平成19(行ケ)10286審決取消請求事件
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裁判所 |
請求棄却 知的財産高等裁判所
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裁判年月日 |
平成20年1月30日 |
事件種別 |
民事 |
当事者 |
被告特許庁長官肥塚雅博 原告スター・システムズ・インク
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法令 |
商標権
商標法4条1項11号3回
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キーワード |
審決20回
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主文 |
原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。この判決に対する上告及び上告受理の申立てのための付加期間を30日と定める。 |
事件の概要 |
本件は,原告が,下記1(1)の商標登録出願(以下「本件商標登録出願」とい
い,この出願に係る商標を「本願商標」という。)をしたところ,下記1(2)のと
おり,本願商標は商標法4条1項11号に該当するとして拒絶査定を受けたので,
これを不服として審判請求をしたが,「本件審判の請求は,成り立たない。」との
審決がされたため,その取消しを求める事案である。 |
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判決文
平成19年(行ケ)第10286号 審決取消請求事件
平成20年1月30日判決言渡,平成19年12月20日口頭弁論終結
判 決
原 告 スター・システムズ・インク
訴訟代理人弁護士 山崎行造,杉山直人
被 告 特許庁長官 肥塚雅博
指定代理人 田代茂夫,森山啓
主 文
原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
この判決に対する上告及び上告受理の申立てのための付加期間を30日と定める。
事実及び理由
第1 原告の求めた裁判
「特許庁が不服2006−5654号事件について平成19年3月13日にした
審決を取り消す。」との判決
第2 事案の概要
本件は,原告が,下記1(1)の商標登録出願(以下「本件商標登録出願」とい
い,この出願に係る商標を「本願商標」という。)をしたところ,下記1(2)のと
おり,本願商標は商標法4条1項11号に該当するとして拒絶査定を受けたので,
これを不服として審判請求をしたが,「本件審判の請求は,成り立たない。」との
審決がされたため,その取消しを求める事案である。
1 特許庁における手続の経緯
(1) 本件商標登録出願
出願人:原告
本願商標の構成:「STAR」(標準文字)
指定役務:第36類「電子マネー利用者に代わってする支払代金の決済」
-1 -
出願日:平成16年8月31日
拒絶査定日:平成18年2月27日
(2) 本件手続の経緯
審判請求日:平成18年3月28日(不服2006−5654号)
審決日:平成19年3月13日
審決の結論:「本件審判の請求は,成り立たない。」
審決謄本送達日:平成19年4月4日
2 審決の理由の要旨
審決は,本願商標は,下記(1)の商標(以下「引用商標」という。)と類似する
商標であって,引用商標の指定役務と類似する役務について使用するものであると
し,本願商標は商標法4条1項11号に該当すると判断した。審決の理由中,「当
審の判断」の部分は下記(2)に示すとおりである。
(1) 引用商標
登録出願日:平成14年6月21日
設定登録日:平成15年4月18日
登録番号:第4664304号
商標の構成:「THE STAR」(標準文字)
指定役務:第36類「預金の受入れ(債券の発行により代える場合を含む。)及
び定期積金の受入れ,資金の貸付け及び手形の割引,内国為替取引,債務の保証及
び手形の引受け,有価証券の貸付け,金銭債権の取得及び譲渡,有価証券・貴金属
