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平成17(行ケ)10174特許取消決定取消請求事件

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裁判所 知的財産高等裁判所
裁判年月日 平成19年3月28日
事件種別 民事
当事者 被告特許庁長官中嶋誠
原告インターデイジタルテクノロジー
対象物 多重音声通信やデータ通信を単一又は複数チャンネルにより同時に行うための無線ディジタル加入者電話システム
法令 特許権
特許法29条2項2回
キーワード 審決15回
分割7回
訂正審判3回
特許権1回
優先権1回
主文 1 特許庁が異議2000−72020号事件について平成13年10月23日にした決定のうち,特許第2979064号の特許請求の範囲第1項ないし第3項,第5項(ただし,平成13年4月17日付け訂正請求に係る特許請求の範囲)に記載された発明についての特許を取り消した部分を取り消す。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事件の概要 1 手続の経緯 原告は,昭和61年2月26日(優先権主張1985年3月20日,米国) に出願した特願昭61−39331号の一部を分割して,平成9年7月11日 に,発明の名称を「多重音声通信やデータ通信を単一又は複数チャンネルによ り同時に行うための無線ディジタル加入者電話システム」とする新たな特許出 願(特願平9−236592号)とした特許第2979064号の特許(平成 11年9月17日設定登録。以下「本件特許」という。登録時の発明の数は6 である )の特許権者である。。 本件特許の特許請求の範囲第1項ないし第6項に係る発明についての特許に 対し,特許異議の申立てがあり,異議2000−72020号事件として特許 庁に係属した。その審理の過程において,原告は,平成13年4月17日,本 件特許に係る明細書 以下 本件明細書 という の特許請求の範囲を訂正 以( 「 」 。) ( 「 」 。 , , ,下 本件第1訂正 という この訂正により 特許請求の範囲第1項 第2項 第3項及び第6項が訂正されるとともに,第4項が削除され,第5項及び第6 項が第4項及び第5項に項番変更された。本件第1訂正後の特許請求の範囲第

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判決文

平成19年3月28日判決言渡
平成17年(行ケ)第10174号 特許取消決定取消請求事件
平成19年3月19日口頭弁論終結
判 決
原 告 インターデイジタル テクノロジー
コーポレーション
訴訟代理人弁護士 中 島 和 雄
訴訟代理人弁理士 内 原 晋
同 船 山 武
同 渡 邉 隆
被 告 特許庁長官 中 嶋 誠
指 定 代 理 人 小 池 正 彦
同 大 場 義 則
同 井 関 守 三
同 長 島 孝 志
主 文
1 特許庁が異議2000−72020号事件について平成13年10
月23日にした決定のうち,特許第2979064号の特許請求の範
囲第1項ないし第3項,第5項(ただし,平成13年4月17日付け
訂正請求に係る特許請求の範囲)に記載された発明についての特許を
取り消した部分を取り消す。
2 訴訟費用は原告の負担とする。
事 実 及 び 理 由
第1 請求
主文1項と同旨
第2 当事者間に争いのない事実
1 手続の経緯
原告は,昭和61年2月26日(優先権主張1985年3月20日,米国)
に出願した特願昭61−39331号の一部を分割して,平成9年7月11日
に,発明の名称を「多重音声通信やデータ通信を単一又は複数チャンネルによ
り同時に行うための無線ディジタル加入者電話システム」とする新たな特許出
願(特願平9−236592号)とした特許第2979064号の特許(平成
11年9月17日設定登録。以下「本件特許」という。登録時の発明の数は6
である。)の特許権者である。
本件特許の特許請求の範囲第1項ないし第6項に係る発明についての特許に
対し,特許異議の申立てがあり,異議2000−72020号事件として特許
庁に係属した。その審理の過程において,原告は,平成13年4月17日,本
件特許に係る明細書 以下 本件明細書」
( 「 という。 の特許請求の範囲を訂正 以
) (
下「本件第1訂正 」という 。この訂正により,特許請求の範囲第1項,第2項 ,
第3項及び第6項が訂正されるとともに,第4項が削除され,第5項及び第6
項が第4項及び第5項に項番変更された。本件第1訂正後の特許請求の範囲第
1項ないし第5項に係る各発明を項番に対応してそれぞれ「本件第1発明」な
どという 。)する請求をした。特許庁は,審理の結果,同年10月23日 ,「訂
正を認める。特許第2979064号の特許請求の範囲第1項ないし第5項に
記載された発明についての特許を取り消す。 との決定(附加期間90日 ,以下

「本件決定 」という。 をし ,同年11月12日,その謄本を原告に送達した 。

原告は,平成14年3月8日,本件決定の取消を求めて本訴を東京高等裁判
所に提起し(東京高裁平成14年(行ケ )第113号) 本訴は,平成17年4

月1日,当庁に回付された。
なお,原告は,本訴の第8回弁論準備手続期日(平成19年3月19日)に
おいて,本件決定のうち,特許第2979064号の特許請求の範囲第4項 た

だし,平成13年4月17日付け訂正請求に係る特許請求の範囲)に記載され
た発明についての特許を取り消した部分の取消を求めた部分について,訴えを
取り下げた。
2 本件決定の理由
本件決定は,本件第1発明ないし本件第5発明は , 電子通信学会論文誌(J

