平成18(行ケ)10115等特許取消決定取消請求事件
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裁判所 |
請求棄却 知的財産高等裁判所
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裁判年月日 |
平成19年10月31日 |
事件種別 |
民事 |
当事者 |
被告特許庁長官肥塚雅博 原告兼参加人住友金属工業株式会社
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法令 |
特許権
特許法36条6項1号1回
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キーワード |
特許権7回 審決5回 訂正審判2回 優先権1回
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主文 |
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。 |
事件の概要 |
1 特許庁における手続の経緯
(1) 特許第3376949号の特許 平成11年3月24日出願 優先権主張( 〔
:平成10年9月16日及び平成11年1月25日 日本 平成14年12, 〕,
月6日設定登録,登録時の請求項の数は10である。以下,この特許を「本
件特許 ,本件特許に係る特許権を「本件特許権 ,本件特許に係る明細書及」 」
び図面を 本件明細書 と それぞれいう は 発明の名称を 太陽熱反射「 」 , 。) , 「
性表面処理金属板」とし,特許権者を原告及び脱退原告(以下,両者を併せ
「 」 。) , 。 , , ,て 原告ら という として 設定登録された なお その後 脱退原告は
原告に対し,本件特許権の持分を移転した(平成19年5月25日登録 。)
(2) 本件特許の請求項1ないし10について特許異議の申立てがされ 異議2,
003−72058号事件として特許庁に係属した。その審理の過程におい
て,原告らは,平成17年7月11日,本件明細書を訂正する請求をした。 |
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判決文
平成19年10月31日判決言渡
平成18年(行ケ)第10115号 特許取消決定取消請求事件
平成19年(行ケ)第10231号 特許取消決定取消請求参加事件
平成19年10月17日口頭弁論終結
判 決
原 告 兼 参 加 人 住 友 金 属 工 業 株 式 会 社
(以下,単に「原告」という。)
訴 訟 代 理 人 弁 理 士 広 瀬 章 一
被 告 特許庁長官 肥 塚 雅 博
指 定 代 理 人 鈴 木 由 紀 夫
同 野 村 康 秀
同 唐 木 以 知 良
同 大 場 義 則
脱 退 原 告 住 友 金 属 建 材 株 式 会 社
主 文
1 原告の請求を棄却する。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事 実 及 び 理 由
第1 請求
特許庁が異議2003−72058号事件について平成18年2月2日にし
た決定を取り消す。
第2 争いのない事実
1 特許庁における手続の経緯
(1) 特許第3376949号の特許(平成11年3月24日出願〔優先権主張
:平成10年9月16日及び平成11年1月25日,日本〕 平成14年12
,
月6日設定登録,登録時の請求項の数は10である。以下,この特許を「本
件特許」,本件特許に係る特許権を「本件特許権」,本件特許に係る明細書及
び図面を「本件明細書」と,それぞれいう。 は,発明の名称を「太陽熱反射
)
性表面処理金属板」とし,特許権者を原告及び脱退原告(以下,両者を併せ
て「原告ら」という 。 として,設定登録された。なお ,その後,脱退原告は ,
)
原告に対し,本件特許権の持分を移転した(平成19年5月25日登録 )。
(2) 本件特許の請求項1ないし10について特許異議の申立てがされ,異議2
003−72058号事件として特許庁に係属した。その審理の過程におい
て,原告らは,平成17年7月11日,本件明細書を訂正する請求をした。
特許庁は,審理の結果,平成18年2月2日,上記訂正を認めないとした上
で, 特許第3376949号の請求項1ないし10に係る特許を取り消す。
「 」
との決定(以下「決定 」という。 をし ,同年2月20日,その謄本を原告ら
)
に送達した。
(3) 原告らによる本件訴訟の提起後,原告は,前記(1)のとおり,脱退原告か
ら本件特許権の持分の移転を受けたので,権利承継による参加を申し立て,
本件訴訟に参加し,脱退原告は,被告の同意を得て本件訴訟から脱退した。
(4) なお ,原告らは ,平成18年6月5日,本件明細書を訂正することについ
て審判を請求したが,特許庁は,これを訂正2006−39094号事件と
して審理した上,平成18年11月20日, 本件審判の請求は,成り立たな
「
い。 との審決をしたので ,原告らは ,上記審決を不服とし ,被告を相手方と
」
して,平成18年3月17日,その取消を求める訴訟を当庁に提起した(平
成18年(行ケ)第10547号 )。その後,原告は,前記(1)のとおり,脱
退原告から本件特許権の持分の移転を受けたので,権利承継による参加を申
し立てて ,上記訴訟に参加し(平成19年(行ケ )第10232号) 脱退原