その他の物品の保護預かり,両替,金融先物取引の受託,金銭・有価証券・金銭債
権・動産・土地若しくはその定着物又は地上権若しくは土地の賃借権の信託の引受
け,債券の募集の受託,外国為替取引,信用状に関する業務,割賦購入あっせん,
前払式証票の発行(「プリペイドカードの発行」),ガス・電気料金の支払いの取
次ぎ,ガス・電気料金の徴収の代行,有価証券の売買,有価証券指数等先物取引,
有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引,有価証券の売買・有価証券指
-2 -
数等先物取引・有価証券オプション取引及び外国市場証券先物取引の媒介・取次ぎ
又は代理,有価証券市場における有価証券の売買取引・有価証券指数等先物取引及
び有価証券オプション取引の委託の媒介・取次ぎ又は代理,外国有価証券市場にお
ける有価証券の売買取引及び外国市場証券先物取引の委託の媒介・取次ぎ又は代
理,有価証券の引受け,有価証券の売出し,有価証券の募集又は売出しの取扱い,
株式市況に関する情報の提供,商品先物取引の受託,生命保険契約の締結の媒介,
生命保険の引受け,損害保険契約の締結の代理,損害保険に係る損害の査定,損害
保険の引受け,保険料率の算出,建物の管理,建物の貸借の代理又は媒介,建物の
貸与,建物の売買,建物の売買の代理又は媒介,建物又は土地の鑑定評価,土地の
管理,土地の貸借の代理又は媒介,土地の貸与,土地の売買,土地の売買の代理又
は媒介,土地の有効利用に関する企画・助言,建物又は土地の情報の提供,骨董品
の評価,美術品の評価,宝玉の評価,企業の信用に関する調査,慈善のための募
金,金融情報の提供,投資信託の評価に関する情報の提供,電子マネー利用者に代
ってする支払代金の決済,インターネットによる商品売買代金の回収代行」及び
第42類「デザインの考案,ウェブサイトの作成又は保守,有価証券の運用に関
する電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守及びこれらに関する助言,その
他の電子計算機のプログラムの設計・作成又は保守若しくはこれらに関する助言又
は情報の提供,通信ネットワークシステムのコンピュータソフトウェアの設計・作
成又は保守及びこれらに関する助言,銀行業務・信託業務及び不動産に関する情報
処理システムのコンピュータソフトウェアの設計・作成又は保守及びこれらに関す
る助言,その他の情報処理システムのコンピュータソフトウェアの設計・作成又は
保守及びこれらに関する助言,電子計算機システムの設計・作成又は保守及びこれ
らに関する助言,電子計算機(中央処理装置及び電子計算機用プログラムを記憶さ
せた電子回路・磁気ディスク・磁気テープ・その他の周辺機器を含む。)及び電子
計算機用プログラムに関するマニュアルの作成,インターネットを用いて行う検索
エンジンの提供,電子計算機端末による通信ネットワークにおけるセキュリティー
-3 -
用のプログラムの設計・作成又は保守及びこれらに関する助言又は情報の提供,機
械・装置若しくは器具(これらの部品を含む。)又はこれらにより構成される設備
の設計,電子計算機(中央処理演算装置及び電子計算機用プログラムを記憶させた
電子回路・磁気ディスク・磁気テープその他の周辺機器を含む。)の貸与,コンピ
ュータデータベースへのアクセスタイムの賃貸,電子計算機端末による通信におけ
るサーバの記憶領域の貸与,通信ネットワークによる電子計算機用プログラムの提
供,回線を利用して行う時間貸による電子計算機の提供,電子計算機におけるデー
タのフォーマットの変換,電子計算機及び電子計算機用のプログラムの環境設定・
インストール及び機能の拡張・追加,電子計算機・自動車その他その用途に応じて
的確な操作をするためには高度の専門的な知識・技術又は経験を必要とする機械の
性能・操作方法等に関する紹介及び説明,環境衛生に関する調査又は研究及びこれ
らに関する助言,土木・建築又は都市計画に関する研究及びこれらに関する助言,
公害・災害・事故の防止に関する調査・試験・研究又は情報の提供,科学・技術・
