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平成18(ワ)27454不正競争行為差止等請求事件

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裁判所 請求棄却 東京地方裁判所
裁判年月日 平成19年12月26日
事件種別 民事
当事者 被告株式会社晃栄電子 株式会社コーエイクリエイトサービス 株式会社アメック
原告コノコ医療電機株式会社山本厚
法令 不正競争
不正競争防止法5条1項9回
不正競争防止法2条1項1号3回
不正競争防止法5条3項2回
不正競争防止法4条1回
不正競争防止法5条3項1号1回
キーワード 差止15回
実施14回
侵害11回
損害賠償3回
許諾2回
ライセンス1回
新規性1回
主文 1( ) 被告晃栄は,別紙被告製品目録記載の「楽らく針」(以下「被告製品」と1いう。)を製造し,販売し,又は販売のために展示してはならない。(2) 被告晃栄は,被告製品の針付バイブレータ本体(以下,単に「本体」という。)の「バイブレーターケース 腹 「バイブレーターケース 背」及び「ホルダ」,ーカバー ,並びに被告製品の本体の半製品の「バイブレーターケース 腹 「バイ」 」,ブレーターケース 背」及び「ホルダーカバー」を本体から取り外した上廃棄し,被告製品の本体の「バイブレーターケース 腹 「バイブレーターケース 背」及び」,「ホルダーカバー」の製造に用いられる金型を廃棄せよ。2( ) 被告クリエイトは,被告製品を販売し,又は販売のために展示してはな1らない。(2) 被告クリエイトは,被告製品の本体の「バイブレーターケース 腹 「バ」,イブレーターケース 背」及び「ホルダーカバー」を本体から取り外した上廃棄せよ。3( ) 被告アメックは,被告製品を販売し,又は販売のために展示してはなら1ない。(2) 被告アメックは,被告製品の本体の「バイブレーターケース 腹 「バイ」,」 「 」 。ブレーターケース 背 及び ホルダーカバー を本体から取り外した上廃棄せよ4(1) 被告らは,原告に対し,連帯して352万3488円及びこれに対する平成18年12月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。( ) 被告晃栄及び被告クリエイトは,原告に対し,連帯して1907万98288円及びこれに対する平成18年12月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
5 原告の被告らに対するその余の請求をいずれも棄却する。
6 訴訟費用は,原告と被告晃栄及び被告クリエイトとの間においては,原告に生じた費用の3分の1を被告晃栄及び被告クリエイトの負担とし,その余は各自の負担とし,原告と被告アメックとの間においては,原告に生じた費用の6分の1を被告アメックの負担とし,その余は各自の負担とする。
7 この判決の第4項は,仮に執行することができる。
事件の概要 本件は,原告が,被告らに対し,原告が製造販売する別紙原告製品目録記載1及 び2の家庭用医療機器「シンアツシン」(以下,各製品を「原告製品1」のように いい,両者を合わせて「原告製品」という。)の本体の形態が原告の商品等表示と して需要者の間に広く認識されているところ,被告製品の本体の形態がこれに類似 し,原告製品と混同するおそれがあり,原告の営業上の利益が侵害されると主張し て,不正競争防止法2条1項1号,3条に基づき,被告製品の製造,販売等の差止 め,並びに在庫品及び半製品の本体の廃棄並びに金型の廃棄を求めるとともに,同 法4条に基づく損害賠償金(一部請求)の支払を求めた事案である。

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判決文

平成19年12月26日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官
平成18年(ワ)第27454号 不正競争行為差止等請求事件
口頭弁論終結日 平成19年10月15日
判 決
東京都品川区〈以下略〉
原告 コノコ医療電機株式会社
訴訟代理人弁護士 三浦雅生
山本厚
石川雅子
岡野陽子
河野裕輔
今野智博
兵庫県明石市〈以下略〉
被告 株式会社晃栄電子
(以下「被告晃栄」という。)
同所
被告 株式会社コーエイクリエイトサービス
(以下「被告クリエイト」という。)
上記2名訴訟代理人弁護士 井口寛司
石橋伸子
高島浩
芝崎准一
松谷卓也
田中朋子
札幌市東区〈以下略〉
被告 株式会社アメック
(以下「被告アメック」という。)
主 文
1(1) 被告晃栄は,別紙被告製品目録記載の「楽らく針」(以下「被告製品」と
いう。)を製造し,販売し,又は販売のために展示してはならない。
(2) 被告晃栄は,被告製品の針付バイブレータ本体(以下,単に「本体」とい
う。)の「バイブレーターケース 腹」 「バイブレーターケース
, 背」及び「ホルダ
ーカバー 」,並びに被告製品の本体の半製品の「バイブレーターケース 腹」「バイ

ブレーターケース 背」及び「ホルダーカバー」を本体から取り外した上廃棄し,
被告製品の本体の「バイブレーターケース 腹」 「バイブレーターケース
, 背」及び
「ホルダーカバー」の製造に用いられる金型を廃棄せよ。
2( 1) 被告クリエイトは,被告製品を販売し,又は販売のために展示してはな
らない。
(2) 被告クリエイトは,被告製品の本体の「バイブレーターケース 腹」「バ

イブレーターケース 背」及び「ホルダーカバー」を本体から取り外した上廃棄せ
よ。
3( 1) 被告アメックは,被告製品を販売し,又は販売のために展示してはなら
ない。
(2) 被告アメックは,被告製品の本体の「バイブレーターケース 腹」「バイ

ブレーターケース 背」及び「 ホルダーカバー 」を本体から取り外した上廃棄せよ 。
4(1) 被告らは,原告に対し,連帯して352万3488円及びこれに対する
平成18年12月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
( 2) 被告晃栄及び被告クリエイトは,原告に対し,連帯して1907万98
88円及びこれに対する平成18年12月14日から支払済みまで年5分の割合に
よる金員を支払え。
5 原告の被告らに対するその余の請求をいずれも棄却する。
6 訴訟費用は,原告と被告晃栄及び被告クリエイトとの間においては,原告に
生じた費用の3分の1を被告晃栄及び被告クリエイトの負担とし,その余は各自の
負担とし,原告と被告アメックとの間においては,原告に生じた費用の6分の1を
被告アメックの負担とし,その余は各自の負担とする。
7 この判決の第4項は,仮に執行することができる。
事実及び理由
第1 請求
1( 1) 被告晃栄は,被告製品を製造し,販売し,販売のために展示し,又は電
気通信回線を通じて提供してはならない。
(2) 被告晃栄は,被告製品の本体,被告製品の本体の外観を構成する半製品及
び被告製品の本体の製造に用いられる金型を廃棄せよ。
2( 1) 被告クリエイトは,被告製品を販売し,販売のために展示し,又は電気
通信回線を通じて提供してはならない。
(2) 被告クリエイトは,被告製品の本体を廃棄せよ。
3( 1) 被告アメックは,被告製品を販売し,販売のために展示し,又は電気通
信回線を通じて提供してはならない。
(2) 被告アメックは,被告製品の本体を廃棄せよ。
4 被告らは,原告に対し,連帯して6000万円及びこれに対する平成18年
12月14日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。
5 訴訟費用は,被告らの負担とする。
6 仮執行宣言
第2 事案の概要
本件は,原告が,被告らに対し,原告が製造販売する別紙原告製品目録記載1及
び2の家庭用医療機器「シンアツシン」(以下,各製品を「原告製品1」のように
いい,両者を合わせて「原告製品」という。)の本体の形態が原告の商品等表示と
して需要者の間に広く認識されているところ,被告製品の本体の形態がこれに類似
し,原告製品と混同するおそれがあり,原告の営業上の利益が侵害されると主張し
て,不正競争防止法2条1項1号,3条に基づき,被告製品の製造,販売等の差止
め,並びに在庫品及び半製品の本体の廃棄並びに金型の廃棄を求めるとともに,同
法4条に基づく損害賠償金(一部請求)の支払を求めた事案である。
1 前提事実
(1 ) 当事者
ア 原告は,医療機器の製造,販売等を業とする株式会社である。
イ 被告晃栄は,マイクロコンピュータ応用電気機器の設計,製造並びに医 療機
器の製造,販売等を業とする株式会社である。
ウ 被告クリエイトは,医療機器の販売等を業とする株式会社である。
エ 被告アメックは,医療機器の販売等を業とする株式会社である。
(争いのない事実,弁論の全趣旨)
(2 ) 各製品の基本的事項
ア 家庭用医療機器
(ア) 原告製品は,家庭用医療機器であり,薬事法2条6項の「管理医療機器」
中の「針付バイブレータ」に該当し,使用時に筒先端面と針先が肌面に接触して振
動する。
(イ) 上記の点は,被告製品においても同様である。
イ 全体の構成
(ア) 原告製品は,本体(針付バイブレータ本体),AC電源及びコントローラー
(出力等調整機器)から構成され,AC電源とコントローラー,コントローラーと本
