件の交換を行うかどうかをお客様が決められるものとします。買取予約をされているお客様が物件の交換を承諾された場合には,交換後の物件が,買取予約の対象となります。
第7条(物件のお引渡し)
⑶ お客様は,本レンタル契約申込みの際に,物件の設置場所につ
き「物件設置場所1(親ロクラク設置場所)」「物件設置場所2(子ロクラク設置場所)」として登録していただきます。なお,物件設置場所の確保は,お客様の責任において行うものとし,弊社は一切関与いたしません。また,お客様が登録しようとする設置場所につき,弊社が不相当と判断した場合には,お客様は,弊社が相当と判断する,別の設置場所を登録しなければなりません。
第10条(保証金)
⑴ お客様は,初回費用とともに,レンタル契約成立時点のレンタ
ル料金表に基づく金額の保証金を,弊社に支払わなければなりません。
第19条(レンタル物件の返還)
⑴ お客様は,本レンタル契約が終了する場合には,弊社と事前に
打ち合わせた上で,弊社に対し,レンタル期間終了日までに,契約当初の受領時と同じ状態で,レンタル物件を返還するものとします。ただし,買取予約をされたお客様の物件は,レンタルの終了と同時にお客様の所有となりますので,返還の必要はありません。
第23条(物件のメインテナンス)
⑴ 弊社は,物件につき,その性能や機能の維持向上を目的として,
弊社の定める方法及び内容によって,定期的に,1ヶ月にあたり5日間程度の日数につき,メインテナンスを実施いたします。親子ビデオ・ロクラクⅡレンタル(標準モデル)レンタル料金表<初回費用>保証金(預かり金):50,000円(海外のご自宅の子ロクラク1台につき)100,000円(日本側のご自宅の親ロクラク1台につき)※親ロクラク保証金は,設置場所の安全度が弊社基準に適合すれば不要です。詳しくはお問い合わせください。初期登録料 :3,000円(税込み:3,150円)初回1か月分レンタル料金:8,500円(税込み:8,925円)<月額費用(翌月より)>月レンタル料金 :8,500円/月(税込み:8,925円)お支払い :クレジットカード払いb 本件 B サービス(甲2の14)
第6条(物件のお引渡し)
⑶ お客様は,本レンタル契約申込みの際に,物件の設置場所につ
き登録していただきます。なお,物件設置場所の確保は,お客様の責任において行うものとし,弊社は一切関与いたしません。また,お客様が登録しようとする設置場所につき,弊社が不相当と判断した場合には,お客様は,弊社が相当と判断する,別の設置場所を登録しなければなりません。
第9条(保証金)
⑴ お客様は,初回費用とともに,レンタル契約成立時点のレンタ
ル料金表に基づく金額の保証金を,弊社に支払わなければなりません。
第18条(レンタル物件の返還)
⑴ お客様は,本レンタル契約が終了する場合には,弊社と事前に
打ち合わせた上で,弊社に対し,レンタル期間終了日までに,契約当初の受領時と同じ状態で,レンタル物件を返還するものとします。
第22条(物件のメインテナンス)
⑴ 弊社は,物件につき,その性能や機能の維持向上を目的として,
弊社の定める方法及び内容によって,定期的に,1ヶ月にあたり5日間程度の日数につき,メインテナンスを実施いたします。親機・ロクラクⅡレンタル(標準モデル)レンタル料金表<初回費用>保証金(預かり金):100,000円(ロクラク1台につき)※レンタル物件の保証金は,設置場所の安全度が弊社基準に適合すれば不要です。詳しくはお問い合わせください。初期登録料 :3,000円(税込み:3,150円)初回1か月分レンタル料金:6,500円(税込み:6,825円)<月額費用(翌月より)>月レンタル料金 :6,500円/月(税込み:6,825円)お支払い :クレジットカード払い(エ) 本件サービスの申込み本件サービスの利用申込みは,通常,被告サイトから行われるが(甲24の1,24の8),その際に利用申込者が被告に送信する情報の入力画面は,以下のとおりである(甲24の9)。「現在のご住所(子機設置場所)」として,国名,郵便番号,住所,電話番号等の入力箇所が設けられ,また,「日本側親機設置場所」として,「下記住所」や後日指定する旨を入力する箇所があり,「下記住所」を選択した場合には,住所を入力する箇所が設けられている。(オ) 番組表を利用した録画予約本件サービスにおいて,子機ロクラクを操作して親機ロクラクにより番組録画の予約をする場合,番組表を取得して,それに基づいて操作を行うが,その場合,「 iEPG」と呼ばれるソニーが開発したインターネットでのテレビ番組予約方式を利用することとなる。 iEPG 対応の番組表は,一般のウェブサイトにおいて取得することができ,親機ロクラクは,このようなサイトにアクセスして,提供される番組表を取得する(乙34)。具体的な録画予約の手順としては,まず,子機ロクラクを操作して,親機ロクラクにおいて番組表を取得するように指示を出すと,それに従って親機ロクラクがウェブサイトにアクセスして番組表を取得する。そして,子機ロクラクを操作して,親機ロクラクあてに番組表情報閲覧請求のメールを送ると,親機ロクラクは,同請求に従い,閲覧を求められている番組表を子機ロクラクに送り,同表を子機ロクラクにおいて閲覧して,録画予約の操作を行う(乙34)。(カ) 親機・子機間の録画予約や番組データの送受信親機ロクラクと子機ロクラク間の録画予約や番組データの送受信は,http プロトコルにより,被告の管理するサーバを経由して,1対1の個別対応関係をもって通信が行われている(甲18,乙34)。(キ) 親機ロクラク設置場所の賃料平成17年夏ころ,本件サービスの申込みをしたある者は,当初,代理店から,親機ロクラクを静岡県内において預かる場合には保証金が不要である旨説明を受け,この取扱いに同意し,静岡県内で放送されるローカル番組を含むテレビ番組を視聴していたが,その後,子機ロクラクの操作画面上にある「 NYX からのお知らせ」に,「 Nustar Supply 不動産よりお知らせ」として,親機ロクラクの設置場所用のアパート賃貸情報が送信された。当該利用者が,設置場所の賃借の申込みを同子機ロクラクの操作により行うと,それ以降,レンタル料とは別に,賃料分が,既に被告に提供していたクレジットカード情報に係るクレジットカードにより決済され,「 Nustar Supply レントダイ」の名称の者に対して支払われるようになった(甲10,13の2)。このクレジットカード決済に用いられている名称(屋号名)は,一貫して「 Nustar Supply レントダイ」であるところ,同名称でクレジットカード決済を行っている事業者は,当初,被告であったが,平成18年7月10日,日本コンピュータ社に変更された(甲13の1,13の2)。その後,平成19年3月31日付けで,上記決済のための,ベリトランス社との収納代行サービス契約は解約された(乙16)。なお,日本コンピュータ社は,本社事業所が静岡県浜松市<以下略>に存在し,被告の事業所と同一建物内の同一階に所在しており,被告と代表取締役を共通にし,他の2名の取締役も被告の役員が務めるほか,被告にロクラクⅡの OEM 供給を行い,「録楽」,「ロクラク」,「ろくらく」及び「 ROKURAKU」の横書きの4つの単語を上から4段に重ねた商標の商標権者である(甲14∼17)。(ク) 被告事業所内に親機ロクラクがないこと現在,本件サービスに利用されている親機ロクラクは,静岡県浜松市の被告肩書住所に所在する被告事業所内又は同事業所と同一階に所在する日本コンピュータ社の事業所内には存在しない(乙9)。オ 先行仮処分決定後の状況について(ア) 静岡県内の親機ロクラクに関するやりとり被告は,平成19年4月6日付けで,本件サービス取扱業者あてに,「静岡県内の親機ロクラクの移動について」と題する書面を作成し,同書面には,「仮処分決定履行のため4月末までに,以下の徹底をお願いします。(再連絡)」,「依頼内容:静岡県内からの親機ロクラクの移動(すでに依頼済み内容です) 裁判所の差止め命令により,静岡県内の地上波アナログ放送を親機ロクラクで録画することが禁止されました。速やかに,静岡県内にあるすべてのお客様の親機ロクラクを静岡県外に移動させて下さい。」との記載がある(乙10)。また, DD 社は,同月13日付けで,被告あてに,「親機ロクラクの東京移動日程とお願い」と題する書面を作成し,同書面には,「弊社にて,静岡県内に設置されていると判明した,全ての親機ロクラクは,4月19日(木曜日)に,前回と同じ業者を使って東京都内に移動する予定です。今回は,業者に移動実施過程詳細な書面報告を委託しましたので,移動後8日以内に,移動実施の過程を書面にてご報告致します。従いまして報告期限の4月27日(金曜日)までは,一方的なレンタル契約の解約をされないことを強く要望致します。」との記載がある(乙11)。そして,同様に, DD 社は,同月24日付けで,被告あてに,「親機ロクラク東京移動のご報告」と題する書面を作成し,同書面には,東京都豊島区<以下略>及び東京都渋谷区<以下略>に親機ロクラクを移動した旨が記載されており(乙12),同月20日付けの,スカッシュ社から DD 社あての「デジタル家電機器・取外し・移動・設置・報告書」と題する書面(以下「本件移動報告書」という。)