生産に関する試験・検査・研究及びこれらに関する情報の提供,知的財産権に関す
る調査・研究及びこれらに関する情報の提供」
(2) 審決の「当審の判断」の部分
本願商標は,前記1のとおり,「STAR」の欧文字を標準文字で書してなり,これよりは,「ス
ター」の称呼を生ずるものである。
他方,引用商標は,前記2のとおり,「THE STAR」の欧文字を標準文字で書してなるとこ
ろ,その構成中前半の「THE」の欧文字は,特段の意味内容をもたない定冠詞であって自他商品の
識別機能を有するものでないことから,それに続く「STAR」の欧文字部分に着目し,これより生
ずる称呼をもって取引にあたる場合も少なくないというのが相当である。
そうとすれば,引用商標は,単に「スター」の称呼をも生ずるといわなければならない。
また,「STAR」の欧文字は,「星,運星,星形」等の意味を有する親しまれた英語であり,
「STAR」及び「THE STAR」の欧文字は,ともに「星,運星,星形」等の観念が生ずるも
のである。
そうすると,本願商標と引用商標とは,「スター」の称呼と「星,運星,星形」等の観念を共通に
-4 -
する類似の商標といわなければならない。
そして,本願商標は,引用商標の指定役務と類似する役務について使用するものである。
したがって,本願商標が商標法第4条第1項第11号に該当するとして本願を拒絶した原査定は妥
当であって,取り消すことはできない。
第3 審決取消事由の要点
審決は,引用商標が「THE STAR」の欧文字を標準文字で書してなると
ころ,その構成中前半の「THE」の欧文字は,特段の意味を持たない定冠詞で
あって自他商品の識別機能を有するものではないことから,それに続く「STA
R」の欧文字部分に着目し,これより生ずる称呼をもって取引にあたる場合も少
なくないとして,引用商標から「スター」の称呼を生じると認定し,本願商標と
引用商標が類似するとの結論を導いているが,審決のこの判断は誤りである。
引用商標は,わずか7文字のアルファベットを用いる標準文字から構成され,
同書同大の文字でまとまりよく表されている商標であり,「STAR」の部分のみ
を分離して抽出すべき理由はなく,引用商標から生じる「ザスター」の称呼は極め
て簡潔で,かつ「スター」と略称すべき特段の事情は見出せないため,引用商標か
らは「ザスター」の称呼のみが生じるというべきである。
「THE」自体は特に意味を有さない語として知られているとしても,後に続く
語を限定,特定するなどの意味,機能を有するものであり,特に,最近の商標選択
の傾向としては,英語の定冠詞「THE」又はこれに通じる日本語「ザ」を名詞の
前に添加して格別のニュアンスを持たせ,単なる名詞とは区別して使用している事
例が数多く存在するところ,両語の一体性を肯認する審決例(平成11年審判第3
5213号,昭和59年審判第14810号)もある。
なお,引用商標に先行する類似の商標についての商標登録が存在するところ,
これらの商標からはいずれも「スター」の称呼を生じ,かつ,これらの商標の指
定役務と引用商標の指定役務とは明らかに同一又は類似のものである。それにも
かかわらず,引用商標の登録が認められたことからすると,引用商標はこれら商
-5 -
標とは非類似のもの,すなわち,引用商標から生ずる称呼は「ザスター」のみで
あって「スター」の称呼を生じないと判断されたと考えるべきである。また,そ
もそも,引用商標の登録が認められていなければ,本願商標の登録は認められた
はずである。
そして,「ザスター」と「スター」の称呼を比較した場合,いずれも極めて短い
称呼でありながら,全体の音数を異にし,称呼上最も重要な語頭音において「ザ」
と「ス」という顕著な差異を有している。このため,これらの相違が称呼全体に与
える影響は極めて大きく,よって,両者は称呼上明確に識別され得る非類似のもの
である。
したがって,引用商標からは「ザスター」の称呼のみが生じ,本願商標と引用
商標は類似していないから,これと異なる審決の判断は誤りである。
第4 被告の反論の要点
原告は,引用商標からは「ザスター」の称呼のみが生じると主張するが,誤りで
ある。
