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平成19(行ケ)10217審決取消請求事件

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裁判所 請求棄却 知的財産高等裁判所
裁判年月日 平成19年12月26日
事件種別 民事
当事者 被告エスビーエイチ・インティメッツ・インク
原告X
法令 商標権
商標法50条1回
キーワード 審決8回
商標権8回
実施2回
許諾1回
主文 原告の請求を棄却する。訴訟費用は原告の負担とする。
事件の概要 1 特許庁における手続の経緯 原告は,右に表示のとおり「スキャンティ ー」の片仮名文字を特殊な書体等で書して成 り,指定商品を第25類「洋服,コート,セー ター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり 巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー, 手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター, マフラー,耳覆い,ずきん,へルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり, バンド,べルト」(当初は第36類「被手巾,釦銀及び装身用『ピン』の類」であ ったが,平成14年3月13日指定商品の書換えがされた。)とする登録第575 122号商標(昭和33年12月27日出願,昭和36年6月20日設定登録。以 下「本件商標」という。)の商標権者である(甲7)。 被告は,平成18年9月22日,原告を被請求人として,本件商標の商標登録を 取り消すことについて審判(以下「本件審判」という。)を請求し,平成18年1 0月12日,その予告登録がされた(以下「本件予告登録日」ともいう。)。特許

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判決文

平成19年(行ケ)第10217号 審決取消請求事件
平成19年12月26日判決言渡,平成19年11月7日口頭弁論終結
判 決
原 告 X
訴訟代理人弁護士 大石一二
被 告 エスビーエイチ・インティメッツ・インク
訴訟代理人弁護士 山崎行造,杉山直人
主 文
原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
事実及び理由
第1 請求
特許庁が取消2006−31192号事件について平成19年5月8日にした審
決を取り消す。
第2 当事者間に争いのない事実
1 特許庁における手続の経緯
原告は,右に表示のとおり「スキャンティ
ー」の片仮名文字を特殊な書体等で書して成
り,指定商品を第25類「洋服,コート,セー
ター類,ワイシャツ類,寝巻き類,下着,水泳着,水泳帽,和服,エプロン,えり
巻き,靴下,ゲートル,毛皮製ストール,ショール,スカーフ,足袋,足袋カバー,
手袋,布製幼児用おしめ,ネクタイ,ネッカチーフ,バンダナ,保温用サポーター,
マフラー,耳覆い,ずきん,へルメット,帽子,ガーター,靴下止め,ズボンつり,
バンド,べルト」(当初は第36類「被手巾,釦銀及び装身用『ピン』の類」であ
ったが,平成14年3月13日指定商品の書換えがされた。)とする登録第575
122号商標(昭和33年12月27日出願,昭和36年6月20日設定登録。以
下「本件商標」という。)の商標権者である(甲7)。
被告は,平成18年9月22日,原告を被請求人として,本件商標の商標登録を
取り消すことについて審判(以下「本件審判」という。)を請求し,平成18年1
0月12日,その予告登録がされた(以下「本件予告登録日」ともいう。)。特許
庁は,同請求を取消2006−31192号事件として審理をした結果,平成19
年5月8日に「登録第0575122号商標の商標登録は取り消す。」との審決を
し,同月22日,その謄本を原告に送達した。
2 審決の理由
(1) 審決は,以下のとおり,本件商標は,原告又は通常使用権者により,継続し
て,本件審判請求の予告登録前3年以内に,日本国内において,請求に係る商品に
ついて使用していなかったものとして,本件商標の登録は,商標法50条の規定に
より取り消すべきであるとした。
(2) 審決の判断の要点
「( 1)被請求人提出の証拠(乙第1号証ないし同第5号証〔判決注:本訴甲第1号証ないし甲
第5号証に同じ。〕)によれば,以下の事実が認められる。
ア 鴨居羊子「下着ぶんか論」(乙第1号証)は,凡凡社の発行に係る書籍の写しと推認さ
れる(奥付等がなく発行日は不明である。)ところ,その記載中,222頁以下に「スキャン
ティのこと」として,その名称が使用されだした当時の逸話が紹介されている。その中で,
「スキャンティ」が新聞や週刊誌の注釈とは異なり,「そんな意味の造語ではなくて,実は“