には,写真とともに,同月19日に,浜松においてレンタカーを手配し,浜松市内の2か所でロクラクⅡの取外し作業を行い,東京都内に移動して,東京都内の上記2か所に設置した旨の説明が記載されている(乙13)。なお,本件移動報告書は,スカッシュ社名義で作成されているが,実際にレンタカーを手配して同レンタカーを運転したのは,日本コンピュータ社の従業員であった(甲34の1,34の2,35)。さらに, DD 社を含む,本件サービス取扱業者5者は,同月23日付けの,被告から取扱業者あての「親機ロクラクの静岡県内設置の有無についてのご照会」と題する書面に書き込む形で,同日又は同月24日付けで,被告あてに,同時点で,静岡県内に親機ロクラクを設置している利用者がいない旨を回答する書面を作成した(乙15)。(イ) 静岡県内の設置場所について原 告 TBS の 従 業 員は , 平 成1 9年 6 月1 4日 付け で, 「『 ロ ク ラク』浜松現地調査報告書」と題する書面を作成し,同書面には,本件移動報告書において静岡県内で親機ロクラクを取り外した場所として記載された2か所を訪問し,そのうちの1つであるスター電子工業では,ロクラクⅡを預かったことはない旨の回答を事務員から得たこと,代表者からは書面で質問されれば回答する旨伝えられたこと,他の場所であるスカッシュ社では,代表者から,ロクラクⅡを預かったことはな く,DD 社も知らない旨の回答を得たことが記載されている(甲32)。スター電子工業は,被告代理人からの弁護士法23条の2第1項に基づく照会に対し,平成20年3月に,平成18年1月から平成19年4月までの間,ニュースターサプライという会社に事業所の一部を賃貸し,そこにロクラクⅡが置かれていたこと,原告 TBS 従業員が来訪した際は,会社の情報を軽々しく伝えることは避けたいと考えたがしつこく尋ねられたので,書面で質問してほしい旨答えたことを回答した(乙33の1∼33の3)。また,スカッシュ社も,上記同様の照会に対し,平成20年3月に,DD 社からの要請でマレーシアの会社に自宅の一部を貸す仲介をし,平成18年1月から平成19年4月までの間,自宅にロクラクⅡが置かれていたこと,原告 TBS の従業員来訪の際は,会社の事情等から,ほとんどの質問について,知らない旨答えたことを回答した(乙32の1∼32の3)。(ウ) 東京都内の設置場所について原告テレビ朝日の従業員は,平成19年12月22日付けで,「『ロクラク』豊島区<以下略>現地調査報告書」と題する書面を作成し,同書面には,本件移動報告書において東京都内の設置場所として記載された2か所のうちの1つである豊島区<以下略>所在のクロスワン社の代表者から,同年6月ころに約1か月間,ロクラクⅡと思われる機器を50台ほど預かったが,箱から出して棚に並べていただけで,上記機器が電源やテレビアンテナに接続されることはなかった旨の回答を得たことが記載されている(甲38)。本件移動報告書において,東京都内の設置場所の2か所のうち,渋谷区<以下略>の場所は,ホライズン社の所在地である旨記載されているところ,同社は,被告代理人からの弁護士法23条の2第1項に基づく照会に対し,平成19年11月19日,同年10月1日から,ロクラクⅡのハウジング業務を行っていること,同時点で700台程度のロクラクⅡが設置されていること等を回答した(乙26の1∼26の3)。(エ) 番組表の改変被告は,先行仮処分決定後,暫定的な措置として,本件サービスの利用者が取得できる番組表を改変して,先行仮処分決定において対象となった番組を複製することができない手段を講じた(甲24の1,弁論の全趣旨)。
⑵ 検討
以上の事実に基づいて,被告が,本件番組及び本件放送に係る音又は影像の複製行為を行っているといえるか否かについて検討する。ア 複製主体についての考え方著作権法上の侵害行為者を決するについては,当該行為を物理的,外形的な観点のみから見るべきではなく,これらの観点を踏まえた上で,法律的な観点から,著作権を侵害する者として責任を負うべき主体と評価できるか否かを検討すべきであるから,事案に応じて,カラオケ装置を設置したスナック等の経営者について,客の歌唱についての管理及びそれによる営業上の利益という観点から,演奏の主体として,演奏権侵害の不法行為責任があると認めたクラブキャッツアイ事件最高裁判決等を踏まえ,問題とされる行為(提供されるサービス)の性質に基づき,支配管理性,利益の帰属等の諸点を総合考慮して判断すべきである。被告は,上記最高裁判決は,直接的な利用行為を行っていない者を行為主体とみなす判断をするに当たって十分な正当化根拠を示しておらず,そこで示されたカラオケ法理を一般化された法理として本件に援用することは許されるべきではない旨主張するが,行為の管理支配性や利益の帰属という上記最高裁判決において示された要素を充足する者について,行為の主体として評価し得る場合が存するのであるから,同判決等を踏まえつつ行為の性質等の事情を総合的に考慮することは,規範的に行為の主体性を検討する上で,有用かつ必要であると解され,被告の上記主張は採用できない。イ 検討(ア) 本件サービスの目的本件サービスの利用者は,上記第2,1⑷のとおり,手元に設置した子機ロクラクを操作して,離れた場所に設置した親機ロクラクにおいて地上波アナログ放送を受信し,これを録画することによりテレビ番組を複製し,複製した番組データを子機ロクラクに送信させ,子機ロクラクに接続したテレビ等のモニタに,当該番組データを再生して,複製したテレビ番組を視聴することができることになる。用いられる親機ロクラクにおいて受信できるのが日本国内の地上波アナログ放送であることから,親機ロクラクは,日本国内に設置されることが必要であるが,子機ロクラクの設置場所については,ブロードバンドのインターネット環境等が必要となるほかは,機器の機能及び設定環境による制約はなく,日本国内外の設置が可能である。しかしながら,上記⑴ウ(ア)のとおり,本件サービスの正式開始前の本件モニタ事業において,本件モニタ要領上(同3項)も,利用者は,台のモニタ機器(子機ロクラク)を日本国外の手元に設置し,もう1台のモニタ機器(親機ロクラク)を日本国内に設置することが求められるとされ,申込欄の住所記載欄の表示(甲30)も,子機ロクラクは日本国外に設置することが当然の前提とされていたと解される。また,本件サービスについては,上記⑴エのとおり,日本国外で日本のテレビ番組を視聴することができる点を強調して広告が行われ,サービス内容の説明においても,利用者が日本国外で利用する場合を想定した説明のみが行われ,利用申込欄の住所記載欄の表示も,国名の入力が求められている。さらに,本件サービスに係る代理店の募集についても,見出しに海外での代理店を募集する旨が明記され,募集地域も,日本国内の国際空港周辺か世界各地域が列挙されており,アジア地域の一部として「日本」が,場所も限定せずに記載されているのみである。これらのことからすれば,本件サービスは,利用者において例外的に異なる利用形態をとる場合があるとしても,日本国外にいる利用者が,日本のテレビ番組を視聴することができるように,当該利用者に,日本のテレビ番組の複製物を取得させることを目的として構築されたものであると解するのが相当であり,一連の操作において,日本のテレビ番組を複製し,複製した番組データを日本国外に送信することが,重要な意味を有するものということができる。被告は,本件サービスの目的について,デジタル家電機器であるロクラクⅡを広く普及させ,利用を促進すること等であり,利用者に対し,子機ロクラクのみにより録画,再生する方法,インターネットビデオをダウンロードして視聴する方法なども紹介している旨主張するが,被告の指摘する事情によっても,上記の各事情からすれば,本件サービスの主たる目的は上記のとおりであるというべきである。(イ) 親機ロクラクの設置場所及びその状況a 本件モニタ事業実施時の親機ロクラクの設置場所等について本件モニタ事業実施時,被告が利用者に対しレンタルしていた親機ロクラクは,上記⑴ウ(イ)のとおり,被告事業所内に設置されていたが,そこでは,被告において,被告事業所のテレビアンテナ端子に分配機が接続され,分配機の各出力端子と各親機ロクラクのアンテナ入力端子が,アンテナ接続ケーブルで接続され,電源は,電源コンセントから供給され,各親機ロクラクと高速インターネット回線とは,ハブ及びルーターを介して接続されていたのであって,本件サービスと同様,本件モニタ事業において重要な意味を有する,親機ロクラクの録画(複製)機能を発揮し得るように,被告によって管理されていたということができる。b 本件モニタ事業終了後の親機ロクラクの設置場所等について( a) 本件モニタ事業終了後,本件サービスが開始されたが,利用申込書において,上記⑴エ(ウ)のとおり,親機ロクラクの設置場所の確保について被告が一切関与しない旨が示され,上記⑴エ(ク)のとおり,現在,被告事業所内に,本件サービスに利用されている親機ロクラクは存在しない。( b) しかしながら,以下のような諸事情からすれば,被告は,親機ロクラク設置場所に一定の関与をしているものと認められる。
① まず,上記⑴エ(ア)のとおり,本件モニタ事業終了の決定から,