64−B )第9号」 昭和56年9月25日,社団法人電子通信学会発行 ,10

16頁∼1023頁 , TD−FDMA移動通信方式の検討 」 本件決定にいう
「 )

「 引用例1 」 ,特開昭58−51635号公報(本件決定にいう「引用例2」
) )
及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるか
ら,本件第1発明ないし本件第5発明についての各特許は特許法29条2項の
規定に違反してされた,というものである。
3 訂正審決の確定
原告は,本訴の提起後,平成14年5月17日,本件明細書の特許請求の範
囲の訂正(以下 ,この訂正を「本件第2訂正 」という。 を求める審判(以下「本

件訂正審判」という。 を請求した。特許庁は ,これを訂正2002−3912

4号事件として審理した上,平成15年3月24日 , 本件審判の請求は ,成り

立たない 。」との審決(以下「第1次訂正拒絶審決」という。)をした。
原告が,平成15年7月4日,第1次訂正拒絶審決の取消を求める訴訟を東
京高等裁判所に提起したところ(東京高裁平成15年(行ケ)第293号 ) 同

裁判所は ,平成16年12月9日, 特許庁が訂正2002−39124号事件

について平成15年3月24日にした審決を取り消す。 との判決をし ,
」 この判
決(以下「第1次取消判決」という 。)は確定した。
特許庁は,第1次取消判決の確定をうけて,本件訂正審判の審理を再開し,
平成17年8月5日 , 本件審判の請求は ,成り立たない 。 との審決(以下「第
「 」
2次訂正拒絶審決」という。)をした。
原告が,平成17年12月12日,第2次訂正拒絶審決の取消を求める訴訟
を当庁に提起したところ(平成17年(行ケ)第10838号 ) 当庁は,平成

18年11月9日, 特許庁が訂正2002−39124号事件について平成1

7年8月5日にした審決を取り消す 。 との判決(以下「第2次取消判決 」とい

う。)をし,この判決は確定した。
特許庁は,第2次取消判決の確定をうけて,本件訂正審判の審理を再開し,
平成19年2月19日,本件第2訂正を認める旨の審決 同年2月22日送達 。

以下「本件訂正審決」という。)をし,この審決は確定した。
なお,本件第2訂正により,本件第1訂正による本件決定時の特許請求の範
囲第1項ないし第3項及び第5項が追加訂正されるとともに第4項が削除さ
れ,第5項が第4項に項番変更された。
4 特許請求の範囲
(1) 本件第2訂正前 本件第1訂正後)
( の本件特許の特許請求の範囲第1項な
いし第3項及び第5項の各記載は,次のとおりである(一重下線部は本件第
1訂正により訂正された箇所である。 。

「 請求項1 】 無線周波数(RF )電話システムの複数の順方向及び逆方向搬

送波周波数であって各々が複数のスロットを含むとともにアナログ音声信号
1チャンネル分の関連の所定の帯域幅を有する複数の順方向及び逆方向搬送
波周波数に複数の音声信号チャンネルを形成する市外通話同等の通話品質の
ディジタル陸上通信システムであって,基地局及び加入者局を含み,その基
地局が,
電話網から複数の順方向ディジタル化音声信号を受けるとともに加入者局
から少なくとも一つの逆方向ディジタル化音声信号を受ける複数の回線接続
経路と,
前記順方向ディジタル化音声信号をそれぞれ圧縮して圧縮音声信号を生ず
る複数の圧縮器と,
前記圧縮音声信号を単一の送信チャンネル・ビット・ストリーム内の動的
に割り当てられた周波数/スロットに配置して多重化するマルチプレクサ
と,
前記順方向搬送波周波数の各々を前記送信チャンネル・ビット・ストリー
ムで変調して順方向被変調搬送波を生ずる複数の変調器と,
前記順方向被変調搬送波を少なくとも一つの加入者局にRF送信する送信
機と,
前記ディジタル化音声信号を前記圧縮器の一つにそれぞれ導く交換手段
と,
入来呼要求に応答して圧縮音声信号の占めるべき順方向のスロット及び周
波数を指示するスロット/周波数割当て信号を発生しそれによって圧縮済み
のディジタル化音声信号を前記送信チャンネル・ビット・ストリーム内の順
方向のスロット及び周波数に割り当てるスロット/割当て信号発生手段であ
って,スロット/周波数の割当て済みの状況に関する情報を記憶するメモリ
を含み前記入来呼要求に応答して前記メモリにアクセスするスロット/周波
数割当て信号発生手段と,
前記スロット/周波数割当て信号に応答して入来ディジタル化音声信号を
前記圧縮器経由で前記送信チャンネル・ビット・ストリーム内の動的に割り
当てられたスロットに経路づけするように所要の接続を前記交換手段に完結
させる手段と,
前記スロット/周波数割当て信号を表す情報を前記加入者局に送る手段と
を含み,前記加入者局が,
前記逆方向ディジタル化音声信号を圧縮して逆方向圧縮音声信号を生ずる
圧縮器と,
前記逆方向圧縮音声信号を送信チャンネル・ビット・ストリーム内の逐次
的時間スロット,すなわち前記順方向の割当てスロットから固定時間幅だけ
ずれた時間スロットに配置するチャンネル・コントローラと,
前記逆方向搬送波周波数,すなわち前記順方向の割当て周波数から固定周
波数幅だけずれた逆方向搬送波周波数を前記送信チャンネル・ビット・スト
リームで変調し逆方向被変調搬送波を生ずる変調器と,
前記逆方向被変調搬送波を前記基地局にRF送信する送信機と
を含むことを特徴とするディジタル陸上通信システム 。」
「 請求項2 】 局線及び複数の加入者局と交信可能な基地局を有する市外通話