乏しき”とか“ごく少量の”とかいった意味をもつ立派な英語で,Scantyとつづる形容
詞なのです。この小さなパンティスは,私が下着をアレコレといじりまわし,興味をもちだし
たころの名づけで,…」と記載されている。
イ 「女は下着でつくられる」(乙第2号証)は,鴨居羊子コレクション1と副題が付けら
れた,同女史のエッセイを集大成したとされる国書刊行会発行の書籍の写し(奥付等がなく発
行日は不明である。)と認められるところ,「スキャンティ生まれる」の項(74頁)には,
当時の同女史の交友や仕事ぶりが表現されるとともに,「スキャンティーこれは,いままでの
パンティスと違って股ぐりが深いため,少量の面積でパンティスの機能を果し,同時に脚が長
くみえ,たとえ太った人でも股ぐりの斜線のために,脚が入りやすい。色はあらゆる色を用い,
レースよりも飾りゴムをつけた。」(76頁)との記載がある。
ウ 商品タグ(乙第3号証)には,「TUNIC」,「チュニック株式会社」の文字の上に
下着姿で寝そべった女性を漫画風に描いた図を配し,その最上部には,小さく「1955年,
スキャンティとその家族は生まれました。」の記載がある。
エ 商品現物の写真(乙第4号証)には,女性用下着に乙第3号証の商品タグと,上半身裸
状態で立つ下着姿の女性を漫画風に描いた図と「TUNIC」の文字を表示した商品タグが付
けられている。
オ 商品現物の写真(乙第5号証)には,乙第4号証とは別の女性用下着に,乙第4号証と
全く同じ二種類の商品タグが付けられている。
( 2)本件商標は,別掲のとおりの態様をもって「スキヤンティー」の文字を表したものであ
る。しかして,上記証拠によっては,「スキャンティ」の命名の経緯等を窺い知ることができ
るが,商品との関わりにおいては,商品タグ(乙第3号証ないし乙第5号証)の中に「スキャ
ンティ」の文字を見いだせるけれども,これとても,「1955年,スキャンティとその家族
は生まれました。」というものである。そして,この記述は,当該商品に付された商品タグに
表示された「TUNIC」,「チュニック株式会社」あるいは図形をもって商品の出所を表す
ものと看取されるとみるのが自然であることとも相侯って,一種のキャッチフレーズとして捉
えられるというのが相当であるから,この中の「スキャンティ」の表示をもって,自他商品の
識別機能を果たし得る態様の使用とは認め難いものである。
加えて,当該商品が現に取引されたことを証明する取引書類等の証左は提出されていない。
してみると,被請求人が本件商標をその製造・販売する「パンティ」等の下着に使用したと認
めることはできないというほかない。
(3) 以上によれば,本件商標が,本件審判請求の登録前3年以内に,その指定商品について
使用をされたことが証明されたということはできない。他に,本件商標の使用を明らかにする
証拠はなく,また,不使用であることについての正当理由に関する主張及び立証はない。」
第3 原告主張の取消事由
審決は,本件商標の使用の事実を看過し,その結果,本件審判請求の予告登録前
3年以内に,日本国内において,請求に係る商品について使用していなかったとの
誤った判断をしたものであって,違法であるから取り消されるべきものである。
1 本件商標の使用
(1) 「スキャンティ」という語は,昭和30年,故鴨居羊子(以下「故鴨居」と
いう。)が「最小限の布のパンティ」という意味で,英語の「Scanty」から
名付けたものである。日本の女性下着に革命を起こした下着デザイナーである故鴨
居は,昭和33年にチュニック株式会社(以下「訴外会社」という。)を設立して,
女性下着の制作販売を行うようになり,訴外会社が制作販売するパンティのうち
「生地が薄くてタイトなパンティ」に対して,特に「スキャンティ」との標章,す
なわち本件商標を付して商品を特定していた。訴外会社は,自社が制作販売するパ
ンティの標章として本件商標を使用していたため,本件商標の更新登録を繰り返し
行っていたものである。また,訴外会社からパンティ等の下着を購入している全国
の下着販売小売店は,「スキャンティ」といえば訴外会社が製造販売する「生地が
薄くてタイトなパンティ」の商品であると認識し,それ以外の商品の意味に使うこ
とはなかった。
(2) なお,故鴨居は,単なる下着デザイナーにとどまらず,文筆・絵画等の才能
を有していて,1960年から70年にかけて日本のアバンギャルドの旗手として
女性の社会進出などにも影響を与えていたことより,故鴨居がデザインするパンテ
ィの標章として使用されていた「スキャンティ」という語は,旧来のパンティ(木
綿でできた白いダブダブしたパンティ)とは異なる斬新なパンティのすべてを総称
する名称として使用されるようにもなった。このように,「スキャンティ」という
言葉は,「薄くて小さいパンティ」という意味の一般名称のように使用され出した
ものの,あくまで「スキャンティ」という語は,訴外会社が制作販売する「生地が