,
告は,被告の同意を得て同訴訟から脱退した。
2 特許請求の範囲
本件明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし10の各記載は,次のとおり
である(以下 ,これらの請求項に係る発明を項番号に対応して , 本件発明1 」
「
などといい,これらをまとめて「本件発明」という 。 。
)
「 請求項1 】 基板として,アルミニウム−亜鉛合金めっき皮膜を備え,3
【
50∼2100nmの波長領域での太陽熱反射率 RE)
( が60%以上である
基板表面に,800∼2100nmの波長領域での太陽熱反射率(RE/NIR)
が20%以上の顔料を2∼70重量%含有する塗膜を備えたことを特徴とす
る太陽熱反射性表面処理金属板。
【請求項2】 基板として,アルミニウム−亜鉛合金めっき皮膜を備え,3
50∼2100nmの波長領域での太陽熱反射率 RE)
( が60%以上である
基板表面に,800∼2100nmの波長領域での太陽熱反射率(RE/NIR)
が20%以上の顔料を2∼70重量%含有することで所望の色彩に着色した
塗膜を備えたことを特徴とする太陽熱反射性表面処理金属板。
【請求項3】 前記顔料以外に,着色顔料を含まないことを特徴とする請求
項2記載の太陽熱反射性表面処理金属板。
【請求項4】 基板として,アルミニウム−亜鉛合金めっき皮膜を備え,3
50∼2100nmの波長領域での太陽熱反射率 RE)
( が60%以上の基板
表面に,外層塗膜と1以上の内層塗膜とを備え,該外層塗膜は,800∼2
100nmの波長領域での太陽熱反射率 RE/NIR)
( が20%以上の顔料を2
∼70重量%含有するものであることを特徴とする太陽熱反射性表面処理金
属板。
【請求項5】 少なくとも1の内層塗膜は,350∼2100nmの波長領
域での太陽熱反射率 RE)
( が20%以上の顔料を2∼70重量%含有するも
のであることを特徴とする請求項4に記載の太陽熱反射性表面処理金属板。
【請求項6】 少なくとも1の内層塗膜は,鱗片状アルミニウム顔料を2∼
20重量%含有することを特徴とする請求項4または5に記載の太陽熱反射
性表面処理金属板。
【 請求項7 】 350∼2100nmの波長領域での太陽熱反射率(RE)が
20%以上の顔料の含有量が2重量%未満である内層塗膜の厚さが10μm
以下であることを特徴とする請求項4∼6のいずれかに記載の太陽熱反射性
表面処理金属板。
【請求項8】 めっき鋼板を基板とし ,めっき皮膜表面の酸化膜の厚さが0 .
30μm以下であることを特徴とする請求項1∼7のいずれかに記載の太陽
熱反射性表面処理金属板。
【請求項9】 基板表面の粗さが,中心線平均粗さRaで0.05∼2.0
μmであることを特徴とする請求項1∼8のいずれかに記載の太陽熱反射性
表面処理金属板。
【請求項10】 基板に,塗装前処理皮膜として,金属クロム換算で5∼2
00mg/m 2相当のクロメート処理皮膜または0.2∼5.0g/m 2のリ
ン酸塩処理皮膜を備えたことを特徴とする請求項1∼9のいずれかに記載の
太陽熱反射性表面処理金属板 。」
3 決定の理由
別紙決定書写しのとおりである。要するに,本件発明1ないし10に係る特
許は,明細書又は図面の記載に不備があり,平成14年法律第24号による改
正前の特許法36条4項又は特許法36条6項1号若しくは2号の規定に違反
してされたものであり,平成15年法律第47号による改正前の特許法113
条1項4号に該当する,というものである。
第3 原告の主張の要点
原告らは,平成18年6月5日,本件明細書を訂正することについて審判を
請求したが,特許庁は,これを訂正2006−39094号事件として審理し
た上,平成18年11月20日 ,「本件審判の請求は,成り立たない 。」との審
決をした。そこで,原告らは,上記審決を不服とし,被告を相手方として,平
成18年3月17日,その取消を求める訴訟を提起した(平成18年(行ケ)
第10547号 ) なお ,その後 ,原告は ,脱退原告から本件特許権の持分の移
。
転を受けたので,権利承継による参加を申し立てて,上記訴訟に参加し(平成
19年(行ケ )第10232号 ) 脱退原告は ,被告の同意を得て同訴訟から脱
,
退した。上記訂正審判の請求について,これを認容する審決が確定した場合に
は,明細書の記載が遡及的に訂正されて決定の指摘する瑕疵は解消するから,
決定は結果的に明細書の記載の認定を誤ったものとして取り消されるべきこと
になる。なお,決定固有の取消事由は主張しない。
第4 当裁判所の判断
原告の主張は,上記第3のとおりであり,決定について取消事由を主張する
ものではない。
なお,当裁判所が,平成18年(行ケ)第10547号事件及び平成19年
(行ケ)第10232号事件について,平成19年10月31日に判決を言い
渡したことは当裁判所に顕著であるところ,同判決の結論は,上記訂正審判請
求を成り立たないとした審決にはこれを取り消すべき理由はなく,請求を棄却
するというものである。
以上によれば ,原告の本訴請求は理由がないから,これを棄却することとし ,
主文のとおり判決する。
知的財産高等裁判所第3部
裁判長裁判官 三 村 量 一
裁判官 大 鷹 一 郎
裁判官 嶋 末 和 秀
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