同事業を終了し本件サービスを開始するまでが,1か月に満たない短い期間であり,本件サービスの提供者である被告自身に,親機ロクラクの設置場所の確保が強く求められていたものと推測される。すなわち,従前の本件モニタ事業の利用者の中には,同事業終了後も親機ロクラクの移動先を指定せず,被告事業所内に親機ロクラクを設置したままにしている利用者がいたことがうかがえるが(甲9),大多数の利用者は,親機ロクラク設置場所確保を検討し,被告自身や取扱業者や代理店に対して,その問合せや確認をしていたことが推認される。また,取扱業者や代理店も,自己の契約上の立場を維持するために,本件モニタ事業の利用者であった者が本件サービスの申込みをして利用関係が継続されるように努めていたと考えられる(被告も取扱業者等はこのような立場にあることを認めている。甲39)ところ,海外の取扱業者が,日本国内で直ちに適切な親機ロクラク設置場所を一定数確保するのは困難であると解されるから,本件サービスの提供者であり親機ロクラクの所有者である被告自身に,親機ロクラクの設置場所の確保が強く求められていたものと推測される。しかも,被告によれば,取扱業者の規模や活動方法,活動状況などは様々なのであり(甲31),小規模の事業者であるような場合には,一層,被告に対する要請が強いものと解される。
② また,取扱業者の広告においては,親機ロクラク設置場所の賃
貸物件の斡旋が行われているが,同広告は,被告サイト内に構成されているものであったり(甲1),被告サイト上(甲2 の1等)や子機ロクラクに表示される画面上に被告を示す表示として用いられていた「 NYX」という標章(甲10)を,取扱業 者を表示するものとして用いていたり( NYX INTERNATIONAL PTELTD.による広告,甲1),被告サイトに用いられている説明図面をそのまま利用したり(甲5の1∼3,5の6∼7)するなど,親機ロクラクの設置場所の斡旋において,取扱業者と被告の関連性が深いことをうかがわせる。
③ さらに, NS 社による親機ロクラク設置場所の賃貸に関する広
告が,本件サービス利用者の子機ロクラクに提供され,「 NustarSupply レントダイ」なる名称の者に対して,親機ロクラク設置場所の賃料が支払われ,その際,被告以外には伝えていないクレジットカード情報に係るクレジットカードでの決済がされている(甲10)などの事情も認められる。しかも,「 Nustar Supplyレントダイ」名義でクレジットカード決済を行っている事業者は,当初,被告自身であり,その後,日本コンピュータ社に変更された(なお,同決済に係るベリトランス社との収納代行サービス契約は,平成19年3月31日に解約された。乙16)ところ,日本コンピュータ社は,上記⑴エ(キ)のとおり,被告と人的結び付き及び経済取引面において密接な関連を持つ会社である。この点につき,被告は,上記クレジットカード決済は, DD 社からの依頼で「 Nustar Supply レントダイ」として決済の代行をした旨主張するが,そうであれば,取扱業者である同社とのより一層密接な関連がうかがえるところである。
④ そして,親機ロクラクは,本件サービスにおける利用者の用に
供されているものの,その所有権は被告にあり,上記⑴エ(ウ)のとおり,本件サービス開始に当たっては,設置場所の安全度が被告の基準に適合しない限り,利用者に保証金の支払が求められ,本件 A サービスでは,被告の都合による機器の交換も可能であり,定期的にメンテナンスが実施される上,本件サービス終了時には返還が求められているものであるし,被告が,親機ロクラクの設置場所を不相当と判断した場合には,別の設置場所を登録しなければならないとされる。したがって,親機ロクラクがどのような場所に設置され,どのような環境に置かれているかは,被告にとっての重大な関心事項であるとともに本件サービスの運営上重要な情報であると解される。被告は,親機ロクラク設置場所について,取扱業者扱いとする旨の処理が選択される場合には,取扱業者において破損,盗難等により生じた損失に責任を持ち,終了時にも返還の保証がされるから,それ以上に設置場所を明らかにさせず,保証金の支払も求めない運用をしている旨述べる。しかしながら,取扱業者が親機ロクラクの損失に責任を持ち返還を保証するとしても,被告が利用者に対して本件サービスを提供する責任を負い,機器に対するメンテナンスも実施することとされている以上,親機ロクラクの設置場所及び環境等は,当然,被告にとって重大な関心事項であるとともに本件サービスを運用する上で重要な情報であるというべきであり,例えば,親機ロクラクによる録画機能や送受信機能等に不具合が生じた場合には,その不具合の原因が,被告の所有する親機ロクラクの機器自体にあるのか,その設置場所や環境等にあるのかを判断して対処しなければならないのであるから,親機ロクラクに関する設置場所や環境等を被告において把握できない事態は,明らかに不自然であるといわなければならない。そうすると,被告は,取扱業者を介する申込みにおいても,親機ロクラクの設置場所の選定,維持,環境整備等に関与しているものと考えざるを得ないところである。( c) これらのことからすれば,親機ロクラク設置場所の紹介等は取扱業者が行っているもので,被告は一切関与せず,設置場所も知らないという
(被告の主張)
は,到底,採用し難いものといわなければならない。c 先行仮処分決定後の親機ロクラクの設置場所について被告は,先行仮処分決定後,静岡県内に設置されている親機ロクラクの移動を取扱業者に要請し,それを受けて, DD 社において,平成19年4月19日に,静岡県内の2か所に設置していた親機ロクラクを東京都内の2か所に移動した旨主張し, DD 社が作業を委託したスカッシュ社作成名義の本件移動報告書(乙13)を提出する。しかしながら,静岡県内の設置場所として示されたスター電子工業及びスカッシュ社については,被告代理人からの照会に対し,平成18年1月から平成19年3月までの間,ロクラクⅡが置かれていた旨回答するが,原告 TBS の従業員に対する回答では,その点が明確にされなかったこと,回答内容が異なったことについて合理的な説明がされているとは言い難いこと,電子機器の設置管理やハウジング業務とは関係がないと思われるそれらの場所において,親機ロクラクの設置が可能な環境が整備されていたか否か疑問がないではないことから,実際に親機ロクラクが設置されていたのか否かは明らかではない。また,スカッシュ社が東京都内への移動を行ったとしながら,実際のレンタカー手配及び運転が日本コンピュータ社の従業員により行われたという事実が認められ,原告らからこの矛盾点を指摘されているにもかかわらず,被告から何らの説明もされていない。そして,東京都内の設置場所として報告されている場所の1つであるクロスワン社は,平成19年6月ころに1か月程度預かったことがあるが,電源やテレビアンテナに接続することはしていないと回答している(甲38)ところ,この点の合理的な説明はされていない。親機ロクラクが機能する環境を整えない以上,親機ロクラクにおいてテレビ番組を録画することはできず,当該親機ロクラクに対応する子機ロクラクの利用者は,本件サービスの主たる目的としている内容を享受することができないのであって,そのような事態を長期にわたって生じさせることは,およそ考え難いものである。さらに,東京都内のもう1つの設置場所として挙げられているホライズン社は,実際に家電製品のハウジング業務を行っていることが認められる(乙28の1∼28の9)ものの,ロクラクⅡを含めたハウジング業務は平成19年10月1日から開始したものであり(乙26の1∼26の3,乙28の6),同年4月19日に静岡県内から移動されて,親機ロクラクとして機能していたか否かは,必ずしも明確ではない( DD 社の取締役の地位にある者において, NS 社がホライズン社から場所を借り,その後,同年10月1日に同社に業務を引き継いだ旨述べる(乙25)が,クロスワン社への移動に関する上記状況や,静岡県内からの移動日とされる同年4月19日から同社が預かったとされる6月までの間における保管状況及びそれ以降の移動,保管等の状況が不明であることなども併せ考えると,設置状況が明確に示されているとは言い難い。)。そもそも,静岡県内から東京都内に親機を移動する場合,受信する放送波が異なり,本件サービスの利用に当たっては,当該地域に対応する番組表を取得して番組の録画予約をすることになり,上記⑴イ(ウ)bのとおり,子機ロクラクにおいて,受信チャンネル番号を各放送局ごとに入力する必要があると解されるが,そういった作業を利用者に要請して,上記のような短期間のうちに移動することが可能であるのかについては,疑問が残るところであり,また,実際にそのような要請がされたという事実を認めるに足りる証拠もない。なお,被告は,取扱業者5者から被告あてに,平成19年4月23日又は同月24日の時点で,親機ロクラクが静岡県内に存在しないことを回答した書面(乙15)を提出するが,これらは,内容が抽象的で,さほど高い信用性が認められない上,作成者が取扱業者のすべてであるのかも明らかではなく,これらの書面のみから,上記時点で静岡県内に親機ロクラクが存在しないと認めることはできない。