薄くてタイトなパンティ」の商標として使用され,それらの商品は「スキャンテ
ィ」の商標のもとに取引されていたのである。
2 商標権者等による使用
「スキャンティ」という本件商標は,故鴨居が昭和36年6月20日に設定登録
を受けたものであり,それ以後,故鴨居が代表取締役に就任していた訴外会社が本
件商標を使用しているものであり,かつ,訴外会社以外に本件商標を使用するもの
はいない。これは,本件商標の商標権者である故鴨居と訴外会社との間に,独占的
通常実施契約が黙示に設定されていたからに他ならないものであって,故鴨居が死
亡した後は,本件商標の遺贈を受けた原告と訴外会社との間で,上記と同様の黙示
の独占的通常実施契約が締結されているものである。
第4 被告の反論
審決の認定判断に誤りはなく,原告主張の取消事由はいずれも理由がない。
1 商標の使用に対して
原告の主張する使用は,いずれも商標としての使用とはいえないものであり,ま
た,原告が使用の根拠とする商品タグを付した商品の販売時期を明らかにする客観
的な資料は何ら示されていない。
2 商標権者等による使用に対して
本件商標に係る商標権は,平成4年12月21日,遺贈を原因として故鴨居から
原告に移転しているが,訴外会社が商標権者,専用使用権者又は通常使用権者であ
ったことはなく,また,原告と訴外会社との間に本件商標に係る使用許諾契約等が
存在した証拠もないから,仮に,訴外会社が本件商標を使用していても商標権者等
による使用があったとはいえない。
第5 当裁判所の判断
1 商標の使用があることについて
(1) 証拠(甲3∼5,甲38の1,2)によれば,原告が代表取締役として運営
する訴外会社は,同社の制作するパンティのうち生地が薄くてタイトなパンティを
「スキャンティ」と称し,これに「1955年,スキャンティとその家族は生まれ
ました。」,「TUNIC 訴外会社」,「ヒップ85−93 COL.A QU
A.スキャンティ ポリエステル100%」などと表示されたタグを付して販売し
ていたことが,認められないではないが,その販売を,本件予告登録日前の平成1
5年12月12日から平成18年10月11日までの間に行ったことを認めるに足
りる証拠はない。
(2) なお,本件事案にかんがみ,訴外会社が上記販売行為をしていたのが平成1
5年12月12日から平成18年10月11日までの間であったものと仮定して,
「スキャンティ」という語の使用形態についても検討すると,証拠(甲1∼9,甲
38の1,2)によれば,次の事実が認められる。
ア 故鴨居は,下着デザイナーとして活躍し,昭和30年,大阪そごう百貨店の
ギャラリーに「チェニック制作室」という名の下着の個展会場を設け,そこで新し
い下着を工夫し,かつ,その制作販売に従事していたが,昭和33年1月16日,
各種下衣類の製作販売等を目的とする訴外会社を設立して,その代表者に就任した。
昭和56年ころには,同社の所在地を芦屋市大東町に移転した。
イ 故鴨居は,昭和33年ころの秋に開催された下着ショーにおいて,「乏し
き」,「ごく少量の」などといった意味を有する英語「Scanty」をとって,
生地が薄くてタイトなパンティを「スキャンティ」と称して発表したところ,大き
な反響を呼び,「スキャンダル・プラス・パンティの造語である」などと報道され
た。
ウ 故鴨居は,昭和33年11月10日凡凡社から「下着ぶんか論」との表題の
書籍を,昭和48年には三一書房から「わたしは驢馬に乗って下着をうりにゆきた
い」との表題の書籍を,平成3年には日動出版部から「わたしのものよ」との表題
の書籍をそれぞれ出版するなどし,戦後の日本の女性下着に革命を起こした下着デ
ザイナーとして広く知られるに至った。
エ 故鴨居は,平成3年3月死亡し,訴外会社の現代表取締役である原告が,故
鴨居からの遺贈により本件商標の商標権を取得した。訴外会社は,同社の製造する
女性用のパンティのうち生地が薄くてタイトなパンティを「スキャンティ」と称し
て販売し,その商品のタグには,「1955年,スキャンティとその家族は生まれ
ました。」,「TUNIC 訴外会社」,「ヒップ85−93 COL.A QU
A.スキャンティ ポリエステル100%」などと表示して販売していた。
オ 上記「下着ぶんか論」には,「スキャンティのこと」との見出しで,「私が,
この秋,東京でやつた下着ショウのうち,一ばん布地の少ないパンティスが私の知
らぬまにひとり歩きして『スキャンダル・パンティ』というニックネームと共に私
の愛情ゆたかな手もとから巣立ってゆきました。ショウが終って,二日ばかりたっ
て,午後,銀座の服部時計店の角で何気なく夕刊を買い,私は思わず一人で赤面し
てしまいました。この記事には『スキャンティ』が一躍人気者になってしまって,
しかも次のような註釈がついていました。すなわち『スキャンティ』とは“スキャ
ンダル・プラス・パンティの造語である”としゃれられているのです。私は新聞記
者って実にうまいことをいうもんだなあと感心しました。」(222頁∼223