同等の通話品質の陸上無線ディジタル多元接続通信システムであって,各々
が複数の時間スロットに分割されている複数の順方向周波数チャンネル及び
逆方向周波数チャンネルによる前記局線と前記複数の加入者局との間の無線
周波数(RF)リンク経由で順方向情報信号及び逆方向情報信号の同時伝送
を行うことのできる陸上無線ディジタル多元接続通信システムにおいて,
前記基地局における切換マトリクス及び各加入者局におけるセット・アッ
プ手段であって,前記局線に接続され前記局線からの第1の順方向情報を第
1の順方向信号として複数の圧縮器のある一つに導くとともに基地局圧縮解
除器からの第2の逆方向信号を第2の逆方向情報として前記局線に導く前記
切換マトリクス,及び第1の逆方向情報を第1の逆方向信号としてセット・
アップするとともに加入者局圧縮解除器からの第2の順方向信号をユーザへ
の出力用の第2の順方向情報信号としてセット・アップする前記セット・ア
ップ手段と,
前記基地局及び各加入者局における信号圧縮器であって,前記基地局切換
マトリクスに接続され前記順方向周波数チャンネルの一つのある時間スロッ
トに第1の圧縮済みの第1の順方向信号すなわち圧縮前の前記第1の順方向
信号と実質的に同じ情報を生ずるように加入者局で再構成できる第1の圧縮
済みの順方向信号を発生する基地局信号圧縮器,及び前記加入者局セット・
アップ手段に接続されそのセット・アップ手段からの第1の逆方向信号を圧
縮するとともに圧縮前の前記第1の逆方向信号と実質的に同じ情報を生ずる
ように基地局で再構成できる圧縮済みの逆方向信号を発生する加入者局信号
圧縮器と,
前記基地局及び各加入者局における信号圧縮解除器であって,前記基地局
切換マトリクスに接続され前記加入者局から前記RFリンクの前記逆方向周
波数チャンネル経由で受ける圧縮済みの逆方向信号を圧縮解除し前記第1の
逆方向信号と実質的に同じ情報をもたらす第2の逆方向信号を前記基地局切
換マトリクス用に発生する基地局信号圧縮解除器,及び前記加入者局セット
・アップ手段に接続され前記基地局から前記RFリンクの前記順方向周波数
チャンネル経由で受けた圧縮済みの順方向信号を圧縮解除するとともに前記
第1の順方向信号と実質的に同じ情報をもたらす第2の順方向信号を前記加
入者局セット・アップ手段用に発生する加入者局信号圧縮解除器と,
前記圧縮済みの順方向情報信号及び逆方向情報信号への一つのチャンネル
/スロット割当てをその情報信号を前記順方向周波数チャンネル及び逆方向
周波数チャンネルの一つ経由で前記基地局及び加入者局の一つに伝送できる
ように行う割当て手段であって,チャンネル/スロット割当て済みの状況を
記憶するとともに伝達すべき情報の基地局による受信に応答してその記憶を
調べるメモリ手段を含む割当て手段とを含み,
前記加入者局が前記順方向情報信号および逆方向情報信号の一方を割当て
チャンネル/スロット経由で受信し,その割当てチャンネルから固定周波数
幅だけずれた周波数およびその割当てスロットから固定時間幅だけずれたス
ロットを前記順方向情報信号および逆方向情報信号の他方に自動的に提供
し,
前記基地局圧縮器に接続され前記圧縮済みの順方向信号を前記順方向周波
数チャンネルにそれら順方向信号の各々がその順方向周波数チャンネル内の
一つの時間スロットを占める形で印加するように組み上げる信号コンバイナ
と,
前記基地局及び加入者局における送信機及び受信機であって前記基地局と
加入者局との間の前記RFリンク経由の直接通信をもたらす送信機及び受信
機と
をさらに含む陸上無線ディジタル多元接続通信システム 。」
「 請求項3 】 局線及び複数の加入者局と交信可能な基地局を備える市外通話