このようなことからすると,仮に,現在,ホライズン社において,700台程度のロクラクⅡのハウジング業務を行っているとしても,それは,静岡県内から移動されたものであるか否かは明らかでないといわざるを得ず,静岡県内からの移動についての被告主張は,採用し難いものであるというべきである(ただし,ホライズン社が700台程度のロクラクⅡのハウジング業務を行っているとした場合,それらについて,被告が支配し,管理していることを認めるに足りる証拠はない。)。d 先行仮処分手続以降の被告の対応被告は,先行仮処分手続時点から,親機ロクラクの設置や設置場所について一切関与していない旨主張し,本件モニタ事業実施時の状況を踏まえ,裁判所又は原告らから,取扱業者が設置場所確保に関与した場合とそれ以外の場合との割合等も含めた親機ロクラクの設置状況や,被告事業所内からの移動に関する事実関係を明確にすることを求められても,上記のとおり回答するほか,被告代表者や取扱業者の作成に係る,「取扱業者が依頼した人物が引取りに来たので渡した」旨の,具体的な送り先,台数,業者名等を明らかにしない抽象的な内容を述べる陳述書(甲39)や,その後の静岡県内からの移動に関する上記⑴オに示した書面を提出するのみで,被告において実行が可能であると考えられる客観的な資料の提出を行わない(弁論の全趣旨)。そして,被告は,被告が上記事実関係を明らかにすることによって,原告らから,設置場所に関連する者に対し,無用な攻撃,妨害行為,嫌がらせ等が想定されるから,これを回避すべく,親機ロクラクの設置場所に一切関知しないという対応を徹底するために,事実関係を明らかにしない旨を述べる(乙34)。しかしながら,親機ロクラクが複製(録画)をすることは,上記(ア)のとおり,本件サービスにおいて重要な意義を有するものであり,録画の指示が利用者の手元にある子機ロクラクの操作によってされるとしても,それを受信し,実際に複製の機能を果たし得るようにするという観点で,親機ロクラクの設置管理は,本件サービスの複製の主体が誰であるかを法的に検討する上で極めて有力な要素であり,そのことは,先行仮処分決定において示され,当裁判所によっても指摘されているところである。しかも,本件サービスに先立つ本件モニタ事業の実施時には,被告事業所内に親機ロクラクが設置されて被告が管理していたという事実が認められる以上,被告において,親機ロクラクの移動及びその後の設置場所について,一定の客観的な資料をもって明らかにすべき状況にあることは当然といえる。そして,上記bのとおり,親機ロクラクの設置場所や状況は,被告にとって重大な関心事項であって,本件サービスにおいても,重要な情報であると位置付けられているのであるから,被告は,自ら,本件サービス契約時に利用者から親機ロクラク設置場所の登録を受け,また,取扱業者から事情を聴取するなどして,それらの事実関係を容易に把握することができ,また,実際に把握している可能性が高いというべきである。このような状況にあるにもかかわらず,上記の客観的事実関係を明らかにしようとしない被告の対応は,本件訴訟の当事者として,極めて不相当なものといわざるを得ない。e 小括以上の,被告が主張する事実関係の不自然さや本件訴訟における対応からすれば,利用者が被告とかかわりなく親機ロクラクを設置しているような例外的な場合を除いて,被告は,本件サービスにおいて,親機ロクラクの設置場所の提供に関与し,親機ロクラクの保守,環境整備等に関して,被告事業所内に親機ロクラクを設置していた場合と同様に,その管理を継続しているものと考えざるを得ない。そして,その場所については,上記⑴エ(イ)のとおり,被告が,親機の設置場所として,東京周辺地区,名古屋周辺地区,静岡西部地区の設定が可能である旨を説明していることからも,静岡県内及び東京都内のいずれにも存在するというべきである。そうすると,本件サービスに供されている被告所有の親機ロクラクは,原則として,被告の実質的な支配下にあり,被告は,これらの親機ロクラクを,本件サービスを利用するための環境の提供を含め,実質的に管理しているものと解すべきこととなる。(ウ) 本件サービスにおける親機ロクラクの設置管理方法に関する選択の仕組み本件サービスにおいて,利用者による申込みがあり,被告において親機ロクラクを取扱業者を通じて提供する場所に設置する場合には,10万円の親機ロクラク保証金が不要となる(弁論の全趣旨)とともに,親機ロクラクは,利用者の手を介さずに,当該場所に直接送付されることとなり,これらの点で,利用者が自ら機器を持ち込む場合と比較して,本件サービスをより利用しやすいものということができる。特に,利用者が日本国外において利用の申込みをする場合には,取扱業者を通じて上記のような手配を行うのであって,その容易さは,購入機器を用いて同様の機能を利用しようとする場合とは,大きく異なるものである(なお,被告自身も,前記1⑴エ(イ)のとおり,本件サービス開始後少なくとも平成18年4月ころまでの間,親機ロクラク設置場所の賃貸物件の斡旋を行う取扱業者の広告を,被告サイト内においていたのであり,親機ロクラクの設置場所を日本国内の自宅とするより管理者のいるアパート(設置場所)とすることを推奨していたものといえる。)。したがって,本件サービスは,日本国外の利用者にとって,自らが親機ロクラクを設置するよりも,取扱業者を通じて被告の提供する場所に親機ロクラクを設置させ,被告にそれを管理させるという方法を選択する方が,有利な点が多くなるような仕組みを採用しているものというべきである。(エ) 利用者の録画可能なテレビ番組上記⑴エ(イ)のとおり,現在の本件サービスにおいて,親機の設置場所は,東京周辺地区,名古屋周辺地区,静岡西部地区に限定されているが,これは,利用者が親機ロクラクを地域による周波数の相違に対応させる作業を行わなくとも,設置場所の地上波アナログ放送を受信できるように,被告によってあらかじめ親機ロクラクが調整されており,その場所が上記3地区に限定されているからであると推認される。(オ) 本件サービスを利用する際の送受信の枠組み本件サービスを利用する場合には,上記⑴イ(ウ)のとおり,被告において,ロクラクⅡに親子機能を持たせて利用する場合に, IP アドレスを DHCP によって自動的に取得できる設定とし,また,親機ロクラクに子機ロクラクの ID を登録して出荷していることから,利用者は,自らアドレスの取得手続を経る必要がない。そして,録画予約,データ送信等に用いられるメール通信のサーバは,被告の管理するメールサーバであり,本件サービスの利用者が,この利用についての手続を別途とることも不要である。なお,メールサーバについては,被告の管理するメールサーバのほかに,通信費用などの状況を踏まえて,随時他のメールサーバが利用される場合もあるが,その場合も,利用者が,別途,メール機能を利用するための手続をとることは不要である。(カ) 本件サービスによる利益の帰属被告は,本件サービスによって,上記⑴エ(ウ)のとおり,「初期登録料」及び「レンタル料」を取得している。(キ) まとめ以上の事情を総合考慮すれば,親機ロクラクは,本件サービスを成り立たせる重要な意味を有する複製を行う機能を有する機器であるところ,被告は,日本国外の利用者に日本のテレビ番組の複製物を取得させるという本件サービスの目的に基づき,当初,親機ロクラクの設置場所を提供して管理支配することで,日本国外の利用者が格段に利用しやすい仕組みを構築し,いまだ,大多数の利用者の利用に係る親機ロクラクを,東京都内や静岡県内において管理支配しているものということができる。この場合,上記の,本件サービスにおいて親機ロクラクの果たす役割からすれば,被告は,別紙サービス目録記載の内容のサービス,すなわち,本件対象サービスを提供しているものということができ,本件番組及び本件放送に係る音又は影像の複製行為を管理支配していると認めることができるとともに,それによる利益を得ているものと認められる(なお,被告は,登録料やレンタル料は,親機ロクラクの管理に係る利益とはいえない旨主張し,親機ロクラクの管理に係る賃料等を取得していない旨の報告書(乙4)などを提出するところ,上記登録料等は,名目のいかんにかかわらず,被告が本件対象サービスを提供することによって得る経済的対価であるから,被告は,利益を得ているというべきであり,被告の主張は採用できない。)。ウ 結論以上から,被告は,本件対象サービスを提供し,本件番組及び本件放送に係る音又は影像の複製行為を行っているというべきであり,原告 NHK及び東京局各社の本件番組についての複製権(著作権法21条)及び原告らの本件放送に係る音又は影像についての著作隣接権としての複製権(著作権法98条)を侵害するものといえる。被告は,本件サービスが,あくまでも利用者個人がその私的使用目的で賃借したロクラクⅡを利用する行為であって,その利用に関与するものではなく,利用者が賃貸機器を利用してテレビ番組を複製する行為の主体は,利用者本人であり,被告ではあり得ない旨主張する。しかしながら,被告は,上記判示のとおり,本件対象サービスにおいて,自らが本件番組及び本件放送に係る音又は影像の複製行為を行っているのであり,このことと,本件サービスの利用者によるテレビ番組の録画が,私的使用目的で行われるか否か,あるいは,利用者の指示に基づいて複製されるテレビ番組が選択されるか否かとは,直接関連するものではないから,被告の上記主張は,失当といわなければならない。争点2(原告らの損害の有無及びその金額)について
