ホーム > 知財判決速報/裁判例集 > 平成19(ネ)10067等 損害賠償請求控訴事件
| 裁判所 | 一部認容 知的財産高等裁判所 新潟地方裁判所 |
|---|---|
| 裁判年月日 | 平成20年3月27日 |
| 事件種別 | 民事 |
| 当事者 | 控訴人・附帯被
欧和国際貿易有限会社 被控訴人・附帯控訴人株式会社中屋 |
| 法令 |
商標権 民法709条6回 不正競争防止法5条1項3回 不正競争防止法3条3回 商標法38条1項2回 不正競争防止法5条3項1号2回 商標法36条2回 不正競争防止法4条2回 商標法38条2項1回 商標法4条1項10号1回 不正競争防止法5条3項1回 不正競争防止法5条2項1回 商標法37条1項1回 |
| キーワード | 侵害12回 損害賠償11回 差止10回 商標権9回 許諾4回 無効4回 審決3回 無効審判1回 |
| 主文 | 1 控訴人・附帯被控訴人らの控訴及び被控訴人・附帯控訴人の附帯控訴に基づき,原判決を次のとおり変更する。(1) 控訴人・附帯被控訴人欧和国際貿易有限会社は 原判決別紙登録,商標目録の登録商標欄記載の標章を原判決別紙商品目録記載1,2の商品に付し,同標章を付した同商品目録記載1,2の商品を譲渡し,引渡し,譲渡若しくは引渡しのために展示し,輸出してはならない。(2) 控訴人・附帯被控訴人欧和国際貿易有限会社は 原判決別紙標章,目録記載1の標章を原判決別紙商品目録記載1,2の商品に付し,同標章を付した同商品目録記載1,2の商品を譲渡し,引渡し,譲渡若しくは引渡しのために展示し,輸出してはならない。(3) 控訴人・附帯被控訴人欧和国際貿易有限会社は その占有に係る,原判決別紙登録商標目録の登録商標欄記載の標章の版下及び原判決別紙標章目録記載1の標章の版下を廃棄せよ。(4) 控訴人・附帯被控訴人らは 被控訴人・附帯控訴人に対し 連帯, ,して金342万6371円及びこれに対する平成17年11月12日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。(5) 被控訴人・附帯控訴人のその余の請求を棄却する。, , ( 。)2 訴訟費用は 第1審 第2審 附帯控訴により生じたものを含むを通じこれを5分し,その2を被控訴人・附帯控訴人の負担とし,その余を控訴人・附帯被控訴人らの連帯負担とする。 3 この判決の第1項(1)ないし(4)は,仮に執行することができる。 |
| 事件の概要 | 1 事案の概要 本件は, (1) 原告が 被告会社に対し 被告会社による原判決別紙登録商標目録の登録, , 商標欄記載の標章 以下 イークスマーク という の使用 並びに イー( 「 」 。) , , ( 。 。) , ,クスマークを付した鋸 鋸替刃を含む 以下同じ 及び剪定鋏の製造 譲渡 引渡し,譲渡若しくは引渡しのための展示,及び,輸出が,原告の有する上 記登録商標目録記載の登録商標 以下 本件商標 という に係る商標権 以( 「 」 。) ( 「 」 。) , ,下 本件商標権 という を侵害すると主張して 商標法36条に基づき 上記行為の差止め及びイークスマークの版下の廃棄を請求し, (2) 原告が,被告会社に対し,原判決別紙標章目録記載1の標章(以下「 N「 AKAYA の標章 という は原告の商品等表示 不正競争防止法2条1」 」 。) ( 項1号の 商品等表示 をいう 以下同じ として需要者の間に広く認識さ「 」 。 。) れているものであって,被告会社による同標章の使用,並びに,同標章を付 , , , ,した鋸及び剪定鋏の製造 譲渡 引渡し 譲渡若しくは引渡しのための展示 及び,輸出は,原告の商品と混同を生じさせる行為であると主張して,不正 |
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平成20年3月27日判決言渡
平成19年(ネ)第10067号損害賠償請求控訴事件
平成19年(ネ)第10093号同附帯控訴事件
(原審 新潟地方裁判所三条支部平成17年(ワ)第65号)
平成20年1月24日口頭弁論終結
判 決
控訴人・附帯被控訴人 欧 和 国 際 貿 易 有 限 会 社
同 A
上記両名訴訟代理人弁護士 大 山 薫
被控訴人・附帯控訴人 株 式 会 社 中 屋
訴 訟 代 理 人 弁 護 士 藤 巻 元 雄
同 星 野 文 武
主 文
1 控訴人・附帯被控訴人らの控訴及び被控訴人・附帯控訴人の附帯控
訴に基づき,原判決を次のとおり変更する。
(1) 控訴人・附帯被控訴人欧和国際貿易有限会社は,原判決別紙登録
商標目録の登録商標欄記載の標章を原判決別紙商品目録記載1,2
の商品に付し,同標章を付した同商品目録記載1,2の商品を譲渡
し,引渡し,譲渡若しくは引渡しのために展示し,輸出してはなら
ない。
(2) 控訴人・附帯被控訴人欧和国際貿易有限会社は,原判決別紙標章
目録記載1の標章を原判決別紙商品目録記載1,2の商品に付し,
同標章を付した同商品目録記載1,2の商品を譲渡し,引渡し,譲
渡若しくは引渡しのために展示し,輸出してはならない。
(3) 控訴人・附帯被控訴人欧和国際貿易有限会社は,その占有に係る