頁)との記載がある。
また,上記書籍「わたしは驢馬に乗って下着をうりにゆきたい」では,「私のデ
ザインをアキ子が裁ち,アルバイト学生さん二人が縫う。まとめやししゅうなどの
一針一針縫うのも大好きになった。・・・さて,一つ一つ出来上ると,たちまちそ
の一つ一つに私の勝手気ままなやり方の造語で愛称をつけた。」(「わたしは驢馬
に乗って下着をうりにゆきたい」を収録した平成16年1月20日国書刊行会発行
「女は下着でつくられる」の76頁)として,「スキャンティ,ペペッティ,クロ
スティ,ココッティ」(76頁∼77頁)などが挙げられ,そのうちの「スキャン
ティ」について,「これは,いままでのパンティスと違って股ぐりが深いため,少
量の面積でパソティスの機能を果し,同時に脚が長くみえ,たとえ太った人でも股
ぐりの斜線のために,脚が入りやすい。色はあらゆる色を用い,レースよりも飾り
ゴムをつけた。」(76頁∼77頁)との記載がある。その他,本件予告登録日で
ある平成18年10月12日の後ではあるが,平成19年1月22日日本経済新聞
の文化欄の「おんなと生きもの」と題する随筆には,「鴨居羊子・・・は女性の下
着デザイナーで,55年に『チュニック制作室』を創立。ナイロン・トリコットの
7色のスキャンティや,ブラジャーを作った。」との記載が,また,同月25日中
日新聞の文化欄には,「戦後を駆け抜けた下着デザイナー鴨居羊子」との表題で,
「『スキャンティ』の創作者で,日本の女性下着に革命を起こした下着デザイナー
鴨居羊子」との記載があって,「スキャンティ」は,もっぱら故鴨居の創作に係る
女性用下着の名称であると理解されている。ちなみに,大辞林第2版にも,「スキ
ャンティ」の項目があり,「きわめて短いパンティー」と説明されている。
(3) 上記認定の事実によれば,故鴨居は,生地が薄くてタイトなパンティを創作
し,これを「スキャンティ」と名付けて発表したところ,この新しいパンティが注
目を集めて広く知られるようになった結果,本件予告登録日である平成18年10
月12日までには,「スキャンティ」の語は,女性用のパンティのうち生地が薄く
てタイトなものを意味する一般的名称となっていたものと認められる。
訴外会社自身も,同社の制作する女性用のパンティのうち生地が薄くてタイトな
ものを「スキャンティ」と称し,その商品のタグには,「1955年,スキャンテ
ィとその家族は生まれました。」,「TUNIC 訴外会社」,「ヒップ85−9
3 COL.A QUA.スキャンティ ポリエステル100%」などと記載され
ているが,「1955年,スキャンティとその家族は生まれました。」との記載中
の「スキャンティ」の語を標章であるとは認めがたく,また,「ヒップ85−93
COL.A/QUA.スキャンティ/ポリエステル100%」(判決注:「/」
は行替えをしていることを示す。)中の「QUA.スキャンティ」も,品質を示す
ものと認められ,訴外会社の商品を示す標章として使用されているといえない。
原告が提出する報告書(甲10∼36)は,原告が作成したものと思われる定型
的な内容の書面に,訴外会社から下着を購入する全国の下着販売小売店が記名捺印
したものであるのみならず,訴外会社が制作する,生地が薄くてタイトなパンティ
の商品名を「スキャンティ」と呼んでいたというのであって,訴外会社が「スキャ
ンティ」の語を標章として使用していたとしているわけではない。
また,訴外会社の商品台帳に付されている「16スキャンティ」の記載は,商品
名を示すものと認められるが,そのことをもって,商標の使用ということができな
い。
その他,本件全証拠を検討しても,原告なり訴外会社なりが,自他識別のための
標章として本件商標を使用していることを認めるに足りない。
(4) 原告は,故鴨居が,単なる下着デザイナーにとどまらず,文筆・絵画等の才
能を有していて,1960年から70年にかけて日本のアバンギャルドの旗手とし
て女性の社会進出などにも影響を与えていたことより,故鴨居がデザインするパン
ティの標章として使用されていた「スキャンティ」という語は,旧来のパンティ
(木綿で出来た白いダブダブしたパンティ)とは異なる斬新なパンティのすべてを
総称する名称として使用されるようになったことを認めつつ,あくまで「スキャン
ティ」という語は,訴外会社が制作販売する「生地が薄くてタイトなパンティ」の
商標として使用され,それらの商品は本件商標の下に取引されていた旨主張する。
しかし,上記(3)のとおり,訴外会社の商品を示す標章として使用されていると
認め難いから,原告の上記主張は,採用できない。
2 そうすると,原告の請求は,その余の点について判断するまでもなく,理由
がないことに帰する。
知的財産高等裁判所第1部
裁判長裁判官 塚 原 朋 一
裁判官 宍 戸 充
裁判官 柴 田 義 明

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