引用商標は,「星」等の意味を有する英語「STAR」の文字と,英語の定冠詞
「THE」の文字とを組み合わせた「THE STAR」の標準文字より構成され
るところ,両文字の間には,1文字分の空白(スペース)が存することから,「T
HE」の文字と「STAR」の文字とは,視覚上分離して看取し得るものである。
加えて,我が国における今日の英語の普及状況から,前記のとおり,「THE」
の文字部分は,英語の定冠詞として認識されるものであり,「強いて訳さないでよ
い場合が多い」と説明されているように,特段明確な意味を認識されるものではな
く,他方,「STAR」の文字部分は,それ自体で「星」等の明確な意味を有する
語として,一般に広く親しまれ,認識されている平易な英語であることからする
と,「THE」の文字と「STAR」の文字とは,自ずと印象の度合いに軽重の差
を有するというべきであって,引用商標をその指定役務に使用した場合には,需要
者,取引者は,その構成中,明確な意味を有する「STAR」の文字部分が顕著に
-6 -
印象に残り,当該文字部分から生ずる「スター」の称呼及び「星」等の観念で印象
付けられ,記憶するものということができる。
したがって,引用商標をその指定役務に使用した場合,需要者,取引者をして,
構成文字全体に相応して「ザスター」と称呼し,「特定の星」等の観念を生じるの
みならず,構成中「STAR」の文字部分に着目して「スター」と称呼し,また
「星」等の観念をもって,把握されることもあるとみるのが自然であるから,「S
TAR」の文字部分は,独立して自他役務の識別標識としての機能を果たすものと
いえる。
そうすると,「スター」の称呼を生じることについて原告も認めている本願商標
と,引用商標とは,「スター」の称呼を共通にするものであり,本願商標と引用商
標とは,外観,称呼及び観念のいずれの点からみても類似の商標というべきであ
る。
また,そもそも商標法4条1項11号は,商品・役務の出所の混同防止のための
規定であるから,その類否の判断は,あくまで当該出願に係る商標と特定の他人の
登録商標との対比においてのみ決定されるべきものであって,本願商標と引用商標
の類否は,両商標の構成態様と指定役務に基づいて,取引の実情等を考慮して,個
別具体的に判断すべきものであるから,過去の審決例・登録例等に基づく原告の主
張は,失当である。
第5 当裁判所の判断
1 本願商標と引用商標の各構成,本願商標から「スター」の称呼及び「星」等の
観念が生ずること並びに両商標に係る指定役務が類似するものであることは,いず
れも当事者間に争いがない。
したがって,本件の争点は,引用商標の称呼が「ザスター」であり,その観念が
「その星,あの星等」であることに加え,本願商標から生ずる上記の称呼及び観
念,すなわち,「スター」,「星」等が生ずるか否かである。
2 引用商標の称呼及び観念
-7 -
(1) 引用商標の「THE STAR」の構成は,「THE」と「STAR」の間
に1文字の空白があり,かつ,「THE」及び「STAR」は共に中学校において
学習する程度の基本語と位置付けられている(乙第1,2号証)ように,我が国に
おいて,英語学習の初期に修得する極めて親しみやすい単語であり,両語ともその
称呼及び観念が国民の間に広く浸透し親しまれていることは公知の事実であるか
ら,引用商標に接した需用者,取引者がこれを英語の「THE」と「STAR」の
2語からなるものと認識するであろうことは容易に推認することができるといわな
ければならない。そして,引用商標の構成中「THE」の部分は,その代表的語義
が「その,例の,問題の」であるように,次に続く名詞中の特定のものを限定する
機能を有する定冠詞であり,「強いて訳さないでよい場合が多い」とされている
(乙第2号証)ように,次に続く名詞に対する限定性ないしは指示性の弱い語であ
る。そして,上記認定のとおり,「THE」(the)の語が英語の初歩的な基本
語として国民の間に広く浸透していることからすると,引用商標の構成中,「TH
E」の部分が有する限定性は弱く,同部分の自他商品識別機能は薄弱であって,引
用商標に係る需用者,取引者が,「THE STAR」のうち「STAR」の部分