原判決別紙登録商標目録の登録商標欄記載の標章の版下及び原判決
別紙標章目録記載1の標章の版下を廃棄せよ。
(4) 控訴人・附帯被控訴人らは ,被控訴人・附帯控訴人に対し,連帯
して金342万6371円及びこれに対する平成17年11月12
日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(5) 被控訴人・附帯控訴人のその余の請求を棄却する。
2 訴訟費用は,第1審,第2審(附帯控訴により生じたものを含む。)
を通じこれを5分し,その2を被控訴人・附帯控訴人の負担とし,そ
の余を控訴人・附帯被控訴人らの連帯負担とする。
3 この判決の第1項(1)ないし(4)は,仮に執行することができる。
事 実 及 び 理 由
第1 控訴及び附帯控訴の趣旨
1 控訴の趣旨
(1) 原判決中,控訴人・附帯被控訴人ら(以下「被告ら」という。)の敗訴部分を取り消す。
(2) 被控訴人・附帯控訴人(以下「原告」という。)の請求をいずれも棄却する。
(3) 訴訟費用は,第1,2審とも原告の負担とする。2 附帯控訴の趣旨
(1) 原判決主文第1項ないし第4項を次のとおり変更し ,原判決主文第5項をこれに反する限度で取り消す。ア 控訴人・附帯被控訴人欧和国際貿易有限会社 以下 被告会社 」( 「 という 。)は,原判決別紙登録商標目録の登録商標欄記載の標章を原判決別紙商品目録記載1,2の商品に付し,同標章を付した同商品目録記載1,2の商品を譲渡し,引渡し,譲渡又は引渡しのために展示し ,輸出してはならない 。イ 被告会社は,原判決別紙標章目録記載1の標章を原判決別紙商品目録記載1,2の商品に付し,同標章を付した同商品目録記載1,2の商品を譲渡し,引渡し,譲渡又は引渡しのために展示し,輸出してはならない。ウ 被告会社は,原判決別紙登録商標目録の登録商標欄記載の標章及び原判決別紙標章目録記載1の標章の版下を廃棄せよ。エ 被告らは,原告に対し,連帯して金699万0831円及びこれに対する平成17年11月12日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
(2) 訴訟費用は,第1,2審とも被告らの負担とする。
(3) 仮執行宣言
第2 事案の概要等
1 事案の概要本件は,
(1) 原告が,被告会社に対し,被告会社による原判決別紙登録商標目録の登録商標欄記載の標章(以下「イークスマーク」という。 の使用 ,並びに ,イー)クスマークを付した鋸 鋸替刃を含む。( 以下同じ 。 及び剪定鋏の製造 ,) 譲渡 ,引渡し,譲渡若しくは引渡しのための展示,及び,輸出が,原告の有する上記登録商標目録記載の登録商標 以下 本件商標 」( 「 という。 に係る商標権 以) (下「本件商標権」という。 を侵害すると主張して ,商標法36条に基づき,)上記行為の差止め及びイークスマークの版下の廃棄を請求し,
(2) 原告が,被告会社に対し,原判決別紙標章目録記載1の標章(以下「 N「AKAYA」の標章 」という 。 は原告の商品等表示(不正競争防止法2条1)項1号の「商品等表示」をいう。以下同じ。 として需要者の間に広く認識さ)れているものであって,被告会社による同標章の使用,並びに,同標章を付した鋸及び剪定鋏の製造,譲渡 ,引渡し,譲渡若しくは引渡しのための展示 ,及び,輸出は,原告の商品と混同を生じさせる行為であると主張して,不正競争防止法3条に基づき,上記行為の差止め及び「NAKAYA」の標章の版下の廃棄を請求し,
(3) 原告が,被告会社に対し,原判決別紙標章目録記載2の標章(以下「 中「屋」の標章 」という 。 は原告の商品等表示として需要者の間に広く認識され)ているものであって,被告会社による同標章の使用,並びに,同標章を付した鋸及び剪定鋏の製造,譲渡,引渡し,譲渡若しくは引渡しのための展示,及び,輸出は,原告の商品と混同を生じさせる行為であると主張して,不正競争防止法3条に基づき,上記行為の差止め及び「中屋」の標章の版下の廃棄を請求するとともに ,平成18年法律第87号による改正前の商法20条 ,21条に基づき,被告会社による「中屋」の標章の使用の差止めを請求し,
(4) 原告が,被告会社及び同社の行為の実行行為者である控訴人・附帯被控訴人A(以下「被告A」という 。 に対し,商標法38条 ,不正競争防止法4条)及び民法709条に基づき,被告会社の行為により原告が被った損害が1557万6112円(①被告会社がイークスマーク, NAKAYA 」の標章,「「中屋 」の標章を付した鋸を輸出したことによる損害784万7556円 損〔害額の算定に関し ,イークスマークにつき商標法38条1項 , NAKAYA 」「の標章及び「中屋」の標章につき不正競争防止法5条1項を主張 。 ,②被告〕会社がイークスマーク ,「NAKAYA」の標章,「中屋」の標章を付した剪定鋏を輸出したことによる損害16万8556円〔損害額の算定に関し,イークスマークにつき商標法38条2項及び民法709条 , NAKAYA 」「 の標章及び「中屋」の標章につき不正競争防止法5条2項及び民法709条を主張 。 ,③被告会社がイークスマーク,〕 「NAKAYA」の標章,「中屋」の標章を付して輸出したことにより,原告の信用が毀損されたことによる損害500万円〔損害額の算定に関し,民法709条を主張 。 ,④本件訴訟に関〕する弁護士費用100万円〔損害額の算定に関し,民法709条を主張 。 ,〕