体とがそれぞれコードで連結され,収納時は,アタッシュケース内に格納されてい
る。
(イ) 原告製品の本体は,振動発生機構であるバイブ部分,これを手で支えるグ
リップ部分,及び集毛針を取り付けるホルダー部分から構成されている。
ホルダー部分の先には,12本の集毛針を取り付ける針セット部分が設けられて
いる。針セット部分は,針セットリテナー部と針セットスリーブ部に分けられる。
(ウ) 上記(ア)及び(イ)の点は,被告製品においても同様である。
(以上,争いのない事実,甲86∼88,乙4,弁論の全趣旨)
(3 ) 原告製品
ア 原告製品の本体の形態
(ア) 原告製品の本体の形態は,別紙原告製品目録記載のとおりである。
(イ) 原告製品1の本体と原告製品2の本体とは,次の点で異なるが,その余の
点で同一である。
①針セット部分が ,原告製品1はポリカーボネート製でクリーム色であるのに対し ,
原告製品2はABS樹脂に金メッキを施している点,
②ホルダー部分の下部に設けられた固定用ネジが,原告製品1は銀色のクロムメッ
キ製であるのに対し,原告製品2は金色の真鍮製である点
(以上,争いのない事実,弁論の全趣旨)
イ 原告製品の製造販売
原告は,昭和51年,「シンアツシン」の商品名で,針付バイブレータの初期モデル
の製造販売を開始し,平成3年,原告製品1の製造販売を開始し,平成10年,原
告製品1のコントローラー部分等を改良した原告製品2の製造販売を開始した。
(争いのない事実,弁論の全趣旨)
ウ 原告製品の販売方法
(ア) 原告は,販売代理店に対し,原告製品を販売している。
(イ) 販売代理店は ,全国各地の市民会館などの公共の施設等において 体験会 」

を実施し,この体験会方式により,原告製品を販売している。
販売代理店は,体験会の開催を,朝日新聞,読売新聞等の全国紙や地方紙に原告
製品の写真を載せたチラシを折り込むなどの方法で宣伝している。
(ウ) 原告製品の販売員となるには,原告の講習を受け,指導員となる必要があ
る。
(争いのない事実)
(4 ) 被告製品
ア 被告製品の本体の形態
被告製品の本体の形態は,別紙被告製品目録記載のとおりである。
(争いのない事実,弁論の全趣旨)
イ 被告製品の販売
(ア) 被告晃栄らの製造販売
a 被告晃栄は,平成18年6月から,被告製品を製造し,同年6月から平成
19年4月末までの間に,被告クリエイトに対して,被告製品を1565台販売し
た。
b 被告クリエイトは,被告製品の総販売元であり,平成18年6月から平成
19年4月末までの間に,被告アメックを含む第三者に対して,被告製品を119
3台販売した。
以下,被告晃栄及び被告クリエイトを「被告晃栄ら」という。
(以上,被告晃栄らとの間で争いのない事実,弁論の全趣旨)
(イ) 被告アメックの販売
被告アメックは,被告製品の販売代理店であり,平成18年7月23日ころから
平成19年5月までの間に,被告製品を184台販売した。
(被告アメックとの間で争いのない事実,弁論の全趣旨)
2 争点
(1 ) 原告製品の本体の形態は,周知な商品等表示といえるか。
(2 ) 被告製品の本体の形態は,原告製品の本体の形態と類似するか。
(3 ) 需要者が被告製品の本体を原告製品の本体と誤認混同するおそれがあるか 。
また,原告の営業上の利益を侵害するか。
(4 ) 差止め及び廃棄の必要性
(5 ) 被告らの故意又は過失は認められるか。
(6 ) 共同不法行為の成否
(7 ) 損害額
3 争点に関する当事者の主張
(1 ) 争点1(商品等表示性)
(原告の主張)
ア 商品等表示
(ア) 原告製品の本体の形態の特徴
原告製品の本体の形態の特徴は,次の点にある。
a 全体の特徴
(a) 一体性
バイブ部分とグリップ部分が一体的に形成されている。
( b) L字型
バイブ部分からホルダー部分及び針セット部分が正面に向かって直角に突き出た
形状である。
(c) 複合的デザイン
正面から見ると,立体的な形状となっているのに対し,背面は平面的な形状とな
っており,立体的形状と平面的形状とを混合させたデザインとなっている。
b バイブ部分の特徴
バイブ部分は,丸みのある箱形の形状であり,側面に長方形の盛り上がり部分が
設けられている。
c グリップ部分の特徴
グリップ部分の正面の下端には,楕円状の突起がある。
d 針セット部分とホルダー部分の特徴
ホルダー部分と針セット部分の長さは比較的長く,バイブ部分から針セット部分
の先端に向かって徐々に直径が小さくなる山型形状となっている。
e 材質及び色
(a) カバーの材質と色
全体がクリーム色のポリカーボネート製のカバーで覆われている。
( b) 背面のプレート
背面には,アルミ製プレートが貼り付けられている。
(イ) 長期間の継続的独占的使用
原告製品の本体の形態と類似する医療機器は,これまでに全く存在していない。
(ウ) 機能的形態
a 後記被告らの主張ア(ウ)は否認する。
b 針付バイブレータは,針部を体に接触させること,その針部が振動するこ
との2点によって成り立っている製品であるから,その機能を発揮するために形態
がL字型に限定されるものではない。
c 仮に,全体の形状がL字型に限定されるとしても,バイブ部分,グリップ
部分,針セット部分の形状,大きさ,色などの形態は,原告製品の本体の形態に限
定されるものではない。
d 現に,被告アメックの製品である「即効針」(甲71)や原告の製造する他
の製品(甲8,9)は,原告製品とはデザインが異なる。
イ 周知性
(ア) まとめ
次の事実によれば,原告製品の本体の形態上の特徴は,遅くとも被告らが被告製
品の製造販売を開始した平成18年6月までには,全国的に周知性を有していた。
(イ) 販売期間・販売数
a 販売期間
原告製品は,平成3年以降平成18年まで,15年以上販売されている。
b 販売数
(a) 累計販売数
原告製品の平成3年から平成17年までの間の累計販売数は ,13万台を超える 。
( b) ベストセラー製品
13万台という販売数は,実勢価格が20万円代後半という比較的高価な家庭用
医療機器としては,異例に多いベストセラー製品である。
(ウ) 宣伝広告
a チラシの配布
(a) 体験会の実施
前提事実( 3)ウのとおり,原告は,全国各地の販売代理店において ,「体験会」
を実施し ,「体験会」の宣伝を,朝日新聞,読売新聞等の全国紙や地方紙に原告製
品の写真を載せたチラシを折り込む方法で行っている。
( b) チラシの部数
原告製品1台を販売するのに必要なチラシの枚数は約1万3100部であり(甲
43),原告は,原告製品13万台を販売するために,約17億部のチラシを配布
した。
b 宣伝広告費
( a) 新聞の折り込みチラシにかかる費用は,チラシ印刷代と新聞折り込み費
用を合わせて,1枚当たり約5.9円(消費税を除く)である(甲44)。
( b) 原告は,約17億部のチラシ配布のため,100億円を超える広告宣伝
費を支払った。
(エ) 紹介記事の掲載
a 雑誌での紹介
( a) 原告製品の発売以来,原告製品の紹介記事は ,「サンデー毎日 」 「週刊

読売 」 「週刊朝日」等の全国で発売される雑誌に,69回掲載された(甲10∼4

2)。これらの雑誌等の紹介記事には,原告製品の写真が掲載されている。
( b) これらの雑誌等の紹介記事には,各界著名人との対談や各界著名人によ
る体験記などが掲載されたものもあり,注目度の高いものである。
b テレビ番組での紹介
原告製品は,平成7年9月25日放送のテレビ番組「おもいっきりテレビ」で紹
介された(甲11の110頁)。
(オ) 販売方法等
a 販売方法
後記被告らの主張イ(オ)aは否認する。乙33の調査結果は,調査を行ったとす
る者が一方当事者である被告ら自身であること,その内容も極めて抽象的であるこ
となどから,信用性がない。
b 販売数
同bのうち,( b)(占有率)は否認し,その余は明らかに争わない。
家庭用マッサージ器の出荷台数の中には,AC電源を使用するハンディ型のマッ
サージ器,イス型の全身マッサージ器なども含まれており,針付バイブレータであ
る原告製品の販売数と比較することはできない。
(被告らの主張)
ア 商品等表示
(ア) 原告製品の本体の形態の特徴
原告の主張ア(ア)は否認する。
(イ) 長期間の継続的独占的使用
同(イ)は否認する。
(ウ) 機能的形態
原告製品の本体の形態は,針付バイブレータの機能を発揮するために必然的,不
可避的に採用せざると得ない形態又はありふれた形態であって,不正競争防止法2
条1項1号の「商品等表示」に該当しない。
イ 周知性
(ア) まとめ
原告の主張イ(ア)は否認する。
(イ) 販売期間・販売数
同(イ)a(販売期間)は認める。
同b(販売数)のうち,(a)(累計販売数)は不知,( b)(ベストセラー製品)は否認す
る。
(ウ) 宣伝広告
同(ウ)のうち,a(チラシの配布)( a)(体験会の実施)は前提事実( 3)ウのとおりで
あり,( b)(チラシの部数)は不知,b(宣伝広告費)は不知。
原告のチラシ部数の算定方法は合理的ではない 。また ,新聞の折り込みチラシは ,
広告の効果が高いとはいえない。
(エ) 紹介記事の掲載
同(エ)のうち,a(雑誌での紹介)( a)は認め,( b)は否認し,b(テレビ番組での紹
介)は認める。
これらの記事は,原告が出版社に費用を払って掲載を依頼した記事の体裁を採っ
た広告にすぎない。また,平成14年から平成17年にかけての掲載回数は年平均
6.2回であり,一般消費者に対する広告の頻度としては極めて少ない。