同等の通話品質の陸上無線ディジタル多元接続通信を行う方法であって,各
々が複数の時間スロットに分割されている複数の順方向周波数チャンネル及
び逆方向周波数チャンネルによる前記局線と前記複数の加入者局との間の無
線周波数(RF)リンク経由で順方向情報信号及び逆方向情報信号の同時伝
送を行うことのできる陸上無線ディジタル多元接続通信方法において,
前記基地局における切換及び前記加入者局の各々におけるセット・アップ
を行う過程であって,前記局線に接続され前記局線からの第1の順方向情報
を第1の順方向信号として複数の圧縮器のある一つに導くとともに基地局圧
縮解除器からの第2の逆方向信号を第2の逆方向情報として前記局線に導く
前記切換過程,及び第1の逆方向情報を第1の逆方向信号としてセット・ア
ップするとともに加入者局圧縮解除器からの第2の順方向信号をユーザへの
出力用の第2の順方向情報としてセット・アップするセット・アップ過程
と,
前記基地局及び前記各加入者局における信号圧縮過程であって,前記順方
向周波数チャンネルの一つのある時間スロットに第1の圧縮済みの順方向信
号すなわち圧縮前の第1の順方向信号と実質的に同じ情報を生ずるように加
入者局で再構成できる第1の圧縮済みの順方向信号を発生する基地局信号圧
縮過程,及び,前記セット・アップ過程からの第1の逆方向信号を圧縮する
とともに圧縮前の前記第1の逆方向信号と実質的に同じ情報を生ずるように
基地局で再構成できる圧縮済みの逆方向信号を発生する加入者局信号圧縮過
程と,
前記基地局及び各加入者局における信号圧縮解除過程であって,前記加入
者局から前記RFリンクの前記逆方向周波数チャンネル経由で受ける圧縮済
みの逆方向信号を圧縮解除し前記第1の逆方向信号と実質的に同じ情報をも
たらす第2の逆方向信号を前記切換過程期間中の切換用に発生する基地局信
号圧縮解除過程,及び前記基地局から前記RFリンクの前記順方向周波数チ
ャンネル経由で受けた圧縮済みの順方向信号を圧縮解除するとともに前記第
1の順方向信号と実質的に同じ情報をもたらす第2の順方向信号を前記加入
者局セット・アップ過程用に発生する加入者局信号圧縮解除過程と,
前記圧縮済みの順方向及び逆方向情報信号への一つのチャンネル/スロッ
ト割当てをその情報信号を前記順方向及び逆方向周波数チャンネルの一つ経
由で前記基地局及び加入者局の一つに伝送できるように行う割当て過程であ
って,チャンネル/スロット割当て済みの状況を記憶するとともに伝達すべ
き情報の基地局による受信に応答してその記憶を調べるメモリ手段の維持を
含む割当て過程とを含み,
前記加入者局が前記順方向情報信号および逆方向情報信号の一方を割当て
チャンネル/スロット経由で受信し,その割当てチャンネルから固定周波数
幅だけずれた周波数およびその割当てスロットから固定時間幅だけずれたス
ロットを前記順方向情報信号および逆方向情報信号の他方に自動的に提供す
るようにし,
前記基地局信号圧縮過程からの前記圧縮済みの順方向信号を前記順方向周
波数チャンネルにそれら順方向信号の各々がその順方向周波数チャンネル内
の一つの時間スロットを占める形で印加するように組み上げる過程と,
前記基地局及び加入者局における送信過程及び受信過程であって前記基地
局と加入者局との間の前記RFリンク経由の直接通信をもたらす送信過程及
び受信過程と
をさらに含む陸上無線ディジタル多元接続通信方法。」
「 請求項5 】 局線及び複数の加入者局と交信可能な基地局を有する市外通話