⑤被告会社が,原判決別紙被告登録商標目録の登録商標欄記載の標章(以下「三倍速マーク」という。 につき商標登録出願をし,商標登録を受けるとい)う不法行為を行ったことによる損害として,三倍速マークに係る被告会社の商標登録を無効とするための審判請求及び審決取消訴訟に関する弁護士費用・弁理士費用156万円〔損害額の算定に関し,民法709条を主張。 を合〕計した金額。 であると主張して,) その一部である金887万5000円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成17年11月12日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を請求した事案である。原判決は ,上記(1)ないし(3)の差止等請求については ,(ア) NAKAYA 」「の標章は原告の商品等表示として需要者間に広く認識されている, 「中屋 」(イ)の標章は,江戸時代から多数の鋸鍛冶が使用していた屋号であり,同標章単独では原告の商品等表示として需要者間に広く認識されているとはいえない,(ウ)原告は,被告会社が自己の営業上の名称(商号)として「中屋」を使用した事実を主張しないので ,平成18年法律第87号による改正前の商法20条 ,条に基づく請求は主張自体失当であるなどと認定判断して ,上記(3)の請求を棄却したものの,上記(1)及び(2)の請求を原判決主文第1項ないし第3項の限度で認容した 。また ,原判決は ,上記(4)の損害賠償請求については,(ア)被告会社は,原判決別紙違法行為一覧表1記載のとおり,合計1万6730枚の鋸替刃にイークスマーク及び「NAKAYA」の標章を付して輸出した,(イ)被告会社は,別紙違法行為一覧表2記載のとおり,合計1383丁の剪定鋏を「NAKAYA」の刻印付きで輸出した,(ウ)被告会社が,三倍速マークにつき商標登録出願をし,商標登録を受けたことは,原告の権利を侵害し,不法行為が成立する,などと認定判断して,金599万0831円(上記①の損害として387万4041円,上記②の損害として11万6790円,上記③の損害として50万円,上記④の損害として50万円,上記⑤の損害として100万円)及びこれに対する遅延損害金の限度で認容した。被告らは,原判決中の被告ら敗訴部分を不服として,本件控訴を提起した。また ,原告は,附帯控訴を提起し ,上記(4)の請求について,上記③の損害について認容額の増額を求めるとともに,上記②の損害に係るイークスマークを付した鋸の輸出に関し,不正競争防止法4条に基づく損害賠償請求を追加し 当(審において,原告は,イークスマークを付した商品の輸出に関する商標法38条に基づく損害賠償請求を取り下げ ,被告らはこれに同意した 。また ,原告は ,上記①の損害額の算定につき不正競争防止法5条3項及び民法709条も主張すること,上記②の損害額の算定につき不正競争防止法5条3項も主張することを釈明した。さらに,原告は,上記②の損害に関し,被告会社がイークスマーク及び「NAKAYA」の標章を付して鋸を輸出した事実が認められない場合に備え ,被告会社がイークスマーク, NAKAYA」の標章等を付した包装「袋を輸出したことにより,これらを付した鋸を輸出したのと同様の損害賠償責任を負うと主張して ,被告らに対し ,上記②の損害額と同額の支払を求めた。 ,)また,上記増額した部分,上記請求を追加した部分,及び,原判決中の原告の勝訴部分について,仮執行宣言を求めた。上記③の損害についての増額部分を除き,原判決において請求が棄却された部分は,当審における審理の対象ではない。争点,請求原因(当審における新請求及び予備的請求を含む 。 ,及び,前提)となる事実関係次のとおり訂正付加するほか,原判決の「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要等」の第2段落以下(原判決3頁4行目ないし5頁9行目)及び「第3前提となる事実関係」 原判決5頁10行目ないし15頁11行目 )( に記載のとおりであるから,これを引用する。なお,原判決の略語表示は,改めて定義したものを除き,当審においてもそのまま用いる。
(1) 原判決3頁4行目の「 NAKAYA 」 中屋」の標章」を「イークスマー「 「ク,「NAKAYA」の標章,「中屋」の標章」と改める。
(2) 原判決3頁5行目ないし同頁6行目にかけての「後記「イークスマーク 」等」を「イークスマーク,「NAKAYA」の標章等」と改める。
(3) 原判決3頁7行目の「被告会社が後記「三倍速マーク」を商標登録した行為」を「被告会社が,三倍速マークにつき商標登録出願をし,商標登録を受けた行為」と改める。
(4) 原判決3頁10行目ないし同頁19行目を次のとおり改める。「1 原告の登録商標及び商品等表示
(1) 原告は,イークスマークについて ,原判決別紙登録商標目録記載のとおり,本件商標権を有している。また,イークスマークは,原告の商品等表示として,平成7年ころから需要者の間に広く認識されていた。