(オ) 販売方法等
a 原告製品の販売方法の限定性
(a) 前提事実(3)ウの原告製品の販売方法は,その販路を極端に限定的なもの
としているものである。
( b) そのため,被告の販売代理店等による調査(乙33)によれば,被告らの
体験会の参加者で原告製品の存在を知っている者はほとんどいなかった。
b 販売数
( a) 財団法人医療機器センターによる統計資料「平成16年 医療用具分類
別生産・輸入・出荷・在庫数量」(乙10)によれば,家庭用マッサージ器の出荷台
数は1年間で合計151万2848台である。
( b) 原告製品の年間1万台余の販売数が上記出荷台数に占める割合は,極め
て低い。
( c) 平成17年国勢調査結果によれば,全国の世帯数は4956万6305
世帯である。
( d) したがって,累計13万台である原告製品は,上記全世帯数の0.2%
に行き渡っているすぎない。
(2 ) 争点( 2)(類似性)
(原告の主張)
ア 類似性
(ア) 被告製品本体の形態は,グリップ部分の形状が波状である点,背面のプレ
ートの色,表示が異なる点を除き,原告製品本体の形態と全く同一である
(イ) よって,被告製品の本体は,原告製品の本体に類似する。
イ 被告晃栄ら主張の相違点に対する反論
(ア) 後記被告晃栄らの主張イのうち,(イ)(外形寸法)は否認し,その余は認め
る。
(イ) 被告晃栄らの主張する相違点は ,いずれも些細な点についてのものであり ,
需要者の印象を左右するものではない。
(被告晃栄らの主張)
ア 類似性
(ア) 原告の主張ア(ア)のうち,原告主張の相違点は認め,一致点のうち,後記
イの点は否認し,その余は認める。
(イ) 同(イ)は否認する。
イ 被告晃栄ら主張の相違点
(ア) 針部の針の向き
被告製品の12本の針のうち外側8本の針先角度は,内側を向いている。
(イ) 外形寸法
原告製品の本体と被告製品の本体の寸法は,別紙寸法比較表のとおり,異なって
いる箇所がある。
(ウ) 材質及び色
a 被告製品の本体のカバーの材質は,ABS樹脂である。
b 背面のプレートは,アルミ製ではなく,ステンレス製である。
c 針セット部分の色は,金色ではなく,銀色である。
(エ) スイッチ部分
被告製品の本体のスイッチ部分は,原告製品よりも大きく,かつON /OFFの
文字が大きく ,「○ 」「―」の表示が加わっている。
(被告アメックの主張)
原告の主張ア(ア)は明らかに争わず,(イ)は認める。
(3 ) 争点( 3)(混同のおそれ及び営業上の利益の侵害)
(原告の主張)
ア 形態の類似性
(ア) 上記( 2)のとおり,原告製品の本体と被告製品の本体は,形態が類似して
いるから,後記イ及びウの事情を併せ考慮しても,被告製品の需要者がその出所に
つき混同するおそれがある。
(イ) また,上記のように混同のおそれがある以上,原告が営業上の利益を侵害
されるおそれも,当然認められる。
イ 混同を増大させる要因
(ア) パッケージの同一性
a 原告製品と被告製品とは,パッケージが類似している。
b まず,前提事実( 2)イ(ア)のとおり,原告製品も被告製品も,アタッシュケ
ース内に格納されており,パッケージ方法が同じである。
c( a) 原告製品のアタッシュケースと被告製品のアタッシュケースとは,寸
法,色及び形が類似する。
( b) すなわち,原告製品のアタッシュケースは,縦28.5cm,横31.
3cm,奥行9cm(留め具等突起部分を除いた寸法)の黒色又は紺色の長方形箱形
(ただし,原告製品1は,縦27.5cm,横29.3cm,奥行9cm)であるの
に対し,被告製品のアタッシュケースは,縦27.5cm,横29.5cm,奥行
9.8cm(留め具等突起部分を除いた寸法)の黒色の長方形箱形である。
( c) いずれも,2箇所の留め具を開閉することによって,蝶番によって連結
した本体部分と上部蓋部分とを開閉し,上記2箇所の留め具の間には,折りたたみ
可能な黒色の取っ手が付けられている。
( d) 原告製品には,アタッシュケース前面の右下に黒いシールプレートで,
「シンアツシン」との表示がされているのに対し,被告製品には,同じ場所に黒い
シールプレートで ,「楽らく針」と表示されている。
d( a) 原告製品も被告製品も,箱内部の左側に黒色(ただし,原告製品1は橙
色)のコントローラーが箱に固定されて設置され,コントローラーとコードで結ば
れた本体が右側に格納されている。
( b) いずれも,蓋の裏側及び右側の本体の格納部分には,グレーの波状スポ
ンジが機器の損傷防止クッションとして敷き詰められている。
e 原告製品も被告製品も,コントローラーには,白地の電流計,0∼100
まで10単位での目盛が表示された出力調整つまみ ,「連続」動作と「断続」動作
の切り替えスイッチ,及び電源スイッチが設けられている。
f 後記被告らの主張イ(ア)fのうち,( a)(スイッチの細部)及び( b)(印籠蓋加
工)は明らかに争わず,(c)(上質の取っ手等)は否認する。
(イ) 販売方法及び販売場所の同一性
a 原告の販売方法
前提事実( 3)ウのとおり,原告は,原告の販売代理店によって,公共の施設等を
使用して「体験会」を実施し,この体験を通じて原告製品を販売し,事前にチラシ
を配布するなどして ,「体験会」の実施を宣伝している。
b 被告らの販売方法
被告クリエイト及び被告アメックは,自ら又は販売代理店によって,公共の施設
等を使用して「体験会」などを実施し,この体験会方式により,被告製品を販売し
ている 。体験会の開催は ,事前にチラシを配布するなどして宣伝している(甲47 ,
53∼61)。
(ウ) 宣伝チラシの類似性
被告アメックが使用する宣伝チラシ(甲55)及び被告クリエイトの販売代理店ら
が使用する宣伝チラシ(甲58,59)に掲載されている内容は,以前当該販売代理
店が原告製品を販売していた当時に使用していたチラシ(甲62,64)の掲載内容
の一部をそのまま使用し,原告製品に関する記事内容及び原告製品の写真によって
被告製品の宣伝をしている。
また,宣伝チラシ(甲58,59)は ,「針+圧+振」という原告製品を想起させ
る文言を用いている。
(エ) マニュアル冊子の同一性
a( a) 原告は,平成4年より,原告製品の販売の際に ,「皮膚刺激療法の参考
治療点」(甲65。監修 東洋医学研究会,発行所 株式会社大企画 出版部)とい
うマニュアル冊子を配布又は販売してきた。
( b) 同冊子は,原告が制作を企画したものである。
b 被告らは,上記冊子と同一内容の冊子(甲68。ただし,監修者と発行所
の表示はない。)を製作し,被告製品に添付して配布した。
(オ) 使用説明マニュアル中の原告製品の写真の使用
被告製品に同梱されている「 楽らく針の使い方 」と題する使用説明マニュアル(甲
69)には,原告製品の写真が使用されている。
ウ 混同を減少させる要因
(ア) 商品の性質
後記被告らの主張(ア)のうち,a( a)(高価格)は認め,( b)(吟味)は否認し,b(効
能に着目)は否認する。
(イ) 販売方法
a 社名,商品名の表示
同(イ)aは認める。
b 体験会における説明
同bは否認する。
(被告らの主張)
ア 形態の類似性
原告の主張アは否認する。
イ 混同を増大させる要因
(ア) パッケージの同一性
a 同イ(ア)a(まとめ)は否認する。
b 同b(パッケージ方法の同一)は,前提事実( 2)イ(ア)のとおり。
ただし,アタッシュケース型パッケージは,家庭用マッサージ器などにおいてよ
く採用される収納方法である。
c 同c(アタッシュケースの寸法等)のうち,( a)(まとめ)は否認し,( b)ない
し(d)は明らかに争わない。
d 同d(箱内部)は,明らかに争わない。
e 同e(コントローラー)は,明らかに争わない。
f 被告製品のパッケージ方法は,原告製品のそれと,以下の点で相違する。
( a) 被告製品のコントローラーは,原告製品とは異なり,電流メーターの直
下にボリュームコントロールツマミが配置され,電源スイッチ自体が通電状態を表
示するネオンランプ内蔵のものが使用され,連続 /断続スイッチもセレクタ・スイ
ッチが採用されている(原告製品ではトグル・スイッチである。)。
( b) 被告製品のアタッシュケースには,ホコリ等の侵入防止等の目的で,印
籠蓋加工を施している。
( c) 被告製品の2箇所の留め金とケースの取っ手は,既成の鞄材料から上質
のものを選定しており,アタッシュケース全体の印象も,清潔感と高級感にあふれ
る仕上がりとなっている(乙1の1∼8,2,3)。
(イ) 販売方法及び販売場所の同一性
a 原告の販売方法
前提事実( 3)ウのとおり。
b 被告らの販売方法
同bは,被告晃栄らにおいて明らかに争わず,被告アメックにおいて認める。
ただし,被告クリエイト及び被告アメックの販売方法はこれに限られるものでは
なく,被告クリエイトは,家電量販店や百貨店の催事場での販売を推奨し,被告ア
メックも,家庭への訪問販売やデパート,呉服店等の販路を開拓している。
(ウ) 宣伝チラシの類似性
同(ウ)は,被告晃栄らにおいて不知,被告アメックにおいて否認する。
(エ) マニュアル冊子の同一性
a 同(エ)aのうち,( a)は認め,(b)は不知。
b 同bは認める。
ただし ,被告クリエイトは ,現在 ,甲68の冊子の配布は取り止め ,別の冊子(乙
15)を作成して配布している。
(オ) 使用説明マニュアル中の原告製品の写真の使用
同(オ)は,被告晃栄らにおいて不知,被告アメックにおいて否認する。被告アメ