同等の通話品質の陸上無線ディジタル多元接続通信システムであって,各々
が複数の時間スロットに分割されている複数の順方向周波数チャンネル及び
逆方向周波数チャンネルによる前記局線と前記複数の加入者局との間の無線
周波数(RF)リンク経由で順方向情報信号及び逆方向情報信号の同時伝送
を行うことのできる陸上無線ディジタル多元接続通信システムにおいて,
前記基地局における切換マトリクス及び各加入者局におけるセット・アッ
プ手段であって,前記局線に接続され前記局線からの第1の順方向情報を第
1の順方向信号として複数の圧縮器のある一つに導くとともに基地局圧縮解
除器からの第2の逆方向信号を第2の逆方向情報として前記局線に導く前記
切換マトリクス,及び第1の逆方向情報信号を第1の逆方向信号としてセッ
ト・アップするとともに加入者局圧縮解除器からの第2の順方向信号をユー
ザへの出力用の第2の順方向情報信号としてセット・アップするセット・ア
ップ手段と,
前記基地局及び各加入者局における信号圧縮器であって,前記基地局切換
マトリクスに接続され前記順方向周波数チャンネルの一つのある時間スロッ
トに圧縮済みの第1の順方向信号すなわち圧縮前の前記第1の順方向信号と
実質的に同じ情報を生ずるように加入者局で再構成できる第1の圧縮済みの
順方向信号を発生する基地局信号圧縮器,及び前記加入者局セット・アップ
手段に接続されそのセット・アップ手段からの第1の逆方向信号を圧縮する
とともに圧縮前の前記第1の逆方向信号と実質的に同じ情報信号を生ずるよ
うに基地局で再構成できる圧縮済みの逆方向信号を発生する加入者局信号圧
縮器と,
前記基地局及び各加入者局における信号圧縮解除器であって,前記基地局
切換マトリクスに接続され前記加入者局から前記RFリンクの前記逆方向周
波数チャンネル経由で受ける圧縮済みの逆方向信号を圧縮解除し前記第1の
逆方向信号と実質的に同じ情報信号をもたらす第2の逆方向信号を前記基地
局切換マトリクス用に発生する基地局信号圧縮解除器,及び前記加入者局セ
ット・アップ手段に接続され前記基地局から前記RFリンクの前記順方向周
波数チャンネル経由で受けた圧縮済みの順方向信号を圧縮解除するとともに
前記第1の順方向信号と実質的に同じ情報信号をもたらす第2の順方向信号
を前記加入者局セット・アップ手段用に発生する加入者局信号圧縮解除器
と,
前記圧縮済みの順方向情報信号及び逆方向情報信号の一つへのチャンネル
/スロット割当てをその情報信号を前記順方向周波数チャンネル及び逆方向
周波数チャンネルの一つ経由で前記基地局及び加入者局の一つに伝送できる
ように行う割当て手段であって,チャンネル/スロット割当て済みの状況を
記憶するとともに伝達すべき情報の基地局による受信に応答してその記憶を
調べるメモリ手段を含む割当て手段と,
前記基地局圧縮器に接続され前記圧縮済みの順方向信号を前記順方向周波
数チャンネルにそれら順方向信号の各々がその順方向周波数チャンネル内の
一つの内の時間スロットを占める形で印加するように組み上げる信号コンバ
イナと,
前記基地局及び加入者局における送信機及び受信機であって前記基地局と
加入者局との間の前記RFリンク経由の直接通信をもたらす送信機及び受信
機と
を含む陸上無線ディジタル多元接続通信システムに用いる加入者局におい
て,
前記第1の順方向情報信号を第1の逆方向信号としてセット・アップする
とともに圧縮解除器からの第2の順方向信号をユーザへの出力用の第2の順
方向情報信号としてセット・アップするセット・アップ手段と,
前記セット・アップ手段に接続されそのセット・アップ手段からの前記第
1の逆方向信号を圧縮して圧縮前の前記第1の逆方向信号と実質的に同じ情
報信号を生ずるように基地局で再構成できる圧縮済みの逆方向信号を発生す
る信号圧縮器と,
前記セット・アップ手段に接続され前記基地局から前記RFリンクの前記
順方向周波数チャンネル経由で受けた圧縮済みの順方向信号を圧縮解除する
とともに前記第1の順方向信号と実質的に同じ情報信号をもたらす第2の順
方向信号をセット・アップ手段用に発生する信号圧縮解除器と,
前記基地局との間の前記RFリンク経由の直接通信をもたらす送信機及び
受信機とを含み,
前記順方向情報信号および逆方向情報信号の一方を割当てチャンネル/ス
ロット経由で受信し,その割当てチャンネルから固定周波数幅だけずれた周
波数およびその割当てスロットから固定時間幅だけずれたスロットを前記順
方向情報信号および逆方向情報信号の他方に自動的に提供する
加入者局 。」
(2) 本件第2訂正後の特許請求の範囲第1項ないし第4項 本件第1訂正後の

特許請求の範囲第1項ないし第3項,第5項に対応する 。 の各記載は ,次の

とおりである(一重下線部は本件第1訂正により訂正された箇所であり,二
重下線部は本件第2訂正による訂正箇所である。 。

「 請求項1 】 無線周波数(RF )電話システムの複数の順方向及び逆方向搬

送波周波数であって各々が互いに同期した複数の時間スロットを含むととも
にアナログ音声信号1チャンネル分の関連の所定の帯域幅を有する複数の順
方向及び逆方向搬送波周波数に複数の音声信号チャンネルを形成する市外通
話同等の通話品質のディジタル陸上通信システムであって,基地局及び加入
者局を含み,その基地局が,
電話網から複数の順方向ディジタル化音声信号を受けるとともに加入者局
から少なくとも一つの逆方向ディジタル化音声信号を受ける複数の回線接続
経路と,
前記順方向ディジタル化音声信号をそれぞれ圧縮して圧縮音声信号を生ず
る複数の圧縮器と,
前記圧縮音声信号を単一の送信チャンネル・ビット・ストリーム内の動的
に割り当てられた周波数/時間スロットに配置して多重化するマルチプレク
サと,
前記順方向搬送波周波数の各々を前記送信チャンネル・ビット・ストリー
ムで変調して順方向被変調搬送波を生ずる複数の変調器と,
前記順方向被変調搬送波を少なくとも一つの加入者局にRF送信する送信
機と,
前記ディジタル化音声信号を前記圧縮器の一つにそれぞれ導く交換手段
と,
入来呼要求に応答して圧縮音声信号の占めるべき順方向の時間スロット及
び周波数を指示する時間スロット/周波数割当て信号を発生しそれによって
圧縮済みのディジタル化音声信号を前記送信チャンネル・ビット・ストリー
ム内の順方向の時間スロット及び周波数に割り当てる時間スロット/周波数
割当て信号発生手段であって,時間スロット/周波数の割当て済みの状況に
関する情報を記憶するメモリを含み前記入来呼要求に応答して前記メモリに
アクセスする時間スロット/周波数割当て信号発生手段と,
前記時間スロット/周波数割当て信号に応答して入来ディジタル化音声信
号を前記圧縮器経由で前記送信チャンネル・ビット・ストリーム内の動的に
割り当てられたスロットに経路づけするように所要の接続を前記交換手段に
完結させる手段と,
前記時間スロット/周波数割当て信号を表す情報を前記加入者局に送る手
段とを含み,前記加入者局が,
前記逆方向ディジタル化音声信号を圧縮して逆方向圧縮音声信号を生ずる
圧縮器と,
前記逆方向圧縮音声信号を送信チャンネル・ビット・ストリーム内の逐次
的時間スロット,すなわち前記順方向の割当てスロットから同一時間スロッ
ト内における送信および受信の回避のための固定時間幅だけずれた時間スロ
ットに配置するチャンネル・コントローラと,
前記逆方向搬送波周波数,すなわち前記順方向の割当て周波数から固定周
波数幅だけずれた逆方向搬送波周波数を前記送信チャンネル・ビット・スト
リームで変調し逆方向被変調搬送波を生ずる変調器と,
前記逆方向被変調搬送波を前記基地局にRF送信する送信機と
を含むことを特徴とするディジタル陸上通信システム 。」
「 請求項2 】 局線及び複数の加入者局と交信可能な基地局を有する市外通話