(2) 「NAKAYA 」の標章及び「中屋 」の標章は ,原告の商品等表示として,遅くとも昭和60年ころまでには,需要者の間に広く認識されていた。なお,原告は,昭和42年に有限会社中屋鋸機械製作所として設立されたが,平成13年6月に株式会社に組織変更した際,社名を株式会社「中屋」と改めており, 中屋 」は,原告の商号である。「 」
(5) 原判決3頁20行目の「及び商標権侵害行為」を削除する。
(6) 原判決4頁5行目の「及び商標法37条1項」を削除する。
(7) 原判決4頁8行目ないし同頁9行目にかけての 不正競争防止法5条1項「及び商標法38条1項の規定に基づき算定」を「不正競争防止法5条1項の規定に基づき算定。なお,同条3項又は民法709条の規定に基づき算定しても同様である。」と改める。
(8) 原判決4頁9行目の後に改行して次のとおり挿入する。「 予備的請求原因)(仮に ,被告会社がイークスマーク , NAKAYA」の標章, 中屋 」の標「 「章を付して鋸を輸出した事実が認められないとしても ,被告らは,被告会社が,イークスマーク, NAKAYA」の標章, 中屋 」の標章を付した包装「 「袋を輸出したことにより,これらを付した鋸を輸出したのと同様の損害賠償責任を負う。」
(9) 原判決4頁11行目ないし同頁12行目にかけての 不正競争防止法5条「2項及び商標法38条1項の規定に基づき算定」を「不正競争防止法5条2項の規定に基づき算定。なお,同条3項又は民法709条の規定に基づき算定しても同様である。」と改める。
(10) 原判決4頁22行目の「損害は500万円を下らない」の後に「 民法7(09条の規定に基づき算定)」を挿入する。
(11) 原判決4頁23行目の後に改行して,(民法709条の規定に基づき算「定)」を挿入する。
(12) 原判決4頁25行ないし同頁26行目にかけての「被告会社は,別紙被告登録商標目録記載の標章(以下「三倍速マーク」という。)を登録した 。」を 被告会社は,「 三倍速マークにつき商標登録出願をし,商標登録を受けた 。」と改める。
(13) 原判決5頁9行目の後に改行して次のとおり挿入する。「5 損害賠償請求被告会社は,前記3及び4のとおり,不正競争及び不法行為により,原告に1557万6112円の損害を生じさせたところ,被告会社の代表者代表取締役である被告Aは,被告会社の不正競争及び不法行為を企画・実行した者として,被告会社と連帯して損害賠償責任を負う。そこで,原告は,被告らに対し,不正競争防止法4条及び民法709条に基づき,上記損害の一部である金887万5000円及びこれに対する訴状送達の日の翌日である平成17年11月12日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を請求する。6 差止め及び廃棄請求
(1) 被告会社が,前記3のとおり ,イークスマークを付した鋸及び剪定鋏を輸出したことに鑑み,原告は,被告会社に対し,商標法36条に基づき,被告会社が,イークスマークを使用し,イークスマークを付した鋸及び剪定鋏の製造,譲渡,引渡し,譲渡若しくは引渡しのための展示,又は,輸出をすることの差止め,並びに,被告会社が作成したイークスマークの版下の廃棄を請求する。
(2) 被告会社が,前記3のとおり, NAKAYA 」の標章, 中屋 」の「 「標章を付した鋸及び剪定鋏を輸出したことに鑑み,原告は,被告会社に対し,不正競争防止法3条に基づき,被告会社が,これらの標章を使用し,これらの標章を付した鋸及び剪定鋏の製造,譲渡,引渡し,譲渡若しくは引渡しのための展示,又は,輸出をすることの差止め,並びに ,被告会社が作成した「NAKAYA」の標章の版下, 中屋 」「の標章の版下の廃棄を請求する 。」
(14) 原判決5頁18行目の「有限会社」を「会社法の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成17年法律第87号)3条2項に基づく特例有限会社」と改める。
(15) 原判決10頁1行目ないし同頁8行目を次のとおり改める。「(3) イークスマークについて原告は,イークスマークについて,原判決別紙登録商標目録記載のとおり,本件商標権を有している。イークスマークは,ギザギザの鋸の目と中屋の「n」を図案化したものであり,イークスとは「easy works」の略で,楽に仕事ができるという意味である。原告が,平成4年ころからイークスマークの使用を始め,自社のオリジナルブランドであることを広告した結果,イークスマークは,平成7年ころには,原告の商品等表示として,我が国の需要者間に広く知られるに至った 。 甲(3の1ないし5,甲4の2,甲49ないし甲51 )」
(16) 原判決11頁8行目の「甲50の4」を「乙50の4」と改める。
(17) 原判決11頁11行目の「被告会社は , を「被告Aは ,株式会社欧和の」名義で,」と改める。
(18) 原判決11頁23行目の「被告会社は , を「 被告Aは ,株式会社欧和の」名義で,」と改める。