ックは同使用説明マニュアルを使用していない。
ウ 混同を減少させる要因
(ア) 商品の性質
a( a) 原告製品の価格は25万円以上,被告製品の価格は20万円程度と高
価である。
( b) よって,一般消費者は,製品の違いをよく吟味する。
b 家庭用医療機器という商品の性質上,一般消費者は商品の形態よりも,効
能に着目して購入する。
(イ) 被告製品の販売方法
a 社名,商品名の表示
薬事法64条,63条,63条の2に従い,被告製品の本体,アタッシュケース
及び添付文書(乙1の1∼8)には,被告製品の商品名,製造会社である被告晃栄の
名称等が大きく表示され,また ,「晃栄電子 針付きバイブレータ 楽らく針 取
扱説明書」(乙2)の末尾には ,「保証とアフターサービス」のページがあり ,「晃
栄電子お客さまご相談窓口のご案内」として,被告晃栄の電話・ファックス番号が
表示されている。
b 体験会における説明
被告製品の体験会では,販売員が,製造元及び発売元の点を含め十分説明をした
上で販売している。
(4 ) 争点( 4)(差止め及び廃棄の可否)
(原告の主張)
被告製品の本体が周知の原告製品の本体の形態に類似し,混同のおそれ及び営業
上の利益の侵害が認められる以上 ,原告は ,被告製品全体の製造 ,販売等の差止め ,
並びに被告製品の本体の廃棄を求めることができる。
(被告らの主張)
ア 原告の主張は否認する。
イ 被告製品の本体は,完成後であっても , バイブレーターケース
「 腹」及び「バ
イブレーターケース 背」を脱着することが容易であるし,内部の組み立てられた部
分は,外側のケースを変えて再利用することができる。
ウ したがって,在庫品及び半製品の廃棄は,被告製品の本体の部材である「バイ
ブレーターケース 腹」及び「バイブレーターケース 背」(乙34の1参照)のみに
限るべきである。
(5 ) 争点( 5)(故意又は過失)
(原告の主張)
ア まとめ
以下の事実によれば,被告らは,不正競争行為による原告の利益侵害につき,故
意があったか,少なくとも重大な過失があった。
イ 被告製品のデザイン過程
(ア) 被告晃栄は,被告製品の製造に当たり,海外メーカーに対し,原告製品を
交付した。
(イ) そして,海外メーカーは,原告製品を用いて,デジタイジングによる複製
又は電鋳による転写により,被告製品の製造用の金型を複製した。
ウ 原告製品の販売への関与
(ア) 被告クリエイト
被告クリエイトの専務取締役であるA(以下「A」という。)は,平成9年10月
ころから平成14年8月ころまで,原告製品の販売代理店であった株式会社東洋医
学研究所の社員として原告製品を販売し,同社を退社した後も平成16年12月こ
ろまで,原告製品の販売をしていた。
(イ) 被告アメック
a 被告アメックの代表取締役であるB(以下「B」という。)は,平成14年
ころから原告の販売代理店である株式会社ヒューマン・コーポレーションにおい
て,平成15年4月ころからは同株式会社ニッシンにおいて,平成16年1月ころ
からは同有限会社東方通商の傘下の販売店として,平成17年1月ころから同年1
2月ころまでは有限会社東方通商の社員として,原告製品の販売を行ってきた。
b Bは,平成16年5月に被告アメックを設立し,北海道において原告製品
の販売を行っていた。
c 被告アメックの取締役であるC及びDも,有限会社東方通商において,原
告製品の販売を行っていた。
(ウ) 被告晃栄と被告クリエイトの関係
後記( 6)(原告の主張)ア( a)aのとおり,被告クリエイトは,被告晃栄の営業部が
独立して,被告晃栄の100%子会社として設立されたものであり,被告クリエイ
トの代表取締役は,被告晃栄代表取締役であるEである。
(被告らの主張)
ア まとめ
(ア) 原告の主張アは否認する。
(イ) 被告アメックの代表取締役であるBは,株式会社コア・フィールドを通し
て被告製品を仕入れる際に,Aに法に触れることはないかと尋ね ,「弁護士と何回
も打合せをしており,一切問題がない,大丈夫です 。」と言われたので,適法だと
信じていた。
イ 被告製品のデザイン過程
(ア) 同イにつき,被告晃栄は,(ア)を認め,(イ)は不知。被告アメックはすべて
不知。
(イ) 被告晃栄は,平成17年7月,被告製品を開発・製造するために,上海所
対して部品の設計を委託し,被告製品の参考製品として,従来品の家庭用電気マッ
サージ器のカタログ数点と共に,原告製品を交付した。被告晃栄は,その際,取っ
手部の形状が波形で持ちやすいものを設計するように指示し,その後の設計過程に
おいても,随時変更の指示を行った。
ウ 原告製品の販売への関与
(ア) 被告クリエイト
同ウ(ア)につき,被告晃栄らは認め,被告アメックは不知。
(イ) 被告アメック
同ウ(イ)につき,被告晃栄らは不知,被告アメックは認める。
(6 ) 争点( 6)(共同不法行為の成否)
(原告の主張)
ア 主位的主張(販売全体についての共同不法行為の成立)
(ア) 被告らの関係
a 被告晃栄と被告クリエイト
( a) 被告クリエイトは,被告晃栄の営業部が独立して,被告晃栄の100%
子会社として設立されたものであり,被告クリエイトの代表取締役は,被告晃栄代
表取締役であるEである。
( b) 前提事実( 4)イ(ア)のとおり,被告晃栄が被告製品を製造し,被告クリエ
イトがその総販売元として被告製品を販売している。
b 被告アメックと被告晃栄ら
(a) 被告アメックと予防医学
被告アメックと有限会社予防医学研究会(以下「予防医学」という。)は,体験会
の実施という販売方法を採っており,そのために配布するチラシの内容はほとんど
同一であり(甲89,90),密接に連携して被告製品の販売を行っている。
( b) 予防医学と被告クリエイト
被告クリエイトの取締役であるAは,予防医学の取締役を兼ねている。
(c) 被告アメックと被告晃栄ら
被告アメックは,平成19年5月以降,被告晃栄の関連会社と考えられる「株式
会社晃栄販売」と連携して,被告製品を販売している(甲92,93)。
(イ) 共同不法行為の成立
上記(ア)の事実によれば,被告ら間に,主観的共同又は強い客観的共同の関係が
あり,被告らは,被告アメック販売分だけでなく,すべての販売分につき,連帯し
てその損害を賠償する義務を負う。
イ 予備的主張(被告アメック販売分についてのみの共同不法行為の成立)
(ア) 上記ア(ア)の事実によれば ,被告アメック販売分については ,被告ら間に ,
主観的共同又は強い客観的共同の関係があり,被告らは,連帯してその損害を賠償
する義務を負う。
(イ) その余の販売分については,被告晃栄と被告クリエイト間に,主観的共同
又は強い客観的共同の関係があり,被告晃栄らは,連帯してその損害を賠償する義
務を負う。
(被告らの主張)
ア 主位的主張(販売全体についての共同不法行為の成立)
(ア) 被告らの関係
a 被告晃栄と被告クリエイト
原告の主張ア(ア)a( a)につき,被告晃栄らは認め,被告アメックは不知。
b 被告アメックと被告晃栄ら
同bにつき,被告晃栄らは,( a)は不知,同( b)は認め,同( c)は否認し,被告ア
メックは,( a)は明らかに争わず,(b)は不知,( c)は否認する。
(イ) 共同不法行為の成立
同(イ)は否認する。
イ 予備的主張(被告アメック販売分についてのみの共同不法行為の成立)
同イは否認する。
(7 ) 争点( 7)(損害)
(原告の主張)
ア 主位的主張(不正競争防止法5条1項)
(ア) 販売全体について共同不法行為が成立する場合
a 被告製品の販売数
前提事実( 4)イ(ア)bのとおり,被告クリエイトは,平成18年6月から平成19
年4月末までの間に,被告アメックを含む第三者に対して,被告製品1193台を
販売した。
b 原告の利益額
(a) まとめ
原告は,別紙利益額計算表のとおり,原告製品の販売により,1台当たり4万5
440円の利益を得ている。
( b) 原告製品の販売数及び売上高
すなわち,原告は,平成17年7月から平成18年6月までの間,原告製品を8
343台販売し,5億5344万6705円の売上げを得た。
したがって,1台当たりの売上高は6万6337円となる。
(c) 経費
一 原材料費
原告製品1台当たりの原材料費は,1万5225円である(甲96∼132)。
二 製造工程の同一
原告製品(AC−500型)とその他の機種(あかばこ,AC100型等)は,同じ
針付きバイブレーターとして,製造工程がほとんど同じである。
三 労務費
原告製品8343台を含む製品台数1万0249台の製造のための労務費は,合
計5189万7154円である。
四 変動経費
(一) 原告製品8343台を含む製品台数1万0249台の製造のための変
動経費は,合計623万8757円である。
(二) 被告らの主張する被告製品の労務費及び変動経費は,限界利益の算定
上含めるべきではない各種器材の購入費,倉庫賃貸料,工場固定資産税,及び管理
責任者人件費等を含んでいるものであり,被告ら主張の数値がそもそも妥当性を有
しない。
五 労務費及び変動経費のまとめ
したがって,原告製品1台当たりの労務費及び変動経費は,5672円である。
(5189万7154円+623万8757円)÷1万0249台=5672円
c 損害額
(a) 逸失利益 5000万円
4万5440円×1193台=5420万9920円
原告は,一部請求として,5000万円を請求する。
( b) 弁護士費用 1000万円