同等の通話品質の陸上無線ディジタル多元接続通信システムであって,各々
が互いに同期した複数の時間スロットに分割されている複数の順方向周波数
チャンネル及び逆方向周波数チャンネルによる前記局線と前記複数の加入者
局との間の無線周波数(RF)リンク経由で順方向情報信号及び逆方向情報
信号の同時伝送を行うことのできる陸上無線ディジタル多元接続通信システ
ムにおいて,
前記基地局における切換マトリクス及び各加入者局におけるセット・アッ
プ手段であって,前記局線に接続され前記局線からの第1の順方向情報を第
1の順方向信号として複数の圧縮器のある一つに導くとともに基地局圧縮解
除器からの第2の逆方向信号を第2の逆方向情報として前記局線に導く前記
切換マトリクス,及び第1の逆方向情報を第1の逆方向信号としてセット・
アップするとともに加入者局圧縮解除器からの第2の順方向信号をユーザへ
の出力用の第2の順方向情報信号としてセット・アップする前記セット・ア
ップ手段と,
前記基地局及び各加入者局における信号圧縮器であって,前記基地局切換
マトリクスに接続され前記順方向周波数チャンネルの一つのある時間スロッ
トに第1の圧縮済みの第1の順方向信号すなわち圧縮前の前記第1の順方向
信号と実質的に同じ情報を生ずるように加入者局で再構成できる第1の圧縮
済みの順方向信号を発生する基地局信号圧縮器,及び前記加入者局セット・
アップ手段に接続されそのセット・アップ手段からの第1の逆方向信号を圧
縮するとともに圧縮前の前記第1の逆方向信号と実質的に同じ情報を生ずる
ように基地局で再構成できる圧縮済みの逆方向信号を発生する加入者局信号
圧縮器と,
前記基地局及び各加入者局における信号圧縮解除器であって,前記基地局
切換マトリクスに接続され前記加入者局から前記RFリンクの前記逆方向周
波数チャンネル経由で受ける圧縮済みの逆方向信号を圧縮解除し前記第1の
逆方向信号と実質的に同じ情報をもたらす第2の逆方向信号を前記基地局切
換マトリクス用に発生する基地局信号圧縮解除器,及び前記加入者局セット
・アップ手段に接続され前記基地局から前記RFリンクの前記順方向周波数
チャンネル経由で受けた圧縮済みの順方向信号を圧縮解除するとともに前記
第1の順方向信号と実質的に同じ情報をもたらす第2の順方向信号を前記加
入者局セット・アップ手段用に発生する加入者局信号圧縮解除器と,
前記圧縮済みの順方向情報信号及び逆方向情報信号への一つのチャンネル
/時間スロット割当てをその情報信号を前記順方向周波数チャンネル及び逆
方向周波数チャンネルの一つ経由で前記基地局及び加入者局の一つに伝送で
きるように行う割当て手段であって,チャンネル/時間スロット割当て済み
の状況を記憶するとともに伝達すべき情報の基地局による受信に応答してそ
の記憶を調べるメモリ手段を含む割当て手段とを含み,
前記加入者局が前記順方向情報信号および逆方向情報信号の一方を割当て
チャンネル/時間スロット経由で受信し,その割当てチャンネルから固定周
波数幅だけずれた周波数およびその割当て時間スロットから同一時間スロッ
ト内における送信および受信の回避のための固定時間幅だけずれた時間スロ
ットを前記順方向情報信号および逆方向情報信号の他方に自動的に提供し,
前記基地局圧縮器に接続され前記圧縮済みの順方向信号を前記順方向周波
数チャンネルにそれら順方向信号の各々がその順方向周波数チャンネル内の
一つの時間スロットを占める形で印加するように組み上げる信号コンバイナ
と,
前記基地局及び加入者局における送信機及び受信機であって前記基地局と
加入者局との間の前記RFリンク経由の直接通信をもたらす送信機及び受信
機と
をさらに含む陸上無線ディジタル多元接続通信システム 。」
「 請求項3 】 局線及び複数の加入者局と交信可能な基地局を備える市外通話