(19) 原判決14頁13行目ないし同頁14行目にかけての「被告会社は,平成16年5月8日に出願して,別紙被告登録商標目録記載の標章(三倍速マーク )を商標登録した 。 を「被告会社は,平成16年5月18日 ,三倍速マ」ークにつき商標登録出願をし ,平成17年5月13日,商標登録を受けた。」と改める。
(20) 原判決15頁8行目の「甲116」を「甲116,117」と改める。当審における被告らの補足的主張
(1) イークスマーク ,「NAKAYA」の標章等を付した鋸の輸出の有無(争点2)について被告会社が,原判決別紙違法行為一覧表1記載の鋸にイークスマーク及び「NAKAYA」の標章を付して輸出したことはない。上記鋸には,防錆コート(クリアコート)処理が施されており,イークスマーク及び「NAKAYA」の標章は,中国において,その表面上(クリアコートの上)に印刷されたものである(乙51ないし54) このことは ,甲132 ,133,13。5の撮影の対象物である各鋸は,甲134の撮影の対象物である鋸(防錆コート〔クリアコート〕の下に ,文字等が印刷されている 。 とは異なり,いず)れも防錆コート(クリアコート)の上にイークスマーク, NAKAYA」の「標章等が印刷されていることからも明らかである。
(2) 「NAKAYA 」の標章等を付した剪定鋏の輸出行為の違法性(争点3)について被告会社は,需要者に被告会社の商品を原告の商品と混同させることを目的として「NAKAYA」の標章を付したのではなく,鋸の製造販売等を業とする者の間で広く用いられている「中屋」の標章の欧文表記として用いたにすぎないのであるから,このような行為は不正競争行為とはいえない。また,被告会社は,中国において販売するため,中国において「NAKAYA」の標章に関する商標権を有しているBの許諾を得て,同標章を付したものである。したがって,被告会社の行為には違法性がない。
(3) 被告会社が ,三倍速マークにつき商標登録出願をし ,商標登録を受けた行為の違法性(争点4)について被告会社は,不法の目的をもって,上記登録出願をし,商標登録を受けたものではないから,被告会社の行為は違法性を有しない。
(4) 予備的請求原因について原告は,被告会社が ,鋸に付すために,イークスマーク, NAKAYA」「の標章等を付した包装袋を輸出した旨主張する。しかし,印刷の書体等から明らかなとおり,上記包装袋は我が国で印刷されたものではないので(乙55の1ないし3),原告の主張は失当である。当審における原告の補足的主張
(1) イークスマーク ,「NAKAYA」の標章等を付した鋸の輸出の有無(争点2)について甲132,133,135の撮影の対象物である各鋸は,防錆コート(クリアコート)処理がなされた後にイークスマーク , NAKAYA 」の標章等「が印刷されているのに対し,甲134の撮影の対象物である鋸は,防錆コート(クリアコート)処理前に文字等が印刷されたことがうかがわれる。上記のうち,平成16年2月19日仕入れの内装鋸替刃に該当する可能性がある甲132では,イークスマーク,「NAKAYA」の標章のほか,「中屋」の標章 , 三倍速」「MADE「 , IN JAPAN」及び「ZB265」の各文字はいずれも防錆コート(クリアコート)処理がなされた後に印刷されているから,イークスマーク,「NAKAYA」の標章は,「ZB265」の文字と同じ機会に印刷されたものと考えられる。また ,被告会社が,本訴提起前の原告との交渉において,イークスマーク ,「NAKAYA」の標章及び「中屋」の標章の版下を,和解契約締結から2週間以内に原告に交付する旨連絡してきたこと(乙33の2,33の4)からすれば,上記版下は被告会社の支配下にあったといえる。そうすると ,イークスマーク, NAKAYA」の標章等の印刷は,我が国「において行われたことが推測される。
(2) 「NAKAYA 」の標章等を付した剪定鋏の輸出行為の違法性(争点3)について被告会社は , NAKAYA 」「 の標章が世界的な名声を獲得したことを認識しながら(甲6の2,甲6の3,乙30の2 ,乙31の1) あえてこれを使,用したものであり,需要者に被告会社の商品を原告の商品と混同させようとしたことは明らかである。また,Bは ,被告らと共謀して, NAKAYA」「の標章を盗用した者であり,中国の商標法上も保護されない。したがって,被告会社の行為に違法性がないとする被告ら主張は,失当である。
(3) 被告会社が ,三倍速マークにつき商標登録出願をし ,商標登録を受けた行為の違法性(争点4)について被告会社が,三倍速マークにつき商標登録出願をしたのは,原告が長年かかって獲得した「NAKAYA」の標章に化体した信用を不法に利用するためであるから,被告会社の行為に違法性がないとする被告ら主張は,失当である。
第3 当裁判所の判断
当裁判所は,原告の本訴請求は主文第1項(1)ないし(4)の限度で認容すべきであり,その余の請求は棄却すべきものと判断する。その理由は,次のとおり訂正付加するほかは,原判決の「事実及び理由」欄の「第4 争点に対する判断」 原判決15頁13行目ないし23頁17行目)記載のとおりであるから ,(これを引用する。原判決の訂正(当審における当事者の補足的主張に対する判断を含む 。)