⑴ 被告の責任
被告は,上記1⑵ウのとおり,本件対象サービスを提供して,本件番組及び本件放送に係る音又は影像の複製行為を行っていると評価されるものであり,原告 NHK 及び東京局各社の複製権(著作権法21条)及び原告らの著作隣接権としての複製権(著作権法98条)を侵害するものである。そして,この侵害については,被告に,少なくとも過失があると認められる。したがって,被告は,これによって原告らに生じた損害を賠償すべき義務がある。
⑵ 逸失利益について
ア 著作権法114条2項の適用について(主位的な主張)原告らは,複製権(著作権法21条)又は著作隣接権としての複製権(著作権法98条)の侵害による損害について,主位的に,著作権法114条2項が適用されるべきであるとして,被告が,平成17年3月10日から平成19年4月18日まで(著作隣接権としての複製権の侵害について)又は平成19年5月及び同年6月の2か月間(著作隣接権としての複製権の侵害について),利用者500人から,初期登録料3000円のほかに,1か月当たり1万0500円の支払を受け,これに対する利益率90パーセントの割合による利益を受けていることを前提として,それを基に計算した被告の利益の額が原告らの損害の額となる旨主張する。しかしながら,本件対象サービスの利用者が何人存在するのか,その中に,子機ロクラクを購入し,親機ロクラクのみをレンタルする本件 B サービスの利用者がどの程度含まれるのか(本件 B サービスを利用する場合,1か月当たりの支払は6500円となる。),親機ロクラクの管理についての対価はいくらか,本件対象サービスにおける被告の利益率がどの程度かの諸点については,原告の上記主張を裏付ける証拠はなく(上記1
⑵イ(イ)cのとおり,ホライズン社が700台程度のロクラクⅡのハウジ
ング業務を行っているとした場合,それらについて,被告が支配し,管理していることを認めるに足りる証拠はなく,同台数に対応する利用者が本件対象サービスの利用者であると認めることはできない。),被告が本件サービスによって受けている利益の金額を算定することができない。そうすると,他の点について検討するまでもなく,著作権法114条2項を適用して損害を算定することはできないことになる。イ 著作権法114条3項の適用について(予備的な主張)そこで,著作権法114条3項により,原告らの損害額を計算することができるかが問題となるが,本件対象サービスの利用者数,本件番組又は本件番組の放送に係る音又は影像の複製回数等の事実関係については,上記ア同様,何ら立証されておらず,原告らが受けるべき利益の額を算定することはできないから,同項により損害の額を算定することもできないといわざるを得ない。ウ 著作権法114条の5による損害の算定被告による本件番組及び本件放送に係る音又は影像の複製行為により,原告らに損害が生じていることは認められるところ,上記ア及びイのとおり,本件対象サービスの利用者数,複製回数等の事実関係が立証されておらず,損害額を立証するために必要な事実を立証することが当該事実の性質上極めて困難であると認められるから,著作権法114条の5により,口頭弁論の全趣旨及び証拠調べの結果に基づいて,損害額を認定することが相当である。(ア) 複製権(著作権法21条)の侵害についてa 本件番組の複製権(著作権法21条)の侵害に係る損害を検討する上で考慮され得る事情として,以下のような事実が認められる。
⒜ 本件番組の,平成16年1月1日から平成19年4月18日まで
(本件番組3については平成20年3月31日まで)の平均視聴率は,本件番組1が10.0パーセント,本件番組2が0.7パーセント,本件番組3が15.9パーセント,本件番組4が16.0パーセント,本件番組5が7.4パーセント,本件番組6が13.2パーセント,本件番組7が8.6パーセントである(甲41∼46)。
⒝ 東京局各社は,番組をインターネットを通じて配信しているが,
視聴が有償である場合があり,その際の料金として,1話につき105円ないし1050円のものがある(甲48の2∼48の4,50の2∼50の4,52の2,52の3,54,56の2,56の3,なお,これらの配信を受ける場合,各番組ごとに,視聴可能時間が設定されており,その時間内で何回でも視聴できる仕組となっている。)。
⒞ 本件番組の,平成16年1月1日から平成19年4月18日まで
(本件番組3については平成20年3月31日まで)の放送回数は,本件番組1が161回,本件番組2が488回,本件番組3が143回,本件番組4が163回,本件番組5が166回,本件番組6が146回,本件番組7が139回である(甲41∼46)。
⒟ 上記1⑴オ(ウ)のとおり,ホライズン社は,ロクラクⅡ700台
程度についてハウジング業務を行っている旨回答している。b 以上の事情を踏まえ,本件の一切の事情も総合考慮し,本件対象サービス開始後の平成17年4月から平成19年4月18日まで(本件番組3については平成20年3月31日まで)の損害として,以下の金額を認めるのが相当である。本件番組1 5万円本件番組2 1万円本件番組3 8万円本件番組4 8万円本件番組5 4万円本件番組6 6万円本件番組7 4万円(イ) 著作隣接権としての複製権(著作権法98条)の侵害についてa 本件放送に係る音又は影像についての複製権(著作権法98条)の侵害に係る損害を検討する上で考慮され得る事情として,上記(ア)aに掲げたもののほか,テレビの視聴時間に関して,株式会社ビデオリサーチ作成による「テレビ視聴率・広告の動向 テレビ調査白書2006」(甲40)では,1日1世帯当たり視聴時間として,2006年度の平日平均が7時間41分,土曜日が8時間05分,日曜日が8時間43分,週平均が7時間54分と報告されていること,他 方,HDD レコーダー保有者を対象とした調査において,1週間にテレビをリアルタイムで見る時間が平均18.0時間,録画番組を見る時間は7.5時間であったとの報告もある(乙31)ことがあげられる。b 以上の事情も踏まえ,本件の一切の事情を総合考慮し,著作隣接権としての複製権(著作権法98条)の損害として,以下の金額を認めるのが相当である。原告 NHK 200万円東京局各社 各20万円静岡局各社 各80万円エ 小括したがって,原告らの逸失利益の額は,以下のとおりであり,被告は,以下の金額について,それぞれ,賠償する義務を負う。原告 NHK 206万円(5 万円+ 1 万円+ 200 万円)原告日本テレビ 28万円( 8 万円+ 20 万円)原告 TBS 28万円( 8 万円+ 20 万円)原告フジテレビ 24万円( 4 万円+ 20 万円)原告テレビ朝日 26万円( 6 万円+ 20 万円)原告テレビ東京 24万円( 4 万円+ 20 万円)原告静岡第一テレビ 80万円原告 SBS 80万円原告テレビ静岡 80万円原告あさひテレビ 80万円
⑶ 弁護士費用
原告らが,本件訴訟の提起及び追行を,原告らの代理人に委任したことは当裁判所に顕著であり,本件での逸失利益額,事案の難易度,審理の内容等本件の一切の事情を考慮し,被告の不法行為と相当因果関係のある弁護士費用としては,原告 NHK について20万円(複製権(著作権法21条)の侵害について1万円,著作隣接権としての複製権(著作権法98条)の侵害について19万円),東京局各社について各5万円(複製権(著作権法21条)の侵害について1万円,著作隣接権としての複製権(著作権法98条)の侵害について4万円),静岡局各社について各8万円と認めるのが相当である。
⑷ まとめ
以上から,被告は,以下の金額について,それぞれ賠償する義務を負う。原告 NHK 226万円( 206 万円+ 20 万円)原告日本テレビ 33万円( 28 万円+ 5 万円)原告 TBS 33万円( 28 万円+ 5 万円)原告フジテレビ 29万円( 24 万円+ 5 万円)原告テレビ朝日 31万円( 26 万円+ 5 万円)原告テレビ東京 29万円( 24 万円+ 5 万円)原告静岡第一テレビ 88万円( 80 万円+ 8 万円)原告 SBS 88万円( 80 万円+ 8 万円)原告テレビ静岡 88万円( 80 万円+ 8 万円)原告あさひテレビ 88万円( 80 万円+ 8 万円)
3 争点3(原告らの請求は権利の濫用といえるか)について
被告は,原告らの本件請求は権利の濫用に当たる旨主張するが,上記1及び2において認定したところによれば,本件請求が権利を濫用するものであるということはできないし,他に,これを認めるに足りる証拠はない。したがって,上記
(被告の主張)
は認められない。
第4 結論