同等の通話品質の陸上無線ディジタル多元接続通信を行う方法であって,各
々が互いに同期した複数の時間スロットに分割されている複数の順方向周波
数チャンネル及び逆方向周波数チャンネルによる前記局線と前記複数の加入
者局との間の無線周波数(RF)リンク経由で順方向情報信号及び逆方向情
報信号の同時伝送を行うことのできる陸上無線ディジタル多元接続通信方法
において,
前記基地局における切換及び前記加入者局の各々におけるセット・アップ
を行う過程であって,前記局線に接続され前記局線からの第1の順方向情報
を第1の順方向信号として複数の圧縮器のある一つに導くとともに基地局圧
縮解除器からの第2の逆方向信号を第2の逆方向情報として前記局線に導く
前記切換過程,及び第1の逆方向情報を第1の逆方向信号としてセット・ア
ップするとともに加入者局圧縮解除器からの第2の順方向信号をユーザへの
出力用の第2の順方向情報としてセット・アップするセット・アップ過程
と,
前記基地局及び前記各加入者局における信号圧縮過程であって,前記順方
向周波数チャンネルの一つのある時間スロットに第1の圧縮済みの順方向信
号すなわち圧縮前の第1の順方向信号と実質的に同じ情報を生ずるように加
入者局で再構成できる第1の圧縮済みの順方向信号を発生する基地局信号圧
縮過程,及び,前記セット・アップ過程からの第1の逆方向信号を圧縮する
とともに圧縮前の前記第1の逆方向信号と実質的に同じ情報を生ずるように
基地局で再構成できる圧縮済みの逆方向信号を発生する加入者局信号圧縮過
程と,
前記基地局及び各加入者局における信号圧縮解除過程であって,前記加入
者局から前記RFリンクの前記逆方向周波数チャンネル経由で受ける圧縮済
みの逆方向信号を圧縮解除し前記第1の逆方向信号と実質的に同じ情報をも
たらす第2の逆方向信号を前記切換過程期間中の切換用に発生する基地局信
号圧縮解除過程,及び前記基地局から前記RFリンクの前記順方向周波数チ
ャンネル経由で受けた圧縮済みの順方向信号を圧縮解除するとともに前記第
1の順方向信号と実質的に同じ情報をもたらす第2の順方向信号を前記加入
者局セット・アップ過程用に発生する加入者局信号圧縮解除過程と,
前記圧縮済みの順方向及び逆方向情報信号への一つのチャンネル/時間ス
ロット割当てをその情報信号を前記順方向及び逆方向周波数チャンネルの一
つ経由で前記基地局及び加入者局の一つに伝送できるように行う割当て過程
であって,チャンネル/時間スロット割当て済みの状況を記憶するとともに
伝達すべき情報の基地局による受信に応答してその記憶を調べるメモリ手段
の維持を含む割当て過程とを含み,
前記加入者局が前記順方向情報信号および逆方向情報信号の一方を割当て
チャンネル/時間スロット経由で受信し,その割当てチャンネルから固定周
波数幅だけずれた周波数およびその割当て時間スロットから同一時間スロッ
ト内における送信および受信の回避のための固定時間幅だけずれた時間スロ
ットを前記順方向情報信号および逆方向情報信号の他方に自動的に提供する
ようにし,
前記基地局信号圧縮過程からの前記圧縮済みの順方向信号を前記順方向周
波数チャンネルにそれら順方向信号の各々がその順方向周波数チャンネル内
の一つの時間スロットを占める形で印加するように組み上げる過程と,
前記基地局及び加入者局における送信過程及び受信過程であって前記基地
局と加入者局との間の前記RFリンク経由の直接通信をもたらす送信過程及
び受信過程と
をさらに含む陸上無線ディジタル多元接続通信方法。」
「 請求項4 】 局線及び複数の加入者局と交信可能な基地局を有する市外通話