(1) 原判決15頁13行目ないし同頁20行目を次のとおり改める。
「1 イークスマーク ,「NAKAYA」の標章,「中屋」の標章の商品等表示性(争点1)について前記認定事実(前記第3の2,3)によれば,イークスマーク及び「NAKAYA」の標章は,原告の商品等表示,すなわち,原告の業務に係る商品「鋸」を表示するものとして,我が国のみならず,アメリカ,カナダ,イギリス,オーストラリア,南アフリカなど世界各国の需要者間に広く認識されており,遅くとも平成15年末ころまでには,中国の需要者間にも相当程度広く認識されるに至っていたことが認められる。これに対し , 中屋 」の標章は,前記認定のとおり,江戸時代から多数の鋸「鍛冶が使用していた屋号であり,この標章単独では,原告の業務に係る商品又は営業を表示するものとして需要者間に広く認識されているものとはいえない 。」
(2) 原判決17頁3行目ないし同頁12行目を次のとおり改める。
「これらの事実に加えて,証拠(甲137の1,2)によれば,前記商品には,表面に防錆コート(クリアコート)処理がされていること(平成16年1月20日〔カバサワはナカヤに19日納入〕仕入分と同年2月19日〔同17日納入〕仕入分は,同一の納入単価であるが,前者に防錆コート(クリアコート)処理がされていることが認められることからすると,後者にも同様の処理がされたとみるのが相当である 。)が認められるところ,番号15の商品と同一の品番(ZB265)が付されている甲132の撮影対象物である鋸には,防錆コート(クリアコート)処理が施され,その表面上 クリアコートの上 ) ,( に イークスマーク , NAKAYA 」 中「 ,「屋」 「三倍速 」 「MADE, , IN JAPAN」及び「ZB265」の各文字が印刷されていることが認められ(当事者間に争いがない 。 ,カバサ)ワが品番を印刷したのであれば ,品番以外の部分 イークスマーク及び N( 「AKAYA」等)も同時に印刷したとみるのが自然であることなどを総合考慮すると,被告会社が,番号14ないし16の商品に,イークスマーク及び「NAKAYA」の標章を我が国で付して輸出したと推認することができる。」
(3) 原判決17頁22行目ないし同頁25行目にかけての「また,証拠(甲1
16)によれば,・・・同様に信用できない。」を次のとおり改める。「また,証拠(甲116)によれば,Cは,前記証拠保全の際,平成16年2月17日の版下及びフィルム代は,OWマークに関するものである旨述べたこと,有限会社ケイ・アート代表取締役Dの作成に係る版下納入証明書(乙53)には,同社が平成16年1月28日にカバサワに納入した版下及びフィルムは,OWマークに関するものであることを証明する旨の記載があることが認められるが,証拠(乙49)によれば,カバサワがOWマークを付した鋸を納入したのは平成17年3月24日からであることに照らし,Cの前記供述の信用性は乏しく,イークスマークを使用していないことを証明するとのCの供述も同様に信用できないし,乙53も同様に措信できない。被告らは,イークスマーク及び「NAKAYA」の標章は,中国において,その表面上 クリアコートの上 )( に印刷されたものであると主張する 。しかし,被告らにとって,中国のどこで,いつ,誰が,イークスマーク及び「NAKAYA」の標章を印刷したのかを明らかにすることは,格別困難とは認められないにもかかわらず,被告らは,この点について具体的な説明をしていないこと,乙51ないし53は,現時点において,中国でクリアコートの上に印刷することが不可能ではないことを示すものにすぎず,番号14ないし16の商品にイークスマーク及び「NAKAYA」の標章が付されたのが,中国国内であることを示すとものとはいえないことに照らせば,被告らの上記主張は採用することができない 。」
(4) 原判決18頁11行目の後に次のとおり挿入する。
「また,番号19の商品と同一の品番(YL240)が付されている甲135の撮影対象物である鋸には,防錆コート(クリアコート)処理が施され,その表面上 クリアコートの上 ) ,( に イークスマーク , NAKAYA 」「 ,「中屋」 「三倍速 」 「MADE, , IN JAPAN」及び「YL240」の各文字が印刷されていることが認められる 当事者間に争いがない 。 。( )」
(5) 原判決20頁9行目の後に改行して次のとおり挿入する。
「なお,被告らは,被告会社が,需要者に被告会社の商品を原告の商品と混同させることを目的として NAKAYA 」「 の標章を付したのではなく ,鋸の製造販売等を業とする者の間で広く用いられている「中屋」の標章の欧文表記として用いたにすぎず,また,中国において「NAKAYA」の標章に関する商標権を有しているBの許諾を得て,同標章を付したものであるから,被告会社の行為には違法性がない旨主張する。しかし,上記剪定鋏の「NAKAYA/JAPAN」の刻印に接した需要者は,同刻印中の「NAKAYA」の標章をもって,商品の出所を表示するものと認識,理解することは明らかであるから,被告会社の行為は,原告が「NAKAYA」の標章により獲得した出所表示機能等を毀損する正に不正競争行為に当たるものというべきである。また,中国において商標権を有するBから許諾を受けたことをもって,原告から許諾を受けたと解する余地もない 。以上のとおり,被告らの上記主張は失当である 。」