本件訴訟は,専門性の高い訴訟であり,訴訟追行には弁護士への委任が不可欠で
ある。
被告らの不正競争行為と相当因果関係のある弁護士費用は,1000万円を下ら
ない。
(c) まとめ
したがって,被告らは,原告に対して,連帯して6000万円及びこれに対する
不法行為の後である平成18年12月14日から支払済みまで民法所定の年5分の
割合による遅延損害金を支払う義務がある。
d 不正競争防止法5条1項ただし書の主張に対する反論
(a) 原告製品の販売方法
前提事実( 3)ウのとおり。
( b) 被告らの販売網
後記被告らの主張d( b)は否認する。
(c) 新たな販路
同d( c)は否認する。
被告クリエイトが百貨店等の催事場に被告製品を展示するなどの販売方法を推奨
したとしても,実際の被告製品の販売における圧倒的多数は,原告製品と同様に,
体験会方式で販売されていた。
( d) 推定の覆滅
同d( d)は否認する。
(イ) 被告アメック販売分についてのみ共同不法行為が成立する場合
a 被告製品の販売数
前提事実( 4)イ(イ)のとおり ,被告アメックの被告製品の販売数は184台であり ,
被告アメックの関与しない被告製品の販売数は,1009台である。
b 被告アメックに対する損害額
したがって,次のとおり,被告アメックは,原告に対して,1016万0960
円及びこれに対する不法行為の後である平成18年12月14日から支払済みまで
民法所定の年5分の割合による遅延損害金を支払う義務がある。
(a) 逸失利益 836万0960円
4万5440円×184台=836万0960円
( b) 弁護士費用 180万円
c 被告晃栄らに対する損害額
次のとおり,被告晃栄らは,原告に対して,連帯して6000万円及びこれに対
する不法行為の後である平成18年12月14日から支払済みまで民法所定の年5
分の割合による遅延損害金を支払う義務がある(被告アメックと,上記bの損害額
と重なり合う限度で連帯)。
(a) 逸失利益 5000万円
( b) 弁護士費用 1000万円
イ 予備的主張(不正競争防止法5条3項)
(ア) 使用料相当額
a 原告製品の本体の形態は,次の事情があり,高い顧客誘因力を有する。
①他に類を見ない原告製品本体の特徴的形態が15年以上にわたり家庭用医療機器
のロングセラー製品として認知されている。
②原告製品本体の形状は,週刊誌等の全国的に著名な雑誌媒体に頻繁に掲載され,
さらに,17億部という膨大な数のチラシに掲載されて,高い周知性を得ている。
③原告製品の最終販売価格は,20万円後半と高額である。
b 前提事実( 3)ウのとおり,原告は厳格な管理の下に原告製品を販売してき
たものであり,その本体の形態の使用を他に許諾するようなことは考えられない。
c したがって,原告製品の商品形態の使用料相当額は,1台当たり5000
円を下らない。
(イ) 販売全体について共同不法行為が成立する場合の損害額
次のとおり,被告らは,原告に対して,連帯して596万5000円及び相当額
並びにこれらに対する不法行為の後である平成18年12月14日から支払済みま
で民法所定の年5分の割合による遅延損害金を支払う義務がある。
a 逸失利益
5000円×1193台=596万5000円
b 弁護士費用 1000万円以内で相当額
(ウ) 被告アメック販売分についてのみ共同不法行為が成立する場合
a 被告アメックに対する損害額
次のとおり,被告アメックは,原告に対して,272万円及び相当額並びにこれ
らに対する不法行為の後である平成18年12月14日から支払済みまで民法所定
の年5分の割合による遅延損害金を支払う義務がある。
(a) 逸失利益 272万円
5000円×184台=92万円
( b) 弁護士費用 180万円以内で相当額
b 被告晃栄らに対する損害額
次のとおり,被告晃栄らは,原告に対して,連帯して504万5000円及び相
当額並びにこれらに対する不法行為の後である平成18年12月14日から支払済
みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を支払う義務がある。
(a) 逸失利益 504万5000円
5000円×1009台=504万5000円
( b) 弁護士費用 1000万円以内で相当額
(エ) 3項の補完的適用
上記アにおける不正競争防止法5条1項による損害算定につき,推定の一部覆滅
が認められた場合,不正競争防止法5条3項による損害が補完的に認められるべき
である。
(被告らの主張)
ア 主位的主張(不正競争防止法5条1項)
(ア) 販売全体について共同不法行為が成立する場合
a 被告製品の販売数
前提事実( 4)イ(ア)bのとおり。
b 原告の利益額
(a) まとめ
原告の主張b( a)は否認する。
( b) 原告製品の販売数及び売上高
同( b)は不知。
(c) 経費
一 原材料費
同( c)一は否認する。
二 製造工程の同一
同( c)二は不知。
三 労務費
同( c)三は否認する。
四 変動経費
同( c)四は否認する。
原告の主張する労務費及び変動経費の額は,甲95(決算報告書「製造原価報告
書」)における労務費の総額及び経費の各項目別の金額が引用されているだけであ
り,原告製品に対応する労務費及び変動経費が算出されていない。
また,被告晃栄が被告製品を製造する際の労務費及び変動経費は,控えめに見積
もっても売上高の約32%になる。これによると,原告の主張する労務費及び変動
経費の売上高に対する割合約10%は,低率に過ぎる。
五 労務費及び変動経費のまとめ
同( c)五は否認する。
c 損害額
同cは否認する。
d 不正競争防止法5条1項ただし書の主張
(a) 原告製品の販売方法
原告製品の販売方法は,前提事実( 3)ウのとおりである。
( b) 被告らの販売網
被告らは,被告アメック及び予防医学らを含む自らの販売網により,被告製品を
販売したものであり,被告らによる被告製品の販売がなかったとしても,原告が被
告製品と同数の原告製品を販売することは,到底できなかった。
(c) 新たな販路
さらに,被告クリエイトは,家電量販店や百貨店の催事場での販売を推奨し,被
告アメックを含む販売代理店も,体験会による販売に加え,家庭への訪問販売やデ
パート,呉服店等の販路を開拓した。
( d) 推定の覆滅
したがって,被告製品の販売数全部について ,「被侵害者が販売することができ
ないとする事情」がある。
(イ) 被告アメック販売分についてのみ共同不法行為が成立する場合
a 被告製品の販売数
前提事実( 4)イ(イ)のとおり。
b 被告アメック販売分の損害額
原告の主張(イ)bは否認する。
c その余の販売分の損害額
同cは否認する。
イ 予備的主張(不正競争防止法5条3項)
(ア) 使用料相当額
原告の主張イ(ア)のうち ,a(顧客誘因力)は否認し ,b(ライセンス方針)は不知 ,
c(まとめ)は否認する。
原告製品の本体の形態は,何ら独創性,新規性がなく,顧客誘因力を有しない。
しかも,5000円という金額は,被告クリエイトへの卸売価格である4万200
0円の11.90%に及んでおり,あまりに高額である。
したがって,使用料相当額は,被告晃栄の売上高の1%である420円が上限で
ある。
(イ) 販売全体について共同不法行為が成立する場合の損害額
同(イ)は否認する。
(ウ) 被告アメック販売分についてのみ共同不法行為が成立する場合
同(ウ)は否認する。
(エ) 3項の補完的適用
同(エ)は争う。
第3 当裁判所の判断
1 争点( 1)(商品等表示性)について
(1 ) 事実認定
ア 商品等表示
(ア) 原告製品の本体の形態は,前提事実( 3)アのとおりである。
(イ) バイブ部分とグリップ部分が一体的に形成されており,バイブ部分からホ
ルダー部分及び針セット部分が正面に向かって直角に突き出た形状であるとの基本
的構成態様の点を除けば,原告製品の本体の形態と類似する医療機器がこれまでに
存在したことを認めるに足りる証拠はない。
(ウ) これらの事実によれば,原告製品の本体の形態の特徴は ,正面から見ると ,
立体的な形状となっているのに対し,背面は平面的な形状となっており,立体的形
状と平面的形状とを混合させたデザインとなっている点,バイブ部分は丸みのある
箱形の形状であり,側面に長方形の盛り上がり部分が設けられている点,グリップ
部分の正面の下端には楕円状の突起がある点,ホルダー部分と針セット部分の長さ
は比較的長く,バイブ部分から針セット部分の先端に向かって徐々に直径が小さく
なる山型形状となっている点,並びに全体がクリーム色の合成樹脂製のカバーで覆
われている点を組み合わせた具体的構成態様にあると認められる。
(エ) 被告らは,原告製品の本体の形態は「針付バイブレータ」の機能を発揮す
るために必然的,不可避的に採用せざるを得ない形態又はありふれた形態であり,
商品等表示に該当しない旨主張する。
確かに,針付バイブレータとしての機能を考慮すると,原告製品の本体の形態の
うち,バイブ部分とグリップ部分が一体的に形成され,バイブ部分からホルダー部
分及び針セット部分が正面に向かって直角に突き出た形状であるとの基本的形状に
ついては,被告らの主張のとおりであると認められる。
しかしながら,上記(ウ)で指摘した具体的構成態様が機能的に必然の形態である
とか,ありふれた形態であると認めるに足りる証拠はないから,被告らの上記主張
は理由がない。
イ 周知性
(ア) 原告製品の製造販売
a 前提事実(3)イのとおり,原告は,平成3年,原告製品1の製造販売を開始し,