同等の通話品質の陸上無線ディジタル多元接続通信システムであって,各々
が互いに同期した複数の時間スロットに分割されている複数の順方向周波数
チャンネル及び逆方向周波数チャンネルによる前記局線と前記複数の加入者
局との間の無線周波数(RF)リンク経由で順方向情報信号及び逆方向情報
信号の同時伝送を行うことのできる陸上無線ディジタル多元接続通信システ
ムにおいて,
前記基地局における切換マトリクス及び各加入者局におけるセット・アッ
プ手段であって,前記局線に接続され前記局線からの第1の順方向情報を第
1の順方向信号として複数の圧縮器のある一つに導くとともに基地局圧縮解
除器からの第2の逆方向信号を第2の逆方向情報として前記局線に導く前記
切換マトリクス,及び第1の逆方向情報信号を第1の逆方向信号としてセッ
ト・アップするとともに加入者局圧縮解除器からの第2の順方向信号をユー
ザへの出力用の第2の順方向情報信号としてセット・アップするセット・ア
ップ手段と,
前記基地局及び各加入者局における信号圧縮器であって,前記基地局切換
マトリクスに接続され前記順方向周波数チャンネルの一つのある時間スロッ
トに圧縮済みの第1の順方向信号すなわち圧縮前の前記第1の順方向信号と
実質的に同じ情報を生ずるように加入者局で再構成できる第1の圧縮済みの
順方向信号を発生する基地局信号圧縮器,及び前記加入者局セット・アップ
手段に接続されそのセット・アップ手段からの第1の逆方向信号を圧縮する
とともに圧縮前の前記第1の逆方向信号と実質的に同じ情報信号を生ずるよ
うに基地局で再構成できる圧縮済みの逆方向信号を発生する加入者局信号圧
縮器と,
前記基地局及び各加入者局における信号圧縮解除器であって,前記基地局
切換マトリクスに接続され前記加入者局から前記RFリンクの前記逆方向周
波数チャンネル経由で受ける圧縮済みの逆方向信号を圧縮解除し前記第1の
逆方向信号と実質的に同じ情報信号をもたらす第2の逆方向信号を前記基地
局切換マトリクス用に発生する基地局信号圧縮解除器,及び前記加入者局セ
ット・アップ手段に接続され前記基地局から前記RFリンクの前記順方向周
波数チャンネル経由で受けた圧縮済みの順方向信号を圧縮解除するとともに
前記第1の順方向信号と実質的に同じ情報信号をもたらす第2の順方向信号
を前記加入者局セット・アップ手段用に発生する加入者局信号圧縮解除器
と,
前記圧縮済みの順方向情報信号及び逆方向情報信号の一つへのチャンネル
/時間スロット割当てをその情報信号を前記順方向周波数チャンネル及び逆
方向周波数チャンネルの一つ経由で前記基地局及び加入者局の一つに伝送で
きるように行う割当て手段であって,チャンネル/時間スロット割当て済み
の状況を記憶するとともに伝達すべき情報の基地局による受信に応答してそ
の記憶を調べるメモリ手段を含む割当て手段と,
前記基地局圧縮器に接続され前記圧縮済みの順方向信号を前記順方向周波
数チャンネルにそれら順方向信号の各々がその順方向周波数チャンネル内の
一つの内の時間スロットを占める形で印加するように組み上げる信号コンバ
イナと,
前記基地局及び加入者局における送信機及び受信機であって前記基地局と
加入者局との間の前記RFリンク経由の直接通信をもたらす送信機及び受信
機と
を含む陸上無線ディジタル多元接続通信システムに用いる加入者局におい
て,
前記第1の逆方向情報信号を第1の逆方向信号としてセット・アップする
とともに圧縮解除器からの第2の順方向信号をユーザへの出力用の第2の順
方向情報信号としてセット・アップするセット・アップ手段と,
前記セット・アップ手段に接続されそのセット・アップ手段からの前記第
1の逆方向信号を圧縮して圧縮前の前記第1の逆方向信号と実質的に同じ情
報信号を生ずるように基地局で再構成できる圧縮済みの逆方向信号を発生す
る信号圧縮器と,
前記セット・アップ手段に接続され前記基地局から前記RFリンクの前記
順方向周波数チャンネル経由で受けた圧縮済みの順方向信号を圧縮解除する
とともに前記第1の順方向信号と実質的に同じ情報信号をもたらす第2の順
方向信号をセット・アップ手段用に発生する信号圧縮解除器と,
前記基地局との間の前記RFリンク経由の直接通信をもたらす送信機及び
受信機とを含み,
前記順方向情報信号および逆方向情報信号の一方を割当てチャンネル/時
間スロット経由で受信し,その割当てチャンネルから固定周波数幅だけずれ
た周波数およびその割当て時間スロットから同一時間スロット内における送
信および受信の回避のための固定時間幅だけずれた時間スロットを前記順方
向情報信号および逆方向情報信号の他方に自動的に提供する
加入者局 。」
第3 原告主張の取消事由の要点
本件訂正審決の確定により,特許請求の範囲の記載が遡及的に訂正されるた
め,本件決定は,結果的に本件第1発明ないし本件第3発明及び本件第5発明
の要旨の認定を誤ったことになるから,取り消されるべきである。
第4 当裁判所の判断
当事者間に争いのない事実(前記2)によれば,本件決定は,本件第2訂正前
(本件第1訂正後)の特許請求の範囲第1項ないし第3項及び第5項の記載に基
づいて本件第1発明ないし本件第3発明及び本件第5発明の要旨を認定し,これ
を前提に,特許法29条2項の規定にそれぞれ違反して特許されたものと判断し
て,本件第1発明ないし本件第3発明及び本件第5発明についての特許を取り消
したものであるところ,本件決定の取消しを求める本訴係属中に,当該特許に係
る特許請求の範囲の減縮を含む訂正の審判が請求され,特許庁はこれを認める審
決(本件訂正審決)をし,これが確定したものである。
そうすると,本件決定は,結果として,特許請求の範囲第1項ないし第3項及
び第5項について判断の対象となるべき発明の要旨の認定を誤ったことになり,
この誤りが本件第1発明ないし本件第3発明及び本件第5発明についての特許を
取り消すべきものとした本件決定の結論に影響を及ぼすことは明らかである。し
たがって,本件決定のうち特許第2979064号の特許請求の範囲第1項ない
し第3項,第5項(ただし,本件第1訂正後(本件第2訂正前)の特許請求の範
囲におけるもの)に記載された発明についての特許を取り消した部分は,違法と
して取消しを免れない。
以上によれば,原告の請求は理由があるから,これを認容することとし,訴訟
費用については,本件訴訟の経過にかんがみ,これを原告に負担させるのを相当
と認め,主文のとおり判決する。
知的財産高等裁判所第3部
裁 判 長 裁 判 官 三 村 量 一
裁 判 官 古 閑 裕 二
裁 判 官 嶋 末 和 秀

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