(6) 原判決20頁14行目ないし同頁19行目を次のとおり改める。
「4 被告会社が,三倍速マークにつき商標登録出願をし,商標登録を受けた行為の違法性(争点4)について商標を使用しようとする者が,商標権を得るために,商標登録出願をする行為は,適正な商標の使用を通じて,業務上の信用の維持を図り,産業の発達に寄与し,需要者の利益を保護するという商標制度を利用する行為であって,保護されるべきである。したがって,商標の登録出願が不法行為に当たるか否かを判断するに当たっては,商標制度の利用が不当に制限されることのないよう慎重に配慮されるべきである。そのような観点に立つと,商標の登録出願をする行為は,特段の事情のない限り,不法行為を構成することはないというべきである。しかし,出願人が,商標登録の要件を欠くことを知り,又は通常の注意を払えば容易に知り得たのにもかかわらず,不当な権利行使をする目的や,第三者に損害を与える意図の下に,登録出願をするような場合には,商標制度が設けられた趣旨,目的に著しく反する行為として,不法行為を構成する場合があるというべきである。上記の観点から ,被告会社が ,三倍速マークにつき商標登録出願をし ,商標登録を受けたことが,原告に対する不法行為を構成する否かについて,検討する。前記認定事実(前記第3,6)のとおり,被告会社は,平成16年5月18日,三倍速マークにつき商標登録出願をし,平成17年5月13日,商標登録を受けたが,原告が,三倍速マークは,原告の業務に係る商品である鋸を表示するものとして需要者間に広く認識されている商標「NAKAYA」と類似する商標であり,商標法4条1項10号により商標登録を受けることができないとして,無効審判を請求したところ,特許庁は,平成18年3月30日,これを無効とするとの審決をし,知的財産高等裁判所は,同年7月26日,同審決の取消しを求める請求を棄却する旨の判決をし,同判決の確定により,三倍速マークに係る被告会社の商標登録は無効となったことが認められる。そして,本件において,被告会社が,原告に対し,三倍速マークに係る登録商標に基づく権利行使をしたり,高額で権利の買い取りを求めたりしたなどの事情は存在せず,被告会社が,三倍速マークにつき商標登録出願をし,商標登録を受けたことにより,直ちに原告の法益が侵害されたとはいうことはでいない。したがって,被告会社が,三倍速マークにつき商標登録出願をし,商標登録を受けたことが,原告に対する不法行為を構成するものではないというべきである 。」
(7) 原判決20頁20行目ないし22頁19行目を次のとおり改める。
「5 損害
(1) イークスマーク,「NAKAYA」の標章を付した鋸替刃の輸出に
よる営業上の利益の侵害被告会社がイークスマーク, NAKAYA 」「 の標章を付した鋸替刃を輸出したことにより原告が侵害された営業上の利益について,検討する。ア 不正競争防止法5条1項に基づく請求について被告会社は,前記2のとおり,原判決別紙違法行為一覧表1記載のとおり,合計1万6730枚の鋸替刃にイークスマーク及び「NAKAYA」の標章を付して,中国に輸出したことが認められる。他方,前記認定事実(前記第3,4)によれば,原告は,平成15年5月,被告会社との商談を開始したものの,同年7月ころ,被告会社との商談は立ち消えとなり,その後,原告は,被告会社による上記輸出が行われた平成16年当時から現在に至るまで,原告の商品を中国に輸出したことはなく,現時点では中国市場に進出する具体的な計画も存在しないことが認められる(原告代表者本人,弁論の全趣旨) そうすると,被告会社が中国に輸出した上記商品と ,。原告の商品は,市場において互いに補完する関係にないことが明らかである。不正競争防止法5条1項の規定は,侵害者が譲渡した物と被侵害者が販売する物とが市場において互いに補完する事情のある場合にに適用されるというべきところ,上記のとおり,本件においては,その前提を欠くというべきであるから,同項の適用はない。イ 不正競争防止法5条3項1号に基づく請求について前記1のとおり,イークスマーク及び NAKAYA 」「 の標章は ,原告の商品等表示として,我が国のみならず,アメリカ,カナダ,イギリス,オーストラリア,南アフリカなど世界各国の需要者間に広く認識されており,中国の需要者間にも相当程度広く認識されるに至っており,イークスマーク及び「NAKAYA」の標章の付された鋸が市場において非常に高い評価を受けていること,イークスマーク及び「NAKAYA」の各標章が共に使用されてること等を総合考慮すると,イークスマーク及び「NAKAYA」の標章を付することにより受けるべき金銭の額は,販売金額の20%と認めるのが相当である。なお,前記認定事実に照らし,被告会社に少なくとも過失があることは,明らかである。したがって,被告会社がイークスマーク, NAKAYA」の標章「を付した鋸替刃を輸出したことによる原告の損害の額は,販売金額合計410万6300円の20%である82万1260円と算定することができる。