平成10年,原告製品1のコントローラー部分等を改良した原告製品2の製造販売を
開始し,原告製品を15年以上販売している。
b 弁論の全趣旨によれば,原告製品の平成3年から平成17年までの販売数
は,合計約13万台であることが認められる。
(イ) チラシの配布
a 前提事実( 3)ウのとおり,原告は,全国各地の販売代理店において ,「体
験会」を実施し ,「体験会」の宣伝を,朝日新聞,読売新聞等の全国紙や地方紙に
原告製品の写真を載せたチラシを折り込む方法で行っている。
b( a) 証拠(甲43,44)及び弁論の全趣旨によれば,原告の販売代理店の
一つである株式会社ニッシン(以下「ニッシン」という。)が平成15年5月から平
成17年10月までの期間において配布したチラシは,合計1億0224万654
8枚であること,そのチラシ1枚の費用は5.9円(消費税を除く。)であること,
同期間におけるニッシンによる原告製品2の販売台数は7803台であることが認
められる。
( b) このチラシ効率を原告のこれまでの販売総数13万台に単純に乗すれば ,
これまで約17億枚の宣伝チラシが配布され,上記5.9円を乗ずれば,その費用
額は100億円を超える計算となる。
1億0224万6548枚÷7803台×13万台=17億0345万3958

5.9円×17億枚=100億3000万円
( c) 他の販売代理店はニッシンよりはチラシの配布数が少ない可能性がある
が,安全率を見込んで上記の金額からある程度減額した金額は,これまで原告の販
売代理店が積み重ねてきた宣伝チラシ代を示すものと認められる。
(ウ) 雑誌等での紹介
原告製品の発売以来 ,原告製品の紹介記事は , サンデー毎日 」「 週刊読売 」「 週
「 , ,
刊朝日」などの全国で発売される雑誌に,69回掲載されたこと(甲10∼42),
及びこれらの雑誌等の紹介記事には,原告製品の写真が掲載されていることは,当
事者間に争いがない。
また,その記事の内容からすると(甲10∼42),これらの記事は,原告が出版
社に費用を払って掲載を依頼した記事の体裁を採った広告であることが認められ
る。
これらの掲載数から計算すると,平成14年から平成17年にかけての掲載回数
は,年平均6.2回である。
(エ) テレビ番組での紹介
原告製品は,平成7年9月25日放送の「おもいっきりテレビ」の中で紹介され
たことは,当事者間に争いがない。
(オ) 被告らの主張
a 前提事実( 3)ウの原告製品の販売方法は ,一時に大量販売することよりは ,
顧客の納得を得た上で長期にわたって販売することを指向した販売方法であると評
することができる。
b 被告らは,被告らの体験会の参加者で原告製品の存在を知っている者はほ
とんどいなかった旨主張し,Aの報告書(乙33)を提出する。
しかしながら,上記報告書に記載された調査は,本訴提起後又は本訴提起が警告
された後に(甲74∼79の各1・2),中立な第三者ではない者によって行われた
ものであるから,その信用性は極めて低いといわなければならない。
c( a) 財団法人医療機器センターによる統計資料「平成16年 医療用具分
類別生産・輸入・出荷・在庫数量」によれば,家庭用マッサージ器の出荷台数は1
年間で合計151万2848台であることは ,原告において明らかに争わないから ,
これを自白したものとみなす。
ただし,証拠(乙10)及び弁論の全趣旨によれば,上記数値の中には,家庭用電
気マッサージ器のほかに,家庭用エアマッサージ器,家庭用吸引マッサージ器及び
その他の家庭用マッサージ器を含むだけでなく,家庭用電気マッサージ器には,針
付バイブレータである原告製品とは異なるハンディ型のマッサージ器やイス型の全
身マッサージ器などが数多く含まれているものと認められる。
( b) したがって,上記151万台余に占める原告製品の台数を計算すること
は,さほど意味のあることとは考えられない。
d( a) 平成17年国勢調査結果によれば,全国の世帯数は4956万630
5世帯であることは,原告において明らかに争わないから,これを自白したものと
みなす。
( b) したがって,累計13万台である原告製品は,計算上,上記全世帯数の
0.26%に購入されたことになる。
(2 ) 判断
ア 以上に説示の事実によれば,原告製品の本体の形態は,遅くとも被告製品
の販売が開始された平成18年6月までに,周知の商品等表示になっていたことが
認められる。
イ これに反する被告らの主張は,原告製品が医療機器である針付バイブレー
タであり,その需要者が老人などの一定範囲の者に限られることを無視するもので
あり,到底採用することができない。
2 争点( 2)(類似性)
(1 ) 事実認定
ア 被告製品の本体の形態
前提事実( 4)アのとおり,被告製品の本体の形態は,別紙被告製品目録記載のと
おりである。
イ 原告製品との対比
原告製品の本体と被告製品の本体とは,次の点で相違する。
(ア) グリップ部分の形状
被告製品では,グリップ部分に波形の凹凸が設けられているが,原告製品では,
これが設けられていない点(争いのない事実)。
(イ) 背面のプレートの色及び記載内容
背面のプレートとスイッチプレートの色は,原告製品では金色であるが,被告製
品では銀色である点(争いのない事実,甲48の2)。
プレートに,原告製品では,原告の商標 ,「シンアツシン 」 「振圧針 」 「AC−
, ,
500型」及び「コノコ医療電機株式会社」が黒文字で表示がされているが,被告
製品では ,「楽らく針 」 「MD−110 」
, ,被告晃栄の商標と思われるマーク ,「株
式会社 晃栄電子 」が濃い銀色で表示されている点(争いのない事実 ,甲48の2)。
(ウ) 針セット部分の色
針セット部分の色は,原告製品1ではクリーム色,原告製品2では金色であるの
に対して,被告製品では銀色である点(争いのない事実,前提事実(3),甲48の1
・3∼5)。
(エ) カバーの色
バイブ部,ホルダー部,グリップ部などのカバーの光沢度につき,被告製品のそ
れは,原告製品のそれに比し劣る点(甲48の1∼5)。
なお,その原因は,原告製品はポリカーボネート製素材を採用したのに対し,被
告製品はABS樹脂を採用したこと,及び被告製品の金型の精度が劣ることにある
と認められる(争いのない事実,甲70,弁論の全趣旨)。
(オ) スイッチ部
被告製品の本体のスイッチ部分は,原告製品よりも大きく,ON/OFFの文字
も大きく ,「○ 」「―」の表示が加わっている点(争いのない事実)。
(カ) 寸法
原告製品の本体と被告製品の本体との間には,別紙寸法比較表のとおり,寸法が
違う箇所がある点(弁論の全趣旨)。
しかしながら,証拠(甲70)及び弁論の全趣旨によれば,被告晃栄は,被告製品
を開発・製造するために,中国のメーカーに対して,部品の設計を委託したが,そ
の際,原告製品を交付したこと,中国のメーカーは,原告製品を用いて,デジタイ
ジングによる複製又は電鋳による転写により,被告製品の製造用の金型を作成した
こと,及び被告晃栄は,取手部の形状等の若干の点につき変更の指示を行ったが,
被告製品の本体の形態は,基本的に原告製品の本体のコピーであることが認められ
る(一部は,当事者間に争いがない。)。
(キ) 針部の針の向き
被告製品の12本の針のうち外側8本の針先角度は,内側を向いている点(争い
のない事実)。
(2 ) 判断
上記に説示の事実によれば,被告晃栄ら主張の相違点は微差にすぎず,被告製品
の本体の形態は,原告製品の本体の形態に類似していると認められる(原告と被告
アメックとの間においては,争いがない。)。
3 争点( 3)(混同のおそれ及び営業上の利益の侵害)
(1 ) 形態の類似性
前記2のとおり,原告製品の本体と被告製品の本体は,形態が類似している。
(2 ) 混同を増大させる要因
ア パッケージの同一性
(ア) 前提事実( 2)イ(ア)のとおり,原告製品も被告製品も,アタッシュケース内
に格納されており,パッケージ方法が同じである。
弁論の全趣旨によれば,アタッシュケース型パッケージは,家庭用マッサージ器
などにおいてよく採用される収納方法であることが認められる。
(イ)a 各アタッシュケースの寸法及び色,取っ手等の色等,並びにアタッシュ
ケース前面の右下のシールプレートの表示の事実(前記第2,3(3)(原告の主張)イ
(ア)c( b)∼( d))は,被告らにおいて明らかに争わないから,これを自白したものと
みなす。
b 被告製品のアタッシュケースでは ,ホコリの侵入を防止するなどのために ,
本体部分に印籠蓋加工を施していることは,原告において明らかに争わないから,
これを自白したものとみなす。
c また,被告らは,被告製品の2箇所の留め金とケースの取っ手は,既成の
鞄材料から上質のものを選定している旨主張する。確かに,証拠(甲48の6)によ
れば,その点が窺われないではないが,外観上の差はさほどないといわなければな
らない。
d これらの事実によれば,原告製品のアタッシュケースと被告製品のアタッ
シュケースとは,寸法,色及び形が類似していると認められる。
(ウ)a 原告製品も被告製品も,箱の左側に黒色(ただし,原告製品1は橙色)の
コントローラーが箱に固定されて設置され,コントローラーとコードで結ばれた本
体が右側に格納されていること,及び蓋の裏側及び右側の本体の格納部分には,い
ずれもグレーの波状スポンジが機器の損傷防止クッションとして敷き詰められてい