以上の次第で,①原告 NHK 及び東京局各社の,本件番組を複製の対象とすることの差止めの請求(なお,本件番組3を除く本件番組については,現在,複製することができない措置がとられているが,同措置は暫定的なものであるから,侵害のおそれがあると認められる。),②原告らの,本件放送に係る音又は影像を録音又は録画の対象とすることの差止め及び本件対象サービスに供されているロクラクⅡの親機の廃棄の請求,③原告らの,複製権の侵害による損害(弁護士費用を含む。)の賠償及び本訴状送達の日の翌日である平成19年8月4日から,各支払済みに至るまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払の請求のうち,主文記載の限度において(原告日本テレビの複製権(著作権法21条)の侵害による損害並びに原告 NHK 及び東京局各社の著作隣接権としての複製権(著作権法98条)の侵害による損害(弁護士費用を含む。)については,損害の算定期間経過後である平成20年4月1日が遅延損害金の起算点となる。),それぞれ理由があるからこれらを認容することとし,その余は理由がないから,いずれも棄却することとし,主文のとおり判決する。東京地方裁判所民事第29部裁判長裁判官 清 水 節裁判官 國 分 隆 文裁判官山田真紀は,転補のため,署名押印することができない。裁判長裁判官 清 水 節(別紙)当 事 者 目 録東京都渋谷区<以下略>原 告 日 本 放 送 協 会(以下「原告 NHK」という。)同 訴 訟 代 理 人 弁 護 士 梅 田 康 宏同 津 浦 正 樹同 高 木 志 伸東京都港区<以下略>原 告 日本テレビ放送網株式会社(以下「原告日本テレビ」という。)静岡市<以下略>原 告 株式会社静岡第一テレビ(以下「原告静岡第一テレビ」という。)原告日本テレビ及び原告静岡第一テレビ訴訟代理人弁護士松 田 政 行同 齋 藤 浩 貴同 山 元 裕 子同 吉 羽 真 一 郎同 上 村 哲 史東京都港区<以下略>原 告 株 式 会 社 東 京 放 送(以下「原告 TBS」という。)静岡市<以下略>原 告 静 岡 放 送 株 式 会 社(以下「原告 SBS」という。)原告 TBS 及び原告 SBS 訴訟代理人弁護士岡 崎 洋同 大 橋 正 春同 前 田 俊 房同 渡 邊 賢 作同 新 間 祐 一 郎東京都港区<以下略>原 告 株式会社フジテレビジョン(以下「原告フジテレビ」という。)静岡市<以下略>原 告 株 式 会 社 テ レ ビ 静 岡(以下「原告テレビ静岡」という。)原告フジテレビ及び原告テレビ静岡訴訟代理人弁護士前 田 哲 男同 中 川 達 也東京都港区<以下略>原 告 株 式 会 社 テ レ ビ 朝 日(以下「原告テレビ朝日」という。)静岡市<以下略>原 告 株式会社静岡朝日テレビ(以下「原告あさひテレビ」という。)原告テレビ朝日及び原告あさひテレビ訴訟代理人弁護士伊 藤 真同 太 田 純同 清 水 琢 麿東京都港区<以下略>原 告 株 式 会 社 テ レ ビ 東 京(以下「原告テレビ東京」という。)同 訴 訟 代 理 人 弁 護 士 尾 崎 行 正同 飯 塚 孝 徳同 上 杉 雅 央同 岩 知 道 真 吾同 佐 藤 淳 子浜松市<以下略>被 告 株式会社日本デジタル家電同 訴 訟 代 理 人 弁 護 士 岩 崎 政 孝同 六 波 羅 久 代同 岡 邦 俊同 小 林 克 典同 瀧 谷 耕 二(別紙)サービス目録被告の製造に係るハードディスクレコーダー「ロクラクⅡ」の親機を日本国内の保管場所に設置し,同所で受信するテレビ放送の放送波を同親機に入力するとともに,同親機に対応する子機を利用者に貸与又は譲渡することにより,当該利用者をして,日本国内で放送される放送番組の複製及び視聴を可能ならしめるサービス(別紙)著 作 物 目 録
1 番組名 「バラエティー生活笑百科」
2 番組名 「福祉ネットワーク」
3 番組名 「踊る!さんま御殿!!」
4 番組名 「関口宏の東京フレンドパークⅡ」
5 番組名 「MUSIC FAIR21」
6 番組名 「いきなり!黄金伝説。」
7 番組名 「ペット大集合!ポチたま」
(別紙)放 送 目 録原告 NHK が,日本国内において,放送事業者として,「 NHK 総合テレビジョン」の名称で行うすべての地上波テレビ放送(ただし,次に掲げる放送波を送信して行う地上波テレビ放送を含み,かつ,これに限られない。)(関東)チャンネル 地域(送信所名) 周波数帯域(MHz) 映像(MHz) 音声(MHz)
1 東京(芝公園) 90 ∼ 96 91.25 95.75
(静岡)チャンネル 地域(送信所名) 周波数帯域(MHz) 映像(MHz) 音声(MHz)
1 芝川,清沢,本川根,南春野 90 ∼ 96 91.25 95.75
2 春野 96 ∼ 102 97.25 101.75
3 東佐久間 102 ∼ 108 103.25 107.75
4 井川,玉川,清水小島,浜松 170 ∼ 176 171.25 175.75
9 静岡 198 ∼ 204 199.25 203.75
10 川根 204 ∼ 210 205.25 209.75
26 袋井三川 548 ∼ 554 549.25 553.75
29 下田稲梓 566 ∼ 572 567.25 571.75
32 天城湯ケ島 584 ∼ 590 585.25 589.75
34 函南畑毛,清水徳倉,伊東新井 596 ∼ 602 597.25 601.75
35 熱海錦ケ浦,伊東小室山 602 ∼ 608 603.25 607.75
36 南伊東,河津,湯ケ島松ケ瀬 608 ∼ 614 609.25 613.75
37 静岡瀬名,三ケ日,浜岡 614 ∼ 620 615.25 619.75
38 中川根,南伊豆湊 620 ∼ 626 621.25 625.75
39 磐田見付,伊東八幡野,小土肥 626 ∼ 632 627.25 631.75
40 静岡賤機,菊川,沼津静浦 632 ∼ 638 633.25 637.75
41 函南,掛川日坂,天竜熊,細江中川,沼津柳沢 638 ∼ 644 639.25 643.75
42 藤枝,森,相良 644 ∼ 650 645.25 649.75
43 朝比奈,島田伊太,焼津 650 ∼ 656 651.25 655.75
44 水窪,金谷,竜山,引佐奥山,天竜阿多古,天 656 ∼ 662 657.25 661.75
竜二俣,浜松古人見
45 佐久間浦川,天竜船明,白糸 662 ∼ 668 663.25 667.75
46 藤枝堀之内,芝川内房,佐久間矢島,水窪西 668 ∼ 674 669.25 673.75
浦,河津見高浜,三島徳倉
47 熱海,御殿場,静岡籠上,富士岩本,東伊豆白 674 ∼ 680 675.25 679.75
田
48 修善寺,清水和田島,静岡羽鳥,戸田,清水興 680 ∼ 686 681.25 685.75
津,沼津内浦,中伊豆地蔵堂
49 佐久間,中川根徳山,小笠,掛川桜木 686 ∼ 692 687.25 691.75
51 松崎,下賀茂,北竜山,引佐渋川,掛川原谷, 698 ∼ 704 699.25 703.75
浜松都田
52 富士宮,天竜横山,三倉,天竜西 704 ∼ 710 705.25 709.75
53 三島,東伊豆,玉川東,藤枝葉梨,静岡麻機, 710 ∼ 716 711.25 715.75
天城船原,静岡大原,湯ケ島柿木,大田子,土肥,伊東池,東伊豆大川
54 妻良,伊東宇佐美,岡部,両河内,静岡丸子, 716 ∼ 722 717.25 721.75
中伊豆冷川,伊東荻中伊豆 722 ∼ 728 723.25 727.75島田,富士川 728 ∼ 734 729.25 733.75天竜阿蔵,中川根上村 734 ∼ 740 735.25 739.75由比 740 ∼ 746 741.25 745.75下田,湖西知波田 746 ∼ 752 747.25 751.75伊豆長岡,小山,掛川内田,小山竹之下,湯ケ 752 ∼ 758 753.25 757.75島茅野,中伊豆姫之湯芝川柚野 758 ∼ 764 759.25 763.75原告 NHK が,日本国内において,放送事業者として,「 NHK 教育テレビジョン」の名称で行うすべての地上波テレビ放送(ただし,次に掲げる放送波を送信して行う地上波テレビ放送を含み,かつ,これに限られない。)(関東)チャンネル 地域(送信所名) 周波数帯域(MHz) 映像(MHz) 音声(MHz)
3 東京(芝公園) 102 ∼ 108 103.25 107.75
(静岡)チャンネル 地域(送信所名) 周波数帯域(MHz) 映像(MHz) 音声(MHz)
2 静岡,川根 96 ∼ 102 97.25 101.75
3 芝川,清沢,本川根,南春野 102 ∼ 108 103.25 107.75
8 井川,玉川,清水小島,浜松 192 ∼ 198 193.25 197.75
9 東佐久間,春野 198 ∼ 204 199.25 203.75
18 佐久間 500 ∼ 506 501.25 505.75
31 下田稲梓 578 ∼ 584 579.25 583.75
32 袋井三川,清水徳倉,伊東新井 584 ∼ 590 585.25 589.75
34 河津,湯ケ島松ケ瀬 596 ∼ 602 597.25 601.75
36 中川根,函南畑毛 608 ∼ 614 609.25 613.75
37 磐田見付,熱海錦ケ浦,伊東小室山,小土肥 614 ∼ 620 615.25 619.75
38 南伊東,静岡賤機,沼津静浦 620 ∼ 626 621.25 625.75
39 静岡瀬名,函南,三ケ日,浜岡,天城湯ケ島, 626 ∼ 632 627.25 631.75
沼津柳沢
40 相良,南伊豆湊 632 ∼ 638 633.25 637.75
41 伊東八幡野 638 ∼ 644 639.25 643.75