(2) 「NAKAYA 」の標章を付した剪定鋏の輸出による営業上の利益
の侵害被告会社が「NAKAYA」の標章を付した剪定鋏を輸出したことにより原告が侵害された営業上の利益について,検討する。ア 不正競争防止法5条2項に基づく請求について前記(1)アのとおり ,原告は ,被告会社による上記輸出が行われた平成16年当時から現在に至るまで,原告の商品を中国に輸出したことはなく,現時点では中国市場に進出する具体的な計画も存在しないことが認められるから,被告会社の侵害行為と原告の営業行為が対応する関係にないことは明らかであり,そうすると本件においては,不正競争防止法5条2項の推定を覆す事情が存在するものと解すべきである。イ 不正競争防止法5条3項1号に基づく請求について前記(1)イの事情を総合考慮すると ,「NAKAYA」の標章の使用に対し受けるべき金銭の額は,販売金額の15%と認めるのが相当である。なお,前記認定事実に照らし,被告会社に少なくとも過失があることは,明らかである。したがって,被告会社が「NAKAYA」の標章を付した剪定鋏を輸出したことによる原告の損害の額は,販売金額合計70万0740円の15%である10万5111円と算定することができる。
(3) 信用毀損
前記(1)アのとおり,原告は,平成15年5月 ,被告会社との商談を開始したものの ,同年7月ころ,被告会社との商談は立ち消えとなり ,現時点では中国市場に進出する具体的な計画も存在しないが,被告会社との商談が不成立になった原因は,被告らが,原告に対し,被告会社に中古機械を提供するように求めたり,品質管理上納入が困難な価格を希望したりしたことにあったことがうかがわれる。原告は,鋸替刃について,品質管理を徹底させているところ,カバサワが製造した鋸替刃は,原告の商品の製造原価より,低価格であるが,経費削減のために工程の一部を省略した商品 番号17 )( もあり ,品質において劣っていることが認められる。また,証拠(甲6の1ないし3,甲120)によれば,原告は,柄についても品質管理を徹底させているところ,被告会社が輸出した鋸替刃は,現地で,粗悪な品質の柄を取り付けた上,販売していることが認められる。このように,原告製品(鋸替刃等)に対する信頼性は,被告会社の不正競争行為(イークスマーク及び「NAKAYA」の標章を付してカバサワ製の鋸替刃を輸出したり,現地で粗悪な柄を取り付けさせた行為)により,大きく毀損されたというべきである。なお,前記認定の各事実に照らし,被告会社に少なくとも過失があることは,明らかである。さらに,原告は,中国市場に進出する希望を持っているものの,上記信用の毀損の結果,実際にこれを行うことが困難な状況にある(原告代表者本人)。以上の事実を総合考慮すると,原告の受けた信用毀損の額は,200万円を下回らないと認定するのが相当である 。」
(8) 原判決22頁24行目ないし23頁1行目を削除する。
(9) 原判決23頁2行目ないし同頁17行目を次のとおり改める。
「6 被告Aの責任被告会社は,前記のとおり,不正競争及び不法行為により,原告に金342万6371円の損害を生じさせたところ,被告会社の代表者代表取締役(他に従業員はいない 。 である被告Aは,実質上,被告会社と一)体であり,同社の不正競争及び不法行為の実行行為者であるから,被告会社と連帯して損害賠償責任を負うというべきである。なお,前記認定事実に照らし,被告Aに少なくとも過失があることは,明らかである。
7 差止請求等
被告会社は,前記のとおり,イークスマーク及び「NAKAYA」の標章を付した鋸替刃及び刻印「NAKAYA」付きの剪定鋏を輸出したのであるから,イークスマーク又は「NAKAYA」の標章を鋸(鋸替刃を含む 。 又は剪定鋏に付し ,イークスマーク又は「NAKAYA」の)標章を付した鋸(鋸替刃を含む。 又は剪定鋏を譲渡し,引渡し,譲渡若)しくは引渡しのために展示し,輸出するおそれが認められるから,原告の差止請求は,主文第1項(1),(2)記載の限度で理由がある。また,被告会社は,前記鋸替刃を輸出するに当たり,イークスマークの版下及び「NAKAYA」の標章の版下を作成したと認められ(甲136の2 ,137の2,乙33の2,33の4) これが滅失したことに,ついては主張 ,立証がなく,また ,被告会社が作成した「NAKAYA 」の標章の版下 , 中屋」の標章の版下の廃棄は ,上記侵害の予防に必要で「あるから ,版下の廃棄を求める原告の請求は ,主文第1項(3)の限度で理由がある。前記のとおり,被告会社は,不正競争及び不法行為により,原告に金342万6371円の損害を生じさせたものであり,また,被告Aは,被告会社と連帯して損害賠償責任を負うから,原告の損害賠償請求は,主文第1項(4)の限度で理由があり,原告のその余の請求は,理由がない。」結論以上によれば,原告の本訴請求は主文第1項(1)ないし(4)の限度で認容すべきであるから,これと異なる原判決を変更することとし,主文のとおり判決する。知的財産高等裁判所第3部裁判長裁判官 飯 村 敏 明裁判官 大 鷹 一 郎裁判官 嶋 末 和 秀
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