のみに着目することは十分あり得るものというべきである。
引用商標から,その構成に即して,「ザスター」の称呼及び「その星,その星形
のもの,その運勢」との観念が生じることは明らかであるが,以上に説示したとこ
ろに照らすならば,それに止まらず,単に「スター」との称呼及び「星,星形のも
の,運勢」との観念を生じることを否定することは困難であるといわざるを得な
い。
(2) 原告の主張について
原告は,わずか7文字のアルファベットを用いる標準文字から構成される引用商
標から「STAR」の部分のみを分離抽出すべき理由はないと主張するが,前項に
説示した引用商標の構成,各構成語の称呼及び観念並びに各構成語の我が国におけ
る浸透度等に照らすと,引用商標から本願商標と同様の称呼及び観念が生ずること
-8 -
を否定することは困難であるから,原告の主張は失当である。
また,原告は,「THE」自体は特に意味を有さない語として知られているとし
ても,後につづく語を限定,特定等する意味,機能を有するものであり,特に,最
近の商標選択の傾向としては,英語の定冠詞「THE」又はこれに通じる日本語
「ザ」を名詞の前に添加して格別のニュアンスを持たせ,単なる名詞とは区別して
使用している事例が数多く存在し,同旨の判断をする審決例(平成11年審判第3
5213号(甲第1号証),昭和59年審判第14810号(甲第2号証))もあ
ると主張する。
確かに,原告の挙げる上記審決例は,「The Class」なる文字部分が商
品の出所標識としての機能を果たし得ることを認めた上で,上記2文字の不可分一
体性は強く,「ザクラス」の称呼を生ずるものである旨説示しているところであ
る。しかし,その理由付けは必ずしも首肯するに足りるものとはいえず,これをも
って前記(1)の判断を左右するには足りない。また,原告が引用する甲第2号証の
登録異議の決定においては,「ザ・デイナー」の文字部分から「ザデイナー」の称
呼のみが生ずる旨認定しているところであるが,この例においては,英語の定冠詞
「The」を「ザ・」と表示している点において本件とは異なるから,これを同列
に論ずることは相当ではない。したがって,上記の原告主張は採用することができ
ない。
さらに,原告は,引用商標に先行していずれも「スター」の称呼を生じ,か
つ,これらの商標の指定役務と引用商標の指定役務とは明らかに同一又は類似の
商標についての商標登録が存在することからすると,引用商標はこれら商標とは
非類似のもの,すなわち引用商標の称呼は「ザスター」であり,「スター」の称
呼を生じないと判断されたものと考えるべきであると主張する。
しかし,仮に,上記のような推認が可能であるとしても,これをもって,上記
2(1)で説示した引用商標から「スター」の称呼及び観念が生ずる旨の認定判断
を左右するには足りないから,原告の上記主張を採用することはできない。
-9 -
加えて,原告は,仮に引用商標から「スター」の称呼を生じるとするのであれ
ば,引用商標が登録されたことと整合的に説明できないとも主張する。
確かに,商標の登録査定において類否の判断が整合的に行われることは重要な
行政的要請であることは原告の主張するとおりであるところ,引用商標の称呼に
関する原告の上記推認を前提とするならば,引用商標に係る称呼の認定判断に整
合性を欠いた事態も否定できないこととなるが,かかる事態の存在をもって,前
記2(1)で説示した引用商標の称呼及び観念に関する認定判断を左右することは
できないから,この点に関する原告主張も採用することはできない。
3 上記1及び2によると,本願商標と引用商標は,称呼及び観念を共通にするも
のであるから,本願商標と引用商標は類似の商標であるというほかはなく,これと
同旨の審決の認定判断に誤りはない。
第6 結論
以上のとおり,審決取消事由は理由がないから,原告の請求を棄却するべきであ
る。
知的財産高等裁判所第4部
裁判長裁判官
田 中 信 義
裁判官
石 原 直 樹
裁判官
杜 下 弘 記
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