42 菊川 644 ∼ 650 645.25 649.75
43 掛川日坂,天竜熊,細江中川,掛川桜木 650 ∼ 656 651.25 655.75
44 藤枝,芝川内房,森 656 ∼ 662 657.25 661.75
45 朝比奈,島田伊太,焼津 662 ∼ 668 663.25 667.75
46 水窪,金谷,竜山,引佐奥山,天竜阿多古,天 668 ∼ 674 669.25 673.75
竜二俣,浜松古人見
47 佐久間浦川,天竜船明,芝川柚野 674 ∼ 680 675.25 679.75
48 佐久間矢島,水窪西浦,三島徳倉 680 ∼ 686 681.25 685.75
49 熱海,御殿場,松崎,静岡籠上,下賀茂,北竜 686 ∼ 692 687.25 691.75
山,引佐渋川,掛川原谷,浜松都田,白糸,富士岩本,東伊豆白田,河津見高浜
50 修善寺,清水和田島,静岡羽鳥,天竜横山,三 692 ∼ 698 693.25 697.75
倉,天竜西,戸田,清水興津,沼津内浦,中伊豆地蔵堂
51 三島,東伊豆,藤枝葉梨,静岡麻機,小笠,天 698 ∼ 704 699.25 703.75
城船原,静岡大原,湯ケ島柿木,大田子,土肥,伊東池,東伊豆大川
52 妻良,藤枝堀之内,伊東宇佐美,岡部,両河 704 ∼ 710 705.25 709.75
内,静岡丸子,掛川内田,中伊豆冷川,伊東荻
53 中伊豆 710 ∼ 716 711.25 715.75
54 富士宮,島田 716 ∼ 722 717.25 721.75
55 玉川東,中川根徳山,天竜阿蔵 722 ∼ 728 723.25 727.75
56 由比 728 ∼ 734 729.25 733.75
57 下田 734 ∼ 740 735.25 739.75
58 伊豆長岡,小山,小山竹之下,湯ケ島茅野,中 740 ∼ 746 741.25 745.75
伊豆姫之湯
61 中川根上村,湖西知波田 758 ∼ 764 759.25 763.75
62 富士川 764 ∼ 770 765.25 769.75
原告日本テレビが次の放送波を送信して行う地上波テレビ放送周波数:映像171.25MHz,音声175.75MHz原告 TBS が次の放送波を送信して行う地上波テレビ放送周波数:映像183.25MHz,音声187.75MHz原告フジテレビが次の放送波を送信して行う地上波テレビ放送周波数:映像193.25MHz,音声197.75MHz原告テレビ朝日が次の放送波を送信して行う地上波テレビ放送周波数:映像205.25MHz,音声209.75MHz原告テレビ東京が次の放送波を送信して行う地上波テレビ放送周波数:映像217.25MHz,音声221.75MHz原告静岡第一テレビが次の放送波を送信して行う地上波テレビ放送チャンネル 地域(送信所名) 周波数帯域(MHz) 映像(MHz) 音声(MHz)
21 下田稲梓 518 ∼ 524 519.25 523.75
24 藤枝,中伊豆,丸子 536 ∼ 542 537.25 541.75
27 富士宮 554 ∼ 560 555.25 559.75
28 賎機(旧静岡市) 556 ∼ 566 561.25 565.75
30 浜松,富士川 572 ∼ 578 573.25 577.75
31 静岡,南春野 578 ∼ 584 579.25 583.75
33 東伊豆 590 ∼ 596 591.25 595.75
34 藤枝堀之内,芝川内房 596 ∼ 602 597.25 601.75
35 佐久間(新浜松市) 602 ∼ 608 603.25 607.75
36 天竜二俣(新浜松市),水窪(新浜松市) 608 ∼ 614 609.25 613.75
37 東佐久間(新浜松市),天竜船明(新浜松 614 ∼ 620 615.25 619.75
市),島田伊太
39 籠上(旧静岡市),熱海 626 ∼ 632 627.25 631.75
40 修善寺,興津(新静岡市) 632 ∼ 638 633.25 637.75
41 御殿場,下田,小土肥,下賀茂 638 ∼ 644 639.25 643.75
42 竜山(新浜松市) 644 ∼ 650 645.25 649.75
44 河津 656 ∼ 662 657.25 661.75
46 中川根,岡部,相良 668 ∼ 674 669.25 673.75
47 春野,三ヶ日,清沢(旧静岡市) 674 ∼ 680 675.25 679.75
48 島田,瀬名(旧静岡市),森 680 ∼ 686 681.25 685.75
51 天竜阿蔵(新浜松市) 698 ∼ 704 699.25 703.75
52 伊豆長岡,湯ヶ島茅野 704 ∼ 710 705.25 709.75
53 芝川柚野,中川根徳山 710 ∼ 716 711.25 715.75
57 秋葉(新浜松市),小笠 734 ∼ 740 735.25 739.75
59 藤枝葉梨 746 ∼ 752 747.25 751.75
60 天竜横山(新浜松市) 752 ∼ 758 753.25 757.75
61 麻機(旧静岡市),三島,井川(旧静岡市), 758 ∼ 764 759.25 763.75
浜岡,磐田見付,大原(旧静岡市),掛川桜木
62 川根,本川根,玉川(旧静岡市),羽鳥(旧静 764 ∼ 770 765.25 769.75
岡市)原告 SBS が,次の放送波を送信して行う地上波テレビ放送チャンネル 地域(送信所名) 周波数帯域(MHz) 映像(MHz) 音声(MHz)
5 本川根,春野 176 ∼ 182 177.25 181.75
6 浜松(旧浜松市),井川,玉川,清水小島 182 ∼ 188 183.25 187.75
11 静岡(旧静岡市),東佐久間(新浜松市),南 210 ∼ 216 211.25 215.75
春野(新浜松市),中川根徳川
12 芝川,川根 216 ∼ 222 217.25 221.75
27 下田稲梓 554 ∼ 560 555.25 559.75
30 藤枝堀之内 572 ∼ 578 573.25 577.75
32 函南畑毛・中伊豆・中川根 584 ∼ 590 585.25 589.75
36 龍山(新浜松市),天城湯ヶ島 608 ∼ 614 609.25 613.75
38 河津,菊川,相良 620 ∼ 626 621.25 625.75
40 天竜二俣(新浜松市),藤枝,森 632 ∼ 638 633.25 637.75
41 天竜船明(新浜松市),富士宮,焼津,浜岡, 638 ∼ 644 639.25 643.75
島田伊太,三ヶ日,清沢,掛川桜木
42 浜松古人見(旧浜松市),水窪(新浜松市), 644 ∼ 650 645.25 649.75
水窪西浦(新浜松市)
43 白糸 650 ∼ 656 651.25 655.75
44 佐久間矢島(新浜松市) 656 ∼ 662 657.25 661.75
45 熱海,御殿場,富士岩本,籠上,磐田見付 662 ∼ 668 663.25 667.75
46 賤機(旧静岡市),興津(新静岡市),修善寺 668 ∼ 674 669.25 673.75
47 小土肥,小笠,下賀茂 674 ∼ 680 675.25 679.75
49 藤枝葉梨 686 ∼ 692 687.25 691.75
50 芝川内房 692 ∼ 698 693.25 697.75
51 佐久間(新浜松市) 698 ∼ 704 699.25 703.75
54 天竜横山(新浜松市),瀬名(旧静岡市) 716 ∼ 722 717.25 721.75
55 麻機(旧静岡市),三島,天城船原,東伊豆, 722 ∼ 728 723.25 727.75
芝川柚野,秋葉,大原
56 羽鳥(旧静岡市),岡部 728 ∼ 734 729.25 733.75
57 丸子(旧静岡市) 734 ∼ 740 735.25 739.75
58 富士川 740 ∼ 746 741.25 745.75
59 天竜阿蔵(新浜松市),中川根上村 746 ∼ 752 747.25 751.75
61 下田 758 ∼ 764 759.25 763.75
62 小山,伊豆長岡,湯ヶ島,茅野,島田 764 ∼ 770 765.25 769.75
原告テレビ静岡が次の放送波を送信して行う地上波テレビ放送チャンネル 地域(送信所名) 周波数帯域(MHz) 映像(MHz) 音声(MHz)
25 下田稲梓(下田市) 542 ∼ 548 543.25 547.75
30 中伊豆(伊豆市) 572 ∼ 578 573.25 577.75
32 佐久間(浜松市) 584 ∼ 590 585.26 589.76
34 浜松(浜松市) 596 ∼ 602 597.25 601.75
35 南春野(浜松市) 602 ∼ 608 603.26 607.76
静岡(静岡市) 602 ∼ 608 603.25 607.75
37 白糸(富士宮市),東伊豆(加茂郡東伊豆町) 614 ∼ 620 615.26 619.76
御殿場(御殿場市) 614 ∼ 620 615.25 619.75
38 藤枝(藤枝市),龍山(浜松市) 620 ∼ 626 621.24 625.74
森(周智郡森町) 620 ∼ 626 621.26 625.76