ることは,被告らにおいて明らかに争わないから,これを自白したものとみなす。
b ただし,証拠(甲48の7∼10)によれば,原告製品1及び被告製品のコ
ントローラーは,箱の左側上部に設置されているが,原告製品2では,箱の左側全
体に設置されていることが認められる。
(エ)a 原告製品も被告製品も,コントローラーには,白地の電流計,0∼10
0まで10単位での目盛が表示された出力調整つまみ ,「連続」動作と「断続」動
作の切り替えスイッチ,及び電源スイッチが設けられていることは,原告において
明らかに争わないから,これを自白したものとみなす。
b 被告製品のコントローラーは,原告製品とは異なり,電流メーターの直下
にボリュームコントロールツマミが配置され,電源スイッチ自体が通電状態を表示
するネオンランプ内蔵のものが使用され,連続 /断続スイッチもセレクタ・スイッ
チが採用されていること(原告製品ではトグル・スイッチある。)は,原告において
明らかに争わないから,これを自白したものとみなす。
(オ) 以上に説示の事実によれば,被告主張の相違点は微差というべきものであ
り,原告製品のアタッシュケースと被告製品のアタッシュケースとは,外観,内部
の配置とも類似していると認められる。
イ 販売方法及び販売場所の同一性
(ア) 原告の販売方法
前提事実( 3)ウのとおり,原告は,原告の販売代理店によって ,「体験会」を実
施し ,この体験を通じて原告製品を販売し ,事前にチラシを配布するなどして , 体

験会」の実施を宣伝している
(イ) 被告らの販売方法
a 被告クリエイト及び被告アメックは,自ら又は販売代理店によって公共の
施設等を使用して「体験会」などを実施し,この体験を通じて被告製品を販売して
いること,及び体験会の開催は事前にチラシを配布するなどして宣伝していること
は,当事者間に争いがない(被告晃栄らとの関係では,明らかに争わない。)。
b 被告らは,被告らの販売方法は体験会方式に限られるものではなく,被告
クリエイトは,家電量販店や百貨店の催事場での販売を推奨してきたし,被告アメ
ックも ,家庭への訪問販売やデパート ,呉服店等の販路を開拓している旨主張する 。
証拠(乙33)及び弁論の全趣旨によれば,被告クリエイト及び被告アメックは,
公共の施設等を使用しての体験会だけでなく,家電量販店や百貨店の催事場での販
売を行っているが,その販売方法は,依然として体験会方式が多いこと,被告アメ
ックにおいて,家庭への訪問販売を試みているが,さほど成果は上がっていないこ
とが認められる。
ウ 宣伝チラシの類似性
証拠(甲55,58,59,62,64)によれば,被告アメックが使用する宣伝
チラシ(甲55)及び被告クリエイトの販売代理店らが使用する宣伝チラシ(甲58 ,
59)に掲載されている内容は,以前それらの販売代理店が原告製品を販売してい
た当時に使用していたチラシ(甲62,64)の掲載内容の一部をそのまま使用し,
原告製品に関する記事内容及び原告製品の写真によって被告製品の宣伝をしている
こと,並びに宣伝チラシ(甲58,59)は ,「針+圧+振」という原告製品を想起
させる文言を用いていることが認められる。
エ マニュアル冊子の同一性
(ア) 原告は,平成4年より,原告製品の販売の際に ,「皮膚刺激療法の参考治
療点」(甲65。監修 東洋医学研究会,発行所 株式会社大企画 出版部)という
マニュアル冊子を配布又は販売してきたことは,当事者間に争いがなく,弁論の全
趣旨によれば,同冊子は,原告が制作を企画したものであることが認められる。
(イ) 被告らが上記冊子と同一内容の冊子(甲68。ただし,監修者と発行所の
表示はない。)を製作し,被告製品に添付して配布したことは,当事者間に争いが
ない。
証拠(乙15)及び弁論の全趣旨によれば,被告クリエイトは,現在では,甲68
の冊子の配布は取り止め,別の冊子(乙15)を作成して配布していることが認めら
れる。
オ 使用説明マニュアル中の原告製品の写真の使用
証拠(甲69)及び弁論の全趣旨によれば,被告クリエイトの販売代理店の一部が
作成し,被告製品に同梱されている「楽らく針の使い方」と題する使用説明マニュ
アル(甲69)には,原告製品の写真が使用されていることが認められる。
その体裁から,被告クリエイトがその作成に関わったとまで認定することはでき
ない。
(3 ) 混同を減少させる要因
ア 価格
(ア) 原告製品の価格は25万円以上,被告製品の価格は20万円程度と高価で
あることは,当事者間に争いがない。
価格が高額であればあるほど,一般消費者は,製品の違いをよく吟味するものと
認められる。
(イ) 被告らは,家庭用医療機器という商品の性質上,一般消費者は商品の形態
よりも,効能に着目して購入する旨主張する。
確かに,家庭用医療機器という商品の性質上,一般消費者は効能に着目して購入
するものと考えられるが,商品の形態又は商品のデザインも,商品の選択の際に一
定の貢献をしているものと考えられる。
イ 販売方法
(ア) 社名,商品名の表示
薬事法64条,63条,63条の2に従い,被告製品の本体,アタッシュケース
及び添付文書(乙1の1∼8)には,被告製品の商品名,製造会社である被告晃栄の
名称等が大きく表示され,また ,「晃栄電子 針付きバイブレータ 楽らく針 取
扱説明書」(乙2)の末尾には ,「保証とアフターサービス」のページがあり ,「晃
栄電子お客さまご相談窓口のご案内」として,被告晃栄の電話・ファックス番号が
表示されていることは,当事者間に争いがない。
(イ) 体験会における説明
被告らは,被告製品の体験会において,販売員は,製造元及び発売元の点を含め
十分説明をした上で販売している旨主張するが,上記( 2)ウないしオの宣伝チラシ
の類似性等の事実を考慮すると,上記被告らの主張事実を認めることはできない。
(4 ) 判断
上記に説示の事実によれば,原告製品の本体と被告製品の本体は,形態が類似し
ているものであり,混同を増大させる要因及び混同を減少させる要因を併せ考慮し
ても ,需要者である一般消費者が被告製品を原告製品と混同を生じるおそれがあり ,
少なくとも被告製品の販売者が原告と緊密な営業上の関係がある者と誤信するおそ
れがあり,広義の混同を生じるおそれがあると認められる。
そして,原告は,上記混同により,その営業上の利益を侵害されるものと認めら
れる。
これに反する被告らの主張は,採用することができない。
4 争点( 4)(差止め及び廃棄の可否)
(1 ) 被告晃栄に対する請求
ア 以上に説示の事実によれば,被告晃栄に対する差止請求は,被告製品の製
造,販売,又は販売のための展示の差止めを求める限度で,理由がある。
被告製品は,プログラムではないから,電気通信回線を通じての提供行為の差止
めを求めることはできない。
なお,商品等表示として主張されているのは,原告製品の本体であるから,被告
製品の本体の形態を変更すれば,被告製品全体が不正競争防止法2条1項1号の要
件を満たさなくなることがある。
イ 被告晃栄に対する廃棄請求は,被告製品の本体の「バイブレーターケース
腹」「バイブレーターケース
, 背」及び「ホルダーカバー 」,並びに被告製品の本体
の半製品の「バイブレーターケース 腹」 「バイブレーターケース
, 背」及び「ホル
ダーカバー」の本体から取り外した上での廃棄,並びに被告製品の本体の製造に用
いられる金型の廃棄を求める限度で理由がある。
弁論の全趣旨によれば,被告製品の完成後であっても ,「バイブレーターケース
腹」「バイブレーターケース
, 背」及び「ホルダーカバー」を脱着することは容易で
あり,内部の組み立てられた部分は外側のケースを変えて再利用することが可能であ
ると認められるから,被告製品の本体全体の廃棄を求めることは,予防措置として
過剰な請求であると認められる。
(2 ) 被告クリエイトに対する請求
ア 以上に説示の事実によれば,被告クリエイトに対する差止請求は,被告製
品の販売,又は販売のための展示の差止めを求める限度で理由がある。
イ 被告クリエイトに対する廃棄請求は,被告製品の本体の「バイブレーター
ケース 腹 」 「バイブレーターケース
, 背」及び「ホルダーカバー」の本体から取
り外した上での廃棄を求める限度で理由がある。
(3 ) 被告アメックに対する請求
以上に説示の事実によれば,被告アメックに対する差止請求及び廃棄請求は,上
記(2)の被告クリエイトに対する請求と同旨の限度で理由がある。
5 争点( 5)(故意又は過失)及び争点( 6)(共同不法行為の成否)
(1 ) 被告製品のデザイン過程
被告晃栄は,被告製品を開発・製造するために,中国のメーカーに対して,部品
の設計を委託したが,その際,原告製品を交付したこと,中国のメーカーは,原告
製品を用いて,デジタイジングによる複製又は電鋳による転写により,被告製品の
製造用の金型を作成したこと,及び被告晃栄は,取っ手部の形状等の若干の点につ
き変更の指示を行ったが,被告製品の本体の形態は,基本的に原告製品の本体のコ
ピーであることは,前記2(争点( 2)(類似性))(1)イ(カ)のとおりである。
(2 ) 被告晃栄ら
ア 弁論の全趣旨によれば ,被告クリエイトは ,被告晃栄の営業部が独立して ,
被告晃栄の100%子会社として設立されたものであり,被告クリエイトの代表取
締役は,被告晃栄代表取締役であるEであることが認められる(被告晃栄らとの間
では,当事者間に争いがない。)。