39 島田伊太(島田市),富士宮(富士市),清沢(静岡 626 ∼ 632 627.25 631.75
市)焼津(焼津市) 626 ∼ 632 627.26 631.76
40 水窪(浜松市),中川根徳山(榛原郡川根本町) 632 ∼ 638 633.25 637.75
河津(賀茂郡河津町) 632 ∼ 638 633.26 637.76
41 東佐久間(浜松市) 638 ∼ 644 639.25 643.75
42 天竜二俣(浜松市) 644 ∼ 650 645.25 649.75
43 春野(浜松市),三ヶ日(浜松市),天竜船明(浜松 650 ∼ 656 651.25 655.75
市),熱海(熱海市)磐田見附(磐田市),下田(下田市) 650 ∼ 656 651.24 655.74下賀茂(賀茂郡南伊豆町), 籠上(静岡市) 650 ∼ 656 651.26 655.76
44 中川根(榛原郡川根本町),修善寺(伊豆市), 賤機 656 ∼ 662 657.25 661.75
(静岡市)興津(静岡市),相良(牧之原市) 656 ∼ 662 657.26 661.76
45 掛川桜木(掛川市),小土肥(伊豆市) 662 ∼ 668 663.25 667.75
浜岡(御前崎市) 662 ∼ 668 663.24 667.74
48 芝川内房(富士郡芝川町) 680 ∼ 686 681.26 685.76
52 瀬名(静岡市) 704 ∼ 710 705.24 709.74
55 藤枝葉梨(藤枝市) 722 ∼ 728 723.24 727.74
小笠(菊川市) 722 ∼ 728 723.26 727.76
56 本川根(榛原郡川根本町),伊豆長岡(伊豆の国 728 ∼ 734 729.25 733.75
市), 湯ヶ島茅野(伊豆市)天竜横山(浜松市) 728 ∼ 734 729.26 733.76
57 川根(榛原郡川根町) 734 ∼ 740 735.25 739.75
麻機(静岡市) 734 ∼ 740 735.24 739.74大原(静岡市),井川(静岡市) 734 ∼ 740 735.26 739.76
58 牧ノ原(島田市) 740 ∼ 746 741.26 745.76
玉川(静岡市) 740 ∼ 746 741.25 745.75羽鳥(静岡市) 740 ∼ 746 741.24 745.74
59 芝川柚野(富士郡芝川町) 746 ∼ 752 747.24 751.74
三島(熱海市),丸子(静岡市) 746 ∼ 752 747.25 751.75
60 藤枝堀之内(藤枝市),富士川(庵原郡富士川町) 752 ∼ 758 753.26 757.76
岡部(志太郡岡部町) 752 ∼ 758 753.24 757.74
61 秋葉(浜松市) 758 ∼ 764 759.24 763.74
天竜阿蔵(浜松市) 758 ∼ 764 759.25 763.75原告あさひテレビが次の放送波を送信して行う地上波テレビ放送<浜松地区>チャンネル 局名 中心周波数(MHz) 周波数帯域(MHz) 映像(MHz) 音声(MHz)
28 浜松 563 560 ∼ 566 561.26 565.76
53 佐久間 713 710 ∼ 716 711.26 715.76
33 南春野 593 590 ∼ 596 591.25 595.75
38 天竜二俣,水窪 623 620 ∼ 626 621.25 625.75
39 東佐久間,天竜船明 629 626 ∼ 632 627.25 631.75
40 龍山 635 632 ∼ 638 633.24 637.74
45 三ケ日,春野 665 662 ∼ 668 663.25 667.75
53 天竜阿蔵 713 710 ∼ 716 711.25 715.75
58 天竜横山 743 740 ∼ 746 741.26 745.76
59 秋葉 749 746 ∼ 752 747.24 751.74
<静岡地区>チャンネル 局名 中心周波数(MHz) 周波数帯域(MHz) 映像(MHz) 音声(MHz)
33 日本平(静岡) 593 590 ∼ 596 591.24 595.74
26 丸子 551 548 ∼ 554 549.24 553.74
37 清沢 617 614 ∼ 620 615.25 619.75
41 籠上 641 638 ∼ 644 639.26 643.76
42 賤機 647 644 ∼ 650 645.25 649.75
興津 647 643 ∼ 650 645.26 649.76
50 瀬名 695 692 ∼ 698 693.24 697.74
59 麻機 749 746 ∼ 752 747.24 751.74
井川,大原 749 746 ∼ 752 747.26 751.76
60 玉川 755 752 ∼ 758 753.25 757.75
羽鳥 755 752 ∼ 758 753.24 757.74<その他>チャンネル 局名 中心周波数(MHz) 周波数帯域(MHz) 映像(MHz) 音声(MHz)
23 下田稲梓 533 530 ∼ 536 531.25 535.75
26 藤枝,中伊豆 551 548 ∼ 554 549.25 553.75
28 藤枝堀之内 563 560 ∼ 566 561.25 565.75
29 富士宮 569 566 ∼ 572 567.25 571.75
32 富士川 587 584 ∼ 590 585.26 589.76
島田伊太 587 584 ∼ 590 585.25 589.75
35 東伊豆 605 602 ∼ 608 603.26 607.76
36 芝川内房 611 608 ∼ 614 609.26 613.76
41 熱海 641 638 ∼ 644 639.24 643.74
42 修善寺 647 644 ∼ 650 645.24 649.74
河津 647 644 ∼ 650 645.26 649.76中川根 647 644 ∼ 650 645.25 649.75
43 御殿場,小土肥 653 650 ∼ 656 651.25 655.75
45 下田 665 662 ∼ 668 663.24 667.74
下賀茂 665 662 ∼ 668 663.26 667.76
46 森 671 668 ∼ 674 669.26 673.76
50 島田 695 692 ∼ 698 693.26 697.76
51 中川根徳山 701 698 ∼ 704 699.25 703.75
53 小笠 713 710 ∼ 716 711.26 715.76
伊豆長岡 719 716 ∼ 722 717.24 721.74湯ヶ島茅野 719 716 ∼ 722 717.25 721.75三島 737 734 ∼ 740 735.25 739.75芝川柚野,藤枝葉梨 737 734 ∼ 740 735.24 739.74浜岡 749 746 ∼ 752 747.26 751.26磐田見附 749 746 ∼ 752 747.24 751.74掛川桜木 749 746 ∼ 752 747.26 751.76川根,本川根 755 752 ∼ 758 753.25 757.75相良 755 752 ∼ 758 753.26 757.76岡部 767 764 ∼ 770 765.24 769.74(別紙)物 件 目 録別紙サービス目録記載のサービスに供されている被告の製造に係るハードディスクレコーダー「ロクラクⅡ」の親機(別紙)支 払 目 録原 告 支 払 金 額原告日本放送協会 金226万円並びに内金7万円に対する平成19年8月4日から,内金219万円に対する平成20年4月1日から,それぞれ支払済みに至るまで年5分の割合による金員原告日本テレビ放送網株式 金33万円及びこれに対する平成20年4月1日会社 から支払済みに至るまで年5分の割合による金員原告株式会社東京放送 金33万円並びに内金9万円に対する平成19年8月4日から,内金24万円に対する平成20年4月1日から,それぞれ支払済みに至るまで年5分の割合による金員原告株式会社フジテレビジ 金29万円並びに内金5万円に対する平成19年ョン 8月4日から,内金24万円に対する平成20年4月1日から,それぞれ支払済みに至るまで年5分の割合による金員原告株式会社テレビ朝日 金31万円並びに内金7万円に対する平成19年8月4日から,内金24万円に対する平成20年4月1日から,それぞれ支払済みに至るまで年5分の割合による金員原告株式会社テレビ東京 金29万円並びに内金5万円に対する平成19年8月4日から,内金24万円に対する平成20年4月1日から,それぞれ支払済みに至るまで年5分の割合による金員原告株式会社静岡第一テレ 金88万円及びこれに対する平成19年8月4日ビ から支払済みに至るまで年5分の割合による金員原告静岡放送株式会社 金88万円及びこれに対する平成19年8月4日から支払済みに至るまで年5分の割合による金員原告株式会社テレビ静岡 金88万円及びこれに対する平成19年8月4日から支払済みに至るまで年5分の割合による金員原告株式会社静岡朝日テレ 金88万円及びこれに対する平成19年8月4日ビ から支払済みに至るまで年5分の割合による金員
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