イ 前提事実( 4)イ(ア)のとおり,被告晃栄が被告製品を製造し,被告クリエイ
トがその総販売元として被告製品を販売している。
ウ 弁論の全趣旨によれば,被告クリエイトの専務取締役であるAは,平成9
年10月ころから平成14年8月ころまで,原告製品の販売代理店であった株式会
社東洋医学研究所の社員として原告製品を販売し,同社を退社した後も平成16年
12月ころまで,原告製品の販売をしていたことが認められる(被告晃栄らとの間
では,当事者間に争いがない。)。
(3 ) 被告アメック
ア 弁論の全趣旨によれば,被告アメックの代表取締役であるBは,平成14
年ころから原告の販売代理店である株式会社ヒューマン・コーポレーションにおい
て,平成15年4月ころからは同ニッシンにおいて,平成16年1月ころからは同
有限会社東方通商の傘下の販売店として,平成17年1月ころから同年12月ころ
までは有限会社東方通商の社員として,原告製品の販売を行ってきたこと,Bは,
平成16年5月に被告アメックを設立し,北海道において原告製品の販売を行って
いたこと,並びに被告アメックの取締役であるC及びDも,有限会社東方通商にお
いて,原告製品の販売を行っていたことが認められる(被告アメックとの間では,
当事者間に争いがない。)。
イ 証拠(甲92,93)によれば,被告アメックは,平成19年5月以降,被
告晃栄の商号に類似した「株式会社晃栄販売」との商号を使用して被告製品を販売
していることが認められるが,被告晃栄らがその使用を許諾又は黙認していること
を認めるに足りる証拠はない。
(4 ) 予防医学
ア 証拠(甲89,90)及び弁論の全趣旨によれば,被告アメックと予防医学
は,体験会の実施という販売方法を採っており,そのために配布するチラシの内容
はほとんど同一であり,密接に連携して被告製品の販売を行っていることが認められ
る(被告アメックは,明らかに争わない。)。
イ 証拠(甲4)によれば,被告クリエイトの取締役であるAは,予防医学の取
締役を兼ねていることが認められる(被告晃栄らとの間では,当事者間に争いがな
い。)。
(5 ) まとめ
以上の事実によれば,かつて原告製品の販売を行っていたAが,被告晃栄に持ち
かけて原告製品に極めて類似した被告製品の開発をさせ,かつ,販売を担当する被
告クリエイトを設立させた上,かつて原告製品の販売に関与していたが原告との関
係が悪化した被告アメックのBらに対し,直接又は他の販売代理店を介して,被告
製品の販売を持ちかけ,Bらの原告製品を過去に販売していた者も,被告製品の本
体が原告製品の本体に酷似することを認識しながら,その供給を受けて,原告製品
を被告製品に変えただけで従来慣れ親しんだ針付バイブレータの販売を継続したも
のと認められる。
(6 ) 弁護士への相談
被告アメックは,株式会社コア・フィールドを通して被告製品を仕入れる際に,
Aに法に触れることはないかと尋ね ,「弁護士と何回も打合せをしており,一切問
題がない,大丈夫です 。」と言われたので,適法だと信じていた旨主張する。
仮に,被告アメック主張のようなAの回答があったとしても,被告製品の発売前
に作成された弁護士による意見書等は本訴で提出されていないから,Aの回答はさ
ほど根拠のあるものとは認められないし,被告アメックによる確認も,自ら原告製
品の販売に関与して原告製品の本体の形態を熟知していたにもかかわらず,回答の
根拠の開示を求めたりしていない不十分なものといわざるを得ない。
よって,上記確認及び回答から,被告アメックに過失がなかったものと認めるこ
とは,到底できない。
(7 ) 判断
ア 故意又は重過失
以上に説示の事実によれば,被告らは,原告の営業上の利益の侵害につき,故意
又は少なくとも重大な過失があったと認められる。
イ 共同不法行為
(ア) 以上に説示の被告晃栄と被告クリエイト間の資本関係及び人的関係からす
ると,被告晃栄と被告クリエイトとの間には,主観的共同又は強い客観的共同の関
係があると認められる。
(イ) 以上に説示の事実によれば,被告アメック販売分184台については,被
告ら3者間に,主観的共同又は強い客観的共同の関係が認められる。
(ウ) しかしながら,被告アメック販売分以外の部分については,被告アメック
が主導して被告製品の開発をさせた等の事情は認められないから,被告アメックは
責任を負わず,被告晃栄及び被告クリエイトの共同不法行為が成立するだけである
と認められる。
6 争点( 7)(原告の損害)
(1 ) 不正競争防止法5条1項に基づく請求
ア 利益の額
証拠(甲94∼132)及び弁論の全趣旨によれば ,前記第2 ,3( 7)(原告の主張)
ア(ア)bのとおり,原告は原告製品の販売により1台当たり4万5440円の利益
を得ていることが認められる。
被告らは,被告製品を製造する際の労務費及び変動経費は売上高の約32%にな
るから,原告の主張する労務費及び変動経費の売上高に対する割合約10%は低率
に過ぎる旨主張する。
しかしながら,原告の利益の額は,限界利益の考え方により算定されるべきであ
るから,一般管理費や固定費を差し引く必要はなく,相当高額となっても不思議で
はないところ,被告らの主張する被告製品についての労務費及び変動経費には,原
告の利益額の算定に当たっては差し引く必要のない各種器材の購入費 ,倉庫賃貸料 ,
工場固定資産税,及び管理責任者人件費等を含めているものであるから(被告晃栄
ら第7準備書面別紙),被告ら主張の数値がそもそも妥当性を有しないものといわ
ざるを得ず,被告らの上記主張は,理由がない。
イ 1項ただし書の事情
(ア) 原告製品の販売方法
原告製品の販売方法は,前提事実( 3)ウのとおりであり ,「体験会」の実施を通
じ,さらに,講習の受講等を通じて販売過程を厳格に管理しているものである。
(イ) 被告らの販売網
これに対し,被告らは,本体の形態さえ異なれば,原告製品の売れ行きに影響を
与える同種製品を販売することは可能であった上,前記3( 2)イ(イ)のとおり,被告
らは,被告アメック及び予防医学らを含む自らの販売網により,体験会を実施する
などして,被告製品を販売したものであり,原告の販売網とは別の被告らの販売網
があったために,被告製品の販売が可能となった面があることは否定できない。
(ウ) 新たな販路
前記2(争点( 2)(類似性))( 2)イ(イ)bのとおり,被告クリエイト及び被告アメッ
クは,家電量販店や百貨店の催事場でも体験会方式での販売を行い,被告アメック
においては,家庭への訪問販売を試みたものである。
(エ) 判断
以上に説示の事実によれば ,被告らが販売した数量のうち ,7割については , 被

侵害者が販売することができないとする事情」(不正競争防止法5条1項ただし書)
があると認められる。
ウ 不正競争防止法5条1項ただし書が適用されなかった部分についての計算
(ア) 被告アメック販売分
4万5440円×184台×0.3=250万8288円
(イ) 被告アメック以外の販売分
4万5440円×1009台×0.3=1375万4688円
エ 不正競争防止法5条1項ただし書が適用された部分についての計算
(ア) 不正競争防止法5条3項の補充適用
不正競争防止法5条1項で請求されたもののうち,同条1項ただし書により推定
の覆滅が認められた部分については,同条3項が補充的に適用されると解される。
これに反する被告らの主張は採用することができない。
(イ) 相当使用料額
これまでに説示した諸事実によれば,不正競争防止法5条3項1号の相当使用料
額を被告製品の一般消費者に対する販売価格の2%程度である4000円と認める
のが相当である。
(ウ) 計算
そうすると,不正競争防止法5条1項ただし書が適用された部分についての不正
競争防止法5条3項の補充適用に基づく損害額は,次のとおりとなる。
a 被告アメック販売分
4000円×184台×0.7=51万5200円
b 被告アメック以外の販売分
4000円×1009台×0.7=282万5200円
(2 ) 弁護士費用
本件訴訟の難易度 ,認容額(差止め及び廃棄請求の認容を含む 。)等を考慮すると ,
原告が支払った弁護士費用のうち,被告らの不正競争行為と相当因果関係を有する
損害額を300万円,そのうち被告アメック販売分に係る損害額を50万円と認め
る。
(3 ) まとめ
ア よって,被告アメック販売分につき,被告らは,原告に対し,連帯して3
52万3488円及びこれに対する不法行為の後である平成18年12月14日か
ら支払済みまで年5分の割合による遅延損害金を支払う義務がある。
イ 被告アメック以外の販売分につき,被告晃栄らは,原告に対し,連帯して
1907万9888円及びこれに対する不法行為の後である平成18年12月14
日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金を支払う義務がある。
7 結論
よって,原告の差止め及び廃棄請求は,主文第1項から第3項までに記載の限度
で理由があるから認容し,不正競争防止法4条に基づく損害賠償請求は,主文第4
項に記載の限度で理由があるから認容し,その余を棄却し,仮執行宣言は,損害賠
償請求に関する部分につき相当と認め,差止め及び廃棄請求の部分については付さ
ないこととし,主文のとおり判決する。
東京地方裁判所民事第40部
裁判長裁判官
市 川 正 巳
裁判官
大 竹 優 子
裁判官
宮 崎 雅 子

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